以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
[実施形態1]実施形態1を説明する。本実施形態では、例えば、二輪車自動車の燃料タンク内の燃料を内燃機関いわゆるエンジンに供給する燃料ポンプモジュールに用いられる燃料フィルタを例示する。図1は燃料ポンプモジュールを示す斜視図、図2は同じく一部破断して示す側面図である。なお、燃料ポンプモジュールに係る方位を各図に矢印で示すとおりに定める。この場合、上下方向は、車両の燃料タンクの重力方向いわゆる天地方向に対応する。
燃料ポンプモジュールの概要から説明する。図2に示すように、燃料ポンプモジュール10は、燃料タンク12の上部に装着されるいわゆる上付けタイプの燃料ポンプモジューである。燃料タンク12は、例えば金属製の中空状の容器で、上面部12a及び底壁部12bを有している。上面部12aには、円形状の開口部13が形成されている。燃料タンク12には、エンジン用の燃料、例えばガソリン等の液体燃料が貯留される。
燃料ポンプモジュール10には、セットプレート14、ポンプ保持部材16、燃料ポンプ18、燃料フィルタ20、プレッシャーレギュレータ22、及び、センダゲージ24等がモジュール化されている。セットプレート14は、樹脂製で、円板状に形成されたプレート本体部26を主体として形成されている。プレート本体部26には、燃料吐出ポート27、電源用コネクタ28及び信号用コネクタ29が設けられている(図1参照)。プレート本体部26の下面には、ポンプ保持部材16を連結するための円筒状の連結部30が設けられている。ポンプ保持部材16は、樹脂製で、有底円筒状に形成されている。ポンプ保持部材16は、セットプレート14の連結部30に対してスナップフィット等によって連結されている。ポンプ保持部材16の底部には、吸入ポート32(図1参照)が設けられている。
図2に示すように、燃料ポンプ18は、ポンプ保持部材16内に縦置き状に配置すなわち収容されている。燃料ポンプ18は、燃料タンク12内の燃料を吸入しかつ加圧して吐出するウエスコ型の電動式燃料ポンプである。燃料ポンプ18の下端部に配置された燃料吸入口は、ポンプ保持部材16の吸入ポート32(図1参照)内に接続されている。燃料ポンプ18の上端部に配置された燃料吐出口は、ポンプ保持部材16に設けられた流通路(不図示)を介して、セットプレート14の燃料吐出ポート27に接続されている。燃料ポンプ18のモータ用配線34は、セットプレート14の電源用コネクタ28に電気的に接続されている。
燃料フィルタ20は、燃料を濾過する袋形状のフィルタ部材36と、フィルタ部材36内に配置されたボーン部材38と、ボーン部材38に接続されたボデー部材40とを備えている。ボデー部材40は、ポンプ保持部材16に対してスナップフィット等によって連結すなわち装着されている。ボデー部材40は、ポンプ保持部材16の吸入ポート32(図1参照)に連通接続されることによって、フィルタ部材36内の燃料を燃料ポンプ18の燃料吸入口側(燃料吸入側)に導入させるための部材である。なお、燃料フィルタ20については後で説明する。
プレッシャーレギュレータ22は、セットプレート14の連結部30に組み込まれている。連結部30には、プレッシャーレギュレータ22を抜け止めするための抜け止め部材42がスナップフィットによって取付けられている。プレッシャーレギュレータ22は、燃料吐出ポート27内の燃料の圧力を調整しかつ余剰燃料を余剰燃料吐出口(不図示)から燃料タンク12内に排出する。
センダゲージ24は、燃料計センサで、ポンプ保持部材16に装着されたゲージ本体44と、ゲージ本体44の回動部材に片持ち状に支持されたアーム45と、アーム45の自由端に取付けられたフロート46とにより構成されている。ゲージ本体44は、燃料タンク12内の燃料残量に応じて上下するフロート46の位置を燃料残量信号として出力する。センダゲージ24の信号用配線47は、セットプレート14の信号用コネクタ29に電気的に接続されている。
図2に示すように、燃料ポンプモジュール10は、燃料タンク12の上面部12aの開口部13から挿入され、その上面部12aに対してセットプレート14が開口部13を閉鎖するように装着されることによって、燃料タンク12に設置される。また、燃料フィルタ20のフィルタ部材36の下面部は、燃料タンク12の底壁部12bに対して当接又は近接される。なお、図示しないが、セットプレート14の燃料吐出ポート27には、エンジンにつながる燃料供給配管が接続される。また、電源用コネクタ28には、外部電源につながる外部コネクタが接続される。また、信号用コネクタ29には、制御装置につながる外部コネクタが接続される。
