JP6422157B2 - ダイヤモンドのエッチング方法、ダイヤモンドの結晶欠陥の検出方法、およびダイヤモンド結晶の結晶成長方法 - Google Patents
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ダイヤモンドのエッチング方法であって、アルカリ金属ハロゲン化物からなる主剤と、アルカリ金属水酸化物を含む添加剤と、からなるエッチング剤を準備し、溶融した前記エッチング剤に前記ダイヤモンドを浸漬することにより、前記ダイヤモンドをエッチングする、ダイヤモンドのエッチング方法。この適用例によれば、ダイヤモンドの表面を平坦化するエッチングを行うことが可能になるとともに、電子デバイス用基板の結晶欠陥の評価に適したエッチピットを発生させることが可能となる。
前記添加剤に含まれる前記アルカリ金属水酸化物は、前記主剤に対する重量比が0.5%から20%である、適用例1記載のダイヤモンドのエッチング方法。この適用例によれば、十分に速いエッチングレートでエッチングができるとともに、より容易に廃液を処理することが可能となる。
適用例1または2記載のダイヤモンドのエッチング方法であって、前記添加剤は、さらに、遷移金属を含んでいる、ダイヤモンドのエッチング方法。この適用例によれば、より低いエッチング温度においても、十分に速いエッチングレートでエッチングができる。
前記添加剤に含まれる前記遷移金属は、前記主剤に対する重量比が0.005%から1%である、適用例3記載のダイヤモンドのエッチング方法。この適用例によれば、エッチングレートを十分に速くするとともに、エッチング量をより適切に調整することができる。
適用例3または4記載のダイヤモンドのエッチング方法であって、前記添加剤は、前記遷移金属として、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)からなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属を含んでいる、ダイヤモンドのエッチング方法。この適用例によれば、より速いエッチングレートでエッチングすることができる。
ダイヤモンドの結晶欠陥の検出方法であって、ダイヤモンドを適用例1ないし5のいずれか記載のエッチング方法によりエッチングする工程と、前記エッチングにより発生したエッチピットを観察する工程と、を含む、ダイヤモンドの結晶欠陥の検出方法。この適用例によれば、電子デバイス用基板の結晶欠陥の評価に適したエッチピットを観察することで結晶欠陥を検出することができるので、より品質の高い電子デバイス用基板を製造することが容易となる。
ダイヤモンドの種結晶上にダイヤモンドの結晶を成長させる結晶成長方法であって、前記種結晶の表面を適用例1ないし5のいずれか記載のエッチング方法によりエッチングするエッチング工程と、前記エッチングが行われた前記種結晶の表面にダイヤモンドの結晶を成長させる結晶成長工程と、を含む、結晶成長方法。この適用例によれば、表面の結晶性が良好な種結晶に結晶成長を行うことができるので、より結晶欠陥が少ないダイヤモンド結晶を成長させることができる。
適用例7記載の結晶成長方法であって、さらに、前記エッチング工程の後、前記結晶成長工程の前に、化学機械研磨、もしくは、熱化学研磨により、前記エッチングが行われた前記種結晶の表面を平坦化する、結晶成長方法。この適用例によれば、加工によるダメージ層の形成を抑制するとともに、結晶成長が行われる表面をより平坦にすることができるので、より結晶欠陥が少ないダイヤモンド結晶を成長させることが可能となる。
A.第1実施形態:
A1.ダイヤモンド基板の製造工程:
A2.エッチング工程:
A3.第1実施形態の実施例:
B.第2実施形態:
B1.エッチング剤:
B2.第2実施形態の実施例:
C.他の適用形態:
A1.ダイヤモンド基板の製造工程:
図1は、第1実施形態におけるダイヤモンド基板の製造工程(以下、単に「基板製造工程」とも呼ぶ)を示す工程図である。図1(a)ないし(e)は、ダイヤモンド基板等の各工程におけるワークの形態を示している。また、図1(c)ないし(e)において、破線は、各工程の実行前(すなわち、前工程の実行後)におけるワークの形態を示し、実線は、各工程の実行後におけるワークの形態を示している。
図2は、第1実施形態の基板製造工程におけるエッチング工程の具体例を示す説明図である。第1実施形態において、エッチングは、マッフル炉20を用い、空気雰囲気中で加熱・溶融したエッチング剤中に研磨基板92を浸漬することにより行われる。エッチング剤としては、主剤としての塩化カリウム(KCl)に、添加剤としての水酸化カリウム(KOH)を適量添加したものを使用することができる。
[実施例]
第1実施形態の実施例では、第1実施形態によりエッチングが可能であることを確認するため、モザイク基板(図1のモザイク基板MDS)上に結晶成長させた後、モザイク基板から分離したダイヤモンド基板(図1の成長基板91)を準備した。この準備したダイヤモンド基板の表面形態を、光学顕微鏡で観察し、また、重量と厚さを測定した。
比較例として、実施例と同様にダイヤモンド基板を準備し、そのダイヤモンド基板のエッチングを試みた。比較例では、エッチング剤のKOH重量比を0.4%とし、エッチング時の保持時間を0.5時間とした。他の点は、実施例と同じである。
