JP2005152250A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な物理的空間を確保しうる発泡体材料と該発泡体材料で確保される物理的空間への良好な液移行をもたらし得る表面シートとの組合せにより、液移行スピードと残存量低減を達成可能とするものである。
【解決手段】液透過性材料からなる表面シートと非液透過性材料からなる裏面シートとの間に吸収体を配在した吸収性物品において、発泡体からなり親水性で且実質的に膨潤しないシート状物を、前記表面材と吸収体との間に、吸収体の少なくとも一部を被覆して配したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、生理用ナプキンのような体液を吸収するための物品に関する。
従来、体液を吸収する吸収体を液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートで被包した吸収性物品は公知である。生理用ナプキンに代表される吸収性物品は、液透過性の表面シートに接触した体液が、すばやくそこを通過しその下層に位置する吸収体に移行、吸収されることが求められている。表面シートから吸収体への液移行スピードは、液の漏れ防止に有益であると共に表面シートに残存する液を少なくして、表面シートへの経血の拡散面積を小さくすると共に吸収された経血を良好に隠蔽することが出来、又肌への不快感や皮膚トラブルを低減するのに有効である。吸収体への移行スピードの向上と残存量低減の方策としては、表面シート若しくは表面シートと吸収体との間に物理的空間を確保し、液が表面シートから速やかに消失させることが必要であり、同時に吸収された体液が外部から見えないように隠蔽する性能が求められている。
しかしながら、吸収性物品の表面シートとして一般的に用いられているポリエステル、ポリオレフィン等の材料で構成される不織布は、生産工程における圧縮や使用中の加圧で体積空間が減少する問題があり、十分な物理的空間を確保出来なかった。そこで、復元力の大きな発泡体を使用する提案がなされている。例えば、特許第2769196号公報(引用公報1)には、200〜1000μmの平均気泡径を有し、液吸収膨張性の発泡体を表面シートに用いた生理用ナプキンが開示されており、液透過性と液戻り防止機能に優れていることを教示している。しかしながら、かかる生理用ナプキンは、表面シートが経血を吸収して膨潤するため経血の拡散面積が大きくなると共に経血の隠蔽性に劣る問題があった。
又、特開昭62-275118号公報(引用文献2)には、表面シートに親水性のポリウレタン発泡体を使用した吸収具が開示されている。しかしながら、ポリウレタン自身の親水性で液通過性を確保するには不十分であり、吸収特性に劣る欠点があった。
特許第2769196号公報 特開昭62−275118号公報
この発明は、十分な物理的空間を確保しうる発泡体材料と該発泡体材料で確保される物理的空間への良好な液移行をもたらし得る表面シートとの組合せにより、液移行スピードと拡散面積の低減とを達成可能とするものである。
本発明は、液透過性材料からなる表面シートと非液透過性材料からなる裏面シートとの間に吸収体を配在した吸収性物品において、発泡体からなり親水性で且実質的に膨潤しないシート状物を、前記表面材と吸収体との間に、吸収体の少なくとも一部を被覆して配したことを特徴とする。
シート状物は、吸収体の一部好ましくは全面を被覆しており、ウレタン結合を有する高分子体を発泡形成させたものからなり、泡の直径が0.5mm以上であり、厚みが、1〜10mmであることを特徴とする。
シート状物には、0.5〜20質量%の親水化剤が付与されており、親水化剤が、ポリビニルアルコール、ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールの群から選択されることを特徴とし、又、酸化チタンが付与されていることを特徴とする。
この発明の吸収性物品によれば、吸収体の少なくとも一部を被覆して、発泡体からなり親水性で且実質的に膨潤しないシート状物を配在し、表面シートと吸収体との間に十分な体積の物理的空間を確保するようにしてあるので、表面シートから吸収体への体液の移行を速やかに達成することが出来、漏れを効果的に防止しうると共に、表面シートへの液残存量を少なくし、肌への不快感を防止し、皮膚トラブルの低減を達成することが出来る。
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明の吸収性物品は、液透過性の材料からなる表面シートと液不透過性の材料からなる裏面シートとの間に吸収体を配在して被包し、該吸収体の少なくとも一部好ましくは全面を被覆して親水性で実質的に非膨潤性の発泡体からなるシート状物を配置して、表面シートと吸収体の間に物理的空間を確保するようにしたことを特徴とするものであり、表面シートと吸収体の間に配置されるシート状物は、ウレタン結合を有する高分子体を発泡成形させた、連続気泡を有する発泡体である。尚、実質的に膨潤しないとは、発泡体自身が水分と接触しても膨潤しない、つまり発泡体内の空間が減少しない性質を備え、体液が到達したとき体液を吸収してそこに保持することなく、下部に位置する吸収体に速やかに移動させうるものである。