燃料ポンプモジュール10の作動について説明する。外部電源により燃料ポンプ18が駆動されると、燃料タンク12内の燃料が燃料フィルタ20により濾過されてクリーンな燃料とされた後、燃料ポンプ18に吸入される。そして、燃料ポンプ18によって加圧された燃料は、ポンプ保持部材16を介してセットプレート14の燃料吐出ポート27から吐出される。その燃料は、燃料供給配管を介してエンジンに供給される。エンジンに供給される燃料の圧力は、プレッシャーレギュレータ22により所定の圧力に調整され、余剰燃料は燃料タンク12内に戻される。また、燃料タンク12内の燃料残量は、センダゲージ24によって検出される。
次に、燃料フィルタ20について説明する。図3は燃料フィルタを示す斜視図、図4は同じく断面図である。図4に示すように、燃料フィルタ20は、フィルタ部材36とボーン部材38とボデー部材40とを備えている。フィルタ部材36は、燃料を濾過する濾材シート50からなる。濾材シート50は、例えば、樹脂製の不織布を複数枚積層することによって構成されている。1枚の濾材シート50を二つ折りすることによって、上面側シート部50aと下面側シート部50bとが形成されている。上面側シート部50aと下面側シート部50bとは、後端縁となる部位で折り返されており、周縁部同士が溶着部51にて溶着されている(図3参照)。これによって、フィルタ部材36が、上下方向に扁平な袋形状、すなわち一つの面すなわち水平面に沿って扁平な袋形状に形成されている。フィルタ部材36は、平面視において前後方向を長くする長四角形状に形成されている。また、上面側シート部50aの後端部には、円形状の開口孔52が形成されている。開口孔52の周辺部を開口縁部53といい、その開口縁部53の内周端を内周端部54という。
図5はボーン部材の上面側を示す斜視図、図6は同じく下面側を示す斜視図、図7は同じく要部を示す平面図、図8は図7のVIII−VIII線矢視断面図、図9は図7のIX−IX線矢視断面図である。図5に示すように、ボーン部材38は、樹脂製で骨格構造を有している。ボーン部材38は、一つの面すなわち水平面に沿って扁平に形成されたベースフレーム56と、ベースフレーム56の下面に脚状に突出された複数のフレームリブ57とを有している。ベースフレーム56は、平面視で前後方向を長くする長四角形状に形成されている。ベースフレーム56は、長手方向に延びる複数(例えば3本)の縦フレーム部56aと、短手方向に延びる複数(例えば5本)の横フレーム部56bとによって格子板状に形成されている。フレームリブ57は、縦フレーム部56aと横フレーム部56bとが交差する箇所に配置されている(図6参照)。ベースフレーム56のフレームリブ57を含む厚さ方向(上下方向)の寸法すなわち上下方向の高さ寸法H(図4参照)は、全フレームリブ57について同一又は略同一寸法に設定されている。
図4に示すように、ボーン部材38は、フィルタ部材36内に配置されている。ベースフレーム56は、濾材シート50の上面側シート部50aの下面側を支持する。各フレームリブ57は、濾材シート50の下面側シート部50bの上面側を支持する。ベースフレーム56及び各フレームリブ57の協働によって、フィルタ部材36の両シート部50a,50bが膨大状態すなわち上下に所定の間隔を隔てた状態に支持される。ベースフレーム56の後端部には、ボデー部材40を連通接続するための接続部58が形成されている。なお、ボーン部材38は本明細書でいう「フィルタ骨格部材」に相当する。また、ボーン部材38の接続部58については後で説明する。
図10はボデー部材の下面側を示す斜視図、図11は同じく下面図、図12は図11のXII−XII線矢視断面図、図13は図11のXIII−XIII線矢視断面図である。図12に示すように、ボデー部材40は、樹脂製で、ボーン部材38の接続部58を連通接続するための接続部60と、燃料ポンプ18(図2参照)の燃料吸入側に装着可能な装着部61とを有している。接続部60は円筒状の筒状部62の一端部(下端部)に設けられ、装着部61は筒状部62の他端部(上端部)に設けられている。
