本発明の実施形態に係る結着剤、これを用いた電極及び蓄電装置、並びに架橋ポリアミドイミド樹脂について詳細に説明する。
本発明の架橋ポリアミドイミド樹脂は、下記の式(1)で表される架橋構造をもつことを特徴とする。
(R
1、R
2は、それぞれ独立に、2価の鎖状飽和炭化水素基である。Xは、S又はOである。n1はゼロ以上の整数である。)
上記構成をもつ本発明の架橋ポリアミドイミド樹脂は、柔軟性と強度とを併せ持つ。その理由は、以下のように考えられる。一般的に、ポリアミドイミドは、その化学構造からしてエントロピーが小さく、曲げなどの歪に対して折れ曲がりにくい強固な特性を有する。これに対して、式(1)で表される架橋構造は、主として鎖状飽和炭化水素基から構成されている。このため、式(1)で表される架橋構造は、一般的なポリアミドイミドとは異なって、よりエントロピーが大きく、曲げなどの歪みに対して柔軟性を有する。さらに、式(1)で表される架橋構造は、主として鎖状飽和炭化水素基からなる。鎖状飽和炭化水素基は、ポリカルボン酸、ジアミン、エポキシ基、フェノール性水酸基などのような官能基とは異なって、極性が低いため、炭化水素基同士の相互作用が小さい。また、式(1)において鎖状飽和又は炭化水素基の間に介在することがある酸素原子や硫黄原子も、水素結合などの相互作用を与える構造ではないため、本発明の架橋ポリアミドイミド樹脂の柔軟性を制限するものではない。
このように、本発明の架橋ポリアミドイミド樹脂は、強度を供するイミド構造と柔軟性を供する鎖状飽和炭化水素基とを併せ持つ。かかる架橋ポリアミドイミド樹脂は、柔軟性と強度とを併せ持った優れた結着剤として機能することができる。
また、この結着剤を電極に用いることにより、電池使用時に、架橋ポリアミドイミド樹脂が電極中の電極活物質を繋ぎ止め、電極活物質の脱落を防止する。それゆえ、蓄電性能を向上させることができる。
式(1)の中のR1及びR2は、それぞれ独立に、2価の鎖状飽和炭化水素基である。R1及びR2は、それぞれ独立に、1以上8以下の炭素を有するとよく、さらには2以上7以下であることが好ましく、4以上6以下であることが最も好ましい。更に、式(1)の中のR1及びR2に含まれる炭素の数の合計は2以上8以下であることが好ましい。R1及びR2に含まれるそれぞれの炭素の数が1未満の場合には、架橋構造の長さが短く、エントロピーが小さいため、架橋ポリアミドイミド樹脂の柔軟性が低下するおそれがある。特に、電極が、珪素のように体積変化が大きい電極活物質を有する場合には、電極活物質の体積変化に追従できず、電極活物質を確実に繋ぎ止めることができないおそれがある。このような電極を二次電池に用いた場合には、二次電池のサイクル特性が低下するおそれがある。R1及びR2に含まれるそれぞれの炭素の数、又はR1及びR2に含まれる炭素の数の合計が過多の場合には、結着剤の柔軟性は担保されるが、その一方で、樹脂強度を担保しているイミド構造(イミド環構造)の比率が低下するため、架橋ポリアミドイミド樹脂の強度が低下するおそれがある。この場合、電極が、珪素のように体積変化が大きい電極活物質を有する場合には、架橋ポリアミドイミド樹脂そのものが破断し、結果として電極活物質が脱落するおそれがある。また結着剤の親水性溶媒との相溶性が低下し、均一なスラリーを作成しにくくなる場合がある。この状態で電極を作成した場合、結着剤が電極に均一に分散しにくくなる。ここで、導電助剤は凝集しやすいという性質がある。このため、電極が、本発明の結着剤と電極活物質と導電助剤とを有するとき、R1及びR2に含まれるそれぞれの炭素の数が過多である場合又はR1及びR2に含まれる炭素の数の合計が過多である場合には、結着剤が電極に均一に分散しないため、導電助剤も電極に均一に分散しにくく、電極内の導電性が低下するおそれがある。
式(1)の中のR1及びR2は、鎖状飽和炭化水素基であればよく、分岐のない直鎖状飽和炭化水素基であってもよく、又は分岐のある分岐型鎖状炭化水素基であってもよい。このうち、鎖状飽和炭化水素基は直鎖状飽和炭化水素基であるとよい。直鎖状飽和炭化水素基は、分岐がある場合に比べて、構造的な自由度が大きく、柔軟であると考えられるためである。鎖状飽和炭化水素基は、分岐型鎖状炭化水素基であってもよいが、その場合、分岐基の炭素数が小さい方が折れ曲がりやすい。このため、分岐基の炭素数は、4以下がよく、更には3以下、2以下、1であることが好ましい。
式(1)の中のR1及びR2は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ペプチレン基、オクチレン基があげられる。これらの基は、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。この中で、エチレン基、プロピレン基、直鎖状ブチレン基、直鎖状ペンチレン基、直鎖状ヘキシレン基が好ましい。
また、式(1)で表される架橋構造は、例えば、2つの鎖状飽和炭化水素基の間に酸素原子が介在していてもよく、または硫黄原子が介在していてもよい。酸素原子又は硫黄原子は、鎖状飽和炭化水素基の間の複数箇所に介在していてもよい。酸素原子又は硫黄原子を介在させた鎖状飽和炭化水素基の繰り返し数n1は0以上の整数であり、更に、0以上100以下、更には0以上10以下であることが好ましい。
本発明において、前記架橋ポリアミドイミド樹脂は、下記の式(2)で表される。
(PAI
1、PAI
2は、それぞれ独立に、ポリアミドイミドの繰り返し単位である。R
