JP6423983B1 - ペットフード、粒状ペットフード、及びペットフードの製造方法 - Google Patents

ペットフード、粒状ペットフード、及びペットフードの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】視覚的変化、並びに食感及び味の変化により、嗜好性を向上させたペットフードおよび粒状ペットフード、並びに前記ペットフードの製造方法を提供する。【解決手段】基体と、前記基体の一部を被覆する被覆部と、を備え、前記基体の一部は露出しており、前記基体の成分組成と前記被覆部の成分組成とは、相違している、ペットフード。【選択図】図1A

Description

本発明はペットフード、粒状ペットフード、及びペットフードの製造方法に関する。
ペットフードにあっては、ペットに好んで食されるようにするために、すなわち嗜好性を向上させるために、様々な工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、穀物ベースのシェル成分と、脂質成分を含む軟性内部成分とを含有し、前記軟性内部成分が前記シェル成分に完全に囲まれた二重構造の動物用食品とすることで嗜好性を向上させた動物用食品が記載されている。
特許第4689932号公報
しかしながら、特許文献1に記載の動物用食品は、軟性内部成分がシェル成分に完全に囲まれているため、外観上、視覚的な変化に乏しく、視覚的な興味を喚起することができない。また、噛みはじめの食感が均一であり、食感による変化が乏しい。
そこで、本発明は、視覚的変化、並びに食感及び味の変化により、嗜好性を向上させたペットフードおよび粒状ペットフード、並びに前記ペットフードの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は以下の態様を包含する。
(1)基体と、前記基体の一部を被覆するライン形状の被覆部と、を備え、前記基体の一部は露出しており、前記基体の成分組成と前記被覆部の成分組成とは、相違している、ペットフード。
(2)前記基体の色と前記被覆部の色とは、相違している、(1)に記載のペットフード。
(3)CILAB色空間において、下記(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1個の条件を満たす、(2)に記載のペットフード。
(a)ΔL(被覆部のL−基体のL)が5.0以上
(b)ΔE(被覆部と基体との色差)が5.0以上
(c)ΔC(被覆部のC−基体のC)が−7.5〜−1.0
(d)ΔC(被覆部のC−基体のC)が1.0〜7.5
(4)前記基体の味と前記被覆部の味とは、相違している、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のペットフード。
(5)前記基体の破断力と前記被覆部の破断力とが、相違している、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のペットフード。
(6)前記被覆部の破断力が、前期基体の破断力よりも低い、(5)に記載のペットフード。
(7)前記基体は、少なくとも1つの凹部を有する、(1)〜(6)のいずれか一項に記載のペットフード。
(8)前記被覆部は、油脂及び粉体原料を含有する、(1)〜(7)のいずれか一項に記載のペットフード。
(9)前記ペットフード全体の表面積に対する前記被覆部の面積率が、5〜50%である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載のペットフード。
(10)前記被覆部を有する面と、前記基体が露出する露出部のみで形成される面と、を備える、(1)〜(9)のいずれか一項に記載のペットフード。
(11)前記基体の表面から前記被覆部の最頂部までの高さが、0.1〜2mmである、(1)〜(10)のいずれか一項に記載のペットフード。
(12)前記基体は、粒状である、(1)〜(11)のいずれか一項に記載のペットフード。
(13)前記基体は、膨化粒である、(12)に記載のペットフード。
(14)複数のペットフード粒からなる粒状ペットフードであって、前記複数のペットフード粒は、請求項12又は13に記載のペットフードを複数個含み、前記複数のペットフード粒全体の表面積に対する前記被覆部の面積率が、5〜50%である、粒状ペットフード。
本発明は以下の態様もまた包含する。
(15)基体と、前記基体の一部を被覆するライン形状の被覆部と、を備え、前記基体の一部は露出しており、前記基体の成分組成と前記被覆部の成分組成とは、相違している、ペットフードの製造方法であって、基体の一部を、前記基体とは異なる組成を有する被覆部形成用組成物で被覆する被覆工程と、前記被覆部形成用組成物を固化させる固化工程と、を含む、ペットフードの製造方法。
(16)前記基体の色と前記被覆部の色とは、相違している、(15)に記載のペットフードの製造方法。
(17)CILAB色空間において、下記(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1個の条件を満たす、(16)に記載のペットフードの製造方法。
(a)ΔL(被覆部のL−基体のL)が5.0以上
(b)ΔE(被覆部と基体との色差)が5.0以上
(c)ΔC(被覆部のC−基体のC)が−7.5〜−1.0
(d)ΔC(被覆部のC−基体のC)が1.0〜7.5
(18)前記基体の味と前記被覆部の味とは、相違している、(15)又は(16)に記載のペットフードの製造方法。
(19)前記基体の破断力と前記被覆部の破断力とが、相違している、(15)〜(18)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(20)前記被覆部の破断力が、前期基体の破断力よりも低い、(19)に記載のペットフードの製造方法。
