JP6433550B1 - 試料保持機構、及び荷電粒子線装置 - Google Patents

試料保持機構、及び荷電粒子線装置 Download PDF

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Abstract

【課題】極薄支持膜端部では縁のめくれあがりによって参照波を通過させるための真空領域と、試料が支持されている領域の境界部が直線的な形状にならず、電子線ホログラムの連続的な自動取得が困難である。
【解決手段】試料を支持する極めて薄い支持膜が配置された薄膜矩形窓102と直線形状の縁を有する参照波が透過する矩形孔104とを、電子線ホログラフィに適した直線形状で分割する支持膜より厚い層106からなる試料端領域を備えた構成の試料保持機構100を用いて電子線ホログラムの連続的な自動取得を可能にする。
【選択図】図1B

Description

本発明は荷電粒子線装置に係り、特に観察の対象である試料の電子線ホログラフィ観察に好適な試料保持・移動技術に関する。
微粒子などの自己支持が困難な試料を電子顕微鏡などの荷電粒子線装置で観察する際、支持膜の上に散布するなどして観察することが広く行われている。この支持膜自体もまた自己支持が困難であるから、網目状の機械的に強固なグリッドに固定することが広く行われている。電子線ホログラフィは透過電子顕微鏡法から派生した計測法であり、試料を通過した物体波と真空を透過した参照波の干渉効果を用いて電子線の位相を計測する技術である。
透過型電子顕微鏡で観察出来る試料は、加速電圧が数十〜三千キロボルトの電子線が透過出来る厚さのものに限られる。厚い試料の端部を機械研磨、電解研磨、イオン研磨などによって電子線が透過する厚みまで薄くした場合、試料は機械的に強い部分に繋がっているために自己支持出来る場合が多い。これに対し、例えば微粒子のような試料を観察する場合には、試料を真空中に浮かせておくことは出来ないため、電子線が透過する支持膜の上に試料を配置して観察することになる。このような試料の保持法は、電子顕微鏡法が実用化された直後の1950年代初頭から大きな課題となり、微粒子試料を固定するための非晶質カーボン膜や酸化シリコン膜を真空蒸着により成膜する方法、高分子膜を成膜する方法などが開発された。また、これらの支持膜自体もまた自己支持が出来ないので、数ミクロン〜数百ミクロンの孔を有する単孔もしくは網目構造の上に固定する方法も併せて開発され、金属板にリソグラフィ法とエッチングによって作製した数十〜数百ミクロンのサイズの円形や四角形状の微細孔を配列した構造や、マイクログリッドと呼ばれるミクロンサイズの孔が形成された高分子膜が実用化された。これらの手法は非特許文献1および非特許文献2にまとめられている。さらに電子顕微鏡の高分解能化に伴い、試料の振動・ドリフト移動を抑制し、かつ極めて薄い支持膜を使うことで支持膜自体から発生するコントラストが電子顕微鏡像に与える影響を最小化するための技術の高度化が求められてきている。カーボンナノチューブ束からなるグリッド構造上に単層グラフェン支持膜を支持する手法(特許文献1)や、微細加工法により金薄膜に開口径が1ミクロン程度の矩形孔が規則的に空いた構造に極薄カーボン層を固定する方法(非特許文献2)などが開発されている。特に後者は、多数の微粒子についての像を自動取得し、統計解析することにより構造解析を行う、単粒子解析と呼ばれる手法において重要な役割を果たしている。
通常の電子顕微鏡観察は、電子波の強度(振幅)を測定するものであるのに対して、電子線ホログラフィ法は、電子波の位相を決定するための測定法である。物質を通過して生じる電子波の位相変化を決定するためには、物質を通過した電子波と、真空領域を通過した物質に乱されていない電子波とを、電子線バイプリズムと呼ばれる機構を用いて量子干渉させて強度分布を測定する必要がある(特許文献2および特許文献3)。つまり、通常の電子顕微鏡観察では支持膜が一面に敷き詰められていても構わないのに対して、電子線ホログラフィ観察では試料の支持膜領域と、支持膜が存在しない孔領域が隣接して存在している必要がある。自己支持が可能な厚めの試料の測定では、ビーム照射領域の中央付近に試料端部を持ってきて、試料の外部を通った波面と試料の内部を通った波面を干渉させることが出来る。
特開2011−026194号公報 特開2005―197165号公報 特開2013―229190号公報
「電子顕微鏡の技術」第3章、朝倉書店、(1982年) C.J. Russo and L. A. Passmore, Science ,346 (2014) 1377 H.W. Lefevre, R. M. S. Schofield and E. R. Ciarlo, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, B54 (1991) 47 深見章、「電子顕微鏡」、Vol. 2 (1951-1952) No. 2 P 126
上述の薄い支持膜の端部をビーム照射領域の中央付近に配置させたときには、柔らかい構造体である薄膜の端部はめくれあがり、ビーム照射によって不規則に遥動し、高分解能観察が困難になる。電子線の位相変化が大きな観察対象が非晶質支持膜上にある場合には、非晶質支持膜領域を通過した波面は大きく乱されていないという仮定に基づき、物体の存在しない支持膜部分を透過した電子波を参照波として使っても実用上問題ない場合があるが、電子線の位相変化が小さい場合にはこの仮定は正当化出来ない。
