JP6425567B2 - 流体ハンドリング構造 - Google Patents

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Description

[0001] 本発明は、流体ハンドリング構造、リソグラフィ装置、リソグラフィ装置を使用したデバイス製造方法、及びリソグラフィ装置の動作方法に関する。
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。既知のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
[0003] 投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填するように、リソグラフィ投影装置内の基板を水などの比較的高い屈折率を有する液体に液浸することが提案されている。ある実施形態では、液体は蒸留水であるが、別の液体を使用することもできる。本発明の実施形態は、液体について説明されている。しかし別の流体、特にウェッティング流体、非圧縮性流体及び/又は屈折率が空気より高い、望ましくは屈折率が水より高い流体が適切なこともある。気体を除く流体が特に望ましい。そのポイントは、露光放射は液体中の方が波長が短いので、結像するフィーチャの小型化を可能にすることである(液体の効果は、システムの有効開口数(NA)を大きくでき、焦点深さも大きくすることと見なすこともできる)。固体粒子(例えば石英)が懸濁している水、又はナノ粒子の懸濁(例えば最大10nmの最大寸法の粒子)がある液体などの他の液浸液も提案されている。懸濁粒子は、これが懸濁している液体と同様の屈折率又は同じ屈折率を有しても、有していなくてもよい。適切になり得る他の液体は、芳香族などの炭化水素、フルオロハイドロカーボン、及び/又は水溶液である。
[0004] 基板又は基板及び基板テーブルを液体の浴槽に浸すこと(例えば米国特許第4,509,852号参照)は、スキャン露光中に加速すべき大きい塊の液体があることでもある。これには、追加のモータ又はさらに強力なモータが必要であり、液体中の乱流が望ましくない予測不能な効果を引き起こすことがある。
[0005] 液浸装置では、液浸流体は、流体ハンドリングシステム、デバイス構造又は装置によってハンドリングされる。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、液浸流体を供給することができ、それ故、流体供給システムである。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、少なくとも部分的に液浸流体を閉じ込めることができ、それにより、流体閉じ込めシステムである。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、流体へのバリアを提供することができ、それにより、流体閉じ込め構造などのバリア部材である。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、ガスのフローを生成又は使用して、例えば、液浸流体のフロー及び/又は位置を制御するのを支援することができる。ガスのフローは、液浸流体を閉じ込める封止を形成することができ、したがって、流体ハンドリング構造を封止部材と呼ぶこともできる。このような封止部材は、流体閉じ込め構造であってもよい。ある実施形態では、液浸液は、液浸流体として使用される。この場合、流体ハンドリングシステムは、液体ハンドリングシステムであってもよい。上記説明に関して、本節で流体に関して定義されたフィーチャへの言及は、液体に関して定義されたフィーチャを含むと考えてもよい。
[0006] 基板を投影システムの下でできるだけ迅速に移動させることができることが望ましい。そのために、流体ハンドリングシステム、特に局所区域流体ハンドリングシステムはそれほどの液体損失なく高いスキャン速度が可能であるように設計される必要がある。ある種の液体は失われ、流体ハンドリングシステムに面する(例えば基板又は基板テーブルなどの)表面(すなわち対向面)に残される可能性が高い。例えば液滴などの形態のこのような何らかの液体が、対向面と流体ハンドリングシステムとの間に延在するメニスカスと、例えば液滴とメニスカスとの衝突として接触すると、液体への気泡の混入を引き起こすことがある。このような気泡が液浸液を通る投影ビームの経路に進入すると、結像欠陥を招くことがあるので望ましくない。
[0007] 液浸液の位置の制御を支援するために流体ハンドリングシステムでガスのフローを使用すると、フローが速い場合は問題が生じることがある。それは、ガスの流速が速いと液体がかなり蒸発することがあるからである。その結果、局所的な冷却負荷が高まることがあるため、これは困難をもたらす。
[0008] 例えば、泡混入の可能性が少なくとも低減され、及び/又は、(米国特許出願公開US2008−0212046号に記載されているような)気体抗力原理を利用する流体ハンドリング構造内のガスのフローと比較して、ガスのフローを低減するリソグラフィ装置を提供することが望ましい。
[0009] 一態様によれば、液体を空間に閉じ込めるリソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、空間を囲む下表面上に、流体ハンドリング構造の下表面上に液体を供給する少なくとも1つの液体供給口を備えるとともに、少なくとも1つの液体供給口の空間に対して半径方向内側に、液体を空間から抽出し少なくとも1つの液体供給口から下表面上の液体を抽出する液体抽出口の二次元アレイを備える、流体ハンドリング構造が提供される。
[0010] 一態様によれば、リソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、液体用の空間を囲む下表面上に、空間の半径方向外側の液体抽出口の二次元アレイを備えるとともに、液体抽出口の二次元アレイの半径方向外側に、液体を流体ハンドリング構造の下表面上に供給する少なくとも1つの液体供給口を備え、液体抽出口の二次元アレイは、空間から液体を抽出し、少なくとも1つの液体供給口によって下表面に供給される液体を抽出するように構成された流体ハンドリング構造が提供される。
[0011] 一態様によれば、リソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、流体を閉じ込める空間を囲む下表面上に、液体抽出口の二次元アレイと、二次元アレイの半径方向外側の開口を湿潤状態に保つための少なくとも1つの液体供給口と、を備える流体ハンドリング構造が提供される。
[0012] 一態様によれば、デバイス製造方法であって、投影システムの最終要素と最終要素に面する表面との間に液体を提供し、流体ハンドリング構造を使用して投影放射ビームがそれを通過する空間に液体を閉じ込めるステップと、液体の半径方向内側のフローを少なくとも1つの液体供給口を通して流体ハンドリング構造の下表面上に提供するステップと、液体抽出口の二次元アレイを使用して空間から及び下表面から液体を抽出するステップと、を含むデバイス製造方法が提供される。
[0013] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
[0014]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を示す。 [0015]リソグラフィ投影装置に使用する液体供給システムを示す。 [0015]リソグラフィ投影装置に使用する液体供給システムを示す。 [0016]リソグラフィ投影装置に使用する別の液体供給システムを示す。 [0017]リソグラフィ投影装置に使用する別の液体供給システムを示す。 [0018]液体がない状態の実施形態の液体供給システムの平面図を示す。 [0019]図6の液体供給システムの使用時の平面図を示す。 [0020]図6のVIII線に沿った断面図を示す。 [0021]図6のIX線に沿った断面図を示す。 [0022]ある実施形態の液体供給システムの断面図を示す。
[0023] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
