JP6440154B1 - ロッドパッキン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 周方向断面形状がほぼU字形をした内側環状部材11を、同じく断面U字形をした外側環状部材12に収容させて組み合わせてロッドパッキン10とする。パッキン箱4に収容させてロッドパッキン10を軸3に装着すると、内側環状部材11の内環側フランジ部11aの内周側の一部が軸3と接触してシール状態を形成する。また、内環側フランジ部11aの外周側の一部がパッキン箱4の天井壁の内側面と接触してシール状態を形成する。また、内環側フランジ部11aと外環側フランジ部12aに内環側切込部21kと外環側切込部22kとを形成すると、温度変化による伸縮をこれら切込部21k、22kが吸収するから、ロッドパッキン10自体の拡径や縮径が抑制される。
【選択図】 図1
Description
(1) パッキン本体1aの樹脂材料の弾性により生じる力。
(2) 高圧側Hの圧力を受けて拡開バネ1bがその脚部を拡開してUパッキン1を拡開させることにより生じる力。
(3) 高圧側Hの圧力がUパッキン1の断面U字形の内側に作用することにより、Uパッキン1が押し広げられることにより生じる力。
これらに起因して発生した接触圧力によって、Uパッキン1は外側突起部2aがパッキン箱4に押圧され、内側突起部2bが軸3に押圧される。
そして、軸3がUパッキン1に対して回転運動または往復直線運動を行うと、Uパッキン1の内側突起部2bの点yで接触している部分を軸3が擦過しながら、該軸3の運動が許容される。また、Uパッキン1はこの接触部分yから摩耗することになる。
このため、Uパッキン1の温度が上昇するとUパッキン1は拡径する方向に伸張するから、Uパッキン1の内径が大きくなり、内側突起部2bが軸3から離隔しようとする。このとき、拡開バネ1bの復元力と高圧側Hから作用する圧力、パッキンの弾性力とによって内側突起部2bを軸3に押圧しようとするが、Uパッキン1の熱膨張が許容値を超えると内側突起部2bが軸3から離隔してしまい、Uパッキン1の密封機能が失われて高圧流体をシールできずに漏洩させてしまうことになる。
一方、Uパッキン1の温度が下降するとUパッキン1は縮径する方向に収縮するから、外周側ではUパッキン1の内径が小さくなり、外側突起部2aがパッキン箱4から離隔しようとする。これに対して、内周側では軸3が挿入されているため自由に収縮できずに、円周方向に引っ張り応力が発生する。この引っ張り応力は、Uパッキン1が軸3を締め付ける力として作用することになり、軸3の円滑な運動を阻害したり、大量の摩擦熱を発生させたりするおそれが生じる。
F = A・E・α・ΔT (式1)
ここで、
F:パッキンの締め付け力(円周方向の引っ張り力)
A:パッキンの軸接触部の断面積
E:パッキン材料の引っ張り弾性率
α:熱膨張率
ΔT:パッキンが軸と接触した状態からの温度降下(なお、軸と接触した時の締め付け力は0(ゼロ)と考える)
例えば、フッ素樹脂のパッキンの場合、−70(℃)のときの弾性率が2000(MPa)熱膨張率が0.00015(1/℃)程度である。
パッキンの断面積が10(mm2)であると仮定する。温度が−150(℃)になったときの締め付け力Fは、(式1)より、
F = 10(mm2)×2000(MPa)×0.00015(1/℃)
×(0(℃)−(−150(℃))
= 450(N)
となる。
この締め付け力Fはパッキンの弾性によって発生する力であって、この力は、拡開バネによる復元力や高圧側から受ける圧力によって拡径させようとする力に比較してはるかに大きな力となる。
パッキンによる締め付け力を小さくするには、弾性率Eと熱膨張率αとが小さな値の材料を選定することを要するが、摩耗量の大きさ等との関係で、最適な材料を選定することは簡単ではない。
なお、これらの環状部材には樹脂材料が用いられ、このロッドパッキンの使用状況等を考慮して材料を選択する。
また、ロッドパッキンが拡径しようとする場合には切込部の幅が小さくなって、軸から離隔することが防止される。
図1にはロッドパッキン10を軸3に装着した状態を示してあり、このロッドパッキン10はパッキン箱4に収容されて軸3に装着されている。このロッドパッキン10は周方向断面がほぼU字形をしているUパッキンであり、内側環状部材11と外側環状部材12とが組み合わされて構成されている。
この内側環状部材11の外形寸法を図2(B)に示してある。主たる部分の寸法を、内周面11eの内側環状部材11の内側に位置した部分の内径D1、内側面11fの内径D2、外側面11gの外径D3、外周面11bの外側に位置した部分の外径D4で示し、また、背面11cから断面U字形の中央壁11hの外側面までの距離をL1で示してある。
このため、内環側フランジ部11aの外周面11bの傾斜面の傾斜方向と、外環側フランジ部12aの外周面12bの傾斜面の傾斜方向とは逆になっており、同じく内周面11eの傾斜方向と内周面12eの傾斜方向とは逆になっている。
この外側環状部材12の外形寸法を図3(B)に示してある。主たる部分の寸法を、内周面12eの外側環状部材12の内側に位置した部分の内径D1、断面U字形の内側に位置する外周面の外径D2、断面U字形の内側に位置する内周面の内径D3、外周面12bの外側に位置した部分の外径D4で示し、表面12dから断面U字形の中央壁12hの内側面までの距離をL1で示してある。
なお、図2(B)に示した各部の寸法と図3(B)に示した各部の寸法に関し、同一の符号で示す部分は等しい寸法である。
温度の上昇によって伸張しようとする場合には、ロッドパッキン20が拡径しようとすることになる。このとき、内環側切込部21kと外環側切込部22kとのそれぞれの幅が縮小することで、ロッドパッキン20の頂点T1を結んだ内側接触円が軸3から離隔することが防止されて、シール状態を維持する。