(21)前記基体は、少なくとも1つの凹部を有する、(15)〜(20)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(22)前記被覆部は、油脂及び粉体原料を含有する、(15)〜(21)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(23)前記ペットフード全体の表面積に対する前記被覆部の面積率が、5〜50%である、(15)〜(22)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(24)前記被覆部を有する面と、前記基体が露出する露出部のみで形成される面と、を備える、(15)〜(23)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(25)前記基体の表面から前記被覆部の最頂部までの高さが、0.1〜2mmである、(15)〜(24)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(26)前記基体は、粒状である、(15)〜(25)のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
(27)前記基体は、膨化粒である、(26)に記載のペットフードの製造方法。
本発明によれば、視覚的変化、並びに食感及び味の変化により、嗜好性を向上させたペットフードおよび粒状ペットフード、並びに前記ペットフードの製造方法が提供される。
本発明の第1態様に係るペットフードの一例である。 本発明の第1態様に係るペットフードの一例である。 本発明の第2態様に係る粒状ペットフードの一例である。 本発明の実施例で用いた基体を示す。
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
[破断(硬さ)の測定方法]
本明細書において、ペットフードの破断力(破断硬さ)は以下の測定方法で得られる値である。
圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ−SX、島津製作所製)を用い、ペットフードを一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を下記の条件で測定する。
プランジャー:直径15mm、厚さ5mmの円柱状のプランジャー、プラットフォーム:アスタリスク状に深掘りされた受け皿(内径約33mm×深さ約4mm)、圧縮速度:60mm/分、プランジャーの最下点:4mm(圧縮距離)、測定温度:25℃。
具体的には、受け皿の上に、測定対象のペットフードを1つ置き、真上から垂直にプランジャーを一定速度で押し付けながら試験力を測定する。試験力のピーク値(最大値)を破断力の値として読み取る。10個について測定を繰り返して平均値を求める。測定の途中でペットフードが割れた場合には、その時点で当該ペットフードの測定を終了する。 上記圧縮試験機で測定される破断力(単位:kgw)の数値に9.8を掛け算する(乗じる)ことによって、単位をニュートン(N)に変換する。
[色彩測定]
本明細書において、ペットフードの基体及び被覆部の色彩は以下の測定方法で得られる値である。
測色色差系ZE6000(日本電色工業株式会社製)を用い、基体及び被覆部の色彩を測定する。
基体は、岩谷産業株式会社製ミルサーを用いて均一に粉砕して、測定用検体とする。 被覆部は、被覆部用組成物を70℃で加温して溶解後、測定容器に流し込み、常温で1時間静置して固化させて、測定用検体とする。
10mL量の測定用容器に約80%の分量で測定用検体を入れ、機器付属のマニュアルに従って、3箇所について、CIELAB色空間における各座標値の測定を行う。各データは、以下の式により求められる。
ΔL:被覆部(L)−基体(L
Δa:被覆部(a)−基体(a
Δb:被覆部(b)−基体(b
ΔE:{(ΔL+(Δa+(Δb1/2
={(a+(b1/2
ΔC:被覆部(C)−基体(C
[被覆部の面積率の測定]
本明細書において、ペットフードの被覆部の面積率は以下の測定方法(1)又は(2)で得られる値である。
≪測定方法(1)≫
ビジュアルアナライザーを用いた画像分析により、被覆部の面積率を測定する。
具体的には、ペットフード(粒状ペットフードの場合は、所定数量(例えば約50g)のペットフード粒)を平面上の測定領域に置き(粒状ペットフードの場合は、裏表ランダムにばらまく)、表面部の色構成分析データを取得する。全体に対する各色の構成を分析したデータから、被覆部の中心色彩に対する色差(ΔE)が13.0以下である色彩を被覆部の色彩として解析し、ペットフード全体に対する被覆部の面積率を100分率で求める。
≪測定方法(2)≫
光学顕微鏡(VHX−900F(KEYENCE製))により、ペットフードを観察・撮影し、被覆部の面積率を測定する。
具体的には、ペットフード(粒状ペットフードの場合は、1個のペットフード粒)を光学顕微鏡で観察し、被覆部を有する面の画像を取得する。前記画像に基づき、ペットフード全体の表面積と被覆部の面積とを計測し、ペットフード全体に対する被覆部の面積率を100分率で求める。
[ペットフード粒の長径、短径、厚さの測定方法]
本明細書において、ペットフード粒の平均長径は、水平台に置いたペットフード粒を上方から見た場合の長径及び短径をノギスで測定し、それらの平均値を平均長径及び平均短径とする。またペットフード粒の厚さは、水平台に置いたペットフード粒の下面(下端)から上面(上端)までの厚さを測定する。
<ペットフード>
本発明の第1の態様に係るペットフードは、基体と、前記基体の一部を被覆する被覆部と、を備え、前記基体の一部は露出しており、前記基体の成分組成と前記被覆部の成分組成とは、相違しているペットフードである。
図1A及び図1Bは、本態様に係るペットフードの一例を示す図である。図1Aは、四角形状の基体10の一部が被覆部20で被覆されている。図1Bは、丸形状の基体10の一部が被覆部20で被覆されている。図1A及び図1Bの基体10は、それぞれ凹部11を備えている。
≪基体≫