− 放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 基板(例えばレジストコート基板)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って例えば基板Wなどのテーブルの表面を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された1つ以上のセンサ又は基板テーブルWTを支持する例えばセンサテーブルなどの支持テーブルと、
− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
[0024] 照明システムILは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0025] 支持構造MTはパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械的、真空、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0026] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0027] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0028] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0029] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
[0030] リソグラフィ装置は、2つ以上のテーブル(又はステージ若しくは支持体)、例えば、2つ以上の基板テーブル又は1つ以上の基板テーブルと1つ以上のセンサ若しくは測定テーブルの組合せを有するタイプであってもよい。このような「マルチステージ」機械では、複数のテーブルを並列に使用でき、あるいは1つ以上の他のテーブルを露光のために使用しながら、1つ以上のテーブル上で準備ステップを実行することができる。リソグラフィ装置は、基板、センサ及び測定テーブルと同様に並列に使用できる2つ以上のパターニングデバイステーブル(又はステージ若しくは支持体)を有していてもよい。
[0031] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の場合では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0032] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に装着できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)別に提供されてもよい。
[0033] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0034] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0035] 1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0036] 2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
[0037] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0038] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0039] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのマイクロスケール、さらにはナノスケールのフィーチャを有するコンポーネントの製造である。
[0040] 投影システムPSの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、3つの一般的なカテゴリに分類できる。これらは、浴槽タイプの構成と、いわゆる局所液浸システムと、オールウェット液浸システムと、である。浴槽タイプの構成では、実質的に基板Wの全体と、任意選択で基板テーブルWTの一部が液体の浴槽に浸される。
[0041] 局所液浸システムは、液体が基板の局所区域にのみ提供される液体供給システムを使用する。液体によって充填された空間は、基板の上面より平面視で小さく、液体によって充填される区域は、その区域の下を基板Wが移動している間、投影システムPSに対して実質的に静止している。図2〜図7は、そのようなシステムで使用することができる異なった供給デバイスを示す。液体を局所区域に実質的に封止する封止フィーチャが存在する。提案されているこれを配置する方法の1つが、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。
[0042] オールウェット構成では、液体は閉じ込められない。基板上面の全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。液浸液は、投影システムと投影システムに対向する対向面(そのような対向面は基板及び/又は基板テーブルの表面であってもよい)に、又はその領域内に供給することができる。図2〜図5の液体供給デバイスのいずれもそのようなシステムで使用することができる。しかし、封止フィーチャが存在しないか、活性化されていないか、通常より効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所区域にのみ封止する効果がない場合がある。
[0043] 図2及び図3に図示されているように、液体は、少なくとも1つの入口によって基板上に、望ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給される。液体は、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。基板が−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。図2の図では、液体が最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が図3に図示され、ここでは両側に出口を持つ4組の入口が最終要素の周囲に規則的パターンで設けられている。液体のフローの方向は、図2及び図3に矢印で示されていることに留意されたい。
[0044] 局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィの別の解決法が図4に図示されている。液体が、投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口は、投影される投影ビームが通る穴が中心にあるプレートに配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組合せの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組合せの入口及び出口は動作しない)。流体のフローの方向と基板の方向は図4に矢印で示されていることに留意されたい。
[0045] 提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め構造を提供する構成である。液体閉じ込め構造は、投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する。そのような構成を図5に示す。
