JP6429971B1 - 吸収性物品の液透過性シート用の不織布及び不織布ロール - Google Patents
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Abstract
Description
そして、本態様の不織布は、上記凸部の第2面から第1面まで厚さ方向に延在する凸部領域と、上記凹部の第2面から第1面まで厚さ方向に延在する凹部領域とを有していて、さらに、当該凹部領域は、第1繊維層におけるコットンの含有量が凸部領域よりも小さくなっているため、厚みが薄く上述のコットンの抜け落ちや排泄液の滲出が特に生じ易い凹部領域において、第1繊維層内のコットンが外部へ抜け落ちる可能性が低減する上、コットンに保持される排泄液の量自体も少なくなることで、当該排泄液が液透過性シートの肌対向面上(すなわち、不織布の第2面上)に滲出し難くなる。
以上より、本態様の不織布は、良好な肌触りを備えつつも、内部のコットンが抜け落ち難く、且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い、吸収性物品の液透過性シート用の不織布を提供することができる。
これにより、本態様の不織布は、吸収性物品の吸収性能を向上させることができる上、リウェットもより生じ難くすることができるため、着用者の肌に対して湿潤感をより一層与え難くすることができる。
さらに、本態様の不織布は、吸収性物品の液透過性シートに用いられたときには、当該液透過性シートの肌対向面に供給されて厚さ方向に透過してきた排泄液を、上述のコットンの繊維塊の塊部において集中的に(スポット的に)吸収及び保持しつつ、拡散繊維部においては、上記塊部に保持された排泄液を液透過性シートの面方向に拡散させながら厚さ方向の非肌対向面側(すなわち、不織布の第1面側)へ移行させることができるため、排泄液をより広範囲の領域から吸収体等の部材へ移行させることができるとともに、当該液透過性シートの非肌対向面側から肌対向面側への排泄液の液戻り、ひいては液透過性シートの肌対向面上への排泄液の滲出(リウェット)をより一層生じ難くすることができる。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、吸収性物品、不織布等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。また、本明細書において、「面方向」は、「平面視における略シート状の対象物(例えば、不織布、吸収性物品、表面シート等)の平面が延びる方向(すなわち、水平面方向)」を指し、当該面方向と厚さ方向とは、互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。
なお、本明細書においては、吸収性物品及び当該吸収性物品を構成する各種部材(例えば、表面シート、吸収体、裏面シート等)の「肌対向面側の表面」及び「非肌対向面側の表面」を、それぞれ単に「肌対向面」及び「非肌対向面」ということがある。
図1に示すように、使い捨ておむつ1(本発明における「吸収性物品」の一例である。)は、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有し、さらに、長手方向Lの略中央部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の縦長の外形形状を有している。なお、本発明の不織布が適用される吸収性物品の外形形状は、このような態様のものに限定されず、長手方向Lの長さが幅方向Wの長さよりも長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。
また、この使い捨ておむつ1においては、図1及び図2に示すように、防漏壁部を形成する一対の液不透過性のサイドシート5、5と、使い捨ておむつ1の幅方向Wにおける両端部(すなわち、着用者の大腿部に当接する左右の脚周り部)をそれぞれ長手方向Lに伸縮させるための、糸ゴム等からなる伸縮部材6、6と、着用時に使い捨ておむつ1の腹部対向領域と背部対向領域を連結するための連結テープ7、7と、裏面シート3の非肌対向面側に配置された外装シート(不図示)とを、構成部材として更に備えている。すなわち、使い捨ておむつ1は、いわゆるテープ型の使い捨ておむつである。
なお、図1に示す使い捨ておむつ1においては、図1の下方に位置する長手方向Lの一端側の領域が着用者の腹部に対向する腹部対向領域であり、図1の上方に位置する長手方向Lの他端側の領域が着用者の背部(臀部)に対応する背部対向領域である。
なお、上述の使い捨ておむつ1においては、表面シート2は、図1に示すように、平面視にて、長手方向Lに長い矩形状の外形形状を有しているが、本発明の不織布が適用される吸収性物品においては、このような態様のものに限定されず、表面シートは、各種用途等に応じた任意の外形形状のものを採用することができる。
ここで、図3は、本発明の一実施形態に係る不織布20の部分斜視図であり、図4は、不織布20の図3におけるIV−IV'線に沿った断面の断面図である。
そして、本実施形態に係る不織布20は、図3及び図4に示すように、使い捨ておむつ1における表面シート2(液透過性シート)の非肌対向面となる第1面2aを形成し、コットンC及び熱可塑性樹脂繊維F1を含む第1繊維層21と、表面シート2の肌対向面となる第2面2bを形成し、熱可塑性樹脂繊維F2を含み且つコットンを含まない第2繊維層22とによって構成され、さらに、第1面2aから第2面2bに向かう方向に突出する複数の凸部23と、第2面2bから第1面2aに向かう方向に窪む複数の凹部24とを備えている。さらに、不織布20は、図4に示すように、複数の凸部23の各々において凸部23の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凸部領域23Aと、複数の凹部24の各々において凹部24の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凹部領域24Aとを有していて、当該凹部領域24Aは、第1繊維層21におけるコットンCの含有量が凸部領域23Aよりも小さくなっている。