また、温度の下降によって収縮しようとする場合には、ロッドパッキン20が縮径しようとすることになる。このときには、内環側切込部21kと外環側切込部22kとのそれぞれの幅が拡大することで、ロッドパッキン20の周方向に生じる引っ張り応力が抑制される。このため、ロッドパッキン20の縮径が抑制されるから、軸3を締め付ける力の発生が緩和され、軸3とのシール状態を維持して、軸3に円滑な運動を継続させることができる。
拡開バネ33は周方向断面がほぼU字形をした環状をしており、内側環状部材21の内側に、この内側環状部材21の断面U字形と同じ方向に向けて収容させてある。この拡開バネ33の復元力が、断面U字形の開放側の端部を拡開する方向に作用するようにしてある。このため、内側環状部材21の断面U字形の開放側の端部が拡開する方向に付勢されており、頂点T1を結んだ内側接触円が軸3に押圧されて軸3との間で確実なシール状態が確保され、頂点T2を結んだ外側接触円がパッキン箱4の天井壁の内側面に押圧されてパッキン箱4との間で確実なシール状態が確保される。
また、ロッドパッキン30が熱膨張によって変形しようとしても、拡開バネ33の復元力がロッドパッキン30を原形状に維持する方向に作用するので、ロッドパッキン30は変形することが抑制される。
なお、拡開バネ33はこの実施形態では断面U字形に形成した板バネとして説明したが、内側環状部材21の開放側の端部を拡開する方向に復元力が作用するものであれば、圧縮コイルバネや捻りコイルバネその他であって構わない。
4 パッキン箱
10 ロッドパッキン
11 内側環状部材
11a 内環側フランジ部
11b 外周面
11c 背面
11d 表面
11e 内周面
11f 内側面
11g 外側面
11h 中央壁
11i 開放側
12 外側環状部材
12a 外環側フランジ部
12b 外周面
12c 背面
12d 表面
12e 内周面
12f 内側面
12g 外側面
12h 中央壁
12i 開放側
20 ロッドパッキン
21 内側環状部材
21a 内環側フランジ部
21b 外周面
21d 表面
21e 内周面
21h 中央壁
21i 開放側
21k 内環側切込部
22 外側環状部材
22a 外環側フランジ部
22b 外周面
22d 表面
22e 内周面
22h 中央壁
22i 開放側
22k 外環側切込部
30 ロッドパッキン
33 拡開バネ
G 間隙
H 高圧側
L 低圧側
T1 頂点
T2 頂点
Claims (9)
- 周方向断面形状をほぼU字形に形成した環状の内側環状部材と、
周方向断面形状をほぼU字形に形成すると共に、前記内側環状部材を該断面U字形の内側に軸方向に収容可能な環状の外側環状部材と、
を具備し、
前記内側環状部材の断面U字形の開放側の両端部に該断面U字形の外方に突出させた内環側フランジ部を形成し、
前記外側環状部材の断面U字形の開放側の両端部に該断面U字形の外方に突出させた外環側フランジ部を形成し、
内側環状部材を外側環状部材に収容させた状態で、内環側フランジ部の背面に外環側フランジ部の表面が密着すると共に、内環側フランジ部の背面側の内周側先端部と外環側フランジ部の表面側の内周側先端部とで内側接触円を形成し、
前記内側接触円がシールすべき軸の外周面と接触することを特徴とするロッドパッキン。 - 前記内環側フランジ部の背面側の外周側先端部と外環側フランジ部の表面側の外周側先端部とで形成された外側接触円が、前記ロッドパッキンを収容するパッキン箱の内側面であって、この外側接触円が対向した部分に接触することを特徴とする請求項1に記載のロッドパッキン。
- 前記外側環状部材の断面U字形の中央壁の外側面が、前記ロッドパッキンを収容するパッキン箱の内側面であって、この外側面が対向した部分に密着可能としてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロッドパッキン。
- 前記内側環状部材の前記内環側フランジ部の表面から軸方向に沿って適宜な位置まで切り込んだ内環側切込部を、周方向の複数箇所に形成してあることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のロッドパッキン。
- 前記外側環状部材の前記外環側フランジ部の表面から軸方向に沿って適宜な位置まで切り込んだ外環側切込部を、周方向の複数箇所に形成してあることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のロッドパッキン。
- 前記内側環状部材の前記内環側フランジ部の表面から軸方向に沿って適宜な位置まで切り込んで、周方向に等間隔で複数箇所に形成した内環側切込部と、
前記外側環状部材の前記外環側フランジ部の表面から軸方向に沿って適宜な位置まで切り込んで、周方向に前記内環側切込部の間隔と等しい間隔で複数箇所に形成した外環側切込部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のロッドパッキン。 - 前記内側環状部材を前記外側環状部材に収容させた状態で、前記外環側切込部と前記内環側切込部とをずれた位置関係で配することを特徴とする請求項6に記載のロッドパッキン。
- 周方向断面形状をほぼU字形に形成した環状の拡開バネを、前記内側環状部材の内側に収容させることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載のロッドパッキン。
- 前記内側環状部材と前記外側環状部材の材料を異ならせてあることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載のロッドパッキン。
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