(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る確認装置100を、図1及び図7を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る荷振れ検出装置1の構成を模式的に示す説明図、図2は荷振れ検出装置1の構成を模式的に示す説明図、図3は荷振れ検出装置1に用いられる検出装置3、対象物200及びクレーン装置300の要部構成を示す側面図、図4は検出装置3及び対象物200の構成を模式的に示す上面図、図5は検出装置3及び対象物200の構成を模式的に示す側面図、図6は検出装置3及び対象物200の構成を図5とは別の側面から模式的に示す側面図、図7は荷振れ検出装置1を用いた吊り上げ作業の一例を示す流れ図である。
図1に示すように、荷振れ検出装置1は、対象物200をクレーン装置300で吊り上げることで対象物200の搬送、移動及び据付等を行う場合に、吊り上げ時の対象物200の荷振れの発生の虞を、吊り上げ位置及び対象物200の重心から検出する装置である。
なお、クレーン装置300は、クレーン車両に装備されたクレーンや工場の天井に設置されたクレーン等であり、本実施形態においては、クレーン車両に装備されたクレーン装置300を用いて説明する。
例えば、クレーン装置300は、車両310に装備された所定の角度間で回動可能なブーム321と、ブーム321の先端に設けられたジブ322と、ジブ322から下方に垂れ下がるウインチ用ワイヤ323と、ウインチ用ワイヤ323の先端に設けられたフック324と、フック324に設けられ、対象物200に設置される吊上げ用ワイヤ325と、を備えている。
図1乃至図4に示すように、荷振れ検出装置1は、クレーン装置300で吊り上げられる対象物200の情報を検出する検出装置3と、検出装置3で検知された対象物200の情報に基づいて、対象物200の荷振れを算出する処理装置4と、を備えている。なお、ここで、対象物200の荷振れとは、対象物200の吊り上げ位置と対象物200の重心が水平方向でずれているときに、重心周りに発生する回転モーメントによる、対象物200の傾斜や揺動による振れを指す。
検出装置3は、対象物200の荷重を測定する第1検出装置11と、対象物200の横方向、換言すると水平方向の力を検出する複数の第2検出装置12と、を備えている。
第1検出装置11は、例えば、クレーン装置300のウインチ用ワイヤ323に設けられた歪みゲージである。第1検出装置11は、吊り上げ開始時の、対象物200の荷重の増加を検出可能に形成されている。即ち、第1検出装置11は、吊り上げを開始したときであって、対象物200の底面が地面に接地した状態から対象物200が地面から離間する前の対象物200の荷重、具体的には、対象物200が接地した状態での吊り上げ作業によりウインチ用ワイヤ323に加わる対象物200の荷重を検出可能に形成されている。
図3乃至図6に示すように、第2検出装置12は、地面に設置される基部21と、基部21に設けられるとともに、対象物200の側面に、異なる位置で複数箇所に接触するフレーム22と、フレーム22と接触する対象物200によってフレーム22に印加された水平方向の力を検出する検出手段23と、を備えている。第2検出装置12は、対象物200の側面に複数、例えば、図3乃至図6に示すように対象物200が六面体である場合は、四方の側面の略中央にそれぞれ配置される。
基部21は、フレーム22に印加された対象物200からの力によって、第2検出装置12が移動することを防止可能に形成されている。例えば、基部21は、対象物200の荷振れを検出するときに、対象物200による押圧によって移動しない重量を有して形成されるか、又は、地面に固定される。
フレーム22は、基部21に固定される、水平方向に延びる第1フレーム25と、第1フレーム25から二方向に分岐するとともに、その先端が対象物200に向かってそれぞれ水平方向に延びる第2フレーム26と、第2フレーム26の先端にそれぞれ設けられたローラ27と、を備えている。
第1フレーム25は、基部21から水平方向に延設されるとともに、第2フレーム26と一体に形成される。
第2フレーム26は、例えば、第1フレーム25の端部から鉛直方向で上下にそれぞれ延設されるとともに、屈曲することで水平方向であって、且つ、基部21から離間する水平方向に延設される。また、第2フレーム26は、上下に位置するその先端が、対象物200の側面に接触可能に、対象物200の上面よりも低い位置であって、且つ、対象物200の下面よりも高い位置に配置される。
具体的には、図3に示すように、第2フレーム26は、第1フレーム25から垂直方向で上方に延びる上方垂直アーム26aと、第1フレーム25から垂直方向で下方に延びる下方垂直アーム26bと、上方垂直アーム26aから水平方向に延びる上方水平アーム26cと、下方垂直アーム26bから水平方向に延びる下方水平アーム26dと、を備えている。このような、第2フレーム26は、側面視でコの字状に形成される。
ローラ27は、第2フレーム26の先端に回転可能に軸支されている。ローラ27は、対象物200の側面に接触可能に形成されている。
検出手段23は、例えば、歪みゲージである。検出手段23は、第1フレーム25に設けられ、対象物200によりローラ27が押圧されることで発生する第1フレーム25の歪みから、上方水平アーム26c及び下方水平アーム26dに印加された力(応力)を検出可能に形成されている。検出手段23は、信号線98を介して処理装置4に電気的に接続され、検出した対象物200による水平方向の力の情報を処理装置4に送信可能に形成されている。
