以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する中間層6と、この中間層6の外側に位置するカバー8とを備えている。このゴルフボール2は、その表面に多数のディンプル10を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル10以外の部分は、ランド12である。このゴルフボール2は、カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。ゴルフボール2が、コア4と中間層6との間に、他の層を備えてもよい。ゴルフボール2が、中間層6とカバー8との間に、他の層を備えてもよい。
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下が好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
コア4は、ゴム組成物が架橋されることで形成されている。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合、ポリブタジエンが主成分であることが好ましい。具体的には、全基材ゴムに対するポリブタジエンの比率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。シス−1,4結合の比率が80%以上であるポリブタジエンが、特に好ましい。
コア4のゴム組成物は、好ましくは、共架橋剤を含む。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤として、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが例示される。反発性能の観点から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
ゴム組成物が、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と、酸化金属とを含んでもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、共架橋剤として機能する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸として、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属として、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましく、15質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、この量は50質量部以下が好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、コア4のゴム組成物は、有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが例示される。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、この量は3.0質量部以下が好ましく、2.8質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、コア4のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。有機硫黄化合物には、ナフタレンチオール系化合物、ベンゼンチオール系化合物及びジスルフィド系化合物が含まれる。
ナフタレンチオール系化合物として、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオール(2−チオナフトール)、4−クロロ−1−ナフタレンチオール、4−ブロモ−1−ナフタレンチオール、1−クロロ−2−ナフタレンチオール、1−ブロモ−2−ナフタレンチオール、1−フルオロ−2−ナフタレンチオール、1−シアノ−2−ナフタレンチオール及び1−アセチル−2−ナフタレンチオールが例示される。
ベンゼンチオール系化合物として、ベンゼンチオール、4−クロロベンゼンチオール、3−クロロベンゼンチオール、4−ブロモベンゼンチオール、3−ブロモベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール、4−ヨードベンゼンチオール、2,5−ジクロロベンゼンチオール、3,5−ジクロロベンゼンチオール、2,6−ジクロロベンゼンチオール、2,5−ジブロモベンゼンチオール、3,5−ジブロモベンゼンチオール、2−クロロ−5−ブロモベンゼンチオール、2,4,6−トリクロロベンゼンチオール、2,3,4,5,6−ペンタクロロベンゼンチオール、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンチオール、4−シアノベンゼンチオール、2−シアノベンゼンチオール、4−ニトロベンゼンチオール及び2−ニトロベンゼンチオールが例示される。
ジスルフィド系化合物として、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド及びビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドが例示される。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、この量は1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、コア4のゴム組成物は、カルボン酸塩を含む。カルボン酸塩を含むコア4では、中心付近の硬度が小さい。このコア4は、外剛内柔構造を有する。このコア4を有するゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピンレートは、小さい。後に詳説されるように、スピンレートが小さなゴルフボール2では、大きな飛距離が得られる。好ましいカルボン酸塩として、オクタン酸亜鉛及びステアリン酸亜鉛が例示される。カルボン酸塩の量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上20質量部以下が好ましい。
コア4のゴム組成物が、比重調整等を目的とした充填剤を含んでもよい。好適な充填剤として、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤の量は、コア4の意図した比重が達成されるように適宜決定される。このゴム組成物が、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤を適量含んでもよい。このゴム組成物が、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末を含んでもよい。
コア4の直径は、33.0mm以上が好ましい。直径が33.0mm以上であるコア4を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、直径は34.0mm以上がより好ましく、35.0mm以上が特に好ましい。中間層6及びカバー8が十分な厚みを有しうるとの観点から、この直径は40.0mm以下が好ましい。
コア4の質量は、10g以上40g以下が好ましい。コア4の架橋温度は、140℃以上180℃以下である。コア4の架橋時間は、10分以上60分以下である。コア4が2以上の層を有してもよい。コア4が、その表面にリブを備えてもよい。コア4が中空であってもよい。
