JP6422526B2 - 内燃機関用ピストン及びピストンリング - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用ピストン及びピストンリングに関する。
従来から、ピストンと、このピストンを、潤滑油を介して摺動自在にかつ往復動自在に収容するシリンダと、を備える内燃機関が知られている。
この種の内燃機関として、特許文献1には、ピストン本体と、シリンダとの冷間時の間隔が、運転によるピストン本体の熱膨張でピストン頂部側がより狭くなり、第1リング溝の姿勢が冷間時と運転時とで変化する内燃機関が記載されている。特許文献1に記載の内燃機関では、運転時に自由姿勢にある第1リングの両側面のそれぞれについて、リング面とリング溝との間隙の断面形状が、リング内周側からリング外周側に向かって広がる楔形状になるように第1リング溝を形成している。
また、特許文献2には、1本の圧力リングと1本のオイルリングを配置してなる内燃機関用ピストンにおけるピストンリングとリング溝の組み合わせ構造が記載されている。また、特許文献2では、略長方形断面の圧力リングの挿入されるリング溝の上面に、内側から外側に向けて上向きの10分ないし50分の勾配を設けた構成が開示されている。
特開平8−121242号公報 特開2000−257714号公報
ところで、内燃機関としてのエンジンを運転した際に、ピストンがシリンダ内を往復し、圧力、温度、並びにピストン及びピストンリングの挙動、の影響により、リング溝の上面や下面と、ピストンリングの上側面や下側面と、が接触し、リング溝の上面及び下面、並びに、ピストンリングの上側面及び下側面が偏摩耗する。特に、ピストンリングのうち最上部に位置するトップリングとも称される第1リングと、この第1リングが配置される第1リング溝と、の間の接触で発生する上述の偏摩耗は、内燃機関の信頼性を高めるためにも十分に抑制されることが望ましい。
これに対して、リング溝に施すアルマイト処理や、クーリングチャンネルや耐摩環等を設けることにより、リング溝の上面及び下面、並びに、ピストンリングの上側面及び下側面の偏摩耗を低減することができるが、製造工程の増加による製品コストの増加やピストン重量の増加の要因となるため、より簡易な方法により偏摩耗を抑制することが望まれている。
本願発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特許文献1及び2に記載の構成によればリング溝の上面及び下面、並びに、ピストンリングの上側面及び下側面、の偏摩耗を一定量抑制することが可能であるが、リング溝の上面及びピストンリングの上側面、の偏摩耗をより十分に抑制するためには、更なる改善の余地があるという知見を得るに至った。
本発明は、リング溝の上面及びピストンリングの上側面の偏摩耗を抑制可能な内燃機関用ピストン及びピストンリングを提供することを目的とするものである。
本発明の第1の態様としての内燃機関用ピストンは、外周面にリング溝が形成されているピストン本体と、前記リング溝に配置されるピストンリングと、を備え、内燃機関のシリンダ内で移動可能な内燃機関用ピストンであって、前記ピストンリングの上側面は、前記ピストンリングの自由状態において、内縁の位置と径方向での厚みが1/2となる中央位置との間に形成され、前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの下側面に近づくように延在する凸状の凸面部と、前記凸面部と前記径方向の外側で連続する、平面部又は前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜する傾斜周面部と、を備え、前記ピストン本体及び前記ピストンリングが前記シリンダ内に収容され、かつ、前記内燃機関が冷間時の所定状態で、前記ピストン本体の中心軸線に平行で前記中心軸線を含む断面において、前記リング溝の上面と、前記平面部又は前記傾斜周面部と、の間の角度が18分以上であることを特徴とするものである。
本発明の1つの実施形態として、前記断面における前記凸面部の曲率半径は、0.5mm以上であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記ピストンリングは、合口部と対向する位置にある合口反対部を有し、前記リング溝の上面と前記平面部又は前記傾斜周面部との間の前記角度は、前記合口反対部の位置での角度であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記所定状態において、前記リング溝の上面の、前記中心軸線と直交する平面に対する角度は、30分〜180分の範囲に属することが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記所定状態において、前記平面部又は前記傾斜周面部の、前記中心軸線と直交する平面に対する角度は、0分以上であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記傾斜周面部を第1傾斜周面部とした場合に、前記ピストンリングの上側面は、前記凸面部と前記径方向の内側で連続し、前記平面部及び前記第1傾斜周面部よりも前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜している第2傾斜周面部を有することが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記ピストンリングの前記凸面部は、湾曲部、又は、前記ピストンリングの周方向に直交するリング断面において複数の直線により凸状に形成されている多段凸部、であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記ピストン本体の外周面には、前記リング溝が複数形成されており、前記ピストンリングは、前記複数のリング溝のうち、前記ピストン本体の中心軸線方向において最上方に位置する第1リング溝に配置されていることが好ましい。
