JP6434265B2 - 汚染水処理用吸着塔及び汚染水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染水処理用吸着塔及び汚染水処理方法に関する。
放射性セシウム、放射性ストロンチウム等の放射性金属を金属イオンとして含有する汚染水(廃水、事故原発炉心冷却用循環水等を含む)は、環境破壊を防止するために放射性金属を除去しなければ排出することが許されない。従来の放射性金属含有汚染水の処理方法は、SARRY(単純型汚染水処理システム:Simplified Active Water Retrieve and Recovery System)によって放射性セシウム(及び非放射性同位体)のイオンを除去する工程と、鉄共沈処理によって有機物及びα核種(アルファ崩壊する核物質)を除去する工程と、炭酸塩沈殿処理によりカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属を除去する工程と、吸着剤を充填した吸着塔を使用する吸着処理により放射性ストロンチウム、放射性ヨウ素、放射性セシウム、放射性アンチモン等の残留する放射性金属のイオンを除去する工程とを備える。
ところで、放射性金属の中でも、ストロンチウム(非放射性同位体を含む)は、アルカリ土類金属に分類され、カルシウム等の他のアルカリ土類金属とよく似た性質を有する。炭酸塩沈殿処理ではストロンチウムも他のアルカリ土類金属と共に沈殿するので、分離した沈殿物には放射性ストロンチウムも含まれる。従って、鉄共沈処理により分離される水酸化鉄スラリー及び炭酸塩沈殿処理により分離される炭酸塩スラリーは、いずれも放射性金属を含んでいるため、所定の容器に封入して放射性廃棄物として最終処分する必要がある。この結果、従来の放射性金属イオン含有汚染水の処理方法では、多量の放射性廃棄物が排出される。
上記のようなスラリー状の放射性廃棄物を低減するために、炭酸塩沈殿処理を行うことなく、ストロンチウム(非放射性同位体を含む)を選択的に吸着する吸着剤を使用して吸着塔により放射性ストロンチウムイオンを除去することも提案されている(特許第5073111号公報)。
しかしながら、放射性金属イオン含有汚染水が、原子炉等から漏えいした冷却水、汚染物の洗浄により生じた汚染水等である場合には、浮遊物質(SS:Suspended Solids)や油を含み得る。浮遊物質や油は、鉄共沈処理では完全に除去できないことが多く、吸着塔を用いた吸着処理において、吸着塔に充填した吸着剤に付着することにより吸着塔の圧力損失を増大させ、処理量を減少させると共に、シール破損等の不具合を生じさせ得る。
このように、浮遊物質や油を含む汚染水から金属イオンを除去するための汚染水処理用吸着塔では、浮遊物質や油による圧力損失の増大により、充填されている吸着剤の金属イオン吸着能力を使い切ることなく吸着剤の交換を余儀なくされることがある。
特許第5073111号公報
上記不都合に鑑みて、本発明は、金属イオンと浮遊物質及び油の少なくともいずれかとを含む汚染水の処理に際して、浮遊物質及び油による圧力損失の上昇を回避することにより充填されている吸着剤の利用率を高められる汚染水処理用吸着塔及び吸着剤の利用率が高い汚染水処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、金属イオンと浮遊物質及び油の少なくともいずれかとを含む汚染水から上記金属イオンを除去するための汚染水処理用吸着塔であって、円筒形状又は球形状の容器と、上記容器に充填され、上記金属イオンを吸着する吸着剤と、上記容器の上部又は下部に配設される排水路と、上記容器内に上記汚染水を導入するために上記容器内の上下複数箇所に配設される複数の給水路とを備えることを特徴とする。
