JP6433375B2 - 熱間等方圧加圧装置の温度補正方法 - Google Patents

熱間等方圧加圧装置の温度補正方法 Download PDF

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Description

本発明は、被処理物を高温高圧下で処理する熱間等方圧加圧装置の温度補正方法に関する。
特許文献1に記載されているように、熱間等方圧加圧装置は、数10〜数100MPaの高圧に設定された雰囲気の圧媒ガスのもと、焼結製品(セラミックス等)や鋳造製品等の被処理物をその再結晶温度以上の高温にして処理するものである。熱間等方圧加圧装置を用いたプレス方法により、被処理物中の残留気孔を消滅させることができるため、このプレス方法は、機械的特性の向上、特性のバラツキの低減、歩留まり向上などの目的で、今日、工業的に広く使用されている。
特開2015−17782号公報
ところで、熱間等方圧加圧装置では、被処理物を加熱するヒータの温度を熱電対で測定し、その測定値をフィードバックすることで温度制御を行っている。しかし、高温高圧下で熱電対を長時間使用していると、熱電対が劣化し、設定温度に対応する熱起電力の値が所定値から徐々に変化(低下または上昇)していく。これに対して、温度制御は、熱電対の熱起電力が所定値となるように行われるので、熱起電力が所定値となるときの処理温度は設定温度からずれていく。その結果、所望の温度とは異なる温度で処理が行われることになり、ヒータが劣化したり被処理物に影響を与えたりする。
熱間等方圧加圧装置において、熱電対の交換は容易ではない。そこで、従来は、作業者がその都度、設定温度を変更するなどして、温度補正をして対応していた。しかしながら、温度補正などをその都度実施するのは非常に手間がかかる上、設定を間違えて処理をしてしまうといった不具合が発生する可能性がある。また、作業者の勘と経験によるため、再現性が低くなる可能性が高い。
そこで、被処理物、温度、および、圧力の条件が同じであれば、電力が同じになるように制御することが考えられる。しかし、被処理物が配置される処理室を形成する断熱層も劣化していくため、同じ条件で処理を行っても電力は増加傾向となる場合がある。また、その他の要因によっても電力は変動する。よって、電力が同じになるように制御しても、処理温度は同じにならない。
本発明の目的は、処理温度の変動を抑制することで、安定した処理を行うことが可能な熱間等方圧加圧装置の温度補正方法を提供することである。
本発明は、熱電対の測定値に基づいてヒータに供給する電力を調整することで被処理物を収容する圧力容器内の温度制御を行い、前記被処理物を高温高圧下で処理する熱間等方圧加圧装置の温度補正方法であって、複数回のバッチ処理を行って、前記電力と前記熱電対の補正値とを対応させたデータベースを作成するデータベース作成工程と、前記データベース作成工程とは異なる同種の熱電対を用いて前記バッチ処理を複数回行って、前記被処理物を高温高圧下で処理する処理工程と、を有し、前記データベース作成工程は、前記被処理物、温度、および、圧力の条件を前記処理工程における条件と同じにして、同一の熱電対で前記バッチ処理を複数回行う実行工程と、前記バッチ処理毎に、温度および圧力が安定している特定の時点における前記電力を測定する第1測定工程と、測定した前記電力から前記熱電対の補正値を求める算出工程と、を有し、前記処理工程は、前記バッチ処理毎に、前記特定の時点における前記電力を測定する第2測定工程と、N回目(N≧1、Nは自然数)のバッチ処理における電力と前記データベースとからN+1回目のバッチ処理における電力とこれに対応する前記熱電対の補正値とを推測し、N+1回目のバッチ処理時に当該補正値を前記熱電対の測定値に加えることで前記熱電対の測定値を補正する補正工程と、を有し、前記データベース作成工程は、前記実行工程における所定回数目のバッチ処理において、劣化していない熱電対を追加してこの熱電対の測定値を測定する測定値測定工程をさらに有し、前記算出工程において、測定した前記電力と追加した熱電対の測定値とから前記熱電対の補正値を求めることを特徴とする。
