JP6419479B2 - 燃料電池モジュール - Google Patents

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この発明は、燃料電池モジュールに関する。特に、本発明は、固体酸化物形燃料電池モジュールに関する。
固体電解質形燃料電池(固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)ともいう)は、燃料極(アノード):H+O2−→HO+2e、空気極(カソード):(1/2)O+2e→O2−の反応により、電気エネルギーを取り出す装置である。一般に、燃料電池モジュールは、都市ガス等の原燃料ガスを改質して水素含有ガス(改質燃料ガス)を生成する改質器と、得られた改質燃料ガスと空気(酸化剤ガス)とを反応させて発電する燃料電池セルとをハウジング内に備えている。
このような燃料電池モジュールを高効率で熱自立運転するためには、燃料電池セルからの輻射熱、および、燃料電池セルからの排ガスの燃焼熱を、改質器に伝搬させると同時に、外部への放熱を抑制することが重要である。そこで、改質器への熱の伝搬には、燃料電池セルと改質器とを熱伝導部材で物理的に接合する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、改質器に十分に熱を与えるために、燃料電池セルの近傍に改質器を配置することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−210574号公報 特開2012−221562号公報
ところで、燃料電池において、反応速度は温度が高いほど速くなる依存性があり、また反応は発熱反応であることが知られている。したがって、燃料電池セル内部に温度むらがあると、温度が高い部分ほど、早く材質の劣化が発生する。また、燃料電池セル内部に温度むらが生じると、クラック等の不具合が発生する場合もある。
しかし、特許文献1の技術では、燃料電池セルと改質器とを熱伝導部材で物理的に接合しているため、燃料電池セルにおいて接合されている部位とそうでない部位との間に温度差が生じる。特許文献2の技術においても、改質器が近傍にある部位とそうでない部位との間に同様に温度差が生じてしまう。
本発明は上記問題点を解決するものであり、燃料電池セルにおける温度むらを抑制するとともに、熱利用効率を向上させることのできる燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池モジュールは、
水蒸気を用いて燃料ガスを水素ガスに改質する改質器と、前記改質器によって改質された水素ガスと有酸素ガスとが供給されることにより発電する燃料電池セルとを備え、
前記改質器は、前記燃料電池セルから排出される、発電に使用済みのセル排気ガスを導入するセル排気ガス導入口を有しており、
前記改質器は、その内部に前記セル排気ガスを燃焼させる燃焼区画と、前記燃料ガスが通過しながら改質される燃料ガス通過区画とを含み、
前記燃焼区画と前記燃料ガス通過区画とは互いに分断されており、
前記燃料ガス通過区画は、前記燃焼区画に隣接して配置されており、
前記改質器によって改質された水素ガスが改質器から排出される水素ガス出口の側に、前記燃焼区画での燃焼によって生じる排気ガスが放出される排気ガス放出部が配置され、さらに、前記燃料ガス通過区画の流路の終点近傍は、前記排気ガス放出部の側の面に平行になるように形成されていることを特徴とする。
本発明の燃料電池モジュールにおいて、前記燃料ガス通過区画は、前記燃焼区画を挟み込むように配置されていることが好ましい。
あるいは、本発明の燃料電池モジュールにおいて、前記燃焼区画は、前記燃料ガス通過区画を挟み込むように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、燃料電池セルにおける温度むらを抑制するとともに、熱利用効率を向上させることのできる燃料電池モジュールを提供することができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池モジュールの一例の構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施形態に係る燃料電池モジュールの一例の構成を示す平面図である。 図3は、前記燃料電池モジュールに適用される改質器の構成の一例を示す斜視図である。 図4は、図3に示す改質器の各段の構成を説明する断面図である。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。