基体の形状は特に限定されず、粒状、棒状、板状、球状、管状、円柱状、円錐状等の任意の形状を採用することができる。基体の断面形状としては、円形、楕円形、多角形(例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形等)、星状、ハート状などが挙げられるが、これらに限定されない。基体が粒状である場合、粒の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形、ハート状、星状、十字状、ドーナツ状、クローバー状等が挙げられるが、これらに限定されない。
基体のサイズは、ペットが食べやすいサイズであれば、特に限定されない。例えば、ペットフードが粒状である場合、ペットフード粒のサイズとしては、例えば、長径及び短径が、いずれも3〜30mmの範囲内であることが好ましく、いずれも6〜16.5mmであることがより好ましく、いずれも8〜12mmであることがさらに好ましい。ペットフード粒の厚さは、例えば、2〜8mmが好ましく、3〜6mmがより好ましい。
また、基体は、少なくとも1つの凹部を有していてもよい。凹部の配置、形状及び数は、特に限定されず、任意の配置、形状及び数とすることができる。基体が凹部を有することにより、被覆部の剥離が抑制される。凹部は、貫通孔であってもよく、非貫通孔であってもよい。凹部の形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば三角形、四角形、五角形、六角形、菱形、台形等)、溝形等が挙げられる。凹部の数としては、例えば、1〜10個、2〜8個、又は4〜6個等が例示される。凹部が複数である場合、その配置は、例えば、格子状、マス目状、放射状、円形状等が挙げられる。
基体は、ペットフードにおいて公知の原料を適宜用いることができる。基体は、例えば、粉体原料と液体原料を混合した原料混合物を加熱および成形して得られる。基体は、膨化粒であってもよく、非膨化粒であってもよいが、食感の観点から膨化粒が好ましい。「膨化粒」は、原料混合物を粒状に成形した粒であって、原料混合物の内部で起泡させる膨化工程を経て得られる粒である。「膨化工程」とは、加熱、発酵、化学反応または減圧などの手法により、原料混合物の内部で気体を発生させる工程をいう。膨化工程では、気体が発生することにより原料混合物の体積が増加し多孔質の性状となる。原料混合物の体積が増加することにより嵩密度が低下する。膨化工程の前、膨化工程の後、または膨化工程と同時に原料混合物を粒状に成形することにより「膨化粒」が得られる。「非膨化粒」は膨化工程を経ずに製造された粒である。
粉体原料の例としては、主原料として、穀類(トウモロコシ、小麦、米、コーングルテンミール、小麦ふすま、パン粉、大麦、燕麦、ライ麦等)、いも類(さつまいも、馬鈴薯等)、豆類(丸大豆、脱脂大豆等)、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン、加工デンプン等)、肉類(鶏肉、牛肉、豚肉、鹿肉などの畜肉。その部位を表すレバー、牛筋、豚耳、ささみ等。その加工物のチキンミール、豚ミール、牛ミール、これらの混合ミール、肉エキスなど)、魚介類(まぐろ、かつお、あじ等の魚類。えび、かに等の甲殻類、たこ、いか等の軟体動物、ほたて、さざえ等の貝類。その加工物のフィッシュミール、フィッシュエキス、鰹節等。その形態を表す小魚、しらす、その肉質を表す白身魚等、その部位を表すマグロ血合い肉など。)、野菜類、種実類、きのこ類、果実類、藻類、卵類、糖類、乳類、その他(ハーブ、酵母、セルロースなど)、添加物としては、ビタミン類、無機塩類、アミノ酸類、酸味料、調味料、フレーバー原料、着色料、保存料、乳化剤、酸化防止剤等が挙げられる。
液体原料の例としては、水、油脂類、糖類(液糖など)、保湿剤、保存料、乳化剤等が挙げられる。保湿剤、乳化剤は水溶液の状態で添加してもよい。
油脂は植物性油脂でもよく、動物性油脂でもよい。高い嗜好性が得られ易い点で動物性油脂を用いることが好ましい。好ましい動物物性油脂としては、鶏油、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、または乳性脂肪等が挙げられる。
基体の配合例として、穀類の合計20〜70質量%、肉類の合計10〜50質量%、魚介類の合計0〜30質量%、ビタミン、ミネラル類、アミノ酸類の合計0〜10質量%、セルロースパウダー0〜15質量%、動物性油脂1〜20質量%等が挙げられる。
≪被覆部≫
被覆部は、基体の一部を被覆し、基体の成分組成とは相違する成分組成を有している。 被覆部は、基体の全てを被覆することはなく、基体の一部は露出している。基体の成分組成とは相違する成分組成の被覆部を有することにより、視覚的変化、食感の変化、及び味の変化がペットフードに付与される。
ペットフード全体の表面積に対する被覆部の面積率は、特に限定されないが、例えば、5〜50%が例示され、5〜30%が好ましく、5〜25%がより好ましい。より具体的には、上記「[被覆部の面積率の測定]≪測定方法1≫」に記載の方法を用いた場合、ペットフード全体の表面積に対する被覆部の面積率としては、5〜50%が例示され、5〜30%が好ましく、5〜25%がより好ましく、7〜15%がさらに好ましい。また、上記「[被覆部の面積率の測定](測定方法2)」に記載の方法を用いた場合、ペットフード全体の表面積に対する被覆部の面積率としては、5〜50%が例示され、5〜40%が好ましく、8〜30%がより好ましく、10〜25%がさらに好ましい。粒状のペットフードである場合、上記「[被覆部の面積率の測定]≪測定方法2≫」に記載の方法を用いて、複数個(例えば、2〜10個程度)のペットフード粒について被覆部の面積率を算出し、その平均値を被覆部の面積率としてもよい。
また、本態様に係るペットフードは、被覆部を有する面と、基体が露出する露出部のみで形成される面とを有していてもよい。この場合、被覆部を有する面と露出部のみで形成される面とが、ペットの歯と歯の間に挟持された時に、被覆部を有する面では被覆部から歯が入り、その後基体に歯が入って行くので、噛み深さによって異なる食感を付与することができる。すなわち、噛みの深さ方向(噛み始め〜噛み終り)の領域によって、異なる食感のペットフードの提供が可能となる。
