JP6434929B2 - 無線通信システムおよび無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の無線基地局に接続される集中制御局を用いて、各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
近年、ノートパソコンやスマートフォン等の持ち運び可能で高性能な無線端末の普及により企業や公共スペースだけではなく、一般家庭でもIEEE802.11標準規格の無線LANが広く使われるようになっている。IEEE802.11標準規格の無線LANには、 2.4GHz帯を用いるIEEE802.11b/g/n 規格の無線LANと、5GHz帯を用いるIEEE802.11a/n/ac規格の無線LANがある。
IEEE802.11b規格やIEEE802.11g規格の無線LANでは、2400MHzから2483.5MHz間に5MHz間隔で13チャネルが用意されている。ただし、同一場所で複数のチャネルを使用する際は、干渉を避けるためスペクトルが重ならないようにチャネルを使用すると最大で3チャネル、場合によっては4チャネルまで同時に使用できる。
IEEE802.11a規格の無線LANでは、日本の場合は、5170MHzから5330MHz間と、5490MHzから5710MHz間で、それぞれ互いに重ならない8チャネルおよび11チャネルの合計19チャネルが規定されている。なお、IEEE802.11a規格では、チャネル当たりの帯域幅が20MHzに固定されている。
無線LANの最大伝送速度は、IEEE802.11b規格の場合は11Mbps であり、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格の場合は54Mbps である。ただし、ここでの伝送速度は物理レイヤ上での伝送速度である。実際にはMAC(Medium Access Control )レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値はIEEE802.11b規格では5Mbps 程度、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格では30Mbps 程度である。また、伝送速度は、情報を送信しようとする通信局が増えればさらに低下する。
一方で、有線LANでは、Ethernet(登録商標)の100Base-T インタフェースをはじめ、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)の普及から、 100Mbps 〜1Gbps 級の高速回線の提供が普及しており、無線LANにおいても更なる伝送速度の高速化が求められている。
そのため、2009年に標準化が完了したIEEE802.11n規格では、これまで20MHzと固定されていたチャネル帯域幅が最大で40MHzに拡大され、また、空間多重送信技術(MIMO:Multiple input multiple output)技術の導入が決定された。IEEE802.11n規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行うと、物理レイヤでは最大で 600Mbps の通信速度を実現可能である。
さらに、2013年に標準化が完了したIEEE802.11ac規格では、チャネル帯域幅を80MHzや最大で 160MHzまで拡大することや、空間分割多元接続(SDMA:Space Division Multiple Access)を適用したマルチユーザMIMO(MU−MIMO)送信方法の導入が決定している(例えば、非特許文献1参照)。IEEE802.11ac規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行うと、物理レイヤでは最大で約 6.9Gbps の通信速度を実現可能である。
IEEE802.11規格の無線LANは、 2.4GHz帯または5GHz帯の免許不要な周波数帯で運用するため、IEEE802.11規格の無線基地局は、無線LANセル(BSS:Basic Service Set )を形成する際に、自無線基地局で対応可能な周波数チャネルのうち、運用する周波数チャネルを決定する必要がある。
さらに、IEEE802.11n規格またはIEEE802.11ac規格の無線基地局では、運用する帯域幅も決定する必要がある。例えば、IEEE802.11n規格の場合は、帯域幅は最大で40MHzまで対応可能であるが、周辺の無線環境状況によって40MHzではなく20MHzで運用した方が効率的な場合がある。同様に、IEEE802.11ac規格の場合は、連続した80MHzまたは連続した 160MHzまたは非連続の80+80MHz、すなわち最大で 160MHzまで対応可能であるが、周辺の無線環境状況によって40MHzや20MHzで運用した方が効率的な場合がある。
自セルで使用するチャネル、帯域幅およびそれ以外のパラメータの設定値および自無線基地局において対応可能なその他のパラメータは、定期的に送信するBeaconフレームや、無線端末から受信するProbe Request フレームに対するProbe responseフレーム等に記載し、運用が決定された周波数チャネル上でフレームを送信し、配下の無線端末および周辺の他通信局に通知することで、セルの運用を行っている。
自セルで使用するパラメータの設定値には、例えば、アクセス権取得に関するパラメータ値やQoS(Quality of Services )等のパラメータ値が含まれる。また、自無線基地局において対応可能なその他のパラメータには、フレーム送信に用いる帯域幅、制御フレーム送信に使用する基本データレートや、データ送受信可能な変調方式と符合化率に関するデータレートセットなどが含まれる。
無線基地局において、周波数チャネルや帯域幅およびその他のパラメータの選択および設定方法には、次の4つの方法がある。
(1) 無線基地局の製造メーカで設定されたデフォルトのパラメータ値をそのまま使用する方法
(2) 無線基地局を運用するユーザが手動で設定した値を使用する方法
(3) 各無線基地局が起動時に自局において検知する無線環境情報に基づいて自律的にパラメータ値を選択して設定する方法
(4) 無線LANコントローラなどの集中制御局で決定されたパラメータ値を設定する方法
ここで、IEEE802.11ac規格においてチャネル帯域幅を40MHz、80MHz、 160MHzと広くする場合、5GHz帯において同一場所で同時に使えるチャネル数は、チャネル帯域幅が20MHzで19チャネルだったものが、9チャネル、4チャネル、2チャネルと少なくなる。すなわち、チャネル帯域幅が増加するにつれて、使えるチャネル数が低減することになる。