このような第2検出装置12は、吊り上げ開始時にローラ27を介して第2フレーム26に加わる、対象物200の水平方向の力を検出可能に形成されている。即ち、第2検出装置12は、吊り上げを開始したときであって、対象物200の底面が地面に接地した状態から対象物200が地面から離間する前の対象物200の荷重、具体的には、対象物200が接地した状態での吊り上げ作業によりウインチ用ワイヤ323に加わる対象物200の荷重を検出可能に形成されている。
処理装置4は、検出装置インターフェイス(I/F)31と、記憶部32と、表示部33と、制御部39と、を備えている。処理装置4は、制御部39に、検出装置I/F31、記憶部32及び表示部33が、バスライン99等により接続されている。このような処理装置4は、パーソナルコンピュータ等の電子計算機である。処理装置4は、検出装置I/F31、記憶部32、表示部33及び制御部39が、処理装置4の外郭を形成する外郭体4aに収容される。
検出装置I/F31は、検出装置3と接続可能、より具体的には、第1検出装置11及び複数の第2検出装置12にそれぞれ接続可能に形成されている。
記憶部32は、検出装置3で検出された情報を記憶可能に形成されている。記憶部32は、検出装置3で検出された情報に基づいて制御部39で導出される情報を記憶可能に形成されている。記憶部32は、例えば、検出装置3で検出された情報から対象物200の偏心量を算出する計算式をプログラムとして記憶している。
記憶部32に記憶されたプログラムに用いられる計算式の一例を、図4乃至図6を用いて、以下説明する。なお、図4乃至図6中、Xは水平方向の一方向を、YはXに水平方向であってXと直交する方向を、Zは、鉛直方向を示す。
また、第1検出装置11で検出された対象物200のZ方向の荷重をT、対象物200の質量をm、吊り上げ時の第2検出装置12に加わる水平方向の力をF1,F2,F3,F4、垂直抗力をN、対象物200に加わる摩擦力をF01,F02、及び、対象物200の偏心量をa1,a2として説明する。また、対象物200の高さをc、第2検出装置12の上方水平アーム26cのローラ27から対象物200の天井面までの距離をc1,下方水平アーム26dのローラ27から天井面までの距離をc2、一方向の対象物200の一方の側面から対象物200の中心(又は吊り上げ位置)までの距離をb1、及び、他方向の対象物200の一方の側面から対象物200の中心(又は吊り上げ位置)までの距離をb2として説明する。
なお、図5に示すように、X方向の対象物200の対向する2つの側面にそれぞれ設けられる第2検出装置12の力をF1,F2と、同X方向の摩擦力をF01と、X方向の対象物200の側面から対象物200の中心までの距離をb1とする。同様に、図6に示すように、Y方向の対象物200の対向する2つの側面にそれぞれ設けられる第2検出装置12の力をF3,F4と、Y方向の摩擦力をF02と、Y方向の対象物200の側面から対象物200の中心までの距離をb2とする。
この場合には、鉛直及び水平方向の力とモーメントの釣り合い式は、数式(1)乃至数式(5)の関係となる。
対象物200が吊り上げられ、図4乃至図6に示すように、対象物200の重心Sが偏心している場合、例えば、(a1/b1)>(a2/b2)の場合を考慮すると、図5中、左下に位置する部位の底辺のみが接地することとなる。このときの力F1,F2を考慮すると、数式(6)及び数式(7)となる。
対象物200の底面の摩擦係数をμとすると、0≦F01≦μNとなることから、F1,F2は、F01=0の時に最大値となり、F01=μNの時に最小値となる。このため、偏心量a1は、数式(8)から求められる。
同様に、偏心量a2は、数式(9)から求められる。
これら求められた偏心量a1,a2が、正常な状態で吊り上げ可能な対象物200の吊り上げ位置、即ち、対象物200の中心からの偏心量である。このような計算式に基づいて偏心量を算出可能なプログラムが、記憶部32に記憶される。
表示部33は、例えば、液晶ディスプレイや、紙媒体として情報を表示するプリンタ等である。表示部33は、検出装置3で検知された情報及び制御部39で導出される情報を表示可能に形成されている。表示部33は、例えば対象物200の作業者が、表示される情報を視認可能に形成されている。
制御部39は、バスライン99を介して接続された検出装置I/F31、記憶部32及び表示部33と情報の送受信が可能に形成されている。また、制御部39は、検出装置I/F31及び記憶部32から受信した情報に基づいて、対象物200の情報を導出されている。
具体的には、制御部39は、以下の機能(1)乃至(4)を有している。
(1)対象物200の吊り上げ開始時の、対象物200の情報を検出する機能。
(2)検出装置3で検出された各情報から、対象物200の偏心量を算出する機能。
(3)対象物200の偏心量から、吊り上げ位置を導出する機能。
(4)対象物200の偏心量及び吊り上げ位置の少なくとも一方を表示させる機能。
次に、これら機能(1)乃至(4)について説明する。
機能(1)は、対象物200に吊上げ用ワイヤ325を設け、クレーン装置300により対象物200の吊り上げを開始したときであって、且つ、対象物200が接地状態にあるときの、第1検出装置11及び第2検出装置12で検出される力を検出する機能である。