被覆部の高さは、特に限定されないが、例えば、基体の表面から被覆部の最頂部までの高さとしては、0.1〜2mmが例示され、0.5〜2mmが好ましい。被覆部の高さを前記範囲の下限値以上とすることにより、噛み始めに被覆部の食感を付与することができる。また、被覆部の高さを前記範囲の上限値以下とすることにより、被覆部の剥離が抑制される。
被覆部の形状は、特に限定されないが、製造効率の点から、ライン形状であることが好ましい。例えば、ペットフードが粒状である場合、ペットフード粒を横断又は縦断するように被覆部を形成してもよい。被覆部の形状は、ライン形状に限定されず、点状、円形状、多角形状等であってもよい。
被覆部の色は、基体の色と相違していることが好ましい。これにより、ペットフードに外観上の変化が付与され、ペットの興味を喚起することができる。被覆部と基体の色の相違は、ペットが視認できる程度の差であることが好ましい。例えば、CILAB色空間において、下記(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1個の条件を満たすことが好ましい。
(a)ΔL(被覆部のL−基体のL)が5.0以上
(b)ΔE(被覆部と基体との色差)が5.0以上
(c)ΔC(被覆部のC−基体のC)が−7.5〜−1.0
(d)ΔC(被覆部のC−基体のC)が1.0〜7.5
被覆部と基体の色とは、上記(a)、(b)及び(c)若しくは(d)のいずれか2個以上を満たすことがより好ましく、(a)〜(c)の3個、又は(a)、(b)及び(d)の3個を満たすことがさらに好ましい。前記ΔLは、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。前記ΔLの範囲としては、例えば、5〜15、好ましくは7〜13、より好ましくは8〜12、さらに好ましくは9〜11が例示される。前記ΔEは、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。前記ΔEの範囲としては、例えば、5〜18、好ましくは7〜15、より好ましくは8〜13、さらに好ましくは9〜12が例示される。前記ΔCは、例えば、−7.0〜−1.5が好ましく、−6.0〜−2.0がより好ましく、−5.0〜−3.0がさらに好ましい。あるいは、前記ΔCは、例えば、1.5〜7.0が好ましく、2.0〜6.0がより好ましく、3.0〜5.0がさらに好ましい。ΔCが−7.5〜−1.0の範囲であると、被覆部は、基体よりも薄い(pale)色と視認される。ΔCが1.0〜7.5の範囲であると、被覆部は、基体よりも明るい(light)色と視認される。
被覆部の破断力(硬さ)は、基体の破断力と相違していることが好ましい。これにより、ペットフードの食感に変化が付与される。被覆部の破断力は、基体の破断力よりも低いことが好ましい。これにより、ペットフードの被覆部を噛んだ場合には、歯が入り易く柔らかい食感を与え、ペットフードの基体露出部を噛んだ場合には硬い食感が付与される。すなわち、噛む平面方向の領域によって、食感の異なるペットフードの提供が可能となる。また、噛む深さが浅い時(噛み始めなど)には柔らかく歯が粒に入り易く、深く噛むと硬い食感を感じさせることができる。すなわち、噛む深さ方向(噛み始め〜噛み終り)の領域によって、異なる食感のペットフードの提供が可能となる。
被覆部の味は、基体の味と相違していることが好ましい。これにより、ペットフードの味に変化が付与される。すなわち、噛む平面方向の領域によって、味の異なるペットフードの提供が可能となる。噛む深さ方向(噛み始め〜噛み終り)の領域によって、異なる味のペットフードの提供が可能となる。
被覆部は、基体と相違する成分組成であればよく、ペットフードにおいて公知の原料を適宜用いることができる。被覆部は、例えば、油脂及び粉体原料を含有するものであってもよい。被覆部形成用の組成物としては、例えば、クリーム状組成物が例示される。例えば、油脂、粉体原料、及び適宜賦形剤等の任意の原料を混合し、40〜60℃程度で撹拌してクリーム状組成物とし、これを被覆部形成用組成物として用いてもよい。被覆部は、例えば、前記クリーム状組成物で基体の一部を被覆し、冷却して固化させることにより形成することができる。
油脂は、植物性油脂でもよく、動物性油脂でもよい。また、硬化油脂であってもよい。油脂としては、例えば、融点の高いもの(45〜65℃程度、好ましくは56.5〜60.5℃程度)と融点の低いもの(20〜45℃程度、好ましくは30〜40℃程度)とを併用することが好ましい。融点の高いもののみを用いた場合、摂取されたときに体内で溶けにくく分解しにくい。一方、融点の低いもののみを用いた場合、加工性が悪く、気温が高いと溶けてしまう恐れがある。融点の高いものと低いものとを併用することにより、加工性がよく、かつ食したときに溶けやすい組成物を得ることができる。そのような組み合わせとしては、植物性油脂と硬化油脂との組み合わせが例示される。あるいは、植物性油脂に代えて、又は植物性油脂とともに、精製牛脂、精製豚脂、鶏脂、羊脂、馬脂、パーム分画油、パーム核油、植物油脂、魚油、脂肪酸(リノール酸、リノレン酸など)、及びバター等を用いてもよい。植物性油脂としては、パーム油が好適に例示される。硬化油脂は、植物性であってもよく、動物性であってもよい。硬化油脂は、極度硬化油脂(融点56.5〜60.5℃)が好ましい。
粉体原料は、クリーム状組成物の流動性を低くして、盛り上がった被覆部を形成するために配合される。粉体原料の例としては、ペットフードに使用可能なすべての粉体原料を特に制限なく用いることができる。例えば、前記「≪基体≫」で例示したもの等が挙げられる。具体的には、穀類、肉類、デンプン類、糟糠類、糖類、豆類、魚介類、卵類、乳類、植物タンパクエキス、果実類、きのこ類、藻類、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、セルロース、酵母、フレーバー類、調味料等が例示される。