当該汚染水処理用吸着塔は、複数の給水路を備えるため、一の給水路から給水することによってその給水路の近傍の吸着剤に浮遊物質や油が付着し、部分的に圧力損失が大きくなっても、他の給水路から通水することによって圧力損失が大きい部分を避けて浮遊物質や油の付着が少ない部分の吸着剤に通水できる。このように、当該汚染水処理用吸着塔は、吸着剤の層の中で浮遊物質や油の付着が少ない部分を使用することにより、圧力損失の上昇を回避して、充填されている吸着剤の利用率を比較的高くできる。
上記給水路が、水平方向に配設された複数の吐出口を有するとよい。このように給水路が複数の吐出口を有することにより、容器内における汚染水の流速の偏りを防止して、吸着剤の利用率をより高めることができる。
上記給水路が、リング状の管であるとよい。このように給水路がリング状の管であることによって、汚染水を円筒形状又は球形状の容器内に比較的均一な流速で通水することによって吸着剤を水平方向に均等に利用できるため、吸着剤の利用率をより向上できる。
上記吸着剤が、放射性金属イオンを吸着する吸着剤を含むとよい。このように吸着剤が放射性金属イオンを吸着するものを用いることにより、放射性汚染水や放射能汚染物の洗浄汚染水の浄化に利用できる。
上記吸着剤が、ゼオライト及び活性炭の少なくともいずれかを含むとよい。このように、吸着剤として多孔質体であるゼオライトや活性炭を使用することにより、汚染水から金属イオンを効率よく除去できる。
上記吸着剤が、上記ゼオライト及び活性炭の少なくともいずれかにより担持されるフェロシアン化金属化合物をさらに含むとよい。このように、吸着剤がフェロシアン化金属化合物を含むことにより、セシウムイオンを効率よく吸着できる。
上記複数の給水路のいずれか一つに上記汚染水を供給するバルブ機構を備えるとよい。このように、給水路の一つに汚染水を供給することにより、吸着剤に浮遊物質や油が多く付着する領域を限定し、大きな圧力損失を生じた部分の切り離しによる圧力損失上昇の回避が容易となる。
上記容器内の圧力損失が大きくなる毎に、上記汚染水を供給する給水路を上記排水路側の給水路に切り替えるよう上記バルブ機構を制御する制御装置を備えるとよい。このように、給水路を排水路側に切り替えることにより、浮遊物質や油の付着により大きな圧力損失を生じる部分を順次除外して金属イオンの除去を継続することができるので、吸着剤の利用率を向上できる。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、金属イオンと浮遊物質及び油の少なくともいずれかとを含む汚染水から吸着塔により上記金属イオンを除去する汚染水処理方法であって、上記吸着塔が、円筒形状又は球形状の容器と、上記容器に充填される吸着剤と、上記容器の上部又は下部に配設される排水路と、上記容器内に上記汚染水を導入するために上記容器内の上下複数箇所に配設される複数の給水路とを備え、上記複数の給水路のいずれかに上記汚染水を供給する工程と、上記容器内の圧力損失が大きくなる毎に、上記汚染水を供給する給水路を上記排水路側の給水路に切り替える工程とを備えることを特徴とする。
当該汚染水処理方法は、使用する給水路近傍の吸着剤に浮遊物質や油が付着して圧力損失が上昇する度に、使用する給水路を順次排水路側に切り替えることによって、吸着剤の層の中で圧力損失が大きい部分を順次バイパスできる。これにより、浮遊物質や油の付着が少ない部分の吸着剤を使用して、圧力損失の上昇を回避することができ、金属イオンの除去を継続できるので、吸着剤の利用率を高められる。
本発明の汚染水処理用吸着塔及び汚染水処理方法は、吸着剤に汚染水中の浮遊物質や油が付着したときに給水路を切り替えて圧力損失の上昇を回避することによって、浮遊物質や油の付着が少ない部分の吸着剤を活用して処理を継続できるので、最終的に吸着剤の利用率を高くできる。
本発明の一実施形態の汚染水処理用吸着塔の構成を示す模式的中央縦断面図である。 図1の汚染水処理用吸着塔のA−A線での模式的断面図である。 図1の汚染水処理用吸着塔の使用開始直後の状態を示す模式的断面図である。 図1の汚染水処理用吸着塔の第1の給水路に汚染水を供給する状態での圧力上昇の様子を示す模式的断面図である。 図1の汚染水処理用吸着塔の図3Bの次の第2の給水路に汚染水を供給する状態での圧力上昇の様子を示す模式的断面図である。 図1の汚染水処理用吸着塔の図3Cの次の第3の給水路に汚染水を供給する状態での圧力上昇の様子を示す模式的断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[汚染水処理システム]
