JP6435756B2 - トランス接続相判定装置、方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、トランス接続相判定装置、トランス接続相判定方法、及びトランス接続相判定プログラムに関する。
従来、トランスの接続相を判定する技術として、遮断器子局、開閉器子局、及び配電監視制御親局を介して、配電用遮断器及びセンサ内蔵区分開閉器の計測値を取得し、自動検針親局を介してスマートメータの計測値を取得する相判別装置が提案されている。この相判別装置では、データ格納部に、配電系統構成情報と、配電用変圧器の機器情報と、需要家の供給設備情報とが格納されている。そして、各計測値の計測期間の中から、接続相の判別に用いる期間である時間断面を選択し、選択した時間断面に計測された各計測値と、データ格納部に格納される各情報とに基づいて、各配電用変圧器の接続相を判別している。
特開2012−198033号公報
しかしながら、従来技術の相判別装置では、トランスに接続された全ての需要家における消費電力の情報が必要であり、一部の需要家の消費電量の情報しか利用できない場合には、トランスの接続相を判定することができない。
一つの側面として、トランスに接続された一部の需要家の消費電力の情報しか利用できない場合でも、トランスの接続相を判定することを目的とする。
一つの態様では、本発明は、複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得する取得部を備える。また、前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算する周波数成分計算部を備える。また、前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記周波数成分計算部で計算された各々の周波数成分を用いて計算する相関値計算部を備える。また、前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する判定部を備える。
一つの側面として、トランスに接続された一部の需要家の消費電力の情報しか利用できない場合でも、トランスの接続相を判定することができる、という効果を有する。
配電網の一例を示す概略図である。 第1実施形態に係るトランス接続相判定装置の概略構成を示すブロック図である。 配電系統を仮想的な回路構成で表現した概略図である。 第1及び第2実施形態に係るトランス接続相判定装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。 第1実施形態における判定処理の一例を示すフローチャートである。 配電情報テーブルの一例を示す図である。 消費電力データテーブルの一例を示す図である。 線電流データテーブルの一例を示す図である。 第1実施形態におけるフィルタ最適化処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るトランス接続相判定装置の概略構成を示すブロック図である。 第2実施形態における判定処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の一例を詳細に説明する。
<トランス接続相判定問題について>
電力市場の自由化をはじめとする電力事業の規制改革や、再生可能電力普及の流れの中において、電力の伝達手段である送配電系統に求められる機能が、昨今大きく変わって来ている。このうち配電系統においては、今後多数の導入が予想される太陽光発電(Photovoltaics、PV)などの分散型電源への対処が大きな課題である。その一例として、配電系統の供給電圧を一定の範囲内(例えば、101±6V、202±20Vなど)に収めるように電圧管理する必要がある。
従来の配電系統の電圧管理における主な問題は、過負荷に伴う電圧降下であったが、分散型電源の配電系統においては、売電のための逆潮流が発生するため、その際の電圧上昇が大きな問題となる。今の配電系統においても、電圧降下の防止を前提とした設計及び運用は成されているが、電圧上昇の問題に関しては、ほとんど想定されていない。この電圧上昇問題に対処するため、パワーエレクトロニクス上の各種受動機器及び能動機器を利用するような、新しい電圧管理方式の検討が各所で開始されている。
ここで、新しい電圧管理方式の検討を行う場合には、柱上トランス接続相の問題が浮上する。これは、三相3線式の配電系統において、需要家との接点にあるトランスが、三種類ある配電線の組み合わせ(相)のうち、どの相で高圧側と接続されているか分からないと言う問題である。トランスの接続相に関しては、三相交流を平衡に保つため、複数の需要家の負荷ができるだけバランスがとれるように選択されているが、各需要家が接続されたトランスの接続相が具体的にいずれであるかについては、ほとんど記録及び管理されていない。このため、新しい電圧管理方式の適用を検討するに際しても、まずトランスの接続相の現状調査から考える必要がある。
通常、需要家10〜20軒に対して一つのトランスが設置されており、配電系統全体を考えると、接続相を判定すべきトランスの数は膨大である。従って、配電系統全体のトランスの接続相を人手で判定した場合には、大きなコスト及び時間を費やすことになってしまう。
そこで、以下の各実施形態では、トランスに接続された一部の需要家の消費電力の情報しか利用できない場合でも、トランスの接続相を判定することを目的としている。ここで、各実施形態で前提とするトランス接続相判定問題について、より詳細に説明する。
図1に、配電網の一例を示す。配電系統は三相3線式であり、柱上トランスの接続相には三つの可能性がある。ここでは、高圧側(6.6kV)の配電線をa線、b線、及びc線と呼び、トランス接続相として可能性のある配電線の組み合わせに対応して、ab相、bc相、及びca相とする。なお、実際の柱上トランスの多くは単相であるが、ここでは、接続相に複数の可能性があることを表現するため、柱上トランスを三相で表している。実際の配電系統では、トランスが接続される相は通常一つに限られ、トランス毎にいずれかの相を割り当てることによって、三相の負荷をバランスさせるような運用が行われている。
配電系統の高圧側には、センサ内蔵開閉器がいくつか設置されており、三種類の線電流及び線間電圧の測定値を取得することができる。需要家はトランスの二次側に接続されており、契約電圧(例えば100V)の供給を受ける。需要家の一部には、スマートメータ等の通信機能付きの電力メータが導入されており、需要家における消費電力が継時的に測定される。各需要家とトランスとの接続関係の情報は、電力会社によって管理されているが、トランスが接続されている接続相の情報までは、記録及び管理されていないのが一般的である。
トランス接続相の情報は、配電系統の電圧管理のために重要な意味を持っているが、その調査には大きなコスト及び時間がかかる。そこで、トランス接続相を、センサ内蔵開閉器及び需要家側の電力メータの測定情報に基づいて判定することを考える。以下では、この「トランス接続相判定問題」の具体的な条件について述べる。
トランス接続相の判定に利用できる情報を整理すると、以下のようになる。
(1)センサ内蔵開閉器の測定値
・配電系統の高圧側の線電流(a線、b線、c線)
・配電系統の高圧側の線間電圧(a−b線間、b−c線間、c−a線間)
(2)通信機能付き電力メータの測定値
・需要家の消費電力量(通信機能付き電力メータを導入している一部需要家のみ)
(3)需要家の管理情報
・各需要家とトランスとの接続関係(トランスの接続相は不明)
(1)のセンサ内蔵開閉器は、現在配電系統への導入が進んでいるが、一つのフィーダに対して、1〜数個程度の設置が現実的である。フィーダとは、配電用変電所から放射状に広がる配電系統の一部であり、都市部では通常、一つのフィーダに1000軒程度の需要家が含まれる。(2)の通信機能付き電力メータの普及率は、2012年2月現在で2%以下であるが、今後急速に設置が進むと考えられている。電力メータで電力量を測定するサンプリング間隔は、電力メータの機種によって異なるが、例えば30分間隔である。(3)については、接続関係の情報以外に、トランスの接続相の利用形態の情報も含まれる場合がある。例えば、電灯線の接続相はトランス当たり通常一つに限られること等である。
上記のように、現状利用可能な情報に基づいて、トランス接続相を判定することが、本実施形態の前提である「トランス接続相判定問題」である。
配電系統の電気的情報から、トランス接続相のような回路の接続関係を決めようとする場合、一般的には、回路理論的な計算をベースとすることが自然である。しかしながら、上述の利用可能な情報では、決定論的な回路計算を行うための情報が圧倒的に不足している。そのため、利用可能な情報に基づいて、回路理論的な計算によりトランス接続相を判定することは困難である。そこで次善の策として、利用可能な情報の統計的な相関情報などを利用することにより、トランス接続相を判定することが考えられる。
配電系統の高圧側及び低圧側(需要家側)で利用可能な情報の組み合わせから考えて、相関分析的な手法を実施するために、電力情報を用いることが考えられる。電力情報であれば、直接的な測定値が、高圧側及び低圧側の両方で取得可能である。仮に、高圧側の各配電線別の電力が計算可能であり、かつ電力の供給経路となる配電線が、需要家が接続されているトランス接続相に対して一意に決まるとする。この場合、配電線別の電力の時系列データと需要家の消費電力の時系列データとの相関分析を実施することによって、トランス接続相の判定を行うことができる。