中間層6は、コア4とカバー8との間に位置している。中間層6は、熱可塑性樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが例示される。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。アイオノマー樹脂を含む中間層6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに占めるアイオノマー樹脂の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンとアクリル酸との共重合体である。特に好ましい他のアイオノマー樹脂は、エチレンとメタクリル酸との共重合体である。
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例として、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7329」及び「ハイミランAM7337」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8546」、「HPF1000」及び「HPF2000」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。
中間層6の樹脂組成物が、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーを含んでもよい。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの化合物として、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の化合物が併用されてもよい。
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物として、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物として、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
本発明において、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPSからなる群から選択された1種又は2種以上と、オレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、他の基材ポリマーとの相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイは、ゴルフボール2の反発性能に寄与しうる。炭素数が2以上10以下のオレフィンが好ましい。好適なオレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
ポリマーアロイの具体例として、三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例として、ダイセル化学工業社の商品名「エポフレンドA1010」及びクラレ社の商品名「セプトンHG−252」が挙げられる。
打球感の観点から、全基材ポリマーに占めるスチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの比率は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の反発性能の観点から、この比率は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
中間層6の樹脂組成物が、比重調整等を目的とした充填剤を含んでもよい。好適な充填剤として、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。この樹脂組成物が、充填剤として、高比重金属からなる粉末を含んでもよい。高比重金属の具体例として、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の量は、中間層6の意図した比重が達成されるように適宜決定される。この樹脂組成物が、着色剤、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末を含んでもよい。
中間層6の硬度Hmは、40以上60以下が好ましい。硬度Hmが40以上である中間層6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、硬度Hmは45以上がより好ましく、48以上が特に好ましい。硬度Hmが60以下である中間層6を有するゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、硬度Hmは、55以下がより好ましく、52以下が特に好ましい。
中間層6の硬度Hm及びカバー8の硬度Hcは、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。測定には、ショアD型硬度計が取り付けられた自動ゴム硬度計(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。測定には、熱プレスで成形された、中間層6(又はカバー8)と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
中間層6の厚みTmは、0.3mm以上2.5mm以下が好ましい。厚みTmが0.3mm以上である中間層6を有するゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、厚みTmは0.5mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。厚みTmが2.5mm以下である中間層6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、厚みTmは2.0mm以下がより好ましく、1.8mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2が、コア4とカバー8との間に位置する2以上の中間層を有してもよい。この場合、各中間層の厚みが、上記範囲内であることが好ましい。
カバー8は、マーク層及びペイント層を除けば、最も外側の層である。カバー8は、熱可塑性樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。アイオノマー樹脂を含むカバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。中間層6に関して前述されたアイオノマー樹脂が、カバー8に用いられうる。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。基材ポリマーの全量に対するアイオノマー樹脂の量の比率は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
アイオノマー樹脂と併用されうる好ましい樹脂は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体である。この共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル酸とを含有する単量体組成物の共重合反応によって得られる。この共重合体では、カルボキシル基の一部が金属イオンで中和されている。この共重合体は、3質量%以上25質量%以下の(メタ)アクリル酸成分を含有する。極性官能基を有するエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が、特に好ましい。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ニュクレル」が挙げられる。
カバー8の樹脂組成物が、二酸化チタン及び蛍光顔料のような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を適量含んでもよい。
