以下、添付図面を参照しながら本発明に係る光モジュールの実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る光モジュール1の外観を示す斜視図である。図2は、光モジュール1の内部構造を示す平面図である。光モジュール1は、コヒーレント光通信に用いられる光トランシーバに搭載される光モジュールである。コヒーレント光通信では、従来の光の有無で1ビットの情報を扱う方式に加え、光の位相について、その0°成分及び90°成分のそれぞれも1ビットの情報として扱う。すなわち、0°及び90°それぞれの位相において光信号の有無を1ビットの信号として扱うので、一本の光ファイバで同一波長の光について同時に2ビットの情報が伝送可能となる。
更に、光モジュール1では、位相情報に加えて、光の偏波方向についても独立の情報単位として扱う。すなわち、X方向偏波及びY方向偏波のそれぞれについて位相及び振幅を情報単位として扱うので、一本の光ファイバで同一波長の光について同時に4ビットの情報が伝送可能となる。このように、光モジュール1では位相情報と偏光情報とを情報単位として扱う。光モジュール1には、位相情報を再生するための局発光を出力する波長可変レーザ(LD41と、位相情報及び偏波情報を光信号化するための変調器11とが搭載される。また、光モジュール1は、上述した変調器11と、信号光及び局発光を出力する波長可変LD41とが一のハウジング2に収容されている。
光モジュール1は、上述した矩形箱状のハウジング2と、ハウジング2に設けられた光結合部3とを備えている。ハウジング2は、ハウジング本体2aと、ハウジング本体2aを覆う蓋体2bとを備えている。光結合部3は局発光(Local光)を出力する局発光出力部3a(第1ポート)と信号光(Signal光)を出力する信号光出力部3b(第2ポート)とを備えており、局発光出力部3a及び信号光出力部3bはハウジング2の幅方向に沿って並設されている。局発光出力部3aには偏波保持ファイバが接続されており、局発光出力部3aから出力された局発光は偏波保持ファイバによって取り出される。
図1及び図2に示されるように、ハウジング2の前壁2cには上述した局発光出力部3a及び信号光出力部3bが並設されており、前壁2cから伸び出す二つの側壁2d、2fにはそれぞれリード端子4a、4bが設けられている。リード端子4a,4bは、DC信号用及び接地(GND)用のリード端子である。また、二つの側壁2c、2dを接続するハウジング2の後壁2eにはリード端子5が側壁2fに寄って設けられている。このリード端子5は、RF信号用のリード端子である。
また、光モジュール1は、変調器ユニット10と、光源ユニット40と、波長検知ユニット50とを備えている。変調器ユニット10は半導体を主構成材料とする変調器11を搭載し、光源ユニット40は波長可変LD41(tunable LD;tLD)を搭載した波長可変光源ユニットである。波長検知ユニット50は、波長可変LD41が出力する光の波長を特定する波長検知器51を搭載している。
変調器ユニット10は、側壁2fに沿って設けられている。
光源ユニット40は他方の側壁2dに沿って設けられ、波長検知ユニット50は同様に側壁2dに沿ってかつ、光源ユニット40に対して前壁2c側に設けられている。
光モジュール1は、変調器ユニット10に設けられたTEC70(第2温調素子)と、光源ユニット40に設けられたTEC80(第1温調素子)と、波長検知ユニット50に設けられたTEC90とを備えている。TEC70は変調器11を搭載し、TEC80は波長可変LD41を搭載している。波長可変LD41は、その発振波長が大きな温度依存性を有するデバイスである。よって、波長可変LD41は、その発振波長を安定させるため、TEC80によってその温度が一定に維持される。また、TEC90は、波長検知器51を搭載している。TEC90は、波長検知ユニット50に搭載された波長依存性フィルタの温度を一定に保つ。
また、変調器11は、電界の印加で半導体材料の屈折率を変化させることによって変調を行う。ここで、半導体材料の屈折率は大きな温度依存性を有する。特に、基礎吸収端近傍の波長領域における屈折率は温度によって大幅に変化する。従って、変調器11の動作温度を所定の温度で維持しない場合には、変調器11の変調特性が保証されないという問題を生ずる。従って、本実施形態に係る光モジュール1は、変調器11、波長可変LD41及び波長検知器51のそれぞれに対して個別にTEC70,80,90を搭載している。
図2を参照すると、変調器ユニット10は変調器11を搭載するキャリア12(第2ベース)を備え、光源ユニット40は波長可変LD41を搭載するキャリア42(第1ベース)を備え、波長検知ユニット50はキャリア52を備えている。キャリア12,42,52は互いに独立している。キャリア12,42,52には予め主要な光学素子が搭載されており、光学デバイスが搭載されたキャリア12,42,52がそれぞれTEC70,80,90に搭載される。
ここで、例えば全ての光部品がベース基板を介してひとつのTECに搭載されている光モジュールでは、ベース基板上で各光素子の光学調心を行うことが可能である。しかし、本実施形態の光モジュール1では、各TEC70,80,90上に互いに独立したキャリア12,42,52を搭載しているので、キャリア12,42,52間の調心も必要となる。
図3は、変調器ユニット10の分解図である。図3に示されるように、変調器ユニット10は、上述したTEC70及びキャリア12と、ベース13と、2個のmPD(mPD)14と、終端ユニット15と、バイアスユニット16と、入力ユニット20と、結合ユニット30と、出力ユニット60とを備えている。変調器ユニット10では、TEC70上にベース13を介して種々の部品が搭載される。ベース13はAlN製である。TEC70の平面形状は長方形である。TEC70の後壁2eよりの角には電極ポスト71が搭載されており、この電極ポスト71を介してTEC70に電流が供給される。
ベース13の平面形状はL字状であり、当該L字のコーナに相当する部位13bがTEC70上に搭載される。当該コーナには切り欠き13aが形成されている。TEC70上にベース13を搭載すると、TEC70の電極ポスト71はこの切欠き13aからベース13上に露出し、電極ポスト71上へのワイヤリング可能とする。
ベース13の二つの部位13c,13d、すなわち、L字形状における二つの端部に相当する部位は、TEC70上に搭載されていない。すなわち、二つの端部は、ベース13をTEC70上に搭載した状態ではTEC70からはみ出す。部位13cには出力ユニット60が搭載され、他方の部位13bには入力ユニット20及び結合ユニット30が搭載される。結合ユニット30は、入力ユニット20の前方に位置する。
