JP6423273B2 - 歯科調製ガイド - Google Patents

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Description

本発明は、概して、歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドに関する。より具体的には、本発明は、歯科調製ガイドを生成する方法、この歯科調製ガイドを使用する方法、並びにこの歯科調製ガイドを設計して使用するためのユーザーインターフェイス及びシステムに関する。
患者の歯が不健全であるか又は死んでいる場合、歯の一部を除去して歯科修復物、例えばクラウン修復物と置き換えることがしばしば推奨される。この歯科修復物は、歯の機械強度及び審美的外観を修復することができる。他の事例では、歯があまりにも不健全であるか又は破損していて、修復物を支持できないことがあり、この場合には完全に抜歯しなければならない。このような場合には、歯科修復物は、不健全であるか又は破損している歯と置き換えるように設計されたポンティックと、ポンティックを取り囲む2つのクラウンとを備えたブリッジ修復物として形成することができる。次いで、ブリッジ修復物のクラウンのために隣接歯を調製する。
クラウン修復物のための単独歯の調製時、及びブリッジのクラウンのための隣接歯の調製時の双方において、歯科医はある程度の歯物質を研削除去して、歯科修復物を受け入れ得る調製歯を形成する。物質の除去は、歯科修復物のための空間を形成するので、歯科修復物が患者の口腔内に配置されると、修復された歯は調製前と同じ又は同様の形状又はサイズを有することができる。
歯科医が歯を調製し始めるときに、歯科修復物の所期形状が判っていることがあり、このような知識を用いて、歯の調製をガイドするために歯科医が使用できる歯科調製ガイドを生成することができる。
いくつかの従来の歯科調製ガイド製造方法では、妥当性確認面は物理的歯モデル、例えば石膏モデルから定義される。このモデルは、良好な調製形状及びサイズとなり得るまで研削される。またこの形状及びサイズは、調製済の歯の場所に挿入しようとする歯科修復物のための空間をあけるものとして考えられる。この物理的歯モデルの製造が不正確であると、歯科調製ガイドの形状、ひいては調製済の歯の形状も不正確になる。
米国特許出願公開第2011/0159451号明細書に開示された従来技術の方法では、調製前の歯の仮想モデルと、目標修復歯形状を表す仮想モデルとを重ね合わせることによって、歯科調製ガイドが生成される。このアプローチも下記のいくつかの欠点を有している。
本発明は、従来の方法の問題点を解決する。
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法が:
a:調製前の歯集合のデジタル3D表示を得ること;
b:残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去すること;
c:歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供すること;
d:少なくとも1つの歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、仮想目標歯科修復物に基づいて生成すること;そして
e:仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成すること
を含む、歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
調製済の歯が歯科修復物を受け入れ得るか否かを見極めるために、調製済の歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
− 少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された仮想歯科調製ガイドを得ること;
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想歯科調製ガイドを視覚化すること;そして
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想歯科調製ガイドを視覚化することから、前記少なくとも1つの調製済の歯が歯科修復物を受け入れ得るように成形されているか否かを妥当性確認すること
を含む、妥当性確認する方法が開示される。
いくつかの実施態様では、得られた仮想歯科調製ガイドは、歯科調製ガイド生成方法の1実施態様を用いて形成される。
歯の調製状態を妥当性確認するための歯科調製ガイドの妥当性確認面を少なくとも部分的には、患者の歯集合のデジタル3D表示を用いて生成する開示の方法は、物理的歯モデルだけから妥当性確認面を定義するときに生じる不正確さの問題を解決する。
歯科調製ガイドは仮想ガイド又は物理的ガイドであり得る。両事例における妥当性確認面は、歯の調製状態を妥当確認することができるように形成される。
仮想の場合、歯科調製ガイドは、患者の歯集合のデジタル3D表示に関連して配置することができる仮想ユニットである。物理的な場合、物理的歯科調製ガイドは、生成された仮想調製ガイドから製造され、そして患者の口腔内に配置することができ、妥当性確認のために表面間の物理的接触又は距離を用いることができる。
物理的歯科調製ガイドは、これが仮想妥当性確認面に相当する妥当性確認面を含むように、仮想歯科調製ガイドに基づいて製造することができる。いくつかの事例では、物理的歯科調製ガイドは、これが患者の口腔内の歯集合に関連して配置されると、妥当性確認面が、調製済の歯をその内部に閉じ込めなければならない境界を定義するように形成される。
患者の歯集合のデジタル3D表示から生成された仮想面から歯科調製ガイドを生成すること、又は仮想面自体を仮想歯科調製ガイドの一部として使用することによって、本発明は、歯集合の物理的モデルを用いて作業するときに被るおそれのある不正確さの問題を解決する。
仮想歯科調製ガイドの場合、例えば少なくとも何らかの歯調製が行われており、歯科医が更なる調製が必要か否かを見るために調製状態を妥当性確認しようと思うときに、患者の歯集合のデジタル3D表示と一緒に歯科調製ガイドを視覚化することに基づいて歯調製状態の妥当性確認を行うことができる。
本発明の物理的歯科調製ガイドのいくつかの実施態様の場合、歯調製状態の妥当性確認は、歯科調製ガイドと、調製済の歯との間の物理的接触をレジストレーションすることに基づいて行われる。何らかの歯調製の後、歯科医が更なる調製が必要か否かを見るために調製状態を妥当性確認しようと思う場合がある。その場合、歯科医は患者の歯に歯科調製ガイドを置き、調製が完全であるか否か、又は更なる歯物質除去が必要とされるか否かを判断する。いくつかの事例では、歯科調製ガイドは、調製が完全なときには調製済の歯と衝突しないように設計される。
いくつかの実施態様では、残留歯集合のデジタル3D表示は患者の歯肉の1区分を含む。仮想調製ガイド面はこの場合、歯肉の少なくとも一部を含み、製造された歯科調製ガイドは、歯科調製ガイドを患者の口腔内に使用するときにはこの歯肉区分に係合することができる。従って歯肉は歯科調製ガイドのための支持体を提供し、歯科調製ガイドは、歯面全体が修正される場合でも、調製済の歯に対して正しく配置することができる、
いくつかの実施態様では、残留歯集合のデジタル3D表示は隣接歯のうちの少なくとも1つの一部を含む。この歯は最も隣接する歯、及び/又は調製される歯からさらに離れた歯であってよい。仮想調製ガイド面はこの場合、隣接歯の表面の少なくとも一部を含み、製造された歯科調製ガイドは、歯科調製ガイドを患者の口腔内に使用するときにはこれらの歯に係合することができる。従って隣接歯は歯科調製ガイドのための支持体を提供し、歯科調製ガイドは、歯面全体が修正される場合でも、調製済の歯に対して正しく配置することができる。隣接歯と接触する歯科調製ガイド部分は、調製済の歯に面する歯科調製ガイド部分を取り囲むウィングとして形成されてよい。
調製されるべき歯の表面だけから歯科調製ガイドを設計する従来の方法、例えば米国特許出願公開第2011/0159451号明細書に記載された方法は、歯の調製によって歯面全体を修正しなければならない場合には不十分である。このような事例、例えば歯科修復物が完全クラウンである事例では、従来技術の歯科調製ガイドは、調製済の歯に対して適切に整列させられることを保証するように歯科調製ガイドを支持し得る表面を有することはできない。残留歯集合のデジタル3D表示が1以上の隣接歯及び/又は歯肉を含む本発明の実施態様は、このような問題点を解決する。それというのも、歯科調製ガイドの表面が、調製中には修正されない患者の歯集合の一部に係合するように成形されるからである。歯科調製ガイドは、歯面全体が調製中に修正されるときにも依然として、調製済の歯に対する正しい配置状態に向けられる。
仮想歯科調製ガイドは、歯科修復物を実現することができ、そして仮想歯科調製ガイドに従って歯が調製されたときに調製済の歯によって歯科修復物が受け入れられ得るように成形されることが好ましい。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドを使用して調製状態を妥当性確認する方法は、残留歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想調製ガイド面又は仮想妥当性確認面を視覚化することを含む。このことは例えば、仮想歯科調製ガイドが仮想妥当性確認面又は仮想調製ガイド面だけによって形成される場合に当てはまる。調製状態を妥当性確認するために仮想歯科調製ガイドを使用するときには、直接デジタル製造によって製造可能なソリッド・モデルを提供するために例えば仮想調製ガイド面をシェリング(shell)する必要はない。従って、仮想歯科調製ガイドが1つの表面だけ、例えば仮想調製ガイド面又は仮想妥当性確認面だけを有することが有利な場合がある。
歯科修復物のために行われる歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを製造する方法であって、前記方法は:
− 実施態様のうちのいずれかに基づく方法を用いて仮想歯科調製ガイドを生成すること;そして
− 直接デジタル製造によって前記仮想歯科調製ガイド面から、歯科調製ガイドを製造すること
を含む、歯科調製ガイドを製造する方法が開示される。
製造された歯科妥当性確認ツールは、患者の口腔内に患者の歯に関連して配置されると、歯の調製状態を妥当性確認することができるので、歯科医は調製状態が完全であるか又は調製作業がさらに必要となるかを判断することができる。
歯科修復物のために行われる歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドであって、前記歯科調製ガイドが、実施態様のうちのいずれかに基づく方法によって生成された仮想妥当性確認面に従って成形された、歯に面する表面を含む、歯科調製ガイドが開示される。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、目標歯調製状態に対して歯調製状態を妥当性確認するように構成され、目標歯調製状態は任意の歯調製の前に定義されてよい。このことは、歯科医又は歯科技工士が歯調製前に歯科修復物を設計し、そして設計された歯科修復物に基づいて目標歯調製状態を生成した場合に当てはまる。このアプローチの利点は、歯科医が歯調製開始時にすぐに、歯をどのように調製すれば好ましいかに関するガイダンスを得ることができることである。ブリッジ修復物のために複数の捻転歯を調製する場合のような困難な事例において、このことは極めて有利である。目標歯調製状態は、初期調製ステップのような処置中に定義してもよい。このアプローチは、調製されるべき歯が不健全であり、そして歯内部の堅牢性に関する詳細な知識が未知である場合に有利である。
いくつかの実施態様では、生成された歯科調製ガイドは、妥当性確認面が歯に面した状態で、患者の歯集合に対して配置できるようになっている。歯は、調製前の歯集合の歯、又は調製済の歯集合の歯であってよい。
いくつかの実施態様では、生成された歯科調製ガイドは、妥当性確認面が歯に面した状態で、調製前の歯集合、又は調製済の歯集合のデジタル3D表示に関連して配置できるように形成されている。デジタル3D表示に関連して配置された仮想歯科調製ガイドを視覚化することによって、更なる調製が必要となる歯の部分に関する直接的な情報が歯科医にしばしば提供される。
本発明との関連において、「調製前の歯集合」という表現は、妥当性確認のために設計される歯調製の前の歯集合に関連して使用される。いくつかの事例では、調製前の歯集合には以前の調製、例えば他の歯の調製が施されているか、或いは、その歯全体を除去して歯科インプラントによって置き換えるべきか否かを判断するために歯の健康状態を評価する目的で最初の調製が施されている。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、直接デジタル製造によって、例えば3Dプリント又はミリングによって製造される。歯科用途の3Dプリント及びミリング・システムの入手価格が低下しつづけるのに伴って、このような設備は歯科医にとって入手可能になってきており、ひとたび仮想歯科調製ガイドが生成されれば、歯科医は診察時に物理的ガイドを製造することができる。
仮想の場合には、仮想歯科調製ガイドは、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示と整列させることができ、そして仮想の表面交差、又は表面間の距離を妥当性確認のために用いることができる。
本発明との関連において、「歯科調製ガイドは...を可能にするように構成されている」という表現は、「歯科調製ガイドに基づく歯の調製が...を保証するのを可能にするように構成されている」の短縮形として用いられることがある。
本発明との関連において、調製済の歯を歯調製状態と呼ぶこともできる。
本発明との関連において、歯科修復物は伝統的な固定修復物、例えばインレー/オンレー、ベニア、クラウン、ブリッジ、インプラント保持構造、また同様に、取り外し可能な修復物、例えば義歯などである。
本発明との関連において、患者は修復物の設計対象人物である。この患者の歯科治療には医学的適応症がある場合があるが、美容上の考慮事項が歯科修復を設計させるための重要な動機となることもある。
本発明との関連において、第1面及び第2面のブール加算(Boolean addtion)によって提供される表面は、第1面及び第2面に基づく表面を有するソリッド構造の論理和(logical disjunction)によって形成されたソリッド構造の表面に相当し得る。
本発明に利点は、従来技術の方法とは対照的に、歯科調製ガイドの妥当性確認面の形状及び位置を効率的に制御するのを可能にすることである。
さらに、本発明の方法は、従来技術の歯科調製ガイドと比較して歯調製状態の妥当性確認がどれほど十分であるかに関する情報を提供することができる歯科調製ガイドを生成することができる。
いくつかの実施態様において、本発明による方法は、患者の治療と並行して行われる方法である。歯科調製ガイドを生成及び/又は製造する方法は、患者の歯集合に対して歯科医が実施する歯科作業と並行して、例えば歯の調製と並行して行われてよい。従って、歯の調製は方法の部分としては考えられない。
本発明の態様によれば、歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法が:
a:調製前の歯集合のデジタル3D表示を得ること;
b:残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去すること;
c:歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供すること;
d:少なくとも1つの歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、仮想目標歯科修復物に基づいて生成すること;そして
e:仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成すること
を含む、歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
本発明の態様によれば、歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
− 少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された仮想歯科調製ガイドを生成すること;
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;そして
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に、仮想歯科調製ガイドを視覚化すること