また、同一場所で同時に使えるチャネル数は、通信に用いるチャネル帯域幅によって、 2.4GHz帯の無線LANでは3つ、5GHz帯の無線LANでは2つ,4つ,9つ,または19のチャネルになるので、実際に無線LANを導入する際には無線基地局が自BSS内で使用するチャネルを選択する必要がある。
このとき、使用可能なチャネル数よりもBSS数が多い無線LANの稠密環境では、複数のBSSが同一チャネルを使うことになる(OBSS:Overlapping BSS )。その場合、同一チャネルを使用するBSS間の干渉の影響により、当該BSSおよびシステム全体のスループットが低下することになる。そのため無線LANでは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を用いて、キャリアセンスによりチャネルが空いているときにのみデータの送信を行う自律分散的なアクセス制御が使われている。
具体的には、送信要求が発生した通信局は、まず所定のセンシング期間(DIFS:Distributed Inter-Frame Space )だけキャリアセンスを行って無線媒体の状態を監視し、この間に他の通信局による送信信号が存在しなければ、ランダム・バックオフを行う。通信局は、引き続きランダム・バックオフ期間中もキャリアセンスを行うが、この間にも他の通信局による送信信号が存在しない場合に、チャネルの利用権(TXOP:Transmission Opportunity)を得る。チャネルの利用権を得た通信局(TXOP Holder )は、同一BSS内の他の通信局にデータを送信し、またそれらの通信局からデータを受信できる。このようなCSMA/CA制御を行う場合、同一チャネルを使用する無線LANの稠密環境では、キャリアセンスによりチャネルがビジーになる頻度が高くなるため、送信機会(チャネルの利用権を得る機会)が低下し、スループットが低下することになる。したがって、周辺環境をモニタリングし、適切なチャネルを選択することが重要になる。
無線基地局におけるチャネルの選択方法は、IEEE802.11標準規格で定まっていないため、各ベンダーが独自の方法を採用しているが、最も一般的なチャネル選択方法としては、干渉電力の最も少ないチャネルを自律分散的に選択する方法がある。無線基地局は、一定期間すべてのチャネルについてキャリアセンスして最も干渉電力が小さいチャネルを選択し、選択したチャネル上で配下の端末装置とデータの送受信を行う。なお、干渉電力とは、近隣BSSや他システムから受信する信号のレベルであり、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)により測定することができる。
また、IEEE802.11標準規格では、BSS周辺の無線状況が変化した場合におけるチャネルの変更手順が規定されているが、基本的に、レーダ検出などによる強制移行以外は、一度選択したチャネルの再選択を行っていない。すなわち、現状無線LANでは、無線状況の変化に応じたチャネルの最適化は行われていない。
IEEE 802.11ac Standard, December 2013.
前述した周波数チャネルや帯域幅およびその他のパラメータの選択および設定方法 (1)〜(4) のうち、特に安価な無線基地局は、(1) の製造メーカで設定されたデフォルトのパラメータをそのまま使用することが多い。しかし、近くに同じ製造メーカの無線基地局が複数台設置された環境の場合は、全ての無線基地局が同じ周波数チャネルや送信電力値を使うことになるので、無線基地局間で干渉が発生してしまい通信品質が劣化する問題がある。
一般家庭など比較的小規模なネットワークでは、(2) の無線LANを運用するユーザが適切なパラメータを設定することが考えられる。しかし、外部干渉源がない環境では各種パラメータの設定は可能だが、都市部や集合住宅など周りで無線LANが使われている環境、または中規模や大規模なネットワークでは、ユーザまたは管理者による適切なパラメータ設定が困難である。
自律分散動作が可能な無線基地局は、(3) の各無線基地局が起動時に自局において検知する無線環境情報に基づいて自律的にパラメータ値の選択が可能である。しかし、無線基地局が起動される順番によって適切なパラメータ値が異なる。また、それぞれの無線基地局は自局における最適なパラメータ値を選択して設定するため、局所的に最適化が可能だがシステム全体の最適化はできず、さらに周辺無線環境が変わった場合は対応が困難となる。例えば、起動中の無線基地局数の変化、各々の無線基地局配下の無線端末装置の変化、各々のセル内の無線装置により送出されるデータ量の変化などの環境変化が起きたときに、使用チャネルや帯域幅の最適化を行っていないため、各々のセルのスループット間で差が生じたり、システム全体でもスループットが劣化したりするという問題がある。
このため、例えば、大学、オフィス、スタジアム、駅構内環境など数台〜数百台の無線基地局で形成される小〜大規模な無線LANシステムの場合は、(4) の無線LANコントローラなどの集中制御局によって各無線基地局のパラメータ値を決定し、無線基地局に反映させるなどにより無線基地局を制御する方法が必要になっている。
集中制御局を用いて最適なパラメータ設定を行うには、制御対象の無線基地局、それらに帰属する無線端末、ライセンスバンドなど別周波数を用いるユーザ端末などから無線環境やトラヒック状況に関する情報を収集し、収集した情報を処理した上で最適なパラメータを算出する必要がある。一方、一時的に設置される無線LANルータを含めアンライセンスバンドの無線基地局数およびそれらを利用する無線端末数が爆発的に増えている。このため、集中制御局が収集する情報量も膨大となり、パラメータ算出により多くの時間がかかる問題があった。