1、R
2は、それぞれ独立に、2価の鎖状飽和炭化水素基である。Xは、S又はOである。n1はゼロ以上の整数、n2、n3は1以上の整数である。)
式(2)で表される架橋ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミドの間に、主として鎖状炭化水素基からなる架橋構造を有している。このため、架橋ポリアミドイミド樹脂は、強度と柔軟性とをあわせもつ。かかる架橋ポリアミドイミド樹脂をもつ結着剤を用いた電極は、蓄電性能を向上させることができる。
式(2)において、PAI1 n2、PAI2 n3は、ポリアミドイミドであり、それぞれ、PAI1、PAI2で表される繰り返し単位をもつ高分子である。PAI1、PAI2で表されるポリアミドイミドの繰り返し単位は、いずれも、カルボキシル基とアミノ基とをもつ。ポリアミドイミドの一の単量体のカルボン酸と、他の単量体のアミンとが脱水縮合することで、一の単量体と他の単量体とがアミド結合及びイミド結合を介して結合することで、ポリアミドイミドの高分子化が進行する。
前記架橋ポリアミドイミド樹脂は、下記の式(3)で表されることが好ましい。
(PAI
3、PAI
4は、それぞれ、ポリアミドイミドの中の末端置換基としてのカルボキシル基を除く部分を示す。R
1、R
2は、それぞれ独立に、2価の鎖状飽和炭化水素基である。Xは、S又はOである。n1はゼロ以上の整数である。)
PAI3、PAI4は、それぞれ、ポリアミドイミドの中の末端置換基としてのカルボキシル基を除く部分を示す。ここで、末端置換基は、ポリアミドイミドの中の、架橋構造(―(R1X)n1R2―)と結合している基をいう。
式(3)で表される架橋ポリアミドイミド樹脂では、ポリアミドイミドが、カルボキシル基を介して、架橋構造と結合している。ポリアミドイミドのカルボキシル基側は、トリメリット酸基をもち、前記ポリアミドイミドは、前記トリメリット酸基のもつカルボキシル基で、前記架橋構造と結合していることが好ましい。式(3)で表されるポリアイミド樹脂ではPAI3、及びPAI4と架橋構造(-(R1X)n1R2-)はエステル構造(-COO-, -OCO-)を介して、結合している。ポリアミドイミド側は末端、又は非環式のポリアミック酸に由来するカルボン酸基と結合していることが好ましい。
上記のポリアミドイミドは、芳香族、脂肪族、及び脂環族の群から選ばれる1種以上の構造または組成を有するとよい。
ポリアミドイミドは、溶液重合法、溶融重合法などを用いて製造することができ、ジアミン法又はイソシアネート法等公知の方法で製造することができる。
ポリアミドイミドの製造に用いられる酸成分としてはトリメリット酸及びこれの無水物、酸塩化物の他にピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等のテトラカルボン酸及びこれらの無水物、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリルーブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレンーブタジエン)等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸があげられ、これらの中ではトリメリット酸無水物が好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジアミン(ジイソシアネート)としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン及びこれらに対応するエチレンジソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン及びこれらに対応する1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミン及びこれらに対応するm−フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’-ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
本発明の結着剤において、ポリアミドイミドを構成する繰り返し単位の数を100としたときに、前記架橋構造の数は0.01以上20以下であるとよく、更に0.05以上10以下であることが好ましく、0.1以上5以下であることが最も好ましい。架橋構造の数が過少の場合には、架橋ポリアミドイミド樹脂の柔軟性が不足するおそれがある。また、架橋構造の主な構成要素である鎖状飽和炭化水素基は、電気抵抗が大きいため、架橋構造の数が過多の場合には、電極内の導電性が低下し、蓄電性能を低下させるおそれがある。この記載から明らかなように、本発明の結着剤には架橋したポリアミドイミドと未架橋ポリアミドイミドとが共存する場合がある。
ポリアミドイミドを式(1)で表される架橋構造で架橋するために、ポリアミドイミドを、触媒存在下で、架橋構造をもつ化合物と反応させるとよい。架橋前のポリアミドイミドの重合度は、5以上1000以下であるとよく、更に、10以上500以下であることが好ましく、10以上100以下であることが望ましく、15以上50以下であることが最も望ましい。または、ポリアミドイミドの単量体を、触媒存在下で、縮合させるとともに、架橋構造をもつ化合物と反応させてもよい。触媒は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどを用いるとよい。