本発明によると、被処理物を高温高圧下で処理する処理工程を行う前に、電力と熱電対の補正値とを対応させたデータベースを作成するデータベース作成工程を行う。熱間等方圧加圧装置において、熱電対の交換は容易ではないので、データベース作成工程および処理工程の各々において、同一の熱電対でバッチ処理を複数回行う。ここで、熱電対は、バッチ処理を行う毎に劣化し、設定温度に対応する測定値が所定値から徐々に変化していく。これに対して、温度制御は、熱電対の測定値が所定値となるように行われるので、測定値が所定値となるときの処理温度はバッチ処理を行う毎に設定温度からずれていく。そして、このずれは電力の変化として現れる。また、被処理物が内側に配置される断熱層は、バッチ処理を行う毎に劣化するので、断熱性能を補うために電力は増加傾向となる場合がある。そこで、予め、データベース作成工程において、電力と熱電対の補正値とを対応付けておく。そして、その後の処理工程において、あるバッチ処理における電力を確認し、この電力とデータベースとから次のバッチ処理における電力とこれに対応する熱電対の補正値とを推測する。そして、次のバッチ処理時に、補正値を熱電対の測定値に加えることで熱電対の測定値を補正する。このようにして補正した熱電対の測定値に基づいて温度制御を行うことにより、バッチ処理をほぼ所望の温度で行うことができる。よって、処理温度の変動を抑制することができるので、安定した処理を行うことができる。
熱間等方圧加圧装置の説明図である。 熱電対の劣化の説明図である。 電力と熱起電力差との相関を示す図である。 データベース作成処理ルーチンを示す図である。 熱間等方圧加圧処理ルーチンを示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(熱間等方圧加圧装置の構成)
本実施形態による熱間等方圧加圧装置の温度補正方法は、熱間等方圧加圧装置を用いて行われる。熱間等方圧加圧装置1は、説明図である図1に示すように、円筒状の圧力容器2と、断熱層3と、ヒータ4と、制御装置5と、を有している。
圧力容器2は、上方と下方とが開口しており、上側の開口は上蓋6で、下側の開口は下蓋7でそれぞれ塞がれている。上蓋6には、圧力容器2内に高圧ガスを導入するためのガス導入孔6aが設けられている。高圧ガスは、10〜300MPa程度に昇圧されたアルゴンガスや窒素ガス等である。
断熱層3は、圧力容器2内に配置されている。断熱層3の内側は、被処理物Wが配置される処理室8となっている。処理室8の下部には、被処理物Wが載置される製品台9が設けられている。
ヒータ4は、上下方向に並んで配置された複数(図例では3つ)のヒータエレメント4a,4b,4cで構成されている。ヒータエレメント4a,4b,4cの各々の近傍には、熱電対10がそれぞれ取り付けられて、ヒータ4近傍の雰囲気温度を測定可能となっている。
制御装置5は、熱電対10の測定値に基づいてヒータ4に供給する電力を調整することで圧力容器2内の温度制御を行う。本実施形態において、熱電対10の測定値は、熱起電力であるが、熱起電力に基づいた温度であってもよい。制御装置5は、コントローラ5aと、PIDコントローラ5bと、電力調整器5cと、入力装置5dと、を有している。コントローラ5aには、熱電対10から熱起電力が入力される。また、コントローラ5aには、入力装置5dから温度設定値が入力される。コントローラ5aは、熱電対10からの熱起電力を用いてヒータ4近傍の雰囲気温度を算出する。PIDコントローラ5bは、コントローラ5aが算出したヒータ4近傍の雰囲気温度(測定値)が、入力装置5dから入力された温度設定値になるようにPID制御を行う。電力調整器5cは、PIDコントローラ5bにより制御され、ヒータ4に供給する電力を調整する。
なお、制御装置5は、熱電対10が出力する熱起電力から温度を算出して、この温度が、入力装置5dから入力された温度設定値となるように温度制御しているが、制御装置5は、熱電対10が出力する熱起電力が、入力装置5dから入力される熱起電力の設定値となるように温度制御するものであってもよい。
このような構成において、ヒータ4に通電すると、処理室8に充填されたガスが加熱される。加熱されたガスにより、処理室8内の処理対象物は高温高圧下で処理される。
(熱電対の劣化)
ここで、高温高圧下で熱電対10を長時間使用していると、熱電対10が劣化し、設定温度に対応する熱起電力の値が所定値から徐々に変化(低下または上昇)していく。これに対して、温度制御は、熱電対10の熱起電力が所定値となるように行われるので、熱起電力が所定値となるときの処理温度は設定温度からずれていく。その結果、所望の温度とは異なる温度で処理が行われることになり、ヒータ4が劣化したり被処理物Wに影響を与えたりする。
