以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態において蒸発器10の概略構成を示した正面図である。図1に示す蒸発器10は、エンジンによって駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機を含みその冷媒が循環する冷凍サイクル装置の一部を構成し、車室内の空調を行う車両用空調装置が有する不図示の空調ユニットケース内に設置される。具体的には、蒸発器10には、不図示の送風機によって、図2に示す所定の空気流れ方向Faへ空気が送風される。そして、蒸発器10は、この空気流れ方向Faに流れる送風空気と冷媒とを熱交換させることで、その送風空気を冷却すると共に冷媒を蒸発させる。なお、図2は、図1におけるII−II断面図のうち、一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した図である。
具体的に、蒸発器10は、蓄冷材を備えた蓄冷熱交換器である。例えば、蒸発器10は、停車中にエンジンを一時的に停止させるアイドリングストップ機能を備えたアイドリングストップ車両に搭載される車両用空調装置に用いられる。そして、その車両用空調装置は、蒸発器10の蓄冷機能により、アイドリングストップ中(すなわちエンジンの一時停止中)にも冷房を継続させることが可能となっている。
図1および図2に示すように、蒸発器10は、複数の冷媒管部12、複数の蓄冷材収容部14、複数の介装部16、複数のコルゲートフィン18、第1ヘッダタンク20、第2ヘッダタンク22、複数の冷媒通路インナーフィン24、および複数の蓄冷空間インナーフィン26を備えている。上記の冷媒管部12は本発明の第1冷媒管部に対応し、介装部16は本発明の第1介装部に対応し、冷媒通路インナーフィン24は本発明の第1インナーフィンに対応する。
複数の冷媒管部12は何れも、冷媒を流す冷媒チューブであり、冷媒管部12の冷媒流れ方向DRfに直交する断面形状が扁平状を成している。冷媒管部12は、冷媒が流通する冷媒通路12aを冷媒管部12の内側に形成している。すなわち、冷媒管部12は、冷媒通路12aを囲む冷媒通路壁121から構成されている。その冷媒通路12aは本発明の第1冷媒通路に対応し、冷媒通路壁121は本発明の第1冷媒通路壁に対応する。
また、複数の冷媒管部12は、送風空気が通過する間隔を相互に空けて冷媒管積層方向DRsへ積層配置されている。そして、その送風空気の空気流れ方向Faは冷媒管部12の扁平状断面の長手方向に沿っており、複数の冷媒管部12は何れも、その空気流れ方向Faに沿った空気流れの中に配置されている。このように配置された冷媒管部12はそれぞれ、冷媒通路12aを流れる冷媒と空気流れ方向Faへ流れる空気とを熱交換させることでその空気を冷却する。なお、冷媒管部12まわりを流れる送風空気の空気流れ方向Fa、上記の冷媒管積層方向DRs、および、冷媒管部12の冷媒流れ方向DRfは互いに交差(詳細には直交)する方向である。
蓄冷材収容部14は例えば密閉構造となっている。蓄冷材収容部14は蓄冷材保持容器として機能し、蓄冷材を蓄冷材収容部14の内部に保持している。例えば、蓄冷材収容部14の内部には蓄冷材が充填されている。具体的には、蓄冷材収容部14は、蓄冷材が収容される蓄冷空間14aを蓄冷材収容部14の内側に形成している。すなわち、蓄冷材収容部14は、蓄冷空間14aを囲む収容部壁141から構成されている。
蓄冷空間14a内に収容されている蓄冷材は、空調装置に一般的に用いられる蓄冷材であり、エンジン稼働中には冷媒によって冷却されることで凝固して蓄冷する。その一方で、蓄冷材は、エンジンが停止して冷媒による冷却が止まった場合には融解することで吸熱し、それにより冷媒を冷やし冷媒温度の上昇を抑制する。
蓄冷材収容部14の断面形状は、冷媒管部12と同様に扁平状を成している。そして、蓄冷材収容部14は、図2に示すように、冷媒管部12に対し空気流れ方向Faに並んで配置されている。具体的には、冷媒管積層方向DRsにおける蓄冷材収容部14の幅は冷媒管部12の幅と同じになっており、蓄冷材収容部14の全体が、冷媒管部12に対し空気流れ方向Faに重ねて設けられている。
介装部16は、冷媒管部12と蓄冷材収容部14との間に介装されると共に、その冷媒管部12と蓄冷材収容部14とにそれぞれ接合されている。そして、介装部16は、冷媒管部12の内部空間である冷媒通路12aと蓄冷材収容部14の内部空間である蓄冷空間14aとを隔てている。すなわち、介装部16は、冷媒通路12aと蓄冷空間14aとの間の境界をなす境界部になっている。
また、冷媒管部12、介装部16、および蓄冷材収容部14は、空気流れ方向Faでの空気流れ上流側から、冷媒管部12、介装部16、蓄冷材収容部14の順に配置されている。すなわち、蓄冷材収容部14は、冷媒管部12に対し、空気流れ方向Faでの下流側に配置されている。
図1および図2に示すコルゲートフィン18は、例えばアルミニウム合金等の金属で構成されており、薄肉の帯板材から波形に成形されたものである。コルゲートフィン18は、空気流れ方向Faに沿った方向においては、冷媒管部12の空気流れ上流端122に合った位置から蓄冷材収容部14の空気流れ下流端142に合った位置にまで及んでいる。
そして、コルゲートフィン18は、冷媒管部12同士の相対向する平坦面の間および蓄冷材収容部14同士の相対向する平坦面の間に介装され、コルゲートフィン18に隣接する冷媒管部12および蓄冷材収容部14にロウ付け等によって接合されている。すなわち、コルゲートフィン18は、冷媒管積層方向DRsを向いた冷媒管部12の外側面である扁平面123、124と、蓄冷材収容部14の外側面である扁平面143、144とに接合されている。
コルゲートフィン18は、冷媒管部12の相互間を流れる空気の熱を冷媒管部12へ伝える。そして、冷媒管部12の冷媒通路壁121は、コルゲートフィン18が空気から吸熱した熱を冷媒通路12a内の冷媒へ伝える。
第1ヘッダタンク20および第2ヘッダタンク22は、図1に示すように、冷媒管積層方向DRsへ延びて形成されている。第1ヘッダタンク20には、複数の冷媒管部12の一端がそれぞれ接続され、第2ヘッダタンク22には、複数の冷媒管部12の他端がそれぞれ接続されている。冷媒管部12はそれぞれ、第1ヘッダタンク20および第2ヘッダタンク22に対し例えばロウ付け等によって接合されている。
