JP4772638B2 - メッシュおよびゴム切片の観察方法 - Google Patents
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Description
通常、直径3mm程度の円盤形状を有するメッシュ1は、電子線を透過できるように、図10に示すような網目状開口2、細溝状開口3、単孔4等を備えており、図11に示すように、開口3を有するメッシュ1の中央部上面に薄片化した試料4が固定される。
しかし、試料を固定した従来のメッシュを延伸させることはほとんど不可能であるため、延伸状態のゴム切片を観察することができないという問題がある。また、たとえメッシュを無理やり延伸させたとしても延伸量はわずかであると共に、メッシュは延伸によって変形して歪が残ってしまうため、メッシュ上で延伸されたゴム切片を元の状態に戻すことができず、収縮過程(戻り過程)のゴム切片を観察することができないという問題がある。
中央部上面が前記ゴム切片を固定する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれており、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向へ移動された時に、前記拡開用スリットを外縁に向けて開いて前記延伸方向に伸長させ、前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としていることを特徴とするメッシュを提供している。
しかしながら、前記拡開用スリットはメッシュの中心を支点として左右方向に均等に延伸されるように、前記支点に対して左右対称位置に設けていることが好ましい。また、拡開用スリットによってメッシュを延伸方向に伸長させるためには、拡開用スリットをメッシュの上下の外縁より交互に複数個切り込んでおくことが好ましい。
中央部上面が前記ゴム切片を固定する開口を有する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記ゴム切片の載置領域に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられ、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向に移動された時、前記分断用スリットで分断される前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させると共に、該延伸位置から前記試料ホルダ分離部により前記固定部が近接方向に移動された時、前記ゴム切片を収縮させる構成としていることを特徴とするメッシュを提供している。
また、分断用スリットが延伸方向に対して傾斜方向に設けられている場合は、延伸方向に対して10度以上傾斜していることが好ましい。
前記網目状開口が設けられているメッシュの場合には、該外周枠を構成する周縁部のみならず、網目穴を囲む網糸部分の周縁部にも前記拡開用スリットや分断用スリットが切り込まれていなければ、前記拡開用スリットを開いてメッシュを延伸方向に伸長させたり、メッシュを左右に分断させたりすることは困難な場合が多い。
一方、細溝状開口が設けられているメッシュの場合には、細溝状の開口を挟む上下に夫々拡開用スリットを1箇所ずつ設けるだけで、メッシュを延伸方向に大きく伸長させることも可能である。
ッシュを左右に分断することができる。
なお、分断用スリットを設ける場合には、分断された左右のメッシュに間には延伸方向への離反移動時に開口が生じるため、前記載置領域には網目状や細溝状の開口を必ずしも設ける必要はない。
図1乃至図5に、本発明の第1実施形態を示す。
第1実施形態のメッシュ11は、ゴム切片10の載置領域11bに細溝状開口11aを備え、該細溝状開口11aに連通する分断用スリット12a、12bを備えた形状としている。
即ち、図1に示す中央に3本の細溝状開口11aを備えたメッシュ11に、図2に示す試料となるゴム切片10を前記メッシュ11の中央上面の載置領域11bに固定した後に、図3および図4に示すように、メッシュ11に順次分断用スリット12a、12bを切断刃(本実施形態ではカミソリ刃)を用いて形成している。
前記ゴム切片10を、図1に示す3本の細溝状開口11a(11a−1、11a−2、11a−3)を備えたメッシュ11(直径3mm)の中央部上面の載置領域11bに前記3本の細溝状開口11aを跨ぐように、専用のループ(図示せず)を用いてゴム切片10を載せて固定する(図2)。
即ち、この分断用スリット12a、12bは、3つの細溝状開口11aのうち、中央の開口11a−2に連続するように切り込んでいる。
なお、分断用スリット12a、12bは図中において上下位置にあるが、メッシュ11は水平配置されるため、分断用スリット12a、12bは水平方向の開口11a−2の前後両側に位置することになる。
次いで、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させることにより、ゴム切片10を延伸させ、延伸過程における延伸率50%、100%、150%のゴム切片10を観察する。
前記延伸過程での観察終了後に、試料ホルダ分離部13bを矢印B方向に移動させることによりメッシュ11A、11Bを互いに近接させて、ゴム切片10を収縮させ、収縮過程(戻り過程)における延伸率100%、50%、0%のゴム切片1を観察する。
即ち、延伸率0%ではフィラーが凝集して存在していることが観察され、延伸していくと最初はフィラー粒子の凝集単位で変形が始まり、延伸率100%を超えると粒子単位の変形が観察された。また、応力集中が大きなフィラーやポリマーの界面では剥離も観察された。さらに、個々のフィラーは均質に伸びるのではなく、各歪に応じて段階的な変化が起きていることも明らかになった。
一方、収縮過程で延伸率を0%まで戻すと、元の凝集構造に戻る過程が観察された。