変調器11とキャリア12とは、ほぼ同様の長方形平面形状を有する。キャリア12の幅は、変調器11の幅に略等しく、且つTEC70の幅より狭い。
2個のmPD14は、キャリア12の両側にそれぞれ配置される。各mPD14はサブマウントを介してベース13上に搭載される。
TEC70上にベース13が搭載され且つベース13上に出力ユニット60が搭載されると、TEC70の前端の位置は、出力ユニット60の第2レンズ64の位置に一致する。第2レンズ64は、第1レンズ63についで変調器11に近接して配置されるレンズである。
mPD14は変調器11に対向する受光面を有しており、変調器11のモニタポートが出力するモニタ光を受光する。モニタポートの位置に対応してそれぞれのmPD14は変調器11の対向する辺に対して対角位置に配置される。
終端ユニット15は2個設けられている。各終端ユニット15は、mPD14の前方に配置され、2個の終端ユニット15で変調器11を左右方向から挟んでいる。
図5は、終端ユニット15の平面図である。図5に示されるように、終端ユニット15は、キャリア15aと、終端抵抗15bと、ビア15cと、ダイキャパシタ15dとを備えている。終端抵抗15bは、セラミック(Al2O3)で構成されるキャリア15a上に設けられた100Ωの薄膜抵抗である。変調器11に設けられた差動端子11vはその間にGND端子11wを挟んでおり、差動端子11vはキャリア15a上の信号パッド15eにワイヤリングされ、GND端子11wはキャリア15a上のGNDパッド15fにワイヤリングされる。
キャリア15aは、その表面(上面)に配線パターンを有すると共に、その裏面(下面)にGNDパターンを有する。2個の信号パッド15eに挟まれたGNDパッド15fはビア15cを有しており、このビア15cを介してキャリア15a裏面のGNDパターンに接続されている。二つの薄膜抵抗15bの共通電極はダイキャパシタ15dおよびビア15cを介して裏面GNDに接続されている。この共通電極にオフセットバイアスが印加される。以上のように構成される終端ユニット15は、ベース13上に搭載される。
図4を参照すると、終端ユニット15に隣接して2個のバイアスユニット16が設けられる。図6は、2個のバイアスユニット16及び変調器11を示す平面図である。図6に示されるように、2個のバイアスユニット16は、変調器11を両側から挟んでいる。また、変調器11内には、X偏光且つ位相0°信号のための差動アーム、Y偏光且つ位相0°信号のための差動アーム、X偏光且つ位相90°信号のための差動アーム、及びY偏光且つ位相90°信号のための差動アームそれぞれについて計4個の位相調整用の電極と、各偏光について0°信号と90°信号との位相差を確定させるための2個の電極がそれぞれ設けられる。すなわち変調器11内には6個の電極が設けられており、バイアスユニット16はこれら6個の電極にバイアスを印加する。
上記のように、バイアスユニット16は、変調器11内にバイアスを印加するために設けられる。バイアスユニット16には6個のダイキャパシタ16aと複数の配線16bとが搭載されている。それぞれの側壁2d、2fに設けられたDC信号用のリード端子4a,4bから各配線16bの一端まで、及び各配線16bの他端からダイキャパシタ16aまで、はそれぞれボンディングワイヤにより接続される。なお、一方のバイアスユニット16には、キャリア12の温度を検知するためのサーミスタ16cが搭載されている。
図7は、入力ユニット20の平面図である。入力ユニット20は長方形のAlN製キャリア22を備えている。上述したように入力ユニット20はベース13上でTEC70の投影部から突出する部分13dに配置されている。
入力ユニット20は、上述したキャリア22と、このキャリア22上に搭載された第1レンズ23と、第2レンズ24と、プリズムミラー26を備えている。波長可変LD41が出力した光はプリズムミラー26によってその光軸を90°曲げられ、第2レンズ24及び第1レンズ23を透過して、変調器11の入力ポートに入力する。
キャリア22はさらに、前述した一方のmPD14をサブマウントを介して搭載する。また、キャリア22には、mPD14と電気的に接続される6本の配線27と、ベース13に隣接して設けられたmPD28(図2参照)が出力する信号を取り出す2本の配線29が設けられている。
ベース13の外部で、ハウジング2の底面にサブマウントを介して搭載されているmPD28は、プリズムミラー26によって分岐された分岐光の強度を検知する。この分岐光強度は変調器11に入力する入力光の強度に対応する。2本の配線29は、上記サブマウントと側壁2dに設けられたDC信号用のリード端子4aとを電気的に接続する。
また、6本の配線27のうちの2本はキャリア22上に搭載されたmPD14の出力用として用いられ、他の2本は他方のmPD14の出力用として用いられる。他方のmPD14を搭載するサブマウントからキャリア22上のmPD14を搭載するサブマウントにワイヤリングがされ、その後配線27にワイヤリングがされる。そして、配線27の他端から側壁2dに設けられたDC信号用のリード端子4aに向けてワイヤリングがされる。
上述したようなワイヤリング機構により、2個のmPD14は、共に側壁2dに設けられたリード端子4aから信号を取り出すことが可能となる。ここでキャリア22上に設けられた配線27について、波長可変LD41からプリズムミラー26に向けて出射された光の光軸と配線27とは所謂、ねじれの位置関係にあり、配線27は上記光の光軸を妨げない。
キャリア22の辺22aは、キャリア32の辺32dに対向している。辺22aには3個の位置調整用のマーク22b,22c,22dが辺22aからキャリア22の内部に延びる線として形成されている。中央のマーク22cの位置はプリズムミラー26に向かう光の光軸と一致している。左右のマーク22b、マーク22dは中央マーク22cから等距離にある。
マーク22b,22c,22dを後述する結合ユニット30に形成されたマーク32a,32b,32c(第2マーク)と対向させることによって、入力ユニット20と結合ユニット30とのアライメントを行うことができる。
