以下、本発明のエアバッグの第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
図5において、10はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置10は、移動体である車両としての自動車の助手席、すなわち被保護物としての助手席の乗員の前方に位置する被設置部としてのインストルメントパネル部の内側に配置され、助手席乗員用のエアバッグ装置10を構成している。なお、以下、前後方向、両側方向、及び上下方向は、それぞれエアバッグ装置10を自動車に取り付けた状態における自動車の直進方向を基準として説明する。
そして、このエアバッグ装置10は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、基布にて構成された袋状の外殻部であるエアバッグ本体部11などを有するエアバッグ12、エアバッグ本体部11にガスを供給する図示しないインフレータ、これらエアバッグ12とインフレータとなどが取り付けられる図示しないケース体、図示しないリテーナ、展開前のエアバッグ12を覆う図示しないカバー体、及びインフレータの動作を制御する図示しない制御手段などを備えている。さらに、このエアバッグ装置10は、自動車のインストルメントパネル部に取り付けられ、センサなどを備えた制御装置に電気的に接続して構成される。
ケース体は、略箱状に形成され、正面側あるいはインストルメントパネル部の上方に連続するウインドシールドである図示しないフロントガラスに向かう上側を開口部である矩形状の突出口とし、内側が、折り畳んだエアバッグ本体部11(エアバッグ12)を収納するエアバッグ収納部とされている。また、このケース体の底部には、インフレータの取り付け用の取付孔が形成されている。そして、この突出口は、通常時は、カバー体により覆われている。
インフレータは、例えば円盤状をなす本体部を備え、この本体部の高さ方向の下側寄りの位置から、四角板状のフランジ部が突設され、このフランジ部の四隅には通孔が形成されている。そして、この本体部の上側部、すなわちフランジ部の上方に位置して、本体部の外周面に、複数の図示しないガス噴射口が形成されている。そして、本体部の内側には、点火器及び薬剤が収納され、底部に接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、ガス噴射口から膨張用のガスを急速に供給するようになっている。そして、このインフレータは、ガス噴射口を設けた本体部をエアバッグ本体部11の内側に挿入した状態で、ケース体の底部に取り付けられている。なお、インフレータは、種々の形状があり、例えば、円柱状の本体部をエアバッグ本体部11の内側に配置する構成を採ることもできる。
リテーナは、枠状に形成されており、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)とともにインフレータを取り付けるための図示しない取付ボルトが突設されている。
カバー体は、樹脂にてインストルメントパネル部と一体あるいは別体をなして形成され、他の部分より薄肉で容易に破断するテアラインが平面略H字状などに形成されている。
そして、図1ないし図5に示すエアバッグ本体部11は、単数、あるいは複数の基布を縫製、接着あるいは溶着などにより組み合わせて接合することで全体としては袋状に形成され、展開状態で乗員に対向して上下方向及び左右方向(幅方向)に延びる対向面部である乗員拘束面部21を後端部に有し、この乗員拘束面部21の両側から反乗員側すなわち乗員側と反対側、換言すれば前側に前後方向に沿って延びる側面部22,22が連続し、これら乗員拘束面部21及び側面部22,22の上部間に前後方向に沿って延びる上面部23が連続し、かつ、乗員拘束面部21及び側面部22,22の下部間に前後方向に沿って延びる下面部24が連続している。さらに、このエアバッグ本体部11の内部には、連結部材としてのテザー25,25が取り付けられている。
乗員拘束面部21は、前方へ移動してきた乗員に対して反力を与えることで乗員を拘束する部分であり、エアバッグ本体部11が最大に展開した状態で乗員の頭部、胸部及び腹部に亘る面積を有するように上下及び左右方向に広がる。
各側面部22は、エアバッグ本体部11が展開した状態で乗員に対して直接対向しない、両側方向に面方向を向けて展開する面部である。これら側面部22には、ガスの排出を許容する、すなわち排気用の円形状のベントホール27及び四角形状の排気孔としての可変ベントホール28がそれぞれ上下方向の上側寄りの位置に形成されている。そして、各側面部22の外部には、各可変ベントホール28に対向する位置に、これら可変ベントホール28の開度(開口面積)を変える開閉部材としてのカバー29がそれぞれ取り付けられている。
各ベントホール27及び各可変ベントホール28は、それぞれエアバッグ12(エアバッグ本体部11)内に導入されたガスの余剰分を外部に排出することでエアバッグ本体部11の内圧を適切に設定するものである。また、各可変ベントホール28は、例えば各ベントホール27の上方に開口されており、前後方向に沿って長手方向を有するとともに、各ベントホール27よりも開口面積が小さく設定されている。
各カバー29は、例えば1枚、あるいは複数枚の基布により四角形状のフラップ状に形成されており、各可変ベントホール28を跨いで各側面部22(エアバッグ本体部11)の外部に例えば縫製、あるいは接着などにより固定されている。本実施の形態では、各カバー29は、各可変ベントホール28を短手方向、すなわち上下方向に跨いで各側面部22(エアバッグ本体部11)に取り付けられている。したがって、各カバー29は、各側面部22(エアバッグ本体部11)の外部に縫製などによって固定される被固定部31,31を両端部に有しており、これら被固定部31,31間に、開閉部材本体としてのカバー本体32が各側面部22(エアバッグ本体部11)に対して離間されるアーチ状に連続している。そして、各カバー29は、カバー本体32が各テザー25と連結されており、各テザー25により側面部22(エアバッグ本体部11)に対して接近する方向にカバー本体32が引っ張られることで、各可変ベントホール28の開度を変える、本実施の形態では各可変ベントホール28を開閉するようになっている。