[0046] 図5は、局所的液体供給システム又は流体ハンドリング構造12を概略的に示す。流体ハンドリング構造はバリアとして機能し、液体を基板W、基板テーブルWT又はその両方の下面の局所表面に閉じ込める。流体ハンドリング構造は、投影システムの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する(以下の説明で、基板Wの表面という表現は、明示的に断りのない限り、追加的に又は代替的に、基板テーブルの表面も意味することに留意されたい)。流体ハンドリング構造12はXY平面内で投影システムに対して実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)には相対運動があってもよい。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12と基板Wとの間に封止が形成される。封止は、ガスシール(ガスシールを備えたこのようなシステムが欧州特許出願公開EP−A−1,420,298号に開示されている)又は液体シールなどの非接触封止であってもよい。
[0047] 流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11内に少なくとも部分的に液体を封じ込める。液体が基板Wの表面と投影システムPSの最終要素との間の空間内に閉じ込められるように、基板Wへの非接触封止16を投影システムPSのイメージフィールドの周囲に形成することができる。空間11は、投影システムPSの最終要素の下に位置し、それを取り囲む流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体は、液体入口13によって投影システムPSの下の空間及び流体ハンドリング構造12内に流し込まれる。液体は、液体出口13によって除去することができる。流体ハンドリング構造12は、投影システムの最終要素から上に少し延在することができる。液体のバッファが提供されるように、液面は最終要素より上に上昇する。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、上端で、投影システム又はその最終要素の形状にぴったりと一致する、例えば円形の内周を有する。底部で、内周は、イメージフィールドの形状、例えば矩形にぴったりと一致するが、これはそうでなくてもよい。
[0048] 液体は、流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に使用時に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められてもよい。ガスシールは気体によって形成される。ガスシール内の気体は、圧力を受けて入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wの間のギャップに提供される。気体は出口14を介して抽出される。気体入口15での正圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体フロー16が存在するように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wとの間の液体にかかる気体の力が液体を空間11に封じ込める。入口/出口は、空間11を取り囲む環状の溝であってもよい。環状の溝は連続していてもよいし、又は不連続であってもよい。気体フロー16は、空間11内に液体を封じ込める効果がある。このようなシステムは、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12はガスシールを有さない。
[0049] 別の局所区域の配置は、気体抗力原理を利用する流体ハンドリング構造である。いわゆる気体抗力原理は、例えば米国特許出願公開US2008−0212046号、US2009−0279060号、及びUS2009−0279062号に記載されている。このシステムでは、抽出穴は望ましくはコーナーを有する形状で配置される。コーナーがある形状は、高半径部(すなわちコーナーの間の部分及び/又はコーナーから離間した部分)の第2の曲率半径よりも低い第1の曲率半径を有する少なくとも1つの低半径部(すなわちコーナーにある部分)を有している。低半径部は、高半径部にある第2の曲率半径よりも低い第1の曲率半径を有している。第2の曲率半径は無限であってもよく、すなわち高半径部は直線的であってもよい。コーナーはステップ方向、又はスキャン方向などの好ましい移動方向と位置合わせされてもよい。これによって、2つの出口が好ましい方向に垂直に位置合わせされた場合と比較して、好ましい方向での所与の速度の場合、流体ハンドリング構造の表面の2つの開口の間のメニスカスに加わる力が低減する。しかし、本発明のある実施形態は、平面図でみて任意の形状を有し、又は任意の形状で配置された抽出口などのコンポーネントを有する流体ハンドリングシステムに適用されてもよい。このような形状としては、円のような楕円、例えば四角形などの矩形のような直線形状、ひし形のような平行四辺形、又は4点星以上の星形のような5つ以上のコーナーを有するコーナー付きの形状が挙げられるが、これらに限定されない。
[0050] 本発明の実施形態が関連するUS2008/0212046A1号のシステムの変化形態では、開口が配置されているコーナーを有する幾何形状によって、スキャン方向
とステップ方向の両方向に位置合わせされたコーナーにとって鋭角のコーナー(約60°〜90°、望ましくは75°〜90°、最も望ましくは75°〜85°)が存在できる。それによって位置合わせされた各コーナーの方向での速度を高めることが可能になる。これは、例えば臨界速度を超えるなど、スキャン方向での不安定なメニスカスによる液滴の生成が低減するからである。コーナーがスキャン方向とステップ方向の両方向に位置合わせされる場合は、これらの方向で速度上昇を達成し得る。スキャン方向とステップ方向での移動速度は実質的に等しいことが望ましい。
[0051] 本明細書では、本発明のある実施形態を抽出口の二次元アレイを参照して記載する。以下に記載する供給液口は、任意のタイプの液体供給システムのメニスカスピニングフィーチャの半径方向外側に設けることができる。このようにして、以下に記載するように、大きい液滴が対向面とメニスカスピニングフィーチャとの間に延在するメニスカスに衝突すると、結像欠陥を引き起こすことがある、この液滴のメニスカスへの到達を防止できる。
[0052] 図6は、本発明のある実施形態による流体ハンドリング構造の一部のメニスカスピニングフィーチャの概略平面図を示す。メニスカスピニングデバイスのフィーチャが示されており、これは例えば図5のメニスカスピニング構成14、15、16と置き換えてもよい。図6のメニスカスピニングデバイスは二次元アレイで配置された複数の開口50a、b、cを備えている。各々の開口50a、b、cは円形であるものとして示されているが、必ずしも円形でなくてもよい。実際は開口50a、b、cのうちの1つ以上は、断面が円形、四角形、矩形、楕円形、三角形、細長いスリットなどから選択される1つ以上の形状でよい。
[0053] 図6の実施形態では、各々の開口50a、b、cは流体抽出口である。開口50a、b、cはガス及び/又は液体を流体ハンドリング構造内に通過させる入口である。すなわち、開口を空間11からの出口であると見なしてもよい。
[0054] 開口50a、b、cは、流体ハンドリング構造12の表面に形成されている。この表面は、使用時には基板及び/又は基板テーブルなどの対向面に面する。一実施形態では、開口は流体ハンドリング構造の平坦面内にある。別の実施形態では、基板に面する流体ハンドリング構造の表面上にリッジがあってもよい。この実施形態では、開口50a、b、cをリッジ内に設けてもよい。ある実施形態では、複数の開口50は針、又はチューブによって画定されてもよい。幾つかの針、例えば隣接する針のボデーは互いに連結されてもよい。針は互いに連結されて単一のボデーを形成する。単一のボデーは角がある形状を形成してもよい。液体は下表面内の供給口180を通って開口50a、b、cの半径方向内側に供給される。
[0055] ある実施形態では、開口50a、b、cは各々、開口が汚染粒子によって詰まる危険を低減するために、直径が50μm以上の円の面積と等しい面積を有するようにしてもよい。開口50a、b、cの間に延在するメニスカス320の湾曲を小さく保つために、開口50a、b、cは各々、直径が150μm未満の円の面積と等しい面積を有するようにしてもよい。ある実施形態では、開口50は直径が少なくとも80μm及び/又は120μm未満の円形の開口と等しい断面積を有している。
