本発明の吸収性物品は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、これらのトップシートとバックシートとの間に配置された吸収体と、前記トップシートと前記吸収体との間に配置された拡散シートとを有し、前記吸収体は、前部、股部および後部を有し、前記股部が前記前部および前記後部よりも幅狭に形成されている。そして、本発明の吸収性物品は、前記吸収体が、前記トップシート側面に前後方向に延びる凹部を有し、前記凹部が、前記股部の最も幅が狭い部分を幅方向に横断する横断線と交差するように設けられており、さらに、前記拡散シートが、前記吸収体の凹部の前端部および/または後端部を覆うように配置され、かつ、前記吸収体の前記横断線の上方には配置されていないことを特徴とする。
本発明の吸収性物品は、吸収体の股部が、前部および後部よりも幅狭に形成されているため、着用時の動きやすさが高められている。吸収性物品は、吸収体の股部は使用者の排尿口付近に位置する。そのため、トップシートを透過した体液は、吸収体の股部へと集中的に移行する。ここで、股部が幅狭に形成されていると、股部の吸収容量、吸収速度が小さくなる。そのため、股部に移行してきた体液を保持しきれず、股部の幅方向外側へ横漏れを生じやすい。しかしながら、吸収体の股部の所定の位置に凹部を設けたことで、吸収体の股部に到達した体液を、凹部によって前後方向へ素早く拡散できる。そのため、股部を幅狭に形成しているにもかかわらず、股部での横漏れを抑制できる。
また、吸収体の凹部の前端部および/または後端部を覆うように拡散シートが配置されている。そのため、吸収体の凹部内を前後方向に分散された体液は、吸収体の前部および/または後部に到達すると、直ちに拡散シートに取り込まれる。拡散シートに取り込まれた体液は、拡散シート内でさらに平面方向に分散された後、拡散シートの下方にある吸収体へと移行する。つまり、吸収体の凹部および拡散シートによって、体液が吸収体の広範囲に素早く分散される。よって、前記凹部の容積以上の体液が移行してきた場合でも、効果的に股部での横漏れを抑制できる。
さらに、前記拡散シートは前記吸収体の最も幅が狭い部分周辺、すなわち使用者の排尿口付近に配置されていない。そのため、トップシートを透過した体液は、拡散シートに邪魔されることなく、吸収体の凹部に移行できる。
本発明において、前後方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。前後方向において、着用者の腹側に当てられる位置を前側と称し、着用者の背側に当てられる位置を後側と称する。幅方向とは、吸収性物品を平面視した際に、前後方向と直交する方向を意味する。また、本発明において、上側とは吸収性物品を着用した際の着用者側を意味し、下側とは吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側、すなわち外側を意味する。上側から下側に延びる方向を、上下方向と称する。
1.トップシート
前記トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートである。前記トップシートは、透液性であればその材料は特に限定されない。前記トップシートの平面視形状は特に限定されず、吸収体の形状や、サイドシートの有無に応じて調整すればよい。
前記トップシートとしては、親水性の不織布、織布、編布が挙げられる。前記親水性の不織布としては、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布;ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化された不織布が挙げられる。
2.バックシート
前記バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。前記バックシートは、不透液性であればその材料は特に限定されない。なお、本発明において、不透液性には撥水性も含まれる。前記バックシートの平面視形状は特に限定されず、吸収体の形状に応じて調整すればよい。
前記バックシートとしては、疎水性の不織布、プラスチックフィルム、プラスチックフィルムと不織布との積層体が挙げられる。前記疎水性の不織布としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性繊維から形成された不織布が挙げられる。前記プラスチックフィルムとしては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂から形成されたフィルムが挙げられる。前記プラスチックフィルムに積層される不織布は、親水性、疎水性のいずれでもよい。
3.吸収体
前記吸収体は、前記トップシートおよび前記バックシートの間に配置される。前記吸収体は、体液を吸収し、保持する。前記吸収体は、前部、股部および後部を有する。前記前部は、吸収性物品の着用の際に着用者の腹側に位置する部分である。前記後部は、吸収性物品の着用の際に着用者の背側に位置する部分である。前記股部は、前記前部と前記後部との間に位置し、吸収性物品の着用の際に着用者の股下に位置する部分である。
前記吸収体は、前記股部が前記前部および前記後部よりも幅狭に形成されている。前記前部の最も幅の広い位置の幅を100%としたとき、前記股部の最も幅の狭い位置(以下、「最狭部」と称する場合がある。)の幅は、45%以上が好ましく、より好ましくは48%以上、さらに好ましくは50%以上であり、60%以下が好ましく、より好ましくは57%以下、さらに好ましくは55%以下である。前記最狭部の幅は、99mm以上が好ましく、より好ましくは105mm以上、さらに好ましくは110mm以上であり、132mm以下が好ましく、より好ましくは125mm以下、さらに好ましくは121mm以下である。前記吸収体の平面視形状は、砂時計型、ひょうたん型が好ましい。