さらに、不織布20は、上記凸部23の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凸部領域23Aと、上記凹部24の第2面2bから第1面2aまで厚さ方向Tに延在する凹部領域24Aとを有していて、当該凹部領域24Aは、第1繊維層21におけるコットンCの含有量が凸部領域23Aよりも小さくなっているため、厚みが薄く上述のコットンCの抜け落ちや排泄液の滲出が特に生じ易い凹部領域24Aにおいて、第1繊維層21内のコットンCが外部へ抜け落ちる可能性が低減する上、コットンCに保持される排泄液の量自体も少なくなることで、当該排泄液が表面シート2の肌対向面上(すなわち、不織布20の第2面2b上)に滲出し難くなっている。
したがって、本実施形態に係る不織布20は、良好な肌触りを備えつつも、内部のコットンCが抜け落ち難く、且つ着用者の肌に湿潤感を与え難い表面シート2(液透過性シート)を形成することができる。
したがって、上述の凸部領域及び凹部領域の各々におけるコットンの含有量の大小関係は、それぞれの領域のコットンの含有量を求めた後にそれらを比較することで得ることができる。なお、上述のコットンの含有量の測定にあったては、任意の異なる5箇所で測定を行い、その平均値を採用する。
なお、後述する凸部の「頂部」(図4における「頂部231」を参照。)は、上述の最高部を含み且つ当該最高部からの厚さ方向の距離が凸部全体の高さ(すなわち、d/2)の3%以内となる部分を指し、凹部の「底部」(図4における「底部241」を参照。)は、上述の最深部を含み且つ当該最深部からの厚さ方向の距離が凹部全体の深さ(すなわち、d/2)の3%以内となる部分を指す。
さらに、本明細書においては、図4に示すように、凸部の第2面から第1面まで厚さ方向に沿って延在する領域を「凸部領域」といい、凹部の第2面から第1面まで厚さ方向に沿って延在する領域を「凹部領域」という。
また、不織布の凹凸構造が畝溝構造の場合、凸部の幅(すなわち、凸部における第2の方向の長さが最長となる部分の第2の方向の長さ)は、例えば0.1mm〜5.0mmの範囲内であり、凹部の幅(すなわち、凹部における第2の方向の長さが最長となる部分の第2方向の長さ)は、例えば0.1mm〜5.0mmの範囲内である。なお、これら凸部及び凹部のピッチや幅は、無加圧状態における不織布を走査型電子顕微鏡等の拡大観察手段により拡大観察して、その平面写真又は平面画像から測定することができる。
本発明の不織布において、第1繊維層は、当該不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートの非肌対向面となる第1面を形成し、コットンと熱可塑性樹脂繊維を含む繊維層によって構成されている。この第1繊維層に含まれるコットンは、特に制限されず、例えば、繊度が1.0dtex〜15dtexの範囲内であり、繊維長が5mm〜40mmの範囲内であるコットンなどを用いることができる。中でも、繊維長が20mm以上のコットンは、第1繊維層と第2繊維層を積層する際に、コットン繊維の一部が第2繊維層の内部に入り込み易く、さらに、この第2繊維層の内部に入り込んだコットン繊維が第1繊維層と第2繊維層との間の橋渡しとなって不織布全体の液透過性を向上させることができるため、好適に用いることができる。また、繊維長が20mm以上のコットン(以下、「長繊維コットン」ということがある。)と、繊維長が10mm以下のコットン(以下、「短繊維コットン」ということがある。)とを混ぜ合わせた混合コットンは、長繊維コットンにより不織布の液透過性を向上させることができる上に、短繊維コットンにより不織布の嵩を増大させることができるため、特に好適に用いることができる。
そして、本発明においては、不織布の第1繊維層に含まれるコットンは、凹部領域における含有量が凸部領域における含有量よりも小さくなるように、第1繊維層内に偏在していることが必要である。コットンがこのように第1繊維層内で偏在していると、厚みの薄い凹部領域の第1面側及び第2面側からコットンが抜け落ちる可能性が低減する上、コットンに保持される排泄液の量自体も少なくなることで、当該排泄液が不織布の表面上に滲出し難くなる。
ここで、図5は、図4の断面図における不織布20の構成繊維の態様を模式的に示す図であり、図6は、図5のVI線によって囲まれた部分の拡大図である。
本発明において、第1繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂からなる繊維であれば特に制限されず、その熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で使用しても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
また、このような熱可塑性樹脂からなる繊維の構造は、特に制限されず、例えば、PET/PE等の芯鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y字形、C字形等の異形断面型繊維などが挙げられ、これらの構造を有する繊維は単独で使用しても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