変調器11のキャリア22に対向する辺11aは、アライメント用のマーク11b,11cが形成されている。マーク11bは変調器11の入力ポートの位置と一致しており、マーク11cの位置は変調器11のモニタポートの位置と一致している。マーク11b,11cは直角三角形を、その等辺が形成する角の二等分線で分断した形状である。なお、マーク22b,22c,22d,32a,32b,32c,11b,11cの形状は上記に限定されず適宜変更可能である。
このようなアライメントマークを用いることにより、キャリア22と変調器11の入力ポートとのラフアライメント、及びmPD14と変調器11のモニタポートとのラフアライメントを容易に行うことができる。mPD14と変調器11の間ではmPD14について比較的広い受光面が確保されるため、マークを用いたラフアライメントのみでも実用上問題とならないことが多い。
図8は、結合ユニット30を示す平面図である。結合ユニット30は長方形状のキャリア32を備えている。上述したように結合ユニット30はベース13のTEC70からは突出した部分13dであって、入力ユニット20と連続的に配置されている。
結合ユニット30のキャリア32には、ビームシフタ33とアイソレータ34と配線35とが搭載されている。ビームシフタ33は光源ユニット40側に、アイソレータ34は入力ユニット20側に、配線35はビームシフタ33とアイソレータ34との間にそれぞれ配置されている。
ビームシフタ33は、光源ユニット40から出射された光の光軸と、ベース13に搭載されている光学部品の光軸との間における水平レベルを補完する機能を有する。すなわち、光源ユニット40と変調器ユニット10は独立のTEC(70、80)に搭載されており両者の光軸についてその水平レベルが部品公差の範囲内で一致しない場合がある。また、変調器ユニット10内についても、光源ユニット40から変調器11に向かう光の光軸上には、結合ユニット30上にアイソレータ34が、入力ユニット20上にはプリズムミラー26、二つのレンズ24、23が挿入されており、結合ユニット30と入力ユニット20との間の水平レベルのミスマッチ、あるいは、各部品をそれぞれのユニットのキャリア上に搭載し固定する際の樹脂厚等、光軸の水平レベルについてミスマッチを生ずる場合がある。プリズムミラー26、二つのレンズ24、23を、これら水平レベルのミスマッチを吸収しつつキャリア22上に搭載、固定することになるが、ミスマッチが大きい場合には吸収しきれない。二つのレンズ24、23はキャリア22の表面レベル以下に調芯することは物理的に不可能であり、一方、キャリア22から離す様に搭載すると、固定用の樹脂が厚くなって信頼性に劣る固定となってしまう。ビームシフタ33を光源ユニット40と変調器11との間に介在させることにより、光源ユニット40から変調器11に向かう光の光軸の水平レベルを調整することができる。ビームシフタ33は対向する面が平行に設定された矩形の透明体ブロックであり、これを垂直方向について傾斜させてキャリア32上に搭載することにより、傾斜角度に依存してその入力光と出力光との間の光軸をオフセットさせることができる。また、水平方向については、光源ユニット40に反射光が戻らない様に、入力光の光軸に対して入力面を数度傾けてキャリア32上に搭載される。
配線35は、ビームシフタ33を迂回して、側壁2dに対向する辺からバイアスユニット16に対向する辺に向かって延びている。入力ユニット20の配線27と同様、配線35はビームシフタ33からアイソレータ34に向かう光の光軸の下方に位置している。配線35を介して側壁2dに設けられたDC信号用のリード端子4aとバイアスユニット16上の配線16bとの間の電気的接続が行われる。
なお、本実施形態では、上記のように配線35がビームシフタ33を迂回しているが、配線35の形状は上記に限定されない。例えば、配線35を通る信号はバイアス信号(DC信号)であるため、配線35をビームシフタ33と交差させてもよい。すなわち、ビームシフタ33を配線35上に搭載することも可能である。
キャリア32の入力ユニット20に対向する辺32dには上述したマーク32a,32b,32cが形成されている。マーク32a,32b,32cの相対位置関係は、入力ユニット20のマーク22b,22c,22dの相対位置関係と一致している。従って、マーク32a,32b,32cとマーク22b,22c,22dとの位置合わせを行うことにより、結合ユニット30と入力ユニット20とのアライメントを容易に行うことができる。
また、光源ユニット40に対向する辺32eにはマーク32f,32g,32hが形成されている。マーク32f,32g、32hは辺32eからキャリア32の内方に向かう線であり、マーク32f,32g,32hの相対位置関係はマーク32a,32b,32cの相対位置関係と一致している。すなわち、中央マーク32b、32gと両側マーク、32aと32c、32fと32h、との距離は一致している。また、マーク32f〜32hの相対位置関係と、後述する光源ユニット40に設けられたマーク43b〜43dの相対位置関係も一致している。
マーク32f,32g,32hをマーク43b,43c、43dを対向させることによって、結合ユニット30と光源ユニット40との調芯を容易に行うことができる。以上のようにキャリア32はマーク32a,32b,32c,32f,32g,32hを備えているので、結合ユニット30と入力ユニット20と光源ユニット40とのラフアライメントを容易に行うことができる。
図9は、光源ユニット40を示す平面図である。図9に示されるように、光源ユニット40は、波長可変LD41と、波長可変LD41を搭載するキャリア42と、レンズキャリア43と、レンズキャリア43に搭載された2個のレンズ44,45と、サーミスタ46と、ベース47と、上述したTEC80とを備えている。キャリア42及びレンズキャリア43の平面形状は長方形である。
ベース47は、レンズキャリア43を搭載する部位がTEC80の上基板からはみ出た状態でTEC80上に搭載されている。ベース47はAlN製である。ベース47上にはキャリア42及びこのキャリアを挟む2個のレンズキャリア43が搭載されている。キャリア42もAlN製である。
レンズキャリア43の厚さはキャリア42の厚さよりも薄く、波長可変LD41の光軸とレンズ44,45の光軸を一致させている。具体的には、レンズキャリア43上には固定樹脂を介してレンズ44,45が搭載されるので、この樹脂の厚みも考慮して、レンズキャリア43の厚さを決定し、レンズ44、45の光軸を波長可変LD41の光軸に一致させている。
レンズ44及びレンズ45はいずれもコリメートレンズである。また、キャリア42には波長可変LD41の他にサーミスタ46が搭載されている。二つのレンズ44、45の光軸はオフセットしている。すなわち、波長可変LD41はこのオフセットを吸収する様に両レンズの光軸に対して有意の角度を持ってキャリア42上に搭載されている。