前記吸収体の前後方向の長さは、480mm以上が好ましく、より好ましくは500mm以上、さらに好ましくは520mm以上であり、600mm以下が好ましく、より好ましくは580mm以下、さらに好ましくは560mm以下である。前記吸収体の前部および後部の最大幅は、190mm以上が好ましく、より好ましくは200mm以上、さらに好ましくは210mm以上であり、250mm以下が好ましく、より好ましくは240mm以下、さらに好ましくは230mm以下である。
前記吸収体は、トップシート側面に、前後方向に延びる凹部を有する。前記凹部を有することで、吸収体に到達した体液を、前記凹部内にて、直ちに前後方向に拡散することができる。前記凹部の平面視形状は、矩形状、角丸矩形状が好ましい。
前記凹部の深さは特に限定されないが、吸収体の厚さを100%としたとき、凹部の深さ(吸収体表面から凹部の底までの距離)は、35%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上である。前記凹部は、吸収体を厚さ方向貫通してもよい。つまり、前記凹部には、開口(貫通孔)が含まれる。
前記凹部の前後方向の長さは、吸収体の前後方向の長さを100%としたとき、30%以上が好ましく、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上であり、60%以下が好ましく、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下である。
前記凹部は、少なくとも1つ設けられていればよい。複数の凹部を幅方向に並べて配置してもよいが、吸収体の幅方向略中央に、1つの凹部を設けることが好ましい。前記凹部の幅は、前記最狭部の幅を100%としたとき、13%以上が好ましく、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは17%以上であり、24%以下が好ましく、より好ましくは22%以下、さらに好ましくは20%以下である。前記凹部の幅は15mm以上が好ましく、より好ましくは17mm以上、さらに好ましくは19mm以上であり、28mm以下が好ましく、より好ましくは25mm以下、さらに好ましくは23mm以下である。
前記凹部は、前記股部の最も幅が狭い部分を幅方向に横断する横断線と交差するように設けられている。前記最狭部は、使用者の排尿口付近に位置する。また、前記最狭部は、吸収体の幅が狭いため、最も横漏れが生じやすい部分である。この最狭部に凹部を設けることで、最狭部に到達した体液を直ちに前後方向へ拡散できるため、股部での横漏れを抑制できる。なお、前記吸収体が、最狭部を複数有する場合や、前後方向に一定の長さを有するように最狭部が形成されている場合、前記吸収体の前後方向中央部に最も近い最狭部に横断線を引くこととする。
前記凹部と前記横断線とが交差する位置は特に限定されないが、前記凹部の前端部を0%、後端部を100%としたとき、前記横断線との交点が30%〜70%に位置することが好ましく、より好ましくは40%〜60%、さらに好ましくは45%〜55%である。前記横断線との交点が前記凹部の30%〜70%に位置するように設ければ、最狭部に到達した体液を、吸収体の前部および後部に均等に分散させることができる。
前記凹部は、前記吸収体の前後方向に対する相対位置として、吸収体の前側端を0%、後側端を100%としたとき、前記凹部の前端部が20%〜35%の範囲(より好ましくは25%〜30%の範囲)に位置し、前記凹部の後端部が60%〜75%の範囲(より好ましくは65%〜70%の範囲)に位置することが好ましい。
前記吸収体は、1層のみでもよいし、2層以上でもよい。前記吸収体を2層以上とする場合、最もトップシート側に位置する吸収体に凹部を設ける。なお、前記凹部を開口とする場合には、吸収体を2層とすることが好ましい。また、前記開口の下方には、他の吸収体が配置されていることが好ましい。
前記吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。前記吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定の形状に成形した成形体、吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布シート等のシート部材で覆ったものを用いることができる。
前記吸収性材料としては、例えば、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
前記吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。吸収性材料は、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
4.拡散シート
前記拡散シートは、前記トップシートと前記吸収体との間に配置される。前記拡散シートは、拡散シートに到達した体液等を拡散シート内部で、前後方向および幅方向に速やかに拡散する。
前記拡散シートの平面視形状は特に限定されず、矩形状、台形状、円形状、楕円形状などが挙げられる。前記拡散シートは、前記吸収体の凹部の前端部および/または後端部を覆うように配置されている。つまり、前記拡散シートは、前記吸収体の凹部内を前後方向に拡散された体液を、凹部の前端部/後端部にて、拡散シート内へと取込めるように配置されている。このように配置することで、前記吸収体の凹部内を前後方向に分散された体液が、吸収体の前端部および/または後端部に到達すると、直ちに拡散シートに取り込まれる。そして、拡散シート内で前後方向および幅方向に分散された後、拡散シートの下方にある吸収体へと移行する。よって、トップシートを透過した体液は、吸収体の凹部および拡散シートを経て、吸収体の広範囲に素早く分散され、即座に吸収、保持される。
