JP6429352B1 - ルテニウム化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、蒸気圧が高く、従来知られた化合物よりも融点が低いルテニウム化合物、該化合物を含有する薄膜形成用原料及び該原料を用いたルテニウムを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供することを目的とする。上記目的を達成するため、下記一般式で表されるルテニウム化合物、当該ルテニウム化合物を含有する薄膜形成用原料及び当該薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法を提供する。【化27】(式中、R1〜R3は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R1がメチル基である場合は、R2とR3は異なる基である。)

Description

本発明は、特定の構造を有する新規なルテニウム化合物、該化合物を含有する薄膜形成用原料及び該原料を用いたルテニウムを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法に関する。
ルテニウム元素を含む薄膜形成用材料は、特異的な電気特性を示し、種々の用途に応用されている。例えば、DRAM素子に代表されるメモリー素子の電極材料、抵抗膜、ハードディスクの記録層に用いられる反磁性膜及び固体高分子形燃料電池用の触媒材料等として使用されている。
上記の薄膜の製造法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられる。これらの中で、組成制御性、段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等多くの長所を有しているので、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単に「CVD」と記載することもある)法が最適な製造プロセスである。
CVD法用原料として用いられるルテニウム化合物としては、従来から、様々なルテニウム化合物が知られている。例えば、特許文献1には、ルテニウムに2つカルボニル基及び2つの特定の構造を有するケトイミン基が結合したルテニウム化合物が開示されているが、本発明のルテニウム化合物についての記載はない。そして、特許文献1で開示されたルテニウム化合物は、融点が100℃以上であることから化学気相成長用原料として十分に満足し得る化合物ではない。
国際公開第2010/071364号
CVD法等の化合物を気化させて薄膜を形成する方法において、原料として用いられる化合物(プレカーサ)に求められる性質は、融点が低く液体の状態で輸送が可能であること、液体の粘度が低いこと、蒸気圧が大きく気化させやすいこと、熱安定性が高いことである。中でも、ALD法に用いられる場合には、ALDウィンドウと呼ばれるALD法に適用可能な温度領域を有することが求められている。特に、ALD法に用いられるルテニウム化合物については、ALDウィンドウを有し、蒸気圧が高く、且つ融点が低い化合物が求められていたが、従来のルテニウム化合物についてこれらの点で充分に満足し得る化合物はなかった。
従って、本発明の目的は、蒸気圧が高く、従来知られた化合物よりも融点が低いルテニウム化合物、該化合物を含有する薄膜形成用原料及び該原料を用いたルテニウムを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明者は、検討を重ねた結果、特定の構造を有するルテニウム化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるルテニウム化合物に関する:
Figure 0006429352
(式中、R1〜R3は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R1がメチル基である場合は、R2とR3は異なる基である。)
また、本発明は、上記一般式(1)で表されるルテニウム化合物を含有する薄膜形成用原料を提供するものである。
さらに、本発明は、請求項2に記載の薄膜形成用原料を気化させて、前記ルテニウム化合物を含有する蒸気を得る工程、前記蒸気を処理雰囲気に導入する工程、及び該化合物を分解させることにより、化学反応させることにより、又はその両方により、該化合物を基体に堆積させる工程を含む、基体の表面にルテニウム原子を含有する薄膜を製造する方法を提供するものである。
本発明によれば、蒸気圧が高く、且つ融点が低いルテニウム化合物を得ることができ、該化合物は、CVD法用の薄膜形成用原料として適しており、なかでもALDウィンドウを有することから、ALD法用の薄膜形成用原料として好ましく使用することができる。
本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概略図である。 本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の更に別の例を示す概略図である。 本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の更に別の例を示す概略図である。
本発明のルテニウム化合物は、上記一般式(1)で表されるものであり、一酸化炭素がルテニウム原子に付加した化合物である。本発明のルテニウム化合物は、CVD法等の気化工程を有する薄膜製造方法のプレカーサとして好適なものであり、ALD法に適用することができるプレカーサであることから、特に、ALD法に用いられるプレカーサとして好適なものである。
上記一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R1がメチル基である場合は、R2とR3は異なる基である。
上記一般式(1)において、R1〜R3で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、n−ペンチル、第二ペンチル、第三ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルが挙げられる。