例えば、第1ヘッダタンク20には、冷凍サイクル装置の一部を構成する不図示の膨張弁で減圧膨張させられた冷媒が流入し、第1ヘッダタンク20は、その流入した冷媒を複数の冷媒管部12へそれぞれ分配する。一方で、第2ヘッダタンク22には、複数の冷媒管部12から冷媒が流入し、第2ヘッダタンク22は、その流入した冷媒を蒸発器10の外部へ流出させる。具体的には、冷凍サイクル装置の一部を構成する不図示の圧縮機の冷媒吸入口へ向けてその冷媒を流出させる。なお、蓄冷材収容部14は、第1ヘッダタンク20および第2ヘッダタンク22には接続されておらず、蓄冷材収容部14の蓄冷空間14aは、冷媒が流れる経路から分離された空間となっている。
図2に示す冷媒通路インナーフィン24は、冷媒通路12a内を流れる冷媒の吸放熱を促進する構成材である。冷媒通路インナーフィン24は、図2に示すように冷媒通路12a内に配置されており、冷媒通路12a内を流れる冷媒と接触する。具体的に、冷媒通路インナーフィン24は板状の部材から構成され、冷媒管部12の冷媒流れ方向DRf(図1参照)に直交する断面形状が波状を成すように成形されている。冷媒通路インナーフィン24は冷媒通路12a内に収容されているので、冷媒管部12まわりを流れる外部空気と冷媒通路インナーフィン24との間には冷媒通路壁121が介在しており、冷媒通路インナーフィン24はその外部空気に直接には接触しない。
蓄冷空間インナーフィン26は、蓄冷空間14a内に封入された蓄冷材の吸放熱を促進する構成材である。蓄冷空間インナーフィン26は蓄冷空間14a内に配置されており、蓄冷空間14a内の蓄冷材と接触する。具体的に、蓄冷空間インナーフィン26は板状の部材から構成され、冷媒管部12の冷媒流れ方向DRf(図1参照)に直交する断面形状が波状を成すように成形されている。蓄冷空間インナーフィン26は蓄冷空間14a内に収容されているので、蓄冷材収容部14まわりを流れる外部空気と蓄冷空間インナーフィン26との間には収容部壁141が介在しており、蓄冷空間インナーフィン26はその外部空気に直接には接触しない。
また、冷媒通路インナーフィン24は介装部16側の端部において介装部16に接合されて介装部16と一体になっている。これと同様に、蓄冷空間インナーフィン26も介装部16側の端部において介装部16に接合されて介装部16と一体になっている。すなわち、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は、冷媒通路インナーフィン24と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ介装部16を介して熱が伝導されるように、その介装部16に接合されている。従って、冷媒通路12a内の冷媒と蓄冷空間14a内の蓄冷材との間における熱の授受は、例えば両インナーフィン24、26が介装部16に一体接合されていない構成と比較して、介装部16を介した熱伝導により行われ易くなっている。
なお、上記の冷媒通路インナーフィン24と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ介装部16を介して熱が伝導されることとは、詳細に言えば、その一方のインナーフィンのうちの介装部16側の端部から介装部16を介してその他方のインナーフィンのうちの介装部16側の端部へと最短経路で熱が伝導されることである。
上述した冷媒管部12、蓄冷材収容部14、介装部16、冷媒通路インナーフィン24、および蓄冷空間インナーフィン26は、具体的には図2に示すように、第1外殻部材30と第2外殻部材32とフィン構成部材34とが互いにロウ付け等で接合されることによって構成されている。第1外殻部材30、第2外殻部材32、およびフィン構成部材34は何れも、アルミニウム合金製の板状部材を成形して成る部材である。
第1外殻部材30は、空気流れ方向Faの上流側から順に、第1外殻部301と第2外殻部302と第3外殻部303とを有している。その第1外殻部301は、冷媒管積層方向DRsの一方側ではコルゲートフィン18に接合され、冷媒管積層方向DRsの他方側には、冷媒通路12aを形成するための凹形状を形成している。第3外殻部303もこれと同様に、冷媒管積層方向DRsの一方側ではコルゲートフィン18に接合され、冷媒管積層方向DRsの他方側には、蓄冷空間14aを形成するための凹形状を形成している。
そして、第1外殻部材30の第2外殻部302は、第1外殻部301と第3外殻部303とをつなぐ平板形状を成している。
第2外殻部材32は、第1外殻部材30と同様に、空気流れ方向Faの上流側から順に、第1外殻部321と第2外殻部322と第3外殻部323とを有している。第2外殻部材32は、第1外殻部材30に対して冷媒管積層方向DRsに対称形状を成している。
フィン構成部材34は、冷媒通路12aから蓄冷空間14aにわたって配置された一成形部材であり、介装部16の一部を構成する中間部342を含んでいる。その中間部342は本発明の第1中間部に対応する。
そして、冷媒管積層方向DRsにおいて第1外殻部材30と第2外殻部材32とがフィン構成部材34を挟むと共に、第1外殻部301、321同士の凹形状を対向させ且つ第3外殻部303、323同士の凹形状を対向させて互いに接合されている。詳細には、第1外殻部301、321の空気流れ上流側の端部同士が互いに接合され、第2外殻部302、322同士がフィン構成部材34の中間部342を挟んで互いに接合され、第3外殻部303、323の空気流れ下流側の端部同士が互いに接合されている。このようにして冷媒管部12、蓄冷材収容部14、および介装部16が一体に構成されている。そして、その冷媒管部12、蓄冷材収容部14、および介装部16は、冷媒管積層方向DRsに積層配置された個々のチューブセットを構成している。
上記のように各部材30、32、34が互いに接合されるので、冷媒通路インナーフィン24は、フィン構成部材34のうち冷媒通路12a内に配置されている部位で構成されている。それと共に、蓄冷空間インナーフィン26は、フィン構成部材34のうち蓄冷空間14a内に配置されている部位で構成されている。