なお、以下で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池モジュールの一例の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る燃料電池モジュールの一例の構成を示す平面図である。この実施形態の燃料電池モジュール100は、固体酸化物形(SOFC形)の燃料電池モジュールであり、断熱性(=熱伝導率が低い性質)を有して直方体をなすハウジング12を含む。ここで、図1は、燃料電池モジュールの内部構造を説明するために、ハウジング12の前面を取り除いた状態を図示したものである。ハウジング12の内側には、燃焼室RMが形成される。燃焼室RMには、燃料電池セル10、改質器20、空気予熱器15および気化器28が設けられる。ハウジング12には、その外側から内側に貫通するパイプ16、パイプ17、パイプ27およびパイプ29が設けられる。
本実施形態では、ハウジング12をなす直方体の幅方向,奥行き方向および高さ方向にX軸,Y軸およびZ軸をそれぞれ割り当てる。すると、パイプ16およびパイプ17は、Z軸方向の負側を向く面に設けられ、パイプ27およびパイプ29はZ軸方向の正側を向く面に設けられる。空気(有酸素ガス)はパイプ16を経て取り込まれ、改質用水はパイプ29を経て取り込まれ、メタンガス(燃焼ガス)はパイプ27を経て取り込まれる。
パイプ16の一方端はハウジング12の外側に突出し、パイプ16の他方端はハウジング12の内側(=燃焼室RM側)に突出する。また、パイプ29の一方端はハウジング12の外側に突出し、パイプ29の他方端はハウジング12の内側に突出する。さらに、パイプ27の一方端はハウジング12の外側に突出し、パイプ27の他方端はハウジング12の内側に突出する。
パイプ16の他方端は空気予熱器15の給気口に接続され、パイプ29の他方端は気化器28の吸水口に接続され、パイプ27の他方端は改質器20に設けられた燃料ガス導入口26に接続される。また、空気予熱器15の排気口は、燃料電池セル10に設けられた空気用の吸気口(図示せず)に接続される。さらに、気化器28の排気口は燃料ガスパイプ27に接続されるが、改質器20に水蒸気用の吸気口を設けておき、そこに接続してもよい。改質器20の排気口(水素ガス出口24)は燃料電池セル10に設けられた水素ガス用の吸気口(図示せず)に接続される。
気化器28は、パイプ29によって取り込まれた改質用水を気化する。気化器28で気化された水蒸気は、パイプ27によって取り込まれたメタンガス(燃料ガス)とともに改質器20の燃料ガス導入口26から改質器20に供給される。本実施形態においては、気化器28は、改質器20の上方に設けられ、気化には、燃焼室RMの熱が利用される。なお、燃焼室RMの温度は約700℃を示す。
改質器20では、メタンガスおよび水蒸気が、化学式1および化学式2によって水素ガスおよび炭酸ガスに変換される。
[化1]
CH+HO→3H+CO
[化2]
CO+HO→H+CO
ここで、改質器20の反応は吸熱反応であり、改質器20は燃焼室RMの熱、燃料電池セル10の輻射熱、および、後述する燃料電池セル10から排出されるセル排気ガスの改質器内での燃焼による燃焼熱を利用して改質を行う。
空気予熱器15は、パイプ16によって取り込まれた空気(有酸素ガス)を予熱する。予熱された空気は、燃料電池セル10の下側から燃料電池セル10に供給される。また、改質器20によって発生した水素ガスは、燃料電池セル10の下側から燃料電池セル10に供給される。
燃料電池セル10の空気極および燃料極では、化学式3および化学式4に従う化学反応が生じる。この結果、燃料電池セル10の上下の最外層に、プラス電圧およびマイナス電圧がそれぞれ発生する。燃料電池セル10で発生したプラス電圧およびマイナス電圧は、図示しない端子を経て出力される。
[化3]
1/2O+2e→O2−
[化4]
+O2−→HO+2e
化学式3および化学式4に従う化学反応によって消費されなかった空気および水素ガスは、燃焼電池セル10の外部に排出され、改質器20の下面のセル排気ガス導入口21から改質器20に導入される。
図3は、本発明の燃料電池モジュールに適用される改質器の構成の一例を示す斜視図である。また、図4は、図3に示す改質器20の各段の構成を説明する断面図である。図4は、図3中の一点鎖線で切断したときの、各段(20A、20B、20C)の断面を示している。本実施形態において、改質器20は、燃焼区画22および燃料ガス通過区画23(23a、23b、23c)を有している。燃焼区画22には、セル排気ガスが導入され、内部で燃焼を生じさせる。燃料ガス通過区画23には、燃料ガス導入口26から、燃料ガスが水蒸気とともに導入される。改質器20は、3段構造となっており、下から1段目20A、2段目20B、3段目20Cとする。1段目20Aおよび3段目20Cは燃料ガス通過区画(23c、23a)、2段目20Bは燃焼区画22を有している。2段目20Bには、端部に燃料ガス通過区画23aと燃料ガス通過区画23cとを連結する燃料ガス通過区画23bが設けられている。また、1段目20Aにはセル排気ガス導入口21が設けられており、セル排気ガス導入口21は2段目20Bの燃焼区画22に連結している。