図4に示すように、接続部60は、フィルタ部材36の上面側において、ボーン部材38の接続部58に接続される。これによって、筒状部62がフィルタ部材36の内部空間に連通される。また、装着部61は、ポンプ保持部材16(図1参照)の下端部に対してスナップフィット等によって連結可能に形成されている。また、筒状部62の上端部には、ポンプ保持部材16の吸入ポート32を嵌合可能な装着口63が形成されている。なお、ボデー部材40は本明細書でいう「ポンプ装着部材」に相当する。また、ボデー部材40の接続部60については後で説明する。
次に、ボーン部材38の接続部58とボデー部材40の接続部60との接続構造について説明する。以下、ボーン部材38の接続部58を「第1接続部58」といい、ボデー部材40の接続部60を「第2接続部60」という。また、両接続部58,60において重複する部材名については「第1」、「第2」の名称を付す。
図5に示すように、第1接続部58は、ボーン部材38のベースフレーム56の左側後端部に一体で形成されている。第1接続部58は、ベース部64と第1内輪部66と第1外輪部68と支持突起70とを有している。ベース部64は、円環板状に形成されている。第1内輪部66は、ベース部64の内周縁部から上方へ立ち上がる円筒状に形成されている。第1外輪部68は、ベース部64の外周縁部から立ち上がる円筒状に形成されている。ベース部64と第1内輪部66と第1外輪部68とは、同心状に形成されている。第1内輪部66と第1外輪部68とは、内外二重筒状をなしている。第1内輪部66と第1外輪部68との間には、円環状の第1環状凹部72が形成されている。第1内輪部66及び第1外輪部68の上端面は、同一平面をなしている。第1外輪部68は、ベースフレーム56(詳しくは、縦フレーム部56a及び横フレーム部56b)に接続されている。
図8及び図9に示すように、第1内輪部66の内周面の軸方向(上下方向)の中間部には、円環状の第1係合凹部74が形成されている。第1係合凹部74の上側及び下側には、第1係合凹部74に対して相対的に径方向内方へ突出する上下の第1係合凸部75が形成されている。第1外輪部68の上端面は、円環状の第1シール端面77となっている。第1外輪部68の内周面は、円筒状の第1シール周面78となっている。なお、第1シール端面77は本明細書でいう「挟持端面」に相当する。また、第1シール周面78は本明細書でいう「挟持周面」に相当する。
図7に示すように、第1内輪部66の外周面には、軸方向に延在する複数(図7では4個を示す)の第1回り止めリブ80が突出されている(図5参照)。複数の第1回り止めリブ80は、周方向に等間隔で配置されている。第1回り止めリブ80は、第1内輪部66の上端面に回り込む逆L字状に形成されている(図8参照)。
図6に示すように、支持突起70は、ベース部64の下面に突出されている。支持突起70は、ベース部64の径方向に延在するリブ状に形成され、かつ、放射状に複数本(図6では8本を示す)配置されている。支持突起70は、各フレームリブ57と協働してフィルタ部材36の下面側シート部50bを支持する(図4参照)。なお、支持突起70の形状、個数、配置等は適宜変更してもよい。
図10に示すように、第2接続部60は、ボデー部材40に一体で形成されている。第2接続部60は、第2内輪部82とフランジ部84と第2外輪部86と有している。第2内輪部82は、筒状部62の下端部で円筒状に形成されている。フランジ部84は、第2内輪部82の基端部(上端部)から径方向外方へ張り出す円環板状に形成されている。第2外輪部86は、フランジ部84の径方向の中央部から下方へ突出する円筒状に形成されている。第2内輪部82とフランジ部84と第2外輪部86とは、同心状に形成されている。第2内輪部82と第2外輪部86とは、内外二重筒状をなしている。第2内輪部82と第2外輪部86との間には、円環状の第2環状凹部88が形成されている。
図12及び図13に示すように、第2内輪部82の外周面の軸方向(上下方向)の中間部には、円環状の第2係合凹部90が形成されている。第2係合凹部90の上側及び下側には、第2係合凹部90に対して相対的に径方向外方へ突出する上下の第2係合凸部91が形成されている。フランジ部84の外周部(第2外輪部86より径方向外方の部分)の下面は、円環状の第2シール端面93となっている。第2外輪部86の外周面は、円筒状の第2シール周面94となっている。なお、第2シール端面93は本明細書でいう「挟持端面」に相当する。また、第2シール周面94は本明細書でいう「挟持周面」に相当する。