本発明は、無線通信システム全体の周波数利用効率が向上するように無線基地局が使用する帯域幅とチャネルを算出する際に、遺伝的アルゴリズムGA(Genetic Algorithm) の突然変異特性を用いることにより、最適解に近いパラメータを高速に算出することができる無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局と、複数の無線基地局または無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する集中制御局とを備えた無線通信システムであって、各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、集中制御局に通知する無線環境情報通知手段を備え、集中制御局は、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出手段と、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化手段とを備え、初期パラメータ算出手段は、複数の無線基地局のそれぞれに対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、複数の無線基地局のすべてに対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う構成である。
第1の発明の無線通信システムにおいて、パラメータ最適化手段は、初期割り当てが行われた1台の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う構成である。
第2の発明は、それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局と、複数の無線基地局または無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する集中制御局とを備えた無線通信システムであって、各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、集中制御局に通知する無線環境情報通知手段を備え、集中制御局は、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出手段と、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化手段とを備え、パラメータ最適化手段は、初期割り当てが行われた無線基地局のうち互いに非干渉関係にある2台以上の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う構成である。
第1または第2の発明の無線通信システムにおいて、パラメータ最適化手段は、プロセスの繰り返しの回数に応じて、処理2を行う確率を小さくする構成である。
第1または第2の発明の無線通信システムにおいて、パラメータ最適化手段は、プロセスの繰り返しを終了する所定の収束条件として、繰り返しごとに処理1で計算される効用関数の改善量または繰り返し回数に応じて設定する。
第3の発明は、それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局に接続される集中制御局で、複数の無線基地局または無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する無線通信方法であって、各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、集中制御局に通知するステップを有し、集中制御局は、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出ステップと、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化ステップとを有し、初期パラメータ算出ステップは、複数の無線基地局のそれぞれに対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、複数の無線基地局のすべてに対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う。
第3の発明の無線通信方法において、パラメータ最適化ステップは、初期割り当てが行われた1台の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う。
第4の発明は、それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局に接続される集中制御局で、複数の無線基地局または無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する無線通信方法であって、各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、集中制御局に通知するステップを有し、集中制御局は、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出ステップと、各無線基地局から通知される無線環境情報および能力情報に応じて、初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化ステップとを有し、パラメータ最適化ステップは、初期割り当てが行われた無線基地局のうち互いに非干渉関係にある2台以上の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う。
第3または第4の発明のパラメータ最適化ステップは、プロセスの繰り返しの回数に応じて、処理2を行う確率を小さくする。
第3または第4の発明のパラメータ最適化ステップは、プロセスの繰り返しを終了する所定の収束条件として、繰り返しごとに処理1で計算される効用関数の改善量または繰り返し回数に応じて設定する。
本発明は、各無線基地局が割り当て可能な帯域幅とチャネルに応じてチャネルを共用する周辺の無線基地局の干渉を考慮し、各無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて各無線基地局の帯域幅とチャネルの割り当てを行うことにより、無線基地局を含む無線通信システム全体のスループットを改善することができる。特に、本発明によれば、無線基地局が密集している環境において局地的なスループットの低下を回避することができる。
本発明の無線通信システムの実施例構成を示す図である。 本発明の無線通信システムにおける集中制御局4の構成例を示す図である。 本発明の無線通信システムにおけるAP1,2の構成例を示す図である。 本発明による集中制御局4のパラメータ算出部45の処理手順の概要を示すフローチャートである。 初期パラメータ算出S103の処理手順例を示すフローチャートである。 AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c)の作成例を説明する図である。 パラメータ最適化S105の処理手順例1を示すフローチャートである。 パラメータ最適化S105の処理手順例2を示すフローチャートである。
図1は、本発明の無線通信システムの実施例構成を示す。