上面部23は、展開状態でフロントガラスに対向する部分であり、下面部24の上方に対向している。
下面部24は、乗員拘束面部21及び側面部22,22の下側を下方に突出した状態で連結する、すなわち下方へと膨出する形状に形成されている。また、この下面部24には、インストルメントパネル部に対向する位置である前側に、インフレータのガス噴射口から噴射されたガスがエアバッグ本体部11の内部へと供給される図示しないガス導入口が形成されている。また、この下面部24は、ガス導入口の周縁部がインフレータとともにケース体のエアバッグ収納部に一体的に固定されている。
各テザー25は、ベルト、あるいはストラップなどとも呼び得るもので、長尺状に形成されており、一端部である下端部が一方の側面部22、本実施の形態では一方の側面部22の下面部24と連続する下端部と連結され、他端部である上端部が一方の側面部22に対向する他方の側面部22に取り付けられたカバー29(カバー本体32)と連結されている。したがって、テザー25,25は、前後方向に見て、互いに交差するX字状にエアバッグ本体部11の内部に配置されている。
そして、各テザー25は、長尺状の連結部材本体としてのテザー本体35を備えており、各可変ベントホール28の近傍にてこれら可変ベントホール28と異なる位置に各側面部22(エアバッグ本体部11)に開口された例えば四角形状の各通孔37に対して挿通されている。
テザー本体35は、例えば基布により細長い帯状(長尺状)に形成された第1の本体部35aと、例えば基布により細長い帯状に形成されてこの第1の本体部35aと連結された第2の本体部35bとを備えている。
第1の本体部35aは、直線状に配置されており、テザー25の一端部となる一端部である下端部が側面部22(エアバッグ本体部11)の内部に例えば縫製などによって連結され、他端部である上端部が例えば縫製などによってループ状に形成されたループ部35cとなって、第2の本体部35bと連結されている。したがって、この第1の本体部35aの上端部は、第2の本体部35bに沿って可動的(摺動可能)に連結され、引っ張り方向がいわばフレキシブルとなるように連結されている。
第2の本体部35bは、第1の本体部35aの幅方向にU字状に配置されており、中央部が第1の本体部35aとループ部35cによって連結されている。また、第2の本体部35bの両端部である腕部35d,35dは、テザー25の他端部となっており、それぞれ通孔37,37に挿通されてエアバッグ本体部11の外部に導出されて、カバー29(カバー本体32)の可変ベントホール28に対向する裏面側(下面側)に対して、カバー29(カバー本体32)の長手方向の両端部近傍の位置で例えば縫製などによって連結されている。
各通孔37は、本実施の形態では、1つの可変ベントホール28につき一対ずつ形成されており、例えばこの可変ベントホール28の長手方向の両端部に対向し、かつ、これら両端部に対して離間された位置にて側面部22(エアバッグ本体部11)に開口されている。各通孔37の幅寸法W2は、テザー本体35(第2の本体部35b(腕部35d))の幅寸法W4と略等しく設定されている。したがって、これら通孔37は、テザー本体35(第2の本体部35b(腕部35d))の幅方向の位置を規制している。
次に、エアバッグ装置10の展開挙動を説明する。
このエアバッグ装置10の動作の概略としては、自動車の衝突などの際に、制御装置がインフレータを作動させ、このインフレータからガスを噴射させると、折り畳み状態でエアバッグ収納部に収納されたエアバッグ本体部11が、ガス導入口からのガスの流入に伴い膨張展開してカバー体のテアラインを破断して突出口から突出し、乗員側へと展開する。
より詳細には、展開初期において、折り畳まれた状態のエアバッグ本体部11がインフレータからのガスの導入により上下方向、左右方向及び前後方向に膨張を開始すると、各側面部22に連結された各テザー25が次第に延びる。このとき、各可変ベントホール28は開度が維持され、各ベントホール27及び各可変ベントホール28がそれぞれ開口した状態となるので、例えば正規位置よりもエアバッグ装置10(インストルメントパネル部)に接近した位置の乗員、例えば非正規位置(アウトオブポジション(OOP)状態)の大人などの乗員、あるいは子供の乗員などがこのエアバッグ本体部11が完全に展開していない段階で乗員拘束面部21に接触したときに、各ベントホール27及び各可変ベントホール28からガスがエアバッグ本体部11の外部へと適宜排出され、エアバッグ本体部11の内圧が比較的低い状態に維持されて、乗員を適切な圧力で確実に保護する(図2(a))。
展開中期において、各テザー25が各側面部22によってさらに引っ張られると、各テザー25と連結された各カバー29(カバー本体32)の両端部がエアバッグ本体部11の各側面部22へと次第に引き寄せられ、各可変ベントホール28の開度が小さくなっていく。このとき、各テザー25は、エアバッグ本体部11の展開に伴い、テザー本体35の第1の本体部35aが引っ張られる方向に応じてループ部35cの位置で第1の本体部35aが第2の本体部35bに沿って移動し、腕部35d,35dのそれぞれに適切に張力が加わる(図4)。
そして、展開終期においては、各テザー25により引っ張られた各カバー29の両端部がエアバッグ本体部11(各側面部22)に密着して、各可変ベントホール28の開度が相対的に小さい状態、本実施の形態では各可変ベントホール28が閉塞される(図2(b))。したがって、各ベントホール27のみが開口した状態となるので、エアバッグ本体部11の内圧が比較的高く維持され、正規位置の乗員を乗員拘束面部21によって適切な圧力で確実に保護する。
