下記の実施の形態は、本発明の使い捨ての着用物品一例である図1〜15に示す使い捨てのおむつ10に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。図3及び図4において、後述する各弾性体は、その収縮力に抗して、横方向X及び縦方向Yへの収縮力により、各弾性体が取り付けられた部材に生じたギャザーが自然な視覚によって実質的に無くなっているように見える程度にまで伸長された状態にある。
図1〜4を参照すると、本発明に係る使い捨ての着用物品の一例であるおむつ10は、おむつ本体14と、連結手段15とを有し、おむつ本体14は、縦方向Y及びそれに直交する横方向Xと、肌対向面及びその反対側の非肌対向面と、横方向Xの長さ寸法を2等分する縦中心線Pと、縦方向Yの長さ寸法を2等分する横中心線Qと、前ウエスト域(第1ウエスト域又は第2ウエスト域)11と、後ウエスト域(第2ウエスト域又は第1ウエスト域)12と、前ウエスト域11および後ウエスト域12の間に位置するクロッチ域13とを有する。連結手段15は、後ウエスト域12に取り付けられる一対の連結部材30と前ウエスト域11に取り付けられる一対のファスニングテープ40とを含む。おむつ10は縦中心線Pに関してほぼ対称であって、おむつ本体14の前ウエスト域11と後ウエスト域12とを連結手段15によって連結することによって、ウエスト開口16と一対のレッグ開口17が画定されて、おむつ10はパンツ型の形状を呈する。
<おむつ本体>
おむつ本体14は、横方向Xへ延びて縦方向Yへ互いに対向する前後端縁14a,14bと、前端縁14aと後端縁14bとの間に位置して縦方向Yへ延びる両側縁14c,14dとによって画定された略長方形状を有する。おむつ本体14は、肌対向面側に位置する透液性のトップシート21と、非肌対向面側に位置する不透液性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に介在された吸収体23と、吸収体23とバックシート22との間に位置する難透液性又は不透液性の防漏シート24と、トップシート21の肌対向面側に横方向Xにおいて互いに対向して配置された一対のバリアカフシート25とを含む。
トップシート21は、スパンボンド繊維不織布、エアスルー繊維不織布等の各種公知の繊維不織布、多孔性プラスチックフィルム又は繊維不織布と多孔性プラスチックフィルムとのラミネートシートから形成される。バックシート22は、おむつ10の外形をなすものであって、透湿性プラスチックフィルム、各種公知の繊維不織布又はそれらのラミネートシート等から形成される。
吸収体23は、曲状の前後端縁23a,23bと、前後端縁23a,23bの間において凹曲状に縦方向Yへ延びる両側縁23c,23dと、前後端部20A,20Bと、前後端部20A,20B間に位置する中央部20Cとを有し、クロッチ域13を中心として前後ウエスト域11,12まで延出している。吸収体23は、フラッフ木材パルプと超吸収性ポリマー(SAP)粒子との混合等から形成され、所要の形状に賦型された吸収性コアと、吸収性コアを包被する液拡散性のティッシュペーパ等から形成されたコアラップシートとを有する。
防漏シート24は、少なくとも吸収体23の非肌対向面(底面)の全体を覆っており、吸収体23のコアラップシートとバックシート22との間において、図示しないホットメルト接着剤等の公知の接合手段によって接合することができる。本実施形態において防漏シート24はバックシート22とほぼ同形同大のシートである。防漏シート24としては、例えば、通気性又は非通気性であって、難透液性、好ましくは、不透液性のプラスチックフィルムを用いることができる。
おむつ本体14は、吸収体23の前後端縁23a,23bから縦方向Yの外側へ延出するトップシート21、バックシート22、防漏シート24及びバリアカフシート25が互いに重ね合わされて接合されることによって形成された、横方向Xへ延びる一対のエンドフラップと、吸収体23の両側縁から横方向Xの外側へ延出するトップシート21と、バックシート22、防漏シート24及びバリアカフシート25とが互いに重ね合わされて接合されることによって形成された、縦方向Yへ延びる一対のサイドフラップとを有する。
一対のバリアカフシート25は、不透液性の繊維不織布から形成されており、縦中心線Pに関して対称であって互いに横方向Xへ離間対向して位置しており、それぞれ、サイドフラップの一部を形成する近位縁部26Aと、前後ウエスト域11,12においてトップシート21の肌対向面に固定された前固定端部26C及び後固定端部26Dと、前後固定端部26C,26D間において縦方向Yへ延びる、バリアカフシート25の内側縁部を内方へ折り返すことによって形成された遠位縁部26Bとを有する。バリアカフシート25の外側縁(近位縁部26A側の側縁)は防漏シート24と接合される。バリアカフシート25と防漏シート24との間には、縦方向Yへ延びる複数条のストリング状又はストランド状のレッグ弾性体28が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。また、遠位縁部26Bには、縦方向Yへ延びる一条以上のストランド状又はストリング状のカフ弾性体29が収縮可能に配設されている。遠位縁部26Bは、おむつ10の着用状態において、カフ弾性体29の収縮作用によってトップシート21の肌対向面から離間し、排泄物の横漏れを防止するための一対のバリアカフが形成される。
図3及び図5を参照すると、後ウエスト域12の後端縁14bの近傍には、横方向Xへ延びるウエスト弾性部(弾性域)60が位置する。ウエスト弾性部60は、吸収体23の縦方向Yの外側においてトップシート21と防漏シート24との間に配置された、横方向Xへ弾性的に伸縮可能な帯状の弾性シートからなる。この弾性シートは、肌対向面側に位置する内層シートと、非肌対向面側に位置する外層シートと、内外層シートの間に配置された、横方向Xへ延びる複数条のストリング状又はストランド状のウエスト弾性体61とを含む。本実施形態において、ウエスト弾性部60は、横方向Xの中央部であって一対の連結部材30の間に配置されている。このように、後端縁14bの近傍にウエスト弾性部60を形成することで、後ウエスト域12のフィット性を高めて、後端縁14bからの漏れを効果的に防止しうる。