より具体的には、吊り上げ作業を開始すると、対象物200が地面から離れる前に、対象物200の重量がウインチ用ワイヤ323に加わり、この重量によってウインチ用ワイヤ323に張力が加わる。この張力によって第1検出装置11で検出された対象物200の荷重の情報を受信し、記憶部32に記憶する。
また、対象物200の重量がウインチ用ワイヤ323に加わると、対象物200の重心が吊り上げ位置に対して偏心している場合には、対象物200が吊り上げ方向に対して傾斜する。このため、対象物200が接地した状態でも、水平方向の力が発生する。この、第1検出装置11で荷重が検出されたときの第2検出装置12でそれぞれ検出された水平方向の力の情報を受信し、記憶部32に記憶する。このように、機能(1)は、対象物200が接地状態で検出された重力方向の荷重及び水平方向の力を第1検出装置11及び第2検出装置12でそれぞれ検出する機能である。
機能(2)は、機能(1)で検出された対象物200の荷重及び水平方向の力から、対象物200の吊り上げ位置に対する偏心量a1,a2を、記憶部32に記憶されたプログラムにより算出し、記憶部32に記憶する機能である。
機能(3)は、機能(2)で算出された偏心量a1,a2及び現在の吊り上げ位置から、重心上に吊り上げ位置が位置するように、元の吊り上げ位置からの移動量又は調整時の対象物200の上面における吊り上げ位置の座標を算出し、記憶部32に記憶する機能である。
機能(4)は、機能(2)及び機能(3)で算出され、記憶部32に記憶された偏心量a1,a2及び新たに調整する吊り上げ位置の少なくとも一方を、作業者が対象物200の吊り上げ位置を変更可能に、表示部33に表示する機能である。
次に、このように構成された荷振れ検出装置1を用いたクレーン装置300による対象物200の吊り作業について、図7に示す流れ図を用いて説明する。
まず、作業者は、対象物200を吊り上げ作業を行う準備を行う(ステップST1)。具体的には、対象物200の略中心に、クレーン装置300のフック324を配置し、吊り上げ用ワイヤ325を対象物200及びフック324に設置させる。
次に、作業者は、クレーン装置300を操作して、対象物200を吊り上げる(ステップST2)。対象物200の吊り上げを開始後であって、且つ、対象物200の底面が地面に接触した状態において、第1検出装置11により荷重が検出されたら、制御部39は、第1検出装置11及び第2検出装置12により、対象物200の情報である荷重及び水平方向の力を検出し(ステップST3)、記憶部32に記憶させる。なお、作業者は、対象物200の情報が第1検出装置11及び第2検出装置12で検出後、対象物200が地面から離れる前に、クレーン装置300の操作を停止する。
制御部39は、検出した荷重及び水平方向の力から偏心量a1,a2を算出し(ステップST4)、記憶部32に記憶する。また、制御部39は、算出した偏心量a1,a2又は偏心量a1,a2に基づいた新たな吊り上げ位置を表示部33に表示する(ステップST5)。
作業者は、表示部33に表示された偏心量a1,a2に基づいて、吊り上げ位置の調整を行う(ステップST6)。具体的には、作業者は、表示部33に表示された情報に基づき、クレーン装置300を駆動してフック324を吊り上げ位置を調整し、その後、再び、対象物200を吊り上げる。このとき、偏心量a1,a2に基づいて再調整された吊り上げ位置は、対象物200の重心上に配置されることから、対象物200は、荷振れが発生することなく、吊り上げられる。このような工程によって、対象物200の吊り上げ作業が行われる。
このように構成された荷振れ検出装置1によれば、対象物200を一度吊り上げることで算出した偏心量a1,a2に基づいた新たな吊り上げ位置で対象物200を吊り上げることが可能となり、吊り上げ作業における対象物200の荷振れを防止できる。
具体的に説明すると、対象物200の重心から偏心した位置で対象物200を吊り上げると、重心を中心とする回転モーメントが発生することから、対象物200が地面から離間すると、対象物200の傾斜や揺動が発生すること等により、対象物200が傾斜された状態で吊り上げられる虞や、荷振れが発生する虞がある。
しかし、荷振れ検出装置1によれば、対象物200が地面に接触した接地状態で吊り上げ位置に対する偏心量を求め、その後、求めた偏心量に基づいて吊り上げ位置を調整することが可能となる。このため、従来の吊り上げ作業における、吊り上げ位置の変更を、対象物200が地面から離間した状態で対象物200を目視し、対象物200の傾きから予測して調整する作業を行う必要がない。このため、対象物200を地面から離間するまで吊り上げたときに、対象物200の荷振れが発生することを防止可能となる。
さらに、吊り上げ荷重がT>(b−a)mg/bの時に対象物200の水平方向の力(移動応力)が発生することから、対象物200が地面に接地した状態で吊り上げても第2検出装置12で検出することが可能となる。
また、このような吊り上げ作業においては、偏心量が大きいほど、対象物200が地面から離したときに、より荷振れや傾斜が発生する。しかし、荷振れ検出装置1によれば、偏心量が大きいほど、対象物200の水平方向の力を第2検出装置12で検出することが可能となる。このため、吊り上げ位置に対して偏心量が多くても、対象物200を地面から離れる前に、確実に偏心量を求めることが可能となり、安全に吊り上げ作業を行うことが可能となる。