しかし、例えば図1に示すような、三相3線式で各柱上トランスが三相のうちの何れか一つに接続されているような配電系統に対して、電力情報を用いた相関分析的な手法に基づくトランス接続相の判定は原理的に困難である(理由は後述)。そこで、本実施形態では、電力情報ではなく、電流情報を用いた相関分析によるトランス接続相の判定を行う。
<第1実施形態に係るトランス接続相判定装置の構成>
図2に示すように、第1実施形態に係るトランス接続相判定装置10は、判定部11及びフィルタ最適化部34を備える。判定部11はさらに、需要家選択部12、電流値計算部14、周波数成分計算部30、相関係数計算部16、接続相判定部18、及び出力処理部20を備える。
需要家選択部12は、接続相の判定を行うトランスを示すトランスIDを入力として受け付け、トランスIDに対応した配電区間及び需要家を選択する。
具体的には、例えば、図3に示すような配電系統を考える。図3の例は、三相3線式の回路であり、トランスは仮想的に三角結線された三相トランスであるとしている。実際の配電系統における柱上トランスの多くでは単相3線式のものが用いられ、利用される相も通常一つだけであるが、図3では、接続相に複数の可能性があることを扱うために、配電系統を仮想的な回路構成で表現している。本実施形態では、2つのセンサ内蔵開閉器に挟まれた区間を「配電区間」とする。また、需要家はトランスの二次側に接続されている。
配電区間とその配電区間に属するトランスとの対応関係、及びトランスとそのトランスに接続されている需要家との対応関係は、配電情報として配電情報記憶部22に記憶されている。需要家選択部12は、配電情報記憶部22に記憶された配電情報を参照して、受け付けたトランスIDに対応した配電区間及び需要家を選択する。
電流値計算部14は、選択された需要家における消費電力の時系列データを読み込み、消費電力の時系列データを電流値の時系列データに変換し、需要家における消費電力に起因する相電流の時系列データを計算する。需要家における消費電力の時系列データは、例えば需要家に設置されたスマートメータ等の通信機能付き電力メータで測定されたデータを用いることができる。需要家における消費電力は、例えば30分単位で測定され、需要家毎の消費電力の時系列データとして、消費電力データ記憶部24に記憶される。
周波数成分計算部30は、選択された配電区間における線電流の時系列データ、及び需要家における消費電力に起因する相電流の時系列データの各々をフーリエ変換して、線電流の周波数成分、及び相電流の周波数成分を計算する。なお、線電流の時系列データは、配電区間の両端を規定するセンサ内蔵開閉器で測定された電流値から求めることができる。
相関係数計算部16は、周波数成分計算部30で計算された線電流の周波数成分及び相電流の周波数成分を用いて、選択された配電区間における線電流と、需要家における消費電力に起因する相電流との相関係数を計算する。本実施形態では、図3に示すように、三相3線式の回路を想定しているため、相関係数計算部16は、配電系統の高圧側の各線(a線、b線、及びc線)の線電流と、需要家における消費電力に起因する相電流との間の三種類の相関係数を計算する。また、相関係数計算部16は、後述するフィルタ最適化部34によりフィルタ特性記憶部32に記憶された最適化されたフィルタの周波数特性を取得して、フィルタを適用した相関係数を計算する。
接続相判定部18は、相関係数計算部16で計算された三種類の相関係数に基づいて、対象のトランスが、高圧側のどの相と接続されているかを判定する。判定手法についての詳細は後述する。
出力処理部20は、接続相判定部18による判定結果を、表示装置に表示したり、印刷装置で印刷したりするための処理を行って出力する。
フィルタ最適化部34の詳細については後述する。
ここで、配電系統の高圧側の各線における線電流と、需要家における消費電力に起因する相電流との相関係数に基づいて、トランス接続相を判定することができる原理について説明する。
トランスの二次側に接続された需要家において電力が消費されると、トランスの一次側にも相電流が流れる。高圧側の各線に流れる電流は、上述のとおり、センサ内蔵開閉器により測定することが可能である。
図3に示すように、一つの配電区間に流入する正味の(複素)線電流I(・)を下記(1)式前半のように定義する。このとき、各線電流I(・)と相電流I(・) との関係は、キルヒホッフの法則から下記(1)式後半で表現される。なお、I(・)は、数式内では文字(「I」)の上に傍点(「・」)を付した記号で表しており、複素数であることを示す。
Figure 0006435756
ここで、I(・)は、x∈{a,b,c}であり、高圧側のx線を流れる(複素)電流である。I(・)x_SC1及びI(・)x_SC2は、x線の両端に設置されたセンサ内蔵開閉器の各々で測定された電流値である。I(・)は、y∈{ab,bc,ca}であり、トランスのy相の相電流である。I(・) は、y∈{ab,bc,ca}であり、第i需要家における消費電力に起因するy相の相電流である。nは、y相に接続されている需要家数である。
(1)式から分かるように、図3に示す回路では、トランスの相電流と配電線の線電流とが1対2で関係しており、需要家の電力消費の影響は、配電線三本のうちの二本に及ぶことになる。需要家がいずれの相に接続されたトランスに接続されている場合でも、二本のうち一本は重複することになるので、電力情報は高圧側と低圧側(需要家側)とで独立しておらず、相関分析による接続相判定には適していない。
これに対して電流は、相電流と線電流とが独立になる組み合わせが存在する。例えば(1)式から、ab相に接続されたある需要家における消費電力に起因するab相の相電流I(・) abは、線電流I(・)とは無関係であることが分かる。他の相電流と線電流との関係においても、同様に独立になる組み合わせが存在する。従って、このような相関性の差異を統計的分析によって推定できれば、トランス接続相の判定が可能である。そこで、以下では、電流情報を用いた相関分析によるトランス接続相の判定について説明する。
上述したように、配電系統の高圧側は三相3線式で構成されており、各相電流の間には2π/3の位相差がある。そこで、(1)式の後段を、振幅と位相とに分解した相電流を用いて表現すると、下記(2)式のようになる。
Figure 0006435756
また、相電流の振幅は、同相であれば実数値として加算してよいので、下記(3)式のようにまとめることができる。
Figure 0006435756
(2)式及び(3)式を用いて、a線の線電流の振幅を相電流で表現すると、下記(4)式のようになる。
Figure 0006435756
ここで、配電系統が対称三相交流であることを仮定すると、a線の線電流の振幅は、下記(5)式のようになる。なお、対称三相交流とは、三相の起電力及び周波数が等しく、位相差が全て2π/3の関係にあるものをいう。
Figure 0006435756
(5)式をテイラー展開して一次近似することにより、a線の線電流と、ab相の相電流及びca相の相電流との微小変化の関係を、下記(6)式のように表現することができる。
Figure 0006435756
さらに、各相に接続されている負荷インピーダンスが等しい平衡負荷であることを仮定すると、Iab=Icaであるから、平衡状態からの微小変化に関する下記(7)式の線型近似式が得られる。
Figure 0006435756
他の線電流についても同様な近似が可能であるから、下記(8)式に示す3つの近似式で線電流の微小変化を見積ることができる。
Figure 0006435756
相関分析を電流情報に適用するため、線電流の時系列データI(t)、及び相電流の時系列データI (t)を、下記(9−1)式で定義する。(9−1)式では、I(t)及びI (t)として、線電流の測定値I’(t)、及び相電流の測定値I’ (t)の各々を、それらの時間平均からの変動で表した値を使用している。
Figure 0006435756
なお、図3に示すような各配電区間に正味に流れる線電流I’(t)を、センサ内蔵開閉器の測定値から求める際に、線電流の振幅が同相であれば実数として扱える。そこで、下記(9−2)式のように、上流のセンサ内蔵開閉器(SC1)における測定値から下流のセンサ内蔵開閉器(SC2)における測定値を減算することにより、線電流I’(t)が得られる。
Figure 0006435756
また、(9−1)式における、トランスのy相に接続されたある需要家dにおける消費電力に起因する相電流I’ (t)は、下記(10)式を用いて、電力メータで測定された消費電力量から計算することができる。この場合の電圧値は、契約電圧を用いた定数として扱う。電力メータで測定される需要家における消費電力、及び契約電圧(実効値)から計算される電流値は実効値になるので、(10)式では、振幅(最大値)を求めるために√2倍している。(10)式により計算した電流値は、電力メータのサンプリング間隔における平均電流程度の意味しか持たないが、線電流の方にも等価な加工を施しておけば、統計的分析を実施する上での問題はない。
Figure 0006435756
ここで、P(t)は需要家dにおける消費電力の時系列データ、Vは需要家dの契約電圧(実効値)、及びkはトランス変圧比である。
このとき、各線電流の時系列データI(t)と相電流の時系列データI (t)との共分散σ x,d及び相関係数ρ x,dを、下記(11)式のように定義することができる。なお、以下の説明文では、需要家dにおける消費電力に起因する相電流として(10)式で定義したものを使用しているが、相関係数等の計算においては、定数倍を無視しても結果は同じであるため、(10)式のI’ (t)の変わりに、P(t)をそのまま使用してもかまわない。
Figure 0006435756
ここで、σは、I(t)の偏差、σ は、I (t)の偏差、Tは、時系列データのサンプリング点数である。