また、支持膜領域と孔領域の境界線は直線形状であることが望ましい。直線形状にすることで、電子線バイプリズムと試料と検出器の位置関係を単純化出来るうえ、電子線ホログラムの連続的な自動取得を行う際の制御アルゴリズムの判断が単純化されることで、電子線ホログラフィでの単粒子解析が容易になる。
本願発明で解決しようとする課題は、電子線ホログラフィ―法により、微粒子などを観察する場合には極薄支持膜に試料を固定する必要があるが、極めて薄い支持膜単体では縁のめくれあがりと照射電子ビームの影響によって、試料が支持されている領域が遥動し、かつ参照波を通過させるための真空領域との境界部が直線的な形状にならない。その結果、参照波通過部と試料支持部をホログラフィ―測定に適した直線的な境界によって分割し、かつ試料が遥動しないように固定出来る試料支持法が提供されていないことである。またこれに伴い電子線ホログラムの連続的な自動取得を行うのが困難なことである。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、参照波通過部と試料支持部をホログラフィ―測定に適した直線的な境界によって分割し、試料が遥動しないように固定出来る試料保持機構、その製造方法、及び荷電粒子線装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明においては、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とを備える構成の試料保持機構を提供する。
また、上記の課題を解決するため、本発明においては、試料保持機構の製造方法であって、試料保持機構は、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とを備えており、基板上に犠牲層、支持層、レジスト層を順次形成し、第一のレジストパターンにより支持層上に厚い層のパターンを形成し、第二のレジストパターンにより支持層に孔のパターンを形成する試料保持機構の製造方法を提供する。
さらに、上記の課題を解決するため、本発明においては、荷電粒子線装置であって、電子源と、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とからなり、複数の窓と複数の孔が配列した試料保持機構と、試料保持機構の移動を行う機械移動機構と、試料保持機構の孔の直線形状の辺に沿って、像の平行移動を行うイメージシフト偏向光学系と、電子源から放出され、試料保持機構を透過した電子線を検出する検出器と、イメージシフト偏向光学系と機械移動機構を制御することによって視野選択を行い、検出器の出力に基づき、配列から連続的に像を取得するよう制御する制御部を備える構成の荷電粒子線装置を提供する。
本発明では、試料を支持するための薄い支持膜部と真空領域部が、支持膜より厚さの大きな直線形状の境界部によって分割された、電子線ホログラフィ計測に適した試料保持機構を提供し、さらにこの試料保持機構を用いることにより大量のデータの自動取得を可能にする。
実施例1に係る試料保持機構の一構成例を示す図。 実施例1に係る試料保持機構の他の構成例を示す図。 実施例1に係る試料保持機構を製作する手順の一例を示す図。 実施例1に係る試料保持機構を製作する手順の他の例を示す図。 実施例1に係る試料保持機構を用いて実施する電子線ホログラフィの計測配置の一例を示す図。 実施例2に係る試料保持機構の一構成例を示す図。 実施例2に係る試料保持機構を製作する手順の一例を示す図。 実施例3に係る、電子顕微鏡の自動撮影フローチャートのメインルーチンを示す図。 実施例3に係る、薄膜矩形窓を試料ステージ微動で選択するサブルーチンを示す図。 実施例3に係る、1つの薄膜矩形窓で観察視野をイメージシフト偏向光学系で選択するサブルーチンを示す図。 実施例3に係る、ホログラム撮影・保存を行うサブルーチンを示す図。 実施例3に係る、フォーカス、非点補正の測定と調整を行うサブルーチンを示す図。 実施例3に係る、1つの矩形孔で観察視野をイメージシフト偏向光学系で選択するサブルーチンを示す図。 実施例3に係る、電子線ホログラフィ画像を連続的に取得するための視野移動を示す図。
以下、本発明の実施の形態を図面に従い順次説明する。以下に説明する各実施例において、試料を支持する支持膜が配置された窓として矩形窓を、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔として矩形孔を例示して説明するが、孔が直線形状の縁を持ち参照波を透過できれば、矩形形状に限らず任意の形状でも良い。
実施例1は、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とを備える構成の試料保持機構の一つの実施例である。特に試料を支持する支持膜が配置された矩形窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する矩形孔と、矩形窓と矩形孔の周囲に配置された支持膜より厚い層とを備える構成の試料保持機構の実施例である。また、複数の矩形窓の縁に配置された支持膜より厚い層は連続的に繋がっている構成の試料保持機構の実施例である。