燃焼区画22と燃料ガス通過区画23(23a、23b、23c)とは互いに分断されており、改質器20内部では、燃料ガスとセル排気ガスとは混ざり合わないようになっている。
燃料電池セル10から排出されたセル排気ガスは、改質器20の下面のセル排気ガス導入口21から改質器20に導入される。図4において、セル排気ガスの流れを黒色矢印で示す。導入されたセル排気ガスは、1段目20Aの中央部を通過して2段目20Bの燃焼区画22に流れ込む。
燃料電池セル10の燃料極側から排出される排気ガスには、一酸化炭素等が含まれている。また、空気極側から排出される排気ガスには酸素が含まれている。このため、燃料極側の排気ガスと空気極側の排気ガスとが高温下で混合されると、燃料極側排気ガスが燃焼するので、セル排気ガスは、改質器20内部のセル排気ガスの流路および燃焼区画22において燃焼する。燃焼後の排気ガスは、排気ガス放出部25から改質器20外部に排出され、燃焼室RM内で燃料電池セル10の側部を経てパイプ17(排ガスパイプ)から排出される。
なお、本実施形態においては、空気予熱器15は図1において右側と左側との2段に設けられており、左側の空気予熱器15に設けられたパイプ16を介して空気が予熱器内に供給される。供給された空気は、そのまま連通管を通り、右側の空気予熱器15を介して燃料電池セル10に供給される。排ガスは、右側の空気予熱器15から取り込まれ、連通管を通り、左側の空気予熱器15を介してパイプ17から排出される。本実施形態では空気予熱器15が2段であるものを説明したが、これに限られず、1段または多段の空気予熱器であっても構わない。
一方、燃料ガス導入口26から導入された燃料ガスは、水蒸気とともに、3段目20Cの燃料ガス通過区画23aから、2段目20Bの燃料ガス通過区画23bを経由して、1段目20Aの燃料ガス通過区画23cに流れ込む。図4において、燃料ガスの流れを白色矢印で示す。燃料ガス通過区画を燃料ガスおよび水蒸気が通過する過程で、前述の化学式1および化学式2の反応が起こり、燃料ガスの改質がなされる。
前記反応をより進めて高い改質率を得るためには、例えば、燃料ガス通過区画23aおよび23cにおける流路を長くすることが好ましい。本実施形態においては、燃料ガス通過区画23aおよび23cでは、区画部材を設けて流路が長くなるようにされている。ここで、図4に示す区画部材の形状は、一例であり、これに限定されるものではないが、以下に述べる理由から、改質後のガスが改質器から排出される水素ガス出口24の側に、排気ガス放出部25が配置され、さらに、燃料ガス通過区画の流路の終点近傍は、排気ガス放出部25側の面に平行になるように形成されている。
すなわち、前記反応は、燃料ガス導入口26から水素ガス出口24に向かうにしたがい、各化学式の右辺側に進んでいき、流路の終点近傍では、右辺側の化合物の分率が高くなるため、反応が平衡状態となる。吸熱反応である前記反応は、より加熱を行うことで進めることができるため、流路の終点近傍で、より高温となるようにすることが好ましいのである。前記のように水素ガス出口24を設けることで、燃焼区画22から排気ガス放出部25に向けて燃焼がされ、それにより排出される高温の排気ガスによって、改質器20の出口温度を最大にすることができる。よって、流路終点近傍で燃料ガスをさらに加熱して、前記反応をより進め、改質率を向上させることができる。そして、流路の終点近傍での方向を排気ガス放出部25側の面に平行になるように形成すると、より長い流路範囲において高温状態を保つことができるため、さらに好ましい。
改質器20は、内部(2段目20B、燃焼区画22)で燃焼を生じさせ、燃焼区画22に隣接して配置されている燃料ガス通過区画23a、23b、23cで燃焼熱を受けることができるため、改質に必要な熱を効率的に伝搬することができ、改質器20内部の温度を上げることができる。また、本実施形態においては、改質を行う燃料ガス通過区画23aおよび23cに挟まれた空間(燃焼区画22)にセル排気ガスが導入されて燃焼が起こるため、改質器20の外部で燃焼熱が消費され難く、改質器20を効率的に加熱することができる。また、改質を行う部分では吸熱反応が起こるので、この改質器20は、吸熱体によって囲まれているといえる。そのため、従来の燃料電池モジュールにおける改質器と比較して、改質器からの放熱を抑えることができ、燃料電池モジュール100をコンパクトにすることができる。