(11)式で定義した共分散及び相関係数は、添字x及びyの組み合わせによって、3×3=9通りある。これらの相関係数が具体的にどのような値を持つかは、各需要家における消費電力の時間的な変化、及び線電流と相電流との関係を規定するトランス接続相が、どのように設定されているかで決まる。
以下では、消費電力の時系列データに適当な仮定をおいた場合の相関係数の値について説明する。(8)式を適用すれば、各線電流値の時系列データは、下記(12)式で近似することができる。
Figure 0006435756
ここで、需要家dを含む全ての需要家の各々における消費電力に起因する相電流I (t)が、N(0,σ )の互いに独立な正規分布に従うと仮定する。まず、(11)式及び(12)式から、各線電流の時系列データI(t)の偏差σ、及び需要家dがab相に接続されている場合の線電流I(t)と相電流Iab (t)との共分散σab x,dを、下記(13)式に示すように求める。
Figure 0006435756
(13)式後段の結果は、需要家dにおける消費電力に起因するab相の相電流I ab(t)が、各線電流のうち、自己の相電流が原因となっている部分のみと相関があるという事情から得られたものである。これらの結果を相関係数の定義式に代入すれば、需要家dがab相に接続されているケースにおける、各線電流とab相の相電流との相関係数を、下記(14)式に示すように求めることができる。
Figure 0006435756
同様の計算は、需要家dが他の相に接続されているケースでも可能である。下記(15)式に、需要家dの接続相で場合分けした、各線電流と相電流との相関係数の近似式をまとめて記述する。
Figure 0006435756
(15)式に示すように、需要家dが接続されているトランス接続相と、値が近似的に0になる相関係数の種別とは一対一に対応する。また、値が近似的に0になる相関係数以外の相関係数については、需要家全体の各接続相への配分に応じた値を持つ。
ここまでは需要家dが単一であるとした試算を進めて来たが、同一のトランスに接続された複数の需要家における消費電力の情報を利用できる場合には、トランス接続相の判定精度を向上させることが可能である。
具体的には、測定時刻毎の各需要家における消費電力量の総和を取った、仮想的に大きな需要家を考えることによって、トランス接続相の判定精度の向上を図ることができる。例えばn軒の需要家の消費電力の時系列データが利用可能であるとする。また、この仮想的な需要家における消費電力に起因する相電流の分布が、N(0,nσ )の正規分布に従うものとする。この場合、相関係数の近似式は下記(16)式のように書き換えられ、相関係数の差が、nに比例して変化する。
Figure 0006435756
実際の相電流が、上記で仮定したような正規分布を持つとは限らない。しかし、一般の場合であっても、三種類ある相関係数のうち、他と比べて小さな値になる相関係数に対応した線種が、トランスの接続相に対応して一つ存在することについては同様である。この点に着目すれば、配電系統の高圧側の各線についての線電流の時系列データと、需要家における消費電力に起因する相電流の時系列データとの相関係数を計算して、比較することによって、需要家が接続されているトランスの接続相を判定することができる。
上記では、線電流と相電流との相関係数を、各々の時系列データを用いて計算する場合について説明したが、以下では、周波数領域の情報(周波数成分)のみを用いて計算する場合について説明する。周波数成分を用いることにより、電流情報に適用するフィルタ(詳細は後述)の最適化、及び第2実施形態で説明する量子化誤差の補正を容易にすることができる。
最初に、信号処理で一般的に用いられる相関関数及びそのスペクトルを下記(17)式に示すように導入する。
Figure 0006435756
ここで、Cxx(τ)は時系列データx(t)の自己相関関数、Cxy(τ)は時系列データx(t)とy(t)との相互相関関数、及びRxy(τ)は時系列データx(t)とy(t)との正規化相互相関関数である。また、x(t) ̄は時系列データx(t)の時間平均、及びTは時系列データの全区間長である。なお、x(t) ̄は、数式内では文字(「x(t」)の上にバー(「 ̄」)を付した記号で表している。本実施形態では、下記(18)式を相関係数とする。
Figure 0006435756
自己相関関数のフーリエ変換はパワースペクトルと呼ばれる関数になり、相互相関関数のフーリエ変換はクロススペクトルと呼ばれる関数になり、下記(19)式に示すようなフーリエ変換対をなす。
Figure 0006435756
ここで、Sxx(ω)は時系列データx(t)のパワースペクトル、及びSxy(ω)は時系列データx(t)とy(t)とのクロススペクトルである。
フーリエ変換は無限長の信号に対して定義されるものである。しかし、現実的には時系列データを適当な区間に区切ってそれぞれの区間のスペクトルをFFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)などで計算し、それらのアンサンブル平均を取ることによって、スペクトルを統計的に推定することがよく行われる。アンサンブル平均は、計測値などの集合に対して求めた平均値のことであり、ここでは、区切られた各区間に対してFFTにより求めたスペクトルについて、全ての区間の値からの平均値を周波数毎に求めて、全区間に対するスペクトルの推定値とすることを指す。下記(20)式に、上記のSxx(ω)及びSxy(ω)をアンサンブル平均で表す。
Figure 0006435756
ここで、*は複素共役を表し、< >はアンサンブル平均を表す。
(17)式及び(19)式から、相関係数と相関関数の各々との関係は、下記(21)式のようにまとめられる。
Figure 0006435756
ただし、(21)式の分子は、下記(22)式であることから、下記(23)式に示す相関係数とクロススペクトルとの関係式が得られる。
Figure 0006435756
ここで、Kxy(ω)は時系列データx(t)とy(t)とのコスペクトル、及びQxy(ω)は時系列データx(t)とy(t)とのクオドスペクトルである。さらに、相関係数は実数であることから、理論的には(23)式の積分の虚部は消えて、相関係数がクロススペクトルの実部(コスペクトル)から、下記(24)式のように算出できる。
Figure 0006435756
(24)式中の無限積分及び正規化項を離散近似すると、実数関数のコスペクトルは偶関数(Kxy(−ω)=Kxy(ω))であることから、下記(25)式となる。
Figure 0006435756
ここで、Re[ ]は複素数の実部をとる関数である。(25)式を(24)式に代入すると、相関係数を周波数成分のみを用いて再定義する下記(26)式が得られる。ここで、ωN−1はナイキスト(角)周波数である。
Figure 0006435756
なお、(26)式のようにアンサンブル平均を取ることは、周波数成分から相関係数を計算するために必須ではなく、単純に全区間に対して一回だけフーリエ変換を行う方式もあり得る。アンサンブル平均の取り方は、(26)式の例の他に、下記(27)式〜(29)式のような取り方をしてもよい。アンサンブル平均をどのように取るかは、計算対象となる時系列データの性質によって適宜選択可能である。本実施形態の場合では、接続相判定の精度の高低によって選択すればよい。
Figure 0006435756
次に、上記で説明した周波数成分を用いた相関係数の導出を、トランス接続相判定に使用する電流情報に関する相関係数に適用する場合について説明する。
まず、トランス接続相判定に使用する各種の電流情報及びそのフーリエ変換を、下記(30)式に示すように定義する。
Figure 0006435756
ここで、I(t)はx線の線電流の時系列データ(x∈{a,b,c})、I^(ω)はx線の線電流のスペクトル、I(t)は需要家dの消費に起因する相電流の時系列データ、及びI^(ω)は需要家dの消費に起因する相電流のスペクトルである。なお、I^は、数式内では文字(「I」)の上にハット(「^」)を付した記号で表している。また、(30)式における線電流及び相電流の時系列データは、(9−1)式のように全区間の平均値を減算して、平均値が0になるように加工されているものとする。
なお、(30)式に含まれる電流値の時系列データI(t)は,(10)式の関係により、需要家dの消費電力の時系列データであるP(t)と比例関係にある。従って、下記の(31)式以降で導入される相関係数ρxdの計算においては、I(t)やそのフーリエ変換であるI^(ω)の変わりに、P(t)やそのフーリエ変換であるP^(ω)を利用してもよい。以下では、I(t)やI^(ω)を利用する場合について説明する。
次に、上記で説明した一般的な時系列データのスペクトルと相関係数との関係を電流情報に適用することにより、各種電流値の時系列データ及びそのスペクトル類を、下記(31)式に示すように導入する。
Figure 0006435756
このとき、(24)式と同様のロジックに従って、I(t)(x∈{a,b,c})とI(t)との相関係数は、下記(32)式で計算できる。
Figure 0006435756
(32)式中の無限積分及び正規化項を離散近似すると、下記(33)式が得られる。
Figure 0006435756
(33)式を(32)式に代入すると、I(t)(x∈{a,b,c})とI(t)との相関係数は、下記(34)式のように計算できる。
Figure 0006435756
ここで、コスペクトルを正規化した関数NKxd(ω)(正規化子スペクトル)を定義すると、相関係数ρxdは、下記(35)式のように書くことができる。
Figure 0006435756