を含む、妥当性確認する方法が開示される。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることは、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを結合し、これにより仮想調製ガイド面を生成することを含む。
このアプローチの1つの利点は、生成された仮想調製ガイド面が、妥当性確認面と、調製によって修正されない歯集合区域と接触してこの区域上に位置することができる表面との両方を有することである。
いくつかの実施態様では、目標形状及び/又は仮想目標歯科修復物は、設計された仮想診断ワックスアップに基づくか、又はライブラリから選択された一般的な歯科修復物に基づくか、又は調製前の歯集合のデジタル3D表示内の歯の形状に基づく。目標形状は、実質的に歯集合の元の形状に従って成形されてよく、或いは、調製前の歯集合のデジタル3D表示を修正することにより定義されてもよい。
調製前の歯集合のデジタル3D表示内の歯の形状に基づく目標形状を有することの利点は、患者が慣れている歯の感触がこの事例では維持されることである。設計された仮想診断ワックスアップに基づく目標形状を有することの利点は、歯科修復物が調製済の歯のところに挿入されると、患者の歯集合の外観を修正できることである。
いくつかの実施態様では、目標形状及び/又は仮想目標歯科修復物は、1以上の審美的パラメータに基づく。審美的パラメータは、個々の歯の形状、歯の色、又は歯の相対配列から選択されてよい。
このことの利点は、歯集合の審美的外観に関する患者の希望に基づいて、目標歯科修復形状を設計できることである。
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは調製前の歯集合のデジタル3D表示に基づいて形成されるか、ライブラリから選択されるか、或いは歯のための診断ワックスアップの物理的モデルを走査することによって得られる。
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは、歯テンプレートの歯と、調製前の歯集合のデジタル3D表示とを組み合わせることによって生成される。
歯テンプレートの歯、及び調製前の歯集合のデジタル3D表示の双方から生成された仮想診断ワックスアップの利点は、修復作業の予測結果を真に視覚化できることである。
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは調製前の歯集合のデジタル3D表示の少なくとも一部を修正することによって生成される。修正部分は歯科修復物の歯に関連する。
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは、仮想診断ワックスアップが調製前の歯集合及び/又は残留歯集合のデジタル3D表示と自動的に整列させられるように設計される。
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは、残留歯集合のデジタル3D表示と自動的に整列させられるように、歯集合のデジタル3D表示、例えば調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示に関連して設計される。従って、診断ワックスアップから定義された目標歯科修復物も、残留歯集合のデジタル3D表示と自動的に整列させられ、そして仮想妥当性確認面を残留歯集合のデジタル3D表示と直接に組み合わせることができる。
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップの少なくとも一部は歯生成アルゴリズムを用いて形成される。このようなアルゴリズムはコンピュータ上で実行することができる。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面は仮想診断ワックスアップに基づいて生成される。このことは、仮想診断ワックスアップに基づいて目標歯科修復物を介して行われてよい。
いくつかの実施態様では、この方法は、調製前の歯集合のデジタル3D表示を、歯に対応する部分と、残留歯集合のデジタル3D表示に対応する部分とに仮想的に区分化するように構成された3D区分化スプラインを定義することを含む。
このことの1つの利点は、歯部分を仮想的に除去することができ、そして、設計プロセスを妨害する調製前の歯集合のデジタル3D表示の歯部分を有することなしに、残留歯集合のデジタル3D表示を仮想調製ガイド面の生成のために使用できることである。
いくつかの実施態様では、歯の仮想的な除去は、前記3D区分化スプラインを定義し、そして調製前の歯集合のデジタル3D表示を、歯に対応する部分と、残留歯集合のデジタル3D表示に対応する部分とに、3D区分化スプラインにおいて仮想的に分割することを含む。
3D区分化スプラインを使用することによりもたらされる利点は、操作者が自分でスプラインを定義し、これにより、歯部分と残留歯集合とがどこで分離されるかを見極め得ることである。
3D区分化スプラインは、コンピュータ実行型の区分化スプライン生成アルゴリズムを用いて自動的に定義されてよい。操作者は、調製前の歯集合のデジタル3D表示に対する3D区分化スプラインの位置を、このスプラインにおける歯の除去を認める前に調べることができる。
いくつかの実施態様では、この方法は、3D区分化スプラインを手動で定義するか、又は自動的に生成された3D区分化スプラインを手動で調節することを含む。
いくつかの実施態様では、3D区分化スプラインを手動で定義するか、又は自動的に生成された3D区分化スプラインを手動で調節することは、3D区分化スプラインの形状を制御するために使用される区分化スプライン制御点に基づいて行われる。このような制御点の利点は、操作者がポインティング・ツール、例えばコンピュータ・マウスを使用して3D区分化スプラインを調節できることである。
デジタル3D表示の区分化に際しては、3D区分化スプラインは、歯の歯肉縁に追従するように定義されてよい。
このことの1つの利点は、残留歯集合のデジタル3D表示において歯面が完全に除去され、そして生成される仮想妥当性確認面を、歯面に相当するいかなる部分も有さないように成形できることである。この場合、生成された仮想妥当性確認面の形状は、歯面全体にわたって歯物質を除去したものに相当する。このことは、クラウン修復物のための歯の調製時にしばしば好ましい。
ある歯に対応する3D区分化スプラインの少なくとも一部は、その歯が調製されるときに提供される調製ラインの予測形状に従って成形されるように構成されてよい。すなわち、3D区分化スプラインが自動的に生成される場合、そして3D区分化スプラインが手動で定義される場合の双方において、3D区分化スプラインは、操作者がある歯の調製ラインをそれに沿って定義しようと計画する経路に追従するように配置されてよい。
このことの1つの利点は、歯科医が調製ラインを正しく配置するのを支援するように、歯科調製ガイドを設計できることである。
いくつかの実施態様の場合、当該歯に相当するデジタル3D表示部分の仮想的な区分化は、この部分を調製前の歯集合のデジタル3D表示部分から仮想的に分離するか、又はこのデジタル3D表示部分から遠ざけるか、又はこれから削除するように行われる。
その利点は、残留歯集合のデジタル3D表示及び歯科調製ガイドの仮想面を見たときに、除去された歯がもはや見られないことである。
いくつかの実施態様では、残留歯集合に相当する部分から当該歯に相当する部分を仮想的に分離することによって、調製前の歯集合のデジタル3D表示から当該歯を仮想的に除去する。当該歯部分は、歯集合のデジタル3D表示の、これが除去される前と同じ位置にまだ配置されていてよいが、しかし除去された部分は残留歯集合内には含まれない。
歯の表面が歯集合の残りの部分とは区別可能にされている限り、当該歯を仮想的に除去するステップを省くことも可能である。これは例えば、さもなければ仮想的に除去される歯の表面に情報を付加することによって実現することができる。仮想調製ガイド面又は仮想歯科調製ガイドを視覚化する際に、歯は高度に又は少なくとも僅かに透明な表面として提示することもできる。この場合、当該歯を異なる形式で視覚化させる調製前の歯集合のデジタル3D表示に関連して、3D残留歯スプラインを形成することができる。
3D区分化スプラインを使用して、所定の歯、すなわち続いて調製前の歯集合のデジタル3D表示から仮想的に分離するか仮想的に遠ざけることができる歯を定義することができる。
いくつかの歯が仮想的に除去されると、3D区分化スプラインは調製済の歯集合のデジタル3D表示を、これらの歯に相当する部分と、残留歯集合に相当する部分とに仮想的に区分化することができる。
いくつかの実施態様では、3D区分化スプラインは仮想目標歯科修復物と、調製前の歯集合のデジタル3D表示との間の境界にほぼ追従する。
当該歯を仮想的に除去することにより、残留歯集合のデジタル3D表示内に仮想穴を導入することができる。仮想穴は歯肉穴と、残留歯集合のデジタル3D表示内にまだ存在する場合には隣接歯の隣接歯間穴とを含む。仮想穴は3D区分化スプラインによって仕切られてよい。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想穴を少なくとも部分的に閉じるように構成された、例えば仮想穴をほとんど閉じるように構成された仮想置換面を生成することを含む。仮想置換面は、ライブラリから選択された一般的な表面、又は曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて生成された表面であってよい。いくつかの実施態様では、仮想置換面は仮想歯肉面、例えば仮想歯肉を含む。いくつかの実施態様では、仮想置換面は仮想歯調製状態を含む。
このような仮想置換面を生成することの1つの利点は、3D残留歯スプラインの隣接歯間区分を定義するときにこの表面を使用できることである。
いくつかの実施態様では、この方法は3D残留歯スプラインを画定することを含む。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの少なくとも1区分が、前記歯を仮想的に除去することにより、残留歯集合のデジタル3D表示内に導入された仮想穴の境界に追従するように構成される。
3D残留歯スプラインを定義することの利点は、残留歯集合のデジタル3D表示が、仮想調製ガイド面を生成するときに使用される仮想面に結合する場所をこのスプラインがマークできることである。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの少なくとも一部がほぼ3D区分化スプラインに基づいて成形されるように、3D残留歯スプラインは3D区分化スプラインから定義される。
このことの利点は、3D残留歯スプラインの少なくともいくつかの区分が、調製前の歯列のデジタル3D表示を区分化するために使用したスプラインと同じ形状を有することを歯科医又は歯科技工士がしばしば好むことである。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインは舌部分及び/又は頬/唇部分及び/又は隣接歯間部分を含む。3D残留歯スプラインの舌部分及び/又は頬/唇部分は、それぞれ歯集合の舌部分及び頬部分における仮想穴の境界に追従するように構成されてよい。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの舌部分及び/又は頬/唇部分は、調製前の歯集合のデジタル3D表示の対応部分上の3D区分化スプラインとほぼ同一である。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインは隣接歯間部分を含む。隣接歯間部分は3D区分化スプラインを修正することによって定義されることが好ましい。いくつかの実施態様では、3D区分化スプラインの1区分が、仮想的に除去されるべき歯とその隣接歯との間の隣接歯間境界に追従して、3D区分化スプラインが歯肉から遠ざかるようになっている。3D区分化スプラインを修正することによって3D残留歯スプラインを定義するときには、3D区分化スプラインのこの区分は、歯の隣接歯間部分に位置する歯肉に追従するように成形されてよい。
このことの利点は、3D残留歯スプラインが解剖学的状況と似た形式で成形されることであって、この場合、3D残留歯スプラインのところで残留歯集合のデジタル3D表示に結合することによって仮想調製ガイド面を定義すると、生成された表面は、3D残留歯スプラインが隣接歯間部分のところで歯肉から離れた3D区分化スプラインと同一である事例と比較して、より均質な形状を有する。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの隣接歯間部分は、これが前記仮想穴の少なくとも一部を隣接歯間穴と歯肉穴とに分割するように配置される。
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの隣接歯間部分は、これが仮想置換面に追従し、そして前記仮想置換面の少なくとも一部を仮想隣接歯間面と仮想歯肉面とに分割するように配置される、
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインはこの仮想置換面に関連して定義される。3D残留歯スプラインは、残留歯集合のデジタル3D表示内に隣接歯がまだ存在するか否かに応じて、仮想置換面を仮想歯肉面と1以上の仮想隣接歯間面とに分割するように配置されてよい。
いくつかの実施態様では、この方法は、残留歯集合のデジタル3D表示内の歯肉穴の少なくとも一部を閉じるように構成された仮想歯肉面を生成することを含む。
この表面は、この方法において使用される他の表面又はスプラインを定義するときに使用することができ、或いは、歯科修復物のデジタル設計のため、例えばブリッジ修復物のポンティックの設計のために使用することができる。
いくつかの実施態様では、この方法は、前記残留歯集合のデジタル3D表示内の隣接歯間穴の少なくとも一部を閉じるように構成された仮想隣接歯間面を生成することを含む。
仮想歯肉面及び/又は仮想隣接歯間面は、曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて生成されてよい。
いくつかの実施態様では、この方法は、残留歯集合のデジタル3D表示の仮想歯肉面及び/又は仮想隣接歯間面及び/又は仮想置換面の部分を形成することを含む。このような形成は、仮想歯肉面及び/又は仮想隣接歯間面及び/又は仮想置換面を残留歯集合のデジタル3D表示と結合することを含んでよい。これらの表面はロフティング法(lofting process)によって、残留歯集合のデジタル3D表示と結合されてよい。
仮想歯肉面の場合、これは仮想的に除去された歯を、残留歯集合のデジタル3D表示内の仮想歯肉面で仮想的に置換することに相当し得る。この表面は例えば、ブリッジ修復物のポンティックを設計するときのような、歯科修復物の設計時に使用することができる。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面が、仮想目標歯科修復物に従って成形される。歯科調製ガイドを用いた妥当性確認はこの場合、調製前の歯形状と目標歯科修復物の形状との相違を推定することを含んでよい。このような歯科調製ガイドは、目標歯科修復物が調製前の歯集合における歯形状から著しく異なっている事例において有用である。それというのも、この歯科調製ガイドは、診断ワックスアップに基づく形状から歯がどれほど隔たっているか、従ってどこで、そしてどれほどの量の歯物質を除去しなければならないかという指示を歯科医に与えることができるからである。この場合、妥当性確認面よりもさらに歯を調製しなければならない。例えば、妥当性確認面と調製済の歯集合の表面との間の空間から、歯科修復物のための利用可能な空間を推定しなければならない。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想最小調製面を生成することを含む。この場合、仮想的に除去された歯を、残留歯集合のデジタル3D表示において仮想最小調製面で置換することができる。仮想最小調製面は、調製済の歯の最大サイズ、すなわち、調製済の歯がその内部に閉じ込められなければならない境界を示すことにより、歯科修復物に十分な空間が提供されるのを保証することができる。
いくつかの実施態様では、歯の仮想最小調製面が、仮想目標歯科修復物から割り出される。この場合、仮想最小調製面に基づいて調製された歯が、目標歯科修復物に基づいて成形された歯科修復物を受け入れ得る状態になるように、この仮想最小調製面は成形される。
いくつかの実施態様では、歯の仮想最小調製面が、仮想目標歯科修復物の表面の少なくとも一部を内方へ向かってオフセットすることにより割り出される。オフセットのサイズは均一であってよく、或いはオフセットが例えば調製済の歯の咬合端でより大きくなるように、歯面にわたって変化してもよい。オフセットは、操作者によって入力されたパラメータ値から、又はこのようなパラメータ値の予め決められた値から割り出されてよい。