従って、フィン構成部材34は、冷媒圧に耐える機能を備え、冷媒通路インナーフィン24として機能する部位で効率よく冷媒と熱の授受を行うと共に、蓄冷空間インナーフィン26として機能する部位で効率よく蓄冷材と熱の授受を行う。更に、フィン構成部材34は、蓄冷材と冷媒との一方から吸熱した熱を他方へ伝導させる機能も備えている。そのために、フィン構成部材34の熱伝導率は、第1外殻部材30および第2外殻部材32と比較して高くなっている。すなわち、冷媒通路インナーフィン24の熱伝導率および蓄冷空間インナーフィン26の熱伝導率は何れも、冷媒通路壁121の熱伝導率および収容部壁141の熱伝導率の双方に対して高くなっている。
例えば、フィン構成部材34は、熱交換器用の冷媒チューブに一般的に用いられる一般アルミニウム合金材に比して高熱伝導な材料で構成されることが好ましい。また、フィン構成部材34は、単体材および複合材の何れであっても構わない。
また、図2に示すように、冷媒通路壁121は、第1外殻部材30の第1外殻部301と第2外殻部材32の第1外殻部321とから構成されている。それと共に、収容部壁141は、第1外殻部材30の第3外殻部303と第2外殻部材32の第3外殻部323とから構成されている。従って、第1外殻部材30および第2外殻部材32の第2外殻部302、322は、冷媒通路壁121から延設されて構成された一対の通路壁延設部となっている。
そして、介装部16は、第1外殻部材30および第2外殻部材32の第2外殻部302、322とフィン構成部材34の中間部342とを含んでおり、その一対を成す第2外殻部302、322が中間部342の両側にそれぞれ積層されて接合されることで構成されている。
上述したように、本実施形態によれば、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は、その冷媒通路インナーフィン24と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ介装部16を介して熱が伝導されるように、介装部16に接合されている。そのため、冷媒と蓄冷材との間で熱の授受が為される場合、例えば各インナーフィン24、26が介装部16に接合されていない構成と比較して、冷媒通路インナーフィン24、介装部16、および蓄冷空間インナーフィン26を介し熱伝導し易くなる。また、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は外部の空気に晒されていないので、冷媒の冷たさが空気を介さずに蓄冷材へ伝わりやすい。従って、冷媒と蓄冷材との間にて冷媒管部12まわりの空気を経ない熱伝導性を高めることより蓄冷材を効率的に冷却することができる。
また、本実施形態によれば、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26の熱伝導率は何れも、収容部壁141の熱伝導率と比較して高い。従って、例えばインナーフィン24、26の熱伝導率が収容部壁141の熱伝導率と同じにされた構成と比較して、蓄冷材収容部14の蓄冷材を冷媒で冷却する際に、冷媒通路インナーフィン24と介装部16と蓄冷空間インナーフィン26とを介した冷媒と蓄冷材との間の熱伝導が為されやすくなる。その結果、蓄冷材が冷媒によって迅速に冷却され、蓄冷材を冷却して蓄冷を完了するのに要する蓄冷時間を短縮することが可能である。
このような蓄冷時間が短縮されるという効果は、例えば図3に示されている。図3は、本実施形態の蒸発器10と、本実施形態に対しインナーフィン24、26の熱伝導率を収容部壁141の熱伝導率と同じにした比較例の蒸発器10とのそれぞれにおいて実施したシミュレーションの結果を示した図である。この図3には、冷媒で蓄冷材を冷却する冷却時間Tcと、蓄冷材の平均温度である平均蓄冷材温度TMPcとの関係を示しており、図3の横軸は冷却時間Tcを示し、縦軸は平均蓄冷材温度TMPcを示している。
本実施形態と比較例とで実施したシミュレーションは互いに同じ条件で実施され、冷却時間Tcの始点である0秒の時点にて、冷媒を圧縮する圧縮機が始動している。すなわち、冷媒による蓄冷材の冷却は冷却時間Tcの0秒時点から開始されている。また、図3では、実線L1が本実施形態のシミュレーション結果を示し、破線L2が比較例のシミュレーション結果を示している。
蓄冷材の蓄冷時間とは、上述したように蓄冷材を冷却して蓄冷を完了するのに要する時間であるので、図3で言えば、冷却時間Tcの0秒時点から平均蓄冷材温度TMPcが下がりきり一定になるまでに要する所要時間である。そして、図3の実線L1と破線L2とから判るように、本実施形態では、平均蓄冷材温度TMPcが比較例よりも早期に最低温度に達し一定になっているので、蓄冷時間が短くなっている。このように、図3のシミュレーション結果から、本実施形態の蓄冷時間が短縮されるという効果が確認されている。
ところで、本実施形態では上記のようにインナーフィン24、26の熱伝導率を高めることで、そのインナーフィン24、26の熱移動量を高めているが、インナーフィン24、26の厚みを増すことでインナーフィン24、26の熱移動量を高めることも可能である。しかし、蒸発器10の体格を維持しつつインナーフィン24、26の厚みを増したとすれば、蒸発器10の冷房性能が落ちることにつながる。このことが、次に説明する図4に示されている。なお、上記のインナーフィン24、26の熱移動量とは、詳細に言えば、介装部16を介したインナーフィン24、26相互間での熱伝導による熱移動量であり、以下の説明でも同じである。
図4は、本実施形態において、蒸発器10の体格を維持するという条件の下でインナーフィン24、26の厚み(板厚)と蒸発器10の冷房性能とインナーフィン24、26の熱移動量との関係を示した図である。この図4は、蒸発器10を含む車両用空調装置の冷房運転を一定状態で行った場合のシミュレーション結果を示している。また、図4において、蒸発器10の冷房性能およびインナーフィン24、26の熱移動量は、基準となる所定の構成を1とした比率で示されている。蒸発器10の冷房性能とは、蒸発器10が空気を冷やす能力(単位は例えばW)である。
図4に示すように、インナーフィン24、26の板厚を増すほど、インナーフィン24、26の熱移動量は大きくなる。すなわち、インナーフィン24、26は熱を伝導しやすくなる。そして、インナーフィン24、26の板厚がtxまでであれば、その板厚の増加は蒸発器10の冷房性能に影響しない。しかし、インナーフィン24、26の板厚がtxを超えて増加すると、その板厚の増加に従って蒸発器10の冷房性能は低下する。