図11に示すように、第2外輪部86の内周面には、軸方向に延在する複数(図11では4個を示す)の第2回り止めリブ96が突出されている(図10参照)。周方向に隣り合う2個2組の第2回り止めリブ96は、第2外輪部86の軸線を中心として点対称状に配置されている。各組の2個の第2回り止めリブ96は、第1接続部58の周方向に隣り合う2個の第1回り止めリブ80の相互間において両第1回り止めリブ80に対して周方向の相反する方向に当接又は近接するように係合可能に配置されている(図7参照)。また、フランジ部84の下面における第2環状凹部88の天井面には、各第1回り止めリブ80の上端部に対応する凹所98が形成されている(図12参照)。なお、第1内輪部66と第2内輪部82とは相互に接続される「接続口」に相当する。
次に、燃料フィルタ20の組立手順とともに第1接続部58と第2接続部60との接続方法について説明する。図5に示すように、ボーン部材38の第1接続部58上に、溶着前の濾材シート50の開口縁部53が同軸状に配置される。このとき、濾材シート50の開口縁部53は、未圧縮状態である。そして、濾材シート50の開口縁部53の上方からボデー部材40が第1接続部58に向けて押し付けられる。
すると、図4に示すように、第2内輪部82が第1内輪部66内に圧入される。すなわち、第2内輪部82の下側の第2係合凸部91が、第1内輪部66の上側の第1係合凸部75を樹脂の弾性を利用して乗り越え、第1環状凹部72に係合する。これにともない、第1内輪部66の上側の第1係合凸部75が第2係合凹部90に係合する。また、第1内輪部66は、第2外輪部86内にほとんど隙間なく嵌合する。これによって、両接続部58,60が軸方向(図4において上下方向)に位置決めされる。なお、上下の第1係合凸部75を含む第1環状凹部72と上下の第2係合凸部91を含む第2係合凹部90とによって、位置決め手段100が構成されている。
また、第1接続部58の各第1回り止めリブ80に対して、第2接続部60の各第2回り止めリブ96が係合する。すなわち、図7に示すように、各組の2個の第2回り止めリブ96が、第1接続部58の周方向に隣り合う2個の第1回り止めリブ80の相互間においてその両第1回り止めリブ80に対して周方向の相反する方向に当接又は近接するように係合する。これにともない、各第1回り止めリブ80の上端部が各凹所98に係合する(図9及び図12参照)。これによって、両接続部58,60が軸回り方向に回り止めされる。なお、複数の第1回り止めリブ80を含む第1内輪部66と、複数の第2回り止めリブ96を含む第2外輪部86とによって、回り止め手段102が構成されている(図4参照)。また、本実施形態では、第1内輪部66と第2外輪部86とは本明細書でいう「一対の嵌合壁部」に相当する。
また、図4に示すように、フィルタ部材36の濾材シート50の開口縁部53は、第1接続部58の第1外輪部68の第1シール端面77と第2接続部60のフランジ部84の第2シール端面93との間においてスラスト方向圧縮部(開口縁部53と同一符号を付す)53としてスラスト方向(図4において上下方向)に圧縮状態で挟持される。また、フィルタ部材36の濾材シート50の開口縁部53の内周端部54は、第1接続部58の第1外輪部68の第1シール周面78と第2接続部60の第2外輪部86の第2シール周面94との間においてラジアル方向圧縮部(内周端部54と同一符号を付す)54としてラジアル方向(径方向)に圧縮状態で挟持される。これによって、両接続部58,60の相互間にフィルタ部材36の内周端部54を含む開口縁部53がシール状態に挟持される。なお、第1シール端面77及び第1シール周面78と、第2シール端面93及び第2シール周面94とによって、フィルタシール手段104が構成されている。
また、位置決め手段100、回り止め手段102及びフィルタシール手段104は、両接続部58,60の相互に嵌合関係をなす第1内輪部66及び第1外輪部68と、第2内輪部82と第2外輪部86との間に設けられており、両接続部58,60の径方向に並ぶように配置されている。すなわち、位置決め手段100、回り止め手段102及びフィルタシール手段104は、それぞれ円環状に構成されて三重環状に配置されている。