また、従来の対象物200が地面から離間した状態で対象物200を目視して調整する作業においては、繰り返しの吊り上げ位置の調整が必要となる。しかし、荷振れ検出装置1によれば、一度だけ対象物200を吊り上げて、対象物200の荷重及び水平方向の力を検出するだけで偏心量を求めることが可能となる。このため、荷振れ検出装置1を用いることで、吊り上げ位置の調整を繰り返し行う必要がなく、吊り上げ作業の工程を低減することが可能となる。
上述したように本発明の第1の実施形態に係る荷振れ検出装置1によれば、吊り上げ作業を行う対象物200を地面に接触させた状態で、対象物200の重心の偏心量を検出することが可能となり、吊り上げ作業時に対象物200の荷振れ等の発生を防止できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る荷振れ検出装置1Aを用いた確認装置100を、図8乃至図10を用いて説明する。
図8は本発明の第2の実施形態に係る確認装置100の構成を模式的に示す説明図、図9は確認装置100の構成を模式的に示す説明図、図10は確認装置100を用いた吊り下げ作業の一例を示す流れ図である。なお、第2の実施形態に係る確認装置100のうち、第1の実施形態に係る荷振れ確認装置100と同様の構成には同一符号を用いて説明する。
確認装置100は、吊り上げ作業を行う対象物200の状態を確認者210が確認し、吊り上げ位置に異常がある場合には対象物200の吊り上げ位置を変更し、当該確認した吊り上げ位置が正常である場合に、当該確認の終了の情報を入力することで、当該確認が終了したことを報知するとともに、当該作業の次工程へと移行させる装置である。具体的には、確認装置100は、対象物200の移動作業における吊り上げ作業工程から次工程へと移行する際の、対象物200の吊り上げ作業の確認を確実に行なわせるための補助を行う装置である。
図8及び図9に示すように、確認装置100は、荷振れ検出装置1Aと、指示装置2と、を備えている。なお、確認装置100は、荷振れ検出装置1A及び指示装置2の間において、無線又は有線により、情報を信号として送受信可能に形成されている。本実施の形態においては、無線により荷振れ検出装置1及び指示装置2の間において情報を送受信可能な構成を用いて説明する。
図8に示すように、荷振れ検出装置1Aは、検出装置3と、検出装置3で検知された対象物200の情報に基づいて、対象物200の荷振れの発生の虞を、吊り上げ位置及び対象物200の重心から検出する処理装置4Aと、を備えている。
処理装置4Aは、検出装置I/F31と、第1記憶部32と、表示部33と、送信部34と、第2記憶部35と、受信部36と、報知部37と、制御部39と、を備えている。処理装置4Aは、制御部39に、検出装置I/F31、第1記憶部32、表示部33、送信部34、第2記憶部35、受信部36及び報知部37が、バスライン99等により接続されている。このような処理装置4Aは、パーソナルコンピュータ等の電子計算機である。処理装置4Aは、検出装置インターフェイス(I/F)31、記憶部32、表示部33及び制御部39が、処理装置4Aの外郭を形成する第1外郭体4aに収容されるとともに、第2記憶部35、受信部36及び報知部37が、第1外郭体4aと別体に、処理装置4Aの外郭を形成する第2外郭体4bに収容される。第2外郭体4bは、例えば、作業者の立ち位置から視認性が良い位置に配置される。
第1記憶部32は、記憶部32である。第1記憶部32には、さらに、対象物200の正常な姿勢、換言すると、対象物200の傾斜や荷振れが発生せず、安全に吊り上げ作業を行うことが可能な正常な状態で重心位置に対する吊り上げ位置の情報が閾値として記憶されている。
送信部34は、例えば、有線又は無線によって、第1記憶部32及び第2記憶部35に記憶された情報を指示装置2に送信可能に形成されている。送信部34は、指示装置2に、吊り上げ作業の継続の可否の情報、例えば、表示部33に表示される情報と同等の情報、又は、報知部37に報知される情報と同等の情報を送信可能に形成されている。
第2記憶部35は、指示装置2から入力された情報の記録が可能に形成された記録装置である。また、第2記憶部35は、記録した情報を表示部33に出力可能に形成されている。受信部36は、指示装置2から無線又は有線によって送信された信号を受信可能に形成されている。
報知部37は、検出装置3により検知された情報に基づいて作業の状態を報知可能に形成されている。具体的には、報知部37は、対象物200の吊り上げ位置が正常若しくは異常、及び/又は、対象物200が正常である場合であって、次の作業へと移行可能であるか否かを報知可能に形成されている。例えば、報知部37は、異なる色に発光する複数、具体的には第1〜第3信号部37R,37Y,37Bを備えている。例えば、第1信号部37Rは赤色に、第2信号部37Yは黄色に、第3信号部37Bは青色にそれぞれ発光する。
報知部37は、検出装置3により検知された情報及び指示装置2により入力された情報に基づいて、複数の光、文字若しくは記号、又は、音等により報知可能に形成された報知装置である。なお、報知部37は、確認者210だけでなく、例えば、作業者や作業現場にいる者にも報知可能に形成されていることが望ましい。
制御部39は、さらに、以下の機能(5)乃至(8)を有している。
(5)対象物200の吊り上げ作業の継続の可否を判断する機能。
(6)対象物200の吊り上げ作業の継続の可否を報知する機能。
(7)対象物200の吊り上げ作業が継続可能な情報を指示装置2に送信する機能。