図1及び図3を参照すると、前ウエスト域11の肌対向面側には、中央係止部27が位置する。中央係止部27は、後ウエスト域12に取り付けられた連結部材30に、前ウエスト域11の一部を係合するためのものであり、前端縁14aに近接して位置することが好ましい。後述するおむつ10の着用状態において、中央係止部27を連結部材30に係止することにより、前ウエスト域11の身体に対するフィット性を高めるとともに、前ウエスト域11がずれ落ちるのを防止することができる。
<連結手段>
図1及び図4を参照すると、連結手段15は、おむつ10の展開状態において、おむつ本体14の中央部において後ウエスト域12から前ウエスト域11へ向かって縦方向Yへ延びる一対の連結部材30と、おむつ本体14の前ウエスト域11の両側部において横方向Xへ延びる一対のファスニングテープ40とを含む。
一対の連結部材30は横方向Xにおいて互いに隣接しており、それぞれの連結部材30は、帯状であって、互いに離間対向し横方向Xへ延びる基端縁30a及び先端縁30bと、互いに離間対向し縦方向Yへ延びる内側縁30c及び外側縁30dとを有するとともに、おむつ本体14の後ウエスト域12に固定された基端部31と、基端部31からクロッチ域13側へ延出する自由部32とを有する。基端部31は、本実施形態において、後ウエスト域12の非肌対向面側に位置するバックシート22に固定されているところ、後記の本発明の効果を奏する限りにおいて、肌対向面側に位置するバリアカフシート25の後固定端部26D又はトップシート21に固定されていてもよい。また、本実施形態において、連結部材30は後ウエスト域12に位置し、ファスニングテープ40は前ウエスト域11に位置しているところ、連結部材30が前ウエスト域11、ファスニングテープ40が後ウエスト域12に位置していてもよい。連結部材30の先端部33は、おむつ本体14に固定されていない自由端部であり、一対の連結部材30のうち、少なくとも一方の連結部材30の先端部33には、おむつ本体14の外面及び他方の連結部材30に係止可能な第1係止部34が位置している。なお、第1係止部34は、連結部材30の先端部33ではなく、自由部32のうちのいずれかの部分に配置されていてもよいし、複数配置してもよい。
図4及び図5を参照すると、連結部材30は、肌対向面側に位置する第1シート35と、非肌対向面側に位置する第2シート36とを有する。第1及び第2シート35,36は、ほぼ同形同大であり、第1及び第2シート35,36としては、質量が約10〜80g/m2であって、好ましくは疎水性を有する、スパンボンド繊維不織布、エアスルー繊維不織布、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布等の公知の繊維不織布、プラスチックフィルム、又は繊維不織布とプラスチックフィルムとのラミネートシートを用いることができる。また、少なくとも長さ方向(縦方向Y)に弾性的に伸縮可能な伸縮性繊維不織布を用いることができる。連結部材30を構成するシートの質量(すなわち、第1及び第2シート35,36の質量の和)は、約30〜150g/m2であることが好ましい。質量が30g/m2未満の場合、使用時に破れが生じやすくなり、150g/m2超えの場合、部材コストが増大するとともに、剛性が高くなって着用者に違和感を与えるおそれがある。第1シート35と第2シート36とは、ホットメルト接着剤による固定とともに、またはそれに代えて、ソニックシールによる融着手段を施すことによって互いに接合される。
図示していないが、第1シート35と第2シート36との間において、縦方向Yに延び、伸長状態で収縮可能に固定された複数条のストリング状又はストランド状のベルト弾性体を配置してもよい。ベルト弾性体は、縦方向Yに弾性的に伸縮可能となるように、自由部32の全域に亘って連続して、又は、縦方向Yにおいて一部が伸縮可能となるように部分的に配置することができる。ベルト弾性体は、第1係止部34から離間した位置において弾性を有するように配設されることが好ましく、連結部材30の自由部32において、基端部31側に配設されることがより好ましい。
ファスニングテープ40は、支持シート43と、支持シート43に取り付けられた第2係止部44とを含む。支持シート43としては、質量が約50〜80g/m2であって、好ましくは疎水性を有する、スパンボンド繊維不織布、エアスルー繊維不織布等の各種公知の繊維不織布、プラスチックフィルム、又は繊維不織布とプラスチックフィルムとのラミネートシートを用いることができる。支持シート43は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段によっておむつ本体14の前ウエスト域11に固定された固定部41と、固定部41から前記横方向X外側に延びる延出部42とを有し、第2係止部44は、少なくとも連結部材30に係止可能であって、延出部42の先端部に位置する。図3及び図4は、ファスニングテープ40を横方向Xに展開した状態を示しているが、おむつ10を包装した状態において、延出部42は、おむつ本体14の内面側に折り曲げられて、第2係止部44がおむつ本体14の内面に係止されていることが好ましい。
なお、図示していないが、ファスニングテープ40とともに、又はこれに代えて、おむつ本体14の前ウエスト域11の両側部の内面に、連結部材30と係止可能な係止部を配置してもよい。ファスニングテープ40を配設した場合には、おむつ10を装着した状態において、着用者が動いてファスニングテープ40に引張力が作用した場合に、係止部(第2係止部)が引張力の影響を受けにくくなり、係合が外れ難くなる。
第1及び第2係止部34,44は、フック要素が配置されたフックシートと、点状、ライン状又はスパイラル状に塗布されたホットメルト接着剤を介してフックシートと接合された基材シートとから構成される。基材シートは、基材シートとして比較的に嵩高の繊維不織布を使用した場合には、基材シートの表面にエンボス加工を施して毛羽立ちを防止してもよい。基材シートは、ホットメルト接着剤やヒートシール等の公知の接合手段によって第2シート36及び支持シート43に接合される。本実施形態では、第1及び第2係止部34,44におけるフック要素が、おむつ本体14の内外面を形成する繊維不織布や連結部材30を形成する繊維不織布(第1及び第2シート35,36)に係止可能な構成となっている。
なお、本発明において、第1及び第2係止部34,44の一例として、メカニカルファスナのフック要素を用いたが、第1及び第2係止部34,44は、フック要素とループ要素との両方を有するものであってもよいし、おむつ本体14側や連結部材30に配置されたフック要素に係止可能なループ要素であってもよく(その意味では、被係止部)、おむつ10の所定部位と係脱可能に係止されうる部分を意味し、フック要素のみを意味する一般的な係止部よりも、粘着剤等を含めたより広い概念を意味するものである。また、中央係止部27も同様に、連結部材30と係脱可能に係合される限りにおいて、フック要素、ループ要素又は粘着剤等の係合又は止着可能な要素のいずれかであってもよい。