また、ボーン部材38の第1接続部58とボデー部材40の第2接続部60との接続によって、第1回り止めリブ80と第2外輪部86とが径方向に当接するように構成されている。すなわち、両接続部58,60の接続によって、回り止め手段102の第1内輪部66の径方向外方への撓み、及び、フィルタ部材36の内周端部54による第2外輪部86の径方向内方への撓みのうち、少なくとも一方の撓みを利用して、第1回り止めリブ80と第2外輪部86とが径方向に当接されるように構成されている。
次に、フィルタ部材36の濾材シート50がボーン部材38の後方近くで二つ折りされる。その二つ折りによって形成された上面側シート部50aと下面側シート部50bがボーン部材38の上下にそれぞれ重ねられる。そして、上面側シート部50aと下面側シート部50bとの周縁部同士が溶着部51にて溶着されることによって、フィルタ部材36が袋形状に形成される(図3参照)。溶着部51は、フィルタ部材36の上下方向(高さ方向)の中間位置において水平状に形成されている。
燃料フィルタ20の前端部の左右の両角部における溶着部51は、角部を丸めるように円弧状に形成されている。その円弧状部分をR状部51aという(図3参照)。また、フィルタ部材36によって燃料フィルタ20の内部空間が外部と区画される(図4参照)。このようにして、燃料フィルタ20の組み立てが終了する。また、フィルタ部材36の内部空間は、ボーン部材38の第1接続部58における隣接する支持突起70の相互間の空間部、及び、第1内輪部66の中空部、並びに、ボデー部材40における装着口63及び第2内輪部82を含む筒状部62の中空部と連通される。
燃料フィルタ20は、燃料ポンプモジュール10のポンプ保持部材16に対して、ボデー部材40の装着部61がスナップフィット等によって装着される(図1及び図2参照)。これにともない、ポンプ保持部材16の吸入ポート32がボデー部材40の装着口63に挿入接続される(図4参照)。これによって、燃料ポンプ18(図2参照)の燃料吸入側がフィルタ部材36の内部空間と連通される。
燃料ポンプモジュール10(図2参照)において、燃料ポンプ18が作動すると、燃料タンク12内の燃料がフィルタ部材36の外部から内部空間に向かって流入することによって濾過される。その際、フィルタ部材36の圧力損失によって、フィルタ部材36の内部空間は負圧となる。しかし、フィルタ部材36(図4参照)のスラスト方向圧縮部53及びラジアル方向圧縮部54において、ボデー部材40とボーン部材38との間がシールされているので、濾過されない燃料がフィルタ部材36の内部空間に流入することがない。よって、フィルタ部材36により濾過されたクリーン燃料を燃料ポンプ18に供給することができる。
前記した燃料フィルタ20によると、位置決め手段100によって、ボーン部材38の第1接続部58とボデー部材40の第2接続部60とが軸方向に位置決めされる。また、回り止め手段102によって、両接続部58,60が軸回り方向に回り止めされる。また、フィルタシール手段104によって、フィルタ部材36の開口縁部53がシール状態に挟持される。また、位置決め手段100、回り止め手段102及びフィルタシール手段104が両接続部58,60の径方向に並ぶように配置されるため、両接続部58,60の軸方向(上下方向)の寸法の増大を抑制することができる。よって、両接続部58,60の相互間に位置決め手段100、回り止め手段102及びフィルタシール手段104を設けつつ両接続部58,60の軸方向の寸法の増大を抑制することができる。ひいては、燃料フィルタ20を両接続部58,60の軸方向(上下方向)に小型化することができる。
また、両接続部58,60の接続により回り止め手段102の第1回り止めリブ80と第2外輪部86とが、径方向に当接することによって、両接続部58,60の相互間のがたつきを抑制することができる。
また、第1接続部58の各第1回り止めリブ80が周方向に等間隔(90°間隔)で配置されているため、第1回り止めリブ80を形成しつつ、第1内輪部66の径方向の肉厚を均一化することができる。一方、第2接続部60の各第2回り止めリブ96が周方向に略等間隔(略90°間隔)で配置されているため、第2回り止めリブ96を形成しつつ、第2外輪部86の径方向の肉厚を均一化することができる。このため、両接続部58,60を接続する際において、第1内輪部66と第2外輪部86との間に発生する応力の増大を抑制することができる。よって、ボーン部材38とボデー部材40との組付け性を向上することができる。
