JP6426393B2 - 炭素含有紙 - Google Patents
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Description
本発明について以下詳細に説明する。本発明の炭素含有紙は、積み重ねられた繊維の層を備える。繊維の層は、繊維に加え、鱗片状の炭素同素体を含む。
まず、本発明の繊維の層を構成する繊維について説明する。本発明の繊維の層は、何種類の繊維を含んでもよい。本発明の繊維の層が含む繊維の種類は特に限定されない。本発明の繊維の層が含む繊維の例には、植物繊維、合成繊維、再生繊維、動物繊維、ガラス繊維がある。植物繊維の例には、パルプ、麻、コウゾ、ミツマタ、ガンピ、マユミ、綿がある。合成繊維の例には、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリオレフィン、ポリウレタンがある。再生繊維の例には、レーヨン、キュプラ、リヨセル、アセテートがある。動物繊維の例には、羊毛、絹、モヘヤ、カシミア、キャメル、アンゴラがある。
本発明の炭素同素体について説明する。本発明の炭素同素体は鱗片状である。その外縁形状は特に限定されない。例えば、本発明の炭素同素体の外縁形状は円形でも楕円形でも矩形でも正方形でもその他の形でもよい。本発明の炭素同素体は、差し渡しが100マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下である。本発明の炭素同素体は、差し渡しより十分に薄いことが望ましい。
本発明の繊維の層は、繊維及び炭素同素体に加え、添加物を含んでもよい。添加物の種類は特に限定されない。添加物の例には、デンプン及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの紙力増強剤、界面活性剤、ポリエチレングリコールなどの変色抑制剤がある。
本発明にかかる炭素含有紙のある製造方法は、混合工程と紙すき工程と脱水乾燥工程とを備える。混合工程は繊維と炭素同素体と添加物と液体(例えば水)とを混合する工程である。この工程において、炭素同素体が水中で分散しやすくなるための添加物(例えばアセトン及びエタノール)が添加されてもよい。混合のための具体的手段は特に限定されない。その手段の例には周知の撹拌装置で撹拌するというものがある。紙すき工程は繊維と炭素同素体と添加物と液体との混合物を網又は紙すき簾上に広げる工程である。これにより、液体は網又は紙すき簾を通り抜けて落ちる一方、繊維と炭素同素体と添加物とは網上又は紙すき簾上に残る。紙すきのための具体的手段は周知なのでここでは説明されない。脱水乾燥工程は網又は紙すき簾の上に残った繊維と炭素同素体と添加物とから水分を除去する工程である。水分を除去するための具体的手段は特に限定されない。その手段の例には天日乾燥がある。天日乾燥の具体的手順は周知なのでここでは説明されない。もちろん、本発明にかかる炭素含有紙の製造方法はこれに限定されない。
本発明にかかる炭素含有紙は様々な用途に利用できる。その用途の例にはヒータ用熱源がある。その他の用途の例には電磁波遮蔽用壁材と電池の負極とがある。本発明にかかる炭素含有紙をヒータ用熱源として使用する場合、本発明にかかる炭素含有紙には電極が取り付けられる。電極を介して本発明にかかる炭素含有紙へ電流が流されると、本発明にかかる炭素含有紙は発熱する。本発明にかかる炭素含有紙へ電極を取り付けるための具体的手順は、ここでは説明されない。その手順が導電性を有する周知の紙へ電極を取り付けるための手順と同様だからである。本発明にかかる炭素含有紙を電磁波遮蔽用壁材として使用する場合、本発明にかかる炭素含有紙は建物の壁内に取り付けられる。本発明にかかる炭素含有紙を建物の壁内に取り付けるための具体的手順は、ここでは説明されない。その手順が周知のシートを建物の壁内に取り付けるための手順と同様だからである。本発明にかかる炭素含有紙を電磁波遮蔽用壁材として使用する場合、本発明にかかる炭素含有紙が壁紙として建物の壁に貼られてもよい。本発明にかかる炭素含有紙を壁紙として建物の壁に貼るための具体的手順も、ここでは説明されない。その手順が周知の壁紙を建物の壁に貼るための手順と同様だからである。本発明にかかる炭素含有紙を電池の負極として使用する場合、本発明にかかる炭素含有紙は正極箔及びセパレータと共に渦巻状に巻かれ、電解液が入った電池ケース内に収容される。本発明にかかる炭素含有紙を電池の負極として正極箔及びセパレータと共に電解液が入った電池ケース内に収容するための具体的手順は、ここでは説明されない。その手順が、周知の負極を正極箔及びセパレータと共に電解液が入った電池ケース内に収容するための手順と同様だからである。なお、その他の用途の例には、静電気から精密電子部品を守るための帯電防止材がある。