本発明の第2の態様としてのピストンリングは、ピストン本体の外周面に形成されるリング溝に配置されるピストンリングであって、上側面は、ピストンリングの自由状態において、内縁の位置と径方向での厚みが1/2となる中央位置との間に形成され、前記径方向の内側に向かうにつれて下側面に近づくように延在する凸状の凸面部と、前記凸面部と前記径方向の外側で連続する、平面部又は前記径方向の内側に向かうにつれて前記下側面に近づくように傾斜する傾斜周面部と、を備えることを特徴とするものである。
本発明の1つの実施形態として、リング断面における前記凸面部の曲率半径は、0.5mm以上であることが好ましい。
本発明によれば、リング溝の上面及びピストンリングの上側面の偏摩耗を抑制可能な内燃機関用ピストン及びピストンリングを提供することができる。
本発明の一実施形態としての内燃機関用ピストンを含む内燃機関を示す図である。 図1に示すピストンの縦断面の一部を示す断面図である。 図2に示す第1リングの単体の上側面図である。 図4(a)は図3の破線のI−I断面図であり、図4(b)は図3の実線のI−I断面図である。 図2に示す断面図のうち、第1リング及び第1リング溝の部分を拡大して示す拡大断面図である。 図5に示す第1リングの上側面の変形例を示す図である。 図5に示す第1リングの変形例を示す図である。 図5に示す第1リングの変形例を示す図である。 一般的なピストンを模式的に示す図である。 組み込み状態で、かつ、内燃機関の温間時において第1リングにかかる力を模式的に示す図である。 リング溝の上面及び下面の摩耗形態を模式的に示す図である。 図12(a)は、スラスト方向及びアンチスラスト方向のそれぞれについて、リング溝の上面の溝底側での位置での摩耗量を評価したグラフである。図12(b)は、スラスト方向及びアンチスラスト方向のそれぞれについて、リング溝の上面のランド外周面側での位置での摩耗量を評価したグラフである。 図5に示す凸面部の曲率半径とリング溝の溝底側での摩耗量との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る内燃機関用ピストン及びピストンリングの実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。なお、各図において共通する部材・部位には共通の符号を付している。
図1は、内燃機関1としてのレシプロエンジン(往復動内燃機関)を示す図である。図1に示すように、内燃機関1は、シリンダブロック50に形成された円筒状のシリンダ2と、このシリンダ2内でシリンダ2の内壁2aと摺動可能に収容されている本発明の一実施形態としての内燃機関用ピストン3(以下、単に「ピストン3」と記載する。)と、ピストンピン4を介してピストン3に上端部が結合されたコネクティングロッド5と、クランクピン6を介してコネクティングロッド5の下端部に連結されたクランクシャフト7と、を備えている。なお、図1に示す内燃機関1としてのレシプロエンジンは、ピストン3がシリンダ2内で上下方向に往復移動可能なガソリンエンジンであるが、ディーゼルエンジンなど、ピストンが往復移動する他の内燃機関であってもよい。
シリンダブロック50の下側には、クランクケース8が結合され、このクランクケース8とシリンダブロック50の下部とで、クランクシャフト7を収容するクランク室9が区画される。クランクケース8の下側には、上方から降下したオイルを受けるオイルパンが設けられている。シリンダブロック50の上側には、吸気バルブ10及び排気バルブ11によりそれぞれ開閉される吸気ポート12及び排気ポート13が設けられたシリンダヘッド60が結合され、このシリンダヘッド60の内壁面とピストン3の上面とシリンダ2の内周面とで燃焼室14が区画される。
以下、内燃機関1におけるピストン3の詳細について説明する。
図2は、ピストン3の中心軸線Oに平行で、中心軸線Oを含む縦断面のうち一部を示す断面図である。図2に示すように、ピストン3は、外周面にリング溝15が形成されているピストン本体16と、リング溝15に配置されるピストンリング17と、を備えている。具体的に、本実施形態のピストン本体16には、複数のリング溝15が形成されている。より具体的に、本実施形態のピストン本体16の外周面には、第1リング溝15a、第2リング溝15b、及び、第3リング溝15cの3つのリング溝15が形成されている。
第1リング溝15aは、ピストン3の中心軸線O(ピストン本体16の中心軸線と同じ)と平行な方向(以下、「中心軸線方向A」と記載する。)において、第2リング溝15b及び第3リング溝15cよりも、ピストン本体16の冠面側に位置している。換言すれば、第1リング溝15aは、複数のリング溝15のうち、中心軸線方向Aにおいて最上方に位置している。
第2リング溝15bは、中心軸線方向Aにおいて、第1リング溝15aと第3リング溝15cとの間に位置している。
第3リング溝15cは、中心軸線方向Aにおいて、第2リング溝15b及び第3リング溝15cよりも、ピストン本体16の下端側に位置している。換言すれば、第3リング溝15cは、複数のリング溝15のうち、中心軸線方向Aにおいて最下方に位置している。
これら3つのリング溝15のうち第1リング溝15a、第2リング溝15bそれぞれには、1つのピストンリング17が配置されている。また、3つのリング溝15のうち、第1リング溝15a及び第2リング溝15bとは別の第3リング溝15cには、3つの部品からなる1つのピストンリング17が配置されている。具体的に、第1リング溝15aには、第1リング17aを嵌合配置している。第2リング溝15bには、第2リング17bを嵌合している。第3リング溝15cには、第3リング17cを嵌合している。
第1リング17aは、所謂「第1圧力リング」であり、燃焼室14側からクランクケース8側へと圧縮ガスが抜けること(ブローバイガス)を抑制するものである。具体的に、第1リング17aは、その外周面がシリンダ2の内壁2aと潤滑油を介して所定圧力下で摺動することにより、上述のブローバイガスの発生を抑制する。