図1Aに、実施例1に係る試料を支持する支持膜が配置された薄膜矩形窓と、参照波が透過する矩形孔が、支持膜より厚い直線形状の層によって隔てられた構成を持つ試料保持機構の一構成例を示す。本実施例の試料保持機構100は、試料を支持する支持膜が配置された薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、支持膜より厚い層106からなる。なお、厚い層106の中で、薄膜矩形窓102と矩形孔104を隔てる部分を直線形状で持つ部分を試料端領域108と称する。薄膜矩形窓102には、電子線が透過する際に像に与えるノイズを最小化するよう、例えば厚さが50ナノメートルを下回るアモルファスカーボン、グラファイト、グラフェン、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、酸化シリコン、窒化シリコンなどの軽元素で構成された極薄膜が張られていることが望ましい。
本実施例の構成においては、厚い層106は極薄支持層となる薄膜矩形窓102および矩形窓104以外の全領域に形成してあり、機械的な強度を向上させている。特に重要なのは矩形窓102を取り囲むように形成してある、直線形状を持つ試料端領域108であり、この部分が極薄支持層が単独で存在したときに起こる縁のめくれ上がりを阻止している。
薄膜矩形窓102の幅112(W1)と、矩形孔104の幅114(W2)と、試料端領域108の幅118(W3)は製造可能な範囲内で任意に取ることが出来る。しかし、高精度に電子線の位相計測を行うためには、参照波が透過する矩形孔104のみを透過した電子で参照ホログラムを容易に形成できる必要がある。そのためには下式1を満たすことが望ましい。

W2>2×W1 ・・・ (式1)

また、試料端領域の幅118(W3)は、広いほど機械的な強度は得やすい一方で、広いほど電子線干渉の結果得られるホログラムの縞コントラストが低下し、位相検出感度が低下する。このため、試料端領域の幅118(W3)は500ナノメートル以下の幅であることが望ましい。
図1Bに、実施例1に係る、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とを備える構成の試料保持機構の他の構成例を示す。本構成例においても、試料を支持する支持膜が配置された薄膜矩形窓と参照波が透過する矩形孔が、支持膜より厚い直線形状の層によって隔てられた構成を持つ。また、複数の薄膜矩形窓102の縁に配置された支持膜より厚い層106は連続的に繋がっている構成を持つ。
図1Aに示した構成との違いは、幅のある厚い層106が図1Bの縦方向に周期的に形成されていることにある。試料保持機構としての機能は図1Aに示したものと同じであるが、幅のある厚い層106が縦方向に周期的に形成されていることにより、試料保持機構100の強度を更に増強することができる。
図2に、上述した図1Aの試料保持機構の構成を実現するための製造プロセスの一例を示す。ここでは、リソグラフィとブロードビームイオンエッチングを用いた微細加工法によって製作する場合を説明する。すなわち、試料保持機構の製造方法であって、試料保持機構は、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とを備えており、基板上に犠牲層、支持層、レジスト層を順次形成し、現像処理による第一のレジストパターンにより支持層上に厚い層のパターンを形成し、その後現像処理による第二のレジストパターンにより支持層に孔のパターンを形成する試料保持機構の製造方法である。
なお、図1Bの試料保持機構についても同様のプロセスで製造することができる。まず図2の(a)に示すように、大面積に渡って平坦な表面が得られる基板202上に、犠牲層204をスピンコートなどによって塗布し、さらにその上に薄膜矩形窓102になる極薄支持層206を真空蒸着、スパッタリング、イオンビームスパッタリング、CVD法などによって形成し、さらにその上にネガ型レジスト層208からなる三層構造を形成する。この極薄支持層206は、薄膜矩形窓102となるので、好適には、軽元素を主成分とするアモルファスカーボン、グラファイト、グラフェン、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、酸化シリコン、窒化シリコンからなり、その厚さが50ナノメートル以下とする。
次に図2の(b)に示すように露光・現像処理を行い、第一のレジストパターンを形成した上に、厚い層106になる補強層210を成長させる。この補強層210の物質は、極薄支持層と同じ物質であっても良いし、展延性に富む金属や選択エッチングが可能な半導体であっても良い。次に図2の(c)に示すようにリフトオフ処理を行うことにより、極薄支持層102の上に補強層をパターン化することで得られた厚い層106が残る。
次に図2の(d)に示すように再度ネガレジスト層を塗布した後、描画・現像処理を行うことにより第二のレジストパターン212を形成したのち、アルゴンガスなどを用いたブロードビームイオンエッチング加工214を行い極薄支持層102に矩形孔104を形成する。
最後に図2の(e)に示すように犠牲層204を酸・アルカリ。有機溶媒などによって除去することで、薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、前記支持膜より厚い層106からなるグリッドを、基板202から分離することが出来る。分離した試料保持機構100は、ピンセットでハンドリングが可能な市販の電子顕微鏡用試料グリッドの上に捕集して用いればよい。