図1の汚染水処理用吸着塔は、円筒形状の容器1と、この容器1に充填され、金属イオンを吸着する吸着剤2(図1にハッチングで図示)と、上記容器1の下部に配設される排水路3と、容器1内に汚染水を導入するために容器1内の上下複数箇所に配設される3つの給水路4a,4b,4cと、これら給水路4a,4b,4cのいずれか一つに汚染水を供給するバルブ機構5と、このバルブ機構を制御する制御装置6とを備える。
この汚染水処理用吸着塔へは、不図示の汚染水貯留槽から、例えばインバーターで回転数制御可能な給水ポンプ7によって金属イオン含有汚染水が供給される。この金属イオン含有汚染水としては、典型的には、事故原発炉心冷却用循環水、放射能除染に用いた洗浄廃水等が挙げられ、浮遊物質及び油の少なくともいずれかを含む。
<容器>
容器1は、ステンレス鋼等で形成される圧力容器であり、中心軸が略鉛直となるよう設置される。この容器1は、内部の底部近傍及び頂部近傍に吸着剤2を封止するメッシュ状の保持部材8a,8bを有する。また、容器1の大きさは、特に限定されず、例えば要求される処理量、設備を設置可能なスペース、使用される吸着剤の種類等に応じて適宜選択されるが、例えば内径70cm、高さ3mとされる。また、保持部材8a,8b間の距離としては、例えば2.8mとされる。なお、略鉛直とは、中心軸の水平面に対する角度が80°以上をいう。
<吸着剤>
吸着剤2としては、汚染水が含有する金属イオンの種類に応じて適宜選択されるが、一般的には、活性炭やゼオライト等の多孔質体が利用される。
また、汚染水が放射性セシウムイオン、放射性ストロンチウムイオン等の放射性金属イオンを含有する場合には、これらの放射性金属イオンを効率よく吸着できる吸着剤を使用することが好ましい。
上記放射性セシウムイオン用吸着剤としては、フェロシアン化金属化合物等が挙げられる。このフェロシアン化金属化合物は、塩水中でのセシウムイオン吸着効果が高いので汚染水が塩分を含む場合に特に有効である。フェロシアン化金属化合物としては、フェロシアン化鉄、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化ニッケル等が挙げられ、中でも放射性セシウムイオン吸着能力に優れるフェロシアン化鉄が好ましい。
上記フェロシアン化金属化合物は、保持部材8a,8bを通過することなく容器1内に保持できるよう、バインダーを用いて造粒したものや、活性炭、ゼオライト等の多孔質体に担持させたものを使用することが好ましい。
また、上記放射性ストロンチウム用吸着剤としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト等が挙げられる。
ただし、ストロンチウムはアルカリ土類金属に属し、カルシウム及びマグネシウムとよく似た性質を有する。このため、上記A型ゼオライト、X型ゼオライト等の一般的な放射性ストロンチウム用吸着剤は、カルシウム、マグネシウム等の他のアルカリ土類金属も吸着してしまうので、放射性ストロンチウム吸着能力の低下が早い。従って、汚染水が他のアルカリ土類金属を含む場合にも汚染水中の放射性ストロンチウムを効率よく除去するためには、放射性ストロンチウムを選択的に吸着できる吸着剤の使用が好ましい。
放射性ストロンチウムを選択的に吸着できる吸着剤としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト等の表面に、カルシウム及びマグネシウムを透過せず、ストロンチウムを選択的に透過する膜を形成した吸着剤がある。上記ストロンチウムを選択的に透過する膜としては、例えばカルシウムアルギン酸膜等が挙げられる。