第3リング17cは、所謂「オイルリング」であり、シリンダ2の内壁2aに付いている余分なエンジンオイルをかき落とし、適度な油膜を形成することにより、ピストン3の焼きつきを防止するものである。具体的に、第3リング17cは、その外周面がシリンダ2の内壁2aと所定の圧力下で摺動することにより、シリンダ2の内壁2a上に適度な油膜を形成する。なお、第3リング17cは各種構成により実現することができる。
第2リング17bは、所謂「第2圧力リング」であり、第1圧力リングである第1リング17aを補助し、上述のブローバイガスの発生を抑制するものである。更に、第2リング17bは、オイルリングである第3リング17cを補助する機能をも有している。つまり、第3リング17cは、その外周面がシリンダ2の内壁2aと潤滑油を介して所定圧力下で摺動することにより、上述のブローバイガスを抑制しつつ、シリンダ2の内壁2a上の余分なエンジンオイルをかき落とすものである。
なお、ピストン3のピストン本体16はアルミ合金製であり、ピストンリング17は鋼製又は鋳鉄製である。
以下、本発明に係るピストンリングの一実施形態としての第1リング17a、及び、この第1リング17aが配置されている第1リング溝15a、の構成の詳細について説明する。図3は、第1リング17aの単体の上側面図であり、図4は、図3のI−I断面図、換言すれば、第1リング17aの単体の周方向と直交するリング断面を示す図である。なお、図3では、シリンダ2内に組み込まれる前の外力が付加されていない自由状態での第1リング17aを破線により示し、シリンダ2内にピストン本体16と共に収容され、シリンダ2の内壁2aから外力が付加されて張設された状態、換言すれば、シリンダ2の内径まで閉じた状態(以下、単に「組み込み状態」と記載する場合がある。)での第1リング17aを実線により示している。そして、図4(a)は、図3の破線のI−I断面図であり、図4(b)は、図3の実線のI−I断面図である。また、図5は、図2に示す断面図のうち、第1リング17a及び第1リング溝15aの部分を拡大して示す拡大断面図である。換言すれば、図5は、第1リング17aが組み込み状態にあるときの拡大断面図である。
図4、図5に示すように、本実施形態の第1リング17aは、シリンダ2の内壁2aと潤滑油を介して摺動する外周面17a1と、この外周面17a1と反対側に位置する内周面17a2と、ピストン本体16の冠面側の上側面17a3と、この上側面17a3とは反対側に位置する下側面17a4と、を備えている。
第1リング17aの外周面17a1は、図4、図5に示すように、断面視において略一定の曲率半径の曲線で描かれるバレルフェース面である。但し、第1リング17aの外周面17a1の形状は、本実施形態のバレルフェース面に限られるものではなく、例えば、中心軸線に対して一様な角度で傾斜する斜面により構成されるテーパフェース面や、中心軸線に対して角度の異なる複数の斜面を組み合わせた構成など、各種形状の外周面とすることができる。
第1リング17aの内周面17a2は、図4(a)に示すように、第1リング17aが自由状態のときに略一様な周面を形成する。
第1リング17aの上側面17a3は、図4(a)に示すように、第1リング17aが自由状態のときに、内縁の位置と径方向Bでの厚みが1/2となる中央位置Cとの間に形成され、径方向Bの内側に向かうにつれて第1リング17aの下側面17a4に近づくように延在する凸状の凸面部18と、この凸面部18と第1リング17aの径方向Bの外側で連続する平面部19と、凸面部18と径方向Bの内側で連続し、平面部19と比較して径方向Bの内側に向かうにつれて第1リング17aの下側面17a4に近づくように傾斜している傾斜周面部20と、を備えている。凸面部18及び傾斜周面部20はいずれも、径方向Bの内側に向かうにつれて第1リング17aの下側面17a4に近づくように延在しているが、図4、図5に示す断面において、本実施形態の凸面部18は円弧状となり、傾斜周面部20は直線状となる。なお、本実施形態における「内縁の位置」とは、内周面17a2の上端と、傾斜周面部20との交点であるが、仮に傾斜周面部20が存在せず、内周面17a2の上端と凸面部18とが直接連続する構成の場合には、内周面17a2と凸面部18との交点となる(図7、図8参照)。
ここで、本実施形態における凸面部18は、図4の断面視で円弧状となる湾曲部により構成されているが、ピストンリング17の幅寸法が径方向Bで内側(内周側)に向かうにつれて徐々に小さくなるような凸形状、換言すれば、径方向Bの内側に向かうにつれてピストンリング17の下側面に近づくように延在する凸形状であればよく、本実施形態の湾曲形状に限られるものではない。したがって、例えば図6(a)に示すように、凸面部18を、ピストンリング17の周方向に直交するリング断面において複数の直線により凸状に形成される多段凸部26としてもよい。なお、図6(a)の多段凸部26は、角度の異なる3つの直線が連続して形成されているが、2つの直線で形成されるものであっても、4つ以上の直線で形成されるものであってもよい。図6(a)では、3つの直線の交点を分かり易くするために黒丸の点を付している。
また、本実施形態の第1リング17aの上側面17a3は、凸面部18と、平面部19と、傾斜周面部20と、を有する構成であるが、この構成に限られるものではなく、例えば図6(b)に示すように、凸面部18と、この凸面部18と径方向Bの外側で連続する傾斜周面部25と、凸面部18と径方向Bの内側で連続する傾斜周面部20と、を有する構成としてもよい。以下、図6(b)に示す構成については、2つの傾斜周面部を区別する目的で、説明の便宜上、「傾斜周面部25」を「第1傾斜周面部25」と記載し、「傾斜周面部20」を「第2傾斜周面部20」と記載する。