上記一般式(1)において、R1、R2及びR3は、適用される薄膜の製造方法により適宜選択される。化合物を気化させる工程を有する薄膜の製造方法に用いる場合は、R1、R2及びR3の組み合わせが、常温常圧下において液体状態となり、蒸気圧が大きくなるものが好ましい。
具体的には、R1がメチル、エチル、n−プロピルであるものは蒸気圧が高いことから好ましく、なかでもメチルまたはエチルが特に好ましい。また、R3が第三ブチルであるものは融点が低いことから好ましく、R3が第三ブチルであり、R2がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチルであるものがより好ましく、R3が第三ブチルであり、R2がエチルであるものは特に融点が低いことから好ましい。
また、R1がメチルまたはエチルであり、R3が第三ブチルであり、R2がエチルであるものは、蒸気圧が高く、融点も低いことから特に好ましく、R1がメチルであり、R3が第三ブチルであり、R2がエチルであるものは、特に融点が低く、25℃での液体状態の粘度が低いことから好ましい。一方、気化工程を伴わないMOD法による薄膜の製造方法の場合は、R1、R2及びR3は、使用される溶媒に対する溶解性、薄膜形成反応等によって、任意に選択することができる。
本発明のルテニウム化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記化合物No.1〜No.217が挙げられる。
なお、下記化学式中の「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表し、「nPr」はn−プロピル基を表し、「iPr」はイソプロピル基を表し、「sBu」は第二ブチル基を表し、「tBu」は第三ブチル基を表し、「tAm」は第三ペンチル基を表す。
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上記化合物中で、融点が低いことから、化合物No.10、31、46,74、214が好ましく、化合物No.10、31及び214がより好ましい。また、蒸気圧の観点から、化合物No.10及びNo.31が好ましい。
本発明のルテニウム化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の二塩化ルテニウムトリカルボニルやドデカカルボニウム三ルテニウムに代表されるカルボニウムルテニウム化合物に、対応する構造のアミジン化合物や対応する構造のアミジン化合物のアルカリ金属塩を反応させることで得ることができる。
次に、本発明の薄膜形成用原料とは、上記説明の本発明のルテニウム化合物を薄膜のプレカーサとしたものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される製造プロセスによって異なる。例えば、金属としてルテニウムのみを含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、本発明のルテニウム化合物以外の金属化合物及び半金属化合物を非含有である。一方、2種類以上の金属及び/又は半金属を含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、本発明のルテニウム化合物に加えて、所望の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(以下、「他のプレカーサ」と記載することもある)を含有することもできる。本発明の薄膜形成用原料は、後述するように、更に、有機溶剤及び/又は求核性試薬を含有してもよい。本発明の薄膜形成用原料は、上記説明のとおり、プレカーサである本発明のルテニウム化合物の物性がCVD法、ALD法に好適であるので、特に、化学気相成長用原料(以下、「CVD用原料」と記載することもある)として有用である。
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長用原料である場合、その形態は使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を該原料が貯蔵される容器(以下、「原料容器」と記載することもある)中で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気となし、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に、該蒸気を基体が設置された成膜チャンバー内(以下、「堆積反応部」と記載することもある)へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気となし、該蒸気を成膜チャンバー内へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表されるルテニウム化合物そのものをCVD原料とすることができる。液体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表されるルテニウム化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液をCVD用原料とすることができる。これらのCVD原料は更に他のプレカーサや求核性試薬等を含んでいてもよい。
また、多成分系のCVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、「シングルソース法」と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、「カクテルソース法」と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、本発明のルテニウム化合物と他のプレカーサとの混合物若しくは該混合物を有機溶剤に溶かした混合溶液をCVD用原料とすることができる。この混合物や混合溶液は更に求核性試薬等を含んでいてもよい。
上記の有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジン等が挙げられる。これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独又は2種類以上の混合溶媒として用いられる。