本実施形態においては、改質器20は燃料電池セル10の上方(Z方向)に配置されている。このように配置することで、燃料電池セル10から排出される高温のセル排気ガスを、自然対流(上方への流れ)にしたがって燃料電池セル10の上方にあるセル排気ガス導入口21に導入することができる。しかし、本発明は前記構成に限定されず、改質器は燃料電池セル10の側面側に配置してもよい。この場合、セル排気ガス導入口は改質器の燃料電池セルに対向する区画に配置しておき、燃料電池セルからセル排気ガス導入口にセル排気ガスを導入できるよう、パイプ等を設けておけばよい。
燃焼区画および燃料ガス通過区画を形成する区画部材の材料としては、ステンレスなどを用いることができる。
このように、本発明の燃料電池モジュールでは、改質器の内部から効率的な加熱を行うことができるので、燃料電池セルと改質器とを熱伝導部材で物理的に接合して熱の伝搬を行う必要はなく、熱伝導部材の接合に起因する燃料電池セルにおける温度むらを防ぐことができる。また、改質に必要な熱は、改質器内部での燃焼によって得ることができるので、燃料電池セル近傍に改質器を配置しても、燃料電池セル内部における温度むらを抑制することができる。そして、燃料電池セルから排出されるガスの燃焼熱は、改質器内部に効率的に伝搬されるので、熱利用効率も向上させることができる。また、燃料電池セルの温度分布の低減は、クラック等の不具合の解消にも貢献する。
本実施形態においては、改質器20は3段の構造を有するものについて説明したが、本発明はこれに限られず、例えば5段の構成等にすることもできる。5段の場合には、1段目および4段目を燃料ガスが通過する区画とし、2段目、3段目および5段目を燃焼区画とすることが好ましい。
また、3段の構造であっても、2段目を燃料ガスが通過する区画とし、1段目および3段目を燃焼区画としてもよい。このように、燃焼区画で燃料ガス通過区画を囲むことにより、燃料ガスは少なくとも上下2面から燃焼熱を受けることができ、より効果的に改質を行うことができる。また、本実施形態のように、改質器の上方に気化器が配置されている場合、燃焼区画が改質器の上面に配置されているので、気化器にも効率的に燃焼熱を伝搬することができる。
さらに、改質器は、気化器に相当する部分をその内部に有することもできる。例えば5段の構成の改質器の場合、燃焼区画に隣接する区画(例えば4段目)に改質用水を導入して、燃焼熱によって改質用水を気化し、別に導入された燃料ガスと混合して燃料ガス通過区画を通過させながら改質を行うことができる。
なお、本実施形態の燃料電池モジュール100は、一組の燃料電池セル10および改質器20を有している。ただし、本発明においては、この構成に限定されない。本発明の燃料電池モジュールは、例えば、複数組の燃料電池セルおよび改質器をハウジング内に有していてもよい。
100 燃料電池モジュール
10 燃料電池セル
12 ハウジング
15 空気予熱器
16 (空気)パイプ
17 (排ガス)パイプ
20 改質器
20A (改質器)1段目
20B (改質器)2段目
20C (改質器)3段目
21 セル排気ガス導入口
22 燃焼区画
23、23a、23b、23c 燃料ガス通過区画
24 水素ガス出口
25 排気ガス放出部
26 燃料ガス導入口
27 (燃料ガス)パイプ
28 気化器
29 (改質用水)パイプ

Claims (3)

  1. 水蒸気を用いて燃料ガスを水素ガスに改質する改質器と、前記改質器によって改質された水素ガスと有酸素ガスとが供給されることにより発電する燃料電池セルとを備え、
    前記改質器は、前記燃料電池セルから排出される、発電に使用済みのセル排気ガスを導入するセル排気ガス導入口を有しており、
    前記改質器は、その内部に前記セル排気ガスを燃焼させる燃焼区画と、前記燃料ガスが通過しながら改質される燃料ガス通過区画とを含み、
    前記燃焼区画と前記燃料ガス通過区画とは互いに分断されており、
    前記燃料ガス通過区画は、前記燃焼区画に隣接して配置されており、
    前記改質器によって改質された水素ガスが改質器から排出される水素ガス出口の側に、前記燃焼区画での燃焼によって生じる排気ガスが放出される排気ガス放出部が配置され、さらに、前記燃料ガス通過区画の流路の終点近傍は、前記排気ガス放出部の側の面に平行になるように形成されている燃料電池モジュール。
  2. 前記燃料ガス通過区画は、前記燃焼区画を挟み込むように配置されている、請求項1記載の燃料電池モジュール。
  3. 前記燃焼区画は、前記燃料ガス通過区画を挟み込むように配置されている、請求項1記載の燃料電池モジュール。
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