なお、(35)式で定義される相関係数ρxdにおける関数:NKxd(ω)の分子のクロススペクトル及び分母のパワースペクトルを推定するために、双方共アンサンブル平均を取る操作を含んでいる。これは、上記の一般論で述べた(26)式に相当するものである。従って、(26)式の場合と同様に、関数:NKxd(ω)のアンサンブル平均の取り方は、例えば下記(36)式〜(38)式の場合もあり得る。本実施形態では、(35)式の定義に沿って、以降の説明を行う。
Figure 0006435756
(35)式で算出された電流情報の周波数成分のみを用いた相関係数を使用し、上述した線電流の時系列データと相電流の時系列データとの相関係数ρx,d((16)式)を用いたトランス接続相の判定と同様のロジックにより、接続相を判定することができる。具体的には、下記のように判定することができる。なお、min{・}は最小値を返す関数である。なお、ρxd(x∈{a、b、c})は、線電流の時系列データI(t)と、相電流の時系列データI(t)との相関を周波数成分のみで表した相関係数である。
ρad=min{ρad,ρbd,ρcd}→bc相接続
ρbd=min{ρad,ρbd、ρcd}→ca相接続
ρcd=min{ρad,ρbd,ρcd}→ab相接続
次に、上記のような相関係数を用いたトランス接続相の判定精度について説明する。本実施形態では、判定精度の向上を図るために、計測された電流情報に対してフィルタを適用する。特に、本実施形態では、一般の関数系の特性を有するディジタルフィルタを適用するものとし、接続相の判定精度を向上させることができる特性を有するように、フィルタの最適化を行う。具体的には、以下のような手順でフィルタ最適化及び接続相判定を行う。
(1)線電流に対応して三種類計算できる相関係数の値から、接続相判定の信頼度指標となる確率変数αを定義し、αを周波数成分のみで表現したものを離散近似する。
(2)(1)の信頼度指標を複数需要家に対して求め、その周波数帯域毎の平均値及び分散共分散行列を得る。
(3)信頼度指標の平均値一定(例えば、1など)の制約下で、その分散を最小化するような最適フィルタ特性を二次計画法によって求める。
(4)最適化された特性のフィルタを適用した相関係数を算出し、接続相判定を行う。
なお、接続相の判定は、周波数成分のみの相関係数を用いて行うため、(3)において、フィルタの係数まで求める必要はない。
ここでは、一例として相関係数の差分を信頼度指標αとする場合について説明する。具体的には、下記(39)式に示すように、三種類計算できる相関係数のうち二つを使った差分を指標化する。
Figure 0006435756
ここで、αは第i需要家の相判定の信頼度指標、及びρxd(i)はx線の線電流と第i需要家の消費に起因する相電流の相関係数である。信頼度指標の計算に差分として使用する相関係数の組には、下記(41)式〜(43)式に示すようなものが考えられる。なお、mid{・}は中間値を返す関数である。
Figure 0006435756
現実的なケースでは、接続相の正解が既知の電流情報がフィルタ最適化のために利用可能な場合には(40)式〜(42)式を使用し、利用できない場合には(43)式を使用する。
(43)式を使用する場合は、min{・}関数により返されるmin値が、最小の相関係数の正解であるとは限らない。そのため、単純なハイパスフィルタを電流情報に適用してmin値が正解になる確率を向上させたものを原信号として扱い、これを用いてフィルタの最適化を行う。あるいは、単純なハイパスフィルタを電流情報に適用したものを用いた相判定を行った結果を仮の正解とし、(40)式〜(42)式の定義を信頼度指標としてフィルタ最適化を行ってもよい。また、これらの処理を繰り返し実行することにより、より精度の高い信頼度指標を求めるようにしてもよい。
(39)式の各項は、需要家i毎に変化する量であるが、これらを接続相判定の対象にしている需要家の母集団から抽出されるサンプルであると考え、離散化された各周波数に対応するA(ω)と、その全帯域にわたる総和としてのαを改めて確率変数として、下記(44)式に示すように定義する
Figure 0006435756
なお、差分として使用する相関係数の組として、(42)式を採用する場合のNKx2d(ω)は(35)式の定義に従って、下記(45)式に示すように求めればよい。また、(36)式〜(38)式の正規化コスペクトル定義を使うパターンもあり得る。
Figure 0006435756
また、差分として使用する相関係数の組として、(42)式以外を採用する場合には、(35)式の定義をそのまま用いる。また、(36)式〜(38)式の正規化コスペクトル定義を使うパターンもあり得る。
ここで(44)式について、異なる周波数に対応する確率変数A(ω)同士は独立でなく、何らかの共分散関係にあることを想定する。なお、特に正規分布を仮定しなくともよい。このとき、各需要家に対応する値A(ω)をサンプルとする信頼度指標の平均、分散、及び共分散は、下記(46)式のような関係を持っている。
Figure 0006435756
ここで、E[ ]は標本平均、Var[ ]は標本分散、Cov[ ]は標本共分散、A(ω)は第i需要家の信頼度指標の周波数成分、及びNK xd(ω)は第i需要家の正規化コスペクトルである。
(44)式で定義される確率変数としての信頼度指標αは、需要家の母集団に対応した確率分布を持つ。相判定の信頼度としては、αの平均値は大きいほど、分散は小さいほど良いと考えられる。しかしながら、電力需要の日周期性などに起因する擬似的な相関関係が、相判定に対して悪影響を与える場合があり、相判定に対する有効性はαの帯域毎に異なっていると考えられる。
そこで、下記(47)式に示すように、(44)式の周波数成分の和に適当な係数を乗算するディジタルフィルタを考え、これらの係数を最適化することを考える。ここでの係数bはフィルタの周波数特性を表現している。
Figure 0006435756
このとき、フィルタを適用する前後の統計量は、下記(48)式のような関係を持つことになる。
Figure 0006435756
上記の周波数特性を有するディジタルフィルタの出力に対し、その平均値を一定にしたときの分散値の最小化問題の解として、最適フィルタの周波数特性b に相当する特性ベクトルb=(b ,・・・,b N−1を求める。なお、なお、bは、数式内では文字(「b」)の上にチルダ(「〜」)を付した記号で表している。(48)式から、この最適化問題は、下記(49)式に示すような二次計画問題に定式化できる。
Figure 0006435756
この問題は、フィルタ出力の平均値が一定であるという制約の下に、分散値を最小化する問題になっている。確率分布の視点で言うと、確率変数であるα’(平均:μα’、分散:σα’ )は、フィルタの周波数特性を変化させることによって、その分布が変化するが、このときのσα’ /μα、あるいはσα’/μα’をμα’=1の制約下で最小化していることになる。前者はいわゆるSN比(SNR)の逆数的な量、後者は変動係数と呼ばれる統計量であり、これらは測定値等の確率分布の質を定量化するためによく用いられる。従って、μα’=1に固定したときの目的関数の最小値として得られる最小分散σ α’ または最小標準偏差:σ α’、及びこれらの逆数は、接続相判定結果の信頼度として利用することができる。
本実施形態では(26)式のように、相関係数を周波数成分のみから計算できるように定式化したことにより、最適フィルタの周波数特性を決定する問題を、(49)式のような、フィルタ出力を一定にする制約下で、信頼度指標の分散値を最小にするようなフィルタの周波数特性を求める二次計画問題に帰着することを可能にしている。(49)式で目的関数になっている二次形式の表現行列Gは分散共分散行列であるため、対称な半正定値行列であり、目的関数は凸関数になる。また、制約式も全て線形であるため、この問題は凸二次計画と呼ばれる解き易い二次計画問題に属することになり、大域的な最適解が存在することが知られている。
なお、このような二次計画問題化のベースとする信頼度指標は、(39)式の例に限定されるものではなく、指標が周波数成分の線形和で表現できる量であれば、様々なものを利用した分散の最小化問題を考えることができる。また、上記では、フィルタ出力の平均を1としているが、この値は任意でよく、求められる最適フィルタの周波数特性b は定数倍の自由度をもつため、倍率を後で調整することも可能である。
次に、最適フィルタの適用について説明する。上記の問題を解いて得た最適フィルタの周波数特性b (k=0,・・・,N−1)を接続相判定に利用するには、フィルタ適用後の相関係数ρ xdを計算して、その大きさを比較すればよい。
具体的には、フィルタ適用後の相関係数ρ xdを、(35)式で定義した正規化コスペクトル使って、下記(50)式のように算出することができる。なお、(36)式〜(38)式の正規化コスペクトル定義を使うパターンもあり得る。
Figure 0006435756
また、別の算出方法として、下記(51)式に示すように、最適フィルタを相関係数の算出に用いる電流情報の全てに適用する方式もある。
Figure 0006435756
従って、本実施形態におけるフィルタ最適化部34は、電流値計算部14、周波数成分計算部30、及び相関係数計算部16を機能させて、上記(49)式に示す凸二次計画を解いて、最適フィルタの周波数特性b を計算する。フィルタ最適化部34は、計算した最適フィルタの周波数特性b をフィルタ特性記憶部32に記憶する。