図6(b)に示す第1傾斜周面部25は、径方向Bの内側に向かうにつれて第1リング17aの下側面17a4に近づくように傾斜している。そして、図6(b)に示す第2傾斜周面部20は、上述の第1傾斜周面部25と比較して、径方向Bの内側に向かうにつれて第1リング17aの下側面17a4に近づくように傾斜している。つまり、第1傾斜周面部25及び第2傾斜周面部20はいずれも、径方向Bの内側に向かうにつれて第1リング17aの下側面17a4に近づくように傾斜しているが、第2傾斜周面部20の傾斜角度は、第1傾斜周面部25の傾斜角度よりも大きくなっている。なお、図6(b)の断面視において、第1傾斜周面部25及び第2傾斜周面部20は直線状に延在している。また、図6(b)に示す凸面部18は、本実施形態と同様、湾曲部により構成されており、図6(b)の断面視で円弧状に延在している。図6(b)では、凸面部18と、第1傾斜周面部25及び第2傾斜周面部20それぞれと、の交点を分かり易くするために黒丸の点を付している。
以上のように、ピストンリング17としての第1リング17aの上側面17a3は、図4及び図5等の本実施形態で示す構成に限られるものではなく、図6(a)や図6(b)に示すような構成としてもよい。
また、本実施形態の第1リング17aの下側面17a4は、図4(a)に示すように、第1リング17aが自由状態のときに、上側面17a3の平面部19と平行して延在する一様な平面により構成されている。なお、上側面17a3の平面部19と下側面17a4とは、第1リング17aが自由状態(図4(a)参照)であるか、組み込み状態(図4(b)及び図5参照)であるかに関わらず、略平行に延在する。
図3に実線で示すように、第1リング17aは、組み込み状態において、リング端同士の間に隙間が形成される。ここでは、組み込み状態でのリング端同士及び隙間を合わせて「合口部21」と称することとする。更に、組み込み状態において、合口部21と、第1リング17aの中心軸線(ピストン3の中心軸線Oと同じ)を挟んで対向する位置にある部分を「合口反対部22」と称することとする。
ここで、第1リング17aは、図3の破線で示す自由状態から、図3の実線で示す組み込み状態に変形する際に、図4に示すようにねじれ変形する。これは、図4及び図5に示すように、本実施形態の第1リング17aは、上側面17a3の内周面側に、内側切欠部としての凸面部18及び傾斜周面部20を有するためである。より具体的に、図3の破線で示す自由状態から図3の実線で示す組み込み状態に第1リング17aを変形させると、図4(b)及び図5で示すように、第1リング17aは、上述した内側切欠部の影響により、上側面17a3側に湾曲するように皿状にねじれ変形する。なお、上述したように、第1リング17aは組み込み状態において合口部21を有しているため、ねじれ変形の度合いは合口部21の位置で相対的に小さく、合口反対部22の位置で相対的に大きくなる。
次に、図5を参照して、ピストン本体16と、第1リング溝15aに配置された第1リング17aと、がシリンダ2内に収容された組み込み状態において、第1リング溝15aの上面15a1、及び、第1リング17aの上側面17a3、の関係について説明する。なお、図5は、上述したように、ピストン本体16及び第1リング17aがシリンダ2内に収容された組み込み状態であり、かつ、内燃機関1が冷間時の冷間時状態を示している。以下、説明の便宜上、「組み込み状態、かつ、冷間時状態」を単に「所定状態」とも記載する。
図5に示す所定状態での断面視において、内燃機関1は、第1リング溝15aの上面15a1と平面部19との間の角度θが18分以上となるように構成されている。このような構成とすることにより、ピストン本体16の二次挙動と第1リング17aの挙動とによって第1リング17aの上側面17a3の外周側の部分が第1リング溝15aの上面15a1に接触する際の圧力を軽減することができる。その結果、第1リング溝15aの上面15a1の第1ランド外周面16a側の偏摩耗や、第1リング17aの上側面17a3の外周側の偏摩耗を抑制することができる。なお、角度θを18分以上とすることについての詳細は後述する(図12参照)。
更に、第1リング17aの上側面17a3は、上述したように、内縁の位置と径方向Bでの厚みが1/2となる中央位置Cとの間に形成されている凸面部18を有するため、第1リング17aの上側面17a3の内周側の部分が第1リング溝15aの上面15a1に接触する面積を広げて、接触する圧力を分散することができる。その結果、第1リング溝15aの上面15a1の溝底15a2側の偏摩耗や、第1リング17aの上側面17a3の内周側の偏摩耗を抑制することができる。
このように、図5に示す所定状態での断面視において、第1リング溝15aの上面15a1と平面部19との間の相対角度θを18分以上にすると共に、第1リング17aの上側面17a3の内周側に凸面部18を設けることにより、第1リング溝15aの上面15a1の溝底15a2側及び第1ランド外周面16a側の偏摩耗、並びに、第1リング17aの上側面17a3の内周側及び外周側の偏摩耗、を抑制することができる。
ここで、第1リング17aの上側面17a3の凸面部18は、中心軸線Oを含む断面(図4、図5参照)において、0.5mm以上の曲率半径を有している。ここで、中心軸線Oを含む断面(図4、図5参照)での凸面部18の曲率半径とは、凸面部18が湾曲部で構成されている場合には、その湾曲部の曲率半径を意味し、凸面部18が同断面において複数の直線により凸状に形成されている多段凸部の場合には、多段凸部の両端の2点と、この2点間の中央又は中央近傍に位置する1つの頂点と、の3点で規定される円弧の曲率半径を意味する。
ここで、本実施形態では、相対角度θを18分以上にすると共に、第1リング17aの上側面17a3の内周側に凸面部18を設けているが、相対角度θの値にかかわらず、第1リング17aの上側面17a3の内周側に凸面部18を設けることで、この第1リング17aが配置されるリング溝の上面の溝底側の偏摩耗、及び、第1リング17aの上側面17a3の内周側の偏摩耗、を抑制することができる。