このように、本実施の形態によれば、可変ベントホール28を跨いでエアバッグ本体部11の外部に位置するカバー29の一縁(両端部)に対して、下端部をエアバッグ本体部11の内部に連結したテザー25の上端側を通孔37に挿通して連結することで、エアバッグ本体部11の展開初期では、可変ベントホール28の開度を相対的に大きくし(可変ベントホール28を開き)、エアバッグ本体部11が展開した状態では、エアバッグ本体部11によって引っ張られたテザー25によってカバー29の一縁を引っ張って可変ベントホール28の開度を相対的に小さくする(可変ベントホール28を閉じる)。したがって、簡単な構成で可変ベントホール28の開度をカバー29によって確実に小さくできる(可変ベントホール28を確実に閉塞できる)。
また、通孔37に対応する複数(一対)のテザー25のそれぞれの下端部をエアバッグ本体部11の内部と連結するとともに、上端側を各通孔37に挿通してカバー29に対して互いに異なる一縁(両端部)に連結することで、エアバッグ本体部11が展開した状態でカバー29によって可変ベントホール28の開度をより確実に小さくできる(より確実に閉塞できる)。
さらに、下端部をエアバッグ本体部11の内部に連結した長尺の第1の本体部35aの上端部を、可変ベントホール28に対して互いに反対の位置の各通孔37に挿通されカバー29の両縁(両端部)に連結された腕部35d,35dの間の位置で第2の本体部35bに対して、この第2の本体部35bに沿って可動的に連結している。このため、例えば図4の想像線に示すように、第1の本体部35aの上端部を第2の本体部35bに対して定位置に固定した場合、引っ張り方向によってはいずれか一方の腕部35dに対して充分に張力が伝達されない場合が生じ得るのに対して、本実施の形態では、テザー本体35(第1の本体部35a)がエアバッグ本体部11の展開によってどのような角度で引っ張られた場合でも、第1の本体部35aの上端部が第2の本体部35bに沿って移動して腕部35d,35dに確実に張力を与える適切な位置で第2の本体部35bを(乗員方向に)引っ張るので、張力をロスなく確実に伝達してバランスよくカバー29を引っ張ることができる。すなわち、例えば助手席用のエアバッグ12の場合、乗員方向に向けて展開するエアバッグ本体部11に対して、このエアバッグ本体部11の展開によりテザー25が左右方向、すなわちカバー29に対して略垂直な方向に引っ張られるようにエアバッグ本体部11に連結することが容易でないので、腕部35d,35dに対して引っ張りに偏りが生じるものの、上記のように第1の本体部35aを第2の本体部35bに対して可動的に連結しているので、カバー29を略垂直な方向に引っ張らなくても両方の腕部35d,35dに対して略均等に張力を加えることができる。したがって、例えば米国法規FMVSS208に規定する低リスク展開、すなわちLRD(Low Risk Deployment)に対応できるとともに、可変ベントホール28の開度を様々に制御する(可変ベントホール28の開閉を様々に制御する)、様々なタイプのエアバッグ12に対応して用いることができる構造となる。
なお、上記第1の実施の形態では、テザー25の第2の本体部35b(腕部35d)を、カバー29の両端部にそれぞれ設定したが、図6に示す第2の実施の形態のように、カバー29の一端部にのみ設定し、このカバー29のその他の部分、すなわち両側部及び他端部を、可変ベントホール28の両側部及び他端部に沿ってエアバッグ本体部11に対して縫製などにより固定してもよい。この場合には、構成をより簡略化しつつ、可変ベントホール28の開度をカバー29によって確実に小さくできる(可変ベントホール28を確実に閉塞できる)。
次に、第3の実施の形態を図7を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施の形態は、テザー25のテザー本体35の第2の本体部35bが、両端部を構成するそれぞれ一対(2つ)ずつの腕部35d,35dと、一対の腕部35d,35dと一対の腕部35d,35dとの間を連結する長尺帯状の連結体部35eとを備えるものである。すなわち、第2の本体部35bは、両端部がU字状(V字状)に形成されている。また、腕部35d,35dは、互いに例えば縫製などによって連結体部35eの両端部と連結されている。なお、これら腕部35d,35dは、それぞれ別個に通孔37に挿通されていてもよいし、同じ1つの通孔37に挿通されていてもよい。さらに、連結体部35eに対して、第1の本体部35aの上端部がループ部35cによりこの連結体部35eに沿って可動的(摺動可能)に連結されている。
そして、折り畳まれた状態のエアバッグ本体部11がインフレータからのガスの導入により膨張を開始すると、各テザー25が各側面部22によって引っ張られ、各テザー25と連結された各カバー29(カバー本体32)の両端部が各腕部35d,35dの位置でそれぞれエアバッグ本体部11の各側面部22へと次第に引き寄せられ、各可変ベントホール28の開度が小さくなっていく。
このように、各テザー25の上端側を複数箇所(複数の腕部35d,35d)でカバー29の一縁(一端部)に対して連結している、すなわち本実施の形態では各テザー25の上端部をカバー29の両端部に対してそれぞれ複数箇所ずつで連結しているので、カバー29の両端部をそれぞれ複数箇所ずつで引っ張ることができ、これら引っ張られている箇所間でのカバー29の弛みを抑制して、可変ベントホール28の開度をカバー29によってより確実に小さくできる(可変ベントホール28をより確実に閉塞できる)。
なお、上記の第3の実施の形態において、図8に示す第4の実施の形態のように、連結体部35eの両端部に連結ループ部35f,35fを設け、互いに連結された腕部35d,35dに対して、連結体部35eの両端部を連結ループ部35f,35fによって腕部35d,35dに沿って可動的(摺動可能)に連結することもできる。この場合には、テザー本体35(第1の本体部35a)がエアバッグ本体部11の展開によってどのような角度で引っ張られた場合でも、第1の本体部35aの上端部が第2の本体部35bの連結体部35eに沿って移動してこの連結体部35eに確実に張力を与える適切な位置で第2の本体部35bを引っ張り、かつ、連結体部35eの両端部が腕部35d,35dに沿って移動してこれらそれぞれ対をなす腕部35d,35dに確実に張力を与える適切な位置で腕部35d,35dを引っ張るので、張力をより確実に伝達してよりバランスよくカバー29を引っ張ることができる。