粉体原料の好適な例としては、大豆粉末が挙げられる。中でも、濃縮大豆タンパク質が好ましく、消化に配慮して加熱処理されたものがより好ましい。また、大豆粉末に代えて、又は大豆粉末とともに、α化小麦粉、分離大豆タンパク質、蛋白加水分解物、ビール酵母粉体、チーズパウダー、乳類粉体、魚介類粉体、アミノ酸粉体、肉類系、豆類、米粉、麦芽粉末、核酸等を用いてもよい。粉体原料は、油脂との相性がよいものを用いることが好ましい。粉体原料の粉砕粒度は、特に限定されないが、最大の粉砕粒度が400μm以下であることが好ましく、平均の粉砕粒度が100μm以下であることがより好ましい。
被覆部形成用組成物の原料としては、上記のほか、外観や嗜好性向上の観点から、フリーズドライ原料を用いてもよい。フリーズドライ原料は、例えば、クリーム状組成物で基体を被覆した後、固化させる前に、該クリーム状組成物に振りかけてもよい。
被覆部形成用組成物の配合例として、融点の低い油脂(植物性油脂など)の合計5〜70質量%、融点の高い油脂(極度硬化油脂など)の合計3〜40質量%、粉体原料の合計5〜70質量%、賦形剤(デキストリン、デンプン類、単糖類、オリゴ糖類など)の合計2.5〜35質量%等が挙げられる。
ペットフード全体の総質量に対する被覆部の質量の割合は、特に限定されないが、例えば、1〜20質量%が挙げられ、3〜15質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。
本態様に係るペットフードは、例えば、猫用ペットフードとして好適に用いることができる。本態様に係るペットフードは、基体の一部を被覆する被覆部と、基体が露出した露出部とを有するため、外観上の変化があり、噛む位置や噛む深さにより異なる食感や味が付与される。これらの外観、食感、及び味の変化により、嗜好性が向上したペットフードが提供される。
<粒状ペットフード>
本発明の第2の態様に係る粒状ペットフードは、複数のペットフード粒からなる粒状ペットフードであって、前記複数のペットフード粒は、前記第1の態様に係るペットフードを複数個含み、前記複数のペットフード粒全体の表面積に対する前記被覆部の面積率が、5〜30%である、粒状ペットフードである。
本明細書において、「粒状ペットフード」とは、複数のペットフード粒から構成されるペットフードをいう。本態様に係る粒状ペットフードは、前記第1の態様に係るペットフードのうち、粒状であるものを複数個含む。すなわち、本態様に係る粒状ペットフードを構成するペットフード粒の少なくとも一部は、基体の一部を被覆する被覆部を有するペットフード粒である。
粒状ペットフードを構成するペットフード粒のうち、被覆部を有するものの割合は、特に限定されないが、例えば、20%以上が例示され、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%がさらに好ましい。被覆部を有するものの割合の上限は、特に限定されず、100%が被覆部を有するものであってもよい。
本態様に係る粒状ペットフードにおいて、被覆部を有するもの以外は、被覆部を有さないペットフード粒(基体のみ)から構成することができる。
本態様に係る粒状ペットフードでは、粒状ペットフードを構成するペットフード粒全体の表面積に対する被覆部の面積率が5〜50%である。被覆部の面積率は、粒状ペットフードを構成するペットフード粒の一部又は全部を用いて、上記「[被覆部の面積率の測定]≪測定方法1≫」に記載の方法にて測定することができる。測定に用いるペットフード粒の量としては、例えば、任意の50gが例示される。粒状ペットフードを構成するペットフード粒全体の表面積に対する被覆部の面積率は、5〜30%が好ましく、5〜25%がより好ましく、7〜15%がさらに好ましい。
粒状ペットフード全体の総質量に対する被覆部の総質量の割合は、特に限定されないが、例えば、1〜20質量%が挙げられ、3〜15質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。
本態様に係る粒状ペットフードの一例を図2に示す。
<ペットフードの製造方法>
本発明の第3の態様に係るペットフードの製造方法は、基体と、前記基体の一部を被覆する被覆部と、を備え、前記基体の一部は露出しており、前記基体の成分組成と前記被覆部の成分組成とは、相違しているペットフードの製造方法であって、基体の一部を、前記基体とは異なる組成を有する被覆部形成用組成物で被覆する被覆工程と、前記被覆部形成用組成物を固化させる固化工程と、を含むペットフードの製造方法である。
本態様のペットフードの製造方法により、前記第1の態様に係るペットフード又は前記第2の態様に係る粒状ペットフードを製造することができる。
本態様に係るペットフードの製造方法は、基体の一部を、前記基体とは異なる組成を有する被覆部形成用組成物で被覆する被覆工程と、前記被覆部形成用組成物を固化させる固化工程と、を含む。
≪基体の製造例≫
本態様に係るペットフードの製造方法で用いる基体は、任意のものを用いることができる。以下に、基体が膨化粒である場合の製造方法を例示する。
[造粒工程]
造粒工程では、原料混合物を造粒してペットフード粒を得る。原料を混合して原料混合物とする方法、および該原料混合物を粒状に成形(造粒)する方法は、公知の方法を用いることができる。
例えばエクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法を好適に用いることができる。 エクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法は、例えば「小動物の臨床栄養学 第5版」(Michael S. Hand、Craig D. Thatcher, Rebecca L. Remillard, Philip Roudebusg、Bruce J. Novotny 編集、Mark Morris Associates 発行;2014年;p.209〜p.215)に記載されている方法等が適用できる。
エクストルーダーを用いて膨化粒を製造する方法の例を説明する。まず、膨化粒の原料のうち外添剤以外の原料を、必要に応じて粉砕した後、混合する。グラインダー等を用いて粉砕しつつ混合してもよい。また必要に応じて水(原料組成には含まれない。)を加えて原料混合物を得る。