これらの有機溶剤を使用する場合、プレカーサを有機溶剤に溶かした溶液であるCVD用原料中におけるプレカーサ全体の量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。プレカーサ全体の量とは、本発明の薄膜形成用原料が、本発明のルテニウム化合物以外の金属化合物及び半金属化合物を非含有である場合、本発明のルテニウム化合物の量であり、本発明の薄膜形成用原料が、該ルテニウム化合物に加えて他の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物を含有する場合、本発明のルテニウム化合物及び他のプレカーサの合計量である。
また、多成分系のCVD法の場合において、本発明のルテニウム化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物、有機アミン化合物等の有機配位子として用いられる化合物からなる群から選択される1種類又は2種類以上と珪素や金属との化合物が挙げられる。また、プレカーサの金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテチウムが挙げられる。
上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、第2ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、第3ペンチルアルコール等のアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−s−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類;ジメチルアミノエタノール、エチルメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノ−2−ペンタノール、エチルメチルアミノ−2―ペンタノール、ジメチルアミノ−2−メチル−2―ペンタノール、エチルメチルアミノ−2−メチル−2−ペンタノール、ジエチルアミノ−2−メチル−2−ペンタノール等のジアルキルアミノアルコール類等が挙げられる。
上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられるグリコール化合物としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
また、上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられるβ−ジケトン化合物としては、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオン、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン等のアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン等のフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン等のエーテル置換β−ジケトン類等が挙げられる。
また、上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられるシクロペンタジエン化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられる。
上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられる有機アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第2ブチルアミン、第3ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン等が挙げられる。
上記の他のプレカーサは、当該技術分野において公知のものであり、その製造方法も公知である。製造方法の一例を挙げれば、例えば、有機配位子としてアルコール化合物を用いた場合には、先に述べた金属の無機塩又はその水和物と、該アルコール化合物のアルカリ金属アルコキシドとを反応させることによって、プレカーサを製造することができる。ここで、金属の無機塩又はその水和物としては、金属のハロゲン化物、硝酸塩等を挙げることができ、アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等を挙げることができる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、本発明のルテニウム化合物と、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応等による変質を起こさないものが好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明のルテニウム化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられる。これら求核性試薬の使用量は、プレカーサ全体の量1モルに対して0.1モル〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは1〜4モルである。