また、上記の各実施の形態において、図9に示す第5の実施の形態のように、腕部35dは、それぞれ第2の本体部35bの両端部に3本ずつとすることもできるし、4本以上とすることもできる。そして、第3ないし第5の実施の形態のように、腕部35dを複数設定することで、テザー25によってカバー29の一縁を複数箇所でエアバッグ本体部11側に引っ張ることができるので、可変ベントホール28の閉じ力(閉じ精度)を腕部35dの本数によって容易に制御できる。
次に、第6の実施の形態を図10及び図11を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第6の実施の形態は、各テザー25が、テザー本体35の他端側である少なくともいずれか、本実施の形態では各腕部35dに設けられたストッパ部40を備えるものである。
図10(a)、図10(b)に示す各ストッパ部40は、エアバッグ本体部11が折り畳まれた状態でこのエアバッグ本体部11の外部に位置し、展開初期ではエアバッグ本体部11の外部に位置し各カバー29と各側面部22(エアバッグ本体部11)との間のクリアランスを維持して各可変ベントホール28を開いた状態(各可変ベントホール28の開度が相対的に大きい状態)を保ち、膨張展開後では変形により各通孔37を通過してエアバッグ本体部11の内部に位置し各カバー29を引っ張って各可変ベントホール28を閉じた状態(各可変ベントホール28の開度が相対的に小さい状態)を保つためのものである。これらストッパ部40は、テザー本体35の第2の本体部35bの両端部にそれぞれ一体的に取り付けられている。また、これらストッパ部40は、例えばエアバッグ本体部11及びテザー本体35(第1の本体部35a及び第2の本体部35b)を構成する材質(基布)よりも強度が小さい、すなわち変形しやすい(柔軟性を有する)材質(基布)により形成され、テザー本体35(第2の本体部35b)に対して例えば縫製などによって一体的に固定されている。そして、各ストッパ部40は、本実施の形態では、例えば上辺よりも下辺が短い等脚台形状のストッパ本体41を複数、例えば2つ、テザー本体35(第2の本体部35b)の長手方向に互いに離間して備えており、上下両端間の長さが展開初期の各カバー29と各側面部22(エアバッグ本体部11)との間のクリアランスとなるように設定されている。したがって、各ストッパ部40は、両端部がテザー本体35(第2の本体部35b)に対して両側に突出するようになっている。
各ストッパ本体41は、下辺側から上辺側(カバー29側)へと徐々に拡開するように形成されており、下側のストッパ本体41の上辺が上側に隣接するストッパ本体41の下辺と一体となっている。すなわち、各ストッパ本体41は、それぞれ下側から上側へと拡開状に傾斜した斜辺41aを両端部に備えている。そして、テザー25の一端側(下端側)に位置するストッパ本体41の下部、すなわちストッパ部40の反カバー29側の端部が、各ストッパ部40のエアバッグ本体部11の外部から各通孔37への挿入(通過)を抑制する抑制部45となっており、テザー25の他端側(上端側)、すなわちカバー29に対向するストッパ部40のカバー29側の端部が、各ストッパ部40のエアバッグ本体部11の内部から各通孔37への挿入(通過)を防止する戻り防止部46となっている。
抑制部45は、テザー本体35(第2の本体部35b)の長手方向と交差(直交)する幅方向に沿って延びてテザー本体35(第2の本体部35b)から突出する直線状に形成されている。すなわち、この抑制部45は、対応する各通孔37の長手方向に沿って延びている。この抑制部45の幅寸法W1は、通孔37の幅寸法W2よりも大きく設定されており、ストッパ部40がエアバッグ本体部11の外部に位置している状態でテザー25(テザー本体35)によりカバー29(カバー本体32)が引っ張られたときに、通孔37の縁部に両端部が引っ掛かって抵抗を発生させるようになっている。本実施の形態では、抑制部45の幅寸法W1は、通孔37の幅寸法W2の約2倍程度となっている。
戻り防止部46は、テザー本体35(第2の本体部35b)の長手方向と交差(直交)する幅方向に沿って延びてテザー本体35(第2の本体部35b)から突出する直線状に形成されている。すなわち、この戻り防止部46は、対応する各通孔37の長手方向に沿って延びている。この戻り防止部46の幅寸法W3は、抑制部45の幅寸法W1及び通孔37の幅寸法W2よりも大きく設定されており、ストッパ部40がエアバッグ本体部11の内部に位置している状態でエアバッグ本体部11の内圧によりカバー29(カバー本体32)が押されたときに、通孔37の縁部に両端部が引っ掛かって通孔37にストッパ部40を入り込ませないようになっている。本実施の形態では、戻り防止部46の幅寸法W3は、通孔37の幅寸法W2の2倍以上、例えば約3倍程度となっている。
すなわち、抑制部45は、戻り防止部46に対して相対的に幅寸法が小さく、エアバッグ本体部11の外部から内部に向かってストッパ部40が通孔37に挿入される際に抵抗になるものの、変形によってこの挿入を許容するのに対して、戻り防止部46は、一旦通孔37を通過してエアバッグ本体部11の内部に位置したストッパ部40がエアバッグ本体部11の外部に向かって通孔37に挿入されることを許容しない。