図1において、無線基地局(AP)1,2は、それぞれ帰属する無線端末(STA,図示せず)と無線通信を行う。AP1,2は、ネットワーク3を介して集中制御局4に接続される。集中制御局4は、AP1,2から収集した環境情報および能力情報に基づいてAPの通信制御に用いる設定パラメータ値を算出し、各APに設定する。
図2は、本発明の無線通信システムにおける集中制御局4の構成例を示す。
図2において、集中制御局4は、接続部41と、通信部42と、制御部43と、情報収集部44と、パラメータ算出部45とを備える。
通信部42は、接続部41を介してAP1,2と通信を行う。情報収集部44は、無線通信システム内に存在する制御対象のAP1,2から環境情報(無線環境情報,トラヒック情報,現設定情報)および能力情報を収集し、保持する。パラメータ算出部45は、情報収集部44で収集された各情報の平均化処理および最新化などを行い、各情報に基づいてAP1,2に割り当て可能な帯域幅とチャネルに応じて、帰属STAのサービス品質として例えばスループットやシステム全体のスループットなどの満足度の評価に用いるそれぞれの効用関数を算出し、効用関数が最大または所定の閾値以上になる帯域幅とチャネルを決定する。制御部43は、AP1,2の各情報の収集、APの設定パラメータ値の算出および設定を含む集中制御局4の動作を統括して制御する。
図3は、本発明の無線通信システムにおけるAP1,2の構成例を示す。なお、AP1,2は同じ構成である。
図3において、AP1,2は、接続部11と、通信部12と、制御部13と、環境情報保持部14と、パラメータ設定部15と、アクセス権獲得部16と、無線通信部17と、アンテナ部18とを備える。
通信部12は、接続部11を介してネットワーク3上の集中制御局4と通信を行う。環境情報保持部14は、定期的に無線基地局周辺をスキャンして取得した環境情報を保持する。パラメータ設定部15は、集中制御局4より通知されたパラメータを設定する。アクセス権獲得部16は、CSMA/CAによるアクセス権を獲得する。無線通信部17は、パラメータ設定部15より設定されたパラメータを使用し、CSMA/CAによるアクセス権を獲得してアンテナ部18を介して帰属するSTAと無線通信を行う。また、無線通信部17は、無線通信において利用可能なチャネルそれぞれに対して、予め定められた期間スキャンし、得られた周辺の環境情報を環境情報保持部14に出力する。制御部13は、APの動作を統括して制御する。
ここで、(1) 無線環境情報、(2) トラヒック情報、(3) 現設定情報、(4) 能力情報の一例について以下に示す。
(1) 無線環境情報
APおよびSTAが測定する周辺無線環境情報であり、例えば周辺AP数、各々のSSID、各々のBSSID(MACアドレス)、各々が送信するフレームの受信RSSI値、各々の使用チャネル、各々の使用帯域幅(20MHz,40MHz,80MHz, 160MHz, 80+80MHz)、各々の能力情報、各々のAP帰属端末数、各々の時間占有率情報、各々のトラヒック情報などである。また、APが測定する帰属端末に関する無線環境情報であり、STAが測定する接続先APに関する無線環境情報である。
(2) トラヒック情報
APがバッファ内で収容する帰属端末宛てのトラヒック量、STAがバッファ内で収容する接続先AP宛てのトラヒック量、AP/STAのバッファに入力されるトラヒックレート、AP/STAのバッファから送出されるトラヒックレートなどである。
(3) 現設定情報
APおよびSTAの現在の運用規格(11a/b/g/n/ac種別)、チャネル, 帯域幅(20MHz,40MHz,80MHz, 160MHz, 80+80MHz)などである。
(4) 能力情報
対応可能規格(11a/b/g/n/ac)、対応可能周波数帯、対応可能帯域幅(20MHz,40MHz,80MHz, 160MHz, 80+80MHz)などである。
図4は、本発明による集中制御局4のパラメータ算出部45の処理手順の概要を示す。 図4において、集中制御局4のパラメータ算出部45は、周辺に他のAPがないなど干渉がない環境を想定し、制御対象の各APにおいて取得可能な最大スループットおよびプライマリチャネルのアクセス確率を算出する(S101)。
AP−aがSTA−sと帯域幅bを用いた通信において、M(s,a,b) ビットを送受信するのに費やす合計時間をt(s,a,b) とする。時間t(s,a,b) には、当該データ通信におけるすべてのオーバヘッドが含まれる。AP−aのみが存在する、すなわち干渉源がない環境で取得可能な最大スループットMax Thput(a)は、
Max Thput(a)=(ΣsM(s,a,b))/(Σst(s,a,b))
と表すことができる。ここで、Σs は、AP−aの帰属STA数をn(a) としたときに、s=1からs=n(a) までの積算を表す。
次に、AP−aにおけるプライマリチャネルの占有予定時間率α(a) は
α(a) = min〔θ(a)×n(a)/Max Thput(a),1〕
として算出する。ここで、θ(a) は、AP−aの帰属STA当たりの収容トラヒック量であり、θ(a)×n(a)は発生トラヒックの総量である。
次に、AP−aにおけるプライマリチャネルcのアクセス確率λ(a,c) は、
λ(a,c) =α(a) として算出する。
次に、初期パラメータ算出に用いる遺伝的アルゴリズムの突然変異の確率P'mを設定する(S102)。初期パラメータ算出では、制御対象の全APに対して、確率P'mで選択するAPでは割当可能な帯域幅bとプライマリチャネルcをランダムに選択し、確率1−P'mで選択するAPでは割当可能な帯域幅bとプライマリチャネルcのすべての組合せにおけるスループットを評価する効用関数を計算し、その効用関数が所定条件(最大または所定の閾値以上)を満たす帯域幅bとプライマリチャネルcを選択する(S103)。このステップS103の処理手順については図5を参照して別途説明する。
次に、パラメータ最適化に用いる遺伝的アルゴリズムの突然変異の確率Pm を設定する(S104)。パラメータ最適化では、初期割り当てが行われた制御対象のAPごとに、確率Pm で割当可能な帯域幅bとプライマリチャネルcをランダムに選択し、確率1−Pm で割当可能な帯域幅bとプライマリチャネルcのすべての組合せにおけるスループットを評価する効用関数を計算し、その効用関数が所定条件(最大または所定の閾値以上)を満たす帯域幅bとプライマリチャネルcを選択する。これを所定の収束条件を満たすまでAPを替えながら繰り返し、APごとの帯域幅とプライマリチャネルの最適化を行う(S105)。このステップ105の処理手順については図7および図8を参照して別途説明する。最後に、APごとに最適化された帯域幅とプライマリチャネルを割り当てて終了する(S106)。