前記拡散シートの配置態様としては、前記吸収体の凹部の前端部を覆う拡散シートのみ配置した態様;前記吸収体の凹部の後端部を覆う拡散シートのみ配置した態様;前記吸収体の凹部の前端部を覆う拡散シートと、前記吸収体の凹部の後端部を覆う拡散シートとを配置した態様が挙げられる。
なお、前記拡散シートは、前記拡散シートの平面視形状の全体が、前記吸収体の上方に上下方向に重なるように配置される。このように配置することで、拡散シート内で分散された体液が、最終的に吸収体へと取込まれやすくなる。前記拡散シートの外周縁は、前記吸収体の外周縁よりも内方に位置することが好ましい。前記吸収体の外周縁から直近の拡散シートの外周縁までの距離は、25mm以上が好ましく、より好ましくは28mm以上、さらに好ましくは31mm以上である。
前記前端部用の拡散シートは、複数枚配置してもよいが、1枚配置することが好ましい。同様に、前記後端部用の拡散シートは、複数枚配置してもよいが、1枚配置することが好ましい。前記拡散シートの幅は、前記凹部の幅を100%としたとき、260%以上が好ましく、より好ましくは290%以上、さらに好ましくは320%以上であり、460%以下が好ましく、より好ましくは430%以下、さらに好ましくは400%以下である。
前記前端部用の拡散シートを配置する場合、前記前端部用の拡散シートにより覆われる凹部長さは、前記凹部の前後方向の長さを100%としたとき、10%以上が好ましく、より好ましくは17%以上、さらに好ましくは24%以上であり、44%以下が好ましく、より好ましくは39%以下、さらに好ましくは34%以下である。また、前記吸収体の凹部の前端部から前記前端部用の拡散シートの後端部までの距離は、100mm以上が好ましく、より好ましくは110mm以上、さらに好ましくは120mm以上であり、170mm以下が好ましく、より好ましくは160mm以下、さらに好ましくは150mm以下である。
前記後端部用の拡散シートを配置する場合、前記後端部用の拡散シートにより覆われる凹部長さは、前記凹部の前後方向の長さを100%としたとき、10%以上が好ましく、より好ましくは17%以上、さらに好ましくは24%以上であり、44%以下が好ましく、より好ましくは39%以下、さらに好ましくは34%以下である。また、前記吸収体の凹部の後端部から前記後端部用の拡散シートの前端部までの距離は、100mm以上が好ましく、より好ましくは110mm以上、さらに好ましくは120mm以上であり、170mm以下が好ましく、より好ましくは160mm以下、さらに好ましくは150mm以下である。
さらに、前記拡散シートは、前記吸収体の前記横断線の上方には配置されていない。このように構成することで、前記吸収体の最狭部において、トップシートを透過した体液等が凹部へと取込まれやすくなる。よって、最狭部における横漏れがより防止される。
また、トップシートを透過した体液が前記凹部へとより取込まれやすくするために、前記最狭部付近は拡散シートを配置しないことが好ましい。よって、前記拡散シートを配置しない領域は、前記横断線から前後方向へ65mm以内が好ましく、より好ましくは60mm以内、さらに好ましくは55mm以内である。
前記拡散シートは、体液等を平面方向に拡散できるものであれば特に限定されない。前記拡散シートとしては、フォーム、三次元立体編物、長繊維シート、不織布などが挙げられる。
前記フォームは、多数の細孔を有する。また、前記フォームは、多数の細孔が通気性を有する。前記フォームでは、各細孔は、フォーム表面との貫通孔を有するか、または、隣接する細孔間に貫通孔を有する。なお、各細孔の形状は特に限定されない。また、前記フォームは、非通気性の細孔を有していてもよい。前記フォームとしては、平面方向に連続する細孔を有するフォームが好ましい。つまり、多数の細孔間に貫通孔を有し、平面方向に通気性を有することが好ましい。前記フォームとしては、ポリウレタンフォームが挙げられる。
前記ポリウレタンフォームの見掛け密度は、100kg/m3以上が好ましく、より好ましくは120kg/m3以上、さらに好ましくは130kg/m3以上であり、200kg/m3以下が好ましく、より好ましくは180kg/m3以下、さらに好ましくは170kg/m3以下である。前記ポリウレタンフォームの見掛け密度が100kg/m3以上であれば、透水速度が良好であり、200kg/m3以下であれば、透過量が良好となる。見掛け密度とは、通気性細孔および非通気性細孔の双方を含む試料の単位体積当たりの質量である。前記ポリウレタンフォームの見掛け密度は、体積100cm3以上の試験片について、その体積と質量を測定し、算出する。
前記ポリウレタンフォームの厚さは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、5.0mm以下が好ましく、より好ましくは4.0mm以下、さらに好ましくは3.5mm以下である。前記ポリウレタンフォームの厚さが0.5mm以上であれば、ポリウレタンフォームの機械的強度が良好となり、5.0mm以下であれば、ポリウレタンフォームの透水性能が良好となる。前記ポリウレタンフォームの厚さは、デジタルノギスを用いて測定する。
前記ポリウレタンフォームの通気性は、10L/min以上が好ましく、より好ましくは20L/min以上であり、120L/min以下が好ましく、より好ましくは100L/min以下である。ポリウレタンフォームの通気性が10L/min以上であれば吸収性物品の内側におけるムレが防止できる。前記ポリウレタンフォームの通気性は、ASTM D3574に準拠して測定する。