図3には本実施例の試料保持機構の構成を実現するための製造プロセスの別の例を示す。ここでは、リソグラフィと集束イオンビームエッチングを用いた微細加工法によって製作する手順を示す。図3の(a)は図2の(c)に示す構成と同一である。次に図3の(b)に示すように犠牲層204を酸・アルカリ。有機溶媒などによって除去し、連続的な極薄支持膜206の上にパターン加工された厚い層106が形成されたものを基板から分離する。次に図3の(c)に示すように、収束イオンビーム加工216により選択的なイオンビームエッチングを行い、参照波が透過する矩形孔104を形成することにより、図3の(d)に示す薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、前記支持膜より厚い層106からなるグリッドを形成出来る。
図4に、本実施例の試料保持機構を用いて電子線ホログラフィによる計測を行う荷電粒子線装置の基本構成の一例を示す。電子源302で発生した電子波は、ある立体角を持って伝搬し、試料保持機構100、対物レンズ306、電子線バイプリズム308を通過し、電子線を検出する検出器の検出器面340に到達する。その間で電子線が通過する領域を円錐面382、384,円錐台面386で示す。電子源302と対物レンズ306間の電子線が通過する円錐領域382中に試料保持機構100を配置する。試料保持機構100、対物レンズ306、電子線バイプリズム308は、それぞれ試料保持機構制御ユニット352、対物レンズ制御ユニット353、電子線バイプリズム制御ユニット355によって制御される。なお、試料保持機構制御ユニット352は、後で説明する試料保持機構100を取り付ける試料ホルダ内の回転機構を制御することが可能であり、電子線バイプリズム制御ユニット355は、電子線バイプリズムワイヤの回転制御を行うことが可能である。
また、図4に示すように、電子源302と試料保持機構100との間にビームシャッターコイルからなり、電子線をオンオフするビームブランキング系を更に備える、
ビームブランキング系343が、対物レンズ306と電子線バイプリズム308との間にイメージシフトコイルからなるイメージシフト偏向光学系344が設置され、それぞれビームブランキング系制御ユニット351、イメージシフト偏向光学系制御ユニット354で制御される。これらの各制御ユニット351〜355は、荷電粒子線装置全体を制御する制御部として機能するシステム制御コンピューター350により制御される。制御部であるシステム制御コンピューター350は、通常のコンピューター構成を備え、各種の制御プログラムを実行する中央処理部(CPU)、記憶部、ディスプレイはキーボードなどの入出力部、インタフェース部などを備えたパーソナルコンピューターで実現することができ、ディスプレイ上には後で説明するホログラム画面表示などを行うことができる。
図1A、図1Bに示したように、この試料保持機構100は、試料を支持する支持膜が配置された薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、前記支持膜より厚い層106からなる。厚い層106の中で、直線形状を持つ試料端領域108が薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104を分離している。ここでは、薄膜矩形窓102上に観察試料304を配置する。薄膜矩形窓102および観察試料304を透過する電子波は、これらを構成する物質の内部ポテンシャル、あるいは電磁場によって位相が変化する。すなわち試料を通過した後には、電子波の波面は歪んでいる。これを物体波と呼ぶ。これに対して、矩形孔104を透過した電子波には位相変化が起こらない。これを参照波と呼ぶ。 この電子波が対物レンズ306を通過すると、円錐384に示すように電子波は一度集束した後、再度発散する。物体波の典型的な経路を点線310で、参照波の典型的な経路を点線312で示す。
次に電子波は、電子線バイプリズム308を通過する。電子線バイプリズム308は、正の電位を与えられた幅1ミクロン以下の導電性細線から作られる電子線バイプリズムワイヤ320と、接地された対向極322、324の組からなる。電子線バイプリズムワイヤ320と対向極322、324の間には電界が生じるから、この領域を通過する電子波はクーロン力によって偏向を受け、電子線バイプリズムワイヤ320の右側と左側で偏向される方向は逆向きになる。すなわち電子線の波面は、異なる傾きを持った二つの領域に分割される。傾いた物体波による物体波波面330と、参照波による参照波波面332は進行とともにオーバーラップしていき、検出器面340上において電子線干渉縞342を形成する。この干渉縞をフーリエ解析することにより電子線位相を決定することが出来る。なお、電子線バイプリズム308の配置は、対物レンズより下流に複数の電子線バイプリズムを配置する(特許文献2)も可能であるし、また試料より上流に一つのバイプリズムを、下流に複数の電子線バイプリズムを配置する(特許文献3)のでも構わない。
ここで、直線形状の電子線バイプリズムワイヤ320を用いる限りは、物体波波面330と参照波波面332は直線によって分割されることになる。上流に遡って試料形状を考えた場合、試料端形状が直線ではなく乱れた形状をしている場合には、電子線バイプリズムワイヤ320と試料保持機構100の位置関係を一意的に決定出来ず、効率よく電子線干渉を起こさせることが出来ない。