(8)指示装置2で吊り上げ作業確認の入力を受信する機能。
次に、これら機能(5)乃至(8)について説明する。
機能(5)は、吊り上げ作業時において、処理装置4Aで算出された偏心量が、吊り上げ作業を継続できる偏心量であるか否か、即ち、吊り上げ作業を継続した場合に、対象物200の荷振れが発生しない吊り上げ位置であるか否かを判断する機能である。
具体的には、機能(2)で算出された偏心量と第1記憶部32に記憶された閾値とを比較し、偏心量が閾値よりも小さい場合には、吊り上げ作業を継続可と判断する。また、機能(2)で算出された偏心量と第1記憶部32に記憶された閾値とを比較し、偏心量が閾値よりも大きい場合には、吊り上げ作業を継続不可と判断する。このように、機能(5)は、算出された偏心量と、記憶部32に記憶された閾値とを比較し、安全に吊り上げが可能であるか否かを判断する機能である。
機能(6)は、機能(5)で判断された吊り上げ作業の継続の可否を、報知部37により報知する機能である。具体的には、機能(5)で吊り上げ作業の継続不可と判断された場合には、吊り上げ作業を停止し、且つ、吊り上げ位置の再調整を行う旨を報知するために、第1信号部37Rを発光させる。なお、吊り下げ位置が対象物200の重心よりもずれており、且つ、閾値よりも偏心量が大きい場合には、荷振れが発生することを意味することから、荷振れの発生を検出した旨の情報を表示部34にさらに表示してもよい。
機能(5)で吊り上げ作業の継続可と判断された場合には、吊り上げ位置が正常である旨を報知するために、第2信号部37Yを発光させるとともに、指示装置2で吊り上げ作業の継続が可能である旨の確認が入力された場合には、吊り上げ作業の再開始を報知する第3信号部37Bを発光させる。このように、機能(6)は、吊り上げ作業の継続の可否を対象物200の作業者及び確認者210に報知する機能である。
機能(7)は、機能(5)で吊り上げ作業の継続可と判断された場合に、指示装置2にその情報を送信する機能である。
機能(8)は、機能(5)で吊り上げ作業が継続可と判断され、機能(6)で第2信号部37Yの発光を確認した確認者210が、指示装置2によって入力された吊り上げ作業の継続確認の情報を受信する機能である。
なお、制御部39は、機能(8)で指示装置2による入力情報を受信した場合には、機能(5)によって作業確認が指示されたと判断し、機能(6)により第3信号部37Bを発光させる。また、第1記憶部32及び第2記憶部35に、指示装置2による入力情報を記憶させる。
指示装置2は、受信装置51と、報知装置52と、入力装置53と、表示装置54と、を備えている。指示装置2は、例えば対象物200の吊り上げ作業時の確認を行う確認者210が携帯可能、又は、確認者210が対象物200の確認を行う位置の近くに配置される。
受信装置51は、送信部34で送信された無線信号を受信可能に形成されている。
報知装置52は、受信装置51に電気的に接続されている。報知装置52は、受信装置51で受信された情報を報知可能に形成されている。報知装置52は、例えば、当該情報を、音、振動、又は、光等の確認者210が認識できる手段により報知可能に形成されている。なお、報知装置52は、少なくとも確認者210に報知可能に形成されていればよい。
入力装置53は、確認者210の指示、即ち、対象物200の状態が目視確認での確認によって正常であって、且つ、報知部37及び報知装置52で吊り上げ作業の継続可の情報が報知され、その後、対象物200の状態の目視確認が完了した旨を入力可能に形成されている。この入力装置53は、例えば、加速度センサと、無線により情報を送信する送信装置を有する。
入力装置53は、確認者210が入力装置53を把持して指差呼称の指差動作を行うことで、当該加速度センサが指差呼称の指差動作を検知し、吊り上げ作業を継続してよい旨の確認者210の指示として当該確認情報を入力可能に形成されている。また、入力装置53は、制御部39により第2信号部37Yが発光しているとき、換言すると、対象物200の状態が正常である場合にのみ、当該確認情報を入力可能に形成されている。例えば、制御部39が第2信号部37Yを発光させるとともに、入力装置53に確認情報を入力可能な待機状態とする信号を送信し、この信号を指示装置2で受信することで、入力装置53は待機状態に切り替え可能となる。
表示装置54は、例えば、受信装置51で受信した情報を文字若しくは記号により表示可能に形成されている。表示装置54は、例えば、指示装置2に設けられた、小型のディスプレイ等である。
このような指示装置2は、図8に示すように、受信装置51、報知装置52及び表示装置54が一体に内蔵された、携帯可能な第1携帯装置2aと、入力装置53が内蔵された、携帯可能な第2携帯装置2bと、により構成される。
例えば、第1携帯装置2aは、腕に巻きつけることが可能な腕時計型や、確認者210の作業服のポケット等に収納可能に形成された小型ディスプレイによって構成される。図8中においては、第1携帯装置2aは、腕時計型として確認者210の腕に装着された構成を示す。
例えば、第2携帯装置2bは、確認者210が把持可能に形成されている。なお、第2携帯装置2bは、入力装置53を内部に収容することから、第2携帯装置2bを握持した状態で指差呼称を行うことで確認情報を無線により処理装置4Aに入力可能に構成されている。即ち、確認者210が確認終了の指示の入力として、第2携帯装置2bを握持した状態で指差呼称を行うことで、第2携帯装置2bの移動を加速度センサが検出し、検出した情報を、確認者210により対象物200の目視確認が終了した確認情報として、当該確認情報を処理装置4Aに入力可能に形成されている。