前記ポリウレタンフォームとしては、特に限定されず、例えば、発泡法で作製されたもの、抽出法で作製されたもの、W/Oエマルジョン法で作製されたもの等が挙げられる。また、前記ポリウレタンフォームは、厚さ方向に熱圧縮処理が施されているものが好ましい。熱圧縮処理により、フォーム中の細孔構造を形成する各骨格が、圧縮方向に圧縮変形され、折りたたまれたように変形される。これにより、熱圧縮成形後のフォームは、熱圧縮成形される前と比較して、圧縮方向にセル空間が密な状態となり、かつ、セル骨格が水平方向に並ぶ状態となる。そのため、厚さ方向の透水性能がより向上し、かつ、水平方向の拡散性にも優れるものとなる。
前記ポリウレタンフォームは、骨格表面が親水性であることが好ましい。骨格表面が親水性であれば、体液を拡散シート内部へと取込む速度が一層高まり、吸収性物品の吸収速度がより向上する。
骨格表面が親水性であるかどうかの判断は下記の方法により行う。まず、ポリウレタンフォーム(幅10mm以上、長さ10mm以上)を、シャーレの縁の上に載架する。この際、ポリウレタンフォームに撓みがないようにする。次に、スポイトを用いて、ポリウレタンフォーム上に液滴(0.05ml)を10滴静かに載せ、これらの液滴がポリウレタンフォームに吸収されるまでの時間を測定する。そして、液滴を載せてから5秒以内に、8滴以上の液滴が吸収された場合を親水性であると判断する。なお、液滴には、イオン交換水(表面張力(Wilhelmy法、白金プレート、20℃、65%RH):70mN/m以上)を使用する。
前記骨格表面が親水性であるポリウレタンフォームとしては、例えば、骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有するもの;疎水性のポリウレタンフォームを親水化処理したものが挙げられる。骨格を構成するポリウレタン自体が親水性を有するものとしては、ポリオール成分にポリアルキレンオキシドポリオールを含有するものが挙げられる。疎水性のポリウレタンフォームを親水化処理したものとしては、疎水性のポリウレタンフォームの骨格表面の少なくとも一部が界面活性剤で被覆されたものや、疎水性のポリウレタンフォームをエチレンオキシドのような反応性ガスで処理し、細孔表面に親水基を付与したもの等が挙げられる。
前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等が挙げられる。前記ノニオン界面活性剤としては、エステル型ノニオン界面活性剤、エーテル型ノニオン界面活性剤、エステル・エーテル型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
前記三次元立体編物としては、樹脂繊維の三次元立体編物(例えば、旭化成せんい社製のフュージョン(登録商標))などが挙げられる。
前記長繊維シートとしては、セルロースアセテート長繊維を含む長繊維シートが挙げられる。セルロースアセテート繊維は、セルロース骨格を有しており、体液との親和性が高いため、体液の取り込み速度、拡散速度が早い。また、セルロース骨格が有する水酸基がアセチル化されており、実質的に吸水性を有さず、体液との親和性が高すぎない。そのため、セルロースアセテート繊維により拡散された体液は、最終的に吸水体に吸収されやすい。
前記不織布としては、スパンボンド不織布が挙げられる。
5.カバーシート
前記吸収性物品は、前記トップシートと前記拡散シートとの間に、カバーシートを有してもよい。前記カバーシートを有することで、前記拡散シートに残存した体液が、トップシートへと移ることが抑制される。これにより、体液吸収後のドライ感がより良好となる。前記カバーシートは、前記拡散シート全体を覆うように配置されることが好ましい。前記カバーシートの平面視形状は特に限定されず、矩形状、台形状、円形状、楕円形状などが挙げられる。
前記カバーシートは、前記拡散シート全体を覆うように配置されていることが好ましい。前記カバーシートの前後方向の長さは、前記吸収体の前後方向の長さ以上が好ましい。また、前記カバーシートの前後方向の長さは、吸収性物品全体の前後方向の長さと略同一としてもよい。
前記カバーシートは、前記吸収体の前記横断線の上方には配置されていないことも好ましい。このように構成することで、前記吸収体の最狭部において、トップシートを透過した体液等が凹部へと取込まれやすくなる。よって、最狭部における横漏れが防止される。また、トップシートを透過した体液が前記凹部へとより取込まれやすくするために、前記最狭部付近はカバーシートを配置しないことも好ましい。よって、前記カバーシートを配置しない領域は、前記横断線から前後方向へ65mm以内が好ましく、より好ましくは60mm以内、さらに好ましくは55mm以内である。
前記カバーシートは、前記拡散シートに取り込まれた体液が、トップシートへと移ることを抑制できるものであれば、特に限定されない。前記カバーシートとしては、例えば、吸水性樹脂粉末が固定された不織布、開口フィルムが挙げられる。これらの中でも、前記カバーシートとしては、吸水性樹脂粉末が固定された不織布が好ましい。吸水性樹脂粉末が固定された不織布は、体液を吸収することができ、かつ、体液の通過を抑えることができる。よって、前記拡散シートに残存した体液が、トップシートへと移ることがより確実に防止される。
5−1.SAPシート
前記吸水性樹脂粉末が固定された不織布としては、透液性の第1不織布と、透液性の第2不織布と、前記第1不織布と第2不織布との間に配置された吸水性樹脂粉末とから構成され、前記吸水性樹脂粉末が第1不織布と第2不織布の間に内包されたSAP高密度領域が複数形成され、前記吸水性樹脂粉末が実質的に存在しないSAP低密度領域が少なくとも1つ形成されたSAPシートが好ましい。