このようなオフセットによって仮想最小調製面を割り出すことの1つの利点は、歯科修復物の機械的安定性及び例えば色変化可能性を考慮に入れ得るように、オフセットが歯科修復物の最小厚の尺度を直接に提供することである。
いくつかの実施態様では、実際に最小調製面内部にある区域から歯物質を除去しなければならないように、仮想妥当性確認面が設計される。このことは、調製済の歯の表面をこれらの区域内で粗くして歯科修復物が調製済の歯により良好に付着するのを保証するように行われてよい。
いくつかの実施態様では、生成された仮想歯科調製ガイドが、さもなければ歯の外側に配置されるはずである領域内の歯の表面に追従するのを可能にするように修正される。このことは例えば、当該歯の仮想最小調製面が仮想目標歯科修復物のオフセットによって形成され、そして仮想最小調製面の一部が当該歯の外側に延びる場合に行われてよい。この場合、当該歯を超えて延びるオフセット面部分は歯面上に押し付けられるか、又は歯面まで仮想的に切除される。物理的な歯科調製ガイドの場合、押し付けられた区分は、調製された歯の関連面上に位置し、こうして歯科調製ガイドが患者の歯集合に対して正しい配置関係を成して支持されるのを可能にする。
いくつかの実施態様では、歯科修復物が製造されるべき材料の特性が考慮に入れられ、例えば仮想最小調製面を割り出すときに考慮に入れられる。歯科修復物の最小厚及び臨界角度は材料に依存する。材料特性を考慮に入れるときには、歯科修復物は何らかの所期の機械的特性及び色変化特性を有するように設計することができ、そしてこれらの特性に対する要件を満たすように設計された修復物を受け入れるように歯を調製することができる。
修復物の最小壁厚は修復物の材料に依存する。例えば、修復物が金で形成されるときには歯科修復物の堅牢な設計を提供するために1つの最小厚が必要となる一方、修復物がセラミックで形成されるときには別の最小厚が必要とされる。
調製済の歯の形状は、修復物の材料と適合するように調節されることも好ましい。金から形成された修復物は、調製済の歯の調製ラインに向かってテーパ終端を有することができ、これに対してセラミック修復物は多くの場合、より切り立った終端を必要とする。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドの生成はこれらの事項を考慮に入れて、歯科調製ガイドは、テーパ終端又は切り立った終端を有する修復物を配置することができる調製済の歯を提供するために、ドリルをガイドするように構成されるようになっている。
いくつかの実施態様では、歯科修復物が患者の歯に配置されたときに調製済の歯と歯科修復物との間にセメントのための容積が提供されるように、仮想最小調製面及び/又は仮想妥当性確認面が形成される。このことの利点は、材料をさらに研削除去することなしに、歯/歯科修復物にセメントを塗布できることである。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面に関連して仮想調製ラインが定義される。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面が、仮想最小調製面に基づく。このような事例では、仮想調製ラインは仮想最小調製面に関連して定義することができる。
いくつかの実施態様では、仮想調製ラインは仮想妥当性確認面に基づいて定義され、そして実際の歯を調製することによって定義された調製ラインの仮想等価物に相当する。
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面は、仮想最小調製面と残留歯集合のデジタル3D表示とを仮想的に結合することによって生成される。すなわち、仮想最小調製面と残留歯集合のデジタル3D表示とは、これらの表面を結合することにより組み合わされる。この事例では仮想妥当性確認面の少なくとも一部は、仮想最小調製面とほぼ同一である。
いくつかの実施態様では、仮想最小調製面は仮想最小調製状態によって表される。本発明によるユーザーインターフェイスにおいて、このような仮想最小調製状態を残留歯集合のデジタル3D表示と一緒に視覚化して、最小調製状態が調製プロセスに関して、そして製造された修復物の挿入に関してどれほど良好であるかを操作者が推定できるようになっている。
いくつかの実施態様において、仮想調製ガイド面は、仮想最小調製状態に従って成形される。仮想調製ガイド面のいくつかの部分は、仮想最小調製状態に緊密に追従するように構成されてよく、これに対して他の部分では、例えばセーフティ・ゾーンが望ましいときには、仮想調製ガイド面は仮想最小調製状態から逸脱してよい。
いくつかの実施態様において、仮想調製ガイド面の少なくとも一部は、仮想最小調製面及び残留歯集合のデジタル3D表示をブール加算することによって生成される。
このアプローチでは、操作者が適切であるとみなす形式で、仮想最小調製面と残留歯集合のデジタル3D表示とをひとたび互いに相対配置すれば、仮想調製ガイド面を容易に生成することができる。ユーザーインターフェイスにおいて操作者に提示された方法を実行するために、ユーザーインターフェイスは、仮想最小調製面と、残留歯集合のデジタル3D表示と、作動時にブール加算を実施する仮想ボタンとを示すウインドウを有することができる。操作者は、仮想最小調製面を動かして適合させ、且つ/又は、例えばコンピュータ・マウスを使用して残留歯集合のデジタル3D表示に対して仮想最小調製面を動かすことにより、これらのアクションを前記ウィンドウ内の仮想最小調製面上で実施することができる。
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面の少なくとも一部は、仮想妥当性確認面及び残留歯集合のデジタル3D表示をブール加算することによって生成される。仮想最小調製面及び残留歯集合のデジタル3D表示をブール加算することに関連した上記解説はここでは仮想妥当性確認面及び残留歯集合のデジタル3D表示のブール加算にも当てはまる。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とを結合するように構成された結合面を生成することを含む。
結合面は、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示との間に配置された仮想調製ガイド面内の穴を閉じて、一貫した仮想調製ガイド面が形成されるようになっている。
いくつかの実施態様では、結合面が、3D残留歯スプラインのところで前記残留歯集合のデジタル3D表示に結合するように構成されている。このアプローチの利点は、操作者が、3D残留歯スプラインの形状を介して、生成された仮想調製ガイド面が残留歯集合のデジタル3D表示においてどのように成形されるかを見極め得ることである。さらに、操作者は、残留歯集合のデジタル3D表示に従って仮想調製ガイド面がどこで成形されるか、そしてこれが仮想妥当性確認面に従ってどこで成形されるかを見極めることができる。
いくつかの実施態様では、結合面を生成することがロフティング法を含む。ロフティングを適用することにより、2つの表面を新しい表面によって結合することができる。第1面の境界に、そして第2面の境界にパラメトリック面をフィッティングすることを含む場合がある。ロフティング法を用いて、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とを結合するように構成された結合面を定義することができる。
いくつかの実施態様では、結合面の形成はコンピュータで制御されるか、又はコンピュータで支援される。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想妥当性確認面に対して3D妥当性確認面スプラインを定義することを含み、そして結合面が、3D妥当性確認面スプラインで仮想妥当性確認面に結合されるように構成される。
結合面がどこで仮想妥当性確認面に結合するように構成されるかを見極めるために3D妥当性確認面を使用することの利点は、セーフティ・ゾーンが定義されるように、例えば仮想妥当性確認面の仮想調製ラインの上方で仮想妥当性確認面に結合すべきか否かを操作者が決定できることである。
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインはコンピュータ支援型アルゴリズムを使用して自動的に定義される。
このことの1つの利点は、コンピュータ実行型アルゴリズムが操作者よりも迅速に3D妥当性確認面スプラインを定義し得ることである。
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインは手動で定義されるか、又は、診断ワックスアップの視覚化と組み合わせて視覚化される仮想制御点を使用して調節される。
このことの1つの利点は、操作者が個人的な好みに従って3D妥当性確認面を定義することが可能になることである。
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインが、仮想調製ラインにほぼ追従するように構成される。
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインが、仮想調製ラインの上方に配置される。すなわち3D妥当性確認面スプラインは、仮想調製ラインよりも歯の咬合平面に近い。
いくつかの実施態様では、穴閉鎖及び/又は結合面の生成にコンピュータ実行型穴閉鎖アルゴリズムが適用される。
このことの1つの利点は、コンピュータ実行型穴閉鎖アルゴリズムが、穴を仮想的に閉じることができ、且つ/又は操作者よりも迅速に結合面を生成できることである。
ロフティング法を実施する1つの方法は、生成された表面によって結合されるべき2つの境界の頂点間の対応関係を先ず見極めることである。この対応関係は、頂点の順序が維持されるという制約下で、対応頂点間の最低平均距離をもたらす対応関係をしらみつぶし探索(exhaustive search)することによって見極めることができる。ロフティングは三次Bスプライン面に基づいてよく、この三次Bスプライン面は、複数の制御点が特定されることを必要とする。それぞれの頂点毎に、頂点法線に対して垂直なベクトルvC、及び頂点内の境界方位ベクトルが計算される。頂点法線は、頂点に結合された三角形の三角法線の面積荷重平均として計算される。対応頂点の集合内のそれぞれの頂点毎に、2つの制御点が頂点±vCとして生成される。この場合、対応頂点p1及びp2の間の中点に付加されたvC1及びvC2として、付加制御点が生成される。生成された制御点の他に、2つの頂点も制御点として作用する。このプロセスが対応頂点の全ての集合に対して繰り返されると、表面は制御点によって完全に定義される。次いで表面上で、すなわち対応頂点を結合するスプライン上の頂点をサンプリングすることによって、新しい頂点がサンプリングされる。これらの頂点、及び対応頂点集合の順序から、サンプリングされた頂点間の隣接関係性が判る。これらの関係性を知ることによって、三角形によって隣接頂点を結合することが容易になる。ロフティングが適用されていると、例えば仮想妥当性確認面が結合面によって貫通されないことは保証されない。しかしこの貫通は、仮想妥当性確認面の背後に制御点を移動させることによって、例えば対応頂点間の付加的な制御点をvC1及びvC2に沿って後方へ向かって、制御点が仮想妥当性確認面の背後に来るまで移動させることによって、最小限にすることができる。
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面が、仮想調製ライン及び/又は3D区分化スプラインでセーフティ・ゾーンを定義するように構成されており、前記セーフティ・ゾーンは、残留歯集合のデジタル3D表示と仮想調製ガイド面との間に所定の距離を提供する。
従って、セーフティ・ゾーンは、歯肉に対する歯のための調製ライン及び/又は調製辺縁ラインの異なる場所間で歯科医が選択を行うことが可能になる空間を提供することができる。セーフティ・ゾーンはまた、歯科調製ガイドが患者の歯に配置されたときに傷つきやすい歯肉部分と接触しないことを保証することもできる。3D妥当性確認面スプラインが仮想調製ラインの上方に配置されたときにセーフティ・ゾーンが実現されてよい。この場合、仮想調製ガイド面は仮想調製ラインから局部的にオフセットされ、これによりセーフティ・ゾーンの空間が提供される。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、直接デジタル製造によって、例えば3Dプリント又はミリングによって製造される。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドが、
− 歯が仮想妥当性確認面に従って調製されている歯集合の物理的モデルを形成すること、そして
− この物理的モデルに従って歯科調製ガイドの材料を成形すること
によって製造される。
歯科調製ガイドの材料の成形は、物理的モデル上へ材料を真空形成することを含んでよい。このアプローチの利点は、直接デジタル製造のために使用できる生体適合性材料が極めて僅かしかないのに対して、ソリッド・モデル上に真空形成することができる生体適合性材料は数多くあることである。
いくつかの実施態様では、生成された仮想歯科調製ガイドが、シェリング(shelling)された仮想調製ガイド面を含む。
仮想調製ガイド面をシェリングすることの1つの利点は、直接デジタル製造のためにこの表面自体を必ず使用できるとは限らないが、表面のシェリングによって定義される仮想モデルはこのような製造に適していることである。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想調製ガイド面の少なくとも選択部分をシェリングして、仮想調製ガイドが選択部分内にインナ・シェル面とアウタ・シェル面とを含むようにすることを含む。
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面及び/又は仮想妥当性確認面は、三角形によって結合された複数の頂点によってパラメータ化される。
いくつかの実施態様では、アウタ・シェル面は、仮想妥当性確認面に従って成形される。
いくつかの実施態様では、アウタ・シェル面は、生成済の仮想調製ガイド面に従って成形され、そしてシェリングは、アウタ・シェル面からインナ・シェル面を定義する。この事例において、シェリングは、アウタ・シェル面におけるそれぞれの頂点のコピーを内方へ向かってオフセットし、所与の最小シェル厚よりもアウタ・シェル面に近い複数のコピー頂点を除去し、そして残留コピー頂点をトライアンギュレーションすることによってインナ・シェル面を生成することを含んでよい。
アウタ・シェル面が生成済み仮想調製ガイド面に従って生成される場合、アウタ・シェル面は、歯科修復物の目標形状に従って形成されてよい。
いくつかの実施態様では、シェリングされた仮想調製ガイド面から、直接デジタル製造によって中間物理的モデルが製造される。歯科調製ガイドは、前記中間物理的モデルを使用して歯科調製ガイドの材料を成形することによって製造される。中間物理的モデルの内面及び外面は、それぞれインナ・シェル面及びアウタ・シェル面によって定義されてよい。
中間物理的モデルの外面は、仮想調製ガイド面に従って成形することができ、そして製造された歯科調製ガイドの内面が中間物理的モデルの外面に従って成形されるように、歯科調製ガイドを製造することができる。製造された歯科調製ガイドの内面は、仮想調製ガイド面のネガティブに相当し、歯科調製ガイドは仮想調製ガイド面に従って調製された歯上にフィットする。この歯がさらに調製される場合、歯科調製ガイドが患者の歯集合に配置されたときに、内面と歯科調製ガイドと歯面との間にはギャップが存在する。
このアプローチの利点は、直接デジタル製造のために使用できる生体適合性材料が極めて僅かしかないのに対して、このような中間物理的モデル上に真空形成することができる生体適合性材料は数多くあることである。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドの材料の成形は、中間物理的モデル上へ前記歯科調製ガイドの材料を真空形成することを含む。
いくつかの実施態様では、インナ・シェル面が仮想妥当性確認面に従って成形されるように、歯科調製ガイドが形成される。
いくつかの実施態様では、インナ・シェル面は、仮想調製ガイド面に従って成形され、そしてシェリングが、インナ・シェル面からアウタ・シェル面を定義する。インナ・シェル面は、歯科調製ガイドが歯に配置されたときに歯集合に面する表面であってよく、これに対してアウタ・シェル面は、周囲の頬、唇、及び舌組織、並びに対抗歯に面している。
仮想調製ガイド面及び/又は仮想妥当性確認面がインナ・シェル面の部分である場合、シェリングはアウタ・シェル面を提供することができる。この場合、シェリングはインナ・シェル面内のそれぞれの頂点のコピーを外方へ向かってオフセットし、所与の最小シェル厚よりもインナ・シェル面に近い複数のコピー頂点を除去し、そして残留コピー頂点をトライアンギュレーションすることによってアウタ・シェル面を生成することを含んでよい。