B1.エッチング剤:
第2実施形態は、エッチング工程において使用するエッチング剤が異なっている点で、第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。具体的には、第2実施形態は、添加剤としてKOHに加えて鉄(Fe)を添加している点で、添加剤としてKOHのみを添加している第1実施形態と異なっている。
[実施例1]
第2実施形態の第1の実施例(実施例1)は、エッチング剤が異なっている点を除き、準備するダイヤモンド基板や、エッチングの方法および条件等は、第1実施形態の実施例と同一である。そのため、ここでは、使用したエッチング剤と、そのエッチング剤でのエッチング結果について説明し、第1実施形態の実施例と同一の部分についてはその説明を省略する。
第2実施形態の第2の実施例(実施例2)では、KOH重量比を実施例1と同じ1.6%にするとともに、Fe重量比を0.02%とし、エッチング温度を900℃とした。また、エッチングを行う際の保持時間を10分とした。他の点は、実施例1と同じである。
上記各実施形態では、溶融したエッチング剤にダイヤモンド基板を浸漬してエッチングすることにより、スクラッチ傷SCR(図1)やダメージ層DMG等を除去するものとしているが、このエッチング方法は、他の目的にも使用できる。
上述のように、上記各実施形態のエッチングにより、ダイヤモンド基板にエッチピットが発生する。そのため、上記各実施形態のエッチング方法を適用してエッチピットを発生させ、発生したエッチピットを観察することにより、ダイヤモンド基板の結晶欠陥を検出することができる。なお、この場合、エッチピットをより確実に発生させるため、エッチング温度は、1000〜1100℃にするのが好ましい。一方、エッチピットの発生を抑制し、エッチング後の表面をより平坦にするためには、エッチング温度は、900℃以下とするのが好ましい。
上記各実施形態では、モザイク基板MDS(図1)上に結晶成長された単結晶ダイヤモンド基板91の加工にエッチングを使用しているが、上記各実施形態のエッチング方法により、モザイク基板MDSを構成する種結晶基板SDSの表面や、他の種結晶の表面をエッチングし、その上に単結晶ダイヤモンドを結晶成長させることも可能である。この場合においても、エッチングの後、仕上研磨を行うのが好ましい。
また、上記各実施形態では、ダイヤモンド基板をエッチングするために上記各実施形態のエッチング方法を用いているが、エッチングの対象は、ダイヤモンド基板に限定されない。例えば、宝飾用ダイヤモンドのエッチングを行い、研磨時のスクラッチ傷を除去して表面を平滑化するものとしても良い。このように表面を平滑化すると、表面での光の反射率が高くなり、宝飾用ダイヤモンドがより良好に輝くようになる。
22…ヒータ
24…炉内
30…坩堝
91…成長基板
92…研磨基板
93…エッチング基板
94…ダイヤモンド基板
BDL…接合ダイヤモンド層
DMG…ダメージ層
MDS…モザイク基板
PSB…境界痕
SCR…スクラッチ傷
SDB…ダイヤモンド種結晶
SDS…種結晶基板
Claims (8)
- ダイヤモンドのエッチング方法であって、
アルカリ金属ハロゲン化物からなる主剤と、アルカリ金属水酸化物を含む添加剤と、からなるエッチング剤を準備し、
溶融した前記エッチング剤に前記ダイヤモンドを浸漬することにより、前記ダイヤモンドをエッチングする、
ダイヤモンドのエッチング方法。 - 前記添加剤に含まれる前記アルカリ金属水酸化物は、前記主剤に対する重量比が0.5%から20%である、請求項1記載のダイヤモンドのエッチング方法。
- 請求項1または2記載のダイヤモンドのエッチング方法であって、
前記添加剤は、さらに、遷移金属を含んでいる、
ダイヤモンドのエッチング方法。 - 前記添加剤に含まれる前記遷移金属は、前記主剤に対する重量比が0.005%から1%である、請求項3記載のダイヤモンドのエッチング方法。
- 請求項3または4記載のダイヤモンドのエッチング方法であって、
前記添加剤は、前記遷移金属として、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)からなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属を含んでいる、
ダイヤモンドのエッチング方法。 - ダイヤモンドの結晶欠陥の検出方法であって、
ダイヤモンドを請求項1ないし5のいずれか記載のエッチング方法によりエッチングする工程と、
前記エッチングにより発生したエッチピットを観察する工程と、
を含む、
ダイヤモンドの結晶欠陥の検出方法。 - ダイヤモンドの種結晶上にダイヤモンドの結晶を成長させる結晶成長方法であって、
前記種結晶の表面を請求項1ないし5のいずれか記載のエッチング方法によりエッチングするエッチング工程と、
前記エッチングが行われた前記種結晶の表面にダイヤモンドの結晶を成長させる結晶成長工程と、
を含む、
結晶成長方法。 - 請求項7記載の結晶成長方法であって、さらに、
前記エッチング工程の後、前記結晶成長工程の前に、化学機械研磨、もしくは、熱化学研磨により、前記エッチングが行われた前記種結晶の表面を平坦化する、
結晶成長方法。
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