前記SAP高密度領域は、体液を吸収することができる。よって、前記拡散シートに体液が残存している場合、この体液をSAP高密度領域に吸収、保持することができ、トップシートへ移ることを防止できる。前記SAP低密度領域は、体液を透過することができる。よって、トップシートを透過した体液がカバーシート上へと到達した場合でも、このSAP低密度領域を通して体液を拡散シートへと透過させることができる。
前記SAPシートは、前記SAP低密度領域と複数のSAP高密度領域が、前記拡散シートの上方に位置するように配置されていることが好ましい。前記SAP高密度領域は、体液を吸収すると、吸水性樹脂粉末の膨潤により、厚さが増大する。そのため、SAP高密度領域が体液を吸収すると、SAP低密度領域が前記拡散シートから離間する。これにより、拡散シートに残存した体液が、SAP低密度領域へと移ることが防止される。さらに、上述のようにSAP低密度領域が拡散シートから離間すると、この部分に空隙が形成される。こうして生じた空隙により、体液がSAP低密度領域を通して拡散シートへと移行する際に、体液が平面方向に拡散することが容易となる。
前記SAPシート全体の吸水性樹脂粉末の目付けは、45g/m2以上が好ましく、より好ましくは60g/m2以上、さらに好ましくは70g/m2以上であり、150g/m2以下が好ましく、より好ましくは130g/m2以下、さらに好ましくは120g/m2以下である。前記SAPシート全体の吸水性樹脂粉末の目付けが、45g/m2以上であれば拡散シートから漏出した体液を十分に吸収することができ、150g/m2以下であればトップシートからカバーシートへと移行してきた体液を、拡散シートまたは吸収体へと問題なく透過させることができる。
前記SAP高密度領域の吸水性樹脂粉末の目付けは、70g/m2以上が好ましく、より好ましくは120g/m2以上、さらに好ましくは150g/m2以上であり、250g/m2以下が好ましく、より好ましくは220g/m2以下、さらに好ましくは200g/m2以下である。前記SAP高密度領域の吸水性樹脂粉末の目付けが、70g/m2以上であればSAP高密度領域を通じた体液の透過を防ぐことができ、250g/m2以下であれば不織布の間に内包された吸水性樹脂粉末が十分に膨張することができる。
前記SAP低密度領域の吸水性樹脂粉末の目付けは、20g/m2以下が好ましく、より好ましくは15g/m2以下、さらに好ましくは10g/m2以下である。前記SAP低密度領域の吸水性樹脂粉末の目付けが、20g/m2以下であれば前記SAP低密度領域において第1不織布と第2不織布の接合が可能となる、また、トップシートからカバーシートへと移行してきた体液を、拡散シートまたは吸収体へと透過させる速度が高くなる。前記SAP低密度領域の吸水性樹脂粉末の目付けの下限は、0g/m2である。
前記SAP高密度領域の吸水性樹脂粉末は、接着剤により前記第1不織布および/または前記第2不織布に固着されていることが好ましい。前記接着剤としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレンなどのゴム系、SIS、SBS、SIBS、SEBS、SEPSなどのスチレン系エラストマー、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエステル、アクリル系、ポリオレフィン系エラストマーなどのホットメルト型接着剤が挙げられる。
前記SAP低密度領域は、第1不織布と第2不織布とが接合されている。第1不織布と第2不織布とが接合させることで、SAP高密度領域に存在する吸水性樹脂粉末が、SAP低密度領域へと移動することが防止される。前記第1不織布と第2不織布との接合方法は特に限定されないが、接着剤、ヒートシール、超音波接合などが挙げられる。また、前記SAP低密度領域は、エンボス加工が施されていることが好ましい。エンボス加工が施されると、SAP低密度領域の不織布が一部非常に薄くなるため、この部分によって体液がより透過しやすくなる。
前記SAP低密度領域およびSAP高密度領域が、前記カバーシートの前後方向に延びるように形成されており、これらのSAP低密度領域およびSAP高密度領域が、前記カバーシートの幅方向に交互に形成されていることが好ましい。このように構成されることで、前記空隙がカバーシートの前後方向に形成される。よって、体液の前後方向の拡散速度をより高めることができる。
前記前後方向に延びるように形成された各SAP高密度領域の幅は、8mm以上が好ましく、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは12mm以上であり、22mm以下が好ましく、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは18mm以下である。前記前後方向に延びるように形成された各SAP低密度領域の幅は、2mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上であり、10mm以下が好ましく、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは7mm以下である。
前記カバーシートは、幅方向中央に、前後方向に延びるように形成されたSAP低密度領域を有することが好ましい。この場合、幅方向中央に形成されたSAP低密度領域の幅は、18mm以上が好ましく、より好ましくは20mm以上、さらに好ましくは22mm以上であり、31mm以下が好ましく、より好ましくは29mm以下、さらに好ましくは27mm以下である。
前記第1不織布および第2不織布の材質は、透液性の不織布であれば特に限定されない。例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布;ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化された不織布が挙げられる。前記吸水性樹脂粉末としては、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂粉末が挙げられる。