また、吸着剤2として、上記各種吸着剤等の複数種類を複合したものを使用することもできる。例えば、フェロシアン化金属化合物を多孔質体に担持させる場合、フェロシアン化金属化合物の担持量を抑制し、多孔質体の吸着能力に十分な余力を残しておくことにより、多孔質体がフェロシアン化金属化合物の担持体としてだけではなく、金属イオン、浮遊物質及び油を吸着する吸着剤としても機能する。
<排水路>
排水路3は、容器1の下端に配設されるが、吸着剤2の層内に汚染水の偏流を生じさせないよう、下側の保持部材8bとの間に十分な隙間を有することが好ましい。
この排水路3又は排水路3に接続される流路には、処理水の流量Fを検出する流量検出器9と、処理水の流量を調整する流量調整弁10とが配設されている。流量検出器9は、検出信号を制御装置6に伝送する。なお、処理水流量Fは、当該汚染水処理用吸着塔への汚染水の供給量と実質的に同じ値である。このように、汚染水の給水量ではなく浮遊物質や油が除去された処理水の流量を測定することにより、流量検出器9のメンテナンスコストを低減できる。
<給水路>
給水路4a,4b,4cは、図2に示すように、例えば鋼管、銅管、樹脂パイプ等により形成されるリング状の管からなり、リングの中心軸が略鉛直となるよう配設され、周方向に略均等に形成された複数の吐出口11を有する。給水路4a,4b,4cとしては、特に限定されないが、例えばリング外径約60cm、管内径約75mmとされ、例えば口径約10mmの吐出口11が12箇所に略鉛直下向きに開口するよう形成される。これにより、複数の吐出口11が水平方向に配設される。給水路4a,4b,4cは、下側の保持部材8bから、例えば2.7m、2m、1.3mの位置にそれぞれ配設される。
これら給水路4a,4b,4cは、容器1と同心に配置されている。また、容器1内に配設された給水路4a,4b,4cは、容器1の外部に延伸する接続管12a,12b,12cを介してバルブ機構5に接続されている。
第1の給水路4aは、図1に示すように、吸着剤2の層の上側表面近傍に配設されている。第2の給水路4bは、第1の給水路4aから所定の距離だけ離れて吸着剤2の層の高さ方向中央よりも上方に配設されている。第3の給水路4cは、第2の給水路4bから所定の距離だけ離れて吸着剤2の層の高さ方向中央よりやや下方に配設されている。
<バルブ機構>
バルブ機構5は、給水路4a,4b,4cに接続する接続管12a,12b,12cに汚染水を供給する流路毎に設けた複数のバルブ13a,13b,13cを有する。これらのバルブ13a,13b,13cは、制御装置6の制御信号に応じて駆動可能なアクチュエータを有する弁である。そして、これらバルブ13a,13b,13cは、制御装置6により、いずれか一つのみが選択的に開放される。
<制御装置>
制御装置6は、流量検出器9の検出信号が入力され、この検出信号に基づいてバルブ機構5及び流量調整弁10を制御する。
(調整弁の制御)
制御装置6は、流量検出器9により検出される処理水流量Fを予め設定した設定流量に一致させるよう、流量調整弁10の開度を調整する。この流量調整弁10の制御は、公知のPID制御等の方法により行うことができる。
(バルブ機構の制御)
制御装置6によるバルブ機構5の制御は、流量調整弁10の開度が全開であり、かつ流量検出器9により検出される処理水流量Fが予め設定した上記設定流量よりも低い閾値以下となったときに汚染水を供給する給水路を一つ下側(排水路3側)の給水路4b又は4cとするようバルブ13a,13b,13cを操作する。処理水流量Fが予め設定した上記設定流量よりも低い閾値以下となったとき、汚染水を供給している給水路の近傍の吸着剤2に浮遊物質及び油が多量に付着して目詰まりすることにより、容器1内の圧力損失、つまり容器1内の吸着剤2の層を汚染水が通過する際に生じる圧力低下がある程度大きくなっていると考えられる。
[汚染水処理方法]
次に、上記汚染水処理用吸着塔を使用する汚染水処理方法について説明する。