このアプローチの利点は、中間物理的モデルを必要とすることなしに、歯科調製ガイドを直接に製造し得ることである。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、前記シェリングされた仮想調製ガイド面から、直接デジタル製造によって製造される。このことは、インナ・シェル面が仮想調製ガイド面に従って成形される場合に当てはまる。
シェリングは仮想調製ガイド面を拡張させることにより、有限厚を有するシェルになり得る。多くのデバイスの場合、最小シェル厚が保証されることが有益又は重要である。
アウタ・シェル面に基づいてシェルを提供するように構成された1つのシェリング・アルゴリズムにおいて、第1のステップは、アウタ・シェル面内のそれぞれの頂点のコピーを生成することである。アウタ・シェル面内のスケーリングされた対応頂点法線に沿って、インナ・シェルの新しい頂点を生成する。頂点法線は、面積によって加重された結合三角形の法線の平均として計算される。最小シェル厚が保証されなければならない場合、これは特定のシェル厚で頂点をオフセットするには十分でない。しかしながら、シェル厚を局部的に保証するオフセットを最大スケール・ファクターと見なすことができる。このファクターは、所定の厚さによってスケーリングされた三角法線の全長上に、スケーリングされた頂点法線バージョンを投影する。頂点に結合された三角形の法線だけが関連する。残念ながら、提案されたオフセットは局部的なシェル厚を保証するに過ぎない。凸面及び高い曲率を有する区域内では、オフセットされた頂点は、最小シェル厚に違反する傾向がある。これらの違反頂点は、適切なシェル厚を保証するために第2ステップにおいて除去される。最後に新しいインナ・シェルは、生成された頂点のトライアンギュレーションによって生成されてよい。トライアンギュレーションは、例えば“Surface Reconstruction from unorganised points”, Computer Graphics, 26(2), 1992, pp. 71-78においてHoppe他によって提案された標準3Dトライアンギュレーション法を用いて実施してよい。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、妥当性確認面が歯に面した状態で、患者の歯集合に対して配置できるように生成される。歯は、調製前の歯集合の歯、又は調製済の歯であってよい。
物理的歯科調製ガイドの製造前に、シェリングされた仮想調製ガイド面にベースが設けられてよい。ベースはアウタ・シェル面の咬合部分に配置されてよい。
中間物理的モデルの製造前に、シェリングされた仮想調製ガイド面にベースが設けられてよい。ベースはシェリングされた表面の頸部に配置されてよい。
妥当性確認面は、歯集合内の1以上の歯の調製を妥当性確認するように構成されている。いくつかの実施態様の場合、例えば歯の最小調製状態に従って妥当性確認面が形成される場合、歯の不十分な調製が、歯集合に対する目標位置に到達するのを妨げることになる。調製が十分であり、また(更なる)調製を必要とする他の歯がない場合には、歯調製ガイドを目標位置内に移動させることができる。歯科調製ガイドが比較的軟質の材料で製造される場合には、歯の調製が不十分であっても、歯科調製ガイドが目標位置に達することは可能ではあるが、しかし抵抗を被る。
いくつかの実施態様では、歯科修復物の挿入方向を割り出すことを含み、挿入方向は、仮想妥当性確認面を生成するときに考慮に入れられて、例えば仮想最小調製面は挿入方向に基づくようになっていてよい。
いくつかの実施態様では、挿入方向を考慮に入れることは、歯が仮想妥当性確認面に従って、例えば仮想歯科調製ガイドに基づいて製造された物理的歯科調製ガイドの妥当性確認面に従って調製される場合に、調製済の歯のアンダーカットが低減又は回避されることを可能にするように、仮想妥当性確認面が構成されるのを保証することを含む。いくつかの実施態様では、アンダーカットは、仮想妥当性確認面をトリミングすることにより低減又は回避される。
本発明との関連において、「調製済の歯のアンダーカット」という表現は図8に示されているような、挿入方向に沿った歯科修復物経路に対して見られるアンダーカットを意味する。図面では、このようなアンダーカットに起因して、歯科修復物は調製済の歯に配置することができない。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想最小調製面からアンダーカットなしの仮想面を生成することを含み、そして仮想妥当性確認面が、アンダーカットなしの仮想面に基づいて生成される。アンダーカットなしの表面は、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示内のアンダーカット領域をブロックアウトするように構成された仮想ブロックアウト・ツールを使用して生成することができる。
いくつかの実施態様では、仮想最小調製面及び/又はアンダーカットなしの仮想面に、下方へ向かって延びるテーパが設けられ、仮想調製ラインから歯の咬合面へ、テーパが所定のテーパ角を成す。テーパ角は、約0.5度〜約15度、例えば約1度〜約10度、例えば約2度〜約5度であってよい。
いくつかの実施態様では、歯科修復物はブリッジ修復物、単独のクラウン、一時的修復物、又は取り外し可能な部分義歯を含む。
いくつかの実施態様では、歯科修復物はブリッジ修復物を含み、歯科調製ガイドは、ブリッジ修復物のクラウン部分を受け入れるための2つ又は3つ以上の歯の調製状態を妥当性確認するように構成される。
いくつかの実施態様では、歯科修復物は取り外し可能な部分義歯を含み、歯科調製ガイドは、患者の口腔内に部分義歯を固定するために調製された2つ又は3つ以上の歯の調製状態を妥当性確認するように構成される。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、2つ又は3つ以上の歯の調製状態を妥当性確認するように構成される。この事例では、調製済の歯集合のデジタル3D表示から1以上の歯を仮想的に除去して、残留歯集合が調製前の歯集合と比較して1以上の歯を欠くようになっていてよい。それぞれの歯に対して、又は2つ又は3つ以上の歯に対して3D区分化スプラインを定義してよい。この場合、調製前の歯集合のデジタル3D表示内のいくつかの歯を、仮想最小調製状態によって、又は残留歯集合のデジタル3D表示内の仮想歯肉面によって置き換えてよい。例えば、ライブラリから選択されたテンプレートに基づいて、ブリッジ修復物のための仮想診断ワックスアップを設計してよい。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、歯集合の第1領域及び第2領域に関連して使用されるように構成されており、前記第1領域は前記歯科修復物に関連する歯を含み、そして前記第2領域は少なくとも1つの付加的な歯を含み、第2領域は歯集合に対して歯科調製ガイドを正しく整列させるために使用される。
歯科修復物が上顎骨前歯のためのブリッジ修復物であって、第8歯及び第9歯のためのポンティックと、第7歯及び第10歯に取り付けられたブリッジのクラウンとを備えているものの場合、第1領域は第7〜10歯を含むのに対して、第2領域は第6歯及び第11歯、又は第7〜第10歯からさらに離れた歯を含み得る。これらの歯はユニバーサル番号システム(universal tooth designation system)に従って番号付けされている。従ってこの場合、歯科調製ガイドは、調製済の歯だけでなく、少なくとも1つの他の歯にも係合するように構成されている。この少なくとも1つの他の歯は、歯科調製ガイドが調製済の歯に対して正しく整列させられることを保証する。製造された歯科調製ガイドは、第1領域の歯及び第2領域の歯双方に関連して配置されるように構成されていてよい。歯科調製ガイドの整列状態は第2領域の歯上でもたらされる一方、歯科調製ガイドは第7歯及び第10歯の調製状態を妥当性確認する。第8歯及び第9歯は第7歯及び第10歯の調製状態を妥当性確認する前に抜かれている。歯科調製ガイドを支持するために隣接歯を使用する代わりに、又は隣接歯を使用するのに加えて、これを目的として歯肉を使用することもでき、そして仮想調製ガイド面を生成するときには、残留歯集合のデジタル3D表示の対応部分が含まれる。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドのシェリングされた仮想調製ガイド面内に少なくとも1つのアパーチャが形成されて、製造された歯科調製ガイドが患者の歯集合に関連して配置されるときに、アパーチャが歯の所定の区域へのアクセスを可能にするようになっている。この歯は調製済又は調製前の歯であってよい。製造された歯科調製ガイドのアパーチャを通して先の尖ったツールを入れ、歯科調製ガイドから歯の表面までの距離を測定してよい。このことは例えば、歯科調製ガイドの妥当性確認面が診断ワックスアップに従って成形されるときに利用することができる。それというのもこれにより、歯の調製によって歯科修復物のために提供された空間が、堅牢な歯科修復物を形成するのに十分に大きいか否かを歯科医が測定することが可能になるからである。
いくつかの実施態様では、妥当性確認面は、歯の少なくとも1つの表面、例えば歯の頬側、舌側、咬合側、又は隣接歯間の表面の調製状態を妥当性確認するように構成される。いくつかの実施態様では、妥当性確認面は、当該歯の表面全体の調製状態を妥当性確認するように構成される。
1実施態様の場合、この方法は、最小調製面の中間バージョンを生成することを含む。中間バージョンは卵殻形態に従って成形されてよい。卵殻形態は、仮想目標歯科修復物の表面の少なくとも一部を内方へ向かってオフセットし、ひいてはインナ・シェル面を形成することにより定義することができる。
物理的又は仮想的な歯の調製は修復物が所期の審美的外観を提供するように構成されてよい。すなわち調製により、歯科修復物が所期の形状、位置、及び色を有するようになっている。
いくつかの実施態様では、仮想目標歯科修復物と残留歯集合のデジタル3D表示とは、3D区分化スプラインのところで整列させられる。両者の間にギャップがある場合、このギャップは、穴閉鎖アルゴリズム、例えば曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて、或いは結合面を介して閉じられてよい。結合面は、仮想目標歯科修復物を残留歯集合のデジタル3D表示に結合するように構成される。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想最小調製面と仮想妥当性確認面の歯肉部分とを組み合わせることを含む。両者の間にギャップがある場合、このギャップは、穴閉鎖アルゴリズム、例えば曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて閉じられてよい。
いくつかの実施態様では、この方法は仮想妥当性確認面及び/又は仮想最小調製状態を、残留歯集合のデジタル3D表示と整列させることを含む。仮想妥当性確認面が、残留歯集合のデジタル3D表示と整列させられた仮想診断ワックスアップから生成されると、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とが自動的に整列させられる。
いくつかの実施態様では、この方法は、歯を調製するために使用されるドリルのサイズ及び/又は形状に関連する情報が提供されること、そして歯科調製ガイドを前記情報を考慮に入れて生成することを含む。
情報を考慮に入れることなしに歯科調製ガイドが生成され、調製済の歯の推定形状が視覚化され、推定された形状は、情報を考慮に入れて導き出される。
いくつかの実施態様では、この方法は、調製済の歯によって受け入れられるように歯科修復物を修正することを含む。このことは、例えば歯科医が歯科調製ガイドに従って歯を調製することができない場合に必要とされる。いくつかの場合、歯科修復物を僅かに変化させることにより問題を解決し、そして歯科修復物を調製済の歯によって受け入れることを保証することができる。
いくつかの実施態様では、この方法は、残留歯集合のデジタル3D表示に関連して仮想目標歯科修復物を視覚化することを含む。このことの利点は、歯科修復物が患者の口腔内に挿入されたときの歯の審美的外観を歯科医と患者とが判断できることである。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想調製ラインを挿入方向に沿って並進させることにより描かれた表面を有する仮想構造を生成することを含む。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面は、仮想妥当性確認面が挿入方向を考慮に入れるように、仮想構造に基づいて生成される。このことの利点は、製造された歯科修復物を、歯科調製ガイドに従って調製された歯のところに挿入し得ることである。
いくつかの実施態様では、仮想調製ラインから歯の咬合面までの仮想構造に、所定のテーパ角を成す下方へ向かって延びるテーパが提供されて、仮想構造が切頭体として成形されるようになっている。
挿入方向が無視される場合、妥当性確認面に従って歯が調製されたときにもアンダカット面が生成されることがある。
いくつかの実施態様では、この方法は仮想最小調製面及び仮想面からアンダーカットなしの仮想面を生成することを含む。いくつかの実施態様では、アンダーカットなしの仮想面に基づいて妥当性確認面を生成する。アンダーカットなしの表面は、特定サイズ未満の小さなアンダーカットが受け入れられるように形成されてよい。
このことの利点は、妥当性確認面に従って成形された調製状態が(挿入方向に対する)アンダーカット領域を有することがなく、歯科修復物を調製済の歯に配置し得ることである。
いくつかの実施態様では、アンダーカットなしの仮想面は、仮想構造と、仮想最小調製面に従う表面を有するソリッド構造とをブール加算することによって形成された仮想ソリッド構造の表面に相当する。
いくつかの実施態様では、デジタル3D表示は、歯集合を口腔内走査することによって、又は歯集合の物理的モデル又はインプレッションを走査することによって提供される。
いくつかの実施態様では、3D走査は、レーザー光走査、白色光走査、プローブ走査、X線走査、及び/又はCT走査によって実施される。
いくつかの実施態様では、デジタル3D表示は歯肉の少なくとも一部を含む。
デジタル3D表示はポイントクラウド、サーフェス(ファセット/メッシュ)、又はボリュメトリックであり得る。ファセット/メッシュ・モデルがポイントクラウドよりも好ましいことがあるが、しかし例えばトライアンギュレーションによってポイントクラウドからファセット/メッシュ・モデルを生成することもできる。ボリュメトリック・モデルは、透過性放射線を適用するスキャナ、例えばCTスキャナを用いて得ることができる。
調製前の歯集合の歯において何らかの初期調製が実施されていてよい。この方法は例えば、患者の歯集合を調製するための反復手順における1つのステップであってよく、この場合、調製前の歯集合における歯の形状は、前の処置ステップにおける初期調製の状態に対して施された歯の走査の際に見られる中間形状であってよい。
いくつかの実施態様では、調製前の歯集合は、いずれかの調製の前の患者の歯集合に相当する。
歯集合は患者の全ての歯、又は患者の歯の一部を含んでよい。
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示は、調製済の歯を含む調製済領域を走査し、そして調製済領域の走査から得られたデジタル3D表示と、調製前の歯集合の、前に得られたデジタル3D表示とを合体させることによって得られる。このことの利点は、調製済の歯集合を走査するときにフル走査が必要とされないので時間を節約できることである。調製済領域に相当する調製前の歯集合のデジタル3D表示部分は、消去するか、又は調製済の歯集合から区別可能にして、事実上この部分が調製済領域のデジタル3D表示と置き換えられるようになっていてよい。
いくつかの実施態様の場合、歯科調製ガイドを生成するときに歯科修復物に関連する1以上のパラメータを考慮に入れる。この1以上のパラメータは、修復物の壁の最小厚、修復物の材料、歯を調製するためのドリルのアクセス、又は歯科修復物の挿入方向から選択されてよい。
いくつかの実施態様の場合、歯の調製を妥当性確認するために使用される仮想歯科調製ガイドは、本発明による歯科調製ガイドを生成する方法を用いて生成される。
歯科調製状態の妥当性確認は、調製済の歯が、前記歯科修復物を実現して調製済の歯のところにこれを挿入できるような形状を有していることを確認することを含んでよい。妥当性確認は、歯科修復物に関連する1以上のパラメータに基づいてよい。
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想調製ガイド面に従って歯を調製することを妥当性確認することを含む。