[0056] 開口50a、b、cは二次元線形アレイであるため、開口は単一列の開口50によって形成されない。すなわち、少なくとも2つの開口50a、50b、50cが、流体ハンドリング構造12の下表面のリムなどの空間11から異なる半径方向距離で形成される。ある実施形態では、2列の開口50a、50cがある。開口50aの内側の列は主として流体ハンドリング構造の下表面と対向面(例えば基板)との間に延在するメニスカス320の位置を制御するためのものである。開口50cの外側の列は主として、少なくとも1つの液体供給口210により供給され、流体ハンドリング構造の下表面51上に提供される液体を収集するためのものである。図8により明確に示されるように、液体の位置を液体供給口210と開口50cの外側の列との間の下表面上に規定するメニスカスと対向面との間にガスギャップが存在する。
[0057] 少なくとも1つの液体供給口210は、列又はスリットの複数の開口の形態のものであってよい。スリットの幅は50μm〜150μmであろう。複数の開口は単位長あたり等しい開口面積を有する筈である。
[0058] 液体抽出口50a、b、cの二次元アレイの後端(すなわち対向面と液体閉じ込め構造12の下表面との相対移動の方向に対する後端)で、最も外側の液体抽出口50cによって空間11からの液体を抽出し得る。したがって、二次元アレイによってメニスカス320を液体ハンドリング構造12に対してある程度移動させることが可能になる。したがって、2列の開口50a、b、cを設けると、余剰の液体を除去するための緩衝となる。すなわち、メニスカス320の位置が投影システムの光軸から外側に移動すると、液体はより多くの開口50a、b、cを覆うので、抽出量が増大する。したがって、後端で、対向面と液体閉じ込め構造との間の変位が大きくなると抽出率が増大する。
[0059] 液体供給口50a、b、cの二次元アレイの先端(すなわち対向面と液体閉じ込め構造12の下表面との相対移動の方向に対する前端)で、最も内側の液体供給口50aによって空間11からの液体だけが抽出される。しかし、相対移動のある一定方向に沿った液浸空間11の反対側の二次元アレイはそれぞれ、前端と後端として機能する。相対移動の方向が逆になると端部の機能は交代するので、移動の開始時には空間からの液体は後端では最も内側の液体抽出口50aだけから抽出され、前端では最も内側と最も外側の抽出口50a、50cの両方から抽出され得る。次に、前端と後端の両方の液体メニスカスは移動するので、前端にある液体は最も内側の開口50aだけから抽出され、後端にある液体は最も内側と最も外側の両方の開口50a、50cから抽出される。
[0060] ある実施形態では、少なくとも3列の開口50a、b、cが設けられる。必要な場合に余剰の液浸液を抽出するための緩衝目的で中央孔50bが設けられる。例えば、二次元アレイの(半径方向の)中央の孔は通常はガスしか通過しない(図8を参照)。しかし、メニスカス320の位置が投影システムPSの光軸から離れて延在すると、中央孔は液体をも抽出することができる(図9を参照)。このように、中央孔は必要な場合に余剰の液体を除去するための緩衝の役割を果たす。
[0061] ある実施形態では、半径方向の最も内側と外側の開口50a、cは液体抽出口の二次元アレイの中央の開口50bよりも面積が大きくてもよい。ある実施形態では、50a、b、cは列に配置されなくてもよい。その例は図10に示されており、開口は多孔質材料111の孔であり、そのため二次元で配置されている。ある実施形態では、孔は二次元で不規則に配置され、ハニカム配置でよく、又は別の規則的な二次元配置で配置されてもよい。多孔質材料はマイクロシーブの形態をとってもよい。電鋳、フォトエッチング、及び/又はレーザー切断により製造されるマイクロシーブを使用することができる。適切なシ−ブはオランダ、エールベークのStork Veco B.V.社で製造されている。
[0062] 線形アレイの例はフィーチャがそれに沿って位置する線である。線形アレイの例は2列以上の開口を含んでいる。このような線形アレイは二次元の線形アレイと呼ばれ、フィーチャが線又は配列に沿って、且つ線に垂直な方向に配置されている。開口50は線形アレイに沿って周期的に配置されてもよい。例えば、列に沿った開口は互い違いでもよい。1列以上の開口では、各々の開口は直線的に整列されてもよい。2列の開口は互い違いに配列されてもよい(すなわち2列の穴)。
[0063] ある実施形態では、液体抽出口の二次元アレイの半径方向の幅は十分な緩衝をもたらすように少なくとも0.5mm、望ましくは少なくとも0.8mmである。ある実施形態では、幅は少なくとも1mmである。液体抽出口の二次元アレイの幅は望ましくは3mm以下である。ある実施形態では、幅は2.5mm以下である。それによって、十分な緩衝幅が得られ、しかも流体ハンドリング構造の下表面上に空間を取り過ぎないようにされる。
[0064] 図7は、使用時の流体閉じ込め構造12の下表面を示す。特定の時点で流体ハンドリング構造12と対向面との間にある液浸液と接触する流体ハンドリング構造12の下表面の領域が斜線でしめされている。斜線の領域は流体ハンドリング構造の下表面51上に液体300があり、対向面上にはないことに留意されたい。
[0065] 対向面は図面のページの下方に移動している。図から分かるように、メニスカスの前端の近傍の流体ハンドリング構造12の下表面は、開口の二次元アレイの最も内側の開口50aに延在している。後端(図示のように底面側)では、液体メニスカスは抽出口の二次元アレイの中間の列50bに、さらには最も外側の列50cに延在している。それ故、後端では液体は前端でよりも多くの開口を通して回収される。それによって、(流体ハンドリング構造12と対向面との間の相対移動により液体に力がかかるため)より多くの液体がある後端では流体ハンドリング構造12と対向面との間からの液体の抽出率をより高めることが可能になる。
[0066] 図8及び図9は、前端でのメニスカス320の位置(図6のVIII線に沿った断面である図8)、及び後端での位置(図6のIX線に沿った断面図である図9)を示す断面図である。
[0067] 液体抽出口の二次元アレイの開口50a、b、cは互いに隣接している。すなわち、液体抽出口の二次元アレイの開口50a、b、cの間の下表面51上には開口は設けられない。開口の50a、b、cと少なくとも1つの液体供給口210との間には開口は設けられない。
[0068] 図6のメニスカスピニングデバイスの複数の開口50a、b、cは各々別個の負圧源に接続されてもよい。代替的に又は追加的に、各々の、又は複数の開口50a、b、cを、それ自体が負圧下に保たれている(環状でよい)共通のチャンバ又はマニホールドに接続されてもよい。このように、各々の、又は複数の開口50a、b、cで均一な負圧を達成し得る。開口50a、b、cを真空源、及び/又は流体ハンドリング構造の周囲大気に接続することができ、又はシステム(又は閉じ込め構造、バリア部材又は液体供給システム)の圧力を高めて所望の圧力差を生じるようにしてもよい。
[0069] 開口50a、b、cは液体とガスの混合物を抽出するように設計される。液体は空間11から抽出されるのに対して、ガスは開口50a、b、cの液体とは別の側の大気から抽出される。それによって、図6の左上の矢印100で示されるガスのフローが生じ、このガスフローは開口50a、b、cの間のメニスカス320を実質的に定位置でピニングするのに有効である。ガスフローは瞬間的な閉塞により、ガスフローに誘発される圧力勾配により、及び/又は液体上でのガスフローの抗力(せん断)により、液体の閉じ込め状態を維持するのに役立つ。
[0070] 開口50a、b、cは、流体ハンドリング構造が液体を供給する空間を囲んでいる。すなわち、開口50a、b、cを基板及び/又は基板テーブルに面する流体ハンドリング構造の表面の周りに分散させてもよい。複数の開口50a、b、cは空間の周囲に実質的に連続的な間隔を置いてもよい。ある実施形態では、隣接する開口50a、b、c間の間隔は異なっていてもよいが、隣接する幾つかの開口間の間隔は同じでもよい。ある実施形態では、液体は角があってもよい形状の周囲のどこからでも抽出される。