なお、本実施形態において、第1リング17aの幅(上側面17a3の平面部19と下側面17a4との間の距離)は、1.0mm〜2.0mmである。凸面部18の曲率半径を0.5mm以上とすることにより、ヘルツ応力の最大値を下げる効果が期待でき、接触する圧力を大きく分散することができる。凸面部18の曲率半径を0.5mm以上とすることについての詳細は後述する(図13参照)。
なお、第1リング溝15aは、中心軸線Oと直交する平面に対して鋭角で傾斜する周面により構成される上面15a1と、溝底15a2と、上面15a1と対向し、中心軸線Oと直交する平面に対して上面15a1よりも小さい鋭角の角度で傾斜する周面により構成される下面15a3と、により区画されている。
上述したように、図5に示す所定状態での断面視において、第1リング溝15aの上面15a1と平面部19との間の角度θは18分以上となるが、この角度θは、図5に示す所定状態での断面視において、第1リング溝15aの上面15a1の中心軸線Oと直交する平面に対する角度αを30分以上180分以下とすることにより実現することが好ましい。このように、第1リング溝15aの上面15a1の角度αを、第1リング溝15aが第1ランド外周面16a側に向かって広がるように、比較的大きく確保することにより、上述した18分以上の角度θを確保し易くなる。更に、角度θは、図5に示す所定状態での断面視において、第1リング17aの平面部19の中心軸線Oと直交する平面に対する角度βを0分以上とすることにより実現することが好ましい。なお、ここで言う角度α及び角度βの値は、中心軸線方向Aと直交する平面に対してピストン本体16の冠面側である上側に傾く傾斜を正の角度を有する傾斜としている。角度αを30分未満とすると、ねじれ角度を有する第1リング溝15aの挙動範囲が狭まり、外周側での摩耗が増え易くなる。また、角度αを180分より大きくすると、内周側の摩耗が増え易くなると共に、側面の隙間(第1リング溝15aの上下面と第1リング17aの上下側面との間の隙間)が増え、ブローバイガスが増え易くなる。そのため、角度αは30分以上180分以下とすることが好ましい。
また、上述した角度θは、図5に示す所定状態において、第1リング17aの周方向で合口反対部22の位置での角度であることが好ましい。合口反対部22の位置は、上述したように、ねじれ変形の度合いが相対的に大きい。つまり、合口反対部22の位置は、第1リング17aの周方向において、上述の角度βが最も大きくなる位置であり、第1リング溝15aの上面15a1に最も接触し易い位置となる。この合口反対部22の位置であっても、上述の角度θを18分以上とすることにより、より確実に第1リング溝15aの上面15a1の偏摩耗、及び、第1リング17aの上側面17a3の偏摩耗、を低減することができる。
なお、ここでは、第1リング溝15aと、この第1リング溝15aに配置される第1リング17aと、について説明したが、上述した角度θの関係及び凸面部18の構成を第2リング溝15bと、この第2リング溝15bに配置される第2リング17bと、に適用してもよい。但し、本実施形態のように、ピストン本体16の中心軸線方向(ピストン3の中心軸線方向Aと同じ方向)において最上方に位置する第1リング溝15aと、この第1リング溝15aに配置される第1リング17aに対して、上述した角度θの関係及び凸面部18の構成を適用することが特に好ましい。第1リング溝15aは、燃焼室14に近く、温間時において微量の熱変形が発生し易い。そのため、第2リング溝15b及び第2リング17bで上述の角度θの関係を形成するよりも、本実施形態のように、第1リング溝15a及び第1リング17aで上述の角度θの関係を形成した方が、リング溝15の上面とピストンリング17の上側面との接触をより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態で示すピストンリング17としての第1リング17aは、図4や図5に示すようなリング断面形状を有するものであるが、上側面のうち、内縁の位置と径方向Bでの厚みが1/2となる中央位置Cとの間の位置に、径方向の内側に向かうにつれて下側面に近づくように延在する凸面部を有し、かつ、この凸面部と径方向Bの外側で連続する平面部又は第1傾斜周面部(例えば図6(b)の「第1傾斜周面部25」を参照)を有する構成であれば、リング断面形状は特に限定されるものではない。したがって、例えば、図7に示すような断面形状を有するピストンリング17としてもよい。なお、図7は、図5と同様、所定状態を示している。
図7に示すピストンリング17としての第1リング117aは、上述した第1リング17aと比較して、上側面117a3の外周側で、中心軸線方向Aにおけるピストン本体16の冠面側に向かって突設された周壁部123を有する点で相違している。更に、図7に示す第1リング117aは、上述した第1リング17aと比較して、傾斜周面部20を有さない点で相違している。換言すれば、図7に示す第1リング117aの上側面117a3は、湾曲部で構成された凸面部18、平面部19、起立部124及び頂部125により構成されている。なお、凸面部18及び平面部19の構成は図5で示す第1リング17aの構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
周壁部123により形成される起立部124は、図7の断面視において、平面部19と略直交する方向に延在する面である。また、頂部125は周壁部123の頂面である。周壁部123は、ピストン本体16の第1ランド外周面16aよりも径方向外側に位置しており、ピストン103がシリンダ2(図1等参照)内で往復移動する際、第1ランド外周面16aとシリンダ2の内壁2a(図1等参照)との間に挟み込まれた状態となる。そのため、第1リング117aの外周面117a1の一部を構成する周壁部123の外周面は、第1ランド外周面16aと対向する位置で、シリンダ2の内壁2aと、潤滑油を介して摺動する。