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示は、口腔内スキャナで患者の口腔内を走査することによって得られる。この際に調製済の歯集合のデジタル3D表示は仮想歯科調製ガイドと一緒に視覚化されてよく、例えば患者がまだ歯科用チェアに座っている間に仮想調製ガイド面と一緒に視覚化されてよい。
その利点は、調製処置と同時に口腔内スキャナを使用して、歯科医が歯調製状態を妥当性確認し得ることである。歯科医は、歯を調製しつつある領域を走査することができる。この領域をこうして走査することによって得られた領域のデジタル3D表示と、仮想歯科調製ガイドとを比較することによって、歯科医は歯物質を十分に切除しているか否か、又はより多くの物質を切除する必要があるか否か、そして歯上のどこで物質を除去するべきかを見ることができる。このような口腔内走査による妥当性確認処置は、物理的調製ガイドを用いることの代わりに、且つ/又はこれに加えて行うことができる。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドが歯に配置されたときにドリルが歯に接近して係合できるように、歯科調製ガイドは設計される。ドリルの直径はこの特定修復部分における所期修復物厚に相当して、例えば2mmの歯物質を除去するべき歯区域内では、歯科調製ガイドが2mmドリルのための空間を形成するようになっている。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、歯の調製の際に歯科医又は歯科調製機械をガイドするように構成される。
所定の歯、例えば臼歯の場合、舌側、頬/唇側の面、及び/又は咬合面における歯物質を除去する結果、歯の咬頭にエッジがもたらされることがある。
所定の修復物材料、例えばセラミックの場合、シャープなエッジを回避することが好ましい。いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドの妥当性確認面は、調製済の歯の表面がこのようなシャープなエッジを有さないように構成されている。このことは、例えば調製済の歯の舌側の面と咬合面との間の推移を平滑化することによって達成することができる。
いくつかの実施態様では、歯の調製状態を妥当性確認する方法は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と仮想妥当性確認面又は仮想歯科調製ガイドとの間の距離を、歯面上の1以上の選択個所で割り出すことを含む。ここでは、距離を測定するときには、歯科調製ガイドが仮想的又は物理的に歯に配置されることが考えられる。すなわちこの距離は、歯調製ガイドが歯に関連した目標位置に配置されるときに割り出すことができる。
いくつかの実施態様では、この方法は最小距離を割り出すことを含む。歯科調製ガイドと調製済の歯面との間の測定距離はこの最小距離を下回ってはならない。最小距離は歯面全体にわたって変化して、歯肉の近くよりも咬合面の近くで大きくなるようになっていてよい。最小距離は、歯科修復物材料、及び審美的外観、例えば要求された歯の色の変化に依存してよい。
この距離は仮想妥当性確認面がデジタル3D表示よりも歯の中心に近いときにポジティブと呼ばれる。この場合、歯(この歯部分)の更なる調製が必要となることがある。
この距離はデジタル3D表示が仮想妥当性確認面よりも歯の中心に近いときにネガティブと呼ばれる。この場合、歯(この歯部分)の更なる調製は必要とならない。
この距離は、歯面上の特定位置で割り出すことができる。極めて多くの場合、距離は妥当性確認面全体にわたって変化する。距離は例えば妥当性確認面のいくつかの部分でポジティブであり、他の部分でネガティブであってよい。
いくつかの実施態様では、歯の調製を妥当性確認する方法は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と仮想妥当性確認面又は仮想歯科調製ガイドとの間の距離を、歯科調製ガイドの目標位置内への挿入方向に沿った仮想的な移動中に割り出すことを含む。
いくつかの実施態様では、この距離は歯科調製ガイドの目標位置内への挿入方向に沿った仮想的な移動中に得られた(妥当性確認面の特定部分における)最小値として割り出される。
このことの利点は、歯科調製ガイドに従って歯を調製したときに、歯科修復物を調製済の歯上へ挿入方向に沿って挿入できることが保証されることである。
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想歯科調製ガイドを視覚化することは、色コード化を用いることを含む。
色コード化の利点は、例えばスクリーンのような視覚的ディスプレイ・ユニットを使用することにより、歯の調製状態の現時点での妥当性を容易に視覚的検査できるようになることである。
いくつかの実施態様では、歯の調製状態を妥当性確認する方法は、歯面上の前記1以上の選択個所のうちの少なくともいくつかの個所での距離を視覚化すること、例えば距離色コード化を用いて距離を視覚化すること、又はミリメートルで測定された距離を表す数値を用いて距離を示すことによって距離を視覚化することを含む。
距離色コード化、例えば、歯が更なる調製を必要とするようなポジティブ距離を赤色が示すのに対して、更なる処理が必要でないネガティブ距離状態を青色が示す距離色コード化において、種々異なる色範囲を用いることができる。
色コード化は、調製済の歯に相当する調製済の歯集合のデジタル3D表示部分を識別し、他のデジタル3D表示部分とは異なる色でこの部分を提示することによって、色コード化を実現することができる。他の部分を例えばグレー又は褐色を帯びた色で視覚化してもよく、これに対して調製済の歯は、仮想調製ガイド面からの距離に応じて、クリア色、例えば青色又は赤色で視覚化することができる。
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に行われる仮想調製ガイド面の視覚化は、仮想調製ガイド面と、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示内の歯の形状との差異を示す差異マップを含む。差異マップは差異色コーディングを用いて差異を視覚化してよい。
例えば差異マップ及び差異カラーコード化を用いることの利点は、どの部分が更なる調製を必要とするかを歯科医が視覚化からすぐに見ることができることである。
いくつかの実施態様では、この方法は仮想歯科調製ガイドの視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることを含み、この場合、調製済の歯集合のデジタル3D表示と関連して仮想調製ガイド面を視覚化することが、調製済の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間で変化させることを含む。視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることによって、歯科医は、調製済の歯のどの部分が更なる調製を必要とするかを容易に判断することができる。
いくつかの実施態様では、この方法は仮想歯科調製ガイドの視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることを含み、この場合、調製前の歯集合のデジタル3D表示と関連して仮想調製ガイド面を視覚化することが、調製前の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間で変化させることを含む。視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることによって、歯科医は、調製前の歯のどの部分を調製処置に際して除去しなければならないか、そして歯物質の除去を開始する前でさえ、種々異なる歯部分においてどれほどの量の物質を除去しなければならないかを容易に判断することができる。
いくつかの実施態様では、この方法は仮想目標歯科修復物の視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることを含み、この場合、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示と関連して仮想目標歯科修復物を視覚化することが、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想目標歯科修復物との組み合わせで視覚化することとの間で変化させることを含む。このことは、例えば歯の審美的外観に関して患者の歯集合のためにどれほど良好に仮想目標歯科修復物が設計されているかを歯科医に示す。
いくつかの実施態様では、視覚化は、仮想調製ガイド面又は仮想歯科調製ガイド又は仮想妥当性確認面を、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示上にオーバーレイすることを含む。
いくつかの実施態様では、視覚化は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想最小調製状態を視覚化することを含む。このことは調製される歯が仮想最小調製状態からどれほどかけ離れているか、ひいてはどれほどの量の歯物質を種々異なる歯部分で除去しなければならないかを、歯科医に示す。
いくつかの実施態様では、仮想歯科調製ガイドは深さマップを含む。深さマップは、歯科調製ガイドに従って受け入れることができる調製済の歯の形状を提供するために、どれほどの量の歯物質を種々異なる歯部分で除去しなければならないかを示す。深さマップは、深さ色コード化を利用して、どれほどの量の歯物質を除去しなければならないかを視覚化してよい。このような深さマップを使用することの利点は、これが、どれほどの量の歯物質を種々異なる歯部分で除去しなければならないかを歯科医に直接に示すことである。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドを使用する方法は、仮想歯科調製ガイドと、前記調製済の歯集合のデジタル3D表示とを整列させることを含む。
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面は、仮想目標歯科修復物の形状に従って生成され、生成後には残留歯集合のデジタル3D表示と結合される。
いくつかの実施態様では、仮想目標歯科修復物は残留歯集合のデジタル3D表示と結合され、続いて仮想妥当性確認面は仮想目標歯科修復物に基づいて成形される。
仮想歯科調製ガイドが歯集合のデジタル3D表示に対する目標位置に配置されるとき、歯の調製が不十分な場合には、歯集合のデジタル3D表示の歯部分は仮想妥当性確認面内に貫入することがある。デジタル3D表示の歯部分も、歯の調製が不十分な場合には、挿入方向に沿った仮想移動中に仮想妥当性確認面内に貫入することがある。
処置中に、仮想歯科調製ガイドを調節することができる。少なくとも1つの歯が調製されているか又は少なくとも部分的に調製されている歯集合の目下の形状から、仮想歯科調製ガイドを割り出すことができる。例えば目標歯科修復物の表面と現在の歯集合形状との差異は、どの程度の空間が歯科修復物のために提供されるかを定義する。この空間を評価して、歯科修復物のための余地があるか否かを割り出すことができる。この評価は歯のその都度のドリリング後に行うことができ、またこの評価は、調製済の歯の目下の形状と、ここに記載された仮想妥当性確認面とを比較することを含んでよい。
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、第1部分と第2部分とを含む2ピース・デバイスである。第1部分は一時的クラウンとして形成され、そして健常歯面と類似するように成形された外面と、仮想妥当性確認面に基づく形状を有する内面とを有するように設計される。第2部分は、第1部分の外面に係合するように構成された内面を有するように設計されて、2ピース歯科調製ガイドを形成するように第1部分と第2部分とを解離可能に結合し得るようになっている。第1部分と第2部分とが解離可能に結合されるので、歯の調製状態を妥当性確認するために歯科調製ガイドが歯科医によって使用された後、これらを係合解離することができる。この場合、第1部分は調製済の歯に固定して、最終修復物が製造されるまで一時的修復物として機能することができる。
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された、第1部分と第2部分とを含む2ピース歯科調製ガイドであって、前記歯科調製ガイドが:
− 第1部分は一時的クラウンとして形成され、健常歯面と類似するように成形された外面と、仮想妥当性確認面に基づく形状を有する内面とを有するように設計されており;そして
− 第2部分は、第1部分の外面に係合するように構成された内面を有するように設計されていて、第1部分と第2部分とが一緒に歯科調製ガイドを形成するように、第2部分が第1部分と解離可能に結合することができる、
2ピース歯科調製ガイドが開示される。
歯の調製状態を妥当性確認するために歯科医によって使用された後、2ピース歯科調製ガイドの第1部分と第2部分とを係合解離することができ、そして第1部分は調製済の歯に固定して、最終修復物が製造されるまで一時的修復物として機能することができる。この2ピース歯科調製ガイドの1つの利点は、調製済の歯に従って特定形状に成形された歯科調製ガイドの部分を再利用できること、そして歯が調製されたら一時的修復物が容易に利用可能であることである。従来技術の方法及び歯科調製ガイドの場合、歯科調製ガイド及び一時的クラウンの両方を製造しなければならない。
歯科修復物のために行われる歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法は:
a: 歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去することにより、残留歯集合を仮想的に形成すること;
b: 前記少なくとも1つの歯の歯科修復物の目標形状を表す目標歯科修復物を仮想的に提供し、そして目標歯科修復物に基づいて妥当性確認面を仮想的に生成すること;そして
c: 前記妥当性確認面と、前記残留歯集合の少なくとも一部とを組み合わせることにより、歯科調製ガイドを仮想的に生成すること
を含む、
歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法が:
a: 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得て、調製済の歯に相当するデジタル3D表示部分を識別すること;
b: 調製済の歯部分及び所要の最小歯科修復物厚から仮想最小修復面を生成すること;
c: 生成された仮想最小修復面と、得られた調製済の歯集合のデジタル3D表示とのオーバーラップを割り出すこと
を含む、歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
実施態様のうちのいずれかに基づく方法をデータ処理システムに実施させるためのプログラム・コード手段を含むコンピュータ・プログラム製品であって、前記プログラム・コード手段がデータ処理システム上で実行される、コンピュータ・プログラム製品が開示される。
いくつかの実施態様では、コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード手段が記憶されているコンピュータ可読媒体を含む。
コンピュータ・プログラムが記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体であって、実施態様のうちのいずれかに基づく方法を実施することによって、歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドをコンピュータの支援によって生成させるように、前記コンピュータ・プログラムが構成されている、非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。
歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するシステムであって、前記システムが:
・ 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得るように構成されたスキャナと;
・ 歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供する手段と;
・ 調製前の歯集合の前記デジタル3D表示から、且つ/又は前記仮想目標歯科修復物から歯科調製ガイドを生成する手段と
を含み、歯科調製ガイドに従って歯を調製することによって、歯科修復物を実現することができ、そして調製済の歯のところにこれを挿入することができることが保証されることを可能にするように、歯科調製ガイドが構成されている、
歯科調製ガイドを生成するシステムが開示される。
いくつかの実施態様では、生成手段は、1以上のコンピュータ命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記コンピュータ命令が、本発明による方法を実施するための命令を含む。
歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するシステムであって、前記システムが:
・ 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得るように構成されたスキャナと、
・ 調製済の歯集合の前記デジタル3D表示及び/又は仮想目標歯科修復物から歯科調製ガイドを生成するように構成されたデータ処理デバイスとを含み、歯科調製ガイドに従って歯を調製することによって、歯科修復物を実現することができ、そして調製済の歯のところにこれを挿入することができることが保証されることを可能にするように、歯科調製ガイドが構成され、そして前記仮想目標歯科修復物が歯科修復物の目標形状を表し、
データ処理デバイスは、1以上のコンピュータ命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記コンピュータ命令が、本発明による方法を実施するための命令を含む、
歯科調製ガイドを生成するシステムが開示される。
生成される歯科調製ガイドは仮想歯科調製ガイドであってよく、仮想歯科調製ガイドは、仮想環境中で歯の調製状態を直接に妥当性確認するために使用することができ、且つ/又は、物理的歯科調製ガイドを製造するために使用することができる。
調製済の歯が歯科修復物を受け入れることができるか否かを割り出すために、調製済の歯集合内の少なくとも1つの歯の調製を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
− 歯の調製状態を妥当性確認するように構成された物理的歯科調製ガイドを得ること;
− 患者の調製済の歯集合に対して歯科調製ガイドを配置すること;
− 物理的歯科調製ガイドと調製済の歯集合との物理的相互作用から、調製済の歯が歯科修復物を受け入れることができるように成形されているか否かを妥当性確認すること
を含む、妥当性確認する方法が開示される。
いくつかの実施態様では、物理的な歯科調製ガイドは、本発明による仮想歯科調製ガイドから製造される。
調製済の歯が仮想目標歯科修復物の歯科修復物を受け入れることができるか否かを割り出すために、調製済の歯集合内の歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
a: 歯集合の仮想目標歯科修復物を得ること;
b: 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;
c: 調製済の歯集合の調製済の歯が歯科修復物を受け入れることができるように成形されているか否かを妥当性確認すること
を含む、妥当性確認する方法。
いくつかの実施態様では、妥当性確認は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒と一緒に仮想目標歯科修復物を視覚化することを含んで、前記視覚化に基づいて行い得るようになっている。
仮想目標歯科修復物は歯集合の仮想診断ワックスアップを含んでよい。
歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法は:
− 歯の調製を妥当性確認するように構成された仮想歯科調製ガイドを得ること;
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;そして
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想歯科調製ガイドを視覚化すること
ことを含む、妥当性確認する方法が開示される。
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するユーザーインターフェイスであって、ユーザーインターフェイスは:
a:調製前の歯集合のデジタル3D表示を得;
b:残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去し;
c:歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供し;
d:歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、仮想目標歯科修復物に基づいて生成し;そして
e:仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成する
ように構成された、ユーザーインターフェイスが開示される。
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するユーザーインターフェイスであって、ユーザーインターフェイスは:
− 残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、得られた調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去し;
− 歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、歯科修復物目標形状を表す提供された仮想目標歯科修復物に基づいて生成し;そして
− 仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成する
ように構成されている、ユーザーインターフェイスが開示される。
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、得られた調製前の歯集合のデジタル3D表示、及び生成された仮想調製ガイド面を視覚化するように構成されている。
視覚化は、視覚化項目の少なくとも1つが他の視覚化項目のうちの少なくとも1つの前に視覚化されるように順次に実施することができる。生成された仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とがユーザーインターフェイスの1つの部分において視覚化され、そして調製前の歯集合のデジタル3D表示が別の部分において視覚化される場合のように、数多くの視覚化項目を同時に視覚化することもできる。
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、コンピュータ・スクリーンを使用して操作者に対して視覚化されるように、そして操作者が、コンピュータ・キーボード又はコンピュータ・マウスによって、ユーザーインターフェイスにデータを入力してユーザーインターフェイスに提示された選択肢から選択するのを可能にするように構成されている。
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想調製ガイド面を視覚化するように構成されており、そしてユーザーインターフェイスは作動時に、調製済の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間でトグル切り換えするための仮想トグル・ツールを含む。
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、調製前の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想調製ガイド面を視覚化するように構成されており、そしてユーザーインターフェイスは作動時に、調製前の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間でトグル切り換えするための仮想トグル・ツールを含む。
ユーザーインターフェイスはコンピュータ・システムを使用して実行することができる。ここでユーザーインターフェイスは、ユーザーインターフェイスの種々異なる成分、例えば本発明の実施態様に基づく方法の1以上のステップを実施するように構成されたデータ入力フィールド及び仮想押しボタンを示すコンピュータ・スクリーンを使用して視覚化される。データ入力手段、例えばコンピュータ・マウス及びコンピュータ・キーボードはコンピュータ・システムに接続し、そしてユーザーインターフェイス内へデータを入力するため、そして例えばコンピュータ・マウスを使用して前記仮想押しボタンを押すことによって選択を行うために使用することができる。
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、操作者が本発明の実施態様に基づく方法を実施するのを可能にするように構成されている。下記ステップ、すなわち、調製前の歯集合のデジタル3D表示を得て、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去することにより残留歯集合のデジタル3D表示を形成するステップ、歯科修復物の目標形状を歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供するステップと、仮想目標歯科修復物に基づいて歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を生成するステップ、及び仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることにより仮想調製ガイド面を生成するステップのうちの少なくとも1つを、前記ユーザーインターフェイスを使用して操作者によって実施し得ることが好ましい。いくつかの実施態様では、この方法のステップは順次に実施され、またユーザーインターフェイスは、これらのステップの視覚的提示を操作者に順次に提供するように構成して、ユーザーインターフェイスのシーケンスがこの方法のシーケンスに一致するようにすることができる。いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスはこれらのステップのうちの2つ又は3つ以上の視覚的提示を操作者に同時に提供するように構成される。
本発明は、上記及び下記の方法、使用、及びシステム、並びに、対応する方法、使用、及びシステムを含む種々異なる態様に関し、これらはそれぞれ、最初に述べた態様に関連して説明された利益及び利点のうちの1以上をもたらし、またそれぞれ、最初に述べた態様に関連して説明され、且つ/又は添付の請求項において開示された実施態様に対応する1以上の実施態様を有する。
添付の図面を参照しながら本発明の実施態様を下記に例示的且つ非制限的に詳述することによって、本発明の上記の及び/又は付加的な目的、特徴、及び利点をさらに明らかにする。
図1は、歯科調製ガイドを生成する方法の実施態様を示すフローチャートである。 図2は、仮想歯科調製ガイドを生成し、これを使用して歯の調製状態を妥当性確認するフローチャートの一例を示す。 図3は、患者の一方の顎内の歯を示す概略図、及び仮想調製ガイド面の生成に関与する表面のいくつかに関連する断面図である。 図4は、残留歯集合のデジタル3D表示と仮想妥当性確認面とがどのように結合され得るかの一例を示す図である。 図5は、仮想調製ガイド面の一例を示す図である。 図6は、仮想調製ガイド面から歯科調製ガイドを製造する経路を示す図である。 図7は、仮想調製ガイド面から歯科調製ガイドを製造する経路を示す図である。 図8は、挿入方向を考慮に入れるのが好ましい状況を示す図である。 図9は、歯科調製ガイドを設計するときに挿入方向をどのように考慮に入れることができるかを示す図である。 図10は、歯の仮想的な除去が、残留歯集合のデジタル3D表示内の仮想穴を導入するスクリーンショットを示している。 図11は、仮想調製ガイド面を形成するための本発明の実施態様の一例を示す図である。 図12は、歯科調製ガイドを生成するためのコンピュータ・デバイスをブロック・ダイヤグラムで示す。 図13は、本発明の1実施態様に基づくユーザーインターフェイスを示す概略図である。 図14は、歯科調製ガイドを生成する方法の1実施態様を示すフローチャートである。 図15は、第1部分が一時的クラウンとして形成された2ピース・デバイスとして形成された歯科調製ガイドの一例を示す図である。 図16は、調製済の歯集合のデジタル3D表示及び歯科修復物の所要最小厚から生成された歯科調製ガイドの一例を示す図である。 図17は、歯の調製、及び歯の調製を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドの一例を示す図である。
下記説明では、本発明をどのように実施すればよいかを例示する添付の図面を参照する。
図1,2及び14のフローチャートにおいて、中央の縦の破線はワークフローを、物理的ユニットに関連するワークフロー部分(左側)と仮想ユニットに関連するワークフロー部分(右側)とに分けている。
図17は、歯の調製、及び歯の調製を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドの一例を示す図である。
図17aは、調製前の歯集合の1区分1794、すなわち、妥当性確認のために歯科調製ガイドが形成される対象となる歯集合の調製前状態の1区分1794を示している。この図面には、調製されるべき歯1795と隣接歯1796とが示されている。またこの図面には、歯科用ドリル1798も示されており、このドリルは、歯科修復物、例えばクラウン修復物を受け入れる歯1795を調製するために、歯物質を除去する用意が整っている。
図17bは調製済の歯1791、すなわち、歯の少なくともある程度の調製が行われた後の歯集合を示している。歯1783は今やサイズが低減されて、元の歯1795と同様のサイズ及び形状を有する歯科修復物を調製済の歯上に配置することができるようになっている。図示の事例では、隣接歯は調製されない。
図17cは、歯の調製状態を妥当性確認するために配置された生成済の歯科調製ガイド1799を示す。ここでは歯科調製ガイド1799は、隣接歯1796上に載置されるように設計されている。図示の状況では、当該歯は調製されていて、調製済の歯1783と衝突することなしに歯科調製ガイド1799が調製歯1783及び隣接歯1976に配置されるのを可能にする形状を有している。この際に歯科医は、歯の調製状態が完全であること、そして調製済の歯が歯科修復物を受け入れる準備が整っていることを結論づけることができる。調製済の歯と衝突することに起因して、歯科調製ガイド1799を両隣接歯と接触した状態で配置することができない場合には、更なる処理が必要になる。
図14は、歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するための歯科調製ガイドを生成する方法のフローチャート1400を示している。
ステップ1401aにおいて、例えば歯集合を直接に口腔内走査することにより、又は調製前の歯集合の物理的モデル又はインプレッションを走査することによって、調製前の歯集合のデジタル3D表示を得る。
ステップ1401bにおいて、歯科調製ガイドが生成される対象となる歯に相当するこのデジタル3D表示部分を仮想的に除去して、残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるようにする。
ステップ1403において、仮想目標歯科修復物を生成する。仮想目標歯科修復物は、歯集合に対応する仮想診断ワックスアップに基づいて生成することができる。仮想診断ワックスアップは、仮想目標歯科修復物の目標形状を表す。
ステップ1404において、仮想妥当性確認面を仮想目標歯科修復物に基づいて生成し、そしてステップ1405において、仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面とを結合することによって、仮想調製ガイド面を生成する。
図1は、歯の調製を妥当性確認するための物理的歯科調製ガイドを生成する方法の実施態様のフローチャート100を示している。
ステップ101aにおいて、例えば歯集合を直接に口腔内走査することにより、又は調製前の歯集合の物理的モデル又はインプレッションを走査することによって、調製前の歯集合のデジタル3D表示を得る。
ステップ101bにおいて、歯科調製ガイドが生成される対象となる歯に相当するこのデジタル3D表示部分を仮想的に除去して、残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるようにする。
ステップ102において、歯集合の仮想診断ワックスアップを、歯科修復物の目標形状を表すように設計する。仮想診断ワックスアップは、個々の歯の形状、歯の色、及び/又は歯の相対配列に関連し得る1以上の審美的パラメータに基づく。歯科修復の材料は、例えば患者の選択又は実際の歯科的事項、例えば修復されるべき歯のサイズ及び形状に基づいて決定することができる。さらに、歯科医が歯の所要調製ステップを実施し、調製済の歯に歯科修復物を挿入するのに十分な空間がなければならない。修復材料の最小厚はまた、所期の色変化にも依存する。大幅な変化のためにはより大きい厚さが必要となる場合がある。
ステップ103において、設計された仮想診断ワックスアップに基づいて仮想目標歯科修復物を生成し、そしてステップ104において、仮想目標歯科修復物に基づいて仮想妥当性確認面を生成する。