これは、インナーフィン24、26の板厚が増加すると、冷媒の流路を確保する必要があるので冷媒管部12が冷媒管積層方向DRsへ拡幅するからである。そして、その冷媒管部12の拡幅に従って冷媒管部12同士の相互間隔とコルゲートフィン18の幅とが狭くなり、空気の通路が狭められるからである。
このように、蓄冷時間を短縮するために、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26の熱伝導率を高くすることでインナーフィン24、26の熱伝導性を向上させることは、インナーフィン24、26の板厚を増すことでインナーフィン24、26の熱伝導性を向上させることと比較してメリットが大きいものと考えられる。例えば、本実施形態のように冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26の熱伝導率を高くすれば、冷媒管部12の相互間を通過する空気に対する通風抵抗の増加および冷房性能の低下を防止しつつ、インナーフィン24、26の熱移動量を増やして蓄冷時間の短縮を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、図2に示すように、冷媒通路インナーフィン24は、介装部16の一部を構成する中間部342を含む一成形部材としてのフィン構成部材34のうち冷媒通路12a内に配置されている部位で構成されている。そして、蓄冷空間インナーフィン26は、フィン構成部材34のうち蓄冷空間14a内に配置されている部位で構成されている。従って、両インナーフィン24、26が互いに別個の部材で構成された上で一体的に接合されている場合と比較して、両インナーフィン24、26の相互間における熱伝導性を高めやすいというメリットがある。
また、本実施形態によれば、介装部16は、フィン構成部材34の中間部342と、冷媒通路壁121から延設されて構成された一対の第2外殻部302、322とを含んでいる。そして、介装部16は、その第2外殻部302、322が中間部342の両側にそれぞれ積層されて接合されることで構成されている。従って、第2外殻部302、322と中間部342とを面で対向させて接合することが可能である。そのため、冷媒通路12aと蓄冷空間14aとを互いに分離された空間として形成し、冷媒通路12aと蓄冷空間14aとの連通を確実に遮断するように加工することが容易である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。後述の第3実施形態以降でも同様である。
図5は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12、40および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第1実施形態の図2に相当する図である。図5に示すように、本実施形態では、空気流れ方向Faに沿って2本の冷媒管部12、40が蓄冷材収容部14を挟み並んで設けられている。そして、介装部16、42も空気流れ方向Faに沿って2つ設けられている。本実施形態は、これらの点において第1実施形態と異なっている。
なお、本実施形態では、空気流れ方向Faに沿って並ぶ2本の冷媒管部12、40のうちの一方を第1冷媒管部12と呼び、他方を第2冷媒管部40と呼ぶものとする。また、空気流れ方向Faに沿って並ぶ2つの介装部16、42のうちの一方を第1介装部16と呼び、他方を第2介装部42と呼ぶものとする。また、第2冷媒管部40内にも第1冷媒管部12内と同様に冷媒通路インナーフィン44が配置されているので、第1冷媒管部12内の冷媒通路インナーフィン24を第1インナーフィン24と呼び、第2冷媒管部40内の冷媒通路インナーフィン44を第2インナーフィン44と呼ぶものとする。
具体的に、本実施形態の蒸発器10は、複数の第1冷媒管部12、複数の第2冷媒管部40、複数の蓄冷材収容部14、複数の第1介装部16、複数の第2介装部42、複数のコルゲートフィン18、第1ヘッダタンク20、第2ヘッダタンク22、複数の第1インナーフィン24、複数の第2インナーフィン44、および複数の蓄冷空間インナーフィン26を備えている。
そして、第1冷媒管部12、第1介装部16、蓄冷材収容部14、第2介装部42、および第2冷媒管部40は、図5のように空気流れ方向Faに並んで一組を成しており、その一組が、コルゲートフィン18と交互に冷媒管積層方向DRsへ積層されている。また、その一組毎に着目すれば、第1冷媒管部12、第1介装部16、蓄冷材収容部14、第2介装部42、および第2冷媒管部40は、空気流れ方向Faでの空気流れ上流側から、第1冷媒管部12、第1介装部16、蓄冷材収容部14、第2介装部42、第2冷媒管部40の順に配置されている。
複数の第2冷媒管部40は、第1冷媒管部12と同様に冷媒を流す冷媒チューブであり、第2冷媒管部40の冷媒流れ方向DRf(図1参照)に直交する断面形状が扁平状を成している。空気流れ方向Faにおいて第1冷媒管部12は蓄冷材収容部14に対し空気流れ上流側に配置されているが、第2冷媒管部40は蓄冷材収容部14に対し空気流れ下流側に配置されている。
第2冷媒管部40は、冷媒が流通する第2冷媒通路40aを第2冷媒管部40の内側に形成している。すなわち、第2冷媒管部40は、第2冷媒通路40aを囲む第2冷媒通路壁401から構成されている。
図1に示す第1ヘッダタンク20には、複数の第1冷媒管部12の一端と共に複数の第2冷媒管部40の一端もそれぞれ接続されている。そして、第2ヘッダタンク22には、複数の第1冷媒管部12の他端と共に複数の第2冷媒管部40の他端もそれぞれ接続されている。従って、冷媒は、例えば複数の第1冷媒管部12と複数の第2冷媒管部40とに並列に流れる。