当該汚染水処理方法は、給水路4a,4b,4cのいずれか(最初は第1の給水路4a)に汚染水を供給する工程と、容器1内の圧力損失が大きくなる毎に、汚染水を供給する給水路4a,4b又は4cを一つずつ排水路3側の給水路4b又は4cに切り替える工程とを備える。
(汚染水供給工程)
汚染水を供給する工程では、バルブ機構5のバルブ13a,13b,13cのうちのいずれか一つのみを開放することにより、給水路4a,4b,4cのいずれかに汚染水を供給する。新しい汚染水処理用吸着塔を使用する場合、最初に汚染水が供給される給水路は、排水路3から最も遠い第1の給水路4aである。
(給水路切替工程)
給水路を切り替える工程は、流量検出器9により検出される処理水流量Fを上記閾値と比較するステップと、上記処理水流量Fの検出値が上記閾値以上となったときに汚染水を供給する給水路を一つ下側(排水路3側)の給水路4b又は4cとするようバルブ13a,13b,13cを操作するステップとを有する。
<作用>
図3A乃至図3Dに、当該汚染水処理用吸着塔における吸着剤2への浮遊物質及び油の付着状態の変化を順に示す。なお、図3A乃至図3Dでは、吸着剤への浮遊物質及び油の付着の程度を散点によって模式的に示し、散点の密度が高いほど、浮遊物質及び油の付着度合いが高いことを示す。また、図には、容器1内の高さ位置に応じた吸着剤2の飽和度も合わせて示す。
当該汚染水処理用吸着塔の使用開始時は、図3Aに示すように、排水路3から最も遠い第1の給水路4aに汚染水が供給される。よって、汚染水は、吸着剤2の層の全体を通過する。汚染水は、吸着剤2の層を通過するに従って含有する金属イオン(主にストロンチウムイオン)が除去される。このため、第1の給水路4aに近い吸着剤ほど、高濃度の汚染水と接触し、より多くの金属イオンを吸着する。汚染水の給水を開始した直後は、上層の吸着剤2によってすべての金属イオンが除去される。よって、吸着剤2の層の下部は、金属イオンが既に除去された汚染水が通り抜けるだけである。
吸着剤2は金属イオンを吸着することによって、吸着能力が低下し、最終的には飽和状態(飽和度100%)となって、さらなる金属イオンの吸着が不可能となる。飽和度の値が0%(初期値)である吸着剤2は、金属イオンを除去した後の汚染水としか接触していない。飽和度が0%超100%未満である範囲の吸着剤2が、その時点で金属イオンを吸着しているものであり、このような機能状態の吸着剤2の領域は吸着帯と呼ばれる。この吸着帯は、処理時間と共に下流側(排出路3側)に移動する。
第1の給水路4aへの汚染水の供給を続けると、図3Bに示すように、吸着剤2の上部(第1の給水路4aの近傍)に多くの浮遊物質及び油が付着する。これにより、容器1内の第1の給水路4a近傍の吸着剤2の層における圧力損失が増大し、処理水流量Fが減少する。浮遊物質及び油の付着量が少ないときは、流量調整弁10の開度を大きくすることによって処理水流量Fを設定流量に維持する。しかしながら、吸着剤2への浮遊物質及び油の付着量が増大すると、容器1内の圧力損失が大きくなり、処理水流量Fを維持できなくなる。
そこで、容器1内の圧力損失が大きくなることにより、流量調整弁10を全開としても、処理水流量Fが閾値以下となったとき、つまり設定流量よりも一定量以上小さくなったとき、第1の給水路4aへの汚染水の供給を停止して、一つだけ排出路3側(下側)の第2の給水路4bに汚染水を供給する。これにより、吸着剤2の層の第2の給水路4bより下方の部分のみに汚染水を通水する。つまり、第2の給水路4bを使用することにより、吸着剤2の層のうちで浮遊物質及び油が付着して大きな圧力損失を生じている第1の給水路4a近傍領域をバイパスする。この結果、吸着剤2の層の中央以下の浮遊物質及び油の付着が比較的少ない部分を使用することにより、圧力損失が回避され、引き続き汚染水中の金属イオンを除去することが可能となる。
この時バイパスされる吸着剤2の領域は、吸着能力の飽和度が高い領域、好ましくは完全に飽和している領域であるため、第2の給水路4bに切り替えたことよって金属イオンの吸着能力が低下することはない。