また、波長可変LD41は、その出射光の波長を決定する5種類の電極と、光を生成するためのキャリアを注入する電極と、出力光の強度を制御する電極と、接地電極を備えている。すなわち波長可変LD41は計8種類の電極を備えており、これらの8種類の電極に対して互いに独立した8種類のバイアスが必要となる。この8種類のバイアス全てを、側壁2dに備えられているDC信号用リード端子4aのみから供給すると、リード端子4aが不足する場合がある。特に、光モジュール1では、波長可変LD41と波長検知器51とが側壁2dに沿って配置されているので、波長可変LD41と波長検知器51の近傍に位置するDC信号用のリード端子4aが不足する場合がある。
そこで、光モジュール1では、波長可変LD41へのバイアスを、反対の側壁2fに備えられたDC信号用リード端子4bから供給している。すなわち、光モジュール1は、側壁2fの近傍から出力ユニット60の下方を通って光源ユニット40の近傍まで延びる配線基板48と、同様に、側壁2fの近傍から出力ユニット60の下方を通って光源ユニット40と波長検知ユニットの間にまで延びる配線基板49とを備えており、これらの配線基板48,49を介してリード端子4bから波長可変LD41にバイアスを供給する。
上述したように出力ユニット60はTEC70からはみ出したベース13の部位13cに搭載されており、ベース13の部位13cの下方には大きな空間が形成されている。
配線基板48,49はハウジング2の底面に直接搭載されている。従って、出力ユニット60と配線基板48,49とが立体的に交差した状態が実現されている。なお、配線基板48,49が伝える信号はバイアス信号(DC信号)であるため、配線基板48,49の配線長が多少長くても信号品質上問題とはならない。
図9に示されるように、キャリア42の一方のレンズキャリア43に対向する辺にはマーク42a,42b,42c(第1マーク)が形成されている。マーク42a,42b,42cは、上述したように結合ユニット30のマーク32a,32b,32c,32f,32g,32h及び入力ユニット20のマーク22b,22c,22dに対応するマークである。すなわち、中央マーク42bと両側マーク42a、42cの間隔は、結合ユニット30のマーク、32a〜32c、32f〜32h、及び入力ユニット20のマーク22b〜22dのそれと一致している。
また、レンズキャリア43の他方の辺にもマーク43b,43c,43dが形成されている。これらのマーク43b,43c,43dも、上述したマーク42a,42b,42cと同様のマークであり、中央マーク43cと両側マーク43b、43dの間隔はマーク42a,42b,42cのそれと一致している。
レンズキャリア43に対向する辺には3個のマーク42f,42g,42hが形成されている。マーク42f,42g,42hの相対位置は、既に説明した、他方の辺に形成されたマーク42a,42b,42cの位置と一致していない。具体的には、一方の側マーク42fの位置は側マーク42aの位置と一致しているが、中央マーク42gは辺の他の側マーク42cの位置に一致している。そして側マーク42hが、コリメートレンズ44の光軸の位置と一致している。
また、レンズキャリア43のキャリア42に対向する辺にもマーク43f,43g,43hが形成されており、これらマーク43f,43g,43hはキャリア42上のマーク42f,42g,42hの位置と一致している。従って、マーク43f,43g,43hをマーク42f,42g,42hに合わせることによって、レンズキャリア43とキャリア42とのアライメントを容易に行うことができる。
図10は、光モジュール1に搭載される波長可変LD41の横断面を模式的に示す図である。図10に示されるように、波長可変LD41は、4つの領域、すなわち、第1半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier;SOA)領域41A、SG−DFB(Sampled Grating Distributed Feedback)領域41B、CSG―DBR(Chirped SampledGrating-Distributed Bragg Reflector)領域41C、第2半導体光増幅器領域41Dを備えている。
SG−DFB領域41BとCSG―DBR領域41Cには回折格子が離散的に形成されている。CSG―DBR領域41Cには、その表面に絶縁膜を介して光導波方向に沿って3種類のヒータH1,H2,H3が設けられ、SG−DFB領域41Bにも2種類のヒータH4,H5が設けられている。これらのヒータH1〜H5を加熱することにより、ヒータH1〜H5直下の領域の温度を調整する。
SG−DFB領域41Bでは、利得領域41aと変調領域41bとが光導波方向に沿って交互に配置されている。利得領域41aは電極41cを有し、電極41cから利得領域41a中の活性層にキャリアを注入することによって活性層中で光を生じさせる。
SG−DFB領域41Bの光学スペクトルは、当該領域が離散的に形成された回折格子を備えているので、この回折格子間の光学長によって決定される複数のピークで特徴付けられる。さらに、SG−DFB領域41Bは利得領域41aを有するので、SG−DFB領域41Bの利得特性はSG−DFB領域41Bの回折格子の間隔(LSG)で決定される複数の利得ピークで特徴付けられる。
一方、CSG―DBR領域41Cも離散的に形成された回折格子を有するので、所定の間隔をあけて並ぶ複数のピークを含む反射スペクトルで特徴付けられる。CSG―DBR領域41Cが備える反射スペクトル中の一のピークと、SG−DFB領域41Bが備える利得スペクトル中の一のピークとを一致させることにより、その一致したピークに対応する波長においてレーザ発振が誘起される。但し、波長可変LD41ではSG−DFB領域41BとCSG―DBR領域41Cとが集積化されているので、上記反射ピーク及び利得ピークを直接観測できるわけではない。一の利得ピークと一の反射ピークの波長が一致したときに誘起される光の位相が一致し連続した二つの領域が光共振器となって波長可変LD41が発振する。
SG−DFB領域41Bの回折格子間の光学長は、光導波路を構成する半導体材料の屈折率に依存する。また、上記のようにSG−DFB領域41Bの変調領域41bはヒータH4,H5を備えているので、変調領域41bの光学長を可変とすることができる。一方、CSG―DBR領域41CにもヒータH1,H2,H3を備えており、各ヒータH1,H2,H3の温度を互いに独立に変更させることができる。