一例として、1000℃の温度条件でバッチ処理を繰り返すものとし、1000℃のときの新品(劣化なし)の熱電対10の熱起電力が10.0mVであるとする。説明図である図2に示すように、1回目のバッチ処理で初期状態で使用した熱電対10の熱起電力は10.0mVである。1回目のバッチ処理により熱電対10が劣化した結果、2回目のバッチ処理時に1000℃のときの熱起電力が9.0mVに変化したとする。このような状態で2回目のバッチ処理を行うと、劣化した熱電対10では熱起電力が9.0mVのときに1000℃で、10.0mVのときに1100℃である。しかし、コントローラ5aは、初期状態の時と同様に、熱起電力が9.0mVのときに900℃で、10.0mVのときに1000℃であると認識する。その結果、劣化した熱電対10で1000℃に対応する9.0mVを900℃と認識し、熱起電力が1000℃に対応する10.0mVになるようにヒータ4を加熱する。これにより、2回目のバッチ処理における電力は、1回目のバッチ処理における電力よりも上昇する。電力を上げた結果、熱起電力は10.0mVとなり、見かけの温度は1000℃になるが、2回目の劣化した熱電対10において10.0mVに対応する温度は1100℃であるので、ヒータ4近傍の真の温度は1100℃になる。つまり、所望の温度よりも高い温度で処理が行われる。
同様にして、2回目のバッチ処理により熱電対10がさらに劣化した結果、3回目のバッチ処理時に1000℃のときの熱起電力が8.0mVに変化したとする。このような状態で3回目のバッチ処理を行うと、劣化した熱電対10では熱起電力が8.0mVのときに1000℃で、10.0mVのときに1200℃である。しかし、コントローラ5aは、初期状態の時と同様に、熱起電力が8.0mVのときに800℃で、10.0mVのときに1000℃であると認識する。その結果、劣化した熱電対10で1000℃に対応する8.0mVを800℃と認識し、熱起電力が1000℃に対応する10.0mVになるようにヒータ4を加熱する。これにより、3回目のバッチ処理における電力は、2回目のバッチ処理における電力よりも上昇する。電力を上げた結果、熱起電力は10.0mVとなり、見かけの温度は1000℃になるが、3回目の劣化した熱電対10において10.0mVに対応する温度は1200℃であるので、ヒータ4近傍の真の温度は1200℃になる。つまり、所望の温度よりも高い温度で処理が行われる。
このように、バッチ処理を行う毎に熱電対10が劣化し、設定温度に対応する熱起電力の値が所定値から変化していく結果、電力が変化し、処理温度が設定温度からずれていく。なお、上述の例では、熱電対10の劣化により設定温度に対応する熱起電力の値が所定値から低下する場合について説明したが、熱電対10の劣化により設定温度に対応する熱起電力の値が所定値から上昇する場合もある。この場合には、バッチ処理毎に電力は下がり、所望の温度よりも低い温度で処理が行われることになる。
(データベース作成工程)
そこで、本実施形態では、まず、複数回のバッチ処理を行って、電力と熱電対10の補正値とを対応させたデータベースを作成するデータベース作成工程を行う。本実施形態において、熱電対10の補正値は、熱起電力であるが、熱起電力に基づいた温度であってもよい。
データベース作成工程は、バッチ処理を複数回行う実行工程と、バッチ処理毎に電力を測定する第1測定工程と、測定した電力から熱電対10の補正値を求める補正値算出工程と、を有している。複数回のバッチ処理は、被処理物W、温度、および、圧力の条件を後述する処理工程における条件と同じにして、同一の熱電対10で行う。また、電力の測定は、安定状態到達点において行う。熱間等方圧加圧装置1においては、処理が開始されると、圧力容器2内の圧力および温度がそれぞれ上昇していき、やがてそれぞれが安定する。安定状態が所定時間継続した後は、圧力容器2の圧力および温度はそれぞれ下降していく。安定状態到達点は、温度および圧力がそれぞれ安定する時点に設定されている。なお、電力の測定は、圧力容器2内の圧力および温度がそれぞれ安定している期間のうちの特定の区間における平均値や累積値を測定するものであってもよい。