トランス接続相判定装置10は、例えば図4に示すコンピュータ40で実現することができる。コンピュータ40はCPU41、一時記憶領域としてのメモリ42、及び不揮発性の記憶部43を備える。また、コンピュータ40は、入出力装置48が接続される入出力インターフェース(I/F)44を備える。また、コンピュータ40は、記録媒体49に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部45、及びインターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F46を備える。CPU41、メモリ42、記憶部43、入出力I/F44、R/W部45、及びネットワークI/F46は、バス47を介して互いに接続される。
記憶部43はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部43には、コンピュータ40をトランス接続相判定装置10として機能させるためのトランス接続相判定プログラム50が記憶される。CPU41は、トランス接続相判定プログラム50を記憶部43から読み出してメモリ42に展開し、トランス接続相判定プログラム50が有するプロセスを順次実行する。
トランス接続相判定プログラム50は、需要家選択プロセス52、電流値計算プロセス54、周波数成分計算プロセス56、相関係数計算プロセス58、接続相判定プロセス60、出力処理プロセス62、及びフィルタ最適化プロセス64を有する。
CPU41は、需要家選択プロセス52を実行することで、図2に示す需要家選択部12として動作する。また、CPU41は、電流値計算プロセス54を実行することで、図2に示す電流値計算部14として動作する。また、CPU41は、周波数成分計算プロセス56を実行することで、図2に示す周波数成分計算部30として動作する。また、CPU41は、相関係数計算プロセス58を実行することで、図2に示す相関係数計算部16として動作する。また、CPU41は、接続相判定プロセス60を実行することで、図2に示す接続相判定部18として動作する。また、CPU41は、出力処理プロセス62を実行することで、図2に示す出力処理部20として動作する。また、CPU41は、フィルタ最適化プロセス64を実行することで、図2に示すフィルタ最適化部34として動作する。これにより、トランス接続相判定プログラム50を実行したコンピュータ40が、トランス接続相判定装置10として機能することになる。
なお、トランス接続相判定装置10は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
<第1実施形態に係るトランス接続相判定装置の作用>
次に、第1実施形態に係るトランス接続相判定装置10の作用について説明する。トランス接続相判定装置10に、接続相の判定対象のトランスを示すトランスIDが入力されると、トランス接続相判定装置10において、図5に示す判定処理が実行される。
図5に示す判定処理のステップS10で、需要家選択部12が、入力されたトランスIDを受け付ける。
次に、ステップS12で、需要家選択部12が、配電情報記憶部22から、受け付けたトランスIDに対応する配電区間及び需要家を選択する。ここで、配電情報記憶部22には、例えば図6に示すような配電情報テーブルが記憶されている。図6の配電情報テーブルでは、需要家毎に、その需要家を示す需要家IDと、その需要家が接続されているトランスを示すトランスIDと、そのトランスが属する配電区間を示す配電区間IDとが対応付けられて記憶されている。ここでは、図3に示すように、配電系統の上流側と下流側とに設置されたセンサ内蔵開閉器に挟まれた配電区間が、直列にいくつもつながった配電系統を想定している。そして、例えば、センサ内蔵開閉器(SC1)とセンサ内蔵開閉器(SC2)とに挟まれた配電区間を示す配電区間IDを、「I1−2」のように定めている。
また、図6の配電情報テーブルは、各需要家の消費電力データが利用可能か否かを示すデータ可用性フラグを含む。例えば、需要家に設置されたスマートメータ等の電力メータが、トランス接続相判定装置10とネットワークを介して接続されている場合には、その需要家の消費電力データが利用可能であるとして、データ可用性フラグが「有」に設定される。また、図6の配電情報テーブルは、接続相が既知のトランスについて、その「接続相」が記憶されている。「接続相」の情報は、後述するフィルタ最適化処理で使用される。
従って、需要家選択部12は、上記ステップS10で受け付けたトランスIDと一致するトランスIDに対応付けられた需要家ID及び配電区間IDを選択する。なお、需要家IDを選択する際には、データ可用性フラグが「有」のものを選択する。また、該当の需要家IDが複数存在する場合には、複数の需要家IDを取得する。
次に、ステップS14で、電流値計算部14が、上記ステップS12で選択された需要家IDに対応する消費電力データを、消費電力データ記憶部24から読み込む。消費電力データ記憶部24には、例えば図7に示すような消費電力データテーブルが記憶されている。図7の消費電力データテーブルでは、スマートメータで一定のサンプリング時間間隔(図7の例では30分)で測定された消費電力量[kWh]が、需要家毎の消費電力の時系列データとして蓄積されている。
上記ステップS12で選択された需要家IDが1件の場合には、その需要家IDに対応した消費電力データを、消費電力データテーブルからそのまま読み込めばよい。例えば、図6及び図7の例で、トランスID=T1が入力された場合には、需要家ID=d1のみが選択されるため、消費電力データテーブルから、需要家ID=d1に対応する消費電力データをそのまま読み込めばよい。
また、上記ステップS12で選択された需要家IDが複数ある場合には、複数の需要家IDに対応する複数の消費電力データを読み込む。そして、複数の消費電力データのサンプリング時刻毎の消費電力量を加算して、仮想的な需要家の消費電力データを作成する。
例えば、図6及び図7の例で、トランスID=T2が入力された場合には、需要家ID=d2,d3が選択される。なお、d4はデータ可用性フラグが「無」のため選択されない。そして、消費電力データテーブルから、需要家ID=d2に対応する消費電力データ、及び需要家ID=d3に対応する消費電力データを読み込む。そして、「0:00」の消費電力量=0.65+0.51=1.16、「0:30」の消費電力量=0.62+0.44=1.06、・・・のような仮想的な需要家の消費電力データを作成する。これにより、個々の需要家IDに対応する消費電力データをそのまま用いる場合よりも、S/N比が改善された消費電力データとなり、後段の処理で計算される相関係数の精度が向上する。
次に、ステップS16で、電流値計算部14が、上記ステップS14で読み込んだ消費電力データ、または作成した仮想的な需要家の消費電力データを、(10)式により電流値に変換する。この電流値は、選択された需要家における消費電力に起因する相電流の時系列データに相当する。
次に、ステップS18で、周波数成分計算部30が、上記ステップS12で選択された配電区間IDが示す配電区間における三種類の線電流を、線電流データ記憶部26から読み込む。線電流データ記憶部26には、例えば図8に示すような線電流データテーブルが記憶されている。図8の線電流データテーブルでは、配電区間IDが示す配電区間のa線、b線、及びc線の各々において、一定のサンプリング時間間隔(図8の例では30分)で測定された正味の電流値[A]が、線電流の時系列データとして蓄積されている。線電流の電流値は、その配電区間の両端に配置されたセンサ内蔵開閉器で測定された電流値を用いて、(9−2)式により計算された値を用いることができる。
次に、ステップS20で、上記ステップS16で計算した需要家における消費電力に起因する相電流の時系列データ、及び上記ステップS18で読み込んだ線電流の時系列データの各々について、FFTなどによりフーリエ変換して、周波数成分を計算する。具体的には、周波数成分計算部30が、(30)式中の線電流のスペクトルI^(ω)、及び需要家dの消費に起因する相電流のスペクトルI^(ω)を計算する。
次に、ステップS22で、相関係数計算部16が、上記ステップS20で計算された相電流及び線電流の各々の周波数成分を用いて、最適化されたフィルタを適用した相関係数を計算する。具体的には、相関係数計算部16が、線電流のスペクトルI^(ω)及び相電流のスペクトルI^(ω)と、フィルタ特性記憶部32に記憶された最適フィルタの周波数特性b とを用いて、(50)式または(51)式から、相関係数ρ xdを計算する。
次に、ステップS24で、接続相判定部18が、上記ステップS22で計算された三種類の相関係数のうち、相関係数ρ adが最小か否かを判定する。相関係数ρ adが最小の場合には、処理はステップS26へ移行し、相関係数ρadが最小ではない場合には、処理はステップS28へ移行する。ステップS26では、接続相判定部18が、ステップS10で受け付けられたトランスIDが示すトランスの接続相はbc相であると判定する。
一方、ステップS28では、上記ステップS22で計算された三種類の相関係数のうち、相関係数ρ bdが最小か否かを判定する。相関係数ρ bdが最小の場合には、処理はステップS30へ移行し、相関係数ρ bdが最小ではない場合には、処理はステップS32へ移行する。ステップS30では、接続相判定部18が、ステップS10で受け付けられたトランスIDが示すトランスの接続相はca相であると判定する。
処理がステップS30へ移行した場合、すなわち、ステップS24及びS28が否定判定の場合は、相関係数ρ cdが最小であるため、接続相判定部18が、ステップS10で受け付けられたトランスIDが示すトランスの接続相はab相であると判定する。
次に、ステップS34で、出力処理部20が、上記ステップS26、S30、またはS32の判定結果を、表示装置に表示したり、印刷装置で印刷したりするための処理を行って出力する。なお、上記ステップS26、S30、またはS32の判定結果は、(15)式に従っている。