そして、エアバッグ12は、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)の展開初期においては、エアバッグ本体部11の外部に位置してこのエアバッグ本体部11(各側面部22)と各カバー29との間に介在されているストッパ部40が、抑制部45の幅寸法W1が各通孔37の幅寸法W2よりも大きいことにより、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、各通孔37への挿入が阻止されて、エアバッグ本体部11と各カバー29(カバー本体32)とのクリアランスを維持して、各可変ベントホール28が開状態を維持する(図11(a))。
また、展開中期において、各テザー25が各側面部22によってさらに引っ張られると、ストッパ部40は、テザー本体35(第2の本体部35b)及びエアバッグ本体部11よりも強度が小さい材質により形成されているため、各テザー25により引っ張る力に屈してストッパ本体41の両斜辺41a,41aが各通孔37に強制的に押し込まれるように変形し(図11(b))、抵抗を与えながら各通孔37を各ストッパ部40のストッパ本体41がそれぞれ通過してエアバッグ本体部11の内部へと移動する。
そして、展開終期において、ストッパ部40(ストッパ本体41)がエアバッグ本体部11の内部に移動すると、各ストッパ部40は、戻り防止部46の幅寸法W3が各通孔37の幅寸法W2よりも相当大きいことで、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、エアバッグ本体部11の外部への移動が阻止され、各可変ベントホール28が閉状態を維持する(図11(c))。
このように、一端部をエアバッグ本体部11の内部に連結し他端部を可変ベントホール28の開度を変化させるカバー29に連結したテザー25の他端側に、エアバッグ本体部11が折り畳まれた状態でこのエアバッグ本体部11の外部に位置するとともにテザー25を挿通した通孔37を変形により通過可能なストッパ部40を設け、このストッパ部40に、通孔37よりも大きい幅寸法(幅寸法W1)に設定した抑制部45をテザー本体35に対して交差する方向に突出するとともに、この抑制部45以上の幅寸法(幅寸法W3)に設定した戻り防止部46をテザー本体35に対して交差する方向に突出する。そこで、エアバッグ本体部11の展開初期では、抑制部45が通孔37に引っ掛かってストッパ部40の通孔37への挿入を抑制して、エアバッグ本体部11とカバー29とのクリアランスを確実に保って可変ベントホール28の開度を相対的に大きくした状態(可変ベントホール28を開いた状態)を維持できるとともに、変形によりストッパ部40が通孔37をエアバッグ本体部11の内部に通過した後は、戻り防止部46が通孔37に引っ掛かってストッパ部40のエアバッグ本体部11の外部への戻りを確実に防止するため、可変ベントホール28の開度を相対的に小さくした状態(可変ベントホール28を閉じた状態)を維持できる。したがって、安定した動作でエアバッグ本体部11の内圧をその展開状態に応じて適切に設定できる。
また、ストッパ部40を、テザー本体35(第2の本体部35b)よりも強度が小さい材質により形成することで、エアバッグ本体部11の展開が進行してテザー25によってカバー29が引っ張られたときに、抑制部45による通孔37への挿入の抑制に抗してストッパ部40を確実に変形させて通孔37を通過させることができる。
さらに、通孔37の幅寸法W2を、テザー本体35(第2の本体部35b)の幅寸法W4と略等しく設定することで、通孔37に対してテザー本体35(第2の本体部35b)の位置がずれにくく、通孔37に対して、このテザー本体35(第2の本体部35b)に設けたストッパ部40の位置を安定させることができる。したがって、ストッパ部40の抑制部45による通孔37への挿入の抑制、及び、戻り防止部46による戻り防止の挙動をそれぞれ安定させることができる。
そして、ストッパ部40は、同形状のストッパ本体41を連続して設けたので、このストッパ本体41の個数を設定することによって、変形して通孔37を通過する際の抵抗を容易に設定できる。
また、テザー25の第1の本体部35aの上端部を第2の本体部35bに沿って可動的に連結しているので、張力をロスなくカバー29に確実に伝達してバランスよくカバー29を引っ張ることができるため、テザー25にストッパ部40を設けた構造であってもテザー25の引き込み力への負担を軽減でき、可動効率を確保できる。
次に、第7の実施の形態を図12を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第7の実施の形態は、上記の第6の実施の形態の各ストッパ部40が、ストッパ本体41を複数、例えば3つ、テザー本体35(第2の本体部35b)の長手方向に連続的に備えているものである。したがって、最も下側(テザー25の一端側(下端側))に位置するストッパ本体41の下部、すなわちストッパ部40の反カバー29側の端部が抑制部45となっており、最も上側(テザー25の他端側(上端側))、すなわちカバー29に対向するストッパ部40のカバー29側の端部が戻り防止部46となっている。
そして、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)の展開初期においては、エアバッグ本体部11の外部に位置してこのエアバッグ本体部11(各側面部22)と各カバー29との間に介在されているストッパ部40が、抑制部45の幅寸法W1が各通孔37の幅寸法W2よりも大きいことにより、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、各通孔37への挿入が阻止されて、エアバッグ本体部11と各カバー29(カバー本体32)とのクリアランスを維持して、各可変ベントホール28が開状態を維持する(図12(a))。
また、展開中期において、各テザー25が各側面部22によってさらに引っ張られると、ストッパ部40は、テザー本体35(第2の本体部35b)及びエアバッグ本体部11よりも強度が小さい材質により形成されているため、各テザー25により引っ張る力に屈してストッパ本体41の両斜辺41a,41aが各通孔37に強制的に押し込まれるように変形し(図12(b))、抵抗を与えながら各通孔37を各ストッパ部40のストッパ本体41が順次通過してエアバッグ本体部11の内部へと移動する。