架橋構造をもつ化合物は、下記の式(4)で表わされることが好ましい。
(Lは、塩素、臭素、要素等のハロゲン、水酸基などの脱離基を示す。R
1、R
2は、それぞれ独立に、2価の鎖状飽和炭化水素基である。Xは、S又はOである。n1はゼロ以上の整数)
ポリアミドイミドを架橋構造で架橋させる反応は、溶剤存在下で行うとよい。溶剤としては、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミドなどを用いるとよい。反応温度は、25〜180℃であるとよい。反応温度が25℃未満の場合には、反応が遅く、180℃を超える場合には、ポリアミドイミドが自己架橋するおそれがある。
ポリアミドイミドと式(1)で表される架橋構造がエステル構造を介して結合している場合は、後述の式(5)の脱離基としてポリアミドイミドの末端のカルボン酸との反応性がより高い、臭素やヨウ素がより好ましい。
本発明の結着剤は、柔軟性と強度を併せ持つため、種々の用途が考えられる。本発明の結着剤は、例えば、電極、プリント配線板用接着フィルム、摺動部材などに用いることができる。
本発明の結着剤は、電極に用いられるとよい。以下に、上記本発明の結着剤を用いた電極について説明する。電極は、本発明の結着剤と、電極活物質とを含み、必要に応じて導電助剤を含むことがある。電極は、多くの場合、集電体と、集電体の表面を被覆する電極活物質層とをもつ。電極活物質層は、本発明の結着剤と電極活物質と必要に応じて含められた導電助剤とで形成される。電極は、正極、負極のいずれでもよい。
本発明の結着剤を含む電極は、蓄電装置の電極として用いられる。蓄電装置としては、例えば、二次電池、キャパシタなどがあげられる。二次電池としては、非水系二次電池、固体電解質二次電池があげられる。非水系二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池が挙げられる。キャパシタとしては、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどが挙げられる。
本発明の結着剤を含む電極は、電極活物質として珪素を含むことがよい。電極に含まれる珪素は、後述のように、単体、合金、化合物のいずれの形態でも良い。珪素は、イオンの吸蔵及び放出に伴う体積変化が大きい。かかる珪素を含む電極に、本発明の結着剤を含めることで、蓄電性能の大幅な向上を期待できる。本発明の結着剤は柔軟性と強度とを合わせもつため、電極活物質の体積変化に柔軟に追従でき、電極活物質の脱落を防止できるからである。
電極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、電極活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。なお、電極に用いられる結着剤は、本発明の結着剤のみから構成されていてもよいが、本発明の結着剤の他に、公知の結着剤を併有していてもよい。
ここで、本発明の結着剤を有する電極を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極活物質を有する負極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質を有する正極と、金属塩としてリチウム塩を採用した電解液を備える。本発明の結着剤は、負極及び/又は正極に含めることができる。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である単体、合金または化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、珪素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。珪素などを負極活物質に採用すると、珪素1原子が複数のリチウムと反応するため、高容量の活物質となるが、リチウムの吸蔵及び放出に伴う体積の膨張及び収縮が顕著となるとの問題が生じる恐れがあるため、当該恐れの軽減のために、珪素などの単体に遷移金属などの他の元素を組み合わせた合金又は化合物を負極活物質として採用するのも好適である。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、珪素単体と二酸化珪素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などの珪素系材料、珪素単体若しくは珪素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O4、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、又は、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
負極に本発明の結着剤を含める場合、負極活物質層は、負極活物質及び本発明の結着剤、必要に応じて導電助剤を含む。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると負極活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