(初期パラメータ算出S103の処理手順例)
図5は、初期パラメータ算出S103の処理手順例を示す。
図5において、まず、制御対象のAPを1台選択する(S201)。選択されたAPをAP−aとする。次に、AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを仮割り当てする処理について、突然変異の確率P'mで選択される処理と、確率1−P'mで選択される処理に分ける(S202)。確率P'mで選択される処理は、あらかじめ集中制御局に登録されているAP−aに関する情報、またはAP−aから収集される情報を基に、AP−aに割当可能な帯域幅候補の中から1つの帯域幅bをランダムに選択する(S203)。例えば、AP−aがIEEE802.11ac対応で使用可能な帯域幅が80MHzの場合は、AP−aに割当可能な帯域幅候補は{20,40,80}の3つになる。S203の処理では、この中から1つの帯域幅bをランダムに選択する。
次に、AP−aの帯域幅bに応じて割当可能なプライマリチャネルcをランダムに選択する(S204)。ただし、AP−aのプライマリチャネルcの選択ルールとして、帯域幅bが40MHz以上の場合に、周辺のAPのセカンダリ20チャネルを使用できないルールが設定されている場合には、当該セカンダリ20チャネルの除くプライマリチャネルcをランダムに選択する。このようにして選択された帯域幅bとプライマリチャネルcをAP−aの仮割り当てとする(S205)。
一方、確率1−P'mで選択される処理では、AP−aに割当可能な帯域幅候補の中から1つの帯域幅bを選択し、この帯域幅bに応じて割当可能なプライマリチャネルcを選択する(S206)。なお、AP−aのプライマリチャネルcに対して上記の選択ルールがある場合にはそれに従う。次に、AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを割り当てて運用開始した場合に、AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) を作成する(S207)。なお、リストL(a,b,c) には、自APも含める。
AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) は、AP−aに割り当てる帯域幅bに応じて、プライマリチャネルcまたはそのセカンダリチャネルを使用するAPのリストとなる。すなわち、AP−aの帯域幅bが20MHzであればプライマリチャネルcを使用するAPが対象となり、帯域幅bが40MHz,80MHz, 160MHz,80+80MHzであれば、プライマリチャネルcおよびそのセカンダリ20チャネル,セカンダリ40チャネル,セカンダリ80チャネルを使用するAPが対象となる。さらに、AP−aとチャネルを共用するAPのうち、AP−aにおける信号レベル(RSSI)が所定の閾値以上のAPを対象としてもよい。
ここで、図6を参照してAP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) の作成例を示す。AP−aの周辺には、互いに検知可能なAP−x,AP−y,AP−zがあり、それぞれの帯域幅/プライマリチャネルは次の通りとする。
AP−x:40MHz/44ch
AP−y:20MHz/60ch
AP−z:80+80MHz/128ch(52ch)
AP−aに帯域幅b=20MHzとプライマリチャネルc(ここでは36〜64ch)を割り当てた場合に、次の基準に基づいて、AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) は以下のようになる。
・cchをプライマリチャネルとする帯域幅20MHz以上のAP
・cchのセカンダリ20チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 40 MHz以上のAP
・cchのセカンダリ40チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 80 MHz以上のAP ・cchのセカンダリ80チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅160 MHzのAP
・cchをセカンダリ80チャネルに含む帯域幅80+80MHzのAP
b=20MHz、c=36ch:L(a,b,c) ={a}
c=40ch:L(a,b,c) ={a}
c=44ch:L(a,b,c) ={a,x}
c=48ch:L(a,b,c) ={a,x}
c=52ch:L(a,b,c) ={a,z} (図6に例示)
c=56ch:L(a,b,c) ={a,z}
c=60ch:L(a,b,c) ={a,y,z}
c=64ch:L(a,b,c) ={a,y,z}
AP−aに帯域幅b=40MHzとプライマリチャネルcを割り当てた場合に、次の基準に基づいて、AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) を作成する。
・cchをプライマリチャネルとする帯域幅20MHz以上のAP
・cchのセカンダリ20チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP
・cchのセカンダリ40チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 80 MHz以上のAP ・cchのセカンダリ80チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅160 MHzのAP
・cchをセカンダリ80チャネルに含む帯域幅80+80MHzのAP
なお、AP−aのプライマリチャネルcに対して上記の選択ルールがある場合には、AP−xのセカンダリ20チャネルである48ch、AP−yのセカンダリ20チャネルである64chは除外される。帯域幅bが80MHz以上の場合も同様である。
AP−aに帯域幅b=80MHzとプライマリチャネルcを割り当てた場合に、次の基準に基づいて、AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) を作成する。
・cchをプライマリチャネルとする帯域幅20MHz以上のAP
・cchのセカンダリ20チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP
・cchのセカンダリ40チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP ・cchのセカンダリ80チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅160 MHzのAP
・cchをセカンダリ80チャネルに含む帯域幅80+80MHzのAP
AP−aに帯域幅b= 160MHzとプライマリチャネルcを割り当てた場合に、次の基準に基づいてAP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) を作成する。
・cchをプライマリチャネルとする帯域幅20MHz以上のAP
・cchのセカンダリ20チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP
・cchのセカンダリ40チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP ・cchのセカンダリ80チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP
・cchをセカンダリ80チャネルに含む帯域幅80+80MHzのAP
AP−aに帯域幅b=80+80MHzとプライマリチャネルcを割り当てた場合には、次の基準に基づいて、AP−aとチャネルを共用するAPリストL(a,b,c) を作成する。
・cchをプライマリチャネルとする帯域幅20MHz以上のAP
・cchのセカンダリ20チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP
・cchのセカンダリ40チャネルをプライマリチャネルとする帯域幅 20 MHz以上のAP ・cchのセカンダリ80チャネルをプライマリ/セカンダリチャネルとするすべてのAP
このように、AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを割り当てた場合に、そのセカンダリ20チャネル、セカンダリ40チャネル、セカンダリ80チャネルをプライマリチャネルとするAPも変化するので、AP−aとチャネルを共用するAPのリストL(a,b,c) は異なることがわかる。すなわち、AP−aにおけるスループットは、帯域幅bとプライマリチャネルcとチャネルを共用するAPの関係によって決まるので、AP−aにおける帯域幅bとプライマリチャネルcに応じたスループットを評価する効用関数Uを用い、効用関数Uに応じて帯域幅bとプライマリチャネルcを選択する必要がある。さらに、AP−aだけでなく、制御対象のAP全体のスループットについても考慮することが有効である。
ステップS208では、AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを割り当てたときに、リストL(a,b,c) のAPとチャネルを共用した場合のスループットを評価する効用関数U(a,b,c) を計算する。
ここで、効用関数Uの例について以下に示す。AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを割り当て、リストL(a,b,c) のAPとチャネルを共用したときに取得可能な見込みスループット、またはAP−aのトラヒック量に対する見込みスループットの比、または帰属STAの見込みスループット、または帰属STAが複数存在する場合にその帰属STAの見込みスループットの最小値、またはAP−aの取得可能なアクセス確率、またはシステム全体のスループットなどである。
効用関数U(a,b,c) の計算例を以下に示す。
U(a,b,c) =A/mim(B,C)
ここで、Aは、AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを割り当て、リストL(a,b,c) のAPとチャネルを共用したときに取得可能な見込みスループットExptd Thput(a,b,c)である。Bは、AP−aのみが存在するときに取得可能な最大スループットMax Thput(a)であり、図4のS101で算出される。Cは、AP−aと帰属STAとの間で発生するトラヒックの総量(θ(a)×n(a))である。
AP−aで取得可能な見込みスループットExptd Thput(a,b,c)は、AP−aを含め、周辺のAPの能力、帰属端末数、収容データ量に応じて以下のように算出される。AP−aにおける帰属STA1台当たりにフレームを送信する送信機会割合γ(a) は、
γ(a) =1/n(a)
となる。ただし、これは帰属STA数n(a) が1以上の場合であり、n(a) =0であればγ(a) =1とする。
ここで、帯域幅bを20MHz,40MHz,80MHz, 160MHz, 80+80MHzとしたときに、AP−aにおける通信時間T1 ,T2 ,T3 ,T4 ,T5 は、それぞれ次のように計算される。
1 =Σi〔λ(i,c) γ(i) Σst(s,i,20) 〕
2 =Σi〔λ(i,c) γ(i) Σst(s,i,40) 〕
3 =Σi〔λ(i,c) γ(i) Σst(s,i,80) 〕
4 =Σi〔λ(i,c) γ(i) Σst(s,i,160)〕
5 =Σi〔λ(i,c) γ(i) Σst(s,i,80+80)〕
ここで、Σi は、AP−aとチャネルを共用するリストL(a,b,c) のAPに対応する積算を表す。Σs は、AP−iの帰属STA数をn(i) としたときに、s=1からs=n(i) までの積算を表す。
よって、AP−aに帯域幅bとプライマリチャネルcを割り当てたときに取得可能な見込みスループットExptd Thput(a,b,c)および効用関数U(a,b,c) は、次のように計算される。
Exptd Thput(a,b,c)
= min〔 (λ(a,c)×γ(a)×ΣsM(s,a,b)/(T1+T2+T3+T4+T5),θ(a)×n(a) 〕 U(a,b,c) =Exptd Thput(a,b,c)/ min〔Max Thput(a),θ(a)×n(a) 〕
次に、AP−aに割当可能なすべての帯域幅bとプライマリチャネルcについて、ステップS206〜S208の処理を実施し(S209)、AP−aに対して、効用関数Uが所定条件(最大または所定の閾値以上)を満たす帯域幅bとプライマリチャネルcを選択して仮割り当てとする(S210)。