そして、展開終期において、ストッパ部40(ストッパ本体41)がエアバッグ本体部11の内部に移動すると、各ストッパ部40は、戻り防止部46の幅寸法W3が各通孔37の幅寸法W2よりも相当大きいことで、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、エアバッグ本体部11の外部への移動が阻止され、各可変ベントホール28が閉状態を維持する(図12(c))。
このように、上記の第6の実施の形態と同様に抑制部45及び戻り防止部46を備えることで、同様の作用効果を奏することができるとともに、ストッパ本体41を連続的に隣接させて設けたので、通孔37を通過する際の抵抗をより大きくできる。
したがって、上記第6及び第7の実施の形態において、ストッパ本体41の個数は、1つでもよいし、4つ以上でもよく、個数に応じて通孔37を通過する際の抵抗を任意に制御できる。すなわち、ストッパ本体41の個数を増加させるほど、通孔37を通過する際の抵抗を大きくすることができる。なお、複数のストッパ本体41を設定する場合には、第6の実施の形態のように、ストッパ本体41を互いに離間して配置してもよいし、第7の実施の形態のように、連続的に隣接させて配置してもよい。
次に、第8の実施の形態を図13を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第8の実施の形態は、各ストッパ部40が、第1のストッパ本体51と、第2のストッパ本体52とを備えるものである。
第1のストッパ本体51は、通孔37の幅寸法W2よりも大きい幅寸法W1を有する四角形状に形成されており、両側辺51a,51aがテザー本体35(第2の本体部35b)の両側に沿って直線状に形成されている。そして、この第1のストッパ本体51の下辺、すなわちストッパ部40の反カバー29側の端部が、抑制部45となっている。
第2のストッパ本体52は、第1のストッパ本体51の上辺に下辺が一体的に連続して形成され、下辺が上辺よりも長い等脚台形状に形成されている。この第2のストッパ本体52の幅寸法は、第1のストッパ本体51の幅寸法よりも大きく設定されている。したがって、この第2のストッパ本体52は、両端部に、第1のストッパ本体51の両側辺51a,51aよりも突出する突出部52a,52aを備えている。さらに、この第2のストッパ本体52の両側辺は、下辺から上辺へと徐々に幅狭となるように傾斜した斜辺となっている。また、この第2のストッパ本体52の上辺、すなわちストッパ部40のカバー29側の端部は、戻り防止部46となっている。この戻り防止部46の幅寸法W3は、本実施の形態では、抑制部45の幅寸法W1と略等しく設定されている。
そして、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)の展開初期においては、エアバッグ本体部11の外部に位置してこのエアバッグ本体部11(各側面部22)と各カバー29との間に介在されているストッパ部40が、抑制部45の幅寸法W1が各通孔37の幅寸法W2よりも大きいことにより、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、各通孔37への挿入が阻止されて、エアバッグ本体部11と各カバー29(カバー本体32)とのクリアランスを維持して、各可変ベントホール28が開状態を維持する(図13(a))。
また、展開中期において、各テザー25が各側面部22によってさらに引っ張られると、ストッパ部40は、テザー本体35(第2の本体部35b)及びエアバッグ本体部11よりも強度が小さい材質により形成されているため、各テザー25により引っ張る力に屈して第1のストッパ本体51の両側辺51a,51aが各通孔37に強制的に押し込まれるように変形し(図13(b))、抵抗を与えながら各通孔37を各ストッパ部40の第1のストッパ本体51が通過してエアバッグ本体部11の内部へと移動する。さらに、第1のストッパ本体51が通孔37をエアバッグ本体部11の内部へと通過した後、第2のストッパ本体52の突出部52a,52aが通孔37に引っ掛かる。この後、さらに各テザー25により引っ張る力に屈して第2のストッパ本体52の両突出部52a,52aが各通孔37に強制的に押し込まれるように変形し(図13(c))、抵抗を与えながら各通孔37を各ストッパ部40の第2のストッパ本体52が通過してエアバッグ本体部11の内部へと移動する。なお、各通孔37をエアバッグ本体部11の内部へと通過した第1及び第2のストッパ本体51,52は、それぞれ復帰変形して各通孔37の幅寸法W2よりも大きい幅寸法となる。
そして、展開終期において、ストッパ部40(第1及び第2のストッパ本体51,52)がエアバッグ本体部11の内部に移動すると、各ストッパ部40は、戻り防止部46の幅寸法W3が各通孔37の幅寸法W2よりも相当大きいことで、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、エアバッグ本体部11の外部への移動が阻止され、各可変ベントホール28が閉状態を維持する(図13(d))。
このように、上記の第6及び第7の実施の形態と同様に抑制部45及び戻り防止部46を備えることで、同様の作用効果を奏することができる。
また、ストッパ部40は、第1のストッパ本体51のカバー29側に、この第1のストッパ本体51よりも幅寸法が大きい第2のストッパ本体52を設けたので、第1のストッパ本体51が変形して通孔37を通過した後、第2のストッパ本体52の突出部52a,52aの位置で、再度通孔37に引っ掛かり、その後にさらに第2のストッパ本体52が変形して通孔37を通過していく。したがって、第2のストッパ本体52の幅寸法を設定することで、エアバッグ本体部11の展開に伴い可変ベントホール28を開状態から閉状態とするまでにその中間の開度を容易に設定でき、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)の内圧を、展開状態に応じてよりきめ細かく制御することが可能になる。