リチウムイオン二次電池に用いられる正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質を有する。正極は、集電体と、集電体の表面に結着させた正極活物質層を有する。
正極に本発明の結着剤を含める場合には、正極活物質層は、正極活物質及び発明の結着剤、必要に応じて導電助剤を含む。正極の集電体は、負極の集電体と同様のものを用いることができる。正極の導電助剤は負極で説明したものと同様である。
正極活物質としては、層状化合物のLiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦1.2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4等のスピネル、及びスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、Li2Mn2O4、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiS2などの金属硫化物、V2O5、MnO2などの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予めイオンを添加させておく必要がある。ここで、当該イオンを添加するためには、金属または当該イオンを含む化合物を用いればよい。
集電体の表面に電極活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に電極活物質を塗布すればよい。具体的には、電極活物質、及び本発明の結着剤、必要に応じて導電助剤を含む活物質層形成用組成物を調製し、この組成物に適当な溶剤を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
リチウムイオン二次電池には必要に応じてセパレータが用いられる。セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
正極および負極に必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されればよい。
電解液は、例えば、有機溶媒と電解質とを有する非水系電解液であることがよい。非水系電解液に用いられる有機溶媒は、公知のエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどが挙げられる。電解質は、過塩素酸リチウム、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのリチウム塩を用いると良い。電解液1リットルの中の電解質の濃度は、0.5mol/L以上1.7mol/L以下であるとよい。 本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明の蓄電装置は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部に蓄電装置による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両に蓄電装置を搭載する場合には、蓄電装置を複数直列に接続して組電池とするとよい。蓄電装置を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明の蓄電装置は、風量発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の電解液の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
(実施例1)
下記の式(5)で表されるポリアミドイミドを準備する。式(5)で表されるポリアミドイミドはトリメリット酸無水物とジフェニルメタンジイソシアネートを窒素雰囲気下、ジメチルアセトアミド中で3時間加熱し、得られた混合液に水を加え、析出した固形物を回収することで得られる。
ポリアミドイミドの繰り返し単位の重合度nは37であり、ポリアミドイミドの質量平均分子量(Mw)は10,000である。このポリアミドイミドを固形分15質量%となるようにγ−ブチロラクトンに溶解させて、溶液を調製した。この溶液20gをアルゴン置換した容器に分取した後、1,4−ジヨードブタンを0.13ml、トリエチルアミンを0.2ml加え、60℃で24時間加熱及び撹拌した。ポリアミドイミドを構成する繰り返し単位の数を100mol%としたときに、1,4−ジヨードブタンの添加量は、1mol%である。この場合、ポリアミドイミドの繰り返し単位の数を100個としたときのブチレン基の数は、1個となる。
次に、反応混合物を室温まで冷却し、200mmHgに減圧し、30分かけてトリエチルアミンを除去することで、ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂を含む溶液(a)を得た。ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂は、以下の式(6)で表わされる。式(6)の中のnは、ポリアミドイミドの繰り返し単位の重合度であり、nは37である。