図7に示す断面形状を有する第1リング117aであっても、図5に示す第1リング溝15a及び第1リング17aと同様、上側面117a3の平面部19と第1リング溝15aの上面15a1との角度θは18分以上である。また、凸面部18は、上側面117a3のうち、内縁の位置と径方向での厚みが1/2となる中央位置Cとの間に形成されている。したがって、図7に示す構成であっても、第1リング溝15aの上面15a1の偏摩耗、及び、第1リング117aの上側面117a3の偏摩耗、を抑制することができる。
なお、図7に示す第1リング117aを含むピストン103の他に、例えば、図8に示すような断面形状を有する第1リング217aを含むピストン203としてもよい。図8に示す第1リング217aは、図7に示す第1リング117aと比較して、周壁部123を有さない点で相違しているが、その他の構成は同様である。つまり、図8に示す第1リング217aの上側面217a3は、凸面部18及び平面部19により構成されている。
次に、上述した角度θについて詳細に説明する。
図9は、リング溝515が形成されているピストン本体516と、リング溝515に配置されたピストンリング517と、を含む一般的なピストン503を模式的に示す図である。図9に示すように、ピストンリング517は、内燃機関の温間時において、ピストン本体516に対して相対的に回動することがある。更に、径方向に滑り移動することもある。Archardの摩耗式によれば、金属間の摩耗量Wは、接触圧力と摺動距離との積に比例する。これを利用して、接触圧力、摺動時間及び摺動速度から、摩耗量の指標を推定する。
ここで、組み込み状態で、内燃機関1の温間時において、リング溝15に位置するピストンリング17にかかる力を図10に模式的に示す。図10に示すように、ピストンリング17には、スクイズ効果などの、リング溝15内のガス・油膜による力(図10では「F1」と表記。以下、単に「F1」と記載する。)と、リング溝15外のガス圧力(図10では「F2」と表記。以下、単に「F2」と記載する。)と、固体接触における反作用力(図10では「F3」と表記。以下、単に「F3」と記載する。)と、外周摩擦力(図10では「F4」と表記。以下、単に「F4」と記載する。)と、ピストンリング17の慣性力(図10では「F5」と表記。以下、単に「F5」と記載する。)と、が作用する。リング溝15の上面及び下面と、ピストンリング17の上側面及び下側面との接触箇所(図10の破線で囲まれる位置を参照)に生じる面圧の分布は、上述の力のつり合いによって生じる。
そこで、摩耗量に影響するピストン本体16及びピストンリング17の挙動とピストンリング17の持つ力を計算することで、摩耗量と相関のある指標値を計算することが可能となる。具体的には、エンジン内におけるピストン本体16及びピストンリング17の挙動解析計算を実施し、その結果から構造解析計算を行い、運転中のエンジンのリング溝15に生じる圧力を算出する。この圧力とその時のピストン本体16及びピストンリング17の挙動速度、挙動状態からリング溝15に生じる摩耗量を推定する。
このようにしてリング溝15の上面及び下面での摩耗量を推定することができる指標値を算出する。図11は、一般的な矩形のピストンリング17を用いたピストン本体16におけるリング溝15の上面及び下面の摩耗量の分布形態を模式的に示した図である。計算にされた指標値は、図11に示す摩耗量を推定し、設計寸法の変更に対する摩耗量の増減を推定することができる。図11では、リング溝15の上面及び下面の摩耗量をドットの領域(図11の符号「M」参照)により表している。図11に示すように、リング溝15の上面では、ランド外周面に近い位置で摩耗が大きくなることがわかる。ピストンリング17の上側面がリング溝15のランド外周面近傍に接触し難くなるようにすれば、リング溝15の上面のうちランド外周面に近い位置での摩耗は抑制することができる。そのため、例えば、ピストン本体16の中心軸線に直交する平面に対するリング溝15の上面の角度α(図5参照)を大きく傾斜させることで、ピストンリング17の上側面とリング溝15の上面との間の角度θを大きく確保すれことができ、これにより、リング溝15の上面のうちランド外周面に近い位置での摩耗を軽減することができる。
しかしながら、図11に示すように、リング溝15の上面では、ランド外周面に近い位置ほどではないが、溝底近傍の位置でも比較的大きい摩耗が生じることが推定される。そのため、上述した角度θを大きくし過ぎると、リング溝15の上面のうち溝底側の位置に却って接触圧力が集中し、溝底近傍での摩耗が増大するおそれがある。
以上のことから、本願発明者は、角度θを所定範囲に設定してランド外周面近傍での摩耗を抑制すると共に、リング溝15の溝底近傍の位置での摩耗増大をも抑制することが、リング溝15の上面の摩耗抑制には重要であるという知見を得るに至り、この両方を実現可能な構成を、実験を通じて獲得するに至ったものである。
図12(a)は、スラスト方向(図12では「Th」と表記)及びアンチスラスト方向(図12では「Ath」と表記)のそれぞれについて、リング溝15の上面の溝底側での位置での摩耗量を評価したものである。また、図12(b)は、スラスト方向及びアンチスラスト方向のそれぞれについて、リング溝15の上面のランド外周面側での位置での摩耗量を評価したものである。なお、図12(a)、図12(b)における横軸は角度θである。
図12(b)に示すように、スラスト方向では、角度θを0.292度以上とすることにより、ランド外周面近傍での摩耗量を低減できることがわかる。また、図12(b)に示すように、アンチスラスト方向では、角度θを0.042度以上とすることにより、ランド外周面近傍での摩耗量を低減できることがわかる。このように、スラスト方向及びアンチスラスト方向の両方向において摩耗量の低減が確認できたのは、角度θの増大により、ピストンリング17とリング溝15の上面との接触圧力が、ランド外周面近傍の位置で局所的に高くなることが抑制され、溝底側へと分散されたためと考えられる。