次に、第9の実施の形態を図14を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第9の実施の形態は、各ストッパ部40が、四角形状に形成されているものである。すなわち、各ストッパ部40は、通孔37の幅寸法W2よりも大きい幅寸法W1を有する四角形状に形成されており、両側辺54,54がテザー本体35(第2の本体部35b)の両側に沿って直線状に形成されている。そして、各ストッパ部40の下辺すなわち反カバー29側の端部が抑制部45となっており、上辺すなわちカバー29側の端部が戻り防止部46となっている。したがって、抑制部45の幅寸法W1と戻り防止部46の幅寸法W3とは、通孔37の幅寸法W2よりも大きく、かつ、互いに略等しく設定されている。
そして、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)の展開初期においては、エアバッグ本体部11の外部に位置してこのエアバッグ本体部11(各側面部22)と各カバー29との間に介在されているストッパ部40が、抑制部45の幅寸法W1が各通孔37の幅寸法W2よりも大きいことにより、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、各通孔37への挿入が阻止されて、エアバッグ本体部11と各カバー29(カバー本体32)とのクリアランスを維持して、各可変ベントホール28が開状態を維持する(図14(a))。
また、展開中期において、各テザー25が各側面部22によってさらに引っ張られると、ストッパ部40は、テザー本体35(第2の本体部35b)及びエアバッグ本体部11よりも強度が小さい材質により形成されているため、各テザー25により引っ張る力に屈して両側辺54,54が各通孔37に強制的に押し込まれるように変形し(図14(b))、抵抗を与えながら各通孔37を各ストッパ部40が通過してエアバッグ本体部11の内部へと移動する。なお、各通孔37をエアバッグ本体部11の内部へと通過したストッパ部40は、それぞれ復帰変形して各通孔37の幅寸法W2よりも大きい幅寸法となる。
そして、展開終期において、ストッパ部40がエアバッグ本体部11の内部に移動すると、各ストッパ部40は、戻り防止部46の幅寸法W3が各通孔37の幅寸法W2よりも相当大きいことで、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、エアバッグ本体部11の外部への移動が阻止され、各可変ベントホール28が閉状態を維持する(図14(c))。
このように、上記の第6ないし第8の実施の形態と同様に抑制部45及び戻り防止部46を備えることで、同様の作用効果を奏することができる。
また、ストッパ部40を四角形状の単純な形状とすることで、ストッパ部40をより容易に形成できる。
次に、第10の実施の形態を図15を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第10の実施の形態は、各ストッパ部40が、下辺から上辺へと徐々に拡開する等脚台形状に形成されているものである。すなわち、各ストッパ部40は、下辺側から上辺側(カバー29側)へと拡開状に傾斜した斜辺57,57を両端部に備え、下辺、すなわち反カバー29側の端部が抑制部45となっており、上辺、すなわちカバー29に対向するカバー29側の端部が、各ストッパ部40のエアバッグ本体部11の内部から各通孔37への挿入(通過)を防止する戻り防止部46となっている。
そして、エアバッグ本体部11(エアバッグ12)の展開初期においては、エアバッグ本体部11の外部に位置してこのエアバッグ本体部11(各側面部22)と各カバー29との間に介在されているストッパ部40が、抑制部45の幅寸法W1が各通孔37の幅寸法W2よりも大きいことにより、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、各通孔37への挿入が阻止されて、エアバッグ本体部11と各カバー29(カバー本体32)とのクリアランスを維持して、各可変ベントホール28が開状態を維持する(図15(a))。
また、展開中期において、各テザー25が各側面部22によってさらに引っ張られると、ストッパ部40は、テザー本体35(第2の本体部35b)及びエアバッグ本体部11よりも強度が小さい材質により形成されているため、各テザー25により引っ張る力に屈して両斜辺57,57が各通孔37に強制的に押し込まれるように変形し(図15(b))、抵抗を与えながら各通孔37を各ストッパ部40が通過してエアバッグ本体部11の内部へと移動する。なお、各通孔37をエアバッグ本体部11の内部へと通過したストッパ部40は、それぞれ復帰変形して各通孔37の幅寸法W2よりも大きい幅寸法となる。
そして、展開終期において、ストッパ部40がエアバッグ本体部11の内部に移動すると、各ストッパ部40は、戻り防止部46の幅寸法W3が各通孔37の幅寸法W2よりも相当大きいことで、これら通孔37の縁部に引っ掛かり、エアバッグ本体部11の外部への移動が阻止され、各可変ベントホール28が閉状態を維持する(図15(c))。
このように、上記の第6ないし第9の実施の形態と同様に抑制部45及び戻り防止部46を備えることで、同様の作用効果を奏することができる。
また、1つのカバー29につき一対のストッパ部40を設定したが、例えばより大きいカバー29と連結する場合には、3つ以上のストッパ部40を設定してもよいし、四角形状のカバー29の3辺をエアバッグ本体部11に固定した被固定部31とし、残りの1辺に1つのテザー25(ストッパ部40)を連結するようにしてもよい。
また、ストッパ部40を抑制部45から戻り防止部46へと徐々に拡開する台形状とすることで、ストッパ部40をより容易に形成できるとともに、斜辺57,57の傾斜を変えることによって、通孔37を通過する際の抵抗、及び、戻り防止部46によるストッパ部40の戻り防止効果の大小をそれぞれ容易に設定できる。