ここで、バッチ処理毎に熱電対10の熱起電力がV1となるように温度制御を行うものとし、1回目のバッチ処理における電力をP1とする。熱電対10が劣化しなければ、2回目以降のバッチ処理においても電力はP1になるはずである。しかし、2回目以降のバッチ処理において熱電対10は徐々に劣化し、設定温度に対応する熱起電力の値が変化していくので、熱電対10の熱起電力がV1となるように温度制御を行う結果、2回目以降のバッチ処理における電力はP1からずれていく。N回目(N≧1)のバッチ処理における電力をPNとする。
さらに、データベース作成工程は、劣化していない熱電対を追加してこの熱電対の測定値(熱起電力)を測定する測定値測定工程を有している。熱間等方圧加圧装置1において、熱電対10の交換は容易ではないので、劣化していない熱電対の追加を所定回数目のバッチ処理時に行って、追加した熱電対の測定値を測定する。例えば、10回目、20回目のバッチ処理時に劣化していない新品の熱電対の追加を行って、この熱電対の測定値を測定する。追加する熱電対は、バッチ処理毎に使用する熱電対10と同種類のものでなくてもよい。
1回目のバッチ処理において、実行工程で毎回使用する熱電対10は劣化していないので、熱起電力がV1のときの処理温度は設定温度から変化していない。しかし、所定回数目のバッチ処理において、実行工程で毎回使用する熱電対10は劣化しているので、熱起電力がV1のときの処理温度は設定温度からずれている。そこで、所定回数目のバッチ処理時の真の処理温度を追加した熱電対で測定する。真の処理温度を測定したときの熱起電力はV1から変化しているので、この値とV1との差を、所定回数目における熱起電力差として求める。所定回数目をN回目とし、N回目のバッチ処理における追加した熱電対の熱起電力をVNとすると、N回目のバッチ処理と1回目のバッチ処理とで熱起電力差はΔVN=V1−VNとなる。
次に、電力Pと熱起電力差ΔVとを相関付ける。例えば、電力Pと熱起電力差ΔVとの相関を示す図である図3に示すように、1回目のバッチ処理における電力P1が100kWで、熱起電力差ΔV1が0Vであり、10回目のバッチ処理における電力P10が109kWで、熱起電力差ΔV10が0.9Vであり、20回目のバッチ処理における電力P20が119kWで、熱起電力差ΔV20が1.9Vであったとする。すると、この相関関係から、電力Pが110kWに対応する熱起電力差ΔVが1.0Vであると推測される。なお、電力Pと熱起電力差ΔVとの相関関係が線形となる場合について説明しているが、電力Pと熱起電力差ΔVとの相関関係はこれに限定されず、非線形であってもよい。
次に、熱起電力差ΔVを熱電対10の補正値として、電力と熱電対10の補正値とを対応させたデータベースを作成する。図3に示す相関関係では、電力が109kWのときの熱電対10の補正値は0.9Vであると推測される。また、電力が110kWのときの熱電対10の補正値は1.0Vであると推測される。
なお、上述した補正値算出工程では、測定した電力と追加した熱電対の測定値とから熱電対10の補正値を求めているが、この構成に限定されず、測定した電力から経験に基づいて熱電対10の補正値を求めてもよい。
(処理工程)
データベース作成工程の後に、データベース作成工程とは異なる同種の熱電対10を用いてバッチ処理を複数回行って、被処理物Wを高温高圧下で処理する処理工程を行う。
処理工程は、バッチ処理毎に電力を測定する第2測定工程と、熱電対10の測定値を補正する補正工程と、を有している。電力の測定は、上述した安定状態到達点において行う。
補正工程においては、まず、N回目(N≧1、Nは自然数)のバッチ処理における電力とデータベースとから、N+1回目のバッチ処理における電力とこれに対応する熱電対10の補正値(ΔVN+1)とを推測する。例えば、N回目のバッチ処理時に測定した電力が102kWである場合、図3に示す相関関係から、N+1回目のバッチ処理における電力が103kWで、これに対応する熱電対10の補正値(ΔVN+1)が0.3Vであると推測される。
次に、N+1回目のバッチ処理時に、推測した補正値を熱電対10の測定値に加えることで熱電対10の測定値を補正する。推測される補正値が0.3Vである場合には、これを熱電対10の測定値に加える。これにより、補正された熱電対10の測定値(熱起電力)が所定値となるときの処理温度はほぼ設定温度となる。よって、補正された熱電対10の測定値に基づいて温度制御することで、バッチ処理をほぼ所望の温度で行うことができる。
なお、1回目のバッチ処理時には、熱電対10に劣化はないものとして熱電対10の補正値を「0」としてよい。