なお、内燃機関の種類によっては、スラスト方向とアンチスラスト方向の向きが異なり、正面視において左右どちらがスラスト方向になるか一定ではない。そこで、リング溝15の上面の摩耗量を低減する角度θとしては、0.042度以上とすることが好ましく、スラスト方向及びアンチスラスト方向に関わらずリング溝15の上面の摩耗量を低減することができる0.292度以上とすることがより好ましい。但し、0.1度未満の寸法を規定すると加工が困難で生産性が低下するため、リング溝15の上面のランド外周面側の摩耗低減仕様としては、角度θとして0.3度以上(18分以上)とすることが好ましい。
この一方で、図12(a)によれば、角度θが0.667度を越えると、スラスト方向において、リング溝15の上面の溝底側の位置での摩耗が増大することがわかる。この知見に基づき、上述した実施形態及び変形例で示す第1リング17a、117a及び217aでは、リング溝15の上面の溝底側の部分と接触する上側面17a3、117a3及び217a3の内周側の位置に凸面部18を設けている。凸面部18の存在により、リング溝15の上面の溝底側の位置での接触圧力を広範囲に分散でき、図12(a)に示すような摩耗の増大を抑制することができる。
以上の理由から、上述した実施形態で示す内燃機関1では、角度θを18分以上にすると共に、ピストンリング17としての第1リング17a、117a及び217aの上側面17a3、117a3及び217a3の内周側に凸面部18を設ける構成とし、リング溝15の上面の偏摩耗、ひいては第1リング17a、117a及び217aの上側面17a3、117a3及び217a3の偏摩耗を抑制している。
なお、上述の解析で用いた全てのモデルにおいて、市販の1.5L水冷4気筒ガソリンを対象として計算を行う。
次に、凸面部18の曲率半径について行った検証結果について説明する。図13は、凸面部18の曲率半径R(mm)と、リング溝15の溝底側での摩耗量との関係を示すグラフである。なお、図13は、スラスト方向でのリング溝15の上面における溝底側の摩耗量を表している。図13に示すように、曲率半径Rが0.5mm未満では摩耗量はほとんど変化しないが、曲率半径Rを0.5mm以上とすることにより、摩耗量を大きく低減可能であることがわかる。このことから、凸面部18の曲率半径Rは0.5mm以上とすることが好ましい。
なお、図13にプロットして示す7つのモデルは、曲率半径Rが異なる以外は全て同一の設定条件としている。具体的に、リング溝15の上下面とピストンリング17の上下側面との摩擦係数は、いずれも一定の値としている。更に、リング溝15の下面と、ピストンリング17の下側面との間の相対角度についても一定の値としている。角度θについても一定の値としている。
本発明に係る内燃機関用ピストン及びピストンリングは、上述した実施形態及び変形例に示す具体的な構成に限られるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。例えば、上述した第1リング17a、117a及び217aはいずれも組み込み状態においてねじれ変形するものであるが、ねじれ変形しないものであってもよい。つまり、組み込み時の角度β(図5参照)が0分のものであってもよい。
なお、これまでピストンリングの上側面及びリング溝の上面について説明したが、ピストンリングの下側面及びリング溝の下面に同様の構成を適用しても、同様の効果が得られるものである。但し、上述した実施形態のように、ピストンリングの上側面及びリング溝の上面において、相対角度θ及びピストンリングの上側面の形状を所定の角度及び形状に設定すれば、ピストンリングの下側面及びリング溝の下面に関して同様の構成を適用することに比較して、偏摩耗の抑制効果をより高めることができるため好ましい。
本発明は、内燃機関用ピストン及びピストンリングに関する。
1:内燃機関
2:シリンダ
2a:シリンダの内壁
3、103、203:内燃機関用ピストン
4:ピストンピン
5:コネクティングロッド
6:クランクピン
7:クランクシャフト
8:クランクケース
9:クランク室
10:吸気バルブ
11:排気バルブ
12:吸気ポート
13:排気ポート
14:燃焼室
15:リング溝
15a:第1リング溝
15a1:上面
15a2:溝底
15a3:下面
15b:第2リング溝
15c:第3リング溝
16:ピストン本体
16a:第1ランド外周面
17:ピストンリング
17a、117a、217a:第1リング
17a1、117a1:外周面
17a2:内周面
17a3、117a3、217a3:上側面
17a4:下側面
17b:第2リング
17c:第3リング
18:凸面部
19:平面部
20:傾斜周面部(第2傾斜周面部)
21:合口部
22:合口反対部
25:傾斜周面部(第1傾斜周面部)
26:多段凸部
50:シリンダブロック
60:シリンダヘッド
123:周壁部
124:起立部
125:頂部
503:ピストン
515:リング溝
516:ピストン本体
517:ピストンリング
A:ピストンの中心軸線方向
B:ピストンリングの径方向
C:中央位置
M:摩耗領域
O:ピストンの中心軸線(ピストン本体の中心軸線)
α:所定状態での断面視における、ピストンの中心軸線と直交する平面に対する第1リング溝の上面の角度
β:所定状態での断面視における、ピストンの中心軸線と直交する平面に対する第1リングの上側面の平面部の角度
θ:所定状態での断面視における、第1リング溝の上面の角度と第1リングの上側面の平面部の角度との間の相対角度

Claims (10)

  1. 外周面にリング溝が形成されているピストン本体と、前記リング溝に配置されるピストンリングと、を備え、内燃機関のシリンダ内で移動可能な内燃機関用ピストンであって、
    前記ピストンリングの上側面は、前記ピストンリングの自由状態において、内縁の位置と径方向での厚みが1/2となる中央位置との間に形成され、前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの下側面に近づくように延在する凸状の凸面部と、前記凸面部と前記径方向の外側で連続する、平面部又は前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜する傾斜周面部と、を備え、