この発明の特徴であるシート状物は、例えばエーテルタイプのウレタン、エステルタイプのウレタン、ビニルアルコールタイプのウレタン等から選択された発泡体からなり、厚さ1〜10mm、気泡の直径0.5mm以上であり、連続気泡を有し、好ましくは厚み3mm、14メッシュのものである。シート状物は、ポリビニルアルコール、ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール等から選択された1つ又は複数の親水化剤を、例えば0.5〜20質量%付与して、親水化処理する。更に、酸化チタンをコーティングして、黄変化を防止すると共に、脱臭並びに殺菌を図る。尚、メッシュは、直線1インチ当たりのセル(泡)の数を意味しており、例えば25メッシュの場合、平均セル径は1mmとなる。又、14メッシュの平均セル径は1.78mmであり、22メッシュの平均セル径は1.13mmである。14メッシュのシート状物でも、厚みが5mmのものは、液の拡散面積が3mmのものに比して約3倍となり、好ましくない。又22メッシュのものは厚み3mm、5mmのいずれのものも拡散面積が3倍以上であった。尚、気泡の直径は、大きいほど望ましいが、理論上シート状物の厚みを越える場合、穴があいてしまうことになり、実際上気泡を形成することは不可能であるから、気泡直径の上限は、シート状物の厚みに限定されることになる。実用的には、気泡直径の上限はシート状物の厚みの2/3程度が望ましい。例えばシートの厚みが3mmの場合、気泡直径の平均は2mmまでが好ましく、これを越えると均一性が低下してくる。
表面シートは、シート状物への液のすみやかな移行をもたらすと共に体液が表面シートを平面的に拡散せず、スポット状の小さな拡散面積を示すことが望ましい。このような材質としては、弱親水性のポリエチレンテレフタレートにコットンを組み合わせた開孔不織布が最も好ましいが、開孔ウレタンフィルム、弱親水性のポリエチレンテレフタレートの不織布等を用いても良い。かかる表面シートは、外観及び感触が柔らかく肌への優しさを感得させる。弱親水性ポリエチレンテレフタレートにコットンを組み合わせた開孔不織布と、開孔ウレタンフィルムの液拡散面積及び移行スピードを、日中立ち姿勢及び歩きを想定した無加圧の状態と、座り姿勢を想定した加圧状態の2態様についてそれぞれ測定したところ、前者の表面シートは後者の表面シートに比して、液の拡散面積がきわめて小さかった。特に開孔ウレタンフィルムは、加圧状態での拡散面積が前者の約10倍近くを示した。
吸収体は、プレスしていない粉砕パルプからなるフラップパルプが最も適しているが、粉砕パルプをプレスしたプレスパルプ、高分子吸収剤をティッシュペーパーで挟んだSAPシートやパルプを積繊後バインダーで接着したパルプ不織布等であっても良い。フラップパルプを使用した場合、表面シート、シート状物における液拡散面積が小さく、良好な吸収スピードを示した。これに反し、パルプ不織布は、吸収スピードが劣っている。
図1は、この発明にかかる吸収性物品の構造をモデル化して示す図であり、表面シート(1)に滴下した体液(2)は表面シート(1)を通過して発泡体からなるシート状物(3)に移行し、更に吸収体(4)に移行してそこに吸収保持される。(5)は、裏面シートである。表面シート(1)及びシート状物(3)での拡散面積が小さいほどスポット性が高く、使用性と外観を良好にする。吸収体(4)に達した体液(2)は、図に矢印で示すように側方に移行する。
図2,3はこの発明にかかる生理用ナプキンを示し、表面シート(1)は、弱親水性のポリエチレンテレフタレートからなる不織布であり、開孔処理が施されている。外表面シート(1)の下部に配置され物理的空間を確保するシート状物(3)は、14メッシュ、厚み3mmのエーテルタイプのウレタンシートをポリビニルアルコールで親水化処理したものであり、吸収体(5)は、フラップパルプからなる。(6)は生理用ナプキンを個別に包装し、使用後のナプキンをくるんで廃棄するための包装用シートである。
実施例1の生理用ナプキンは、表面シートにおける拡散面積が165平方ミリ、シート状物における拡散面積は24平方ミリであり、吸収体への移行スピードは無加圧状態で17.5秒であった。スポット吸収性は従来の生理用ナプキンに比して8分の1程度に向上しておりシート状物の拡散面積も24平方ミリと格段に向上しており、隠蔽性に優れている。
この発明の生理用ナプキンのを概念的に示す説明図 実施例の生理用ナプキンの平面図 同A−A’線に沿った断面図
符号の説明
(1)表面シート
(2)体液
(3)シート状物
(4)吸収体
(5)裏面シート
(6)包装用シート

Claims (7)

  1. 液透過性材料からなる表面シートと非液透過性材料からなる裏面シートとの間に吸収体を配在した吸収性物品において、発泡体からなり親水性で且実質的に膨潤しないシート状物を、前記表面材と吸収体との間に、吸収体の少なくとも一部を被覆して配したことを特徴とする吸収性物品。
  2. シート状物が、吸収体の全面を被覆していることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
  3. シート状物が、ウレタン結合を有する高分子体を発泡形成させたものからなり、泡の直径が0.5mm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. シート状物の厚みが、1〜10mmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の吸収性物品。
  5. シート状物に、0.5〜20質量%の親水化剤が付与されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の吸収性物品。
  6. 親水化剤が、ポリビニルアルコール、ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールの群から選択されることを特徴とする請求項5記載の吸収性物品。
  7. シート状物に、酸化チタンが付与されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の吸収性物品。
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