図4及び図5を参照すると、後ウエスト域12の外面(非肌対向面)において、おむつ10の両側縁14c,14dと連結部材30の内側縁30cとの間には、それぞれ、第3係止部55が配置される。ここで、連結部材30の内側縁30cとは、連結部材30が非展開状態(図4において実線で示す状態)にある場合の内側縁30cの位置を示している。第3係止部55は、おむつ本体14のバックシート22及び/又は連結部材30の第1及び第2シート35,36に係止可能である。第3係止部55は、おむつ10の着用状態において、連結部材30の自由部32を横方向X外側へ展開した際に自由部32の外面をおむつ10の後ウエスト域12に係止するものであり、縦方向Yにおいて基端部31が位置する範囲に配置される。第3係止部55を配置することによって、連結部材30の自由部32の基端部31側を固定して位置ずれを防ぐことができるとともに、横方向Xに延出した状態に維持しやすくすることができる。なお、第3係止部55は、上述した効果を奏する限りにおいて連結部材30の基端部31及び/又は自由部32の外面に配置されていてもよい。
図4を参照すると、一対の連結部材30は、縦方向Yに沿って取り付けられ、縦中心線Pに関して対称となるように配置される。連結部材30において、基端縁30aは、おむつ本体14の後端縁14bに一致している。一対の連結部材30の内側縁30cは、横方向Xにおいて互いに隣接しており、縦方向Yに延びるミシン目51を介して連結されている。なお、一対の連結部材30は、横方向Xに離間して配置されてもよい。一対の連結部材30を離間した状態において、おむつ本体14の横方向Xの中央部に配置する場合には、離間寸法が約5〜15mmであり、約10mmであることが好ましい。なお、一対の連結部材30をおむつ本体14の両側部に配置してもよい。なお、おむつ10は、製造工程において、ミシン目51が形成される位置において一対の連結部材30を縦方向Yに切断し、横方向Xに隣接する一対の連結部材30が互いに分離した状態であってもよい。
連結部材30とおむつ本体14との長さ方向を一致させることによって、おむつ10の生産ライン上においておむつ本体14と連結部材30とを機械方向へ連続して搬送して製造することができ、連続生産性に優れる。また、連結部材30がベルト弾性体を有する場合にも、該ベルト弾性体の長さ方向が一致するため連続生産性に優れる。一対の連結部材30が横方向Xに離間することなく互いに隣接している場合には、対となる連結部材30を一体的に形成することができ、より生産性が向上する。おむつ本体14の縦方向Yの寸法(長さ寸法)L1は、約400〜1200mmであり、本実施形態では約840mmである。連結部材30の縦方向Yの寸法(長さ寸法)L2は、約100〜1200mmであり、約400〜1000mmであることが好ましく、本実施形態では約550mmである。おむつ本体14の横方向Xの寸法(幅寸法)W1は、約150〜450mmであり、本実施形態では約340mmである。連結部材30の横方向Xの寸法(幅寸法)W2は約50〜200mmで、本実施形態では約90mmである。連結部材30の幅寸法W2が50mm未満である場合、おむつ10の着用状態において連結部材30の位置が安定しないおそれがある。また、幅寸法W2が200mm超えである場合、製造コストが高くなり、着用状態において着用者の脚の動きを妨げるおそれがある。
自由部32の両側縁部は、縦方向Yに一定間隔をあけて断続的に形成される仮止め部57を介しておむつ本体14のバックシート22と剥離可能に仮止めされる。仮止め部57では、連結部材30とバックシート22とが、ソニックシールや接着剤等の接合手段によって互いに仮止めされている。自由部32を仮止めすることにより、自由部32がおむつ本体14の側縁14c,14dから外側へ延出するように展開されて、おむつ10の運搬時や収容袋に収容する際に、不要な折り癖がついたり、製造工程においてトラブルの原因となったりするのを防止することができる。
<接合域>
図6は、図4の一点鎖線VIで囲んだ領域の一部拡大図であって、連結部材30を横方向Xの外側へ伸展した状態を示す。図4及び図6において、連結部材30とおむつ本体14との接合域38(すなわち、基端部31)にドットを付している。ここでは図6及び図7に基づき、一方の連結部材30の基端部31の構成について説明するが、他方の連結部材30についても同様の構成を有する。基端部31は、接合域38を介しておむつ本体14に固定されており、ウエスト開口16側において横方向Xへ延びる外端縁(端縁)31aと、おむつ本体14の両側縁14c,14d側において外端縁31aから縦方向Yへ延びる外側縁31bと、クロッチ域13側において外端縁31aと外側縁31bとをつなぐ傾斜縁とを有しており、略三角形状であって、傾斜縁は、基端部31と自由部32との境界線31cを形成している。
横中心線Qに平行な横断線62に対する傾斜縁(境界線31c)の傾斜角度θは、約30〜50度の範囲であって、約42〜48度であることが好ましく、本実施形態では約43度である。なお、境界線31cは曲線状であってもよく、かかる場合には、境界線31cの両端縁を結ぶ仮想直線と横中心線Qとの傾斜角度θが約30〜50度の範囲となる。基端部31がかかる形状を有することから、傾斜縁を起点として連結部材30を横方向Xへ向かって展開し易くなり、ウエスト周り方向へ沿って引っ張り易くなる。なお、傾斜角度θが45度未満の場合には自由部32がウエスト開口16側へ展開されやすくなり、45度超えの場合には自由部32がクロッチ域13側へ展開されやすくなる。
接合域38は、境界線31cに沿って延びる境界側接合域70と、境界側接合域70を除く角部接合域90とを有する。境界側接合域70は、接合部75と非接合部76とを有し、接合部75では、おむつ本体14と連結部材30とが、ソニックシール加工やヒートシール加工等の公知の融着手段により互いに融着接合されている。非接合部76は融着手段が施されていない部位であり、本発明の効果を奏する限りにおいて、おむつ本体14と連結部材30とが非接合であってもよく、おむつ本体14のバックシート22と連結部材30の第1シート35とが接着剤で接合されていてもよい。