次に、図9を参照して、上記の判定処理に先立って行われるフィルタ最適化処理について説明する。
図9に示すフィルタ最適化処理のステップS40で、フィルタ最適化部34が、フィルタ最適化のために指定された複数のトランスIDから1つのトランスIDを選択する。次に、ステップS42〜52で、上記判定処理のステップS12〜S22と同様の処理により、選択したトランスIDについての線電流と相電流との相関係数ρxdを計算する。ただし、判定処理時と異なり、最適フィルタの周波数特性b がまだ求まっていないため、相関係数は(35)式により計算する。
次に、ステップS54で、フィルタ最適化部34が、フィルタ最適化のために指定された全てのトランスIDについて処理が終了したか否かを判定する。未処理のトランスIDが存在する場合には、処理はステップS40に戻り、次のトランスIDを選択し、ステップS42〜S52の処理を繰り返す。全てのトランスIDについて処理が終了すると、処理はステップS56へ移行する。
ステップS56では、フィルタ最適化部34が、指定された全トランス(仮想的な需要家の集合に対応)の相関係数値ρxdを使って、各トランスに対応する信頼度指標の周波数成分を計算する。具体的には、フィルタ最適化部34は、(46)式のA(ω)を全てのトランスについて求める。なお、信頼度指標の計算の差分として使用する相関係数の組として、(40)式〜(42)式を採用する場合には、配電情報テーブルに既知の接続相が記憶されているトランスIDについて計算された相関係数を正解接続相の相関係数として用いればよい。
次に、ステップS58で、フィルタ最適化部34が、上記ステップS56で求めた各トランスIDに対応するA(ω)から、その平均、分散、及び共分散を計算する。具体的には、フィルタ最適化部34は、(46)式のE[A(ω)]、Var[A(ω)]、及びCov[A(ω),A(ω)]を全て求める。
次に、ステップS60で、フィルタ最適化部34が、上記ステップS58で求めたE[A(ω)]、Var[A(ω)]、及びCov[A(ω),A(ω)]を使用して、(49)式の二次計画問題を設定する。そして、フィルタ最適化部34は、既存技術である凸二次計画の解法を用いて、設定した二次計画問題を解いて、最適フィルタの周波数特性b (特性ベクトルb=(b ,・・・,b N−1)を求める。
次に、ステップS62で、フィルタ最適化部34が、求めた最適フィルタの周波数特性b をフィルタ特性記憶部32に記憶して、フィルタ最適化処理は終了する。フィルタ特性記憶部32に記憶された最適フィルタの周波数特性b は、上述のように、判定処理(図5)のステップS22で相関係数を計算する際に適用されるフィルタの特性として使用される。
以上説明したように、第1実施形態に係るトランス接続相判定装置10によれば、配電系統の高圧側の各配電線の線電流と、トランスに接続された需要家における消費電力に起因する相電流との相関係数を、電流情報の周波数成分のみを用いて計算する。この線電流の線種毎に計算される相関係数は、消費電力の情報を利用できる需要家が一部であっても、他と比べて小さな値になるものが、トランスの接続相に対応して一つ存在する。そのため、トランスに接続された一部の需要家の消費電力の情報しか利用できない場合でも、トランスの接続相を判定することができる。
また、第1実施形態に係るトランス接続相判定装置10によれば、相関係数を計算する際に最適化されたフィルタを適用する。相関係数の計算を電流情報の周波数成分のみで行うため、一般の関数系を対象にしたディジタルフィルタの最適化を実現することができる。
<第2実施形態に係るトランス接続相判定装置の構成>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態に係るトランス接続相判定装置10と同様の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すように、第2実施形態に係るトランス接続相判定装置210は、需要家選択部12、電流値計算部14、周波数成分計算部30、量子化誤差計算部36、相関係数計算部216、接続相判定部18、及び出力処理部20を備える。
量子化誤差計算部36は、線電流の測定値(アナログ信号)をディジタル信号に量子化する際の量子化誤差の影響を、相関係数計算部216により計算される相関係数から除外するための量子化誤差の周波数成分を計算する。
相関係数計算部216は、周波数成分計算部30で計算された各線電流の周波数成分及び相電流の周波数成分と、量子化誤差計算部36で計算された量子化誤差の周波数成分とを用いて、線電流と相電流との相関係数ρxdを計算する。
ここで、センサ内蔵開閉器(SLGS)を使用して取得される高圧側の各線電流のデータは、高圧電流の測定であるため、計測器内で最終的に離散化される際に大きな量子化誤差が入ってしまう場合がある。そこで、第2実施形態では、量子化誤差のスペクトル関数が既知であることを仮定し、量子化誤差のスペクトル関数を使った補正を実施した後に相関係数を算出することによって、相判定に対する量子化誤差の影響を低減する。
まず、本実施形態のトランス接続相判定問題における量子化誤差について説明する。
アナログ信号の量子化に伴う誤差は、その量子化幅のなかでランダムに変動するノイズであるため、しばしば単純なホワイトノイズとして扱われる。ホワイトノイズとは、平均値が0で有限な分散を持つようなランダムノイズであり、その分布には正規分布(ガウシアンノイズ)が仮定されることが多い。しかし、本実施形態で想定する量子化誤差は必ずしも正規分布に限定されるものではなく、実際、ディジタイズを四捨五入で行う場合の量子化誤差は、量子化幅の上で一様分布する。
ホワイトノイズの著しい特徴は、そのパワースペクトルが定数関数になることである。厳密に定数になるには理論的に無限長のノイズが必要になるが、問題としている帯域内での変化が充分なだらかであるならば、実質的な定数として扱ってよいと考えられる。ここでは量子化誤差を、以下のような加法的ノイズとして定義する。
Figure 0006435756
ここで、I’(t)は量子化後に観測される線電流の時系列データ、I(t)は真の線電流の時系列データ、I^’(ω)は量子化後に観測される線電流のスペクトル、及びI^(ω)は真の線電流のスペクトルである。I(t)及びI^(ω)は観測不可能な値である。また、φ(t)は量子化誤差の時系列データ、及びΦ(ω)は量子化誤差のスペクトルである。
なお、本実施形態では、高圧側の線電流値が高圧電流の測定になるため、量子化誤差の影響が大きく、これに比べると需要家の消費に起因する相電流への量子化誤差の影響は小さいと見て無視している。ただし、後者についても線電流と同様の扱いで量子化誤差の補正を導入することは容易である。
量子化誤差φ(t)を理想的なホワイトノイズとして扱う場合のパワースペクトル|Φ(ω)|は、定数関数であり、誤差が量子化幅(4[A]など)のなかで一様分布する際の理論値は、下記(53)式のようになることが知られている。
Figure 0006435756
ここで、σφ はφ(t)の分散、及びΔは量子化幅である。
定数関数でなくとも、量子化誤差のパワースペクトル|Φ(ω)|を既知としてよい場合には、|Φ(ω)|を使って補正した相関係数を用いることによって、量子化誤差が接続相判定に与える影響を原理的には排除することが可能である。具体的には、(32)式の計算に際して、|Φ(ω)|を使った補正を実施してから相関係数を算出すればよい。
まず、(32)式中のコスペクトルKxd(ω)及び自己相関関数Cxx(0)に対して、下記(54)式のような補正を加える。
Figure 0006435756
ここで、量子化誤差のスペクトルΦ(ω)の位相がランダムであり、かつ電流情報のスペクトルとは独立であることを仮定する。この場合、<Φ>=0,<ΦI^>=<Φ><I^>=0であることから、(54)式のアンサンブル平均は、下記(55)式のように書き換られる。
Figure 0006435756
(55)式を(33)式に用いれば、線電流と需要家dの消費に対応する相電流との相関係数ρxdについて、量子化誤差の影響を補正して計算した結果は、下記(56)式で与えられる。
Figure 0006435756
さらに、量子化誤差のスペクトル振幅を実定数関数(|Φ(ω)|=C)と見なしてよい場合には、(56)式は下記(57)式のように簡略化される。
Figure 0006435756
なお、需要家側の相電流に対しても量子化誤差の補正を考える場合の相関係数の計算式は下記(58)式のようになる。
Figure 0006435756
(58)式で、|Φ(ω)|は線電流の量子化誤差のパワースペクトル、|Φ(ω)|は需要家側の相電流の量子化誤差のパワースペクトルである。また、Φ(ω)及びΦ(ω)の位相がランダムであり、かつ電流情報のスペクトルとは独立、量子化誤差のスペクトル同士も独立であることを仮定する。この場合、<Φ>=<Φ>=0、<ΦI^>=<Φ><I^>=0、<ΦI^>=<Φ><I^>=0、<ΦΦ>=<Φ><Φ>=0とできることを使っている。
前述のような補正を行うためには、量子化誤差のパワースペクトル|Φ(ω)|を具体的に推定する必要があるが、この推定には以下のような方法があり得る。
(1)(53)式のような理論値を採用する。
(2)パワースペクトル推定のために、量子化前後の時系列データが利用できる場合には、多数のサンプルの統計処理などから、|Φ(ω)|を実関数や実定数関数のかたちで推定する。
以下では、(2)の具体的な手順を述べる。量子化前後の時系列データが利用できる場合の量子化誤差のスペクトルは、(52)式から、下記(59)式で与えられる。