また、複数の第2冷媒管部40も第1冷媒管部12と同様に、送風空気が通過する間隔を相互に空けて、冷媒管積層方向DRsへ積層配置され、図5に示すように扁平状断面を有している。そして、第2冷媒管部40の扁平状断面の長手方向は空気流れ方向Faに沿っており、複数の第2冷媒管部40は何れも、その空気流れ方向Faに沿った空気流れの中に配置されている。このように配置された第2冷媒管部40はそれぞれ、第2冷媒通路40aを流れる冷媒と空気流れ方向Faへ流れる空気とを熱交換させることでその空気を冷却する。なお、その第2冷媒通路40aおよび第2冷媒通路壁401と第1冷媒管部12の冷媒通路12aおよび冷媒通路壁121とを明確に区別するために、第1冷媒管部12の冷媒通路12aを第1冷媒通路12aと呼び、第1冷媒管部12の冷媒通路壁121を第1冷媒通路壁121と呼ぶものとする。
冷媒管積層方向DRsにおける蓄冷材収容部14の幅および第2冷媒管部40の幅は冷媒管部12の幅と同じになっている。そのため、第2冷媒管部40の全体が、第1冷媒管部12に対し空気流れ方向Faに重ねて設けられ、それと共に、蓄冷材収容部14に対しても空気流れ方向Faに重ねて設けられている。
第2介装部42は、蓄冷材収容部14と第2冷媒管部40との間に介装されると共に、その蓄冷材収容部14と第2冷媒管部40とにそれぞれ接合されている。そして、第2介装部42は、蓄冷材収容部14の内部空間である蓄冷空間14aと第2冷媒管部40の内部空間である第2冷媒通路40aとを隔てている。すなわち、第2介装部42は、蓄冷空間14aと第2冷媒通路40aとの間の境界をなす境界部になっている。
コルゲートフィン18は、空気流れ方向Faに沿った方向においては、冷媒管部12の空気流れ上流端122に合った位置から第2冷媒管部40の空気流れ下流端402に合った位置にまで及んでいる。
そして、コルゲートフィン18は、第1冷媒管部12同士の相対向する扁平面123、124の間、蓄冷材収容部14同士の相対向する扁平面143、144の間、および第2冷媒管部40同士の相対向する扁平面403、404の間に介装され、コルゲートフィン18に隣接する第1冷媒管部12と蓄冷材収容部14と第2冷媒管部40とにロウ付け等によって接合されている。すなわち、コルゲートフィン18は、冷媒管積層方向DRsを向いた第1冷媒管部12の外側面である扁平面123、124と、蓄冷材収容部14の外側面である扁平面143、144と、第2冷媒管部40の外側面である扁平面403、404とに接合されている。
コルゲートフィン18は、冷媒管部12の相互間を流れる空気の熱を第1冷媒管部12および第2冷媒管部40へ伝える。そして、第1冷媒通路壁121は、コルゲートフィン18が空気から吸熱した熱を第1冷媒通路12a内の冷媒へ伝え、第2冷媒通路壁401は、コルゲートフィン18が空気から吸熱した熱を第2冷媒通路40a内の冷媒へ伝える。
第2インナーフィン44は、第2冷媒通路40a内を流れる冷媒の吸放熱を促進する構成材である。第2インナーフィン44は、図5に示すように第2冷媒通路40a内に配置されており、第2冷媒通路40a内を流れる冷媒と接触する。具体的に、第2インナーフィン44は板状の部材から構成され、第2冷媒管部40の冷媒流れ方向DRf(図1参照)に直交する断面形状が波状を成すように成形されている。第2インナーフィン44は第2冷媒通路40a内に収容されているので、第2冷媒管部40まわりを流れる外部空気と第2インナーフィン44との間には第2冷媒通路壁401が介在しており、第2インナーフィン44はその外部空気に直接には接触しない。
また、第2インナーフィン44は第2介装部42側の端部において第2介装部42に接合されて第2介装部42と一体になっている。そして、蓄冷空間インナーフィン26は第1介装部16側の端部において第1介装部16に接合されて第1介装部16と一体になっているだけでなく、第2介装部42側の端部において第2介装部42に接合されて第2介装部42と一体になっている。
すなわち、第1インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は、第1インナーフィン24と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ第1介装部16を介して熱が伝導されるように、その第1介装部16に接合されている。この点は第1実施形態と同様であるが更に、第2インナーフィン44および蓄冷空間インナーフィン26が、第2インナーフィン44と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ第2介装部42を介して熱が伝導されるように、第2介装部42に接合されている。
従って、第1冷媒通路12a内の冷媒と蓄冷空間14a内の蓄冷材との間における熱の授受は、第1実施形態と同様に第1介装部16を介した熱伝導により行われ易くなっている。それに加えて、第2冷媒通路40a内の冷媒と蓄冷空間14a内の蓄冷材との間においても熱の授受が行われ、その熱の授受は、例えば第2インナーフィン44および蓄冷空間インナーフィン26が第2介装部42に一体接合されていない構成と比較して、第2介装部42を介した熱伝導により行われ易くなっている。
上述した第1冷媒管部12、第2冷媒管部40、蓄冷材収容部14、第1介装部16、第2介装部42、第1インナーフィン24、第2インナーフィン44、および蓄冷空間インナーフィン26は、具体的には図5に示すように、第1外殻部材30と第2外殻部材32とフィン構成部材34とが互いにロウ付け等で接合されることによって構成されている。
第1外殻部材30は、空気流れ方向Faの上流側から順に、第1外殻部301と第2外殻部302と第3外殻部303と第4外殻部304と第5外殻部305とを有している。第1〜3外殻部301、302、303は第1実施形態と同様である。
第4外殻部304は、第2外殻部302と同様の構成であり、第3外殻部303と第5外殻部305とをつなぐ平板形状を成している。また、第5外殻部305は、第1外殻部301と同様の構成であり、冷媒管積層方向DRsの一方側ではコルゲートフィン18に接合され、冷媒管積層方向DRsの他方側には、第2冷媒通路40aを形成するための凹形状を形成している。
第2外殻部材32は、第1外殻部材30と同様に、空気流れ方向Faの上流側から順に、第1外殻部321と第2外殻部322と第3外殻部323と第4外殻部324と第5外殻部325とを有している。第2外殻部材32は、第1外殻部材30に対して冷媒管積層方向DRsに対称形状を成している。
フィン構成部材34は、第1冷媒通路12aから第2冷媒通路40aにわたって配置された一成形部材であり、第1介装部16の一部を構成する第1中間部342と、第2介装部42の一部を構成する第2中間部343とを含んでいる。