境界側接合域70は、ウエスト開口16側に位置する外端部73と、クロッチ域13側に位置する内端部74と、外端部73と内端部74との間に位置する中間部80とを有しており、内端部74から外端部73に亘って、複数の接合部75が位置している。境界側接合域70は、その長さ寸法L3及び/又は面積が3等分に区分されていてもよいが、中間部80を有さずに、外端部73及び内端部74の2つに区分されていてもよい。本実施形態においては、外端部73と内端部74とは、ほぼ同等の長さ寸法及び面積を有するものであって、例えば、それぞれ、境界側接合域70の長さ寸法L3(境界線31cの長さ寸法)の約25〜50%の大きさ及び/又は、その全体面積のうちの約20〜50%の面積を有する。本発明の効果を有する限りにおいて、外端部73よりも内端部74の面積が大きくてもよいし、内端部74の面積が外端部73のそれよりも大きくてもよい。接合部75は、外端部73に位置する外端接合部75Aと、内端部74に位置する内端接合部75Bと、中間部80に位置する中間接合部75Cとを含む。外端接合部75Aは、縦方向Yへ延びる複数の第1接合区域(縦接合区域)81を形成し、内端接合部75Bは、横方向Xへ延びる複数の第2接合区域(横接合区域)82を形成し、中間接合部75Cは、境界線31cに沿って延びる第3接合区域(中間接合区域)83を形成する。外端部73と内端部74とは、それぞれ、最も力のかかりやすい境界線31cの両端縁から境界線31cが延びる方向へ少なくとも約30mmの寸法を有する領域を意味し、それぞれの領域内において、第1及び第2接合区域81,82のそれぞれが少なくとも一つ存在していればよい。
図7(a)を参照すると、外端部73において、第1接合区域81は境界線31cが延びる方向(境界線31cが湾曲している場合には、境界線31cの両端縁を結ぶ仮想直線が延びる方向。以下、長さ方向Kという)へ互いに離間して複数配置される。第1接合区域81を形成する外端接合部75Aは、縦方向Yへ複数並んでおり、本実施形態では、縦方向Yに長い形状である。ここで、「外端接合部75Aが縦方向Yへ複数並んでいる」とは、任意の外端接合部75Aにおいて、その横方向Xの寸法(幅寸法)と同一幅を有して縦方向Yへ延びる縦断域S1に位置する外端接合部75Aの総面積と、該縦断域S1と同一幅を有して横方向Xへ延びる横断域S2に位置する外端接合部75Aの総面積とを比較したときに、前者が後者よりも大きいことを意味する。また、縦横断域S1,S2は、所定幅を有する領域でなくてもよく、直線であってもよい。かかる場合には、例えば、任意の外端接合部75Aの中心を通って縦方向Yへ延びる縦断線が複数(又は単数)の外端接合部75Aと重なる縦断線上の長さ寸法の合計と、その中心を通って横方向Xへ延びる横断線が複数(又は単数)の外端接合部75Aと重なる横断線上の長さ寸法の合計とを対比した場合に、前者が後者よりも大きいときには、外端接合部75Aが縦方向Yに並んでいるといえる。本実施形態において外端接合部75Aは、縦長の略楕円形状となっているが、形状はこれに限られず、例えば、矩形状等の縦長の多角形状や、縦方向Yに長い曲線形状等であってもよい。
外端接合部75Aの縦方向Yの寸法(長さ寸法)M1は、横方向Xの寸法(幅寸法)N1の約1.1〜5倍であることが好ましい。また、縦方向Yにおいて互いに隣り合う外端接合部75Aの離間寸法(互いに隣り合う外端接合部75Aの間の非接合部分の距離)R1は、横方向Xにおいて互いに隣り合う外端接合部75Aの離間寸法、及び横方向Xにおいて互いに隣り合う第1接合区域81の離間寸法R2のそれぞれよりも小さい。
図7(b)を参照すると、内端部74において、第2接合区域82は境界線31cが延びる方向へ互いに離間して複数配置される。第2接合区域82を形成する内端接合部75Bは、横方向Xへ複数並んでおり、本実施形態では、横方向Xに長い形状である。ここで、「内端接合部75Bが横方向Xへ複数並んでいる」とは、任意の内端接合部75Bにおいて、その縦方向Yの寸法(幅寸法)と同一幅を有して横方向Xへ延びる横断域S3に位置する内端接合部75Bの総面積と、該横断域S3と同一幅を有して縦方向Yへ延びる縦断域S4に位置する内端接合部75Bの総面積とを比較したときに、前者が後者よりも大きいことを意味する。また、縦横断域S3,S4は、所定幅を有する領域でなくてもよく、直線であってもよい。かかる場合には、例えば、任意の内端接合部75Bの中心を通って横方向Xへ延びる横断線が複数(又は単数)の内端接合部75Bと重なる横断線上の長さ寸法の合計と、その中心を通って縦方向Yへ延びる縦断線が複数(又は単数)の内端接合部75Bと重なる縦断線上の長さ寸法の合計とを対比した場合に、前者が後者よりも大きいときには、内端接合部75Bが横方向Xに並んでいるといえる。図示例では、内端接合部75Bの縦方向Yにおける寸法(幅寸法)N2と同一幅を有し、横方向Xへ延びる横断域S3に位置する内端接合部75Bの数は3つであって、それらのほぼ全域が位置しているが、縦断域S4には、3つの内端接合部75Bの一部のみが位置している。本実施形態において内端接合部75Bは、横長の略矩形状となっているが、形状はこれに限られず、例えば、楕円形状や、横方向Xに長い曲線形状等であってもよい。
内端接合部75Bの横方向Xの寸法(長さ寸法)M2は、約1〜5mmであり、縦方向Yの寸法(幅寸法)N2の約1.1〜5倍であることが好ましく、本実施形態では約2倍となるように、寸法M2が2mm、寸法N2が1mmとなっている。また、横方向Xにおいて互いに隣り合う内端接合部75Bの離間寸法(互いに隣り合う内端接合部75Bの間の非接合部分の距離)R3は、縦方向Yにおいて互いに隣り合う内端接合部75Bの離間寸法、及び縦方向Yにおいて互いに隣り合う第2接合区域82A,82Bの離間寸法R4のそれぞれよりも小さい。離間寸法R3は、約0.5〜2mmであり、縦方向Yの離間寸法R4は、横方向Xの離間寸法R3の約1.2〜5倍であることが好ましく、本実施形態では、離間寸法R3が1mm、離間寸法R4が2mmとなっている。