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素などの不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましい。総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が最も好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が最も好ましい。また、水分は、化学気相成長用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、プレカーサ、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。プレカーサ、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが最も好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する本発明の薄膜の製造方法としては、本発明の薄膜形成用原料を気化させた蒸気、及び必要に応じて用いられる反応性ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内(処理雰囲気)に導入し、次いで、プレカーサを基体上で分解させるか、化学反応させるか、またその両方により、金属を含有する薄膜を基体表面に成長、堆積させるCVD法によるものである。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件及び方法を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられる。これらは1種類又は2種類以上使用することができる。これらのなかでも、本発明の薄膜形成用原料はオゾンとの反応性が良好であることから、反応性ガスとして1種を用いる場合はオゾンを用いることが好ましく、反応性ガスとして2種類以上の混合ガスを用いる場合は少なくともオゾンを含むことが好ましい。
また、上記の輸送供給方法としては、前述した気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD、熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALDが挙げられる。
上記基体の材質としては、例えば、シリコン;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン等のセラミックス;ガラス;金属コバルト等の金属が挙げられる。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられる。基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基体温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明の化合物が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく、150℃〜400℃がより好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。また、反応圧力は、熱CVD又は光CVDの場合、10Pa〜大気圧が好ましく、プラズマを使用する場合、10Pa〜2000Paが好ましい。
また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることができる。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01nm/分〜100nm/分が好ましく、1nm/分〜50nm/分がより好ましい。また、ALD法の場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
上記の製造条件として更に、薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする際の温度や圧力が挙げられる。薄膜形成用原料を気化させて蒸気を得る工程は、原料容器内で行ってもよく、気化室内で行ってもよい。いずれの場合においても、本発明の薄膜形成用原料は0℃〜150℃で蒸発させることが好ましい。また、原料容器内又は気化室内で薄膜形成用原料を気化させて蒸気を得る場合に原料容器内の圧力及び気化室内の圧力はいずれも1Pa〜10000Paであることが好ましい。
本発明の薄膜の製造方法は、ALD法を採用して、上記の輸送供給方法により、薄膜形成用原料を気化させて蒸気とし、該蒸気を成膜チャンバー内へ導入する原料導入工程のほか、該蒸気中の上記化合物により上記基体の表面に前駆体薄膜を形成する前駆体薄膜成膜工程、未反応の化合物ガスを排気する排気工程及び該前駆体薄膜を反応性ガスと化学反応させて、該基体の表面に金属を含有する薄膜を形成する金属含有薄膜形成工程を有していてもよい。
以下では、上記のALD法の各工程について、金属酸化物薄膜を形成する場合を例に詳しく説明する。まず、上述した原料導入工程を行う。薄膜形成用原料を蒸気とする際の好ましい温度や圧力は、CVD法による薄膜の製造方法で説明したものと同様である。次に、成膜チャンバーに導入した蒸気と基体の表面が接触することにより、基体表面に前駆体薄膜を形成する(前駆体薄膜形成工程)。このときに、基体を加熱するか、成膜チャンバーを加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される前駆体薄膜は、本発明の化合物から生成した薄膜であるか、又は本発明の化合物の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的の金属酸化物薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行われる際の基体温度は、室温〜500℃が好ましく、150℃〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1Pa〜10000Paが好ましく、10Pa〜1000Paがより好ましい。
次に、未反応の化合物ガスや副生したガスを成膜チャンバーから排気する(排気工程)。未反応の化合物ガスや副生したガスは、成膜チャンバーから完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01Pa〜300Paが好ましく、0.01Pa〜100Paがより好ましい。