そして、冷媒管積層方向DRsにおいて第1外殻部材30と第2外殻部材32とがフィン構成部材34を挟むと共に、第1外殻部301、321同士の凹形状を対向させ、第3外殻部303、323同士の凹形状を対向させ、且つ第5外殻部305、325同士の凹形状を対向させて互いに接合されている。
詳細には、第1外殻部301、321の空気流れ上流側の端部同士が互いに接合され、第2外殻部302、322同士がフィン構成部材34の第1中間部342を挟んで互いに接合されている。それに加えて、第4外殻部304、324同士がフィン構成部材34の第2中間部343を挟んで互いに接合され、第5外殻部305、325の空気流れ下流側の端部同士が互いに接合されている。このようにして第1冷媒管部12、第1介装部16、蓄冷材収容部14、第2介装部42、および第2冷媒管部40が一体に構成されている。そして、その第1冷媒管部12、第1介装部16、蓄冷材収容部14、第2介装部42、および第2冷媒管部40は、冷媒管積層方向DRsに積層配置された個々のチューブセットを構成している。
上記のように各部材30、32、34が互いに接合されるので、第1インナーフィン24は、フィン構成部材34のうち第1冷媒通路12a内に配置されている部位で構成されている。それと共に、蓄冷空間インナーフィン26は、フィン構成部材34のうち蓄冷空間14a内に配置されている部位で構成されている。更に、第2インナーフィン44は、フィン構成部材34のうち第2冷媒通路40a内に配置されている部位で構成されている。
また、フィン構成部材34の熱伝導率は、第1実施形態と同様に、第1外殻部材30および第2外殻部材32と比較して高くなっている。すなわち、第1インナーフィン24の熱伝導率、第2インナーフィン44の熱伝導率、および蓄冷空間インナーフィン26の熱伝導率は、第1冷媒通路壁121の熱伝導率、第2冷媒通路壁401の熱伝導率、および収容部壁141の熱伝導率の何れに対しても高くなっている。
また、図5に示すように、第2冷媒通路壁401は、第1外殻部材30の第5外殻部305と第2外殻部材32の第5外殻部325とから構成されている。そして、第2介装部42は、第1外殻部材30および第2外殻部材32の第4外殻部304、324とフィン構成部材34の第2中間部343とを含んでおり、その一対を成す第4外殻部304、324が第2中間部343の両側にそれぞれ積層されて接合されることで構成されている。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
更に、本実施形態によれば、第1インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は、第1インナーフィン24と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ第1介装部16を介して熱が伝導されるように、その第1介装部16に接合されている。これに加えて、第2インナーフィン44および蓄冷空間インナーフィン26が、第2インナーフィン44と蓄冷空間インナーフィン26とのうちの一方から他方へ第2介装部42を介して熱が伝導されるように、第2介装部42に接合されている。
従って、第1冷媒通路12a内の冷媒で第2冷媒管部40を介することなく蓄冷材を冷却でき、それと共に、第2冷媒通路40a内の冷媒で第1冷媒管部12を介することなく蓄冷材を冷却できる。例えば、蓄冷材収容部14が第1冷媒管部12および第2冷媒管部40の両方に対し空気流れ方向Faの一方に偏って配置された構成と比較して、蓄冷材を迅速に冷却することが可能である。
また、本実施形態によれば、第1インナーフィン24、蓄冷空間インナーフィン26、および第2インナーフィン44の熱伝導率は何れも、収容部壁141の熱伝導率と比較して高い。従って、蓄冷材収容部14の蓄冷材を冷媒で冷却する際に、第1インナーフィン24と第1介装部16と蓄冷空間インナーフィン26とを介した冷媒と蓄冷材との間の熱伝導、および、第2インナーフィン44と第2介装部42と蓄冷空間インナーフィン26とを介した冷媒と蓄冷材との間の熱伝導が為されやすくなる。
また、本実施形態によれば、図5に示すように、第1インナーフィン24は、第1介装部16の一部を構成する第1中間部342と第2介装部42の一部を構成する第2中間部343とを含む一成形部材としてのフィン構成部材34のうち冷媒通路12a内に配置されている部位で構成されている。そして、蓄冷空間インナーフィン26は、フィン構成部材34のうち蓄冷空間14a内に配置されている部位で構成されている。更に、第2インナーフィン44は、フィン構成部材34のうち第2冷媒通路40a内に配置されている部位で構成されている。従って、第1および第2インナーフィン24、44が蓄冷空間インナーフィン26とは別個の部材で構成された上で一体的に接合されている場合と比較して、第1および第2インナーフィン24、44の各々と蓄冷空間インナーフィン26との間における熱伝導性を高めやすいというメリットがある。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図6は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第1実施形態の図2に相当する図である。図6に示すように、本実施形態では、第1実施形態と比較して、介装部16のうちフィン構成部材34の中間部342が厚くなっている。
具体的に本実施形態では、フィン構成部材34は、中間部342において局所的に冷媒管積層方向DRsへ厚く形成されている。例えば、そのフィン構成部材34の中間部342は、フィン構成部材34の素材としての板状部材が冷媒管積層方向DRsへ積層されるように折り重ねられて構成されている。これにより、その中間部342は他の部位(例えばインナーフィン24、26)に比して厚くなっている。
このように、介装部16のうち、外部空気に対して晒されない中間部342が肉厚にされることで、冷媒管部12まわりを流れる外部空気を介さない伝熱経路において冷媒と蓄冷材との間での熱伝導性を向上させることが可能である。その結果として、蓄冷材を効率的に冷却することができる。