図7(c)を参照すると、中間部80において、第3接合区域83は境界線31cが延びる方向と直交する方向(境界側接合域70の幅方向)へ互いに離間して複数配置される。第3接合区域83を形成する中間接合部75Cは、長さ方向Kへ複数並んでおり、本実施形態では、長さ方向Kへ延びる矩形状であるが、形状はこれに限られず、例えば、長さ方向Kへ延びる楕円形状や、曲線形状等であってもよい。ここで、「中間接合部75Cが長さ方向Kへ複数並んでいる」とは、任意の中間接合部75Cにおいて、その幅寸法と同一幅を有して長さ方向Kへ延びる第1傾斜域S5に位置する中間接合部75Cの総面積と、該第1傾斜域S5と同一幅を有して長さ方向Kと直交する方向へ延びる第2傾斜域S6に位置する中間接合部75Cの総面積とを比較したときに、前者が後者よりも大きいことを意味する。ただし、第1及び第2傾斜域S5,S6の長さ寸法は等しく、境界側接合域70の幅寸法と同一寸法とする。また、第1及び第2傾斜域S5,S6は、所定幅を有する領域でなくてもよく、直線であってもよい。かかる場合には、例えば、任意の中間接合部75Cの中心を通って長さ方向Kへ延びる第1傾斜線が複数(又は単数)の中間接合部75Cと重なる第1傾斜線上の長さ寸法の合計と、その中心を通って長さ方向Kと直交する方向へ延びる第2傾斜線が複数(又は単数)の中間接合部75Cと重なる第2傾斜線上の長さ寸法の合計とを対比した場合に、前者が後者よりも大きいときには、中間接合部75Cが長さ方向Kに並んでいるといえる。図示例では、任意の中間接合部75Cの幅寸法N3と同一幅を有し、長さ方向Kへ延びる第1傾斜域S5に位置する中間接合部75Cの数は3つであって、それらのほぼ全域が位置しているが、第2傾斜域S6には、3つの中間接合部75Cの一部のみが位置している。
中間接合部75Cの長さ寸法M3は、幅寸法N3の約1.1〜5倍であることが好ましい。また、長さ方向Kにおいて互いに隣り合う中間接合部75Cの離間寸法(互いに隣り合う中間接合部75Cの間の非接合部分の距離)R5は、長さ方向Kと直交する方向において互いに隣り合う中間接合部75Cの離間寸法R6よりも小さい。離間寸法R6は、長さ方向Kの離間寸法R5の約1.2〜5倍であることが好ましい。境界側接合域70の幅方向において隣り合う第3接合区域83A,83Bにおいて、一方の第3接合区域83Aにおける中間接合部75Cの間に位置する非接合部分は、他方の第3接合区域83Bにおける中間接合部75Cの間に位置する非接合部分と境界側接合域70の幅方向において互いに重なっていない。中間部80では、境界側接合域70の幅方向に延びる任意の直線を引いた場合に、該直線上に少なくとも一つの中間接合部75Cが存在している。
なお、中間部80には、中間接合部75Cではなく、第1接合区域81及び第2接合区域82のいずれか一方を配置してもよいし、接合部75を配置せずに全体的に非接合部76としてもよいし、外端部73側に第1接合区域81、内端部74側に第2接合区域82を配置してもよい。このように、中間部80に配置する接合部75を適宜変更することによって、境界側接合域70全体の剛性や一定方向に対する剥離強度を適切にコントロールすることができる。
基端部31において、角部接合域90は、基端部31の外端縁31a及び外側縁31bと、境界側接合域70の外側縁70aとによって画成され、略三角形状をなしている。角部接合域90は、境界側接合域70よりも接合強度が低くなっている。本実施形態では、接合域38の全域にホットメルト接着剤等の接着剤が塗布され、さらに、境界側接合域70にのみ融着手段による接合部75を形成することによって、角部接合域90の接合強度が境界側接合域70に比して低くなっている。なお、境界側接合域70と角部接合域90の両方に接合部75を形成し、接合強度が高くなるように、境界側接合域70において接合部75の配置を密にしてもよい。
図8は、着用者に対して、おむつ10を装着するときの操作手順を示したものである。まず、図8(a)に示すとおり、一対の連結部材30を展開した状態で、おむつ10の後ウエスト域12を着用者の背側に対向させるようにして配置する。かかる展開状態において、連結部材30の自由部32は、横方向X外側へ引っ張られ、その一部は後ウエスト域12の第3係止部55に係止される。次に、図8(b)に示すとおり、一対の連結部材30を横方向Xの外側へ引っ張って第2シート36が着用者の身体と対向するようにして着用者の腰部69に巻き付け、一方の連結部材63の第1係止部34を他方の連結部材64に係止する。次に、図8(c)(d)に示すとおり、前ウエスト域11又はファスニングテープ40を引き寄せて、前ウエスト域11を着用者の腹側に対向させるようにして配置し、前ウエスト域11の中央係止部27と、ファスニングテープ40の第2係止部44を連結部材30に係止する。
連結部材30は、おむつ本体14の外面に固定されているため、連結部材30を着用者の腰部69に巻き付けると、後ウエスト域12において、おむつ本体14のウエスト開口側の両側部は、連結部材30の自由部32によって着用者の身体側へ押し当てられ、フィット性が向上する。かかる効果を向上するために、連結部材30の基端縁30aは、おむつ本体14の後端縁14bと近接していることが好ましい。
おむつ10の着用中において、連結部材30を掴んでおむつ10を引き上げる際には基端部31に縦方向Yへ引っ張る力F2が強く作用する(図6参照)。また、おむつ10の着用操作において、一対の連結部材30を腰部に巻き付けて互いに連結したときに、おむつ10を適正な位置に移動させるために、連結部材30を把持してそのまま引き上げる操作が必要になる。本実施形態のおむつ10では、境界線31cが傾斜しているため、連結部材30を把持しておむつ10を引き上げる際、境界側接合域70において縦方向Yの内側に位置する内端部74に、連結部材30を縦方向Yへ引っ張っておむつ本体14と剥離しようとする力F2が強く作用する。通常、ある方向へ引っ張り力が作用する場合、接合部が力の作用方向に延びているものよりも、力の作用方向に対して直交/交差している方が、剥離強度が高くなる。
本実施形態では、境界側接合域70の内端部74に横方向Xへ延びる第2接合区域82が複数形成されているため、力F2の作用方向に対し、接合領域を大きくして剥離強度を高めることができる。剥離強度を高めるために、境界側接合域70において接合部75の面積を比較的に大きくした場合には、境界側接合域70全体の剛性が比較的に高くなって、着用者に違和感を与えるおそれがあるが、内端部74では、複数の第2接合区域82が長さ方向Kへ離間して配置され、その間に非接合部76が位置しているため、過度に剛性が高くなるのを抑えることができる。
一方、一対の連結部材30を横方向Xの外側へ引っ張る力(横方向Xへの力F1)は、内端部74よりも横方向Xの内側に位置する外端部73に作用しやすい。そのため、内端部74では、おむつ本体14と連結部材30との縦方向Yにおける剥離強度が、横方向Xにおける剥離強度よりも高いことが好ましい。内端部74において、縦方向Yにおける剥離強度は、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。さらに、本実施形態における内端接合部75Bは、横方向Xへ延びる形状であるため、個々の内端接合部75Bにおいても縦方向Yの力F2に対して剥離強度が高い。