試料保持機構100に、微細加工法などによってよく定義された外形を与えることにより、物体波が通過する領域102と、参照波が通過する領域104を直線形状の試料端領域108で分割し、電子線バイプリズムワイヤ320と試料端領域108が平行となるように位置関係を一意的に決定出来る点が本実施例で特に重要である。この測定が有効に機能するためには、電子線バイプリズムワイヤ320と試料端領域108の角度関係を制御する必要がある。試料ホルダに試料保持機構100を取り付ける際に角度差が生じないようにセットする方法、試料保持機構100を取り付ける試料ホルダ内部に回転機構を備える方法、電子線バイプリズムワイヤ320を回転させる機構を備える方法などを採用し、制御部であるシステム制御コンピューター350が試料保持機構制御ユニット352や電子線バイプリズム制御ユニット355を制御することによって角度関係を制御することが出来る。
また、高精度位相計測においては、電子線バイプリズムワイヤ320それ自体が作る電子線位相や像歪みの効果を差し引くことが不可欠となっている。このためには、参照波が透過する矩形孔104のみを透過した電子の波面を、電子線バイプリズムワイヤ320で波面分割し、真空中を伝搬した電子波同士の電子線干渉縞342を検出器340上に形成させて参照ホログラムを取得する。これを容易にするためには、矩形孔104の幅が十分に広く、矩形窓102の2倍以上の長さである必要がある。先にも説明したように、これが矩形支持窓の幅W1と矩形孔の幅W2との間の望ましい関係を示す式1の根拠となる。
図5に、実施例2の試料保持機構の一構成例を示す。実施例2は、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とを備える構成の試料保持機構の他の実施例である。本実施例の構成においては、実施例1の構成と異なり、複数の窓を取り囲む厚い層は、お互いに連続的に繋がっていない。すなわち、試料を支持する支持膜が配置された薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、支持膜より厚い層106からなるのは実施例1と同様であるが、本実施例では薄膜矩形窓102の縁に形成される厚い層106が、参照波が透過する矩形孔104の周縁部のみに形成されている。その結果、極薄領域が大部分を占めているため、観察可能な領域が広くなっている構成である。参照ホログラムの取得を容易にするためには、ここでも矩形窓102の幅112(W1)と、矩形孔104の幅114(W2)の間に上述の式1のW2>2×W1なる関係があることが望ましい。
図6に、本構成を実現するためのプロセスを断面構造図により示す。本プロセスにおいては、リソグラフィと斜め蒸着と垂直入射蒸着を用いて試料保持機構を製作する。
すなわち、逆テーパー二層レジストパターンに対する斜め蒸着と垂直入射蒸着を切り替えることにより、試料を支持する支持膜と、支持膜より厚い層を形成する構成の試料保持機構の製造方法であり、このプロセスはリソグラフィによる微細構造作製と、斜め蒸着を組み合わせることにより、微細加工の工程数を非常に少なく出来る利点がある。
まず図6の(a)に示すように、大面積に渡って平坦な表面が得られる基板202上に、犠牲層204をスピンコートなどによって塗布し、さらにその上に熱キュアリング処理の収縮比が異なる二種類の第一ネガ型レジスト層220と第二ネガ型レジスト層222層からなる四層構造を形成する。
次に図6の(b)に示すように、第一ネガ型レジスト層220と第二ネガ型レジスト層222層は感光するが、犠牲層204は感光しない条件下で、矩形描画・現像処理を行うことにより、上部から見たときに矩形形状の逆テーパー型レジストパターンを形成する。
次に図6の(c)に示すように、基板202を回転軸230の回りに回転させながら、薄膜矩形窓102になる物質を斜め蒸着する。斜め蒸着が有効に機能するためには、指向性のある堆積ビームが必要であるから、真空蒸着法、イオンビームスパッタ法、低ガス圧スパッタリングなどの手法が適している。これにより、堆積物質は第一ネガ型レジスト層220のパターン側面と、第二ネガ型レジスト層222のパターン側面および上面にのみ成長する。かつ第一ネガ型レジスト層220への堆積物224と、第二ネガ型レジスト層222への堆積物226は切り離された状況が生じる。この段階では犠牲層204上への堆積物質の成長はほとんど起こらない。
次に図6の(d)に示すように、今度は堆積フラックスを基板202の法線方向から入射する。これにより堆積物質はレジストパターン感に露出している犠牲層204上と、第二ネガ型レジスト層222のパターン上面にのみ到達して極薄支持層228を形成する。この層の厚さが、前段階で第一ネガ型レジスト層220のパターン側面に成長した層の厚さより小さくなるように堆積量を調整する。
最後に図6の(e)に示すように、レジストパターン層をフロートオフすることで堆積物224は無くなり、犠牲層上には第二ネガ型レジスト層222への堆積物226と支持層228のみが残る。さらに犠牲層204を酸・アルカリ。有機溶媒などによって除去することで、薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、前記支持膜より厚い層106からなるグリッドを、基板202から分離することが出来る。