カバー8のショアD硬度Hcは、50以上70以下が好ましい。硬度Hcが50以上であるカバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。このゴルフボール2は、飛行性能に優れる。この観点から、硬度Hcは53以上がより好ましく、55以上が特に好ましい。硬度Hcが70以下であるカバー8を有するゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、硬度Hcは67以下がより好ましく、65以下が特に好ましい。
カバー8の厚みTcは、0.3mm以上2.5mm以下が好ましい。厚みTcが0.3mm以上であるカバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、厚みTcは0.5mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。厚みTcが2.5mm以下であるカバー8を有するゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、厚みTcは2.3mm以下がより好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。
カバー8の形成には、射出成形法、圧縮成形法等の既知の手法が採用されうる。カバー8の成形時に、成形型のキャビティ面に形成されたピンプルにより、ディンプル10が形成される。
カバー8の硬度Hcが、中間層6の硬度Hmよりも大きいことが好ましい。硬度Hcが硬度Hmよりも大きいゴルフボール2では、スピンが抑制されうる。このゴルフボール2は、ドライバーでのショットにおける飛行性能に優れる。好ましくは、カバー8の硬度Hcは、他のいずれの層の硬度よりも大きい。
飛行性能の観点から、硬度Hcと硬度Hmとの差(Hc−Hm)は2以上が好ましく、5以上が特に好ましい。差(Hc−Hm)は、20以下が好ましい。
2以上の中間層6を有するゴルフボール2では、好ましくは、カバー8の硬度Hcは、それぞれの中間層6のショアD硬度よりも大きい。カバー8の硬度Hcとそれぞれの中間層6の硬度との差は、2以上が好ましく、5以上が特に好ましい。この差は、20以下が好ましい。
中間層6の厚みTmがカバー8の厚みTcよりも大きいことが好ましい。この中間層6は、スピンを抑制しうる。2以上の中間層6を有するゴルフボール2では、これらの中間層6の合計厚みがカバー8の厚みTcよりも大きいことが好ましい。
中間層6の厚みTmとカバー8の厚みTcとの和は、4.0mm以下が好ましい。和が4.0mm以下であるゴルフボール2は、打球感に優れる。この観点から、和は3.8mm以下がより好ましく、3.6mm以下が特に好ましい。和は、1.0mm以上が好ましい。
中間層6における厚みTm(mm)と硬度Hm(ショアD)との積THmと、カバー8における厚みTc(mm)と硬度Hc(ショアD)との積THcとは、下記数式(1)を満たす。
THc − THm ≦ 50 (1)
上記数式(1)を満たすゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピンレートは、小さい。このゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、過剰な揚力が発生しない。このゴルフボール2は、ドライバーで打撃されたときの飛行性能に優れる。飛行性能の観点から、差(THc − THm)は40以下がより好ましく、30以下が特に好ましい。
好ましくは、ゴルフボール2は、下記数式(2)を満たす。
−50 ≦ THc − THm (2)
上記数式(2)を満たすゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、ソフトな打球感が達成される。打球感の観点から、差(THc − THm)は−40以上がより好ましく、−30以上が特に好ましい。
2以上の中間層6を有するゴルフボール2では、各中間層6において厚みTm(mm)と硬度Hm(ショアD)との積が計算される。これらの積の平均が、積THmである。
図2−7に示されるように、ディンプル10の輪郭は円である。このゴルフボール2は、直径が4.50mmであるディンプルAと、直径が4.40mmであるディンプルBと、直径が4.30mmであるディンプルCと、直径が4.20mmであるディンプルDと、直径が3.00mmであるディンプルEとを備えている。ディンプル10の種類数は、5である。ゴルフボール2が円形ディンプル10に代えて、又は円形ディンプル10と共に、非円形ディンプルを有してもよい。
ディンプルAの数は80個であり、ディンプルBの数は74個であり、ディンプルCの数は62個であり、ディンプルDの数は96個であり、ディンプルEの数は12個である。ディンプル10の総数は、324個である。これらのディンプル10とランド12とにより、ディンプルパターンが形成されている。
図8には、ディンプル10の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図8における上下方向は、ディンプル10の深さ方向である。図8において二点鎖線14で示されているのは、仮想球である。仮想球14の表面は、ディンプル10が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球14の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル10は、仮想球14の表面から凹陥している。ランド12は、仮想球14の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル10の断面形状は、実質的には円弧である。
図8において矢印Dmで示されているのは、ディンプル10の直径である。この直径Dmは、ディンプル10の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル10のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル10の輪郭を画定する。図8において両矢印Dp1で示されているのは、ディンプル10の第一深さである。この第一深さDp1は、ディンプル10の最深部と仮想球14の表面との距離である。図8において両矢印Dp2で示されているのは、ディンプル10の第二深さである。この第二深さDp2は、ディンプル10の最深部と接線Tgとの距離である。
それぞれのディンプル10の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル10は、乱流化に寄与する。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル10は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の第一深さDp1は0.10mm以上が好ましく、0.13mm以上がより好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、第一深さDp1は0.65mm以下が好ましく、0.60mm以下がより好ましく、0.55mm以下が特に好ましい。
ディンプル10の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル10の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル10の場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S = (Dm / 2)2 * π