[実施形態2]実施形態2は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図14は燃料フィルタを示す斜視図、図15は同じく断面図、図16はボーン部材の上面側を示す斜視図である。図16に示すように、本実施形態では、ボーン部材38の前端部の3個のフレームリブ57の突出高さが低くされているとともに、ベースフレーム56の前端から2つ目の横フレーム部56bの手前までの前端部分が下方へ向けて斜めに傾斜させられている。これにより、図15に示すように、ボーン部材38の外周部の一部すなわち前端部におけるベースフレーム56の3個のフレームリブ57を含む厚さ方向の寸法すなわち上下方向の高さ寸法Hbが、残りのベースフレーム56のフレームリブ57を含む上下方向の高さ寸法Haよりも小さく形成されている。また、ボーン部材38の前端部の横フレーム部56b及び3個のフレームリブ57を含む高さ方向の中央部が略同一平面に配置されている。
本実施形態によると、ボーン部材38の前端部において、ボーン部材38の厚さ方向の両面(上下面)に配置される濾材シート50の両シート部50a,50bの外周部における間隔の変化を緩和することができる。このため、濾材シート50の両シート部50a,50bの周縁部を溶着する際のしわの発生を抑制することができる。
例えば、実施形態1のフィルタ部材36(図3参照)によると、濾材シート50の両シート部50a,50bの溶着によって、溶着部51のR状部51aにしわが発生する可能性がある。その理由は、溶着前の両シート部50a,50bのフラット状態に比べて、溶着時にはR状部51aの周辺部の角度が急激に変化することにより、R状部51aにしわが発生しやすくなる。これに対し、本実施形態によると、ボーン部材38の前端部において、ボーン部材38の厚さ方向の両面(上下面)に配置される濾材シート50の両シート部50a,50bの外周部における間隔の変化を緩和することができる(図14参照)。このため、濾材シート50の両シート部50a,50bの角部において円弧状に溶着する際のR状部51aの周辺部の角度の変化が緩和されることで、R状部51aにおけるしわの発生を効果的に抑制することができる(図14参照)。また、溶着による濾材シート50の両シート部50a,50bの穴あき等の破損を抑制することができる。
本実施形態では、ベースフレーム56の前端部分を斜めに傾斜させたが、その前端部分は傾斜させなくてもよい。また、ボーン部材38の前端部において、3個のフレームリブ57のうち中央のフレームリブ57の高さは、両端のフレームリブ57の高さよりも高くてもよい。また、ボーン部材38の外周部に配置されるフレームリブ57の高さを低くしてもよい。
[実施形態3]実施形態3は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図17は燃料フィルタの要部を示す断面図、図18はボーン部材の要部を示す平面図である。図18に示すように、本実施形態では、第1接続部58の各第1回り止めリブ80の径方向の幅80Wが径方向外方に増大されている。これにより、ボーン部材38の第1接続部58とボデー部材40の第2接続部60との接続によって、各第1回り止めリブ80が第2接続部60の第2外輪部86に圧入される(図17参照)。これによって、ボーン部材38の第1接続部58とボデー部材40の第2接続部60との相互間のがたつきを抑制することができる。この場合、実施形態1と異なり、回り止め手段102の第1内輪部66及び/又は第2外輪部86の撓みを利用することなく、第1回り止めリブ80と第2外輪部86とが径方向に当接する。
本実施形態では、第1接続部58の各第1回り止めリブ80の径方向の幅80Wを径方向外方に増大させたが、第2接続部60の第2外輪部86の内径を小径化することによっても、各第1回り止めリブ80を第2接続部60の第2外輪部86に圧入する構成とすることができる。また、第2接続部60の各第2回り止めリブ96の径方向の幅を径方向外方に増大させるか、もしくは、第1接続部58の第1内輪部66の外径を大径化することによっても、各第2回り止めリブ96に第1接続部58の第1外輪部68を圧入する構成とすることができる。