実施例3は、荷電粒子線装置であって、電子源と、試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、窓の縁に配置された支持膜より厚い層とからなり、複数の窓と複数の孔が配列した試料保持機構と、試料保持機構の移動を行う機械移動機構と、試料保持機構の孔の直線形状の辺に沿って、像の平行移動を行うイメージシフト偏向光学系と、電子源から放出され、試料保持機構を透過した電子線を検出する検出器と、イメージシフト偏向光学系と機械移動機構を制御することによって視野選択を行い、検出器の出力に基づき、配列から連続的に像を取得するよう制御する制御部を備える構成の荷電粒子線装置の実施例である。
本実施例においては、上述した試料保持機構を用いて、試料の電子線照射ダメージを最低限に抑えつつ、電子線ホログラフィ画像を連続的に自動取得するアルゴリズムと、荷電粒子線装置である電子顕微鏡に対して当該アルゴリズムに基づく命令を出す制御部であるシステム制御コンピューターについて説明する。以下説明するアルゴリズムの実行主体は、上述したシステム制御コンピューターのCPU、並びに装置のユーザーである。図7にメインルーチンS500、図8から図12にメインルーチンS500のサブルーチンS502−S505、S507を示す。また、図13に電子線ホログラフィ画像を連続的に取得するための視野移動を説明するための模式図を示した。
メインルーチンS500の中で、まずホログラム観察の初期設定を行う(S501)。電子線ホログラムの取得が可能になるように光学系を構築する部分であり、この内容は通常のホログラフィ観察と変わりがない。初期観察視野・観察倍率の決定、電子線バイプリズムワイヤの観察視野内への移動・印加電圧の決定などを行う。またここでは、実施例1で述べたように電子線バイプリズムワイヤ320と試料端領域108が平行となるようにセッティングしておくのが望ましい。さらに検出器340の外形と平行になるようにセッティングしておくのが望ましい。
次に、図8に詳細を示すサブルーチンS502で、直線形状の試料端領域108を試料ステージ微動で選択する。まずビームブランキングをオフにするか、メカニカルシャッターを開放するかして、ビームブランキング系343をオフして試料に電子ビームを照射し、電子線バイプリズムを視野から外しておく(S512)。倍率を下げ、薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104と、これらの境界線にある直線形状の試料端領域108の組み合わせが少なくとも一つ以上見える倍率まで縮小を行う(S513)。試料端領域108の直線形状の方向を検出し、これを試料移動の走査方向と定め、さらに走査ピッチの決定と設定を行う(S514)。次にホログラムを取得する倍率まで像を拡大し(S515)、先ほど決定した走査ピッチ量だけ試料移動するようにシステム制御コンピューター350からイメージシフト偏向光学系制御ユニット354に命令を出す(S516)。ここで試料ステージのドリフトが停まるまではある程度の時間待つ必要があるので、試料への電子ビーム照射を停止して、試料ダメージが起こらないようにし(S517)、試料ステージドリフトがおさまる時間、待機する(S518)。電子線照射に強い試料を測定する場合は、ビームをオフにしなくても良い。これをもって、サブルーチンS502を終了する。
高倍率のホログラフィ観察では、観察視野の大きさが薄膜矩形窓102より小さくなることが普通である。その場合、1つの薄膜矩形窓102内の複数の視野を連続的に移動させ、撮影することが好ましい。そこで、図9に詳細を示すサブルーチンS503で、1つの薄膜矩形窓102内で観察視野をイメージシフトコイルからなるイメージシフト偏向光学系344で選択する。まず、走査ピッチは任意に決定する。走査方向はS502で決定したものと同じく、試料端領域108の直線形状と平行方向に設定する(S519)。スタート位置は、試料端領域108が画像中央となるようイメージシフト偏向光学系344で微調整を行う。そしてビームブランキング系343をオフにすることで(S520)、ビームをオンにして、電子線が観察試料304に照射されるようにする。図13の(3)に示すように、走査ピッチ分のイメージシフト偏向光学系344による視野移動362を行い(S521)、さらに試料端領域108が画像中央となるよう調整を行う(S522)。薄膜矩形窓102と、参照波が透過する矩形孔104が直線形状の境界線で隔てられている試料保持機構110を用いると、外形形状の判断をすることなく、直線的に試料端領域108に平行にイメージシフトコイルによる視野移動362を繰り返すことが出来る点で本実施例の試料保持機構110は優れている。あるいは、試料移動はS502と同様に試料移動機構によって機械的に行うのでも構わない。
観察視野の位置合わせが終了したところで、図10に示すサブルーチンS504でホログラムの取得を行う。ここでは、一つの視野について、所定の条件を満たす光学条件下で撮影したホログラムを、十分なシグナル/ノイズ比が得られる積算枚数取得する必要がある。そのため、サブルーチンS504と、図11のサブルーチンS505で実行するフォーカス、非点補正の補正とを合わせて、ループ処理する(S506)。