また、第2接合区域82は、内端接合部75Bを横方向Xへ複数並べたものであり、内端接合部75Bの間に非接合部分が位置しているため、境界側接合域70の剛性をより低減することができる。また、第2接合区域82において、このような非接合部分を設けることにより、内端部74において破れが生じた場合に、内端接合部75Aをつたってシートが連続的に横方向Xへ破断するのを防止することができる。
図7(b)を参照すると、縦方向Yにおいて隣り合う第2接合区域82A,82Bにおいて、一方の第2接合区域82Aにおける内端接合部75Bの間に位置する非接合部分は、他方の第2接合区域82Bにおける内端接合部75Bの間に位置する非接合部分と縦方向Yにおいて互いに重なっていない。このように、複数の第2接合区域82を形成する内端接合部75Bは、千鳥状に配置されており、内端部74では、縦方向Yに延びる任意の直線を引いた場合に、該直線上に少なくとも一つの内接合部75Bが存在している。第2接合区域82を形成する内端接合部75Bをこのように配置することにより、内端部74において縦方向Yへ破れが生じた場合に、縦方向Yへ破断ラインが連続的に延びるのを防止することができる。
既述のとおり、境界側接合域70の外端部73には、一対の連結部材30を引っ張って腰部に巻き付ける際に横方向Xへ引っ張る力F1が強く作用する。本実施形態では、外端部73に縦方向Yへ延びる第1接合区域81が複数形成されているため、力F1の作用方向に対し、接合領域を大きくして剥離強度を高めることができる。外端部73において、横方向Xにおける剥離強度は、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。
また、境界側接合域70全体には、それと直交する方向(斜め上方)に向かう引っ張り力F3が作用される。本実施形態では、中間部80において、境界線31cが延びる方向へ第3接合区域83が延びているため、境界線31cに直交する方向の剥離強度が高くなっている。境界側接合域70において、長さ方向Kと直交する方向における剥離強度は、少なくとも10N/25mmであることが好ましい。また、連結部材30の境界側接合域70全体の最大引張強度が60N以上であることが好ましい。境界側接合域70において、各シートが接着剤のみで接合されている場合には、剥離が生じた際に、粘着性のある接着剤が露出して衣類が汚れたり、硬化した接着剤が肌に触れて刺激を与えたりするおそれがあるが、接合部75が形成されることによって、かかる事態を防止することができる。なお、図6においては、境界側接合域70のうちで引っ張り力F1〜F3のそれぞれが最も強く作用する部分において矢印で示しているが、引っ張り力F1〜F3は境界側接合域70全体に作用するものといえる。
なお、図示していないが、連結部材30の基端部31は、補強シートを介しておむつ本体14に固定される構成であってもよい。基端部31とおむつ本体14の表面(バックシート22によって形成される表面)との界面の接合強度が高い場合であっても、おむつ本体14の表面を形成するシート強度が弱い場合には、おむつ本体14に破れが生じてしまうが、補強シートを介在させることによって、おむつ本体14全体の剛性を高めることなく、連結部材30との接合域38において、おむつ本体14の外面(表面)を部分的に剛性の高い状態にすることができ、連結部材30とおむつ本体14との接合強度(取付強度)を高めることができる。
<変形例1>
図9は、基端部31における接合域38の変形例の一例である、変形例1の図6と同様の図、図10(a)は、変形例1における境界側接合域70の外端部73の一部拡大図、(b)は、境界側接合域70の内端部74の一部拡大図、(c)は、境界側接合域70の中間部80の一部拡大図である。
本変形例では、外端接合部75A、内端接合部75B及び中間接合部75Cがいずれも同形同大のドット状である。外端接合部75Aは、縦方向Yへ複数並んでおり、第1接合区域81を形成している。内端接合部75Bは、横方向Xに複数並んでおり、第2接合区域82を形成している。中間接合部75Cは、長さ方向Kへ複数並んでおり、第3接合区域83を形成している。
第1接合区域81において、縦方向Yにおいて互いに隣り合う外端接合部75Aの離間寸法R1は、横方向Xにおいて互いに隣り合う外端接合部75Aの離間寸法、及び横方向Xにおいて互いに隣り合う第1接合区域81A,81Bの離間寸法R2のそれぞれよりも小さい。第2接合区域82において、横方向Xにおいて互いに隣り合う内端接合部75Bの離間寸法R3は、縦方向Yにおいて互いに隣り合う内端接合部75Bの離間寸法、及び縦方向Yにおいて互いに隣り合う第2接合区域82A,82Bの離間寸法R4のそれぞれよりも小さい。第3接合区域83において、長さ方向Kにおいて互いに隣り合う中間接合部75Cの離間寸法R5は、長さ方向Kと直交する方向において互いに隣り合う中間接合部75Cの離間寸法R6よりも小さい。また、接合部75の直径Mは、離間寸法R1、R3及びR5のそれぞれよりも大きいことが好ましい。接合部75の直径Mは、約1〜10mmであり、本実施形態では約2mmである。
このように、外端接合部75A、内端接合部75B及び中間接合部75Cが同形同大であっても、その配置パターンを変更することによって、内端部74においては、横方向Xに延びる複数の第2接合区域82を形成し、縦方向Yの剥離強度を高めることができる。また、外端部73では第1接合区域81によって横方向Xの剥離強度を高め、中間部80では、長さ方向Kと直交する方向の剥離強度を高めることができる。
本変形例において、接合部75は、角部接合域90に位置する角部接合部75Dをさらに有する。角部接合部75Dは、各接合部75A,75B,75Cと同形同大である。角部接合部75Dは、外端部73側に位置する第1角部接合部と、内端部74側に位置する第2角部接合部と、第1角部接合部と第2角部接合部との間に位置する第3角部接合部とを有する。第1角部接合部は、縦方向Yに複数並んで第1接合区域81の一部を形成しており、第2角部接合部は、横方向Xに複数並んで第2接合区域82の一部を形成している。このように、外端部73の第1接合区域81が、境界側接合域70の外側縁70aを越えて、角部接合域90を画成している基端部31の外端縁31aまで延び、内端部74の第2接合区域82が、外側縁70aを越えて、角部接合域90を画成している基端部31の外側縁31bまで延びることによって、接合強度を高め、剥離や破れが生じるのをより抑制することができる。第3角部接合部は、縦方向Y及び横方向Xに一様に分布され、第1及び第2角部接合部のそれぞれに比して、単位面積あたりの接合面積が小さくなっている。なお、本変形例において、基端部31は接合部75のみによっておむつ本体14と接合されているが、接合部75とともに、ホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する構成であってもよい。