次に、本発明の不織布を構成する第2繊維層について説明する。
本発明の不織布において、第2繊維層は、当該不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートの肌対向面となる第2面を形成し、熱可塑性樹脂繊維を含み且つコットンを含まない繊維層によって構成されている。この第2繊維層に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂からなる繊維であれば特に制限されないが、疎水性を有する熱可塑性樹脂からなる繊維、すなわち、疎水性の熱可塑性樹脂繊維であることが好ましい。不織布の第2面(すなわち、当該不織布が適用される吸収性物品の液透過性シートの肌対向面)を形成する第2繊維層を、このような疎水性の熱可塑性樹脂繊維で構成すると、着用者の肌に直に接触する可能性のある第2繊維層が排泄液や湿気を吸収及び保持し難くなるため、着用者の肌に対して湿潤感をより一層与え難くすることができる。
また、本発明において、不織布の形態は特に限定されず、例えば、上述の不織布がロール状に巻き取られてなる不織布ロールの形態であってもよい。
以下、本発明の不織布ロールの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、図8は、不織布20がロール状に巻き取られてなる不織布ロール200の斜視図である。
図8に示すように、本発明の更に別の実施形態では、上述の実施形態に係る不織布20がロール状に巻き取られることによって、不織布ロール200が形成されている。かかる不織布ロール200は、摩擦や振動等の物理的負荷が掛かっても内部のコットンが外部へ抜け落ち難い不織布20を用いているため、当該不織布20を、コットンの抜け落ちを抑制しつつ、上述の使い捨ておむつ1のような吸収性物品の高速生産(すなわち、摩擦や振動等の物理的負荷が掛かり易い条件下の生産)に適応した資材として提供することができる。
2 表面シート(液透過性シート)
20 不織布
21 第1繊維層
22 第2繊維層
23 凸部
231 頂部
23A 凸部領域
24 凹部
241 底部
242 側壁部
24A 凹部領域
242A 側壁部領域
200 不織布ロール
3 裏面シート(液不透過性シート)
4 吸収体
5 サイドシート
6 伸縮部材
Claims (11)
- 厚さ方向に対向する第1面及び第2面を有する、吸収性物品の液透過性シート用の不織布であって、
前記不織布は、前記液透過性シートの非肌対向面となる前記第1面を形成し、コットン及び熱可塑性樹脂繊維を含む第1繊維層と、前記液透過性シートの肌対向面となる前記第2面を形成し、熱可塑性樹脂繊維を含み且つコットンを含まない第2繊維層とによって構成され、且つ、前記第1面から前記第2面に向かう方向に突出する複数の凸部と、前記第2面から前記第1面に向かう方向に窪む複数の凹部とを備え、
さらに、前記不織布は、前記凸部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する凸部領域と、前記凹部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する凹部領域とを有していて、前記凹部領域は、前記第1繊維層におけるコットンの含有量が前記凸部領域よりも小さい、前記不織布。 - 前記凹部は、底部と、該底部から前記凸部に向かって延在する側壁部とを有し、前記凹部領域は、前記側壁部の前記第2面から前記第1面まで前記厚さ方向に延在する側壁部領域において前記コットンの繊維塊を含む、請求項1に記載の不織布。
- 前記凸部が第1の方向に延びる畝部であり、前記凹部が前記第1の方向と直交する第2の方向において前記畝部と隣接し且つ前記第1の方向に延びる溝部であり、前記コットンの繊維塊は、前記第1繊維層において、前記凸部領域から前記凹部領域に跨って存在する、請求項2に記載の不織布。
- 前記凸部領域から前記凹部領域に跨って存在する前記コットンの繊維塊は、前記凸部領域に存在する部分の第2の方向の長さが前記凹部領域に存在する部分の第2の方向の長さよりも長い、請求項3に記載の不織布。
- 前記コットンの繊維塊は、前記第1繊維層において、前記厚さ方向の第1面側寄りに偏在している、請求項2〜4のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記コットンの繊維塊は、一部分が前記第1面から露出している、請求項2〜5のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記コットンは、繊維の一部分における断面形状が扁平形状である、請求項6に記載の不織布。
- 前記コットンの繊維塊は、コットンの繊維が凝集した塊部と、前記塊部から第1面側に向かって面方向に広がりながら延びる複数のコットンの繊維からなる拡散繊維部とを有する、請求項2〜7のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記第2繊維層に含まれる前記熱可塑性樹脂繊維は、繊度が前記第1繊維層に含まれる前記熱可塑性樹脂繊維及び前記コットンの各々の繊度よりも大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の不織布がロール状に巻き取られてなる、吸収性物品の液透過性シート用の不織布ロール。
- 前記不織布の第1面がネット面である、請求項10に記載の不織布ロール。
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