混合工程において、作業者は、まず模造紙(株式会社大塚商会製TMM−W)の一部をミキサー(テスコム電機株式会社製TM840)で粉砕することにより1.0重量%のスラリーを製造した後、このスラリーにその粉砕された模造紙と同じ質量の炭素同素体粉末を混入した。この炭素同素体は、予め加熱された膨張黒鉛に超臨界状態の二酸化炭素を侵入させ、その二酸化炭素を気化させることにより、膨張黒鉛を粉末化させたものである。この炭素同素体は、2層以上30層以下のグラフェンの層を有していた。この炭素同素体の差し渡しはいずれも10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下であった。この炭素同素体の差し渡しの最頻値は100マイクロメートルであった。すなわち、このスラリー中には、差し渡しが約100マイクロメートルであるグラフェンを有する炭素同素体が多く含まれていた。模造紙を粉砕することにより得られた繊維の差し渡しは15マイクロメートル以上25マイクロメートル以下であった。炭素同素体が混入されたスラリーは、上述されたミキサーによって撹拌された。紙すき工程において、作業者は、炭素同素体が混入されたスラリーを紙すき簾上に広げた。この紙すき簾の大きさは、145ミリメートル×100ミリメートルであった。この紙すき簾は、52本の竹ひごが糸で連結されたものであった。この紙すき簾における竹ひご間の隙間は450マイクロメートルであった。この竹ひごの向きは紙すき簾の長辺に沿っていた。これにより、スラリー中の水分は紙すき簾を通り抜けて落ちた。模造紙の繊維と炭素同素体とは紙すき簾上に残った。脱水乾燥工程において、作業者は、紙すき簾の上に残った繊維と炭素同素体とを乾燥させた。これにより、紙すき簾の上に残った繊維と炭素同素体とから水分が除去された。水分が除去されたことにより、本実施例にかかる炭素含有紙が完成した。この炭素含有紙の表面抵抗率は4.1オーム/スクウェアであった。図1はこの炭素含有紙の顕微鏡画像を示す。図1において白っぽく写っている細長いものが模造紙の繊維である。その他の鱗片状の物体が炭素同素体である。図1によれば、本実施例にかかる炭素含有紙においては、炭素同素体同士の間に繊維が挟まれている。また、炭素同素体同士が接触している。これらは炭素同素体の差し渡しが大きいためである。
混合工程において、作業者は、実施例と同じ模造紙の一部を実施例と同じミキサーで粉砕することにより1.0重量%のスラリーを製造した後、このスラリーにその粉砕された模造紙と同じ質量のカーボンブラックを混入した。このカーボンブラックはライオン株式会社製のケッチェンブラック(登録商標)EC600JDであった。カーボンブラックが混入されたスラリーは、上述されたミキサーによって撹拌された。紙すき工程において、作業者は、カーボンブラックが混入されたスラリーを実施例と同一の紙すき簾上に広げた。これにより、スラリー中の水分は紙すき簾を通り抜けて落ちた。模造紙の繊維とカーボンブラックの一部とは紙すき簾上に残った。脱水乾燥工程において、作業者は、紙すき簾の上に残った繊維とカーボンブラックとを乾燥させた。これにより、紙すき簾の上に残った繊維とカーボンブラックとから水分が除去された。水分が除去されたことにより、本比較例にかかる炭素含有紙が完成した。この炭素含有紙の表面抵抗率は60.0オーム/スクウェアであった。図2はこの炭素含有紙の顕微鏡画像を示す。図2において白っぽく写っている細長いものが模造紙の繊維である。模造紙の繊維に付着している黒い粒状の物体がカーボンブラックである。