以上示したように、AP−aに対して、確率P'mでステップS203〜S205により帯域幅bとプライマリチャネルcのランダム選択を行い、確率1−P'mでステップS206〜S210により効用関数Uに応じて帯域幅bとプライマリチャネルcの選択を行い、制御対象の他のAPについても同様の処理が終了するまでステップS201に戻り(S211)、制御対象の各APに対する初期割り当ての帯域幅とプライマリチャネルを決定する。以上の処理が終了すると、制御対象の各APの帯域幅とプライマリチャネルの最適化を行う図4に示すステップS104,S105の処理に移行する。なお、ステップS207におけるリストの作成は、例えばステップS201に続いて、AP−aに割り当て可能な帯域幅とプライマリチャネルに対して事前に行っておいてもよい。
(パラメータ最適化S105の処理手順例1)
図7は、パラメータ最適化S105の処理手順例1を示す。
図7において、図4の初期パラメータ算出S103(図5のS201〜S211)の処理により、制御対象の各APに対して帯域幅とプライマリチャネルを初期割り当てした後に、各APにおける効用関数Uの合計値ΣUを算出する(S301)。
次に、制御対象のAPを1台選択する(S302)。次に、AP−aに対して、確率Pm で選択される処理と、確率1−Pm で選択される処理に分ける(S303)。確率Pm で選択される処理では、AP−aに対して図5のステップS203〜S205の処理を行い、ランダムに選択した帯域幅bとプライマリチャネルcを仮割り当てとする(S304)。一方、確率1−Pm で選択される処理では、AP−aに対して図5のステップS206〜S209の処理を行い、効用関数Uが所定条件を満たす帯域幅bとプライマリチャネルcを仮割り当てとする(S305)。
次に、各APにおける効用関数Uの合計値ΣU* を算出する(S306)。次に、各APにおける効用関数Uの合計値ΣU* と前回の合計値ΣUを比較し(S307)、改善している場合には、仮割り当ての各APの帯域幅bとプライマリチャネルcを更新する(S308)。
以上の処理をあらかじめ決められた収束条件が満たされるまで繰り返す(S309)。収束条件としては、各APにおける効用関数Uの合計値ΣUの改善量が閾値を下回る、各APにおける効用関数Uの合計値ΣUの更新される回数または繰り返し回数が閾値を超えるなどである。ここで、以上の処理の繰り返しの回数に応じて、確率Pm を小さくするようにしてもよい。集中制御局4では、このような繰り返し処理により最適化された制御対象の各APにおける帯域幅とプライマリチャネルを各APにそれぞれ設定する。
なお、各APにおける効用関数Uの合計値ΣUに代えて、各APにおける効用関数Uの乗算値を用いてもよい。
(パラメータ最適化S105の処理手順例2)
図8は、パラメータ最適化S105の処理手順例1を示す。
図8において、図4のS103(図5のS201〜S211)の処理により、制御対象の各APに対して帯域幅とプライマリチャネルを仮割り当てした後に、各APにおける効用関数Uの合計値ΣUを算出する(S311)。
次に、制御対象のAPから互いに無線信号を検知できない非干渉関係にあるAPをN台(Nは2以上の整数)選択する(S312)。選択されたAPをAP−a1,AP−a2,…,AP−aNとする。次に、AP−a1〜AP−aNに対して、確率Pm で選択される処理と、確率1−Pm で選択される処理に分ける(S313)。確率Pm で選択される処理では、AP−a1〜APaNに対して図5のステップS203〜S205の処理を行い、ランダムに選択した帯域幅bとプライマリチャネルcを仮割り当てとする(S314)。一方、確率1−Pm で選択される処理では、AP−a1〜AP−aNに対して図5のステップS206〜S209の処理を行い、効用関数Uが所定条件を満たす帯域幅bとプライマリチャネルcを仮割り当てとする(S315)。
次に、各APにおける効用関数Uの合計値ΣU* を算出する(S316)。次に、各APにおける効用関数Uの合計値ΣU* と前回の合計値ΣUを比較し(S317)、改善している場合には、仮割り当ての各APの帯域幅bとプライマリチャネルcを更新する(S318)。
以上の処理を上記の収束条件が満たされるまで繰り返す(S319)。ここで、以上の処理の繰り返しの回数に応じて、確率Pm を小さくするようにしてもよい。集中制御局4では、このような繰り返し処理により最適化された制御対象の各APにおける帯域幅とプライマリチャネルを各APにそれぞれ設定する。
なお、各APにおける効用関数Uの合計値ΣUに代えて、各APにおける効用関数Uの乗算値を用いてもよい。
また、図7に示す処理手順例1では、1台のAPに対する処理を繰り返すことにより、制御対象の各APに設定する帯域幅とプライマリチャネルの最適化を図っていたが、図8に示す処理手順例2では、複数台のAPに対する処理を繰り返すことにより、制御対象の各APに設定する帯域幅とプライマリチャネルの最適化までの処理時間を短縮することができる。
1,2 無線基地局(AP)
3 ネットワーク
4 集中制御局
5,6 無線端末(STA)
11 接続部
12 通信部
13 制御部
14 環境情報保持部
15 パラメータ設定部
16 アクセス権獲得部
17 無線通信部
18 アンテナ部
41 接続部
42 通信部
43 制御部
44 情報収集部
45 パラメータ算出部

Claims (10)

  1. それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局と、
    前記複数の無線基地局または前記無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する集中制御局と
    を備えた無線通信システムであって、
    前記各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、前記集中制御局に通知する無線環境情報通知手段を備え、
    前記集中制御局は、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出手段と、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化手段と
    を備え
    前記初期パラメータ算出手段は、前記複数の無線基地局のそれぞれに対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、前記複数の無線基地局のすべてに対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局と、
    前記複数の無線基地局または前記無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する集中制御局と