第2の給水路4bに汚染水を供給し続けると、図3Cに示すように、第2の給水路4b近傍の吸着剤2にも多くの浮遊物質及び油が付着し、容器1内の圧力損失が増大し、処理水流量Fが減少する。このため、処理水流量Fが閾値以下となったなら、第2の給水路4bへの汚染水の供給を停止して、さらに一つ排出路3側の第3の給水路4cに汚染水を供給する。
このようにして、吸着剤2の層の第3の給水路4cより下側の部分のみに汚染水を通水し、吸着剤2の層のうち大きな圧力損失を生じる部分をバイパスして、金属イオンの除去をさらに継続する。
しかしながら、このとき、飽和度が0%(未吸着)の吸着剤2の残量が少なくなっている。図3Dに示すように、吸着帯が吸着剤2の層の下端に達すると金属イオンを完全に除去しきれなくなる破過が生じて、処理水中に金属イオンが残留してしまう。
そこで、当該汚染水処理方法では、排水路3から排出される処理水の放射線量を確認する。放射線量の確認は、インラインの測定装置でモニタリングしてもよく、定期的にサンプリングすることにより測定してもよい。処理水中に金属イオンが残留していることが確認されたとき、当該汚染水処理用吸着塔が寿命に達したと判断し、当該汚染水処理用吸着塔への汚染水の供給を停止して、当該汚染水処理用吸着塔を新しいものと交換する。取り外された使用済みの当該汚染水処理用吸着塔は、放射性廃棄物として処理される。
<利点>
以上のように当該汚染水処理用吸着塔では、排水路3から遠い側の給水路4a又は4bの近傍の吸着剤に浮遊物質や油が付着して圧力損失が増加したとしても、その一つ排水路3側の給水路4b又は4cに汚染水を供給して吸着剤2の層に通水することができる。これにより、吸着剤に浮遊物質や油が多く付着した部分をバイパスして、圧力損失を回避することにより充填されている吸着剤2を最後まで使い切ることができる。
また、各給水路4a,4b,4cが複数の吐出口を有することにより、吸着剤2の層内に局所的に浮遊物質や油が付着し、少ない処理量で圧力損失が増大することを防止でき、吸着剤2の利用率をより高めることができる。
また、各給水路4a,4b,4cが、容器1の形状に合わせたリング状の管であることによって、吸着剤2の層に平面視で比較的均等に汚染水を通水でき、偏流を防止して流速を均一化できるため吸着剤2を有効に利用できる。
また、吸着剤2が、放射性金属イオンを吸着する吸着剤を含むことにより、放射性汚染水や放射能汚染物の洗浄汚染水の浄化に利用できる。このような放射性金属イオンを吸着した吸着剤は、放射性廃棄物をして処分する必要があるため、吸着剤の利用効率を高めることによる廃棄物処理費用の低減効果が高い。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらはすべて本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
例えば、当該汚染水処理用吸着塔は、図1の汚染水処理用吸着塔とは逆に上側に排水路を備え、汚染水が下側から上側に向かって通水されるものであってもよい。下から上に汚染水を通水すれば、吸着剤の層の中の空気を追い出して、汚染水を吸着剤に効率よく接触させる効果が得られる。なお、汚染水を水平方向又は傾斜方向に通水してもよいが、重力により偏流が生じやすいので、通水方向を鉛直方向とすることが好ましい。
また、当該汚染水処理用吸着塔において容器は、球形状であってもよい。
当該汚染水処理用吸着塔では、処理水の流量に基づいて容器内の圧力損失、つまり目詰まりの発生を判定する他、汚染水の供給量、汚染水の供給圧力等、他の指標に基づいて容器内の汚染水の圧力損失が大きくなったと判断してもよい。具体的には、これら容器内の圧力損失の指標が予め設定される閾値となったとき、容器内の圧力損失が大きくなったと判断して給水路を切り替えてもよい。
また、当該汚染水処理用吸着塔において、給水路は、上側の給水路からの通水を阻害せず、平面視で可能な限り均等に汚染水を吐出できるものが好ましく、平面視で例えば螺旋状、矩形状、蛇行形状等の任意の形状の管とすることができ、分岐を有する管であってもよい。ここで、管とは、円形断面に限らず、楕円形断面、矩形断面等のものを含む。