ステップ105において、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面とを結合することによって、仮想調製ガイド面を生成する。
ステップ106において、仮想調製ガイド面の少なくとも選択部分をシェリングして、仮想歯科調製ガイドが選択部分内にインナ・シェル面とアウタ・シェル面とを含むようにする。
いくつかの事例では、アウタ・シェル面を生成済の仮想調製ガイド面に従って成形し、そしてシェリングを用いてアウタ・シェル面から、すなわち仮想調製ガイド面からインナ・シェル面を定義することができる。このような場合、ステップ107において、シェリングされた仮想調製ガイド面から、直接デジタル製造によって中間物理的モデルを製造することができる。ステップ108において、前記中間物理的モデルを使用して歯科調製ガイドの材料を成形することによって歯科調製ガイドを製造する。歯科調製ガイドの材料は、前記中間物理的モデル上へこれを真空形成することによって成形することができる。
いくつかの事例において、インナ・シェル面を仮想調製ガイド面に従って成形し、そしてシェリングを用いてインナ・シェル面から、すなわち仮想調製ガイド面からアウタ・シェル面を定義することができる。このような場合、ステップ109において、シェリングされた仮想調製ガイド面から、例えば3Dプリントによって物理的歯科調製ガイドを製造する。
図2は、仮想歯科調製ガイドを生成し、これを使用して歯の調製状態を妥当性確認するフローチャートの一例を示す。このフローチャートは、仮想歯科調製ガイドの生成に関与する部分210と、歯の調製状態を妥当性確認するために生成済の仮想歯科調製ガイドを使用するための部分211とを含む。
ステップ2011において、調製前の歯集合のデジタル3D表示を、歯の直接口腔内走査によって得る。この場合ステップ212において、例えば図1に関連して説明したステップ102〜106、又は図14に関連して説明したステップ1401a〜1404を用いて、仮想歯科調製ガイドを生成する。
歯物質を研削除去することによって修復物のために歯を調製する。その結果の患者の歯集合を調製済歯集合と呼ぶ。
ステップ2012において、口腔内スキャナを用いて、少なくとも調製済の歯が位置する調製済の歯集合領域を走査することによって、調製済の歯集合のデジタル3D表示を得る。
ステップ214において、調製済の歯集合のデジタル3D表示と、仮想歯科調製ガイドとを視覚的ディスプレイ・ユニット上、例えばコンピュータ・スクリーン上に一緒に整列させて視覚化する。
整列させられた調製済の歯集合のデジタル3D表示と仮想歯科調製ガイドとに基づいて、ステップ215において、歯調製状態を妥当性確認することによって更なる調製が必要となるか否かを見極める。
更なる調製が必要となる場合には、歯科医はステップ213において調製を続行する。次いで新たな口腔内走査2012、整列214、及び妥当性確認215を実施し、このループは、更なる歯調製が必要でなくなり、歯科医が後続の歯科処置部分に進むことを選択するまで続く。
口腔内スキャナは、フォーカス・スキャニングを利用するように構成されてよい。ここでは、走査された歯のデジタル3D表示は種々異なる焦点深度で取得された焦点画像から再構成される。フォーカス・スキャニング技術は、プローブ光を生成し、このプローブ光を歯集合に向かって透過させて歯集合の少なくとも一部が照射されるようにすることにより実施することができる。歯集合から戻った光はカメラに向かって透過させられ、光学系によってカメラ内の画像センサ上に画像化される。画像センサはセンサ素子アレイを含む。歯集合に対する焦点面の位置は、集束光学系によって変化させられる一方、前記センサ素子アレイから画像が得られる。画像に基づいて、複数のセンサ素子のそれぞれ、又は複数のセンサ素子群のそれぞれの焦点位置を、一連の焦点面位置に対して割り出すことができる。
焦点位置は例えば、種々の焦点面に対して複数のセンサ素子のそれぞれ、又は複数のセンサ素子群のそれぞれに対する光振動振幅を割り出すことにより計算することができる。焦点位置から、歯集合のデジタル3D表示を導き出すことができる。
歯科調製ガイドの生成及び使用は歯の調製と並行して行われてよく、従ってこれは患者の治療の一部ではなく、ガイドを生成し歯の調製を妥当性確認するためにガイドを使用する方法であり得る。
上記に関連して、この方法は1つの歯の調製を評価することに関連して記載されている。しかしこの方法は明らかに複数の歯の調製を同時に評価するのにも適している。
図3aは、患者の一方の顎内の歯を示す概略図、及び調製されるべき歯の断面図である。
歯集合300は、例えばクラウンのような歯科修復物を必要とする不健全な歯316aを有する。従って歯は、クラウンを受け入れ得るように調製されなければならない。断面が得られる平面は、歯を横切るA−B線、及び歯集合の咬合面に対する法線によって定義される。すなわちこの平面は咬合面に対して垂直である。
図3b〜9,11及び15〜17は、歯及び歯科調製ガイドの断面を、図3aにおいて定義された平面内で見られる状態で示している。
図3bは、仮想調製ガイド面の生成に関与する表面のうちのいくつかに関連する断面図である。
調製前の歯集合のデジタル3D表示の歯部分316bを、3D区分化スプライン317によって割り出された境界で仮想的に除去する。歯を仮想的に除去すると、残留歯集合318のデジタル3D表示内に仮想穴が導入される。
この例では、仮想目標歯科修復物は、例えば患者の審美的好みに従って設計された仮想診断ワックスアップ319に基づいている。
仮想妥当性確認面320は仮想最小調製面に基づいている。仮想最小調製面は、仮想診断ワックスアップ319を内方へ向かってオフセットすることによって、そして仮想妥当性確認面がこの歯部分の歯面に追従するのを可能にするために歯部分316bを超えて延びるオフセット面の一部を歯部分上に押し付けることによって定義される。仮想調製ライン321も図示されている。
仮想妥当性確認面320が最小調製面によって表されているので、仮想調製ガイド面は、残留歯集合318のデジタル3D表示と、仮想最小調製面とを結合することにより生成することができる。
図4は、残留歯集合のデジタル3D表示と仮想妥当性確認面とがどのように結合され得るかの一例を示す図である。
図3に見られる3D区分化スプラインに基づいて、3D残留歯スプライン4171が割り出される。仮想最小調製面に基づく仮想妥当性確認面420が、調製前の歯集合のデジタル3D表示の対応部分よりも小さいので、仮想妥当性確認面420と、残留歯集合のデジタル3D表示418との間には穴が存在する。
仮想妥当性確認面420と、残留歯集合のデジタル3D表示418とを結合することによって、仮想調製ガイド面を生成する。これらの面は、3D残留歯スプライン4171から3D妥当性確認面スプライン423まで延びる結合面422を生成することにより結合される。ここでは、3D妥当性確認面スプライン423は仮想調製ライン421の上方に配置されているが、しかしこれは原則的には仮想妥当性確認面上の任意の場所、例えば実質的に仮想調製ライン421に沿って配置することができる。
結合面422はロフティング法で生成することができる。
調製前の歯集合のデジタル3D表示に関連して定義された3D区分化スプラインを修正することによって、3D残留歯スプライン4171を割り出すことができる。いくつかの実施態様では、この修正は、仮想目標歯科修復物の仮想的に除去された歯の表面に関連して3D区分化スプラインを視覚化することにより支援される。仮想的に除去された歯に関連して視覚化されたときには、仮想的に除去された歯におけるいずれの隣接歯間穴も、例えば曲率に基づくアルゴリズムを用いて予め閉じられていてよい。
水密な仮想調製ガイド面を提供するために、更なる穴閉鎖が必要となることがある。このことは、曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて実施されてよい。
図5は仮想調製ガイド面の一例を示している。この図に示された仮想調製ガイド面524は、図4に見られる仮想妥当性確認面、結合面、及び残留歯集合のデジタル3D表示から生成される。仮想調製ガイド面524はここでは調製済の歯集合のデジタル3D表示525と整列させられる。
図4には仮想調製ラインの上方に3D妥当性確認面スプラインが位置していることにより、調製ラインにはセーフティ・ゾーン526が提供され、歯科医にある程度の操作の余地を許すことにより、例えば歯科処置中に調製ラインの実際位置を調節するのを可能にする。
図6は、仮想調製ガイド面から歯科調製ガイドを製造する1つの経路を示す図である。この実施態様において、物理的歯科調製ガイドは仮想歯科調製ガイドから直接に製造される。
インナ・シェル面を表す仮想調製ガイド面624を外方へ向かってオフセットすることにより、アウタ・シェル面627を提供する。シェリングされた仮想調製ガイド面に基づいて、直接デジタル製造、例えば3Dプリントを用いて物理的歯科調製ガイド628を製造することができる。歯集合に面した歯科調製ガイド面は、仮想調製ガイド面に従って成形される。
本発明との関連において、「表面を外方へ向かってオフセットする」という表現は、歯科調製ガイドが患者の歯に関連して配置されたときに歯の位置から離れる方向へ表面をオフセットすることに相当する。
図7は、歯科調製ガイドを仮想調製ガイド面から製造するための1つの経路を示している。この実施態様では、物理的歯科調製ガイドは、仮想歯科調製ガイドに基づいて形成された中間物理的モデルを介して製造される。
アウタ・シェル面を表す仮想調製ガイド面724を内方へ向かってオフセットすることにより、インナ・シェル面729を提供する。シェリングされた仮想調製ガイド面に基づいて、直接デジタル製造、例えば3Dプリントを用いて中間物理的モデル730を製造することができる。本発明との関連において、「表面を内方へ向かってオフセットする」という表現は、歯科調製ガイドが患者の歯に関連して配置されたときに歯の位置に向かう方向へ表面をオフセットすることに相当する。
次いで、例えば中間物理的モデル730上へ材料731を真空形成することによって、中間物理的モデル730に従って歯科調製ガイド材料731を成形する。次いで、歯科調製ガイド材料731を中間モデル730から分離することにより、物理的歯科調製ガイド728を提供する。ここで歯集合に面する表面は仮想調製ガイド面に従って成形される。
図8は、歯科調製ガイドを生成するために、挿入方向を考慮に入れるのが好ましい状況を示す図である。歯科調製ガイドの生成に際しては、歯科修復物が患者の歯集合に関連して配置されるときに所定の経路に沿って移動することも考慮に入れる。
調製済の歯集合834に対する目標位置に向かって、挿入方向833によって決定された経路に沿って、歯科修復物832を動かす。歯科修復物832の内面835は、修復済の歯集合の対応部分と一致する。
線836は、挿入方向833によって決定された経路に沿って歯科修復物を動かすときの、歯科修復物の辺縁ライン837の軌跡である。これらのラインのうちの一方は調製済の歯集合834を通過する。このことは、領域838が除去されるのでなければ、調製済の歯集合834と歯科修復物の頸部とが衝突することによって、歯科修復832が目標位置内に配置されるのが妨げられる。すなわち、仮想調製ガイド面に従って歯を調製すれば、いかなる衝突もなしに歯科修復物832を目標位置内に動かし得ることを保証するように、仮想調製ガイド面を成形することができる。
図9は、歯科調製ガイドを設計するときに挿入方向をどのように考慮に入れることができるかを示す図である。挿入方向を補償するために歯科修復物をトリミングするアプローチを用いる代わりに、歯科調製ガイドをトリミングする。
図9aは、仮想調製ライン921を通過するように配置された経路9361のうちの一方によって交差される仮想妥当性確認面920を示している。この場合、経路9361は、調製済の歯がテーパされるのを可能にするように、挿入方向933に対して5度の角度を成して配置される。図示の状況では、テーパが厳密に必要なのは、仮想妥当性確認面920を通過する経路だけである。
挿入方向933(そしてこの例ではテーパ角)を考慮に入れるために、仮想妥当性確認面920をトリミングして、交差部分面がこれと交差する経路と整列し、これにより歯科修復物の頸部の経路を遮断する領域を取り除くようにする。トリミング済の仮想妥当性確認面920は図9bに示されている。
トリミング済の仮想妥当性確認面920を次いで3D残留歯スプライン9171のところで残留歯集合のデジタル3D表示と結合することにより、例えば上記ロフティングを用いて仮想調製ガイド面を提供することができる。
図9cは、仮想妥当性確認面、ひいては仮想調製ガイド面を設計するときに挿入方向を考慮に入れた後の状況を示している。
今や、歯科修復物932は、調製済の歯集合934に対するその目標位置に向かって、挿入方向933によって決定された経路936に沿って移動させることができる。
経路936と、仮想妥当性確認面のトリミング済部分に相当する調製済の歯集合部分934との間には僅かな角度が見られる。これはテーパ角によるものである。
図10は、歯の仮想的な除去が、残留歯3D区分化スプライン1017のデジタル3D表示内の仮想穴を導入するスクリーンショットを示している。4つの歯を仮想的に除去できるように、調製前の歯集合1037のデジタル3D表示に関連して、残留歯3D区分化スプライン1017を定義する。3D区分化スプライン1017は、調製前の歯集合のデジタル3D表示の歯部分境界を抜き取ることによって自動的に定義することができる。
歯を仮想的に除去すると、残留歯集合のデジタル3D表示1018内に仮想穴が出現する。仮想穴は4つの仮想歯肉穴1038と、隣接歯に相当する残留歯集合のデジタル3D表示部分に位置する隣接歯間穴1039とを含む。この場合、それぞれの隣接歯間穴と隣接歯肉穴との間には境界は存在しない。
仮想穴は仮想置換面によって閉じることができ、或いは仮想歯肉面及び仮想隣接歯間面によって閉じることができる。
仮想置換面を使用して仮想穴を閉じる場合、3D残留歯スプラインの隣接歯間区分をこの仮想置換面に関連して定義することができる。3D残留歯スプラインは、仮想置換面の一部を仮想歯肉面と仮想隣接歯間面とに分割するように配置されてよい。
図11は、診断ワックスアップに基づく仮想妥当性確認面を有する仮想調製ガイド面をどのように生成し得るかを示している。
図11aでは、残留歯集合のデジタル3D表示1118内の仮想穴が3D残留歯スプライン11171によって仕切られている。3D残留歯スプラインは、3D区分化スプライン、例えば図10に示された3D区分化スプライン1017から割り出すことができる。
図11bにおいて、残留歯集合のデジタル3D表示1118内の仮想穴が閉じられるように、3D残留歯スプライン11171のところで残留歯集合のデジタル3D表示1118に仮想置換面1140を結合する。
図11cにおいて、仮想診断ワックスアップから定義された仮想目標歯科修復物1141は、残留歯集合のデジタル3D表示1118と整列させられて、仮想目標歯科修復物が仮想置換面に相当する部分によって交差されるようになっている。この場合、仮想妥当性確認面は、残留歯集合のデジタル3D表示1118の上方に配置された仮想目標歯科修復物1141の部分であると考えることができる。
この場合、仮想調製ガイド面1124は仮想目標歯科修復物1141及び残留歯集合のデジタル3D表示1118をブール加算することによって生成することができる。結果としての仮想調製ガイド面1124は図11dに見られる。
仮想置換面と残留歯集合のデジタル3D表示とを結合する代わりに、隣接歯間穴を仮想隣接歯間面によって少なくとも部分的に閉じる一方、歯肉穴は、歯肉穴の場所に配置されるのがクラウンであるかポンティックであるかに応じて、仮想歯調製面によって、又は仮想歯肉面によって閉じてもよい。この場合、仮想調製ガイド面は残留歯集合のデジタル3D表示1118及び仮想歯調製面又は仮想歯肉面をブール加算することによって生成することができる。仮想隣接歯間面と仮想歯調製面又は仮想歯肉面との間の境界は、3D残留歯スプラインを定義するために使用することができる。