図2−7に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は15.9mm2であり、ディンプルBの面積は15.2mm2であり、ディンプルCの面積は14.5mm2であり、ディンプルDの面積は13.9mm2であり、ディンプルEの面積は7.1mm2である。
本発明では、全てのディンプル10の面積Sの合計の、仮想球14の表面積に対する比率は、占有率と称される。十分な乱流化が得られるとの観点から、占有率は80%以上が好ましく、81%以上がより好ましく、82%以上が特に好ましい。占有率は、95%以下が好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、ディンプル10の合計面積は4712.8mm2である。このゴルフボール2の仮想球14の表面積は5728.0mm2なので、占有率は82.3%である。
十分な占有率が達成されるとの観点から、ディンプル10の総数Nは250個以上が好ましく、280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。個々のディンプル10が乱流化に寄与しうるとの観点から、総数Nは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。
本発明において「ディンプルの容積」とは、仮想球14の表面とディンプル10の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の総容積は450mm3以上が好ましく、480mm3以上がより好ましく、500mm3以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は750mm3以下が好ましく、730mm3以下がより好ましく、710mm3以下が特に好ましい。
本発明では、その面積が8.0mm2未満であるディンプル10は、「小ディンプル10S」と称される。図2−7に示されたゴルフボール2において、ディンプルEは、小ディンプル10Sである。このゴルフボール2において、小ディンプル10Sの数NSは、12個である。
本発明では、その面積が8.0mm2以上であるディンプル10は、「大ディンプル10L」と称される。図2−7に示されたゴルフボール2において、ディンプルA−Dは、大ディンプル10Lである。このゴルフボール2において、大ディンプル10Lの数NLは、312個である。数NSと数NLとの合計は、総数Nと等しい。
大ディンプル10Lのみを有するディンプルパターンでは、仮想球14の表面において、ランド12の偏りが生じる傾向がある。この偏りは、本明細書では、歪みと称される。本発明に係るゴルフボール2では、小ディンプル10Sが歪みを抑制する。このゴルフボール2では、小ディンプル10Sが乱流化を促進する。このゴルフボール2の飛距離は、大きい。
小ディンプル10Sが過剰に存在するパターンでは、ディンプル10のサイズのばらつきが大きい。このばらつきが大きなパターンでは、乱流化は不十分である。適切な数の小ディンプル10Sを有するゴルフボール2において、十分な乱流化が得られる。適切な数の小ディンプル10Sを有するゴルフボール2の飛距離は、大きい。
飛距離の観点から、仮想球14の表面積に対する、小ディンプル10Sの面積の合計の比率PSは、0.7%以上が好ましく、0.9%以上がより好ましく、1.0%以上が特に好ましい。飛距離の観点から、この比率PSは2.0%未満が好ましく、1.8%以下がより好ましく、1.7%以下が特に好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、この比率PSは1.5%である。
飛距離の観点から、小ディンプル10Sの数NSは6個以上が好ましく、8個以上がより好ましく、10個以上が特に好ましい。飛距離の観点から、この数NSは20個以下が好ましく、18個以下がより好ましく、16個以下が特に好ましい。
飛距離の観点から、小ディンプル10Sの数NSの、ディンプル10の総数Nに対する比(NS/N)は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上が特に好ましい。飛距離の観点から、この比(NS/N)は0.07以下が好ましく、0.06以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、この比(NS/N)は、0.04である。
前述の通り、ディンプルパターンの歪みの抑制の観点から、小ディンプル10Sの存在は必須である。一方、小ディンプル10Sの乱流化への寄与度は、大ディンプル10Lのそれよりも小さい。適切な数の小ディンプル10Sが存在し、かつ十分な数の大ディンプル10Lが存在するディンプルパターンは、飛行性能に優れる。
飛行性能の観点から、仮想球14の表面積に対する、大ディンプル10Lの面積の合計の比率PLは、79.0%以上が好ましく、79.5%以上がより好ましく、80.0%以上が特に好ましい。比率PLは、90%以下が好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、比率PLは80.8%である。
ディンプル10のサイズのばらつきが大きなパターンでは、乱流化が不十分である。十分な乱流化が得られるとの観点から、大ディンプル10Lの面積の統一度Gは1.15以下が好ましく、1.10以下がより好ましく、1.05以下が特に好ましい。統一度Gは、0.50以上が好ましい。
統一度Gは、大ディンプル10Lの面積(mm2)の標準偏差である。図2−7に示されたゴルフボール2では、大ディンプル10Lの面積の平均は、14.9mm2である。このゴルフボール2の統一度Gは、下記の数式に基づいて算出される。
G = (((15.9 - 14.9)2 * 80 + (15.2 - 14.9)2 * 74 + (14.5 - 14.9)2 * 62
+ (13.9 - 14.9)2 * 96) / 312)1/2
このゴルフボール2の統一度Gは、0.80である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、27質量部のアクリル酸亜鉛、10質量部のステアリン酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.2質量部の2−チオナフトール及び0.75質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃で18分間加熱して、直径が37.5mであるコアを得た。このコアの、初荷重が98Nであり終荷重が1274Nである条件にて測定された圧縮変形量CDは、3.9mmであった。
43質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、40質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、17質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)及び6質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物J3を得た。この樹脂組成物J3を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.6mmであった。
25質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、25質量部のエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ニュクレルN1050H」)、3質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(商品名「チヌビン770」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物J2を得た。コア及び中間層からなる球体を、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入した。この中間層の周りに樹脂組成物J2を射出成形法にて被覆し、カバーを形成した。このカバーの厚みは、1.0mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。
このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールの、ディンプル仕様D1の詳細が、下記の表2及び6に示されている。
[実施例2及び6−8並びに比較例1]
コア、中間層及びカバーの仕様を下記の表7−8に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2及び6−8並びに比較例1のゴルフボールを得た。中間層及びカバーの組成の詳細が、下記の表1に示されている。コアの組成は、実施例1のコアの組成と同一である。
[実施例9−14及び比較例2−9]
ディンプルの仕様を下記の表10−13に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例9−14及び比較例2−9のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表2−8に示されている。比較例2に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の比較例2に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例3に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2006−20820公報の比較例4に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例4に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2013−153966公報の実施例1に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例5に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の実施例4に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例6に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の実施例2に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例7に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の比較例3に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。
[実施例3]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、27質量部のアクリル酸亜鉛、10質量部のステアリン酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.2質量部の2−チオナフトール及び0.75質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃で18分間加熱して、直径が36.7mであるコアを得た。このコアの圧縮変形量CDは、3.9mmであった。
26質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、40質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、34質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)及び6質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物J5を得た。この樹脂組成物J5を射出成形法にてコアの周りに被覆し、第一中間層を形成した。この第一中間層の厚みは、0.8mmであった。
53質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、27質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、20質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)及び6質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物J4を得た。この樹脂組成物J4を射出成形法にて第一中間層の周りに被覆し、第二中間層を形成した。この第二中間層の厚みは、1.0mmであった。
35質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1555」)、63質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、2質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)、3質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(前述の「チヌビン770」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物J1を得た。コア、第一中間層及び第二中間層からなる球体を、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入した。この第二中間層の周りに樹脂組成物J1を射出成形法にて被覆し、カバーを形成した。このカバーの厚みは、1.2mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。
このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例3のゴルフボールを得た。このゴルフボールの、ディンプル仕様D1の詳細が、下記の表2及び6に示されている。
[実施例4及び5]
コア、第一中間層、第二中間層及びカバーの仕様を下記の表9に示される通りとした他は実施例3と同様にして、実施例4及び5のゴルフボールを得た。第一中間層、第二中間層及びカバーの組成の詳細が、下記の表1に示されている。コアの組成は、実施例3のコアの組成と同一である。
[フライトテスト]
ツルテンパー社のスイングマシンに、チタン合金からなるヘッドを備えたドライバー(ダンロップスポーツ社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:R、ロフト角:10.5°)を装着した。ヘッド速度が40m/secである条件でゴルフボールを打撃して、飛距離とスピンレートとを測定した。飛距離は、打撃地点とボールが静止した地点との距離である。10回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表9−13に示されている。
[打球感]
10名のプレーヤーにドライバーにてゴルフボールを打撃させ、フィーリングを聞き取った。「フィーリングが良好」と答えたゴルファーの数に基づき、下記の格付けを行った。
A:8−10人
B:5−7人
C:2−4人
D:0−1人以下
この結果が、下記の表9−13に示されている。
表9−13に示されるように、各実施例のゴルフボールは、飛行性能及び打球感に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。