架橋前のポリアミドイミドと、架橋ポリアミドイミド樹脂のIR(赤外分光法)測定を行った。測定はKBr錠剤法にて行った。架橋前のポリアミドイミドのIR測定結果を図1に示し、架橋後の架橋ポリアミドイミド樹脂のIR測定結果を図2に示した。図1に示すように、架橋ポリアミドイミド樹脂は、架橋前に観察された原料であるポリアミドイミドの末端構造の無水物構造(−CO−O−CO−)に由来する伸縮振動(1776cm−1)が消失し、架橋前には確認されなかったエステル結合(−CO−O−)に起因する伸縮振動を1758cm−1に観測した。このことから、架橋ポリアミドイミド樹脂に含まれるポリアミドイミドの末端部は、ブチレン基で架橋されていることがわかった。なお、架橋前のポリアミドイミドと架橋後の架橋ポリアミドイミド樹脂のいずれも、ポリアミドイミドのイミド基、アミド基に起因する伸縮振動がそれぞれ1715cm−1付近、1660cm−1付近に観察された。
得られた架橋ポリアミドイミド樹脂を含む溶液(a)を用いて電極を作製し、更にこの電極を用いてリチウムイオン二次電池を作製した。以下、その製法を説明する。
不均化されたSiOを85重量部、アセチレンブラックを5重量部、上記合成法に従って得られた、ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂を含む溶液(a)を66重量部(固形分15質量%)となるように加え、NMPに希釈・混合してスラリーを調製した。
このスラリーを、厚さ20μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、80℃で20分間乾燥させて、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを200℃で2時間真空乾燥し、負極活物質層の厚さが16μmの負極を形成した。
上記の手順で作製した負極を評価極として用い、リチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は、厚さ500μmの金属リチウム箔とした。
対極を直径13mm、評価極を直径11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルターおよびcelgard2400)を両者の間に挟装して電極体電池とした。エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒に電解質LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解して、非水電解質を得た。電極体電池を電池ケース(宝泉株式会社製CR2032コインセル)に収容した。また、電池ケースには、非水電解質を注入し、電池ケースを密閉して、リチウムイオン二次電池を得た。
(実施例2)
実施例1と同様に、上記の式(5)で表されるポリアミドイミドを準備した。このポリアミドイミドの繰り返し単位の重合度n及びポリアミドイミドの質量平均分子量(Mw)は、実施例1と同様である。
上記の式(5)で表されるポリアミドイミドを固形分15 質量%になるようにγ−ブチロラクトンに溶解させ、溶液を調製した。この溶液20gをアルゴン置換した反応容器に分取した後、1,4−ジヨードブタンを0.013ml、トリエチルアミンを0.2 ml加え、60 ℃で24時間加熱攪拌した。ポリアミドイミドを構成する繰り返し単位の数を100mol%としたときに、1,4−ジヨードブタンの添加量は、0.1mol%である。この場合、ポリアミドイミドの繰り返し単位の数を100個としたときのブチレン基の数は、0.1個となる。
次に、反応混合物を室温まで冷却し、200 mmHgに減圧し、30分かけてトリエチルアミンを除去することで、ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂を含む溶液(b)を得た。ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂は、上記の式(6)で表される。式(6)の中のnは、37である。得られた架橋ポリアミドイミド樹脂のIR測定を行った結果、実施例1と同様にエステル結合に起因する伸縮振動を観測した。
得られたポリアミドイミドを含む溶液(b)を用いて、実施例1と同様に電極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3)
実施例1と同様に、上記の式(5)で表されるポリアミドイミドを準備した。このポリアミドイミドの繰り返し単位の重合度n及びポリアミドイミドの質量平均分子量(Mw)は、実施例1と同様である。
上記の式(5)で表されるポリアミドイミドを固形分15 質量%になるようにγ−ブチロラクトンに溶解させ、溶液を調製した。この溶液20gをアルゴン置換した反応容器に分取した後、1,4−ジヨードブタンを0.065ml、トリエチルアミンを0.2 ml加え、60 ℃で24時間加熱攪拌した。ポリアミドイミドを構成する繰り返し単位の数を100mol%としたときに、1,4−ジヨードブタンの添加量は、0.5mol%である。この場合、ポリアミドイミドの繰り返し単位の数を100個としたときのブチレン基の数は、0.5個となる。
次に、反応混合物を室温まで冷却し、200 mmHgに減圧し、30分かけてトリエチルアミンを除去することで、ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂を含む溶液(c)を得た。ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂は、上記の式(6)で表される。式(6)の中のnは37である。得られた架橋ポリアミドイミド樹脂のIR測定を行った結果、実施例1と同様にエステル結合に起因する伸縮振動を観測した。