<変形例2>
図11は、基端部31における接合域38の変形例の一例である、変形例2の図6と同様の図である。
本変形例では、基端部31が、ウエスト開口16側において横方向Xへ延びる外端縁31aと、外端縁31aから縦方向Yへ延びる外側縁31bと、外端縁31aから縦方向Yへ延び、横方向Xの内側に位置する内側縁31dと、クロッチ域13側において外側縁31bと内側縁31dとをつなぐ傾斜縁(境界線31c)とを有する。本変形例において接合部75は、変形例1の接合部75と同様に、外端接合部75A、内端接合部75B、中間接合部75C及び角部接合部75Dを有し、いずれも同形同大のドット状である。
境界側接合域70の外端部73は、内側縁31dが位置することによって、横方向Xの内側が縦方向Yへ直線状に延びており、横方向Xにおいて最内側の第1接合区域81の接合面積が比較的に高くなっている。これにより、外端部73は横方向Xの力に対してより剥離し難い構造とすることができる。
<変形例3>
図12は、基端部31における接合域38の変形例の一例である、変形例3の図6と同様の図である。
本変形例では、外端部73において、第1接合区域81は境界線31cが延びる方向(長さ方向K)へ互いに離間して複数配置されており、各第1接合区域81は、境界側接合域70の外側縁70aから境界線(内側縁)31cまで縦方向Yへ連続して延びる外端接合部75Aからなる。また、内端部74において、第2接合区域82は境界線31cが延びる方向へ互いに離間して複数配置されており、各第2接合区域82は、境界側接合域70の外側縁70aから境界線31cまで横方向Xへ連続して延びる内端接合部75Bからなる。第1接合区域81の横方向Xにおける離間寸法R2及び第2接合区域82の縦方向Yにおける離間寸法R4は、それぞれ、約1〜10mmである。このように、内端部74に境界側接合域70の幅寸法全域に連続して横方向Xへ延びる複数の第2接合区域82が配置されていることによって、縦方向Yの剥離強度が高くなる。また、外端部73では、境界側接合域70の幅寸法全域に連続して縦方向Yへ延びる複数の第1接合区域81が配置されていることによって、外端部73は横方向Xの剥離強度が高くなっている。
第2接合区域82の横方向Xにおける寸法(長さ寸法)は、約4〜15mmであって、本実施形態では約7mmであり、縦方向Yにおける寸法(幅寸法)は、約0.5〜5mmであって、本実施形態では約1mmであり、本実施形態における第2接合区域81の離間寸法R2は、約4mmである。
中間部80に位置する中間接合部75Cは、外端接合部75Aと同様に境界側接合域70の幅方寸法全域に延びる第1接合区域81と、内端接合部75Bと同様に横方向へ延びる第2接合区域82とが、長さ方向Kにおいて交互に配置された形状を有する。中間部80に位置する第1接合区域81の横方向Xにおける離間寸法は、外端部73における第1接合区域81の離間寸法R2よりも大きい。中間接合部75Cがかかる形状を有することによって、中間部80では、縦方向Yと横方向Xとにおいてほぼ同等の剥離強度を有するといえる。
<変形例4>
図13は、基端部31における接合域38の変形例の一例である、変形例4の図6と同様の図である。
本変形例においては、境界側接合域70において、内外端部74,73の内端及び外端接合部75B,75Aが、それぞれ、外側縁70aから境界線31cまで縦方向Yへ延びる複数の第1接合区域81と横方向Xへ延びる複数の第2接合区域82とを有する。内端及び外端接合部75B,75Aの第1接合区域81と第2接合区域82とはその幅寸法がほぼ同じであって、外端部73においては、第1接合区域81の本数が第2接合区域82の本数よりも多く、内端部74においては、第2接合区域82の本数が第1接合区域81の本数よりも多くなっている。具体的には、外端部73において、第1接合区域81の横方向Xにおける離間寸法R2は、第2接合区域82の縦方向Yにおける離間寸法よりも小さく、約1〜10mmである。また、内端部74において、第2接合区域82の縦方向Yにおける離間寸法R4は、第1接合区域81の横方向Xにおける離間寸法よりも小さく、約1〜10mmである。
なお、図示していないが、上述した実施形態並びに変形例3及び4において、外端部73の第1接合区域81は、境界側接合域70の外側縁70aを越えて、角部接合域90を画成している基端部31の外端縁31aまで縦方向Yへ延びていてもよく、内端部74の第2接合区域82は、外側縁70aを越えて、角部接合域90を画成している基端部31の外側縁31bまで横方向Xへ延びていてもよい。かかる場合に、変形例3において、外端部73の第2接合区域82及び内端部74の第1接合区域81のそれぞれは、角部接合域90まで延出していないことが好ましい。さらに、変形例2と同様に、基端部31が内側縁31dを有する形状であってもよい。
<連結部材の剥離強度の測定方法>
連結部材30の剥離強度の各測定は、それぞれ、島津製作所株式会社製のオートグラフ試験機(AG−X10plus)を用いて測定した。図14(a)は、境界側接合域70に直交する方向の剥離強度の測定方法に関する、切り出すサンプルの様子を示す図、(b)は、境界側接合域70の横方向Xの剥離強度の測定方法に関する、切り出すサンプルの様子を示す図、(c)は、境界側接合域70の縦方向Yの剥離強度の測定方法に関する、切り出すサンプルの様子を示す図であり、図15(a)は、図14(a)において切り出したサンプルを引張試験機にセットした様子を示す図、(b)は、図14(b)において切り出したサンプルを引張試験機にセットした様子を示す図、(c)は、図14(c)において切り出したサンプルを引張試験機にセットした様子を示す図である。
<直交する方向の剥離強度>