次に、成膜チャンバーに反応性ガスとして酸化性ガスを導入し、該酸化性ガスの作用又は酸化性ガス及び熱の作用により、先の前駆体薄膜形成工程で得た前駆体薄膜から金属酸化物薄膜を形成する(金属酸化物含有薄膜形成工程)。本工程において熱を作用させる場合の温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1Pa〜10000Paが好ましく、10Pa〜1000Paがより好ましい。本発明の化合物は、酸化性ガスとの反応性が良好であるため、残留炭素含有量が少ない高品質な金属酸化物薄膜を得ることができる。
本発明の薄膜の製造方法において、上記のようにALD法を採用した場合、上記の原料導入工程、前駆体薄膜形成工程、排気工程及び金属酸化物含有薄膜形成工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応の化合物ガス及び反応性ガス(金属酸化物薄膜を形成する場合は酸化性ガス)、更に副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行うことが好ましい。
また、金属酸化物薄膜のALD法による形成においては、プラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加してもよく、触媒を用いてもよい。該エネルギーを印加する時期及び触媒を用いる時期は、特には限定されない。例えば、原料導入工程における化合物ガス導入時、前駆体薄膜成膜工程又は金属酸化物含有薄膜形成工程における加温時、排気工程における系内の排気時、金属酸化物含有薄膜形成工程における酸化性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、200℃〜1000℃であり、250℃〜500℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する装置は、周知の化学気相成長法用装置を用いることができる。具体的な装置の例としては図1のようなプレカーサをバブリング供給することのできる装置や、図2のように気化室を有する装置が挙げられる。また、図3及び図4のように反応性ガスに対してプラズマ処理を行うことのできる装置が挙げられる。なお、図1〜図4のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造される薄膜は、他のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、メタル、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。該薄膜は電気特性及び光学特性等を示すことが知られており、種々の用途に応用されている。例えば、金属ルテニウム薄膜、酸化ルテニウム薄膜、ルテニウム合金及びルテニウム含有複合酸化物薄膜等が挙げられる。ルテニウム合金としては、Pt−Ru合金が挙げられる。ルテニウム含有複合酸化物薄膜としては、例えば、SrRuO3が挙げられる。これらの薄膜は、例えばDRAM素子に代表されるメモリー素子の電極材料、抵抗膜、ハードディスクの記録層に用いられる反磁性膜及び固体高分子形燃料電池用の触媒材料等の製造に広く用いられている。
以下、実施例、製造例、比較例及び評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]化合物No.10の合成
反応フラスコに、N‘−(tert−ブチル)−N−エチルアセトイミドアミド16gと脱水THF225mLを加え、十分に混合した。得られた溶液に、氷冷下、ノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液(1.55M)を72.6mL滴下し、1時間攪拌した。別途用意した反応フラスコに、二塩化ルテニウムトリカルボニル13.1gと脱水THF511mLを加え十分に混合したのち、氷冷下にて前述した反応溶液を滴下した。反応溶液は15時間の室温攪拌ののち、80℃にて4時間加熱還流を実施した。攪拌後、室温に戻し濾過をした。得られた濾液は減圧下、オイルバス75℃にて脱溶媒を実施した。得られたルテニウム錯体をオイルバス135℃、13Paにて蒸留して淡黄色粘状液体を6.41g得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:216℃(760Torr、Ar流量:100ml/分、昇温10℃/分)
(2)減圧TG−DTA
質量50%減少温度:138℃(10Torr、Ar流量:50ml/分、昇温10℃/分)
(3)1H−NMR(重ベンゼン)
1.01−1.08ppm(6H,multiplet)、1.18−1.26ppm(18H,multiplet)、1.48−1.53ppm(6H,multiplet)、2.86−3.10ppm(4H,multiplet)
(4)元素分析(理論値)
C:49.4%(49.18%)、H:7.8%(7.80%)、N:12.7%(12.75%)
[実施例2]化合物No.31の合成
反応フラスコに、N‘−(tert−ブチル)−N−エチルプロピオンイミドアミド10.35gと脱水THF120mLを加え、十分に混合した。得られた溶液に、氷冷下、ノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液(1.55M)を36.7ml滴下し、1時間攪拌した。別途用意した反応フラスコに二塩化ルテニウムトリカルボニル7.0gと脱水THF273mLを加え十分に混合したのち、氷冷下にて前述した反応溶液を滴下した。反応溶液は2時間の室温攪拌ののち、80℃にて10時間加熱還流を実施した。攪拌後、室温に戻し濾過をした。得られた濾液を減圧下、オイルバス75℃にて脱溶媒を実施した。得られたルテニウム錯体をオイルバス145℃、15Paにて蒸留して淡黄色粘状液体を0.95g得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:224℃(760Torr、Ar流量:100ml/分、昇温10℃/分)
(2)減圧TG−DTA
質量50%減少温度:151℃(10Torr、Ar流量:50ml/分、昇温10℃/分)
(3)1H−NMR(重ベンゼン)
0.86−0.97ppm(6H,multiplet)、1.06−1.09ppm(6H,multiplet)、1.21−1.30ppm(18H,multiplet)、1.89−1.98ppm(4H,multiplet)、2.83−3.11ppm(4H,multiplet)
