JP6439397B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池に関する。
特許文献1(特開2005−228512号公報)には、2次元アスペクト比が1.02以上3以下である活物質を用いれば、活物質を合剤層に高密度に充填できるので、非水電解液二次電池のサイクル特性を高めることができると記載されている。
特開2005−228512号公報(特許第4931331号)
二次電池の充放電によって活物質が膨張又は収縮すると、非水電解液が合剤層から排出され易くなる。合剤層における活物質の密度が高ければ、合剤層における非水電解液の拡散性が低下するので、ハイレート充放電時に合剤層の内部でリチウムイオン(Li+)の枯渇が生じる。その結果、電池抵抗の増加、それに伴う電池容量の低下が生じる。本発明では、ハイレート充放電時における合剤層の内部でのLi+の枯渇を防止可能な二次電池の提供を目的とする。
本発明の二次電池は、正極集電体と、正極集電体に設けられ、正極活物質を含む正極合剤層とを有する正極と、負極集電体と、負極集電体に設けられ、負極活物質を含む負極合剤層とを有する負極とを備る。正極合剤層は、密度が1.5g/cm3以上2.8g/cm3以下である。正極活物質は、中空構造を有し、比表面積が0.8m2/g以上1.4m2/g以下であり、平均粒径が3μm以上であり、球形度が0.8以上1未満である。負極合剤層は、密度が0.8g/cm3以上1.5g/cm3以下である。負極活物質は、球形度が0.8以上1未満である。
本発明の二次電池では、正極合剤層及び負極合剤層の各密度が低く抑えられているので、正極合剤層及び負極合剤層のそれぞれにおいて非水電解液の拡散性を高めることができる。これにより、本発明の二次電池に対してハイレート充放電を行った場合であっても、正極合剤層及び負極合剤層のそれぞれの内部でのLi+の枯渇を防止できる。
本発明の二次電池に対してハイレート充放電を行った場合であっても、正極合剤層及び負極合剤層のそれぞれの内部でのLi+の枯渇を防止できる。よって、本発明では、電池抵抗の増加を防止でき、電池容量の低下を防止できる。
活物質の球形度を説明するための平面図である。 実施例の結果を示すグラフである。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[二次電池の構成]
本実施形態の二次電池では、電極体と非水電解液とが電池ケースに収容されている。電極体は、正極と、負極と、セパレータとを備える。正極は、正極集電体と、正極集電体に設けられた正極合剤層とを有し、正極合剤層は、正極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に設けられた負極合剤層とを有し、負極合剤層は、負極活物質を含む。セパレータは、正極合剤層と負極合剤層との間に設けられている。非水電解液は、正極合剤層、負極合剤層及びセパレータの少なくとも1つに保持されている。
(合剤層の密度、活物質の球形度)
正極では、正極合剤層の密度が1.5g/cm3以上2.8g/cm3以下であり、正極活物質の球形度が0.8以上1未満である。このように、本実施形態では、正極活物質の球形度が高く、且つ、正極合剤層の密度が低い。これにより、非水電解液が正極活物質の表面全体に濡れ易くなる。また、正極合剤層の空孔度を高めることができる。
同様に、負極では、負極合剤層の密度が0.8g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、負極活物質の球形度が0.8以上1未満である。このように、本実施形態では、負極活物質の球形度が高く、且つ、負極合剤層の密度が低い。これにより、非水電解液が負極活物質の表面全体に濡れ易くなる。また、負極合剤層の空孔度を高めることができる。
このように非水電解液が正極活物質の表面全体と負極活物質の表面全体とに濡れ易くなれば、充放電反応がスムーズに進行する。
正極合剤層の空孔度と負極合剤層の空孔度とを高めることができれば、正極合剤層と負極合剤層とにおいて非水電解液の拡散性を高めることができる。これにより、本実施形態の二次電池に対してハイレート充放電を繰り返し行っても、正極合剤層及び負極合剤層のそれぞれの内部でのLi+の枯渇を防止できる。よって、本実施形態では、電池抵抗の増加を防止でき、電池容量の低下を防止できる。好ましくは、正極合剤層の密度は1.8g/cm3以上2.5g/cm3以下であり、正極活物質の球形度は0.8以上0.91以下であり、負極合剤層の密度は1.0g/cm3以上1.4g/cm3以下であり、負極活物質の球形度は0.8以上0.95以下である。