図12は、本発明の1実施態様に基づく歯科調製ガイドを生成するためのシステムをブロック・ダイヤグラムで示す。システム1250は、コンピュータ可読媒体1252とプロセッサ1253とを含むコンピュータ・デバイス1251を含んでいる。システムはさらに、視覚的ディスプレイ・ユニット1256と、コンピュータ・キーボード1254と、データを入力して、視覚的ディスプレイ・ユニット1256上で視覚化された仮想ボタンを作動させるためのコンピュータ・マウス1255とを含んでいる。視覚的ディスプレイ・ユニット1256は例えばコンピュータ・スクリーンであり得る。コンピュータ・デバイス1251は、スキャナ装置1257、例えば3shape A/S製のTRIOS口腔内スキャナから患者の歯集合のデジタル3D表示を受信することができ、又はこのようなスキャナ装置から操作データを受信し、そしてこのような操作データに基づいて患者の歯集合のデジタル3D表示を形成することができる。デジタル3D表示は、調製前又は調製済の歯集合であってよい。受信又は形成されたデジタル3D表示はコンピュータ可読媒体1252内に記憶し、プロセッサ1253に提供することができる。プロセッサ1253は、残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去するように構成されている。このことは、例えば操作者がコンピュータ・マウスを使用して調製前の歯集合のデジタル3D表示上の該当位置をマークすることによって、調製前の歯集合のデジタル3D表示に関連して定義された3D区分化スプラインに基づいて行うことができる。歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を外部源から、又はコンピュータ可読媒体1252からプロセッサ1253へ提供することができる。プロセッサ1253はさらに、仮想目標歯科修復物に基づいて歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を生成するように構成されている。妥当性確認面は、歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認できるように形成される。そしてプロセッサ1253はさらに、仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成するように構成されている。仮想妥当性確認面及び/又は仮想調製ガイド面を生成している間、操作者に1以上の選択肢、例えば仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とをブール加算を用いて結合するべきか、又はロフティングによって結合面を生成することによって結合するべきかの選択肢を提示することができる。選択肢は視覚的ディスプレイ・ユニット1256上で視覚化されたユーザーインターフェイス内に提示することができる。
いくつかの事例において、プロセッサ1253はさらに、仮想調製ガイド面の少なくとも選択部分をシェリングして、仮想歯科調製ガイドがインナ・シェル面とアウタ・シェル面とを選択部分内に含むように構成されている。システムは、歯科調製ガイドを製造するために、又はそれから真空形成によって歯科調製ガイドを形成し得る中間物理的モデルを製造するために、シェリングされた仮想調製ガイド面を例えばコンピュータ支援型製造(CAM)装置1259に伝送するための、又は例えば歯科調製ガイド又は中間物理的モデルが製造されるミリング・センターに配置された別のコンピュータ・システムに伝送するためのユニット1258を有している。仮想3Dモデルを伝送するためのユニットは有線又は無線接続であってよい。
スキャナ装置1257を使用した患者の歯集合の走査は最も多くの場合、歯科医の診療室で行われる。歯科調製ガイドの設計及び製造は歯科医の診療室又は歯科ラボラトリーで実施することができる。後者の場合、患者の調製前の歯集合のデジタル3D表示は、歯科医と歯科ラボラトリーとのインターネット接続を介して提供することもできる。
図13は、本発明の1実施態様に基づくユーザーインターフェイスを示す概略図である。
図面は、ユーザーインターフェイス1370の第1部分1371を示している。ここには、歯科調製ガイドの設計に際して使用される種々異なる表面の断面図が可視化されている。図示の例では、仮想妥当性確認面、残留歯集合のデジタル3D表示、仮想調製ライン、3D残留歯スプライン、及び図4の3D妥当性確認面スプラインが第1部分内で見られる。
ユーザーインターフェイスの第2部分1372は、例えば仮想妥当性確認面がブール加算によって結合されるか、又はロフティング法によって生成された表面によって結合されるかに関連するデータを入力するためのデータ入力区分1374を含む。データ入力区分1374内に入力されたデータに基づいて仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることにより生成された仮想調製ガイド面を提供するように、仮想押しボタン1373が構成されている。
ユーザーインターフェイスは視覚的ディスプレイ・ユニット、例えば本発明による方法を実施するように構成されたシステムの部分であるコンピュータ・スクリーン上で視覚化することができる。ユーザーインターフェイスはまた、この方法における他のステップのうちの少なくともいくつかのステップ、例えば、残留歯集合のデジタル3D表示を形成するときに調製前の歯集合のデジタル3D表示から少なくとも1つの歯を仮想的に除去するステップを実施するように構成されている。これらのステップの場合、第2部分1372に提供された仮想押しボタン及びデータ入力区分は、仮想面を結合するときに提供されるものとは異なっていてよい。
図15は、第1部分が一時的クラウンとして形成された2ピース・デバイスとして形成された歯科調製ガイドの一例を示す図である。
図15aに示された2ピース歯科調製ガイド1580は第1部分1581と第2部分1582とを有している。第2部分1582は、第1部分1581の外面と係合するように構成された内面を有するように設計されており、第2部分1582は、第1部分と第2部分とが一緒に歯科調製ガイド1580を形成するように、第1部分1581と関連して配置することができる。2ピース歯科調製ガイド1580が患者の歯集合に関連して配置されると、第1部分1581の内面1581は調製済の歯1583に面し、そして第2部分は調製済の歯の歯肉1584と接触する。
図15bは、一時的クラウンとして形成された第1部分1581を示しており、この第1部分1581は健常歯面と類似するように成形された外面15812と、第1部分が歯の調製を妥当性確認できるように仮想妥当性確認面に基づく形状を有する内面15812とを有するように設計されている。
図15cは、内面15822a,15822b及び外面15821を有する第2部分1582を示している。内面は、歯科調製ガイドの第1部分の外面に係合するように構成された第1部15822aと、調製済の歯の歯肉と接触するように構成された第2部15822bとを有している。第1部15822aは、歯科調製ガイドの第1部分と第2部分とが合体して一貫したユニットとして取り扱うことができるのに対して、第2部15822bは、歯科調製ガイド1580を調製済の歯に対して正しく配置し得ることを保証する。
歯の調製状態を妥当性確認するために使用するときには、2ピース歯科調製ガイドは一貫した1つのユニットとして操作され、歯科修復物の第1部分1581の内面15812が妥当性確認のために使用される。歯科医が歯の調製状態に満足したときには、第1部分1581と第2部分1582とを係合解離し、第1部分1581を調製済の歯に一時的に固定して一時的クラウンとして機能させることができるのに対して、最終修復物は、例えば調製済の歯集合の走査に基づいて製造される。
図16は、調製済の歯集合のデジタル3D表示及び歯科修復物の所要最小厚から生成された歯科調製ガイドの一例を示す図である。
得られた調製済の歯集合のデジタル3D表示1691は、調製済の歯に相当する部分1683を含む。調製済の歯部分1683及び歯科修復物の所要最小厚に基づいて、仮想最小修復面1690が生成される。この表面は最小歯科調製面をマークする。最小歯科調製面は、例えば調製済の歯に現在の形状で配置されたときの歯科修復物の機械的安定性又は色に関連する要件を満たすように形成することができる。生成された仮想最小修復面1690と、得られた調製済の歯集合のデジタル3D表示との間のオーバラップ1692を割り出すことができ、歯科医はこのオーバラップが大きすぎるか否か、又は隣接歯の小さな部分を研削除去することによって、仮想最小修復面に従って製造された歯科修復物のために所要空間を提供し得るか否かを判断することができる。
オーバラップ1692は例えば色コード化によってユーザーインターフェイス内で視覚化することができる。赤色を使用して、調製済の歯集合のデジタル3D表示内のオーバラップ領域を識別する。歯科医が更なる処理が必要であると判断したら、より多くの歯物質を除去し、オーバラップが除去されるまで、又は僅かなサイズまで低減されるまでこのプロセスを繰り返す。
いくつかの実施態様を詳しく記述し示してきたが、本発明はこれらに制限されるものではなく、以下の請求項において定義された対象の範囲内で他の形式で具体化されてもよい。具体的には、他の実施態様が利用されてよく、また本発明の範囲を逸脱することなしに構造的及び機能的な改変を加えてもよいことは明らかである。
いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のうちのいくつかは同一のハードウェア品目によって具体化することができる。所定の手段が互いに異なる従属クレームに記載されるか又は種々異なる実施態様に記載されるという事実だけで、これらの手段の組み合わせを好都合に用いることができないことを示すことにはならない。
あるクレームが前記クレームのいずれかに言及する場合があり、「いずれか」とは前記クレームのうちのいずれか1以上を意味するものとする。
念のために述べておくならば、「含む(comprises/comprising)」という用語は、本明細書中に使用されるときには、述べられた特徴、整数、ステップ、又は構成部分の存在を特定するために採用されるが、しかし1以上の他の特徴、整数、ステップ、構成部分、又はこれらの群の存在又は付加を排除するものではない。
上記及び下記の方法の特徴は、ソフトウェアで実行され、そしてデータ処理システム又は他の処理手段上で実施され、コンピュータ実行型命令の実行によってもたらされてよい。命令は記憶媒体から、又はコンピュータ・ネットワークを介して別のコンピュータから、メモリー、例えばRAM内にローディングされたプログラム・コード手段であってよい。或いは、上記特徴は、ソフトウェアの代わりに、又はソフトウェアとの組み合わせで配線回路によって実施されてよい。

Claims (20)

  1. 歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、当該方法は、データ処理システム上でソフトウェアによって実行され、前記データ処理システムは、
    a:調製前の歯集合のデジタル3D表示を得ることと、
    b:残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、前記調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯の全体を仮想的に除去することと、
    c:前記歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供することと、
    d:歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、該歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、該仮想目標歯科修復物に基づいて生成することと、
    e:前記仮想妥当性確認面と、前記残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成することと、を実行する、方法。
  2. 前記データ処理システムは、前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去するときに前記残留歯集合のデジタル3D表示面に定義された仮想穴を少なくとも部分的に閉じるように構成された仮想置換面を生成することを実行する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記仮想置換面は、前記仮想穴の歯肉部を閉じるように構成された仮想歯肉面を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記仮想置換面は、前記仮想穴の隣接歯間部を閉じるように構成された仮想隣接歯間面を含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記データ処理システムは、前記残留歯集合のデジタル3D表示のうちの仮想置換面の部分を作製することを実行する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記データ処理システムは、仮想最小調製面を生成することを実行する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記歯の前記仮想最小調製面は、前記仮想目標歯科修復物から定義される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記仮想妥当性確認面は、前記仮想最小調製面に基づいている、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記仮想調製ガイド面は、前記仮想最小調製面と前記残留歯集合のデジタル3D表示とを仮想的に結合することによって生成される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記仮想調製ガイド面の少なくとも一部は、前記残留歯集合のデジタル3D表示及び前記仮想妥当性確認面をブール加算することによって生成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記データ処理システムは、前記仮想妥当性確認面と前記残留歯集合のデジタル3D表示とを結合するように構成された結合面を生成することを実行する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記データ処理システムは、前記仮想調製ガイド面から仮想歯科調製ガイドを生成することを実行する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記データ処理システムは、3Dプリンタ又はミリングシステムと協働して、直接デジタル製造によって前記仮想歯科調製ガイドから物理的歯科調製ガイドを製造することを含む前記方法を実行する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記物理的歯科調製ガイドを製造することは、
    前記仮想歯科調製ガイドから中間物理的モデルを製造することと、
    前記中間物理的モデルを使用して前記物理的歯科調製ガイドの材料を成形することと、を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記仮想歯科調製ガイドが、インナ・シェル面と、アウタ・シェル面と、を備える、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記アウタ・シェル面は、生成された前記仮想調製ガイド面の選択部分に従って成形され、前記インナ・シェル面は、前記仮想調製ガイド面の前記選択部分をコピーして内方へ向かってオフセットすることにより生成される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記インナ・シェル面は、生成された前記仮想調製ガイド面の選択部分に従って成形され、前記アウタ・シェル面は、前記仮想調製ガイド面の前記選択部分をコピーして外方へ向かってオフセットすることにより生成される、請求項15に記載の方法。
  18. 前記物理的歯科調製ガイドは、前記歯科修復物に関連する歯を含む前記歯集合の第1領域と、少なくとも1つの付加的な歯を含む前記歯集合の第2領域と、に関連して使用されるように構成されており、
    前記物理的歯科調製ガイドは、前記第2領域、前記歯集合に対して前記物理的歯科調製ガイドを正確に整列させるために使用されるように、構成されている、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 少なくとも1つのアパーチャが、製造された前記物理的歯科調製ガイドが患者の歯集合に関連して配置されるときに、当該アパーチャ前記物理的歯科調製ガイドの下の区域へのアクセスを可能とするように、前記仮想歯科調製ガイドに形成される、請求項12〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記歯科調製ガイドは、第1部分と第2部分とを含む2ピース・デバイスであり、
    前記歯科調整ガイドは、
    −該第1部分、一時的クラウンとして形成され、健常歯面と類似するように成形された外面と、前記仮想妥当性確認面に基づく形状を有する内面とを有するように設計され、
    −該第2部分、前記第1部分の外面に係合するように構成された内面を有するように設計され、前記第1部分と第2部分とは、2ピースの前記歯科調製ガイドを形成するように解離可能に結合され得る、
    ように構成されている、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
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