得られたポリアミドイミドを含む溶液(c)を用いて、実施例1と同様に電極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例4)
実施例1と同様に、上記の式(5)で表されるポリアミドイミドを準備した。このポリアミドイミドの繰り返し単位の重合度n及びポリアミドイミドの質量平均分子量(Mw)は、実施例1と同様である。
上記の式(5)で表されるポリアミドイミドを固形分15 質量%になるようにγ−ブチロラクトンに溶解させ、溶液を調製した。この溶液20gをアルゴン置換した反応容器に分取した後、1,4−ジヨードブタンを0.39ml、トリエチルアミンを0.2 ml加え、60 ℃で24時間加熱攪拌した。ポリアミドイミドを構成する繰り返し単位の数を100mol%としたときに、1,4−ジヨードブタンの添加量は、3mol%である。この場合、ポリアミドイミドの繰り返し単位の数を100個としたときのブチレン基の数は、3個となる。
次に、反応混合物を室温まで冷却し、200 mmHgに減圧し、30分かけてトリエチルアミンを除去することで、ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂を含む溶液(d)を得た。ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂は、上記の式(6)で表される。式(6)の中のnは、37である。得られた架橋ポリアミドイミド樹脂のIR測定を行った結果、実施例1と同様にエステル結合に起因する伸縮振動を観測した。
得られたポリアミドイミドを含む溶液(d)を用いて、実施例1と同様に電極及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
不均化されたSiOを85重量部、アセチレンブラックを5重量部、ポリアミドイミドを10重量部となるように加え、NMPに希釈・混合してスラリーを調製した。比較例1で用いたポリアミドイミドは、実施例1で用いた架橋前のポリアミドイミドと同様であり、繰り返し単位の重合度nは37であり、ポリアミドイミドの質量平均分子量(Mw)は10,000である。比較例1で用いたポリアミドイミドのIR測定結果は、実施例1で用いた架橋前のポリアミドイミドと同様である。
このスラリーを、厚さ20μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、80℃で20分間乾燥して、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを200℃で2時間真空乾燥し、負極活物質層の厚さが16μmの負極を形成した。
上記の手順で作製した負極を評価極として用い、実施例1と同様にリチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。
<電池特性評価>
実施例1〜4及び比較例1の電池の電池特性を評価した。電池特性の評価のために、各電池について直流電流0.2mAで評価極の対極に対する電圧が0.01Vになるまで放電を行った。放電が終了してから10分後に、直流電流0.2mAで評価極の対極に対する電圧が1.0Vになるまで充電を行った。このときの放電容量を初期放電容量とし、充電容量を初期充電容量とした。(初期充電容量/初期放電容量)×100を初期効率(%)とした。また、充電後10分後の電圧を測定し、該電圧と1.0Vとの差を算出して、その結果から直流抵抗値(Direct Current Internal Resistance:DC-IR)を算出した。なお、本評価では、評価極にLiを吸蔵させることを放電といい、評価極からLiを放出させることを充電という。
また、上記充電及び放電を1サイクルとして、各電池に対して35サイクルの充電放電を行った。(35サイクル後の放電容量/初期放電容量)×100を容量維持率(%)とした。これらの結果を表1に示した。図3には、実施例1及び比較例1の容量維持率を示した。
表1及び図3に示すように、実施例1〜4の電池は、初期劣化が少なく、実施例1〜4の初期効率は、比較例1と比べると同等であった。また、実施例1〜4の電池の容量維持率は、比較例1よりも高かった。その理由は以下のように考えられる。実施例1〜4の電極に用いられている結着剤は、ブチレン基で架橋された架橋ポリアミドイミド樹脂をもつ。この架橋ポリアミドイミド樹脂は、ブチレン基架橋の部分で柔軟性をもつため、SiOの膨張に追従でき、初期性能及び容量維持率が向上したものと考えられる。
実施例1〜4の中でも、実施例1,3の電池は、初期効率及び容量維持率ともに高かった。このことから、ポリアミドイミドの繰り返し単位の数を100mol%としたときに、ブチレン基の添加量は、0.5〜1mol%であることで初期効率及び容量維持率が特に高くなることがわかった。
一方で、ブチレン基による架橋構造を増やした実施例4の電池は、他の実施例1及び3よりも初期効率及び容量維持率が低下した。ブチレン基の架橋構造の数が増加したため、電極の抵抗が高くなり、初期効率が低下したものと考えられる。
以上のことから、架橋ポリアミドイミド樹脂へのブチレン基導入により、架橋ポリアミドイミド樹脂の柔軟性が向上し、SiOを含む負極の性能が改善されることがわかった。