単位面積当たりの正極合剤層の質量を正極合剤層の厚さで割ることにより、「正極合剤層の密度」を算出できる。所定の底面積を有するように正極を切り取り、切り取られた正極の質量から、かかる正極に含まれる正極集電体の質量を差し引く。これにより、「単位面積当たりの正極合剤層の質量」を求めることができる。また、正極のSEM(Scanning Electron Microscope)画像の解析により、「正極合剤層の厚さ」を求めることができる。同様の方法で負極合剤層の密度を算出できる。
「正極活物質の球形度」とは、Lに対するSの割合の平均値を意味する(図1)。「L」とは、正極活物質を構成する材料の二次粒子のSEM画像における最大長を意味する。「S」とは、正極活物質を構成する材料の二次粒子のSEM画像において、最大長に対して垂直な方向における当該二次粒子の大きさを意味する。正極活物質の球形度が1に近いほど、その正極活物質の外形が真球に近いと言える。「正極活物質を構成する材料の二次粒子」とは、正極活物質を構成する材料の一次粒子が複数集合して構成されたものである。「正極活物質を構成する材料の一次粒子」とは、正極活物質を構成する材料(例えばリチウムを含む複合酸化物)の単結晶が複数集合して構成されたもの、又は、単結晶に近い結晶子が複数集合して構成されたものであり、外見上の幾何学的形態から判断して単位粒子(ultimate particle)と考えられるものである。「負極活物質の球形度」についても同様のことが言える。
(正極活物質)
正極活物質では、比表面積が0.8m2/g以上1.4m2/g以下であり、平均粒径が3μm以上である。これにより、正極活物質において非水電解液による濡れ面積を確保できるので、充放電反応がより一層スムーズに進行する。好ましくは、正極活物質では、比表面積が1.0m2/g以上1.3m2/g以下であり、平均粒径が4μm以上8μm以下である。
「正極活物質の比表面積」とは、BET法により測定された二次粒子(正極活物質を構成する材料の二次粒子)の比表面積を意味する。また、正極活物質の平均粒径は、二次粒子(正極活物質を構成する材料の二次粒子)の数平均粒径を意味し、かかる二次粒子のSEM画像を解析することにより求められる。
さらに、正極活物質(具体的には、正極活物質を構成する二次粒子)は、殻部と、殻部の内部に形成された中空部とを有する中空構造を有する。これにより、本実施形態の二次電池は、低SOC(state of charge)で高出力を発揮できるので、低SOCで出力が求められる用途(例えば車両用電源としての用途)に好適である。
好ましくは、正極活物質では、一次粒子のアスペクト比が1.5以上である。これにより、正極活物質が上記中空構造を有する場合と同様の効果が得られる。より好ましくは、一次粒子のアスペクト比が1.6以上3.0以下である。ここで、「正極活物質の球形度」の測定方法と同様の方法で正極活物質を構成する材料の一次粒子のアスペクト比を求めることができる。
(負極活物質)
好ましくは、負極活物質では、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が非晶質炭素で被覆され、平均粒径が8μm以上であり、亜麻仁油の吸油量が35(mL/100g)以上である。これにより、二次電池の抵抗と二次電池の製造コストとを低く抑えることができる。
負極活物質のTEM(transmission electron microscope)画像を解析すれば、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が非晶質炭素で被覆されているか否かを確認できる。「負極活物質の平均粒径」は、負極活物質のSEM画像を解析することにより求められる。JIS K 6217−4:2008(ゴム用カーボンブラック−基本特性−第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む))に準拠して、負極活物質の亜麻仁油の吸油量を求めることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に限定されない。
[実施例1]
<正極活物質の作製>
(核生成)
硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)及び硫酸マンガン(MnSO4)を水に溶解させ、第1水溶液を得た。得られた第1水溶液では、Ni:Co:Mnのモル比が約0.34:0.33:0.33であり、Ni、Co及びMnの合計濃度が1.8mol/Lであった。