5−2.開口フィルム
前記開口フィルムは、基材に、複数の貫通孔が形成されたシートであり、前記基材が、合成樹脂フィルムである。前記合成樹脂フィルムは、不透液性であるため、前記拡散シートに残存した体液が、トップシートへ移ることを防止できる。また、複数の貫通孔を有することにより、トップシートを透過した体液がカバーシート上へと到達した場合でも、この貫通孔を通して体液を拡散シートへと透過させることができる。
合成樹脂フィルムには、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66)等の樹脂から形成されたフィルムを用いることができる。合成樹脂フィルムは疎水性であることが好ましいが、界面活性剤等により親水処理されていてもよい。合成樹脂フィルムはエンボスされていないことが好ましく、これにより合成樹脂フィルムが破断しにくくなる。
前記合成樹脂フィルムの厚さは、0.05mm以上が好ましく、より好ましくは0.07mm以上、さらに好ましくは0.10mm以上であり、0.40mm以下が好ましく、より好ましくは0.37mm以下、さらに好ましくは0.35mm以下である。前記合成樹脂フィルムの厚さが0.10mm以上であれば、機械的強度が高く破れにくくなる。
前記貫通孔は、前記合成樹脂フィルムを貫通するように設けられたものであれば、貫通孔の形成方法は特に限定されない。貫通孔は、合成樹脂フィルムに針や凸型で孔を開けたり、抜き型で孔を開けることにより形成すればよい。また貫通孔は、合成樹脂フィルムに、レーザーを照射して焼いたり、高圧空気を当てることにより形成してもよい。貫通孔は、開口フィルムの全体にわたって多数設けられることが好ましい。
前記貫通孔の形状(平面視形状)は特に限定されず、円形、楕円形、長円形、多角形、亜鈴形等が挙げられる。前記貫通孔は、幅方向の長さよりも、前後方向の長さの方が長いことが好ましい。例えば、前後方向に長い楕円形、前後方向に長い長方形が挙げられる。このような形状であれば、開口フィルムで体液が幅方向よりも前後方向に拡散しやすくなる。
前記貫通孔の個々の面積は、0.05mm2以上が好ましく、より好ましくは0.08mm2以上、さらに好ましくは0.10mm2以上であり、1.2mm2以下が好ましく、より好ましくは1.1mm2以下、さらに好ましくは1.0mm2以下である。前記開口フィルムの全面積に対する前記貫通孔の総面積は、5%以上が好ましく、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは10%以上であり、30%以下が好ましく、より好ましくは27%以下、さらに好ましくは25%以下である。
前記開口フィルムの基材は、合成樹脂フィルムと短繊維不織布との積層体であることが好ましい。この場合、前記カバーシートは、短繊維不織布が、前記トップシートに接するように配置される。このように構成すれば、不織布層の毛細管効果によって、トップシートに吸収された体液が開口フィルムに速やかに移行する。また、特に、不織布が短繊維から構成されていれば、開口フィルムの不織布に移行した尿等が速やかに貫通孔を通って拡散シートに移行しやすくなる。
前記短繊維不織布層と合成樹脂フィルムは接着剤により互いに接合されていることが好ましい。これにより、例えば短繊維不織布と合成樹脂フィルムとを熱接着する場合と比べて、合成樹脂フィルムの破断強度を確保しやすくなる。また、合成樹脂フィルムの熱硬化を防止して、開口フィルムの柔軟性を確保することができる。短繊維不織布層と合成樹脂フィルムは、全面塗工された接着剤により互いに接合されていることがより好ましい。これにより短繊維不織布と合成樹脂フィルムの間に体液が滞留することが防止される。
前記短繊維不織布は特に限定されないが、親水性であることが好ましい。前記不織布としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66)等の熱融着性繊維から形成されていることが好ましい。短繊維不織布の構成繊維は、単一成分からなるものでもよく、多成分からなるもの(すなわち複合繊維)であってもよい。
前記短繊維不織布としては、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。なお、トップシートからの尿等の引き込み力を高めるために、不織布の繊維間結合には接着剤が用いられないことが好ましく、熱(自己融着を含む)や水流により繊維どうしが結合または交絡された不織布を用いることが好ましい。従って、不織布層は、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、またはスパンレース不織布から構成されていることが好ましい。
前記短繊維不織布の構成繊維は、開口フィルムの前後方向に配向していることが好ましい。このように構成されていれば、短繊維不織布内で体液が前後方向に拡散しやすくなる。
前記短繊維不織布は、エンボス加工が施されていることが好ましい。エンボス加工が施されていれば、短繊維不織布による体液の引き込み効果を確保しつつ、短繊維不織布の嵩を抑えて、体液が短繊維不織布内に滞留する量を減らすことができる。そのため、開口フィルムからトップシートへ体液が逆戻りする量を減らすことができる。
エンボス加工された短繊維不織布の種類は特に限定されないが、例えばポイントボンド不織布は、熱融着性の短繊維ウェブをエンボスロールで熱圧着することにより、繊維どうしが結合され、不織布に形成される。そのため、ポイントボンド不織布はエンボス加工が施された不織布である。