また、N+1回目のバッチ処理時の実際の電力PN+1と、推測した電力との間に差があれば、N+2回目のバッチ処理時に、この差から補正値の修正値を求め、この修正値を熱電対10の測定値に加えることで、熱電対10の測定値をさらに補正する。これにより、補正された熱電対10の測定値(熱起電力)が所定値となるときの処理温度が設定温度により近くなる。
なお、入力装置5dへの入力により、作業者が熱電対10の補正値を調整可能であってもよい。作業者が運転経験に基づいて補正値を調整することで、より実際の処理に適した補正値とすることができる。
なお、処理工程における補正の結果に基づいて、データベース作成工程で作成したデータベースに都度修正を加えていってもよい。また、断熱層3の劣化等のその他の要因を逐次考慮して、データベースを改善していってもよい。
(データベース作成処理ルーチン)
次に、フローチャートである図4に示すデータベース作成処理ルーチンを参照して、データベース作成工程について説明する。このデータベース作成処理ルーチンは、制御装置5により実行される。
データベース作成処理ルーチンが開始されると、新品の熱電対10をセットする(ステップS1)。次に、バッチ処理の回数nを「0」に設定する(ステップS2)。さらに、被処理物W、温度、および、圧力の条件を後述する熱間等方圧加圧処理における条件と同じにする(ステップS3)。
次に、バッチ処理の回数nに「1」加算する(ステップS4)。そして、回数nが所定回数目であるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、回数nが10回目または20回目であるか否かを判定する。ステップS5において、回数nが所定回数目であると判定した場合には(S5:YES)、別の新品の劣化していない熱電対を追加でセットする(ステップS6)。
ステップS5において、回数nが所定回数目でないと判定した場合(S5:NO)、または、ステップS6の後に、処理を開始する(ステップS7)。この処理は、被処理物Wを高温高圧下で処理するものであって、処理温度を補正しない点を除いて、後述する熱間等方圧加圧処理における処理と同じである。具体的には、処理室8の圧力が圧力設定値となるように制御するとともに、熱電対10の測定値に基づいてヒータ4に供給する電力を調整することで、処理室8の温度が温度設定値となるように制御する。
そして、回数nが所定回数目であるか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、回数nが10回目または20回目であるか否かを判定する。ステップS8において、回数nが所定回数目であると判定した場合には(S8:YES)、ステップS6でセットした別の劣化していない熱電対の測定値(熱起電力)を測定する(ステップS9)。これにより、所定回数目のバッチ処理における真の処理温度を測定することができる。また、所定回数目のバッチ処理と1回目のバッチ処理との熱起電力差ΔVを求めることが可能になる。なお、ステップS1でセットした熱電対10の測定値は、当然、処理中に測定される。
ステップS8において、回数nが所定回数目でないと判定した場合(S8:NO)、または、ステップS9の後に、安定状態到達点に到達したか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において、安定状態到達点に到達していないと判定した場合には(S10:NO)、ステップS10を繰り返す。ステップS10において、安定状態到達点に到達したと判定した場合には(S10:YES)、電力を測定する(ステップS11)。
その後、処理が完了したか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、処理が完了していないと判定した場合には(S12:NO)、ステップS12を繰り返す。一方、ステップS12において、処理が完了したと判定した場合には(S12:YES)、処理を終了する(ステップS13)。
その後、次のバッチ処理を行うか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14において、次のバッチ処理を行うと判定した場合には(S14:YES)、ステップS4に戻る。一方、ステップS14において、次のバッチ処理を行わないと判定した場合、例えば、回数nが20回に達した場合など、熱電対10の劣化が限界であると考えられる場合には(S14:NO)、熱電対10の補正値を算出する(ステップS15)。補正値の算出は、各バッチ処理で測定した電力と、所定回数目のバッチ処理で追加した熱電対で測定した測定値とを用いて行う。具体的には、図3に示すような電力と補正値との相関関係を導出することで、補正値を求める。そして、電力と熱電対10の補正値とを対応させたデータベースを作成し(ステップS16)、本ルーチンを終了する。