なお、上記の第6ないし第10の実施の形態において、ストッパ部40は、抑制部45と戻り防止部46とを形成していれば、任意の形状とすることができる。
次に、第11の実施の形態を図16及び図17を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態は、上記の第1の実施の形態において、カバー29のテザー25により引っ張られる位置(カバー29とテザー25(腕部35d,35d)との連結部60)を含む、可変ベントホール28を跨ぐ方向、すなわちカバー29の短手方向(幅方向)である上下方向の長さ(周長)L1が、エアバッグ本体部11の通孔37に対応する位置を含む同方向、すなわち上下方向の長さ(周長)L2と略等しく設定されているものである(図16(a)及び図16(c))。
具体的に、カバー29を構成する略四角形状の基布61は、長手方向の両端に位置する端辺である各短辺62が、短手方向の中心側に向かって長手方向に徐々に突出するように傾斜した傾斜辺部62a,62aと、これら傾斜辺部62a,62a間を連続する辺部62bとを備えて形成されており、これら傾斜辺部62a,62aの辺部62bと隣接する位置に、傾斜辺部62a,62aに対して交差する方向に沿う山折り線部62c、及びこの山折り線部62cを挟む対をなす谷折り線部62d,62dがそれぞれ形成されている(図17)。そして、基布61は、山折り線部62cをエアバッグ本体部11と反対側に山状となるように折り曲げて重ねた状態で縫製などにより形成した襞部接合部63により接合することで、谷折り線部62d,62dを基端としてエアバッグ本体部11と反対側に立ち上がる折り襞部64が形成されて(図16(c))、これら折り襞部64により、カバー29の短辺62近傍の位置であるテザー25との連結部60を含む位置での短手方向の長さL1が規制されている。
図17に示すように、山折り線部62c及び谷折り線部62d,62dは、平面視で、通孔37よりも可変ベントホール28寄りの位置から各短辺62の傾斜辺部62a,62aへと放射状に延びて形成されている。
また、図16(a)に示すように、基布61の短手方向の両端に位置する側辺である各長辺66は、それぞれ直線状に形成されており、これら長辺66の近傍の位置で基布61(カバー29)がエアバッグ本体部11に対して縫製などにより形成した接合部68により接合されて被固定部31が構成されている。
そして、このように、カバー29のテザー25により引っ張られる位置での可変ベントホール28を跨ぐ方向の長さL1がエアバッグ本体部11の通孔37に対応する位置での同方向の長さL2と略等しく設定されているので、エアバッグ12の展開終期においては、各テザー25により引っ張られた各カバー29の両端部が、各テザー25が挿通された各通孔37近傍の位置でエアバッグ本体部11(各側面部22)に対して略隙間なく密着でき(図16(b)及び図16(c)の想像線)、カバー29によって可変ベントホール28を確実に閉塞できる。したがって、各ベントホール27のみが開口した状態となるので、エアバッグ本体部11の内圧が比較的高く維持され、正規位置の乗員を乗員拘束面部21によって適切な圧力で確実に保護する。
すなわち、長さL1,L2が互いに異なる(長さL1が長さL2より大きい)場合、カバー29は、テザー25により引っ張られている位置、すなわちテザー25との連結部60の周辺が主としてエアバッグ本体部11に密着するのに対して、本実施の形態では、カバー29のテザー25との連結部60だけでなく、この連結部60を含むカバー29の短手方向全体がエアバッグ本体部11に対して帯状に略隙間なく密着するので、テザー25の腕部35dを多数設定する必要もない。
また、カバー29のテザー25により引っ張られる位置での可変ベントホール28を跨ぐ方向の長さL1を基布61の折り襞部64により調整することで、この長さL1をエアバッグ本体部11の通孔37に対応する位置での同方向の長さL2と容易に略等しく設定できる。
なお、本実施の形態において、可変ベントホール28は、上下方向に沿って長手方向を有しており、カバー29は可変ベントホール28を長手方向に跨いでいるが、上記の第1の実施の形態のように、前後方向に沿って長手方向を有する可変ベントホール28をカバー29が短手方向に跨ぐようにしてもよい。
また、上記の第11の実施の形態において、図18に示す第12の実施の形態のように、各接合部68の一部に、可変ベントホール28側、すなわち通孔37,37側に突出する突出部68a,68aをそれぞれ設けて、カバー29の両側部の被固定部31,31を、通孔37に対応する位置で可変ベントホール28側に突出させてもよい。このとき、突出部68a,68aは、例えば円弧状に形成され、通孔37,37の位置に対して頂点位置をカバー29の長手方向に一致させるように配置されている。また、突出部68aの頂点位置(先端)は、可変ベントホール28の中心側へと突出している。したがって、各通孔37を挟んで互いに対向する接合部68,68の突出部68a,68a間の距離L3は、可変ベントホール28の幅寸法L4よりも小さくなっている(L3<L4)。
そして、このようにカバー29のテザー25と連結された一縁を除く部分を通孔37に対応する位置で可変ベントホール28側に突出するようにエアバッグ本体部11に対して固定することで、カバー29の外部と可変ベントホール28とを連通する通気路を狭め、テザー25により引っ張られたカバー29によって可変ベントホール28の開度をより確実に小さくすることができる(可変ベントホール28をより確実に閉塞できる)。
また、上記の第12の実施の形態の接合部68の構成を、上記の第1ないし第10の各実施の形態の被固定部31にそれぞれ適用することもできる。
さらに、上記の第2の実施の形態の構成を、第3ないし第12の各実施の形態に適用することもできる。
そして、エアバッグ装置10は、助手席用だけでなく、例えば運転席用など、任意のエアバッグ装置として用いることができる。