図6(A)ではメッシュ11にゴム切片の載置位置に開口を設けず、延伸方向と直交方向の1本の分断用スリット12−1のみを設けている。
図6(B)では延伸方向と直交線に対して角度αが10度で傾斜させた1本の分断用スリット12−2のみを設けている。
このように、分断用スリットを設けると、開口を設けなくなくとも、分断されたメッシュの間に開口が生じるため、必ずしも開口を設ける必要はない。
図6(C)はメッシュ11は外周枠11cで繊維からなる網線100を保持し、網目状開口100aを設けている。このメッシュ11では、外周枠11cから網目線100に分断用スリット12−3を設けている。
第2実施形態のメッシュ14は、1本の細溝状開口14aを備え、該細溝状開口14aは外周枠14cの下側縁を切り欠いて開口した形状であり、外周枠14cの上側縁に1個の分断用スリット15を形成し、細溝状開口14aと分断用スリット15とで分断ラインSLを形成している。
ゴム切片10をメッシュ14に固定し、メッシュ14の左右両側14d、14eを試料ホルダ分離部13a、13bに固定した後、前記延伸方向(左右方向)に直交方向の分断用スリット15を形成している。
第3実施形態のメッシュ16は、細溝状開口16aを囲む外周枠16cの上下に、細溝状開口16aと連通しない位置まで、延伸方向(左右方向)に直交方向の拡開用スリット17a、17b、17cを上下交互に設けている。
前記拡開用スリット17a、17b、17cも、メッシュ16にゴム切片10を固定し、メッシュ16の左右両側16d、16eを試料ホルダ分離部13a、13bに固定した後、形成している。その他は第1実施形態と同様としている。
よって、メッシュ16の左右両側16d、16eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片10を任意の延伸率に延伸することができ、延伸過程のゴム切片10をダイレクトに観察することができる。
しかしながら、メッシュ16とゴム切片10との収縮率が略同一であれば、収縮過程の観察にも用いることができる。
図9(A)のメッシュ16では、中央に左右方向に並列して多数の細溝状開口16aを設け、これら細溝状開口16aの上下方向に交互に拡開用スリット17を設けている。
図9(B)のメッシュ16では開口を設けず、上方から拡開用スリット17eを切り込み、下方から拡開用スリット17fを切り込み、夫々先端に球状に切り込んでいる。このように先端を球状とすると、メッシュ16の延伸作動時にメッシュ16がねじれるのを防止できる。
また、本発明のメッシュは、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡等での観察時に試料保持材として好適に用いられる。
11、14、16 メッシュ
11a、14a、16a 細溝状開口
11b 載置領域
11c、14c、16c 外周枠
11d、11e、14d、14e、16d、16e 左右両側(固定部)
11A、11B 分断された左右のメッシュ
12a、12b、15 分断用スリット
13 試料ホルダ
13a、13b 試料ホルダ分離部
13a−1、13b−1 押さえ板
13a−2、13b−2 ネジ
17a、17b、17c、17e、17f 拡開用スリット
Claims (6)
- 延伸過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれており、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向へ移動された時に、前記拡開用スリットを外縁に向けて開いて前記延伸方向に伸長させ、前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としていることを特徴とするメッシュ。 - 延伸過程および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する開口を有する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記ゴム切片の載置領域に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられ、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向に移動された時、前記分断用スリットで分断される前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させると共に、該延伸位置から前記試料ホルダ分離部により前記固定部が近接方向に移動された時、前記ゴム切片を収縮させる構成としていることを特徴とするメッシュ。 - 前記ゴム切片の載置領域に網目状あるいは細溝状の開口が設けられ、これら開口を囲む周縁部に前記外縁より前記拡開用スリットあるいは分断用スリットが切り込まれている請求項1または請求項2に記載のメッシュ。
- 前記分断用スリットは、前記開口を介して前記載置領域を横断させて設けられている請求項3に記載のメッシュ。
- 請求項1に記載のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させて前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法。
- 請求項2に記載のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察し、引き続き、前記試料ホルダ分離部を収縮方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を収縮させ、収縮過程におけるゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法。
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