混合工程において、作業者は、実施例と同じ模造紙の一部を実施例と同じミキサーで粉砕することにより1.0重量%のスラリーを製造した後、このスラリーにその粉砕された模造紙と同じ質量の炭素繊維を混入した。この炭素繊維は日本グラファイトファイバー株式会社製のXN−100−15Mであった。この炭素繊維の平均長さは50マイクロメートル、熱伝導度は900ワット/(m・K)、密度は2.22グラム/立方センチメートルであった。炭素繊維が混入されたスラリーは、上述されたミキサーによって撹拌された。紙すき工程において、作業者は、炭素繊維が混入されたスラリーを実施例と同一の紙すき簾上に広げた。これにより、スラリー中の水分は紙すき簾を通り抜けて落ちた。模造紙の繊維と炭素繊維の一部とは紙すき簾上に残った。脱水乾燥工程において、作業者は、紙すき簾の上に残った繊維と炭素繊維とを乾燥させた。これにより、紙すき簾の上に残った繊維と炭素繊維とから水分が除去された。水分が除去されたことにより、本比較例にかかる炭素含有紙が完成した。この炭素含有紙の表面抵抗率は560.0オーム/スクウェアであった。図3はこの炭素含有紙の顕微鏡写真を示す。図3において白っぽく写っている細長いものが模造紙の繊維である。輪郭が黒く表面が白い棒状の物質が炭素繊維である。模造紙の繊維によって炭素繊維同士の接触が妨げられている箇所がある。
混合工程において、作業者は、実施例と同じ模造紙の一部を実施例と同じミキサーで粉砕することにより1.0重量%のスラリーを製造した後、このスラリーにその粉砕された模造紙と同じ質量のカーボンナノチューブを混入した。このカーボンナノチューブはShenzhen Nanotech Port Co., Ltd.製のNTP3021であった。このカーボンナノチューブの長さは5マイクロメートル乃至15マイクロメートル、外径は15ナノメートル乃至25ナノメートル、表面積は150平方メートル/グラム乃至210平方メートル/グラム、灰分は5重量パーセント未満、タップ密度(周知の密度測定装置(例えば、筒井理化学器械社製の型式「TPM−3」)を用いてJIS K1469に示された方法により測定された値)は0.07グラム/立方センチメートル乃至0.20グラム/立方センチメートルであった。カーボンナノチューブが混入されたスラリーは、上述されたミキサーによって撹拌された。紙すき工程において、作業者は、カーボンナノチューブが混入されたスラリーを実施例と同一の紙すき簾上に広げた。これにより、スラリー中の水分は紙すき簾を通り抜けて落ちた。模造紙の繊維とカーボンナノチューブの一部とは紙すき簾上に残った。脱水乾燥工程において、作業者は、紙すき簾の上に残った繊維とカーボンナノチューブとを乾燥させた。これにより、紙すき簾の上に残った繊維とカーボンナノチューブとから水分が除去された。水分が除去されたことにより、本比較例にかかる炭素含有紙が完成した。この炭素含有紙の表面抵抗率は1000000オーム/スクウェアであった。図4はこの炭素含有紙の顕微鏡写真を示す。図4において白っぽく写っている細長いものが模造紙の繊維である。模造紙の繊維に付着している黒い粒状の物体がカーボンナノチューブである。
混合工程において、作業者は、実施例と同じ模造紙の一部を実施例と同じミキサーで粉砕することにより1.0重量%のスラリーを製造した後、このスラリーにその粉砕された模造紙と同じ質量の球状黒鉛を混入した。この球状黒鉛は株式会社中越黒鉛工業所製のWF−15Cであった。この球状黒鉛の平均粒径は15マイクロメートル、灰分は0.1重量パーセントであった。球状黒鉛が混入されたスラリーは、上述されたミキサーによって撹拌された。紙すき工程において、作業者は、球状黒鉛が混入されたスラリーを実施例と同一の紙すき簾上に広げた。これにより、スラリー中の水分は紙すき簾を通り抜けて落ちた。模造紙の繊維と球状黒鉛の一部とは紙すき簾上に残った。脱水乾燥工程において、作業者は、紙すき簾の上に残った繊維と球状黒鉛とを乾燥させた。これにより、紙すき簾の上に残った繊維と球状黒鉛とから水分が除去された。水分が除去されたことにより、本比較例にかかる炭素含有紙が完成した。この炭素含有紙は電気を通さなかった。図5はこの炭素含有紙の顕微鏡写真を示す。図5において白っぽく写っている細長いものが模造紙の繊維である。模造紙の繊維の間にある黒光りした粒状の物体が球状黒鉛である。
Claims (2)
- 積み重ねられた繊維の層を備える炭素含有紙であって、
前記繊維の層が、前記繊維に加え、鱗片状の炭素同素体を含み、
前記鱗片状の炭素同素体が、100マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下の差し渡しであり、かつ、2層以上30層以下のグラフェンの層を有していることを特徴とする炭素含有紙。 - 前記鱗片状の炭素同素体の差し渡しが前記繊維の差し渡しの最大値より大きいことを特徴とする請求項1に記載の炭素含有紙。
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