Figure 0006435756
量子化誤差はランダム信号であることから、通常は全区間をいくつかの区間で区切り、FFTなどで区間毎に求めたパワースペクトルのアンサンブル平均<|Φ(ω)|>で推定したスペクトル(直接法)が用いられる。さらに、スペクトルが定数関数であることを仮定する場合には、下記(60)式に示すように周波数軸上でさらに平均を取ることによって定数値を推定すればよい。
Figure 0006435756
トランス接続相判定装置210は、例えば図4に示すコンピュータ40で実現することができる。記憶媒体としての記憶部43には、コンピュータ40をトランス接続相判定装置210として機能させるためのトランス接続相判定プログラム250が記憶される。CPU41は、トランス接続相判定プログラム250を記憶部43から読み出してメモリ42に展開し、トランス接続相判定プログラム250が有するプロセスを順次実行する。
トランス接続相判定プログラム250は、需要家選択プロセス52、電流値計算プロセス54、周波数成分計算プロセス56、量子化誤差計算プロセス66、相関係数計算プロセス258、接続相判定プロセス60、及び出力処理プロセス62を有する。
CPU41は、相関係数計算プロセス258を実行することで、図10に示す相関係数計算部216として動作する。また、CPU41は、量子化誤差計算プロセス66を実行することで、図10に示す量子化誤差計算部36として動作する。他のプロセスについては第1実施形態に係るトランス接続相判定プログラム50と同様である。これにより、トランス接続相判定プログラム250を実行したコンピュータ40が、トランス接続相判定装置210として機能することになる。
なお、トランス接続相判定装置210は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC等で実現することも可能である。
<第2実施形態に係るトランス接続相判定装置の作用>
次に、第2実施形態に係るトランス接続相判定装置210の作用について説明する。トランス接続相判定装置210において、図11に示す判定処理が実行される。なお、第1実施形態における判定処理(図5)と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図11に示す判定処理のステップS10〜S20で、第1実施形態と同様に、線電流のスペクトルI’^(ω)、及び需要家dの消費に起因する相電流のスペクトルI^(ω)を計算する。次に、ステップS36で、量子化誤差計算部36が、(53)式、(59)式、または(60)式により、量子化誤差のスペクトルΦ(ω)を計算する。
次に、ステップS38で、相関係数計算部216が、上記ステップS20で計算された相電流及び線電流の各々のスペクトルと、上記ステップS36で計算された量子化誤差のスペクトルとを用いて、相関係数ρxdを計算する。具体的には、相関係数計算部216は、線電流のスペクトルI’^(ω)、需要家dの消費に起因する相電流のスペクトルI^(ω)、及び量子化誤差のスペクトルΦ(ω)を用いて、(56)式、(57)式、または(51)式により、相関係数ρxdを計算する。
以下、第1実施形態の判定処理と同様に、ステップS24〜S34で、相関係数ρ-xdを用いて、トランス接続相を判定する。なお、ステップS24のρ adはρadに、ステップS28のρ bdはρbdに読み替える。
以上説明したように、第2実施形態に係るトランス接続相判定装置210によれば、第1実施形態と同様に、トランスに接続された一部の需要家の消費電力の情報しか利用できない場合でも、トランスの接続相を判定することができる。さらに、量子化誤差を計算して、接続相判定の際に量子化誤差の影響を補正することができる。相関係数の計算と同様に、量子化誤差についても周波数成分で計算するため、量子化誤差そのものを時間軸上で補正する必要がない。
また、第1実施形態及び第2実施形態共に、配電系統の高圧側の各配電線の線電流の情報は、センサ内蔵開閉器で測定される測定値から求めることができる。また、需要家における消費電力の情報は、需要家に設置されたスマートメータ等の通信機能付き電力メータで測定される測定値を用いることができる。このように、センサ内蔵開閉器及び通信機能付き電力メータで測定される情報のみを利用して、トランスの接続相を判定することができる。
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、判定精度の向上のために、最適化されたフィルタを適用した相関係数を計算してもよい。量子化誤差の影響を補正する場合、適用するフィルタは、一般に量子化誤差の影響補正前後で異なる特性を持ったものになる。そのため、量子化誤差の影響補正後のデータに対してフィルタ最適化を実施するためには、下記(61)式に示すように、確率変数化した正規化コスペクトルの差分に、(54)式を使った補正を加える必要がある。
Figure 0006435756
補正を加えた結果は、Φ(ω)を一般の実数関数として扱う場合には下記(62)式、実定数関数(|Φ(ω)|=C∈実数)とみなせる場合には下記(63)式のようになる。
Figure 0006435756
量子化誤差の影響を補正して最適フィルタを求める場合には、上の値を多数の需要家について求めたサンプルからの統計量を使用して作成した、(49)式の最適化問題を解けばよい。
(62)式や(63)式の結果をもとに、(49)式の問題を解いて得た最適フィルタの周波数特性b (特性ベクトルb=(b ,・・・,b N−1)を接続相判定に利用する。具体的には、(50)式または(51)式の相関係数の計算式を量子化誤差の影響を補正するように書き換えればよく、下記(64)式または(65)式となる。
Figure 0006435756
接続相判定では、(64)式または(65)式の相関係数ρ xdを用いて、第1実施形態と同様に判定すればよい。
上記のように、トランス接続相判定の基準となる相関係数の計算を、時間領域の情報ではなく、周波数領域の情報のみを用いて実施することにより、以下のことが実現できる。
(1)一般の関数形を対象にしたディジタルフィルタ最適化
(2)電流測定に付随する量子化誤差が、相関係数の算出に与える影響の軽減
これにより、最終的に接続相判定の精度が向上する。
また、上記では、トランス接続相判定プログラム50、250が記憶部43に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得する取得部と、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算する周波数成分計算部と、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記周波数成分計算部で計算された各々の周波数成分を用いて計算する相関値計算部と、
前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する判定部と、
を含むトランス接続相判定装置。
(付記2)
前記相関値計算部は、前記相関値の差分に基づく信頼度が高くなるように最適化されたフィルタを適用して、前記相関値の各々を計算する付記1記載のトランス接続相判定装置。
(付記3)
前記信頼度を、前記相関値の各々のうち、相関が最も低いことを表す第1の相関値と、相関が二番目に低いことを表す第2の相関値または前記第1の相関値を除く相関値の平均との差に基づく指標とした付記2記載のトランス接続相判定装置。
(付記4)
複数の需要家の各々で消費された電力値に起因する電流値の周波数成分の各々から得られる複数の相関値に基づく前記信頼度を確率変数で定義し、前記確率変数に前記フィルタを乗算した場合の出力の平均を一定とした場合に、該出力の分散値が最小化するように、前記確率変数の平均、分散、及び共分散を用いて、凸二次計画法により前記フィルタを最適化するフィルタ最適化部を含む付記2または付記3記載のトランス接続相判定装置。
(付記5)
前記電力値または前記電力値に起因する電流値、及び前記複数の配電線の各々を流れる電流値の少なくとも一方の量子化誤差の周波数成分を計算する量子化誤差計算部を含み、
前記相関値計算部は、前記量子化誤差計算部で計算された量子化誤差の影響を補正した相関値を計算する
付記1〜付記4のいずれか1項記載のトランス接続相判定装置。
(付記6)
前記量子化誤差計算部は、前記量子化誤差が量子化幅で一様分布すると仮定した際の理論値、または、量子化前後の電流値の複数のサンプルを統計処理して得られる推定値を、前記量子化誤差として計算する付記5記載のトランス接続相判定装置。
(付記7)
コンピュータに、
複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得し、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算し、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、計算された各々の周波数成分を用いて計算し、
前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する
ことを含む処理を実行させるトランス接続相判定方法。
(付記8)
前記相関値を計算する際に、前記相関値の差分に基づく信頼度が高くなるように最適化されたフィルタを適用して、前記相関値の各々を計算する付記7記載のトランス接続相判定方法。
(付記9)
前記信頼度を、前記相関値の各々のうち、相関が最も低いことを表す第1の相関値と、相関が二番目に低いことを表す第2の相関値または前記第1の相関値を除く相関値の平均との差に基づく指標とした付記8記載のトランス接続相判定方法。