[0071] ある実施形態では、開口50a、b、cは、平面図で角がある形状(すなわちコ
ーナーを有する形状)を形成するように配置されてもよい。形状は湾曲した角又は辺を有する例えば菱形のような四辺形、例えば四角形でよい。
[0072] 液浸液の液滴は、例えば(基板Wの縁部と基板又はセンサの表面を支持するテーブル内の溝の縁部との間のギャップなどの)空間に面する表面の高さステップの空間11の下での相対移動中に液浸液が閉じ込められる空間11から、又、流体ハンドリング構造と対向面との相対速度、例えばスキャン速度が限界速度以上である場合に(それはより高速のスキャン及び/又は高いスループットが求められる場合に必要であろう)、漏れることがある。このような限界速度は、対向面の少なくとも1つの特性に依存することがある。
[0073] 液滴は空間内の液浸液から漏れる際に、流体ハンドリング構造と(基板W又は基板Wを支持する基板テーブルWTなどの)対向面との間の液浸液のメニスカス320から分裂する。メニスカスは、二相流体フローの液体とガスとを抽出する流体抽出口50a、b、c(液体抽出器)によって流体ハンドリング構造12にピニングされてもよい。液滴は液浸空間11の対向面の移動に対する後端側から漏れることがある。
[0074] 対向面の平面での流体ハンドリング構造12と対向面との相対移動、例えばスキャン又はステップ移動の方向が変化すると、このような液滴は流体ハンドリング構造12に対して再び液体メニスカス320の方向に移動することがある。液滴は空間11内に閉じ込められた液浸液の縁部又は境界、又は少なくともその近傍に設けられた抽出口50a、b、cを通る抽出により抽出されてもよい。しかし、このような液滴が完全に抽出されない場合は、液滴は空間内に閉じ込められた液体の液体メニスカス320との衝突で泡を発生することがある。
[0075] 液滴は、小液滴である1つ以上の液滴と合体して、より大きい液滴を形成することがある。このような液滴は流体ハンドリング構造12に対してメニスカス320の方向に移動する。液滴はメニスカスと接触(又は衝突)すると、1つ以上の泡を発生させる可能性がある。
[0076] 本発明の実施形態で解決される課題は、液滴を対向面から除去し、液滴がメニスカス320に入ることを防止するため、液滴が抽出器と接触する必要があることである。例えば高さ40μmの液滴が空間11内に泡を生じさせ、これが結像誤差を引き起こすのに十分大きいことがあるため、流体ハンドリング構造12の(フライ)高さFHは40μmまで低いことが必要である。しかし、これは機械的な観点から、許容差、及び例えば対向面と流体ハンドリング構造12の下表面との衝突のリスクなどの理由で極めて困難である。
[0077] ある実施形態では、実効フライ高さEFHは、1つ以上の液滴300(以下ではこの文脈での液滴への言及には追加的に又は代替的に液膜も含まれる)を流体ハンドリング構造12の下表面51上に追加することによって低減される。液滴が下表面上の液体と接触すると、この液滴は下表面上の液体により(少なくとも部分的に)吸収され、対向面から除去される。次に、対向面上の液滴は抽出器(すなわち開口の二次元アレイの開口50)を通って抽出される。下表面51上の液体300は、(もちろん、例えばフライ高さFHが下表面上の液体よりも高い場合は)100〜150μmまで厚くてもよい。対向面が不慮に下表面51上の液体に当たっても、対向面又は流体ハンドリング構造12には損傷が生じない。
[0078] したがって、ウェット流体ハンドリング構造12の下表面51によって流体ハン
ドリング構造12のフライ高さを仮想的に低くすることによって、対向面上の液滴の抽出が大幅に向上する結果をもたらし得る。流体ハンドリング構造12の下表面51の湿潤化は、流体ハンドリング構造の下表面上に垂れ下がる小液滴、及び/又は液体供給源から抽出口へと流れる下表面51上の液体流によって達成可能である。通常は、高さがフライ高さFHよりも低い液滴は、下表面51との接触なしには抽出されない。液体300(液滴/膜)でフライ高さを「低める」ことによって、対向面上の戻った液滴は、下表面51に垂れ下がる液体300に接触する(例えば、当たる)。液体300と接触すると、液滴は液体300と合体する。液滴からの液体は、(後述するように)図8に示されるような開口を通って、又は多孔質材料111(図10を参照)を通って抽出される。実効フライ高さEFHは、流体ハンドリング構造12の幾何形状を変更することにより機械的に、又は液体300の1つ以上の液滴で(例えばそのサイズを変更することによって)変更することができる。
[0079] 液体300は、流体ハンドリング構造の下表面51上に提供される。液体300は対向面まで延在しないので、下表面51上に供給され、そこから除去される液体と、下表面に面する表面(例えば基板Wなどの対向面)との間にガスギャップが存在する。液体が下表面に付着し、落下しないようにすることを助けるため、液体供給口210と開口の二次元アレイ50との間の下表面51を親液体性又は親液性(例えば水が液浸液である場合は親水性)にしてもよい。液体供給口210は、例えば参照により全体を本明細書に組み込むものとする、2011年5月9日に出願された米国特許出願第13/103,479号に記載されているような多孔質材料又は多孔質プレートでよい。
[0080] いずれにせよ、流体ハンドリング構造の下表面を親液性にしてもよい。これは例えば、液体供給口210と抽出口50a、b、cの二次元アレイとの間の領域を、例えば別の領域よりも粗さを少なくすること、すなわちより平滑にすることにより表面処理によるものでよい。追加的に又は代替的に、例えば下表面に塗付される層、又は下表面に接着されるステッカーの形態のコーティングをその領域に施してもよい。
[0081] 図6から分かるように、1つ以上の供給口210が開口50a、b、cを囲む。液体300は供給口210を通って流体ハンドリング構造12の下部表面、すなわち下表面51上に供給される。使用時には、少なくとも1つの液体供給口210からの液体は流体ハンドリング構造12の下表面51に付着する。液体は空間11に対して半径方向内側に移動し、液体抽出口の二次元アレイの開口50a、b、cを通って抽出される。
[0082] 図8及び図9は、少なくとも1つの液体供給口210を通って下表面51上に提供される液体300の位置を示す。
[0083] 液体供給口210は連続スリット又は複数の開口の形態でよい。液体300は、半径方向内側に流れ、最も外側の抽出口50cによって抽出される。後端(又はある実施形態では別の位置)の場合、液体300のメニスカスは図9に示すように、下表面51と対向面との間に延在するメニスカス320と接触することがある。それ故、二次元アレイの開口は空間11から液体を抽出し、下表面51上の液体を少なくとも1つの液体供給口210から抽出する。それ故、少なくとも1つの液体供給口210は、抽出口の二次元アレイの半径方向外側の開口50cを確実に湿潤状態に保つために役立つ。
[0084] 同時に、空間11からの液体は半径方向外側に移動し、液体抽出口の二次元アレイの最も内側の開口50aによって抽出される。ガスは、(矢印100で示すように)液体抽出口の二次元アレイの中央の開口50bを通って抽出され得る。使用時には、下表面上の液体のメニスカスは、図9に示すように下表面と対向面との間に延在するメニスカス320に触れ/接触し得る。
[0085] 流体ハンドリング構造12の下表面上に液体を有することの効果は、対向面上の液滴が下表面上の液体とぶつかり、それによって抽出されることである。対向面上の比較的小さい液滴だけが下表面51上の液体の下を通過することができ、次に流体ハンドリング構造と下表面51との間に延在するメニスカス320と衝突する。このように比較的小さい液滴は、液体内への小さい泡だけの混入を引き起こすことがある。このように比較的小さい液滴は、投影ビームPBからの放射が液滴を通過する位置に達する前に液浸液中に溶解する可能性が高い。
[0086] ある実施形態では、投影ビームPBが通過する空間内に泡が存在する可能性を軽減するため、メニスカス320を囲むガスは二酸化炭素であるように準備される。このような二酸化炭素は、(図6〜図10で400として示されるような)流体ハンドリング構造内の出口を通って提供されてもよく、又は別個の手段によって提供されてもよい。