サブルーチンS504においては、まず1回の撮影枚数、露出時間等の撮影条件の設定を行ったのち(S523)、電子線バイプリズム制御ユニット355により電子線バイプリズム308に電圧を印加することで(S524)、物体波と参照波をクーロン偏向させて、傾いた物体波波面330と、参照波波面332を生じさせ、検出器面340上で干渉縞342を発生させる。ここでホログラムの撮影を行い、画像を保存する(S525)。そして、ビームブランキング系343をオンにすることで、試料へのビーム照射を中止する(S526)。その後、ホログラムのディスプレイ上への表示を行う(S527)。ビームブランキング系343とディスプレイ上への表示の順序は逆であっても良い。
位置合わせ終了直後の電子光学的な撮影条件は最適では無いかもしれない。そこで、次にサブルーチンS505でフォーカス、非点補正の補正(S505)を行う。表示されたホログラムのフーリエ変換を行い(S528)、デフォーカス(焦点ずれ)と二次非点量を演算により求める(S529)。求められたずれを所定の値に補正するために、デフォーカス量に応じて対物レンズ電流値を書き替え、また二次非点量に応じて非点補正器電流値を書き替える(S530)。あるいはこのフォーカスの最適化は透過電子顕微鏡像を基準にして行っても構わない。サブルーチンS505ののちに再度S504に戻りホログラムを再び取得する。S505によるフォーカス、非点補正の測定の結果、さらに補正が必要であれば補正繰り返し、所定の像質のホログラムを所定の撮影数だけ得られるまで、S504とS505のループ処理を繰り返す(S506)。
一つの視野についてS504とS505のループ処理が終了したら、次に参照ホログラムの取得を行う。これは、実施例1で説明したように、高精度位相計測においては、電子線バイプリズムワイヤ320それ自体が作る電子線位相の効果を差し引く操作である。このための視野選択を図12のサブルーチンS507で行う。
図12において、視野移動の方向を矩形孔の内側に向けて試料端領域108と垂直方向に設定し(S531)、走査ピッチとして孔104の幅の0.5倍から等倍の間の任意の値を設定し、図13の(2)に示すように、参照ホログラム取得のために試料端領域108と垂直方向にイメージシフト偏向光学系制御ユニット344による視野移動363を行い、ビーム照射を開始する(S532)。すなわち、ビームブランキング系343をオフにすることで、ビームをオンにする。そして、イメージシフトで走査ピッチ分の視野移動を行い(S533)、さらに全領域が矩形孔に含まれるよう調整を行う(S534)。
これにより、参照波が透過する矩形孔104のみを観察領域とし、通過する電子の波面を電子線バイプリズムワイヤ320で波面分割し、真空中を伝搬した電子波同士の電子線干渉縞342を検出器340上に形成させることが出来る。なお、参照ホログラムを1つの薄膜矩形窓102観察中に行うためには、矩形孔104の幅が十分に広く、矩形窓102の2倍以上の長さであることが好適であることは言うまでもない。参照ホログラムの像取得には、再度S504を用いれば良い。所定の像質の参照ホログラムが、所定の枚数取得出来るまでS504を繰り返す(S508)。なお、参照ホログラムの取得は、全試料走査が終了したあとに別箇行っても構わない。
以上の操作により、観察試料304を含むホログラムと、観察試料304も薄膜矩形窓104も試料端領域108も含まない参照ホログラムを、既定の像質で規定の枚数取得したのちに、バイプリズム・ビームのドリフト量補正(S509)を行い、さらに試料端領域108と平行にイメージシフトコイルによる視野移動362を行い、図13の(3)に示すように別視野のホログラム取得を行う。さらに、図13の(4)に示すように、試料端領域108と垂直にイメージシフトコイルによる視野移動363を行い参照ホログラムの取得を行う。
この測定を繰り返し(S510)、注目していた薄膜矩形窓102についての複数視野の計測を完了させたのちは、図13の(5)に示すように、再度別の薄膜矩形窓102を試料ステージ微動による視野移動364で選択しなおし(S502)、その中で複数の観察視野をイメージシフト偏向光学系344による視野移動362で選択し(S503)、所定の画質・枚数のホログラムを取得するよう試料ホログラムの取得(S504)とフォーカス、非点補正の補正(S505)、および図13の(6)に示す参照ホログラム取得(S507、S504)をループ処理する。以上の処理により、所定の数の薄膜矩形窓102についての試料測定と矩形孔104についての測定を完了させると(S511)、メインルーチンS500は終了する。
本実施例によれば、支持するための薄い支持膜部と真空領域部が、支持膜より厚さの大きな直線形状の境界部によって分割されて配列する試料保持機構を用い、システム制御コンピューターがその配列から連続的に試料ホログラムと参照ホログラムを取得るよう制御することにより、数千枚のホログラムのデータの自動取得を可能にする。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
更に、上述した各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成する例を説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、処理部の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよい。
100 試料保持機構
102 試料を支持する支持膜が配置された薄膜矩形窓