図14(a)及び図15(a)を参照すると、連結部材30を横方向Xに展開した状態において、境界線31cと交差して長さ方向Kに直交する方向へ延びる細長矩形片をおむつ10から切り出してサンプルとした。サンプルは、25mm幅であって、連結部材30の自由部32と基端部31とが互いに重なる第1部分93とおむつ本体14から形成された第2部分94とを有する。第1部分93と第2部分94とは、同形同大であって、連結部材30を展開する前の状態において厚さ方向Zにおいて互いに重なる。切り出したサンプルにおいて、第1部分93のうちの自由部32から形成されたシート片93aを一方のチャック(可動治具)95に把持し、第2部分94を他方のチャック(固定治具)96に把持した状態で、サンプルをオートグラフ試験機にセットし、引っ張り速度1000mm/minにおけるサンプルの剥離強度(最大強度)を求めた。チャック幅は約50mmであって、サンプルについて25mm幅で切り出すことができない場合には、測定結果に基づいて25mm幅に換算して算出する。図14(a)に示すように、内外端部74,73及び中間部80においてサンプルを切り出し、それぞれの直交方向における剥離強度を求め、平均した値を境界側接合域70に直交する方向の剥離強度(N/25mm)とした。
<横方向の剥離強度>
図14(b)及び図15(b)を参照すると、連結部材30を横方向Xへ展開した状態の内外端部74,73近傍において、境界線31cと交差して横方向Xへ延びる細長矩形片をおむつ10から切り出してサンプルとした。サンプルは、25mm幅であって、連結部材30の自由部32と基端部31とが互いに重なる第1部分93とおむつ本体14から形成された第2部分94とを有する。第1部分93と第2部分94とは、連結部材30が展開する前の状態において、それらの一部が厚さ方向Zにおいて互いに重なる。切り出したサンプルにおいて、第1部分93のうちの自由部32から形成されたシート片93aを一方のチャック(可動治具)95に把持し、第2部分94を他方のチャック(固定治具)96に把持した状態で、サンプルをオートグラフ試験機にセットし、直交方向の剥離強度の測定と同一条件で測定して横方向Xの剥離強度(N/25mm)とした。
<縦方向の剥離強度>
図14(c)及び図15(c)を参照すると、連結部材30を伸展する前の状態において、境界線31cと交差して縦方向Yへ延びる細長矩形片をおむつ10から切り出してサンプルとした。サンプルは、25mm幅であって、連結部材30の基端部31からなる第1部分97と、自由部32とおむつ本体14とが互いに重なる第2部分98とを有する。連結部材30を弛緩した状態で縦方向Yの外側へ伸展した状態において、第2部分98のうちの自由部32からなる第1シート片98aとおむつ本体14からなる第2シート片98bとは互いに離間した状態となる。第1シート片98aを一方のチャック(可動治具)95で把持し、第2シート片98bを他方のチャック(固定治具)96で把持した状態で、サンプルをオートグラフ試験機にセットし、該サンプルを直交する方向の剥離強度の測定と同様の条件で測定して、それぞれの縦方向Yの剥離強度(N/25mm)を求めた。
本発明のおむつ10を構成する各構成部材には、明細書に記載されている材料のほかに、この種の物品において通常用いられている各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、明細書及び特許請求の範囲において、「第1」及び「第2」等の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられる。
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記の事項に整理することができる。
縦方向及び横方向を有し、前後ウエスト域の一方である第1ウエスト域と、前記前後ウエスト域の他方である第2ウエスト域と、前記第1及び第2ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するおむつ本体と、前記第1ウエスト域と前記第2ウエスト域とを連結するための一対の連結部材とを備える使い捨ての着用物品において、前記一対の連結部材は、それぞれ、前記第1ウエスト域に固定された基端部と、前記基端部から前記第2ウエスト域へ向かって延出する自由部とを有し、前記基端部と前記自由部との境界線は、前記クロッチ域からウエスト開口側へ前記横方向の外側から内側へ向かうように傾斜しており、前記基端部において、前記境界線に沿って延びる境界側接合域のうち、前記クロッチ域側に位置する内端部は、前記横方向の寸法が前記縦方向の寸法よりも大きい内端接合部を有するとともに、前記内端接合部が前記横方向へ複数並んで形成される横接合区域を有することを特徴とする。
上記段落0076に開示した本発明は、少なくとも下記の実施の態様を含むことができる。
(1)前記横接合区域は、前記境界線が延びる方向へ互いに離間して複数配置される。
(2)前記横方向において隣り合う前記内端接合部の離間寸法は、前記縦方向において隣り合う前記内端接合部の離間寸法よりも小さい。
(3)前記縦方向において隣り合う前記横接合区域において、一方の横接合区域における前記内端接合部の間に位置する非接合部分は、他方の横接合区域における前記内端接合部の間に位置する非接合部分と前記縦方向において互いに重ならない。
(4)前記基端部において、少なくとも前記境界側接合域では、前記おむつ本体と前記連結部材とが互いに融着接合している。
(5)前記内端部において、前記おむつ本体と前記連結部材との前記縦方向における剥離強度は、前記横方向における剥離強度よりも高い。
(6)前記内端部において、前記おむつ本体と前記連結部材との前記縦方向における剥離強度は、10N/25mm以上である。
(7)前記境界側接合域は、前記ウエスト開口側に位置する外端部と、前記内外端部の間に位置する中間部とを有しており、前記中間部において、前記境界側接合域の前記外側縁から前記境界線まで連続的に延在する前記外端接合部を有するか、又は、前記境界側接合域の前記外側縁から前記境界線まで非連続的に延在する外端接合部を有する中間接合区域を備える。
(8)前記基端部は、前記縦方向へ延びる内側縁と、前記縦方向へ延び、かつ、前記内側縁よりも前記縦方向の寸法が大きい外側縁と、前記横方向へ延び、かつ、前記ウエスト開口側において前記内側縁と前記外側縁とをつなぐ外端縁と、前記クロッチ域側において前記内側縁と前記外側縁とをつなぐ傾斜縁とを有し、前記横接合区域は、前記傾斜縁から前記外側縁まで前記横方向へ延びる。
(9)前記基端部は、前記境界側接合域を除く部分からなる角部接合域をさらに有し、前記角部接合域は、前記境界側接合域よりも接合強度が低い。