[0087] 極めて微小な泡は、空間11の露光区域に達する前に液浸液中に溶解することがある。その他のいずれかの実施形態と組み合わせることができるある実施形態では、溶解速度が閉じ込められるガスと液浸液の特性によって左右されるという事実が利用される。
[0088] 二酸化炭素(CO)の泡は通常は空気の泡よりも速く溶解する。窒素の泡よりも55倍溶解性が高く、窒素の拡散性の0.86倍の拡散性を有するCOの泡は、通常は同じサイズの窒素の泡が溶解する時間よりも37分の1だけ短い時間で溶解する。
[0089] 参照により全体を本明細書に組み込むものとする米国特許出願公開US2011−0134401号は、20°Cで空間11に隣接する領域での全圧力が1atmの場合、液浸液中の溶解性が5×10−3mol/kg以上であるガスの供給を記載している。この文献はさらに、20°Cで空間11に隣接する領域での全圧力が1atmの場合、液浸液中の拡散性が3×10−5cm−1以上であるガスの供給を記載している。この文献はさらに、20°Cで空間11に隣接する領域での全圧力が1atmの場合、液浸液中の拡散性と溶解性との積が空気の場合よりも高いガスの供給を記載している。
[0090] 気泡が液浸液中の拡散性、溶解性、又は拡散性と溶解性との積が高い気泡である場合は、この気泡は大幅に速く液浸液中に溶解する。したがって、本発明の実施形態を使用すると、結像の欠陥数が低減し、それによってより高いスループットが可能になり(例えば液体ハンドリング構造12に対する基板Wの速度がより速くなる)、欠陥度が低下する。
[0091] したがって、本発明の実施形態は空間11の近傍の領域に(例えば容積、又は区域に向けて)ガスを供給するように構成されたガス供給デバイスを提供する。例えば、ガスが対向面と液体ハンドリング構造12との間に延在するメニスカス320の近傍領域に存在するようにガスが提供される。
[0092] 例示的なガスは二酸化炭素であり、これが望ましいのは入手し易く、液浸システムで別の目的にも使用できるからである。二酸化炭素の20°C、1atmで水中での溶解性は1.69×10−3kg/kg又は37×10−3mol/kgである。液浸液中で溶解し易い非反応性ガスも適している。
[0093] 本明細書に記載の本発明の実施形態は、液浸液のメニスカス320の周囲のCO大気を形成して、液浸液中にガスを含有させると、液浸液中に溶解するガス含有物が生成されるようにしてもよい。
[0094] COガスを使用することで、液滴と衝突するメニスカスに関連する問題点は解消されないまでも軽減される。通常は、300マイクロメートルの液滴は直径30マイクロメートルの泡(すなわち10分の1のサイズ)を生成する。このような二酸化炭素の泡は、通常は露光区域に達する前に溶解する(このようなサイズの液滴は1つ以上の別の問題点を生ずることに留意されたい)。したがって、液滴に起因する問題点はそれほど重要ではない。液浸システムは、空間から漏れ出る液浸液との相互作用に対する許容性をより高めることができるであろう。
[0095] ガスは、例えば流体ハンドリング構造の下表面内のガス供給口400を通って供給されてもよい。
[0096] 抽出口50a、b、cは二次元アレイで設けられるので、流体ハンドリング構造と対向面との間に延在するメニスカス320の位置は定位置でピニングされる必要はない。すなわち、前述のようにメニスカス320の位置は半径方向で変化してもよい。例えば、メニスカス320は液体抽出口の二次元アレイの中央の開口50bと対向面との間に延在してもよい。すなわち、液体抽出口のアレイが二次元という特徴を有しているので、緩衝の存在が可能になる。その結果、必要なピニング力はそれほど大きくないので、開口50a、b、cを通る大量のガスの流出は必要ない。したがって、抽出口50a、b、cからの0.02〜0.2L/分/mmのガス流出を使用することができる。これは、(US2008−0212046号に記載のような)単一列の開口50がメニスカス320を定位置にピニングする場合の少なくとも約0.4L/分/mmのガスフローに匹敵する。その結果、液体の流量が少ないので液体の蒸発が少なくなり、結果として冷却負荷が低減する。流量が少ない結果、流体ハンドリング構造12と対向面(例えば基板)との間に生ずる力が小さくなる。力が小さいことは、基板Wに作用する力が小さいと結像が不正確になる可能性の原因が除去されるので利点をもたらす。
[0097] ある実施形態では、負圧源(例えば吸引源)500が流体ハンドリング構造に備えられる。負圧源500は、開口50に加えられる負圧を制御して、液体抽出口の二次元アレイの開口50から流出する流量を上記の範囲内に低減させるコントローラを有している。
[0098] ある実施形態では、追加的に又は代替的に、流体ハンドリング構造は、液浸液供給口180、開口50a、b、c、及び抽出口210の1つ又は全部を含めた存在する開口に流体を供給し、及び/又はそこから流体を回収するように構成された流体供給及び/又は回収システムを有している。システムは、周囲(例えば周方向)位置に応じて異なる流量で流体を供給/回収するように構成されている。
[0099] 図10は、流体供給システムの一部である流体ハンドリング構造を示す。流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終要素の周囲(例えば周方向)に延在している。
[00100] 部分的に空間11を画定する表面内の複数の開口20が液体を空間11に供給する。液体は、空間11に流入する前に、それぞれのチャンバ24、26を通って側壁28、22内の開口29、20を通過する。
[00101] 流体ハンドリング構造12の底面と、例えば基板W、又は基板テーブルWT、又は両方である対向面との間にシールが設けられる。図10では、シールデバイスは非接触シールを設けるように構成され、幾つかのコンポーネントからなっている。投影システムPSの光軸から半径方向外側に、空間11内に延在する(オプションの)フロー制御板52が設けられている。制御板52は、液体がそこを通って流れることができるように開口55を有してもよい。開口55は、制御板が(例えば投影システムPSの光軸と平行な)Z方向に変位する場合に有益である。例えば基板Wである対向面に面する(例えば対向する)流体ハンドリング構造12の底面上のフロー制御板52の半径方向外側に、液浸液供給口180を設けてもよい。液浸液供給口180は液浸液(例えば、例えば水溶液又は水などの液体)を対向面の方向に提供することができる。これは、結像中に基板Wと基板テーブルWTとの間のギャップを埋めることによって液浸液中に泡が形成されるのを防止する上で有用である。
[00102] 液浸液供給口180の半径方向外側に、流体ハンドリング構造12と対向面との間から液体を抽出する抽出器アセンブリ70を備えてもよい。抽出器アセンブリ70は、単相抽出器として又は二相抽出器として動作してもよい。抽出器アセンブリ70は、メニスカスピニングフィーチャとして動作する。
[00103] 単相抽出器としての抽出器アセンブリ70は、参照により全体を本明細書に組み込むものとする、米国特許出願公開US2006−0038968号に記載のような液体除去デバイス、抽出器、又は入口を備えてもよい。ある実施形態では、液体除去デバイス70は、単一液相の液体抽出を可能にするために液体をガスから分離するために使用される多孔質材料111で覆われた入口を備えている。チャンバ121内の負圧は、多孔質材料111の孔内に形成されるメニスカスが、周囲ガスが液体除去デバイス70のチャンバ121内に引き込まれるのを実質的に防止するように選択される。しかし、多孔質材料111の表面が液体に接触すると、フローを制限するメニスカスがなく、液体は液体除去デバイス70のチャンバ121内に自由に流入することができる。