    前記ピストン本体及び前記ピストンリングが前記シリンダ内に収容され、かつ、前記内燃機関が冷間時の所定状態で、前記ピストン本体の中心軸線に平行で前記中心軸線を含む断面において、前記リング溝の上面と、前記平面部又は前記傾斜周面部と、の間の角度が18分以上であり、
    前記ピストンリングは、合口部と対向する位置にある合口反対部を有し、
    前記リング溝の上面と前記平面部又は前記傾斜周面部との間の前記角度は、前記合口反対部の位置での角度であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 前記断面における前記凸面部の曲率半径は、0.5mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
  3. 前記所定状態において、前記リング溝の上面の、前記中心軸線と直交する平面に対する角度は、30分〜180分の範囲に属することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
  4. 前記所定状態において、前記平面部又は前記傾斜周面部の、前記中心軸線と直交する平面に対する角度は、0分以上であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1つに記載の内燃機関用ピストン。
  5. 前記傾斜周面部を第1傾斜周面部とした場合に、
    前記ピストンリングの上側面は、前記凸面部と前記径方向の内側で連続し、前記平面部及び前記第1傾斜周面部と比較して前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜している第2傾斜周面部を有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1つに記載の内燃機関用ピストン。
  6. 前記ピストンリングの前記凸面部は、湾曲部、又は、前記ピストンリングの周方向に直交するリング断面において複数の直線により凸状に形成されている多段凸部、であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1つに記載の内燃機関用ピストン。
  7. 前記ピストン本体の外周面には、前記リング溝が複数形成されており、
    前記ピストンリングは、前記複数のリング溝のうち、前記ピストン本体の中心軸線方向において最上方に位置する第1リング溝に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1つに記載の内燃機関用ピストン。
  8. 外周面にリング溝が形成されているピストン本体と、前記リング溝に配置されるピストンリングと、を備え、内燃機関のシリンダ内で移動可能な内燃機関用ピストンであって、
    前記ピストンリングの上側面は、前記ピストンリングの自由状態において、内縁の位置と径方向での厚みが1/2となる中央位置との間に形成され、前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの下側面に近づくように延在する凸状の凸面部と、前記凸面部と前記径方向の外側で連続する、平面部又は前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜する傾斜周面部と、を備え、
    前記ピストン本体及び前記ピストンリングが前記シリンダ内に収容され、かつ、前記内燃機関が冷間時の所定状態で、前記ピストン本体の中心軸線に平行で前記中心軸線を含む断面において、前記リング溝の上面と、前記平面部又は前記傾斜周面部と、の間の角度が18分以上であり、
    前記傾斜周面部を第1傾斜周面部とした場合に、前記ピストンリングの上側面は、前記凸面部と前記径方向の内側で連続し、前記平面部及び前記第1傾斜周面部と比較して前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜している第2傾斜周面部を有することを特徴とする内燃機関用ピストン。
  9. 外周面にリング溝が形成されているピストン本体と、前記リング溝に配置されるピストンリングと、を備え、内燃機関のシリンダ内で移動可能な内燃機関用ピストンであって、
    前記ピストンリングの上側面は、前記ピストンリングの自由状態において、内縁の位置と径方向での厚みが1/2となる中央位置との間に形成され、前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの下側面に近づくように延在する凸状の凸面部と、前記凸面部と前記径方向の外側で連続する、平面部又は前記径方向の内側に向かうにつれて前記ピストンリングの前記下側面に近づくように傾斜する傾斜周面部と、を備え、
    前記ピストン本体及び前記ピストンリングが前記シリンダ内に収容され、かつ、前記内燃機関が冷間時の所定状態で、前記ピストン本体の中心軸線に平行で前記中心軸線を含む断面において、前記リング溝の上面と、前記平面部又は前記傾斜周面部と、の間の角度が18分以上であり、
    前記ピストンリングの前記凸面部は、湾曲部、又は、前記ピストンリングの周方向に直交するリング断面において複数の直線により凸状に形成されている多段凸部、であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  10. 前記ピストン本体の外周面には、前記リング溝が複数形成されており、
    前記ピストンリングは、前記複数のリング溝のうち、前記ピストン本体の中心軸線方向において最上方に位置する第1リング溝に配置されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の内燃機関用ピストン。
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