なお、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。また、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。また、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせた場合には、第2介装部42を第1介装部16と同等に構成してもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図7は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第1実施形態の図2に相当する図である。図7に示すように、本実施形態では、第1実施形態と比較して、フィン構成部材34の板厚が厚くなっている。
例えば、フィン構成部材34の板厚は、第1外殻部材30および第2外殻部材32の板厚よりも厚くなっている。これにより、インナーフィン24、26の板厚は冷媒通路壁121および収容部壁141の板厚よりも厚くなっている。
このようにフィン構成部材34の板厚が増せば、その分、介装部16を介したインナーフィン24、26相互間の熱伝導性を向上させることが可能である。その結果として、蓄冷材を効率的に冷却することができる。
なお、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。また、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態または第3実施形態と組み合わせることも可能である。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図8は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第1実施形態の図2に相当する図である。図8に示すように、本実施形態では、第1実施形態と比較して、第1外殻部材30および第2外殻部材32の板厚が厚くなっている。
このように外殻部材30、32の板厚が増せば、その分、空気流れ方向Faに沿った冷媒通路インナーフィン24と蓄冷空間インナーフィン26との並び方向に直交する介装部16の断面積が増すので、介装部16を介したインナーフィン24、26相互間での熱伝導による熱移動量が増加する。その一方で、冷媒と蓄冷材との間の伝熱経路のうち外部空気を介した伝熱経路での熱抵抗が、外殻部材30、32の板厚が増すほど大きくなる。従って、外殻部材30、32の板厚が増せば、その分、冷媒は、外部空気を介さずに、介装部16を介したインナーフィン24、26相互間の熱伝導を利用して蓄冷材を冷却しやすくなる。その結果、蓄冷材を効率的に冷却することができる。
なお、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。また、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態または第3実施形態と組み合わせることも可能である。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図9は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第1実施形態の図2に相当する図である。図9に示すように、本実施形態では、第1実施形態と比較して、冷媒管積層方向DRsにおける介装部16の厚みが厚くなっている。
具体的に、本実施形態の介装部16は、第1外殻部材30および第2外殻部材32の第2外殻部302、322とフィン構成部材34の中間部342とに加えて、第1の外側接合部161と第2の外側接合部162とを含んでいる。その外側接合部161、162は、第1外殻部材30および第2外殻部材32と同等の熱伝導率を有する板状部材であり、例えばその外殻部材30、32の一方または両方と同じ材質で構成されている。
また、第1の外側接合部161は、冷媒管積層方向DRsにおいて、第1外殻部材30の第2外殻部302に対し中間部342側とは反対側すなわち外側に積層されて一体に接合されている。それと共に、第2の外側接合部162は、冷媒管積層方向DRsにおいて、第2殻部材32の第2外殻部322に対し中間部342側とは反対側すなわち外側に積層されて一体に接合されている。
従って、冷媒管積層方向DRsに沿った方向である介装部16の厚み方向における介装部16の幅Wtは、第1および第2の外側接合部161、162の厚みを含んでいるので、冷媒通路壁121の壁厚みの2倍と冷媒通路インナーフィン24の材料厚みとの和よりも大きくなっている。その冷媒通路壁121の壁厚みとしては、例えば冷媒通路壁121の平均板厚が採用され、冷媒通路インナーフィン24の材料厚みとしては、例えば冷媒通路インナーフィン24の平均板厚が採用される。
上述のように介装部16の厚み方向における介装部16の幅Wtは、例えば第1実施形態と比較して大きくなっているので、介装部16を介したインナーフィン24、26相互間の熱伝導性を向上させることが可能である。
なお、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。また、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2〜5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。また、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせた場合には、第2介装部42を第1介装部16と同等に構成してもよい。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第6実施形態と異なる点を主として説明する。
図10は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第6実施形態の図9に相当する図である。図10に示すように、本実施形態では、第6実施形態と比較して、第1および第2の外側接合部161、162が厚くなり、介装部16とコルゲートフィン18との間の隙間がその外側接合部161、162によって埋められている。