[00104] 多孔質材料111は、各々が寸法、例えば5〜50マイクロメートルの範囲の直径などの幅を有する多数の小孔を有している。多孔質材料111は抽出口の二次元アレイであると見なすことができる。多孔質材料111はサイズが50μm未満の抽出口を有するマイクロシーブであると見なすことができる。多孔質材料111は、例えば基板Wなどの液体がそこから除去される対向面などの表面から50〜300マイクロメートルの範囲の高さに保たれてもよい。ある実施形態では、多孔質材料111は少なくともやや親液性であり、すなわち、例えば水などの液浸液に対する動的接触角が90°以下、望ましくは85°以下、又は望ましくは80°以下である。
[00105] ある実施形態では、液体供給システムは液体レベルの変化に対処する配置を有している。これは、投影システムPSと(例えばメニスカス410を形成する)液体閉じ込め構造との間に累積する液体に対処でき、漏れないようにする配置である。この液体に対処する方法の1つは、疎液性(例えば疎水性)コーティングを施すことである。コーティングは、開口を囲む流体閉じ込め構造12の上部の周囲に及び/又は投影システムPSの最後の光学要素の周囲にバンドを形成してもよい。コーティングは、投影システムPSの光軸から半径方向外側に施されてもよい。疎液性(例えば疎水性)コーティングは、液浸液を空間11内に保つために役立つ。この液体に対処する追加の又は代替の方法は、液体閉じ込め構造12及び/又は投影システムPSに対するある一定のポイント(例えば高さ)に達する液体を除去するための出口201を設けることである。
[00106] 図10に示すように、図6〜図9の実施形態のように液体供給口210及びガス供給口400を設けてもよい。動作原理は同じであり、液体300との衝突によって大きい液滴600を収集可能にするものである。より小さい液滴610は液体300の下を通る。しかし、より小さい液滴610は、メニスカス320と衝突すると、投影ビームPBがそれを通して投影する空間に達する前に消滅する小さい泡だけを形成し易い。この可能性は、ガス供給口400を通って二酸化炭素又は他の溶解度が高いガスが提供される場合に特に高まる。
[00107] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。このような代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、上記及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[00108] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指す。
[00109] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、少なくとも本明細書に記載の方法の形態においては、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、少なくとも本明細書に記載の方法の形態においては、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。さらに機械読み取り式命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで実現することができる。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶することができる。
[00110] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出されるときに、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
[00111] 本発明のある実施形態は、直径が300mm、450mm、又はその他の任意のサイズの基板に適用し得る。
[00112] 本発明の1つ以上の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、又は閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
[00113] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組合せでよい。これは、1つ以上の構造、1つ以上の液体開口を含む1つ以上の流体開口、1つ以上の気体開口あるいは1つ以上の2相流用の開口の組合せを含んでもよい。これらの開口は、各々、液浸空間への入口(又は流体ハンドリング構造からの出口)あるいは液浸空間からの出口(又は流体ハンドリング構造への入口)であってもよい。ある実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、又は空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでもよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ以上の要素をさらに含むことができる。
[00114] ある実施形態では、リソグラフィ装置は、投影システムの露光側に位置する2つ以上のテーブルを備え、各テーブルが1つ以上のオブジェクトを備え、及び/又は保持する多段装置である。ある実施形態では、1つ以上のテーブルは放射感応性基板である。ある実施形態では、1つ以上のテーブルは、投影システムからの放射を測定するセンサを保持してもよい。ある実施形態では、多段装置は放射感応性基板を保持するように構成された第1のテーブル(すなわち、基板テーブル)と、放射感応性基板を保持するように構成されていない第2のテーブル(以下では限定的にではなく、一般に測定及び/又は洗浄テーブルと呼ばれる)と、を備えている。第2のテーブルは放射感応性基板以外の1つ以上のオブジェクトを備え、及び/又はこれを保持してもよい。このような1つ以上のオブジェクトは以下から選択された1つ以上のオブジェクト、すなわち投影システムからの放射を測定するセンサ、1つ以上のアライメントマーク、及び/又は(例えば、液体と機米構造を洗浄するための)洗浄デバイスを含んでもよい。
[00115] ある実施形態では、リソグラフィ装置は、装置のコンポーネントの位置、速度などを測定するエンコーダシステムを備えてもよい。ある実施形態では、コンポーネントは基板テーブルを含んでいる。ある実施形態では、コンポーネントは測定及び/又は洗浄テーブルを含んでいる。エンコーダシステムは本明細書に記載のテーブル用の干渉計システムの追加、又はその代替であってもよい。エンコーダシステムは、センサ、トランスデューサ、又は目盛又はグリッドを有する例えば1対の関連する読み取りヘッドを備えている。ある実施形態では、可動コンポーネント(例えば基板テーブル及び/又は測定及び/又は洗浄テーブル)は1つ以上の目盛又はグリッドと、コンポーネントがそれに対して移動するリソグラフィ装置のフレームは1つ以上のセンサ、トランスデューサ、又は読み取りヘッドを有している。1つ以上のセンサ、トランスデューサ、又は読み取りヘッドは、1つ以上の目盛又は1つ以上のグリッドと連係してコンポーネントの位置、速度などを判定する。ある実施形態では、コンポーネントがそれに対して移動するリソグラフィ装置のフレームは1つ以上の目盛又はグリッドを有し、可動コンポーネント(例えば基板テーブル及び/又は測定及び/又は洗浄テーブル)は1つ以上の目盛又は1つ以上のグリッドと連係してコンポーネントの位置、速度などを判定する1つ以上のセンサ、トランスデューサ、又は読み取りヘッドを有している。
[00116] ある実施形態では、リソグラフィ装置は、メッシュ又は同様の多孔質材料で覆われた入口を有する液体除去デバイス(又はメニスカスピニングフィーチャ)を有する液体閉じ込め構造を備えている。メッシュ又は同様の多孔質材料は、投影システムの最終要素と可動テーブル(例えば基板テーブル)との間の空間で液浸液と接触する二次元配列の穴を備えている。ある実施形態では、メッシュ又は同様の多孔質材料はハニカムメッシュ又はその他の多角形メッシュを含んでいる。ある実施形態では、メッシュ又は同様の多孔質材料は金属メッシュを含んでいる。ある実施形態では、メッシュ又は同様の多孔質材料はリソグラフィ装置の投影システムの画像フィールドの周囲全体に延在する。ある実施形態では、メッシュ又は同様の多孔質材料は液体閉じ込め構造の底面に位置し、テーブルの方向に面する表面を有している。ある実施形態では、メッシュ又は同様の多孔質材料は、テーブルの上面と全体的に平行な底面の少なくとも一部を有している。