得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧した後、出口から押し出す。出口には所定の形状の穴が形成されたプレートと、該プレートから押し出された原料混合物を所定の長さ(厚さ)に切断するカッターが設けられている。原料混合物は該プレートの穴から押し出され、カッターで切断されることにより所定の形状に成形されると同時に、加圧状態から常圧に開放されることによって原料混合物中の水蒸気が膨張し、これによって原料混合物が膨化して多孔質の粒が得られる。
[乾燥工程]
こうして得られる粒を、所定の水分含量となるまで必要に応じて乾燥して膨化粒(フード粒)を得る。ドライタイプのフード粒を製造する場合、乾燥工程は必須である。
例えば、エクストルーダーから排出される粒の水分含量は10〜20質量%である。この程度の水分を含んでいると良好な成形性が得られやすい。
エクストルーダーから排出される粒の温度は、エクストルーダー内での加熱温度に依存する。例えば90〜150℃である。
エクストルーダーから排出された粒を乾燥する方法は公知の方法を適宜用いることができる。例えば、粒に熱風を吹き付けて乾燥させる熱風乾燥法、減圧乾燥法、油中でフライする方法等が挙げられる。例えばコンベア式の熱風乾燥機を用いた熱風乾燥法が好ましい。
乾燥条件(温度、時間)は、粒の成分の熱変性を生じさせずに、粒の温度を100℃以上に昇温させて粒中の水分を蒸発させ、所望の水分含量に調整できる条件であればよい。例えば、熱風乾燥機で乾燥させる場合、粒に接触させる熱風の温度は100〜140℃が好ましく、100〜110℃がより好ましい。乾燥時間は特に限定されず、例えば5〜20分間程度で行われる。
乾燥後に、さらに粗牛脂、調味料又は香料等を含むコーティング剤で、ペットフードをコーティングしてもよい。
コーティング方法は特に制限されず、例えば真空コート法により行うことができる。 前記真空コート法は、加温したフード粒と前記コート剤を接触又は付着させた状態で、減圧し、その後ゆっくりと大気開放する方法である。前記コート剤は、液状であっても粉末状であってもよい。前記コーティングによりペットの嗜好性(食いつき)を向上させることができる。
≪被覆部形成用組成物の製造≫
本態様に係るペットフードの製造方法で用いる被覆部形成用組成物は、基体の成分組成が異なるものであれば、任意のものを用いることができる。以下に、被覆部形成用組成物がクリーム状組成物である場合の製造方法を例示する。
まず、油脂成分を寸胴鍋等に投入して混合し、50〜70℃(好ましくは65℃程度)に温める(油脂成分混合物)。また、油脂成分以外の原料を混合する(粉体原料混合物)。次に、前記油脂成分混合物に、前記粉体原料混合物を投入しながら、ホモディスパーやホモジナイザーで10〜15分程度撹拌する。撹拌の際には、温度を55℃以上(好ましくは60℃程度)に維持することが好ましい。このようにして、クリーム状の被覆部形成用組成物を得ることができる。被覆部形成用組成物は、前記撹拌後に、篩(例えば、目開き650〜800μm)を用いて濾してもよい。被覆部形成用組成物は、40〜70℃に保温された保温タンクにて保管することができる。
≪被覆工程≫
被覆工程は、基体の一部を、被覆部形成用組成物で被覆する工程である。被覆工程は、例えば、デコレーターを用いて行うことができる。例えば、コンベアで搬送される基体に対して、上方からデコレーターで被覆部形成用組成物を吐出することにより、基体の一部を被覆部形成用組成物で被覆することができる。デコレーターのノズル径は、基体のサイズに合わせて適宜調整すればよく、例えば、φ0.5〜2mm程度(例えば、φ0.75mm程度)が例示される。デコレーターのノズルの動きは、特に限定されないが、被覆効率の観点から、例えば、コンベアの進行方向に対して楕円方向に動かしてもよい。被覆部形成用組成物を吐出中、デコレーターの排出部位付近は40〜70℃に維持することが好ましい。
基体に対して上方から被覆部形成用組成物を吐出することにより、基体の上表面のみに被覆部が形成される。基体の上表面に基体を形成後、基体を反転させて、基体の裏面に対して被覆部形成用組成物を吐出することにより、基体の裏面にも被覆部を形成することができる。
≪固化工程≫
固化工程は、被覆部形成用組成物を固化させる工程である。被覆部形成用組成物の固化は、例えば、冷却により行うことができる。冷却は、被覆部形成用組成物の固化温度まで温度を低下させればよく、例えば、30〜40℃以下が例示される。被覆部形成用組成物の固化は、室温でも可能であるが、固化するまでの時間を短縮するために、スポットクーラー等により冷却を行ってもよい。
このようにして、前記第1の態様に係るペットフード又は前記第2の態様に係る粒状ペットフードを製造することができる。
≪任意工程≫
本態様に係る製造方法は、上記被覆工程及び固化工程に加えて、任意工程を含んでいてもよい。任意工程としては、例えば、コネクト崩し工程等が挙げられる。
コネクト崩し工程は、被覆部形成用組成物により結合したペットフードの塊を崩す工程である。コネクト崩しは、基体に衝撃を与えることにより、行うことができる。衝撃を合付与する方法は、特に限定されないが、例えば、ラダーシューター等を用いてコネクトをほぐす方法、振動を与える方法等が挙げられる。コネクト崩し工程は、被覆工程後、固化工程前に行ってもよく、固化工程の後に行ってもよく、固化工程の前及び後の両方で行ってもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<嗜好性の評価方法(1)>
ペットフードBとペットフードAの組み合わせで摂食量を比較する方法で嗜好性を評価した。所定数の猫をモニターとして2日間でテストを行った。
第1日は、ペットフードAおよびBのうち、一方を左から、他方を右から、猫1頭に対して所定の給餌量で同時に与え、猫がどちらか一方を完食した時点で又は1時間後に、猫が食べたペットフード量を測定した。
該猫1頭が第1日に食べた合計のペットフードの重量のうち、ペットフードBの摂食量とペットフードAの摂食量を百分率で求めた。モニターとした猫の数に基づいて、得られた百分率を平均して、第1日の結果とした。