(熱間等方圧加圧処理ルーチン)
次に、フローチャートである図5に示す熱間等方圧加圧処理ルーチンを参照して、処理工程について説明する。この熱間等方圧加圧処理ルーチンは、制御装置5により実行される。
熱間等方圧加圧処理ルーチンが開始されると、劣化していない新品の熱電対10をセットする(ステップS21)。次に、バッチ処理の回数nを「0」に設定する(ステップS22)。さらに、被処理物W、温度、および、圧力の条件を、先のデータベース作成処理における条件と同じにする(ステップS23)。
次に、バッチ処理の回数nに「1」加算する(ステップS24)。そして、処理を開始する(ステップS25)。この処理は、被処理物Wを高温高圧下で処理するものである。そして、バッチ処理の回数nが2以上か否かを判定する(ステップS26)。ステップS26において、バッチ処理の回数nが2以上であると判定した場合には(S26:YES)、熱電対10の測定値(熱起電力)を補正する(ステップS27)。具体的には、N回目(N≧1、Nは自然数)のバッチ処理における電力とデータベースとからN+1回目のバッチ処理における電力とこれに対応する熱電対10の補正値とを推測する。例えば、N回目のバッチ処理における電力が102kWであった場合、図3に示す相関関係から、N+1回目のバッチ処理における電力が103kWで、熱電対10の補正値が0.3Vであると推測される。次に、N+1回目のバッチ処理時に補正値を熱電対10の測定値に加える。これにより、N+1回目のバッチ処理をほぼ所望の温度で行うことができる。
また、N+1回目のバッチ処理時の実際の電力PN+1と、推測した電力との間に差があれば、N+2回目のバッチ処理時に、この差から補正値の修正値を求め、この修正値を熱電対10の測定値に加えることで、熱電対10の測定値をさらに補正する。これにより、補正された熱電対10の測定値(熱起電力)が所定値となるときの処理温度が設定温度により近くなる。
ステップS26において、バッチ処理の回数nが2以上でないと判定した場合(S26:NO)、または、ステップS27の後に、安定状態到達点に到達したか否かを判定する(ステップS28)。ステップS28において、安定状態到達点に到達していないと判定した場合には(S28:NO)、ステップS28を繰り返す。ステップS28において、安定状態到達点に到達したと判定した場合には(S28:YES)、電力を測定する(ステップS29)。
その後、処理が完了したか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30において、処理が完了していないと判定した場合には(S30:NO)、ステップS30を繰り返す。ステップS30において、処理が完了したと判定した場合には(S30:YES)、処理を終了する(ステップS31)。
その後、次のバッチ処理を行うか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32において、次のバッチ処理を行うと判定した場合には(S32:YES)、ステップS24に戻る。一方、ステップS32において、次のバッチ処理を行わないと判定した場合、例えば、回数nが20回に達した場合など、熱電対10の劣化が限界であると考えられる場合には(S32:NO)、本ルーチンを終了する。
熱間等方圧加圧処理ルーチンの終了後は、同じ条件で熱間等方圧加圧処理ルーチンを繰り返し行ってもよいし、条件を異ならせてデータベース作成処理ルーチンを行い、その後、その条件で熱間等方圧加圧処理ルーチンを行ってもよい。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る熱間等方圧加圧装置の温度補正方法によると、被処理物Wを高温高圧下で処理する処理工程を行う前に、電力と熱電対10の補正値とを対応させたデータベースを作成するデータベース作成工程を行う。熱間等方圧加圧装置1において、熱電対10の交換は容易ではないので、データベース作成工程および処理工程の各々において、同一の熱電対10でバッチ処理を複数回行う。