また、CSG―DBR領域41Cでは、回折格子間の物理的間隔(LSG1,LSG2,LSG3)を互いに異ならせている。従って、ヒータH1,H2,H3で互いに独立に温度調整を行うことにより、複数の反射ピークの位置を広範囲に変化させることができる。このように利得ピーク位置及び反射ピーク位置を広範囲に変化させることによって、波長可変LD41に波長可変幅を広く設定することができる。
SG−DFB領域41B、CSG−DBR領域41Cを挟んで形成された二つのSOA領域41A、41Dは電極41d、41eからそれぞれの活性層中にキャリアを注入することにより、SG−DFB領域41Bで生成され、CSG−DBR領域41Cとでその波長が決定された光を増幅して波長可変LD41外にそれぞれの端面から出力する。
SOA領域41A,41D、利得領域41aの活性層は同一の半導体材料で構成されている。が、変調領域41bおよびCSG―DBR領域41Cの導波路層は当該半導体材料のバンドギャップ波長よりも短い波長を有する半導体材料、すなわち、大きなエネルギーギャップを有する材料で構成されている。このため、変調領域41b及びCSG―DBR領域41Cの導波路層はSG−DFB領域41B、CSG−DBR領域41Cで決定された波長に対して実質透明となる。
波長可変LD41では、5つのヒータに対応するヒータGND電極と、キャリア注入用の電極41cと、2つのSOA用の電極41d,41eの合計8種類の電極(8種類のバイアス電源)が必要である。ここで、光モジュール1では波長可変LD41へのバイアスを、波長可変LD41が搭載されている側とは反対の側壁2fに位置するリード端子4bから供給している。一方、波長可変LD41が搭載されている側の側壁2dに位置するリード端子4aは、主に波長検知器51が出力する各種信号を処理するDCリード端子として用いられる。
図11は、波長可変LD41及びその周辺のワイヤリングを示す平面図である。図12は、波長可変LD41及びその周辺のワイヤリングを示す斜視図である。図11及び図12に示されるように、キャリア42上には波長可変LD41とサーミスタ46とが搭載される。サーミスタ46から引き出される2本の配線L1は側壁2dのリード端子4aに接続される。その他のバイアス源への配線L2は、2枚の配線基板48,49に引き出されており、これらの配線基板48,49を介して他方の側壁2fのリード端子4bに接続されている。
2枚の配線基板48,49のうちTEC70に近い位置に搭載された配線基板48の厚さは、他方の配線基板49の厚さよりも厚い。この厚さの違いは、配線基板48,49にワイヤリングを行う際に必要とするスペースに基づく。すなわち、厚い配線基板48へのワイヤリングは、ベース13とTEC80との間に形成された狭い空間で行われる。一方、薄い配線基板49のワイヤリングは、波長検知ユニット50のキャリア52とレンズキャリア43との間に形成された比較的広い空間で行われる。配線基板48へのワイヤリングよりも配線基板49へのワイヤリングの方がスペース的に余裕がある空間で行われることになる。
基板49を挟むキャリア52とレンズキャリア43とは、BS53,54又はレンズ44といった光学部品を搭載するため、厚みが抑えられている。一方他方の基板48については、キャリア42に隣接しており、このキャリア42の厚さはレンズキャリア43の厚さよりも厚い。従って、キャリア42の表面からハウジング2の底面までの高さが高く、配線基板48を厚くすることによって配線基板48の表面からキャリア42の表面までの高さを減じている。
以上のように、変調器11が出力する信号光の光軸と立体的に交差する配線基板48,49はハウジング2の底面に搭載されている。これにより、波長可変LD41が必要とするバイアス信号を、波長可変LD41が搭載されている側とは反対側の側壁2fに設けられたリード端子4bから波長可変LD41に供給することが可能となる。
光モジュール1は、波長可変LD41の一方の端面、すなわち、結合ユニット30に対向する端面、から出力される光を信号光用の光源とし、他方の端面、波長検知器51に対向する端面、から出力される光を波長検知器51用のモニタ光及び、光受光モジュールのための局発光として用いている。また、波長可変LD41と波長検知器51とがハウジング2の側壁2dに沿って配置され、変調器11は他方の側壁2fに沿って配置されている。
このような構成において、各ユニットが短絡的にそれぞれ近接する側壁に備えられたリード端子4a,4bと電気的に接続するだけでは、光源ユニット40、波長検知ユニット50に近接する側壁2dに設けられたリード端子4aが集中して用いられてしまう。時にリード端子4aの不足も懸念される。しかしながら、本実施形態では、一方の側壁2fから他方の側壁2dに向かって延在する配線基板48,49を介して、反対側の側壁2fに設けられたリード端子4bと波長可変LD41とが電気的に接続される。よって、リード端子4aの不足が抑制される。
従って、一方の側壁2dに設けられたリード端子4aの集中的な利用を回避することができ、リード端子4a,4bを分散して均等に利用することが可能となる。
図13は、波長検知ユニット50を示す平面図である。図13に示されるように、波長検知ユニット50はTEC90上に搭載されたAlN製で矩形のキャリア52を有する。キャリア52の光源ユニット40に対向する辺52aには3個のマーク52b,52c,52dが形成されている。マーク52b,52c,52dの相対位置関係は、レンズキャリア43上のマーク43f,43g,43hと一致している。従って、キャリア52上のマーク52b,52c,52dをレンズキャリア43上のマーク43f,43g,43hに合わせることによって、キャリア52とレンズキャリア43とのアライメントを行うことができる。
波長検知ユニット50は、キャリア52上に2個のBS53,54、2個のmPD55,56、エタロンフィルタ57、サーミスタ58を搭載している。キャリア52の光源ユニット40に対向する側の一部52eはTEC90からはみ出している。すなわち、当該部位52eは庇を形成し、庇で覆われたに前述した配線基板49が配置されている。
波長可変LD41の端面から出射した光は、光源ユニット40内のレンズ44によりコリメート光に変換されて波長検知ユニット50に入力する。波長検知ユニット50では、まずBS53により二分され、その一方はBS53を直進してエタロンフィルタ57を通過した後一方のmPD56に入力する。他方は、BS53により光軸を90°変換された後他方のBS54に向かい、このBS54によりさらに二分され、その一方はBS54を直進しmPD55に入力する。BS54により二分された他方は、BS54によりその光軸を90°変換された後第1出力ポート3aに向かう。