エンボス加工により形成されるエンボス部の形状や配置は特に限定されないが、エンボス部は任意の形状で散点状に設けられることが好ましい。エンボス部の1つ1つの形状は、円形、楕円形、長円形、多角形、波形、星形等、特に限定されず、これらは規則的な配置パターンで設けられてもよく、ランダムな配置パターンで設けられてもよい。エンボス部が規則的な配置パターンで設けられる場合、エンボス部は、任意の格子の各格子点に配置されることが好ましい。エンボス部は、例えば、1つ当たりの面積が0.05mm2〜10mm2であることが好ましく、また隣接するエンボス部間の平均離間距離が0.5mm〜10mmとなるように設けられることが好ましい。なお、ここで説明したエンボス部の形状や配置は、貫通孔が形成されない状態で規定されるものとする。
前記短繊維不織布にエンボス加工が施されている場合、前記貫通孔は、エンボス部よりも大きな大きさで形成されていることが好ましい。貫通孔がエンボス部よりも大きい大きさで形成されていれば、体液がエンボス部で留まることなく貫通孔に移行しやすくなり、また、貫通孔を通って拡散シートに移行しやすくなる。開口フィルムは、所定面積(例えば5cm×5cmの領域)当たりの貫通孔の全面積がエンボス部の全面積よりも大きくなるように形成されることが好ましい。これにより体液が貫通孔を通って拡散シートに移行しやすくなる。
前記開口フィルムの基材が、合成樹脂フィルムと短繊維不織布との積層体である場合、前記貫通孔に短繊維不織布が貫入していることが好ましい。すなわち開口フィルムは、短繊維不織布が合成樹脂フィルムの貫通孔に入り込んでいることが好ましい。このように貫通孔が形成されていれば、合成樹脂フィルムにおいても貫通孔の内面が短繊維不織布で覆われ、体液が短繊維不織布から貫通孔にスムーズに移行しやすくなる。その結果、体液が貫通孔を通って拡散シートにスムーズに移行しやすくなる。
開口フィルムのバックシート側表面は、貫通孔の外縁に沿ってバックシート側に突出していることが好ましい。このように開口フィルムが形成されていれば、貫通孔を通過した体液が、貫通孔の外縁に沿ってバックシート側に突出した部分を伝って拡散シートにスムーズに移行しやすくなる。
上記のような貫通孔を開口フィルムに形成する方法としては、短繊維不織布と合成樹脂フィルムの積層体に、短繊維不織布側から針や凸型を挿入して、孔を開ける方法が挙げられる。このように貫通孔を形成することにより、短繊維不織布が貫通孔に貫入し、またバックシート側表面が貫通孔の外縁に沿ってバックシート側に突出したカバーシートを簡単に得ることができる。
6.吸収性物品
本発明の吸収性物品としては、失禁パッド、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、使い捨ておむつ本体や生理用ナプキンに取り付けてしようする使い捨て補助パッドなどが挙げられる。
前記吸収性物品が、失禁パッド、生理用ナプキンまたは使い捨て補助パッドである場合、例えば、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に、吸収体および拡散シートが配置される。失禁パッド、生理用ナプキンまたは使い捨て補助パッドの形状としては、砂時計型、ひょうたん型などが挙げられる。また、必要に応じて、前記透液性のトップシートの幅方向両側に不透液性のサイドシートが設けられていてもよい。サイドシートは、トップシートの幅方向両側の上面に接合され、接合点より幅方向内方のサイドシートは、吸収体の両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップを形成する。
前記吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつとしては、例えば、後背部または前腹部の左右に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するテープ型使い捨ておむつ;前腹部と後背部とが接合されることによりウエスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつ;などが挙げられる。
吸収性物品が、使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、前記股部に、前記吸水体と拡散シートが配置されていてもよい。また、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、吸収体および拡散シートが配置された積層体からなり、この積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有していてもよい。前記内側シートは、親水性または撥水性であることが好ましく、前記外側シートは、撥水性であることが好ましい。
前記使い捨ておむつには、両側縁部に沿って、立ち上がりフラップが設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、体液の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。前記立ち上がりフラップおよびサイドシートは、撥水性であることが好ましい。
7.具体例
次に、本発明の吸収性物品について、使い捨て補助パッドを例に挙げ、図1〜12を参照して説明する。なお、図では、矢印xを幅方向とし、矢印yを前後方向と定義付ける。また、矢印x,yにより形成される面上の方向を、平面方向と定義付ける。また、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が上下方向zを表す。
7−1.第1実施態様
図1は、吸収性物品(使い捨て補助パッド)の平面図を表す。図2は、図1の吸収性物品のA−A線の模式的断面図を表す。図3は、図1の吸収性物品のB−B線の模式的断面図を表す。