また、給水路の数は、3つに限定されず、2つ又は4つ以上であってもよい。
また、給水路の吐出口の数は任意であり、水平方向又は斜め方向に開口してもよい。
また、吸着塔内の吸着剤の能力の限界、つまり交換時期については、放射線量以外にも、金属イオン濃度等の指標に基づいて判断してもよい。
本発明は、汚染水から金属イオンを除去するために、特に放射性金属イオンを除去するために、好適に利用できる。
1 容器
2 吸着剤
3 排水路
4a,4b,4c 給水路
5 バルブ機構
6 制御装置
7 給水ポンプ
8a,8b 保持部材
9 流量検出器
10 流量調整弁
11 吐出口
12a,12b,12c 接続管
13a,13b,13c バルブ

Claims (4)

  1. 放射性金属イオンと浮遊物質及び油の少なくともいずれかとを含む汚染水から上記放射性金属イオンを除去するための汚染水処理用吸着塔であって、
    円筒形状又は球形状の容器と、
    上記容器に充填され、上記放射性金属イオンを吸着する吸着剤と、
    上記容器の下部に配設される排水路と、
    上記容器内に上記汚染水を導入するために上記容器内の上下複数箇所に配設される複数の給水路と
    を備え
    記給水路が水平方向に配設された複数の吐出口を有するリング状の管であり、上記リング状の管が吸着剤の充填部分かつ上記容器と同心軸上に配置され、
    上記排水路が、上記容器の中心軸上に配置され、
    上記容器が圧力容器であり、
    上記複数の給水路のいずれか一つに上記汚染水を供給するバルブ機構を備え、上記バルブ機構が上記容器外に配される複数のバルブを有し、
    上記容器の上方から容器内に介在され上記バルブとリング状の配管とを接続する接続管をさらに備える汚染水処理用吸着塔。
  2. 上記吸着剤が、ゼオライト及び活性炭の少なくともいずれかを含み、上記ゼオライト及び活性炭の少なくともいずれかにより担持されるフェロシアン化金属化合物をさらに含む請求項1に記載の汚染水処理用吸着塔。
  3. 上記排水路又は上記排水路に接続される流路には、処理水の流量を調整する流量調整弁が配設されており、
    上記容器内の圧力損失が大きくなることにより、上記流量調整弁を全開としても、処理水流量が閾値以下となったとき、上記汚染水を供給する給水路を上記排水路側の給水路に切り替えるよう上記バルブ機構を制御する制御装置を備える請求項1又は請求項2に記載の汚染水処理用吸着塔。
  4. 放射性金属イオンと浮遊物質及び油の少なくともいずれかとを含む汚染水から吸着塔により上記放射性金属イオンを除去する汚染水処理方法であって、
    上記吸着塔が、円筒形状又は球形状の容器と、上記容器に充填される上記放射性金属イオンを吸着する吸着剤と、上記容器の下部に配設される排水路と、上記容器内に上記汚染水を導入するために上記容器内の上下複数箇所に配設される複数の給水路とを備え、
    記給水路が水平方向に配設された複数の吐出口を有するリング状の管であり、上記リング状の管が吸着剤の充填部分かつ上記容器と同心軸上に配置され、
    上記排水路が、上記容器の中心軸上に配置され、
    上記容器が圧力容器であり、
    上記複数の給水路のいずれか一つに上記汚染水を供給するバルブ機構を備え、上記バルブ機構が上記容器外に配される複数のバルブを有し、
    上記容器の上方から容器内に介在され上記バルブとリング状の配管とを接続する接続管をさらに備え、
    上記複数の給水路のいずれかに上記汚染水を供給する工程と、
    上記容器内の圧力損失が大きくなることにより、上記排水路又は上記排水路に接続される流路に配設された流量調整弁を全開としても、処理水流量が閾値以下となったとき、上記汚染水を供給する給水路を上記排水路側の給水路に切り替える工程と
    を備えることを特徴とする汚染水処理方法。
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