次に、このように構成された確認装置100を用いた吊り上げ作業について、図10に示す流れ図を用いて説明する。
まず、作業者は、対象物200を吊り上げ作業を行う準備を行う(ステップST11)。具体的には、対象物200の略中心に、クレーン装置300のフック324を配置し、吊り上げ用ワイヤ325を対象物200及びフック324に設置する。
次に、作業者は、クレーン装置300を操作して、対象物200を吊り上げる(ステップST12)。対象物200の吊り上げを開始後であって、対象物200が地面から離間しない状態において、第1検出装置11により荷重が検出されたら、制御部39は、第1検出装置11及び第2検出装置12により、対象物200の情報である荷重及び水平方向の力を検出し(ステップST13)、第1記憶部32に記憶させる。なお、作業者は、対象物200の情報が検出されたら、対象物200が地面から離れる前に、クレーン装置300の操作を停止する。
制御部39は、検出した荷重及び力から偏心量a1,a2を算出し、第1記憶部32に記憶するとともに、算出した偏心量と第1記憶部32に記憶された閾値とを比較し、吊り上げ作業の継続の可否を判断する(ステップST14)。吊り上げ作業の継続不可の判断がなされた場合、即ち、対象物200の吊り上げ位置が閾値から外れている、即ち、吊り上げ位置が許容範囲外である状態異常である場合(ステップST14のYES)には、制御部39は、算出した偏心量a1,a2又は偏心量a1,a2に基づく新たな吊り上げ位置を表示部33に表示する(ステップST15)。
作業者は、表示部33に表示された偏心量a1,a2に基づいて、吊り上げ位置の調整を行うとともに、再び対象物200を吊り上げる(ステップST16)。制御部39は、対象物200の吊り上げを開始後であって、対象物200が地面から離間しない状態において、第1検出装置11及び第2検出装置12により荷重及び水平方向の力を検出し(ステップST17)、第1記憶部32に記憶させる。なお、作業者は、対象物200の情報が検出されたら、対象物200が地面から離れる前に、クレーン装置300の操作を停止する。
制御部39は、検出した荷重及び力から偏心量a1,a2を算出して第1記憶部32に記憶するとともに、算出した偏心量と第1記憶部32に記憶された閾値とを比較し、吊り上げ位置調整後の吊り上げ作業の継続の可否を判断する(ステップST18)。吊り上げ作業の継続不可の判断がなされた場合(ステップST18のNO)には、制御部39は、再びステップST15に戻り、偏心量を表示部33に表示させ、以下、ステップST16以降の工程を行う。
制御部39により吊り上げ作業の継続可の判断がなされた場合、即ち、対象物200の吊り上げ位置が閾値内である、即ち、吊り上げ位置が吊り上げ作業を行うことが可能な許容範囲内である状態正常である場合(ステップST18のYES)には、制御部39は第2信号部37Yを発光させる(ステップST19)。また、制御部39は、当該情報を指示装置2に送信し、報知装置52によって吊り上げ作業の継続可である旨を報知する。また、制御部39は、入力装置53に信号を送信し、入力装置53により確認情報を入力可能に、入力装置53を待機状態とする。
なお、ステップST14において、制御部39によって吊り上げ作業の継続可の判断がなされた場合(ステップST14のNO)においても、同様に、第2信号部37Yを発光させる(ステップST19)とともに、報知装置52に吊り上げ作業の継続可である旨を報知し、入力装置53により確認情報を入力可能に、入力装置53を待機状態とする。
確認者210は、報知部37及び報知装置52により報知された吊り上げ作業の継続可である情報、及び、対象物200の状態の双方の目視確認を行う(ステップST20)。確認者210は、対象物200に異常がない場合には、入力装置53(第2携帯装置2b)を把持した状態で指差呼称を行うことにより確認完了である確認情報を入力する(ステップST21)。
制御部39は、入力装置53で入力された確認情報を検出すると、当該確認情報を第2記憶部35に記憶させるとともに、第3信号部37Bを発光させる。作業者は、第3信号部37Bの発光を確認すると、吊り上げ作業を再開し、対象物200を地面から離間させて、対象物200を吊り上げ、所定の位置に移動させる(ステップST23)。これらの工程により、対象物200の吊り上げ位置を調整し、荷振れを防止するとともに、確認者210によって作業の継続が確認されることで、吊り上げ作業が行われる。
このように構成された確認装置100によれば、上述した荷振れ検出装置1と同様に、荷振れ検出装置1Aによって、吊り上げ作業を行う対象物200を地面に接触させた状態で、対象物200の重心の偏心量を検出することが可能となる。即ち、荷振れ検出装置1Aで偏心量を検出することで、対象物200の荷振れの発生を検出することが可能となる。これにより、荷振れ検出装置1Aを用いることで、安全、且つ、少ない作業工程で対象物200の吊り上げ位置に調整することが可能となる。
また、確認装置100は、表示部33、報知部37、報知装置52及び表示装置54により、荷振れ検出装置1Aで検出した対象物200の状態を確認可能となる。また、当該報知部37及び報知装置52により確認した対象物200の状態が正常の場合には、入力装置53により対象物200の目視確認の終了及び次工程への移行指示を入力することで、確実に対象物200の確認作業を行うことができる。