攪拌装置及び窒素導入管が取り付けられた反応槽に、その反応槽の容量の半分程度の水を入れ、攪拌しながら40℃に加熱した。窒素気流によって反応槽内の空間を酸素濃度2.0%の非酸化性雰囲気に維持しつつ、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液と25質量%のアンモニア水とをそれぞれ適量、反応槽に加えた。このようにして、アルカリ性水溶液(NH3・NaOH水溶液)を得た。得られたアルカリ性水溶液(NH3・NaOH水溶液)では、液温25℃を基準としたときのpHが12.0であり、液相のアンモニア濃度が20g/Lであった。
上記反応槽中のアルカリ性水溶液に、第1水溶液と、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液と、25質量%のアンモニア水とを一定速度で供給した。このようにして得られた反応液のpHを12.0以上(具体的にはpH12.0〜14.0)に維持し、且つ、その反応液のアンモニア濃度を20g/Lに維持しながら、その反応液から水酸化物を晶析させた。
(粒子成長)
次に、第1水溶液、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液及び25質量%のアンモニア水のそれぞれの上記反応槽への供給速度を調節して反応液のpHを12.0未満(具体的にはpH10.5〜11.9)に調整し、液相のアンモニア濃度を1〜20g/Lの範囲の所定濃度に制御しながら、上記(核生成)で生成された核を粒子成長させた。
(混合)
続いて、得られた生成物を上記反応槽から取り出して、水洗し、乾燥させた。これにより、NiとCoとMnとを含む複合水酸化物(前駆体水酸化物)を得た。この前駆体水酸化物に、大気雰囲気中、150℃で12時間の熱処理を施した。その後、Li:(Ni+Co+Mn)のモル比が1.14:1となるように、Li2CO3(リチウム源)と上記前駆体水酸化物とを混合した。
得られた未焼成混合物を、大気雰囲気中、昇温速度を5℃/分として950℃にまで温度を上げ、950℃で7時間焼成した。その後、焼成物を冷却し、解砕し、篩分けを行った。このようにして、LiNi0.34Co0.33Mn0.332で表される平均組成を有する正極活物質を得た。得られた正極活物質(二次粒子)のSEM画像を観察し、その正極活物質が中空構造を有することを確認した。また、正極活物質の比表面積は0.8m2/g以上1.4m2/g以下に調整されており、正極活物質の平均粒径は4〜8μmであり、正極活物質の球形度は0.8であった。
<正極の作製>
質量比で90:8:2となるように、作製された正極活物質とアセチレンブラック(導電剤)とポリフッ化ビニリデン(結着剤)とを混ぜた。得られた混合物をNMP(N-methylpyrrolidone)で希釈して、正極合剤ペーストを得た。
Al箔(正極集電体)の幅方向一端が露出するように正極合剤ペーストをAl箔の両面に塗布した後、その正極合剤ペーストを乾燥させた。これにより、正極合剤層がAl箔の両面に形成された。その後、ロール圧延機を用いて正極合剤層及びAl箔を圧延した。このようにして正極を得た。
<負極活物質の作製>
カウンター式ジェットミルを用いて、平均粒径が15μmになるまで鱗片状天然黒鉛(粒度:100メッシュ90%以上通過、純度:99%以上)を粉砕した。
次に、筒状の槽の下側に3個の対向ノズルが取り付けられた装置を準備した。粉砕された天然黒鉛をその槽に供給した後、対向ノズルのそれぞれからジェット気流を槽内に吹き込んだ。これにより、平均粒径が15μmであり、且つ、球形度が0.8である負極活物質を得た。
<負極の作製>
質量比で98:1:1となるように、作製された負極活物質とCMC(carboxymethylcellulose)(増粘剤)とSBR(スチレンブタジエンゴム(Styrene-butadiene rubber))(結着剤)とを混ぜた。得られた混合物を水で希釈して、負極合剤ペーストを得た。
Cu箔(負極集電体)の幅方向一端が露出するように負極合剤ペーストをCu箔の両面に塗布した後、その負極合剤ペーストを乾燥させた。これにより、負極合剤層がCu箔の両面に形成された。その後、ロール圧延機を用いて負極合剤層及びCu箔を圧延した。このようにして、負極合剤層の密度が1.2g/cm3である負極を得た。
<電極体の作製、挿入>
まず、Al箔が正極合剤層から露出する部分(正極露出部)とCu箔が負極合剤層から露出する部分(負極露出部)とがAl箔の幅方向においてセパレータから互いに逆向きに突出するように、正極と負極とセパレータとを配置した。その後、Al箔の幅方向に対して平行となるように巻回軸(不図示)を配置し、その巻回軸を用いて正極、セパレータおよび負極を巻回させた。このようにして得られた円筒型電極体に対して互いに逆向きの圧力を与え、電極体を得た。
次に、正極端子と負極端子とが設けられた蓋体を準備した。正極端子を正極露出部に接続し、負極端子を負極露出部に接続した。蓋体が接続された電極体をケース本体に挿入し、その蓋体でケース本体の開口を塞いだ。