ここで、二つのBSの分岐比はそれぞれ〜5:95に設定されている。すなわちBS53、54を直進する光の強度が5、BS53、54により光軸を90°変換される分岐光の強度が〜95程度に設定される。従って、第1出力ポート3aに到達する光の強度は、波長検知ユニット50に入力する時点での強度に比較し一割程度減少する。
第2のmPD56で検知する光はエタロンフィルタ57を透過した光である。エタロンフィルタ57は周期的な透過スペクトルを示す。一方、第1のmPD55で検知する光は特異な透過スペクトルを有する如何なる光学素子も通過していない。すなわち、mPD55の出力は波長可変LD41の光出力を直接的に反映していると見做せる。そして、第2のmPDの出力を第1のmPDの出力で除した値は、まさにエタロンフィルタ57の透過率を示している。エタロンフィルタ57の透過率は波長に依存しているため、二つのmPD55,56の出力により、波長可変LD41が今現在出力している光の波長を特定することが可能となる。そして、この二つのmPD55、56の出力を(正確にはその比)波長可変LD41の波長を決定するバイアス信号に帰還することで、波長可変LD41の出力光の波長を目標の波長に設定し、これを維持することが可能となる。
また、第1のmPD55の出力は直接波長可変LD41の出力に対応している。この第1のmPD55の出力を波長可変LD41の一方のSOA領域41Dへ印加するバイアス信号に帰還することで、第1出力ポート3aから出力される光の強度を一定に維持することができる。
図14は、出力ユニット60を示す平面図である。出力ユニット60は、変調器ベース13上に搭載されたAlN製で矩形のキャリア62と、当該キャリア62上に搭載された2個の第1レンズ63、2個の第2レンズ64、Siブロック66、アイソレータ67、およびPBC(Polarization Beam Combiner)ユニット68、さらに、キャリア62とは独立してハウジング2の底面上に直接搭載された光減衰器(ATT)69、BS72、およびmPD73とを備えている。
キャリア62は、変調器11から出力された二つの信号光を偏波合成する光学系を有する。
変調器11は、ハウジング2の前壁4cに対向する辺に光信号を出力する2個の出力ポート11zを備えている。これら出力ポート11zから出力された光信号は、それぞれ第1レンズ63、第2レンズ64、Siブロック66、アイソレータ67、PBCユニット68、ATT69、BS72及び第2の出力ポート3bを介して光モジュール1外に出力される。ここで、キャリア62の大部分はTEC70上にはなくその下方に空間が残されており、当該下方空間に前述した配線基板48,49搭載されている。
キャリア62の変調器11に対向する辺62aは2個のマーク62b,62cを有する。また、変調器11のキャリア62に対向する辺にも2個のマーク11x,11yがそれぞれ出力ポート11zに対応して形成されている。マーク11x,11y,62b,62cは、出力ポート11z及び第1レンズ63の光軸と対応している。
キャリア62のATT69に対向する辺62dにも2個のマーク62e,62fが形成されている。また、mPD73とBS72を搭載するサブマウント74のATT69に対向する辺74aにも2個のマーク74b,74cが形成されている。前者のマーク62e,62fの相対位置関係は後者のマーク74b,74cの相対位置関係と一致している。
変調器11の出力ポート11zから出力された2つの光信号はBS72では一本の光信号に統合されており、サブマウント74上の2個のマーク74b,74cは上記一本の光信号を挟む位置に配置される。以上のようなマークをそれぞれのユニットに配置することによって、サブマウント74とキャリア62とのアライメントを容易に行うことができる。
本実施の形態においては、サブマウント74上のBS72及びmPD73については精密アライメントを行っていない。すなわち、各ユニット間のアライメント、並びにサブマウント74上に搭載された部品の光学アライメントは、上述した各マークを目視することによってのみ行われる。上記のような複数のマークを用いて各アライメントを行うことによって、各部品の配置の精密度を容易に高めることができる。
次に、光モジュール1のアセンブリ、特に、各ユニット間のアライメントについて説明する。まず、ハウジングの底面に各部品を搭載する第1工程を実行する。第1工程では、ハウジング2の底面に、変調器ユニット10のTEC70、光源ユニット40のTEC80、波長検知ユニットのTEC90を搭載する。TEC70,80,90の下基板上には予め電極ポストを搭載しておく。さらに、2枚の配線基板48,49、ATT69、サブマウント74を底面上に搭載する。それぞれの部品の搭載位置は幾何学的精度にのみ依存する。
次に、ハウジング外において各ユニットを組み立てる第2工程を実行する。第2工程では、ハウジング2外において、キャリア42上に波長可変LD41及びサーミスタ46をダイマウントし、さらに、キャリア42上の配線との間でワイヤボンディングまでも施す。この段階で波長可変LD41に対しIL特性等のDCテストを行うことができる。また、波長検知ユニット50のキャリア52上にサーミスタ58を搭載する。さらに、キャリア12上に変調器11をマウントし、バイアスユニット16上にダイキャパシタ16aをマウントし、キャリア15a上にキャパシタ15dを搭載して終端ユニット15を形成する。以上の第2工程は、第1工程の前に予め行っておいてもよく、第1工程及び後述する各工程とは独立して行うことができる。
次に、ハウジング外で組立てた各ユニットを各ベース13上に搭載する第3工程を実行する。第3工程では、変調器11を搭載したキャリア12をベース13上にマウントする。このとき、ベース13の角部に設けられた切り欠き13aを参照してキャリア12をベース13上に搭載する。そして、終端ユニット15及びバイアスユニット16をベース13上に搭載する。この工程は、変調器11上の電極パッドを目視で確認しつつ、終端ユニット15及びバイアスユニット16の位置を決定する。
終端ユニット15と変調器11、及びバイアスユニット16と変調器11は、ボンディングワイヤによって結線されるので、両ユニット15、16のアライメントは不要である。その後、側壁2fに対向する一方のバイアスユニット16にTEC70用のサーミスタ16cを搭載する。こうして第3工程が完了する。なお、第2工程及び第3工程における各部品の搭載は順不同で行うことが可能である。