第2日は、ペットフードAおよびBのうち、第1日とは反対に、一方を右から、他方を左から同時に与えた。猫1頭に対して第1日と同量の給餌量で与え、猫がどちらか一方を完食した時点で又は1時間後に、猫が食べたペットフード量を測定した。
第1日と同様の算出方法で第2日の結果を得た。
最後に、第1日と第2日の結果を平均して、最終結果であるペットフードA:ペットフードBの摂食量の比「数値A:数値B」(嗜好性)を求めた。この嗜好性の数値が高い程、モニターである猫が好んで摂食したことを示す。
<嗜好性の評価方法(2)>
猫用ペットフードのユーザーを対象として、ペットフードAとペットフードBにつき飼い猫の嗜好性を評価してもらい、飼い猫の嗜好性についてアンケート調査を実施した。所定数のユーザーを対象としてペットフードAで5日間、ペットフードBで5日間、合計10日間テストを行った。
飼い猫により、ペットフードAを先に評価してもらい、その次にペットフードBを評価してもらう群と、ペットフードBを先に評価してもらい、その次にペットフードAを評価してもらう群に分け、ペットフードAの嗜好性が高いと評価したユーザーの割合:ペットフードBの嗜好性が高いと評価したユーザーの比「数値A:数値B」を求めた。
<圧縮試験(破断力の測定)>
圧縮試験機(テクスチャーアナライザー、型番:EZ−SX、島津製作所製)を用い、粒状ペットフードを一定の圧縮速度で圧縮したときの破断力を下記の条件で測定した。 プランジャー:直径15mm、厚さ5mmの円柱状のプランジャー、プラットフォーム:アスタリスク状に深掘りされた受け皿(内径約33mm×深さ約4mm)、圧縮速度:60mm/分、プランジャーの最下点:4mm(圧縮距離)、測定温度:25℃。
すなわち、受け皿の上に、測定対象の粒状ペットフードを1粒置き、粒の真上から垂直にプランジャーを一定速度で押し付けながら試験力を測定する。試験力のピーク値(最大値)を破断力の値として読み取る。10粒について測定を繰り返して平均値を求める。測定の途中で粒が割れた場合には、その時点で当該粒の測定を終了する。クリームによる被覆部を有するペットフードについては、該被覆部を有する部位を測定する。
上記圧縮試験機で測定される破断力(単位:kgw)の数値に9.8を掛け算する(乗じる)ことによって、単位をニュートン(N)に変換する。
[製造例1]
(基体の製造)
表1に示す配合で基体の原料を混合した。得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら約115℃で約2分間の加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒すると同時に膨化させた。エクストルーダーの出口では、混練物を図3に示す形状の孔から柱状に押し出し、該柱状物を厚さが4mmとなるようにカッターで切断して造粒物とした。
得られた造粒物を乾燥機を用いて、約100℃で5〜20分間の乾燥処理を行った後、外添剤をコーティング(1.5%油コーティング)してドライタイプの膨化粒である基体を得た。
(クリームによるデコレーション)
表2に示す配合でクリームの原料を混合した。植物性油脂と硬化油脂を寸動鍋に投入し、65℃に温めた(混合物1)。大豆タンパクとデキストリンを混合した(混合物2)。混合物1に混合物2を投入しながら、ホモディスパー(プライミクス株式会社製オートミクサー20型)で10〜15分間撹拌しした。得られた混合物を篩(目開き710μm)に通し、クリームを得た。クリームは、40〜70℃に保温した保管用タンクで保管した。
クリームをデコレーターに投入し、デコレーターを楕円方向に往復させて、上方から基体にクリームを振りかけた。全基体の総質量と、デコレーションに用いたクリームの総質量との比(基体の総質量/クリームの総質量)が、93/7となるようにデコレーションを行った。デコレーション後、冷却してペットフードP1を得た。
[製造例2]
基体の総質量と、デコレーションに用いたクリームの総質量との比(基体の総質量/クリームの総質量)が、90/10となるようにデコレーションを行ったこと以外は、上記製造例1と同様の製造方法でペットフードを製造し、ペットフードP2を得た。
[比較例のペットフードの製造]
(比較例1)
上記製造例1に記載の方法で基体を製造し、クリームによるデコレーションを行わずに、比較例のペットフードZ1として用いた。
(比較例2)
上記製造例1に記載の方法で基体を製造し、製造例1に記載のクリームを用いて、基体表面を100%コーティングした。これを比較例のペットフードZ2として用いた。
<色彩測定>
測色色差系ZE6000(日本電色工業株式会社製)を用い、基体およびクリームの色彩を測定した。
基体は、岩谷産業株式会社製ミルサーを用いて均一に粉砕して、測定用検体とした。 クリームは、70℃で加温して溶解後、測定容器に流し込み、常温で1時間静置して固化させて、測定用検体とした。
10mL容量の測定用容器に訳80%の分量で測定用検体を入れ、機器付属のマニュアルに従って、3箇所について、CIELAB色空間における各座標値の測定を行った。
結果を表3に示す。表3には、3箇所の測定の平均値を示した。
表3中、彩度(C)は、C={(a+(b1/2により求めた。
また、以下の計算式により、基体に対するクリームの色彩の相違を求めた。結果を表4に示す。
ΔL:クリーム(L)−基体(L
Δa:クリーム(a)−基体(a
Δb:クリーム(b)−基体(b
ΔE:{(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔC:クリーム(C)−基体(C
表4に示す結果から、クリームと基体とは、異なる色彩を有することが確認された。上記の例では、ΔCが負の値となり、クリームは基体よりも薄い(pale)色と視認された。なお、ΔCは、正の値となる場合もあり、この場合には、クリームは基体よりも明るい(light)色と視認される。
<被覆部の面積率の測定(1)>
日本食品分析センターに委託して、ビジュアルアナライザーを用いた画像分析により、クリーム被覆面積率の測定を行った。
約50gのペットフード粒を平面上の測定領域にばらまき、表面部の色構成分析データを取得した。全体に対する各色の構成を分析したデータから、クリームの中心色彩に対する色差(ΔE)が13.0以下である色彩をクリームの色彩として解析し、クリームの被覆面積率を求めた。結果を表5に示す。