104 参照波が透過する矩形孔
106 支持膜より厚い層
108 直線形状を持つ試料端領域
112 矩形窓の幅
114 矩形孔の幅
118 試料端領域の幅
202 基板
204 犠牲層
206 極薄支持層
208 ネガ型レジスト層
210 補強層
212 レジストパターン
214 ブロードビームイオンエッチング加工
216 収束イオンビーム加工
220 第一ネガ型レジスト層
222 第二ネガ型レジスト層
224 第一ネガ型レジスト層220への堆積物
226 第二ネガ型レジスト層222への堆積物
228 極薄支持層
230 回転軸
302 電子源
304 観察試料
306 対物レンズ
308 電子線バイプリズム
310 物体波の典型的な経路
312 参照波の典型的な経路
320 電子線バイプリズムワイヤ
322、324 対向極
330 物体波波面
332 参照波波面
340 検出器面
342 電子線干渉縞
343 ビームブランキング系
344 イメージシフト偏向光学系
350 システム制御コンピューター
351 ビームブランキング系制御ユニット
352 試料保持機構制御ユニット
353 対物レンズ制御ユニット
354 イメージシフト偏向光学系制御ユニット
355 電子線バイプリズム制御ユニット
362 試料端と平行方向のイメージシフトコイルによる視野移動
363 試料端と垂直方向のイメージシフトコイルによる視野移動
364 試料ステージ微動による視野移動
382 電子源と対物レンズ間の電子線通過領域を示す円錐面
384 対物レンズと電子線バイプリズム間の電子線通過領域を示す円錐面
386 電子線バイプリズムと検出器面間の電子線通過領域を示す円錐台面

Claims (10)

  1. 試料を支持する支持膜が配置された複数の窓と、
    直線形状の縁を持つ参照波が透過する真空領域部を形作る複数の孔と、
    前記窓の縁に配置された前記支持膜より厚い層と、を備え、
    複数の前記窓の縁に配置された前記支持膜より厚い層は、連続的に繋がっている
    ことを特徴とする試料保持機構。
  2. 試料を支持する支持膜が配置された窓と、
    直線形状の縁を持つ参照波が透過する真空領域部を形作る孔と、
    前記窓の縁に配置された前記支持膜より厚い層と、を備え
    前記孔と前記窓は、それぞれ矩形孔と矩形窓であり、複数の前記矩形孔と複数の前記矩形窓が周期的に配列されている、
    ことを特徴とする試料保持機構。
  3. 請求項に記載の試料保持機構であって、
    前記矩形孔の幅が、前記矩形窓の幅の二倍以上である、
    ことを特徴とする試料保持機構。
  4. 請求項に記載の試料保持機構であって、
    前記矩形孔と前記矩形窓を分かつ前記厚い層の幅が500ナノメートル以下である、
    ことを特徴とする試料保持機構。
  5. 荷電粒子線装置であって、
    電子源と、
    試料を支持する支持膜が配置された窓と、直線形状の縁を持つ参照波が透過する孔と、前記窓の縁に配置された前記支持膜より厚い層とからなり、複数の前記窓と複数の前記孔が配列した試料保持機構と、
    前記試料保持機構の移動を行う機械移動機構と、
    前記試料保持機構の前記孔の直線形状の辺に沿って、像の平行移動を行うイメージシフト偏向光学系と、
    前記電子源から放出され、前記試料保持機構を透過した電子線を検出する検出器と、
    前記イメージシフト偏向光学系と前記機械移動機構を制御することによって視野選択を行い、前記検出器の出力に基づき、前記配列から連続的に像を取得するよう制御する制御部を、備える、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項に記載の荷電粒子線装置であって、
    前記電子線をオンオフするビームブランキング系を更に備える、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項に記載の荷電粒子線装置であって、
    前記直線形状の縁と平行に設置される電子線バイプリズムワイヤを備える電子線バイプリズムを更に備え、
    前記制御部は、複数の前記配列から連続的に試料ホログラムと参照ホログラムを取得るよう制御する、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項に記載の荷電粒子線装置であって、
    前記制御部は、
    前記試料保持機構、あるいは前記電子線バイプリズムを回転することにより、前記直線形状の縁と前記電子線バイプリズムワイヤを並行にするよう制御する、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項に記載の荷電粒子線装置であって、
    前記制御部は、
    前記窓内で観察視野を選択して前記試料ホログラムを取得するよう制御する、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項に記載の荷電粒子線装置であって、
    前記制御部は、
    前記孔内で観察視野を選択して前記参照ホログラムを取得するよう制御する、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
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