その後、各キャリアをそれぞれ対応するTEC上に搭載する第4工程を行う。第4工程では、バイアスユニット16、終端ユニット15及びキャリア12が搭載されたベース13をTEC70上にマウントする。そして、ベース13上にmPD14を搭載した2個のサブマウントを変調器11のモニタポートの位置に形成されたマーク11cを目視で参照しつつ配置する。
また、ベース13上に、入力ユニット20のキャリア22、出力ユニット60のキャリア62、及び結合ユニット30のキャリア32を搭載する。このとき、キャリア22においては、変調器11の辺11aに形成されたマーク11bを参照して、変調器11の入力ポートとキャリア22とのアライメントを行う。また、キャリア32においては、キャリア32上のマーク32a,32b,32cをキャリア22上のマーク22b,22c,22dに合わせることによって、キャリア32をキャリア22にアライメントする。以上のようなアライメントを経て第4工程が完了する。
次に、光源ユニット40を組み立てる第5工程を行う。第5工程では、ベース47上に、既に波長可変LD41及びサーミスタ46が搭載されているキャリア42を配置する。そして、二つのレンズキャリア43を、キャリア42を挟んでベース47上に搭載する。
各レンズキャリア43をベース47上に搭載する際には、レンズキャリア43上のマーク43b,43c,43dをキャリア42上のマーク42a〜42cに目視で位置合わせし、また、他方のレンズキャリア43上のマーク43f,43g,43hをキャリア上のマーク42f〜42hに目視で位置合わせする。こうして第5工程が完了する。なお、第5工程は、第6工程の前であればいつ行ってもよい。
次に、この様にして組立てたベース47をTEC80上に搭載する第6工程を行う。第6工程では、レンズキャリア43上のマーク43b,43c,43dを結合ユニット30上のマーク32f,32g、32hに目視で位置合わせする。
次に、波長検知ユニット50を組み立てる第7工程を行う。第7工程では、キャリア52上に既にmPD55,56が搭載されているPDサブマウントを実装する。ここで、キャリア52上にはPDサブマウントが搭載されている位置にインデックスマークが形成されており、このマークを参照してPDサブマウント実装する。またサーミスタ58の搭載も当該工程で行う。
そして、mPD55,56及びサーミスタ58が搭載されたキャリア52をTEC90上に搭載する。このとき、キャリア52上のマーク52b,52c,52dをレンズキャリア43上のマーク43f,43g,43hに目視で位置合わせする。こうして第7工程が完了する。
その後、出力ベースユニットを組み立てる第8工程を実行する。第8工程では、キャリア62をベース13上に搭載する。このとき、キャリア62上の2個のマーク62b,62cと変調器11のマーク11x,11yを目視で確認し、出力ポート11zとキャリア62のアライメントを行う。そして、キャリア62上のマーク62e,62fとサブマウント74上のマーク74b,74cを目視で確認し、サブマウント74とキャリア62のアライメントを行う。こうして第8工程が完了する。
以上の第1〜第8工程により各キャリアユニット間、厳密には各キャリア間のアライメントを目視確認のみによって実行する。ここで、図15に示されるように、一方のレンズキャリア43、キャリア32、及びキャリア22のそれぞれに設けられた各3個のマークのうち、その中央マークは光源ユニット40から入力ユニット20に向かう光の光軸に対応している。なお、図15〜図17は説明の簡略化のため一部の部品を省略している。更に、mPD28を搭載するサブマウント28aにも上記各キャリアに形成された一方の側マーク、43b、32f、32a、22b;および中央マーク、42b、43c、32g、22cに対応するマークが形成されている。PDサブマウント28aの二つのマークを上記それぞれのキャリアに形成された中央マークと一方の側マークに目視でアライメントすることにより、PDサブマウント28bを入力ユニット20に位置合わせすることができる。
図16に示されるように、キャリア42上のマーク42f,42g,42h、レンズキャリア43のマーク43f,43g,43h、及びキャリア52のマーク52b,52c,52dは、それぞれ直線で結ぶことができる。また、図17に示されるように、キャリア62上のマーク62b,62eとサブマウント74上のマーク74bは直線で結ぶことができ、キャリア62上の一群のマーク62e〜62gはPDサブマウント74上の一群のマーク74b〜74dに対応している。両者を目視で確認しつつ、PDサブマウント74をハウジング2の底面に搭載することで、PDサブマウント74をキャリア62に対して位置合わせすることができる。
ここで、各キャリア(AlN等のセラミック)に形成されたマークは、キャリア上に形成された配線パターン又は配線パターンの切り欠きとして形成されている。マークの幅は20μm、その長さは50μm又は100μmである。一般的にセラミック上に形成された配線パターンの公差は、配線間については±10μm程度であり、またキャリアの実装公差は±30μm程度である。各キャリアには後段の工程で実装される光学部品の搭載位置を示すマークが形成されている。各キャリア間を上述の様に、その各辺に設けたマーク群により位置合わせし、かつ、キャリア上の部品搭載位置に対応してマークを形成することで、目視によって十分な精度を有する光学部品の実装位置を確保することが可能となる。
光モジュール1に搭載される各光学部品について、一例として、レンズの有効径は0.6mm、アイソレータの有効径は0.7mm、プリズムミラーの有効径は1.2mm、PBCの有効径は0.8mm、ビームスプリッタの有効径は0.8mmである。このような有効径を有する光学部品のそれぞれがコリメート光の設計径(約0.5mm)を包含していることが必要であり、包含していない場合には大きな結合ロスが生じる。
具体的には、光モジュール1では、波長可変LD41が出射した光は、波長検知ユニット50に対向するレンズ44及び結合ユニット30に対向するレンズ45のそれぞれにより、コリメート光に変換される。また、変調器11から出力される二つの位相変調光は、第1レンズ63および第2レンズ64のレンズ系よってコリメート光に変換される。これらのコリメート光が通過する各光学部品について、それらの有効径がこのコリメート光の径を包含すれば、当該光学部品について大きな結合ロスは生じない。