<非水電解液の調製、注入>
体積比で1:1:1となるようにEC(ethylene carbonate)とDMC(dimethyl carbonate)とEMC(ethyl methyl carbonate)とを混合し、混合溶媒を得た。この混合溶媒に、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を添加した。このようにして得られた非水電解液を、蓋体に形成された注液口から注入した。その後、ケース本体内を減圧して非水電解液を正極合剤層、負極合剤層及びセパレータに含浸させ、注液口を封じた。このようにして本実施例のリチウムイオン二次電池を得た。
[実施例2〜6及び比較例1〜14]
上記(核生成)における水酸化物の晶析条件を変更したことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって正極活物質を作製し、ジェット気流を槽内に吹き込む条件を変更したことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって負極活物質を作製した。このようにして得られた正極活物質及び負極活物質を用いることを除いては実施例1に記載の方法にしたがってリチウムイオン二次電池を製造した。正極活物質の球形度及び負極活物質の球形度については表1に示すとおりであった。
Figure 0006439397
[ハイレート充放電試験]
まず、リチウムイオン二次電池の電池容量(初期の電池容量)を測定した。次に、25℃で、リチウムイオン二次電池に対してハイレート充放電試験を行った。この試験では、リチウムイオン二次電池のSOC(state of charge)を60%に調整した後、100Aの電流での充電(10秒間)と10秒間の休止と20Aの電流での放電(50秒間)と10秒間の休止とを1サイクルとして10000サイクル行った。ハイレート充放電試験の終了後、リチウムイオン二次電池の電池容量(試験後の電池容量)を測定した。そして、下記式1を用いて容量維持率を求めた。その結果を表1及び図2に示す。容量維持率が高いほど、リチウムイオン二次電池に対してハイレート充放電を繰り返し行った場合であってもその性能が高く維持されている、と言える。
(容量維持率)=(試験後の電池容量)÷(初期の電池容量)×100・・・(式1)。
[考察]
表1及び図2に示すように、正極活物質の球形度が0.8以上1未満であり、且つ、負極活物質の球形度が0.8以上1未満であれば、容量維持率が95%を超えた。よって、正極活物質の球形度が0.8以上1未満であり、且つ、負極活物質の球形度が0.8以上1未満であることが好ましいということが分かった。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、正極活物質及び負極活物質は上記実施例の記載に限定されない。

Claims (4)

  1. 正極集電体と、前記正極集電体に設けられ、正極活物質を含む正極合剤層とを有する正極と、
    負極集電体と、前記負極集電体に設けられ、負極活物質を含む負極合剤層とを有する負極と
    非水電解液と、
    を備え、
    前記正極合剤層は、密度が1.5g/cm3以上2.8g/cm3以下であり、
    前記正極活物質は、中空構造を有し、比表面積が0.8m2/g以上1.4m2/g以下であり、平均粒径が3μm以上であり、球形度が0.8以上0.91以下であり、
    前記負極合剤層は、密度が0.8g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、
    前記負極活物質は、球形度が0.8以上0.95以下であり、
    前記正極活物質および前記負極活物質の球形度は、Lに対するSの割合の平均値を示す(ただしLは二次粒子のSEM画像における最大長を示し、Sは前記SEM画像において、前記最大長に対して垂直な方向における前記二次粒子の大きさを示す)、
    二次電池。
  2. 前記負極活物質は、球形度が0.89以上である、
    請求項1に記載の二次電池
  3. 前記負極活物質は、球形度が0.89以下である、
    請求項1に記載の二次電池
  4. 前記負極活物質は、黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が非晶質炭素で被覆されてなり、平均粒径が8μm以上であり、亜麻仁油の吸油量が35mL/100g以上である、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
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