[00117] 本発明について、以下の条項によりさらに説明する。
1.リソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、該流体ハンドリング構造は液体を空間に閉じ込め、前記空間を囲む下表面上に前記流体ハンドリング構造の下表面上に液体を供給する液体供給口と、前記液体供給口の空間に対して半径方向内側に、液体を前記空間から抽出し、前記液体供給口から前記下表面上の液体を抽出する液体抽出口の前記二次元アレイとを有する、流体ハンドリング構造。
2.リソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、液体用の空間を囲む下表面上に、
前記空間の半径方向外側の液体抽出口の二次元アレイと、
液体抽出口の前記二次元アレイの半径方向外側に、液体を前記流体ハンドリング構造の下表面上に供給する液体供給口と、
を有し、
液体抽出口の前記二次元アレイは、前記空間から液体を抽出し、前記液体供給口によって前記下表面に供給される液体を抽出するように構成された、流体ハンドリング構造。
3.前記液体供給口及び液体抽出口の二次元アレイは、使用時に前記下表面上に供給され、そこから除去される液体と前記下表面に面する表面との間にガスギャップが存在するように配置される、条項1又は条項2に記載の流体ハンドリング構造。
4.前記下表面上に提供される液体のメニスカスは、前記下表面と前記下表面に面する表面との間に延在する前記空間からの液体のメニスカスと接触する、条項1から3のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
5.液体抽出口の前記二次元アレイは、前記液体供給口の近傍にある、条項1から4のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
6.液体供給口の前記二次元アレイのいずれかの開口は互いに隣接する、条項1から5のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
7.液体抽出口の前記二次元アレイは、少なくとも3列の別個の開口を含む、条項1から6のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
8.液体抽出口の前記二次元アレイの開口は、直径が50〜150μmの範囲から選択される円形の孔と同じ断面積を有する、条項1から7のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
9.液体抽出口の前記二次元アレイの半径方向外側及び/又は半径方向内側の位置にある開口は、前記二次元アレイの半径方向中央の開口よりも大きい断面積を有する、条項1から8のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
10.液体抽出口の前記二次元アレイは、抽出口のサイズが50μm以下であるマイクロシーブを備える、条項1から9のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
11.前記液体供給口の半径方向外側にガス供給口をさらに備える、条項1から10のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
12.リソグラフィ装置のパターニングされたビームが投影される位置に対して液体抽出口の前記二次元アレイの半径方向内側に液体を供給する液体供給口をさらに備える、条項1から11のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
13.前記下表面に接触する液体は、前記液体供給口から液体抽出口の前記二次元アレイへと流れる、条項1から12のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
14.液体抽出口の前記二次元アレイの半径方向幅は、0.5〜3.0mmの範囲から選択される、条項1から13のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
15.前記液体抽出口と液体抽出口の前記二次元アレイとの間の前記下表面は、親液性である、条項1から14のいずれかに記載の流体ハンドリング構造。
16.条項1から15のいずれかに記載の流体ハンドリング構造と、液体抽出口の前記二次元アレイに接続された負圧源とを備える流体ハンドリングデバイスであって、前記負圧源は液体抽出口の前記二次元アレイを通して0.02〜0.2L/分/mmの範囲から選択される流量でガスを抽出するためのコントローラを有する、流体ハンドリングデバイス。
17.条項1から15のいずれかに記載の流体ハンドリング構造、又は条項16に記載の流体ハンドリングデバイスを備える、リソグラフィ装置。
18.リソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、流体を閉じ込める空間を囲む下表面上に、液体抽出口の二次元アレイと、前記二次元アレイの半径方向外側の開口を湿潤状態に保つための液体供給口とを有する、流体ハンドリング構造。
19.デバイス製造方法であって、
投影システムの最終要素と前記最終要素に面する表面との間に液体を提供し、流体ハンドリング構造を使用して投影放射ビームがそれを通過する空間に前記液体を閉じ込めるステップと、
液体の半径方向内側のフローを液体供給口を通して前記流体ハンドリング構造の下表面上に提供するステップと、
液体抽出口の二次元アレイを使用して前記空間から、及び前記下表面から液体を抽出するステップと、
を含む、デバイス製造方法。
[00118] 上記説明は、例示的であって限定的ではない。それ故、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく上記のように本発明を様々に変形できることは当業者には明らかであろう。

Claims (6)

  1. 液体を空間に閉じ込めるリソグラフィ装置用の流体ハンドリング構造であって、
    前記空間を囲む平坦な下表面に、前記流体ハンドリング構造の下表面上へと液体を供給する液体供給口と、
    前記流体ハンドリング構造の中心に対して前記液体供給口の半径方向内側に前記空間を囲み、前記液体を前記空間から抽出し、前記下表面上の液体を抽出する液体抽出口のアレイと、を備え、
    前記液体供給口は、前記液体抽出口のアレイを囲み、前記液体が、前記下表面に面する表面に延在しないように、前記下表面に沿って、前記液体供給口から少なくとも一部の前記液体抽出口のアレイに向かって流れるように誘導され、
    前記液体供給口及び少なくとも一部の前記液体抽出口のアレイは、前記下表面上へと供給され前記下表面から除去される液体と、前記下表面に面する表面と、の間にガスギャップが存在するように配置される、流体ハンドリング構造。
  2. 前記液体抽出口のアレイは、液体とガスとの混合物を抽出する液体抽出口の二次元アレイを備える、請求項1に記載の流体ハンドリング構造。
  3. 前記液体の流れは前記下表面の実効フライ高さを低める、請求項1又は請求項2に記載の流体ハンドリング構造。
  4. 前記液体供給口と前記液体抽出口のアレイとの間の前記下表面は、親液体性又は親液性を有する、請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の流体ハンドリング構造。
  5. 前記液体の流れは、実質的に平らな流れである、請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の流体ハンドリング構造。
  6. 前記下表面と前記下表面に面する前記表面との間の前記液体のメニスカスを囲むように二酸化炭素ガスを供給する手段を更に備える、請求項1乃至請求項5のうち何れか1項に記載の流体ハンドリング構造。
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