そこで、光モジュール1では、上述したように各キャリアに位置調整用のマークを形成し、当該マークを指標として目視でアライメントを行うことで、各光学部品の有効径内にコリメート光を包含させることが可能となる。また、各光学部品の有効径は、コリメート光の径よりも大きな値とされているので、上記目視によるアライメントで大きな結合ロスを抑制することが可能となる。
また、上記のようにアイソレータ34、67、アテネータ69、Siブロック66等のそれらの透過光の光軸を実質変更しない光学部品、調芯工程を必要としない光学部品を搭載する段階において、各光学部品と配線基板、キャリア上の配線、あるいは配線基板、キャリア上の配線とリード端子4a,4bとの間のワイヤリングを行う。すなわち、すでに搭載されているmPD14、26、74についてそれら出力信号をモジュール1の外部での検知を可能とする、いわゆるアクティブ調芯を可能とする。そして、まず、波長可変LD41から変調器11の入力ポートまでに位置する各光学部品のアライメントを行う。ここで、変調器11の入力ポートに波長可変LD41からの光を結合させるときには、実際に波長可変LD41を発光させ、波長可変LD41からの光を最大効率で入力ポートに結合させることが必要である。
次いで各キャリア上に光学部品を搭載する。
まず、光軸に実質的な変更を与えない光アイソレータ34をキャリア32上に、他の光アイソレータ67、Siブロック66をキャリア62上に搭載する。また、それぞれのPDサブマウント上にmPD14を実装し、mPD14からの信号を取り出すべくmPDと配線パターン、配線パターンと両側壁のDCリード端子との間のワイヤリングを実施する。さらに、変調器11とバイアスユニット16の間、バイアスユニット16とリード端子との間もワイヤリングを行い、変調器11のDCテストが実施可能な環境を作る。その後、各レンズ部品、BS部品、PBCユニットの光学調芯を行う。
具体的には、波長可変LD41と変調器11との間の光回路の調芯をまず実施する。波長可変LD41を実際に発光させ、この光をレンズ45によりコリメート光に変換する。コリメート性の検証は、ビームシフタ33の位置に光軸変換治具を設置し、波長可変LD41の出力光をハウジング2外に取り出し、レンズ45の遠点(1m程度離れた位置)において出力光のコヒーレント性を検証し、コヒーレント性が最も確保される位置にレンズ45を固定する。
次いでビームシフタ33を調心する。本モジュール1においては、変調器11と波長可変LD41は個別のTEC70、80上にそれぞれのキャリア12、42を介して搭載されている。変調器11についてはTEC70とキャリア12との間にさらにベース13が挿入されている。また、結合ユニット30、入力ユニット20もそれぞれのキャリア32、22を介してベース13上に搭載されている。従って、たとえレンズ43により波長可変LD41の出力光がコリメート光に変換されたとしても、入力ユニット20に搭載されているプリズムミラー26、第1、第2レンズ23、24の光軸の水平レベルがコリメート光の光軸に一致しているわけではない。パッケージの底面からTEC70、80の部品公差によりそれらの最表面までの高さの相違、ベース13の厚み公差、キャリア12、22の厚み公差により、キャリア22に搭載される光学部品の光軸、変調器11の入力ポートの光軸の高さは異なる。
本モジュールではこの光軸高さの相違(狂い)を吸収すべくビームシフタ33を備えている。ビームシフタ33は光入射面と光出射面とが実質平行に作製された透明光学部材(ブロック)であり、当該光入射面/出射面をコリメート光の光軸に対して傾けることにより、入射光の光軸と出射光の光軸を、平行状態を維持しつつオフセットさせることができる。本実施の形態に係る光モジュールでは、変調器11の入力ポートの水平レベル、レンズ45が出射するコリメート光の水平レベルを測定しておき、両者の差を補償するビームシフタ33の傾き角を予め算出し、当該角度だけビームシフタ33を傾けてキャリア32上に搭載する。
次いでプリズムミラー26を搭載する。プリズムミラー26については、その搭載角度をハウジングの側壁に対して45°に設定した上で、入力コリメート光に対してX、Z方向の調芯を行う。すなわち、その角度を45°に固定した状態で、かつ、変調器11の入力ポートの延長線とコリメタ光の光軸の交点の設計位置にプリズムミラーを搭載する。プリズムミラー26についての微調芯、その反射光が変調器11の入力ポートに最大効率で光結合する位置を探索する調芯、は行わない。レンズ45から変調器11のモニタポートまでの入力光学系において、光軸をシフトする光学部品、すなわち、光軸を調芯できる光学部品は、ビームシフタ33、プリズムミラー26、および第1、第2レンズ23、24が存在する。本発明に係る調芯工程では、実際に微調芯を行って最大結合効率を与える位置を探索するのは第1、2レンズ(23、24)の調芯のみである。他の部品は、第1、2レンズ(23、24)による微調芯が可能な範囲にコリメート光の光軸を設定する機能のみを実現する。
最後に第1レンズ23、第2レンズ24を調芯する。すなわち、まず第1レンズ23を設計標準位置に搭載し、実際に波長可変LD41を発光させ、第1レンズ23により変調器11内に集光、導入され、変調器11のモニタポートから出力される光をmPD14により観測する。mPD14の出力が最大値を与える位置で第1レンズを固定する。固定には紫外線硬化樹脂を用い、上記最大値を与える位置で紫外線を樹脂に照射し固定する。ただし、一般の紫外線硬化樹脂は、硬化に際し数μm収縮することが知られている。この収縮に合わせて調芯状態が崩れ、光結合効率が低下する場合がある。そのため、第2レンズ24を調芯することでこの結合効率の低下を補償する。
第2レンズ24は、第1レンズ23と同様に、mPD14の出力を観測しつつ、まず設計中心位置に搭載した上で、光軸に対してX、Y、Zの三方向について調芯を行い、mPD14の出力が最大値を与える位置を探索し、その位置で紫外線硬化樹脂を硬化させて固定する。第1レンズ23の場合と同様に、硬化に際して樹脂の収縮が観測されるが、第2レンズ24の結合トレランス(所定の結合効率の劣化を与えるレンズ位置の範囲)は第1レンズがサブミクロンレベルで非常に厳しいトレランスであるのに対し、第2レンズのそれは、一桁以上、特に光軸に沿った方向については数十ミクロンものトレランスを有している。第2レンズ24の固定の際の樹脂の効果に伴う位置ずれは実質問題とはならない。
以上により入力光学系の部品搭載が終了する。
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。