(4)元素分析(理論値)
C:51.3%(51.37%)、H:8.0%(8.19%)、N:12.0%(11.98%)
[実施例3]化合物No.46の合成
反応フラスコに、二塩化ルテニウムトリカルボニル5.5gと脱水THF80mLを加え、十分に混合した。得られた懸濁液に氷冷下、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド5.7gとエチルリチウム1.58gより調製したN,N‘−ジイソプロピル−プロピオンアミジナトリチウムのTHF溶液を滴下した。室温にて19時間撹拌後、減圧下オイルバス75℃にて脱溶媒を実施した。生成したルテニウム錯体をフラスコに入れ、クーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度125℃、27Paにて蒸留を行い、黄色粘性固体0.5gを得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:222℃(760Torr、Ar流量:100ml/分、昇温10℃/分)
(2)減圧TG−DTA
質量50%減少温度:153℃(10Torr、Ar流量:50ml/分、昇温10℃/分)
(3)1H−NMR(重ベンゼン)
0.82−0.86ppm(3H、triplet)、1.00−1.01(3H、doublet)、1.15−1.16ppm(6H,doublet)、1.22−1.24(3H、doublet)、1.75−1.90ppm(2H,multiplet)、3.29−3.38ppm(1H,septet)、3.59−3.69ppm(1H,septet)
(4)元素分析(理論値)
C:51.5%(51.37%)、H:8.2%(8.19%)、N:11.8%(11.98%)
[実施例4]化合物No.74の合成
反応フラスコに、二塩化ルテニウムトリカルボニル5.2gと脱水THF80mLを加え、十分に混合した。得られた懸濁液に氷冷下、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド5.4gとプロピルマグネシウムクロリド4.3gより調製したN,N‘−ジイソプロピル−ブチルアミジナトマグネシウムクロリドのTHF溶液を滴下した。室温にて19時間撹拌後、減圧下オイルバス75℃にて脱溶媒を実施した。生成したルテニウム錯体をフラスコに入れ、クーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度145℃、42Paにて蒸留を行い、褐色粘性液体(室温にて結晶化)0.6gを得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:222℃(760Torr、Ar流量:100ml/分、昇温10℃/分)
(2)減圧TG−DTA
質量50%減少温度:157℃(10Torr、Ar流量:50ml/分、昇温10℃/分)
(3)1H−NMR(重ベンゼン)
0.75−0.79ppm(3H、triplet)、1.02−1.04(3H、doublet)、1.17−1.19ppm(6H,doublet−doublet)、1.24−1.26(3H、doublet)、1.31−1.41ppm(2H,sextet)、1.79−1.93ppm(2H,multiplet)、3.34−3.43ppm(1H,septet)、3.64−3.73ppm(1H,septet)
(4)元素分析(理論値)
C:53.4(53.31%)、H:8.5%(8.54%)、N:11.2(11.30%)
[実施例5]化合物No.214の合成
反応フラスコに、二塩化ルテニウムトリカルボニル4.9gと脱水THF80mLを加え、十分に混合した。得られた懸濁液に氷冷下、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド5.1gとノルマルブチルリチウム2.5gより調製したN,N‘−ジイソプロピル−ペンチルアミジナトリチウムのTHF溶液を滴下した。室温にて19時間撹拌後、減圧下オイルバス75℃にて脱溶媒を実施した。生成したルテニウム錯体をフラスコに入れ、クーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度150℃、55Paにて蒸留を行い、褐色粘性液体0.5gを得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:230℃(760Torr、Ar流量:100ml/分、昇温10℃/分)
(2)減圧TG−DTA
質量50%減少温度:162℃(10Torr、Ar流量:50ml/分、昇温10℃/分)
(3)1H−NMR(重ベンゼン)
0.79−0.83ppm(3H、triplet)、1.04−1.06(3H、doublet)、1.19−1.22ppm(8H,multiplet)、1.26−1.28(3H、doublet)、1.32−1.41ppm(2H,sextet)、1.86−2.00ppm(2H,multiplet)、3.39−3.48ppm(1H,septet)、3.69−3.78ppm(1H,septet)
(4)元素分析(理論値)
C:54.9(55.04%)、H:8.8%(8.85%)、N:10.8(10.70%)
[評価例1]ルテニウム化合物の物性評価
実施例1〜5で得られた本発明の化合物No.10、31、46、74および214並びに下記の比較化合物1および2について、TG−DTA測定装置を用いて、常圧雰囲気下(760torr)での加熱によってサンプル質量が50質量%減少した時点の温度(L)を確認した。Lが低いものは蒸気圧が高いことから好ましいと判断することができる。また、25℃における状態を目視で観測した。25℃において固体であるものについては、融点測定を行った。これらの結果を表1に示す。なお、下記比較化合物1および比較化合物2の化学式において「Me」はメチルを表し、「Et」はエチルを表し、「tBu」は第三ブチルを表す。
Figure 0006429352
Figure 0006429352