また、当該確認作業は、対象物200の吊り上げ位置が状態正常である情報、並びに、対象物200の状態の目視確認及び入力装置53による確認情報の入力の情報を第1記憶部32及び第2記憶部35に記憶可能であるため、吊り上げ作業時における確認作業の実施の有無の管理が容易となる。
また、対象物200の状態の確認及び次工程への作業移行の可否を、報知部37及び報知装置52により確認するとともに、当該確認の終了は、対象物200の状態が正常なときに待機状態となった入力装置53を用いて確認者210が確認終了の入力を行う手順が必要である。このため、対象物200の状態の確認及び作業移行を、経験則等や確認者210の感覚等によらず、且つ、形式的な確認とすることなく、確認者210に確実に確認させることが可能となる。
即ち、確認装置100を用いて当該対象物200の状態を検出し、当該検出した対象物200の状態と、確認者210の目視確認とを対比連動して、確実に確認作業を行なうことが可能となる。また、対象物200の状態の確認は、報知部37及び報知装置52の報知に基づいて確認することが可能となり、作業性が向上する。
さらに、当該確認装置100は、対象物200の状態が異常である場合の対象物200の作業の継続を防止することが可能となる。より具体的には、第1信号部37R又は第2信号部37Yが発光している状態で次工程を行うと、確認作業が終了していないことが明白となるとともに、確認作業も第1、第2記憶部32、35に記憶される。このため、確認作業における責任を明確とし、形式的な確認作業を抑制することで、結果ヒューマンエラーの防止が可能となる。
また、入力装置53は、判断された対象物200の状態が正常であるときにのみ、制御部39により待機状態とされ、入力することを可能とすることで、対象物200の状態が異常であるときに、次工程へと移行することを防止することが可能となる。これにより、確認装置100及び確認作業の信頼性を向上することが可能となる。
さらに、入力装置53は、指差呼称時に指差しを行う手の移動を加速度センサで検出することにより確認情報の入力を行う構成とすることで、確認者210に指差呼称を確実に行わせることが可能となる。
上述したように確認装置100によれば、吊り上げ作業を行う対象物200を地面に接触させた状態で、対象物200の重心の偏心量を検出することが可能、且つ、検出装置3で検知した対象物200の状態に基づいて確認作業を行うことが可能となる。これにより、確認装置100は、対象物200の状態の確認が容易、且つ、確実に行なうことが可能となる。
(第3の実施形態)
以下、上述した第1、第2の実施形態に係る荷振れ検出装置1、1Aの変形例である、本発明の第3の実施形態に係る荷振れ検出装置1Bを、図11を用いて説明する。なお、第3の実施形態に係る荷振れ検出装置1Bのうち、上述した第1、第2の実施形態に係る荷振れ検出装置1、1Aと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11は本発明の第3の実施形態に係る荷振れ検出装置1Bの構成を模式的に示す説明図である。
荷振れ検出装置1Bは、検出装置3Bと、処理装置4又は処理装置4Aと、を備えている。本実施形態においては、荷振れ検出装置1Bは、処理装置4を備える構成を用いて説明する。なお、荷振れ検出装置1Bは、処理装置4Aを用いた場合には、確認装置100に用いることが可能である。
荷振れ検出装置1Bは、吊り上げを行う対象物200をクレーン装置300で吊り上げることで対象物200の搬送、移動及び据付等を行う場合に、吊り上げ時の対象物200の荷振れの発生の虞を、吊り上げ位置と対象物200の重心から検出する装置である。
検出装置3Bは、対象物200の横方向、換言すると水平方向の力を検出する複数の検出装置12を備えている。
処理装置4は、記憶部32は、上述した数式(1)乃至数式(9)を用いたプログラム、及び、複数の検出装置12で検出された情報から制御部39によって対象物200の質量を算出する計算式をプログラムとして記憶している。なお、当該プログラムで用いる計算式は、対象物200の吊り上げ作業を二回行うことで、質量を推定し、推定した質量に基づいて偏心量を求める計算式である。
記憶部32に記憶されたプログラムに用いられる計算式の一例を、以下説明する。なお、一回目の吊り上げ作業時の図5中において対象物200の左下に位置する角周りの(稜部を中心とする)荷重モーメントをC0と、二回目の吊り上げ作業時の図5中において対象物200の右下に位置する角周りの(稜部を中心とする)荷重モーメントをCとする。
まず、一回目の吊り上げ作業として、対象物200の略中心位置を吊り上げ位置として、吊り上げ作業を行い、対象物200が地面に接地した状態で、検出装置12で水平方向の力を検出した場合の、図5中左下に位置する対象物200の稜部を中心とした回転モーメントのつり合いは、数式(10)の関係となる。
次に、二回目の吊り上げ作業として、対象物200の一回目の吊り上げ位置からΔbだけ位置をずらして吊り上げ作業を行い、対象物200が地面に接地した状態で検出装置12で水平方向の力を検出した場合の、図6中右下に位置する対象物200の稜部を中心とした回転モーメントのつり合いは、数式(11)の関係となる。
これらの数式(10)及び数式(11)から、質量mは数式(12)の関係となる。