ここで、熱電対10は、バッチ処理を行う毎に劣化し、設定温度に対応する測定値が所定値から徐々に変化していく。これに対して、温度制御は、熱電対10の測定値が所定値となるように行われるので、測定値が所定値となるときの処理温度はバッチ処理を行う毎に設定温度からずれていく。そして、このずれは電力の変化として現れる。また、被処理物Wが内側に配置される断熱層3は、バッチ処理を行う毎に劣化するので、断熱性能を補うために電力は増加傾向となる場合がある。そこで、予め、データベース作成工程において、電力と熱電対10の補正値とを対応付けておく。そして、その後の処理工程において、あるバッチ処理における電力を確認し、この電力とデータベースとから次のバッチ処理における電力とこれに対応する熱電対10の補正値とを推測する。そして、次のバッチ処理時に、補正値を熱電対10の測定値に加えることで熱電対10の測定値を補正する。このようにして補正した熱電対10の測定値に基づいて温度制御を行うことにより、バッチ処理をほぼ所望の温度で行うことができる。よって、処理温度の変動を抑制することができるので、安定した処理を行うことができる。
また、熱間等方圧加圧装置1において、熱電対の交換は容易ではないので、劣化していない熱電対の追加を所定回数目のバッチ処理時に行って、追加した熱電対の測定値を測定する。1回目のバッチ処理では、毎回使用する熱電対10は劣化していないので、測定値が所定値のときの処理温度は設定温度である。しかし、所定回数目のバッチ処理において、毎回使用する熱電対10は劣化しているので、測定値が所定値のときの処理温度は設定温度からずれている。そこで、所定回数目のバッチ処理時の真の処理温度を追加した熱電対で測定する。真の処理温度を測定したときの測定値は、所定値から変化しているので、この値と所定値との差を、所定回数目における補正値として求める。そして、電力と補正値との関係を求めることで、電力と熱電対10の補正値とを対応させたデータベースを好適に作成することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
1 熱間等方圧加圧装置
2 圧力容器
3 断熱層
4 ヒータ
4a,4b,4c ヒータエレメント
5 制御装置
5a コントローラ
5b PIDコントローラ
5c 電力調整器
5d 入力装置
6 上蓋
6a ガス導入孔
7 下蓋
8 処理室
9 製品台
10 熱電対
W 被処理物

Claims (1)

  1. 熱電対の測定値に基づいてヒータに供給する電力を調整することで被処理物を収容する圧力容器内の温度制御を行い、前記被処理物を高温高圧下で処理する熱間等方圧加圧装置の温度補正方法であって、
    複数回のバッチ処理を行って、前記電力と前記熱電対の補正値とを対応させたデータベースを作成するデータベース作成工程と、
    前記データベース作成工程とは異なる同種の熱電対を用いて前記バッチ処理を複数回行って、前記被処理物を高温高圧下で処理する処理工程と、
    を有し、
    前記データベース作成工程は、
    前記被処理物、温度、および、圧力の条件を前記処理工程における条件と同じにして、同一の熱電対で前記バッチ処理を複数回行う実行工程と、
    前記バッチ処理毎に、温度および圧力が安定している特定の時点における前記電力を測定する第1測定工程と、
    測定した前記電力から前記熱電対の補正値を求める算出工程と、
    を有し、
    前記処理工程は、
    前記バッチ処理毎に、前記特定の時点における前記電力を測定する第2測定工程と、
    N回目(N≧1、Nは自然数)のバッチ処理における電力と前記データベースとからN+1回目のバッチ処理における電力とこれに対応する前記熱電対の補正値とを推測し、N+1回目のバッチ処理時に当該補正値を前記熱電対の測定値に加えることで前記熱電対の測定値を補正する補正工程と、
    を有し、
    前記データベース作成工程は、
    前記実行工程における所定回数目のバッチ処理において、劣化していない熱電対を追加してこの熱電対の測定値を測定する測定値測定工程をさらに有し、
    前記算出工程において、測定した前記電力と追加した熱電対の測定値とから前記熱電対の補正値を求めることを特徴とする熱間等方圧加圧装置の温度補正方法。
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