[実施形態4]実施形態4は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図19は燃料フィルタの要部を示す断面図、図20はボーン部材の要部を示す平面図、図21はボデー部材を示す下面図である。図20に示すように、第1接続部58の第1外輪部68の第1シール端面77の径方向の中央部には、断面半円形状の第1ビード部106が円環状に突出されている。また、図21に示すように、第2接続部60のフランジ部84の第2シール端面93の径方向の中央部には、断面半円形状の第2ビード部108が円環状に突出されている。両ビード部106,108は、同軸でかつ同一半径で形成されている。なお、第1ビード部106及び第2ビード部108は本明細書でいう「端面側突起部」に相当する。
本実施形態によると、フィルタシール手段104の第1シール端面77には第1ビード部106が突出されているとともに、第2シール端面93には第2ビード部108が突出されている。したがって、図19に示すように、両ビード部106,108によって、フィルタ部材36の開口縁部53が局所的に押圧される。このため、フィルタ部材36の開口縁部(スラスト方向圧縮部)53の径方向外方への位置ずれを抑制し、その位置ずれによるフィルタ部材36のしわの発生を抑制することができる。
また、両ビード部106,108は、異なる半径で形成してもよい。また、両ビード部106,108の数は、異なっていてもよい。また、各ビード部106,108は、周方向に断続的に形成してもよい。また、第1ビード部106及び/又は第2ビード部108の断面形状、配置形態等は、適宜変更してもよい。また、第1ビード部106及び第2ビード部108のうち、一方のビード部は省略してもよい。また、両ビード部106,108は、ビード以外の形状の端面側突起部に変更してもよい。
[実施形態5]実施形態5は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図22は燃料フィルタの要部を示す断面図、図23はボーン部材の要部を示す平面図、図24は図23のXXIV−XXIV断面図、図25はボデー部材を示す側面図、図26は同じく下面図である。図23及び図24に示すように、第1接続部58の第1外輪部68の第1シール周面78には、断面半円形状で、軸方向(上下方向)に延在するリブ状の第1リブ部110が形成されている。第1リブ部110は、周方向に等間隔で複数(図23では4本を示す)配置されている。また、図25及び図26に示すように、第2接続部60の第2外輪部86の第2シール周面94には、断面半円形状で、上下方向に延在するリブ状の第2リブ部112が形成されている。第2リブ部112は、周方向に等間隔で複数(図26では4本を示す)配置されている。第1リブ部110と第2リブ部112とは、周方向の位相を1/2ずらして配置されている(図23及び図26参照)。なお、第1リブ部110及び第2リブ部112は本明細書でいう「周面側突起部」に相当する。
本実施形態によると、図22に示すように、第1シール周面78に突出された第1リブ部110によって、フィルタ部材36の内周端部(ラジアル方向圧縮部)54の外周部が局所的に押圧される。また、第2シール周面94に突出された第2リブ部112によって、フィルタ部材36の内周端部(ラジアル方向圧縮部)54の内周部が局所的に押圧される。これによって、フィルタ部材36のラジアル方向圧縮部54の周方向の位置ずれを抑制し、その位置ずれによるフィルタ部材36のしわの発生を抑制することができる。
両リブ部110,112は、両シール周面78,94に軸方向に延在するリブ状に形成されかつ周方向に位相をずらして配置されている。したがって、両リブ部110,112によって、フィルタ部材36のラジアル方向圧縮部54の外周部と内周部とが周方向に交互に局所的に押圧される。このため、フィルタ部材36のラジアル方向圧縮部の外周部及び内周部の周方向の位置ずれを抑制することができる。
また、両リブ部110,112の周方向の位相は、一致させてもよい。また、両リブ部110,112は、異なる断面形状で形成してもよい。また、両リブ部110,112の数は異なっていてもよい。また、各リブ部は、上下方向(軸方向)に断続的に形成してもよい。また、第1リブ部110及び/又は第2リブ部112の断面形状、配置形態等は、適宜変更してもよい。また、両リブ部110,112のうち、一方のリブ部は省略してもよい。また、両リブ部110,112は、リブ以外の形状の周面側突起部に変更してもよい。