例えば本実施形態では、第1の外側接合部161の材料としてのペースト状の充填材が、第1外殻部材30の第2外殻部302とコルゲートフィン18との間の隙間を埋めるように充填された上で固化されている。これと同様に、第2の外側接合部162の材料としてのペースト状の充填材が、第2外殻部材32の第2外殻部322とコルゲートフィン18との間の隙間を埋めるように充填された上で固化されている。
すなわち、第1の外側接合部161は、第1外殻部材30の第2外殻部302とコルゲートフィン18との間に充填された充填材が固化したものであり、第2の外側接合部162は、第2外殻部材32の第2外殻部322とコルゲートフィン18との間に充填された充填材が固化したものである。
なお、本実施形態の外側接合部161、162は、第6実施形態と同様に、第1外殻部材30および第2外殻部材32と同等の熱伝導率を有している。
本実施形態では、前述の第6実施形態と共通の構成から奏される効果を第6実施形態と同様に得ることができる。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図11は、本実施形態において一組を成す冷媒管部12および蓄冷材収容部14とその近傍とを示す部分を抜粋した断面図であって、第1実施形態の図2に相当する図である。図11に示すように、本実施形態では、第1実施形態と比較して、空気流れ方向Faにおける介装部16の幅が小さくなっている。
具体的に、本実施形態の介装部16では、第2外殻部302、322がそれぞれ、空気流れ方向Faへ積層されるように折り重ねられている。そのため、介装部16は、空気流れ方向Faを厚み方向とした壁形状を成している。そして、介装部16は、介装部16とその両側のコルゲートフィン18との間の隙間が生じない構造または殆ど生じない構造となっている。従って、本実施形態では、例えば第1実施形態と比較して、介装部16を介したインナーフィン24、26相互間の熱伝導性を向上させることが可能である。
なお、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。また、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2〜5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。また、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせた場合には、第2介装部42を第1介装部16と同等に構成してもよい。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態において、蓄冷材収容部14の全体が冷媒管部12に対し空気流れ方向Faに重ねて設けられているが、それに限らず、蓄冷材収容部14は、冷媒管部12に対し空気流れ方向Faに少なくとも部分的に重ねて設けられていればよい。
このことは、第2実施形態における蓄冷材収容部14と第2冷媒管部40との関係についても同様である。すなわち、第2冷媒管部40は、蓄冷材収容部14に対し空気流れ方向Faに少なくとも部分的に重ねて設けられていればよい。
(2)上述の第1実施形態において、冷媒管部12、蓄冷材収容部14、および介装部16はそれぞれ、板状部材の成形品である第1外殻部材30と第2外殻部材32とを互いに接合することで構成された板成形管の一部分になっているが、その板成形管は、例えばアルミニウム合金製の押出し成形管に置き換えられても差し支えない。例えば、押出し成形管の場合には、その押出し成形管は断面扁平形状に成形され、その断面扁平形状をその厚み方向へ局所的に押し潰すように変形させることで、介装部16が形成されると共に、冷媒通路12aと蓄冷空間14aとが並列的に形成される。このことは、第2〜8実施形態に関しても同様である。
(3)上述の各実施形態において、蒸発器10は、例えばアイドリングストップ車両に搭載される車両用空調装置に用いられるが、アイドリングストップ機能を備えない通常車両に搭載される車両用空調装置に用いられても差し支えない。要するに、蒸発器10の用途に限定はない。
(4)上述の各実施形態において、図2に示すように、コルゲートフィン18は、空気流れ方向Faに沿った方向において冷媒管部12の空気流れ上流端122に合った位置から蓄冷材収容部14の空気流れ下流端142に合った位置にまで及んでいるが、これに比して短く形成されていても差し支えない。例えば、コルゲートフィン18は、図2では、冷媒管積層方向DRsにおける冷媒管部12の両側だけでなく蓄冷材収容部14の両側にも設けられているが、蓄冷材収容部14の両側には設けられずに冷媒管部12の両側にだけ設けられていてもよい。
(5)上述の第1実施形態において、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は各々、一成形部材であるフィン構成部材34のうちの互いに異なる一部位で構成されているが、冷媒通路インナーフィン24および蓄冷空間インナーフィン26は別個の部材から成るものであっても差し支えない。例えば、冷媒通路インナーフィン24を構成する部材と蓄冷空間インナーフィン26を構成する部材とが介装部16にて突き合わされるように配置された上で、それぞれのインナーフィン24、26を構成する部材が別々に介装部16に接合されてもよい。このことは、第2〜8実施形態に関しても同様であり、第2実施形態における蓄冷空間インナーフィン26と第2インナーフィン44との関係に関しても同様である。
(6)上述の第3実施形態において、フィン構成部材34の中間部342は、そのフィン構成部材34の素材としての板状部材が折り重ねられることで肉厚にされているが、中間部342を肉厚にする手段に限定はない。例えば、中間部342は、溶接などによって肉厚にされても差し支えない。
(7)上述の各実施形態において、冷媒通路12a、40a内の冷媒は、第1ヘッダタンク20側から第2ヘッダタンク22側へ何れも同じ向きに流れるが、例えば第2ヘッダタンク22内が仕切られる等して第2ヘッダタンク22に冷媒流入口と冷媒流出口とが設けられると共に、第1ヘッダタンク20において冷媒流れがUターンさせられても差し支えない。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。