<被覆部の面積率の測定(2)>
光学顕微鏡(VHX−900F(KEYENCE製))により、ペットフードを観察・撮影し、クリーム被覆面積率の測定を行った。
具体的には、クリーム被覆部を有するペットフード粒を光学顕微鏡で観察し、クリームを有する面の画像を取得した。前記画像に基づき、ペットフード粒全体の表面積とクリーム被覆面積とを計測し、ペットフード粒全体に対するクリーム被覆面積率を100分率で求めた。その結果を表6に示す。表6に示すクリーム被覆面積率は、3個のペットフード粒の平均値である。
<嗜好性評価>
(試験例1)
製造例2で製造したペットフードP2について、上記嗜好性の評価方法(1)により、嗜好性(食いつき)を評価した。
ペットフードP2をペットフードAとし、比較例1のペットフードZ1をペットフードBとした。モニターの猫種は規定はしないが、成猫で、1回の給餌量は各40g、猫の数は20頭とした。結果を表7に示す。
(試験例2)
比較例1のペットフードZ1をペットフードAとし、比較例2のペットフードZ2をペットフードBとした。モニターの猫種は規定はしないが、成猫で、1回の給餌量は各40g、猫の数は10頭とした。結果を表7に示す。
(試験例3)
製造例1で製造したペットフードP1について、上記嗜好性の評価方法(2)により、嗜好性(食いつき)を評価した。
ペットフードP1をペットフードAとし、市販品A[穀物ベースの外殻の内部にクリームが充填されたペットフード粒で構成される粒状ペットフード;Sheba(登録商標)Duo(登録商標)]をペットフードBとした。ユーザーの数は70人とした。結果を表7に示す。
表7の結果に示されるように、ペットフードP2は、基体のみのペットフードZ1よりも嗜好性が向上した(試験例1)。ペットフードZ1は、基体を100%クリームで被覆したペットフードZ2よりも嗜好性が向上していることから(試験例2)、ペットフードP2は、ペットフードZ2よりも嗜好性が高いと推定される。
また、ペットフードP1は、穀物ベースの外殻にクリームを充填した市販品よりも、嗜好性が向上した(試験例3)。
<硬さの評価>
上記製造例1で製造したペットフードP1、上記比較例1のペットフードZ1、市販品A[穀物ベースの外殻の内部にクリームが充填されペットフード粒で構成される粒状ペットフード;Sheba(登録商標)Duo(登録商標)]、及び市販品B[穀物ベースの膨化粒で構成される粒状ペットフード]について、上記圧縮試験(破断力の測定)により、破断力を測定し、硬さの評価とした。その結果を表8に示す。
表8の結果に示されるように、ペットフードP1では、ペットフードZ2および市販品と比較して、硬さの最小値から最大値までの範囲が広く、様々な食感を与えることが確認された。また、ペットフードP1は、市販品Aよりも硬い食感であり、市販品Bよりも硬さが軽減された食感となっており、食べやすい硬さに改善されていることが確認された。
上記製造例1で製造したペットフードP1、上記比較例1のペットフードZ1、上記市販品A及び上記市販品Bについて、上記圧縮試験(破断力の測定)により、破断力曲線(横軸:プランジャーの変位量(mm)、縦軸:試験力(N))を得た。得られた破断力曲線について、試験力が0Nから5Nに至る部分の傾き(破断力の変化量(0〜5N)/プランジャーの変位量(mm))を求めた。その結果を表9に示す。
表9の結果に示されるように、ペットフードP1では、ペットフードZ1と比較して、傾きが小さい傾向にあることが示された。この結果は、ペットフードP1のクリームによる被覆部が、基体よりも柔らかい食感であることを示している。また、ペットフードP1は、市販品A及び市販品Bよりも、最小値から最大値までの範囲が広く、噛み始めから様々な食感を与えることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。

Claims (13)

  1. 基体と、
    前記基体の一部を被覆するライン形状の被覆部と、
    を備え、
    前記基体の一部は露出しており、
    前記基体の成分組成と前記被覆部の成分組成とは、相違している
    ペットフード。
  2. 前記基体の色と前記被覆部の色とは、相違している
    請求項1に記載のペットフード。
  3. 前記基体の味と前記被覆部の味とは、相違している
    請求項1又は2に記載のペットフード。
  4. 前記基体の破断力と前記被覆部の破断力とが、相違している
    請求項1〜のいずれか一項に記載のペットフード。
  5. 前記被覆部の破断力が、前期基体の破断力よりも低い、
    請求項に記載のペットフード。
  6. 前記基体は、少なくとも1つの凹部を有する
    請求項1〜のいずれか一項に記載のペットフード。
  7. 前記被覆部は、油脂及び粉体原料を含有する
    請求項1〜のいずれか一項に記載のペットフード。
  8. 前記ペットフード全体の表面積に対する前記被覆部の面積率が、5〜50%である
    請求項1〜のいずれか一項に記載のペットフード。
  9. 前記被覆部を有する面と、前記基体が露出する露出部のみで形成される面と、を備える、請求項1〜のいずれか一項に記載のペットフード。
  10. 前記基体の表面から前記被覆部の最頂部までの高さが、0.1〜2mmである
    請求項1〜のいずれか一項に記載のペットフード。
  11. 前記基体は、粒状である
    請求項1〜10のいずれか一項に記載のペットフード。
  12. 前記基体は、膨化粒である
    請求項11に記載のペットフード。
  13. 複数のペットフード粒からなる粒状ペットフードであって、
    前記複数のペットフード粒は、請求項11又は12に記載のペットフードを複数個含み、
    前記複数のペットフード粒全体の表面積に対する前記被覆部の面積率が、5〜50%である
    粒状ペットフード。
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