[実施形態6]実施形態6は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図27は燃料フィルタの要部を示す断面図、図28はボーン部材の要部を示す平面図、図29はボデー部材を示す斜視図、図30は同じく下面図である。図27に示すように、本実施形態は、実施形態1における回り止め手段102に代えて、回り止め手段(符号、114を付す)を設けたものである。
図28に示すように、第1接続部58の第1内輪部66の内周面には、上下方向(図27において紙面表裏方向)に延在する回り止め溝部116が形成されている。回り止め溝部116は、第1内輪部66の内周面に対して周方向に等間隔で複数(図27では4本を示す)配置されている。回り止め溝部116は、断面四角形状に形成されている。
また、図29及び図30に示すように、第2接続部60の内輪部82の外周面には、上下方向(図30において紙面表裏方向)に延在する回り止め凸部118が形成されている。回り止め凸部118は、第2内輪部82の外周面に対して周方向に等間隔で複数(図30では4本を示す)配置されている。回り止め凸部118は、断面四角形状に形成されている。各回り止め凸部118は、第1接続部58の各回り止め溝部116に挿入係合可能に形成されている(図27参照)。また、各回り止め溝部116の底端部(外径側端部)と各回り止め凸部118の先端部(外径側端部)とは、圧入の関係となるように設定されている。回り止め溝部116を含む第1内輪部66と、回り止め凸部118を含む第2内輪部82とによって、回り止め手段114(図27参照)が構成されている。なお、本実施形態では、第1内輪部66と第2内輪部82とは本明細書でいう「一対の嵌合壁部」に相当する。
本実施形態によると、図27に示すように、第1接続部58と第2接続部60との接続によって、第1内輪部66の各回り止め溝部116に対して第2内輪部82の各回り止め凸部118が係合することによって、両接続部58,60が軸回り方向に回り止めされる。
また、位置決め手段100及び回り止め手段114は、ボーン部材38の第1接続部58とボデー部材40の第2接続部60との相互に嵌合する第1内輪部66と第2内輪部82との相互間に配置されている。したがって、第1内輪部66と第2内輪部82との相互間に位置決め手段100及び回り止め手段114を集約して配置することができる。
また、第1接続部58と第2接続部60との接続によって、各回り止め溝部116に各回り止め凸部118が圧入される。これによって、ボーン部材38の第1接続部58とボデー部材40の第2接続部60との相互間のがたつきを抑制することができる。
なお、各回り止め溝部116及び各回り止め凸部118の数は増減してもよい。また、各回り止め凸部118を第1内輪部66に配置し、各回り止め溝部116を第2内輪部82に配置してもよい。また、各回り止め溝部116と各回り止め凸部118とは、圧入しなくてもよい。また、各回り止め溝部116及び各回り止め凸部118の断面形状、配置形態等は、適宜変更してもよい。
[他の実施形態]本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明の燃料フィルタ20は、車両に限らず、船舶、産業機械等、種々の燃料ポンプモジュールの燃料フィルタに適用してもよい。また、燃料フィルタ20は、燃料タンク12の底面部に装着される底付けタイプの燃料ポンプモジュールに適用してもよい。また、燃料フィルタ20は、燃料タンク12内の燃料吸入側が連通されるものであればよい。このため、例えば、ボデー部材40の装着口63に燃料ポンプ18の燃料吸入口が直接的に接続されてもよい。
また、フィルタ部材36は、袋形状であればよく、その外形形状は限定されない。また、フィルタ部材36に対してボーン部材38とボデー部材40との接続部58,60の軸方向を変更してもよい。このため、例えば、水平面に沿う扁平なフィルタ部材36に対して、ボーン部材38とボデー部材40との接続部58,60の軸方向を水平方向としてもよい。また、ボーン部材38のフレームリブ57は、ベースフレーム56の両面に突出してもよい。また、実施形態では、1枚の濾材シート50を二つ折りして周縁部同士を溶着したが、2枚の濾材シート50の周縁部同士を全周に亘って溶着してもよい。また、フィルタシール手段104の一対の挟持周面(シール周面78,94)は省略してもよい。