表1の結果より、化合物No.10、31、46、74および214はいずれも比較化合物1および比較化合物2よりも蒸気圧が高く、融点が低いことがわかった。なかでも、化合物No.10、31および214は、類似の構造を有する比較化合物と比べて飛躍的に低い融点を有していることがわかった。それに加えて、化合物No.10および31は、特に蒸気圧が高いことがわかった。
[実施例6]金属ルテニウム薄膜の製造
化合物No.10を原子層堆積法用原料とし、図1に示す装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコンウエハ上に金属ルテニウム薄膜を製造した。
得られた薄膜をX線光電子分光法による薄膜組成の確認したところ、得られた薄膜は金属ルテニウムであり、残留炭素含有量は1.0atom%よりも少なかった。また、X線反射率法による膜厚測定を行い、その平均値を算出したところ、膜厚は平均26.4nmであり、1サイクル当たりに得られる膜厚は平均0.05nmであった。
(条件)
基板:シリコンウェハ
反応温度(シリコンウエハ温度):350℃
反応性ガス:酸素
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返した:
(1)原料容器温度:140℃、原料容器内圧力:100Paの条件で気化させた原子層堆積法用原料を成膜チャンバーに導入し、系圧力:100Paで30秒間堆積させる;
(2)15秒間のアルゴンパージにより、堆積しなかった原料を除去する;
(3)反応性ガスを成膜チャンバーに導入し、系圧力:100Paで5秒間反応させる;
(4)15秒間のアルゴンパージにより、未反応の反応性ガス及び副生ガスを除去する。
[実施例7]金属ルテニウム薄膜の製造
原子層堆積法用原料として化合物No.31を用いたこと以外は実施例6と同様の条件で金属ルテニウム薄膜を製造した。得られた薄膜をX線光電子分光法による薄膜組成の確認したところ、得られた薄膜は金属ルテニウムであり、残留炭素含有量は1.0atom%よりも少なかった。また、X線反射率法による膜厚測定を行い、その平均値を算出したところ、膜厚は平均25.7nmであり、1サイクル当たりに得られる膜厚は平均0.05nmであった。
[実施例8]金属ルテニウム薄膜の製造
原子層堆積法用原料として化合物No.46を用いたこと以外は実施例6と同様の条件で金属ルテニウム薄膜を製造した。得られた薄膜をX線光電子分光法による薄膜組成の確認したところ、得られた薄膜は金属ルテニウムであり、残留炭素含有量は1.0atom%よりも少なかった。また、X線反射率法による膜厚測定を行い、その平均値を算出したところ、膜厚は平均26.3nmであり、1サイクル当たりに得られる膜厚は平均0.05nmであった。
[実施例9]金属ルテニウム薄膜の製造
化合物No.10を原子層堆積法用原料とし、図1に示す装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコンウエハ上に金属ルテニウム薄膜を製造した。
得られた薄膜をX線光電子分光法による薄膜組成の確認したところ、得られた薄膜は金属ルテニウムであり、残留炭素含有量は1.0atom%よりも少なかった。また、X線反射率法による膜厚測定を行い、その平均値を算出したところ、膜厚は平均15nmであり、1サイクル当たりに得られる膜厚は平均0.03nmであった。
(条件)
基板:シリコンウェハ
反応温度(シリコンウエハ温度);350℃
反応性ガス:水素
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返した。
(1)原料容器温度:140℃、原料容器内圧力:100Paの条件で気化させた原子層堆積法用原料を成膜チャンバーに導入し、系圧力:100Paで30秒間堆積させる。
(2)15秒間のアルゴンパージにより、堆積しなかった原料を除去する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバーに導入し、系圧力:100Paで60秒間反応させる。
(4)15秒間のアルゴンパージにより、未反応の第一の反応性ガス及び副生ガスを除去する。
[比較例3]金属ルテニウム薄膜の製造
原子層堆積法用原料として比較化合物2を用いたこと以外は実施例6と同様の条件で金属ルテニウム薄膜を製造した。得られた薄膜をX線光電子分光法による薄膜組成の確認したところ、得られた薄膜は金属ルテニウムであり、残留炭素含有量は6.0atom%だった。また、X線反射率法による膜厚測定を行い、その平均値を算出したところ、膜厚は平均10nmであり、1サイクル当たりに得られる膜厚は平均0.02nmであった。
実施例6〜9の結果より、いずれも残留炭素含有量が低く、品質の良い金属ルテニウム薄膜を製造することができたことがわかった。一方、比較例3で得られた薄膜は残留炭素含有量が非常に高く、品質が悪い金属ルテニウム薄膜が得られることがわかった。また、実施例6〜8および比較例3の1サイクル当たりに得られる膜厚を比較すると、実施例6〜8は比較例3の2倍以上も生産性よく金属ルテニウム薄膜を製造することができることがわかった。
以上の結果より、本発明によれば、ALD法により高品質な金属ルテニウム薄膜を生産性よく製造することができることがわかった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるルテニウム化合物:
    Figure 0006429352
    (式中、R1〜R3は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R1がメチル基である場合は、R2とR3は異なる基である。)
  2. 請求項1に記載のルテニウム化合物を含有する、薄膜形成用原料。
  3. 請求項2に記載の薄膜形成用原料を気化させて、前記ルテニウム化合物を含有する蒸気を得る工程、
    前記蒸気を処理雰囲気に導入する工程、及び
    該化合物を分解させることにより、化学反応させることにより、又はその両方により、該化合物を基体に堆積させる工程を含む、
    基体の表面にルテニウム原子を含有する薄膜を製造する方法。
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