(付記10)
前記コンピュータに、
複数の需要家の各々で消費された電力値に起因する電流値の周波数成分の各々から得られる複数の相関値に基づく前記信頼度を確率変数で定義し、前記確率変数に前記フィルタを乗算した場合の出力の平均を一定とした場合に、該出力の分散値が最小化するように、前記確率変数の平均、分散、及び共分散を用いて、凸二次計画法により前記フィルタを最適化する
ことをさらに含む処理を実行させる付記8または付記9記載のトランス接続相判定方法。
(付記11)
前記コンピュータに、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値、及び前記複数の配電線の各々を流れる電流値の少なくとも一方の量子化誤差の周波数成分を計算することをさらに含む処理を実行させ、
前記相関値を計算する際に、計算された量子化誤差の影響を補正した相関値を計算する
付記7〜付記10のいずれか1項記載のトランス接続相判定方法。
(付記12)
前記量子化誤差を計算する際に、前記量子化誤差が量子化幅で一様分布すると仮定した際の理論値、または、量子化前後の電流値の複数のサンプルを統計処理して得られる推定値を、前記量子化誤差として計算する付記11記載のトランス接続相判定方法。
(付記13)
コンピュータに、
複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得し、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算し、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、計算された各々の周波数成分を用いて計算し、
前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する
ことを含む処理を実行させるためのトランス接続相判定プログラム。
(付記14)
前記相関値を計算する際に、前記相関値の差分に基づく信頼度が高くなるように最適化されたフィルタを適用して、前記相関値の各々を計算する付記13記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記15)
前記信頼度を、前記相関値の各々のうち、相関が最も低いことを表す第1の相関値と、相関が二番目に低いことを表す第2の相関値または前記第1の相関値を除く相関値の平均との差に基づく指標とした付記14記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記16)
前記コンピュータに、
複数の需要家の各々で消費された電力値に起因する電流値の周波数成分の各々から得られる複数の相関値に基づく前記信頼度を確率変数で定義し、前記確率変数に前記フィルタを乗算した場合の出力の平均を一定とした場合に、該出力の分散値が最小化するように、前記確率変数の平均、分散、及び共分散を用いて、凸二次計画法により前記フィルタを最適化する
ことをさらに含む処理を実行させるための付記14または付記15記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記17)
前記コンピュータに、
前記電力値または前記電力値に起因する電流値、及び前記複数の配電線の各々を流れる電流値の少なくとも一方の量子化誤差の周波数成分を計算することをさらに含む処理を実行させ、
前記相関値を計算する際に、計算された量子化誤差の影響を補正した相関値を計算する
付記13〜付記16のいずれか1項記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記18)
前記量子化誤差を計算する際に、前記量子化誤差が量子化幅で一様分布すると仮定した際の理論値、または、量子化前後の電流値の複数のサンプルを統計処理して得られる推定値を、前記量子化誤差として計算する付記17記載のトランス接続相判定プログラム。
10、210 トランス接続相判定装置
11 判定部
12 需要家選択部
14 電流値計算部
16、216 相関係数計算部
18 接続相判定部
20 出力処理部
22 配電情報記憶部
24 消費電力データ記憶部
26 線電流データ記憶部
30 周波数成分計算部
32 フィルタ特性記憶部
34 フィルタ最適化部
36 量子化誤差計算部
40 コンピュータ
41 CPU
42 メモリ
43 記憶部
50、250 トランス接続相判定プログラム
210 トランス接続相判定装置

Claims (6)

  1. 複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得する取得部と、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算する周波数成分計算部と、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記周波数成分計算部で計算された各々の周波数成分を用いて、前記相関値の差分に基づく信頼度が高くなるように周波数特性を二次計画法により最適化したフィルタを適用して計算する相関値計算部と、
    前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する判定部と、
    を含むトランス接続相判定装置。
  2. 複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得する取得部と、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算する周波数成分計算部と、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値、及び前記複数の配電線の各々を流れる電流値の少なくとも一方の量子化誤差の周波数成分を計算する量子化誤差計算部と、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記周波数成分計算部で計算された各々の周波数成分を用いて、前記量子化誤差計算部で計算された量子化誤差の周波数成分に基づいて量子化誤差の影響を補正して計算する相関値計算部と、
    前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する判定部と、
    を含むトランス接続相判定装置。
  3. コンピュータに、
    複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記計算された各々の周波数成分を用いて、前記相関値の差分に基づく信頼度が高くなるように周波数特性を二次計画法により最適化したフィルタを適用して計算し、
    前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する
    ことを含む処理を実行させるトランス接続相判定方法。
  4. コンピュータに、
    複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値、及び前記複数の配電線の各々を流れる電流値の少なくとも一方の量子化誤差の周波数成分を計算し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記計算された各々の周波数成分を用いて、前記計算された量子化誤差の周波数成分に基づいて量子化誤差の影響を補正して計算し、
    前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する
    ことを含む処理を実行させるトランス接続相判定方法。
  5. コンピュータに、
    複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記計算された各々の周波数成分を用いて、前記相関値の差分に基づく信頼度が高くなるように周波数特性を二次計画法により最適化したフィルタを適用して計算し、
    前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する
    ことを含む処理を実行させるためのトランス接続相判定プログラム。
  6. コンピュータに、
    複数の配電線の2つの組み合わせに対応した相のいずれかに接続されたトランスに接続された少なくとも1つの需要家で消費された電力値と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々とを取得し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値の周波数成分と、前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々の周波数成分とを計算し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値、及び前記複数の配電線の各々を流れる電流値の少なくとも一方の量子化誤差の周波数成分を計算し、
    前記電力値または前記電力値に起因する電流値と前記複数の配電線の各々を流れる電流値の各々との相関を示す相関値の各々を、前記計算された各々の周波数成分を用いて、前記計算された量子化誤差の周波数成分に基づいて量子化誤差の影響を補正して計算し、
    前記相関値の各々に基づいて、前記トランスが接続された相を判定する
    ことを含む処理を実行させるためのトランス接続相判定プログラム。
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