このような計算式に基づいて対象物200の質量mを算出可能なプログラムが、記憶部32にさらに記憶される。制御部39は、記憶部32に記憶されたプログラムにより、対象物200の質量を推定し、偏心量を算出する。
このように構成された荷振れ検出装置1Bによれば、上述した荷振れ検出装置1,1Aと同様に、対象物200の偏心量を求めることが可能となり、算出した偏心量に基づいて吊り上げ位置を調整することで、荷振れを防止し、安全に吊り上げ作業を行うことが可能となる。また、荷振れ検出装置1Bによれば、吊り上げ開始時の対象物200の荷重を計測しなくても、異なる吊り上げ位置で二回、対象物200を吊り上げることで、偏心量を検出することが可能となる。
(第4の実施形態)
以下、上述した第1乃至第3の実施形態に係る荷振れ検出装置1、1A、1Bの変形例である、本発明の第4の実施形態に係る荷振れ検出装置1Cを、図12を用いて説明する。なお、第4の実施形態に係る荷振れ検出装置1Cのうち、上述した第1乃至第3の実施形態に係る荷振れ検出装置1、1A、1Bと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12は本発明の第4の実施形態に係る荷振れ検出装置1Cの構成を模式的に示す説明図である。
図12に示すように、荷振れ検出装置1Cは、クレーン装置300を用いた対象物200の吊り作業であって、特に、確認者210による対象物200の傾斜に対する確認作業に用いられる。
荷振れ検出装置1Cは、検出装置3Bと、処理装置4又は処理装置4Aと、荷重印加装置5と、を備えている。本実施形態においては、荷振れ検出装置1Cは、処理装置4を備える構成を用いて説明する。なお、荷振れ検出装置1Cは、処理装置4Aを用いた場合には、確認装置100に用いることが可能である。
荷振れ検出装置1Cは、吊り上げを行う対象物200をクレーン装置300で吊り上げることで対象物200の搬送、移動及び据付等を行う場合に、吊り上げ時の対象物200の振れを検出する装置である。
処理装置4の制御部39は、記憶部32に記憶された上述した数式(1)乃至数式(12)を用いたプログラムを用いるとともに、対象物200の吊り上げ作業を二回行うことで、荷重を推定し、推定した荷重に基づいて偏心量を算出する。
荷重印加装置5は、対象物200の上面に任意の荷重を印加可能に形成されている。荷重印加装置5は、一回目の吊り上げ作業後に、吊り上げ位置は同一の位置のまま、対象物200上に荷重を印加することで、対象物200の検出装置12により検出される水平方向の力を変化させる。
このように構成された荷振れ検出装置1Cは、二回目に印加する荷重に基づいて、C0、Cを算出し、算出したCから質量mを求めることで、偏心量を求めることが可能となる。
このように構成された荷振れ検出装置1Cによれば、上述した荷振れ検出装置1,1Bと同様に、対象物200の偏心量を求めることが可能となり、算出した偏心量に基づいて吊り上げ位置を調整することで、荷振れを防止し、安全に吊り上げ作業を行うことが可能となる。また、荷振れ検出装置1Cによれば、吊り上げ開始時の対象物200の荷重を計測しなくても、二回目の吊り上げ作業時に、対象物200に任意の荷重を荷重印加装置5により印加することで、偏心量を検出することが可能となる。
なお、本発明は前述した各実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、表示装置54は、指示装置2にのみ設けられる構成としたが、クレーン装置300の作業者にも報知可能なように、作業者が視認可能な表示装置を別途設けてもよい。
また、上述した例では、第2検出装置12は、第2フレーム26の上方垂直アーム26a及び下方垂直アーム26bに上方水平アーム26c及び下方水平アーム26dをそれぞれ設ける構成を説明したが、さらに水平アームを設ける構成であってもよい。また、フレーム22は、ローラ27を有さない構成であってもよく、また、各水平アーム26c、26dの先端を球面状とする構成であってもよい。また、第2検出装置12は、検出手段23を第1フレーム25に設ける構成を説明したが、第2フレーム26の各水平アーム26c、26dにそれぞれ設ける構成であってもよい。
また、上述した例では、対象物200を六面体の構成を用いて説明したが、これに限定されず、多角柱状の対象物200であっても検出可能である。即ち、吊り上げ作業時であって、且つ、対象物200が地面に接触した状態での、対象物200の水平方向の力を複数個所で検出可能であれば、適宜設定可能である。
また、上述した記憶部32に記憶されたプログラムに用いられる計算式は、上述した例に限定されず、吊り上げ作業によって吊り上げ位置と重心のずれにより発生する対象物200の力に基づいて偏心量を検出可能であれば、適宜設定可能である。
また、上述した荷振れ検出装置1、1A、1Bは、当然、対象物200が地面から一部が離間した状態で検出された力からも偏心量を検出可能となる。但し、荷振れ検出装置1、1A、1Bは、対象物200が接地した状態で検出可能な吊り上げ時の力により偏心量を検出することで、吊り上げ位置が対象物200の重心から偏心した状態で対象物200を吊り上げた場合に発生する荷振れを防止できることが可能であることから、設置した状態での力により、偏心量を算出し、吊り上げ位置を調整することが好ましい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。