    を備えた無線通信システムであって、
    前記各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、前記集中制御局に通知する無線環境情報通知手段を備え、
    前記集中制御局は、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出手段と、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化手段と
    を備え
    前記パラメータ最適化手段は、前記初期割り当てが行われた無線基地局のうち互いに非干渉関係にある2台以上の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで前記初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、前記初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  3. 請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
    前記パラメータ最適化手段は、前記初期割り当てが行われた1台の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで前記初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、前記初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  4. 請求項2または請求項3に記載の無線通信システムにおいて、
    前記パラメータ最適化手段は、前記プロセスの繰り返しの回数に応じて、前記処理2を行う確率を小さくする構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  5. 請求項2または請求項3に記載の無線通信システムにおいて、
    前記パラメータ最適化手段は、前記プロセスの繰り返しを終了する前記所定の収束条件として、繰り返しごとに前記処理1で計算される前記効用関数の改善量または繰り返し回数に応じて設定する
    ことを特徴とする無線通信システム。
  6. それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局に接続される集中制御局で、前記複数の無線基地局または前記無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する無線通信方法であって、
    前記各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、前記集中制御局に通知するステップを有し、
    前記集中制御局は、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出ステップと、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化ステップと
    を有し、
    前記初期パラメータ算出ステップは、前記複数の無線基地局のそれぞれに対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、前記複数の無線基地局のすべてに対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う
    ことを特徴とする無線通信方法。
  7. それぞれ配下の無線端末と無線通信を行う複数の無線基地局に接続される集中制御局で、前記複数の無線基地局または前記無線端末の周辺の環境情報および能力情報に応じて各無線基地局の通信制御に用いるパラメータを制御する無線通信方法であって、
    前記各無線基地局は、周辺の無線環境情報および自局および帰属端末の能力情報を取得し、前記集中制御局に通知するステップを有し、
    前記集中制御局は、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記各無線基地局に対して帯域幅とチャネルの初期割り当てを行う初期パラメータ算出ステップと、
    前記各無線基地局から通知される前記無線環境情報および前記能力情報に応じて、前記初期割り当てが行われた無線基地局のスループットを評価する効用関数を用いて帯域幅とチャネルの繰り返し計算による最適化を行うパラメータ最適化ステップと
    を有し、
    前記パラメータ最適化ステップは、前記初期割り当てが行われた無線基地局のうち互いに非干渉関係にある2台以上の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで前記初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、前記初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う
    ことを特徴とする無線通信方法。
  8. 請求項6に記載の無線通信方法において、
    前記パラメータ最適化ステップは、前記初期割り当てが行われた1台の無線基地局に対して、割当可能な帯域幅とチャネルのすべての組合せに対する無線基地局のスループットを評価する効用関数を計算し、該効用関数が所定条件を満たす帯域幅とチャネルを選択する処理1と、割当可能な帯域幅とチャネルをランダムに選択する処理2のいずれかを所定の確率で選択して行い、このプロセスを所定の収束条件を満たすまで前記初期割り当てが行われた無線基地局を替えながら繰り返し、前記初期割り当てが行われた無線基地局の帯域幅とチャネルの最適化を行う
    ことを特徴とする無線通信方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の無線通信方法において、
    前記パラメータ最適化ステップは、前記プロセスの繰り返しの回数に応じて、前記処理2を行う確率を小さくする
    ことを特徴とする無線通信方法。
  10. 請求項7または請求項8に記載の無線通信方法において、
    前記パラメータ最適化ステップは、前記プロセスの繰り返しを終了する前記所定の収束条件として、繰り返しごとに前記処理1で計算される前記効用関数の改善量または繰り返し回数に応じて設定する
    ことを特徴とする無線通信方法。
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