補助パッド1は、液透過性のトップシート2と、不透液性のバックシート4と、これらの間に配置された吸収体6と、前記トップシート2と前記吸収体6との間に配置された拡散シート8とを有している。
前記トップシート2の幅方向xの両側縁には、補助パッド1の前後方向yに延在するサイドシート10が接合している。サイドシート10は、液不透過性のプラスチックフィルムや撥水性不織布等により構成される。サイドシート10には、補助パッド1の幅方向内方端に起立用弾性部材12が設けられている。補助パッド1の使用時には、起立用弾性部材12の収縮力によりサイドシート10の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより体液の横漏れが防止される。
前記吸収体6は、前部61、股部62および後部63を有し、前記股部62が前記前部61および前記後部63よりも幅狭に形成されている。前記吸収体6は、トップシート側面に凹部64を有する。前記凹部64は、前記股部の最も幅が狭い部分を幅方向に横断する横断線(一点鎖線)Cと交差するように設けられている。図1では、凹部は吸収体6を貫通していないが、貫通孔としてもよい。図1では、吸収体6が1つの凹部64を有するが、凹部64は複数設けてもよい。図1では、吸収体6が1層であるが、吸収体6は複層設けてもよい。図1では、吸収体6の平面視形状が砂時計型であるが、ひょうたん型でもよい。
前記補助パッド1では、前記吸収体6の後端部65を覆う拡散シート8を、1枚配置している。前記拡散シート8は、前記吸収体6の前記横断線Cの上方には配置されていない。図1では、拡散シート8の平面視形状を矩形状としているが、台形状、円形状、楕円形状としてもよい。図1では、拡散シート8を1枚のみ配置しているが、複数枚配置してもよい。また、前記吸収体6の前端部66を覆う拡散シートを配置してもよい。
7−2.第2実施態様
図4は、吸収性物品(使い捨て補助パッド)の平面図を表す。図5は、図4の吸収性物品のA−A線の模式的断面図を表す。図6は、図4の吸収性物品のB−B線の模式的断面図を表す。下記の説明において、図1〜図3の実施態様と重複する部位は、同一の符号を付し、説明は省略する。
図4に示した補助パッド1は、吸収体6に加えて、さらに下層吸収体14を有する。前記吸収体6の凹部64は貫通孔となっている。そして、前記凹部(開口)64の下方には、下層吸収体14が配置されている。
図4では、吸収体6が1つの凹部64を有するが、凹部64は複数設けてもよい。図4では、下層吸収体14が1層であるが、下層吸収体14は複層設けてもよい。図4では、吸収体6の平面視形状が砂時計型であるが、ひょうたん型でもよい。
図4に示した補助パッド1では、前記吸収体6の後端部65を覆う拡散シート8を、1枚配置している。前記拡散シート8は、前記吸収体6の前記横断線Cの上方には配置されていない。図4では、拡散シート8の平面視形状を矩形状としているが、台形状、円形状、楕円形状としてもよい。図4では、拡散シート8を1枚のみ配置しているが、複数枚配置してもよい。また、前記吸収体6の前端部66を覆う拡散シートを配置してもよい。
7−3.第3実施態様
図7は、吸収性物品(使い捨て補助パッド)の平面図を表す。図8は、図7の吸収性物品のA−A線の模式的断面図を表す。図9は、図7の吸収性物品のB−B線の模式的断面図を表す。下記の説明において、図1〜図3の実施態様と重複する部位は、同一の符号を付し、説明は省略する。
図7に示した補助パッド1は、トップシート2と拡散シート8との間に、カバーシート16を有する。前記カバーシート16は、前記拡散シート8の全体を覆うように配置されている。前記カバーシート16は、前記吸収体6の前記横断線Cの上方には配置されていない。
図7では、凹部は吸収体6を貫通していないが、貫通孔としてもよい。図7では、吸収体6が1つの凹部64を有するが、凹部64は複数設けてもよい。図7では、吸収体6が1層であるが、吸収体6は複層設けてもよい。図7では、吸収体6の平面視形状が砂時計型であるが、ひょうたん型でもよい。
図7に示した補助パッド1では、前記吸収体6の後端部65を覆う拡散シート8を、1枚配置している。前記拡散シート8は、前記吸収体6の前記横断線Cの上方には配置されていない。図7では、拡散シート8の平面視形状を矩形状としているが、台形状、円形状、楕円形状としてもよい。図7では、拡散シート8を1枚のみ配置しているが、複数枚配置してもよい。また、前記吸収体6の前端部66を覆う拡散シートを配置してもよい。
7−4.第4実施態様
図10は、吸収性物品(使い捨て補助パッド)の平面図を表す。図11は、図10の吸収性物品のA−A線の模式的断面図を表す。図12は、図10の吸収性物品のB−B線の模式的断面図を表す。下記の説明において、図4〜図6の実施態様と重複する部位は、同一の符号を付し、説明は省略する。
図10に示した補助パッド1は、トップシート2と拡散シート8との間に、カバーシート16を有する。前記カバーシート16は、前記拡散シート8の全体を覆うように配置されている。前記カバーシート16は、前記吸収体6の前記横断線Cの上方には配置されていない。
図10では、吸収体6が1つの凹部64を有するが、凹部64は複数設けてもよい。図10では、下層吸収体14が1層であるが、下層吸収体14は複層設けてもよい。図10では、吸収体6の平面視形状が砂時計型であるが、ひょうたん型でもよい。
図10に示した補助パッド1では、前記吸収体6の後端部65を覆う拡散シート8を、1枚配置している。前記拡散シート8は、前記吸収体6の前記横断線Cの上方には配置されていない。図10では、拡散シート8の平面視形状を矩形状としているが、台形状、円形状、楕円形状としてもよい。図10では、拡散シート8を1枚のみ配置しているが、複数枚配置してもよい。また、前記吸収体6の前端部66を覆う拡散シートを配置してもよい。