JP6418809B2 - 気体ばね式除振装置 - Google Patents
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Description
この実施形態1では、本発明に係る気体ばね式除振装置について、これをアイソレータとして複数使用した精密除振台を例に挙げて説明する。
図1は、この実施形態1に係る精密除振台Aの全体構成を示す斜視図である。この精密除振台Aは、例えば、図示しない半導体検査装置や電子顕微鏡、光学式計測装置などの精密機器を搭載して、それらの機器を床面から振動と殆ど絶縁した状態で設置するためのものである。この精密除振台Aの概略構成は、図1に示すように、床面に設置される下側構造部1と、この下側構造部1の上面の4隅にそれぞれ配置された気体ばね式除振装置であるアイソレータ2と、これら4つのアイソレータ2の上部に搭載された搭載板3とからなる。
図2は、アイソレータ2の斜視図である。図3は、図2のIII−III線におけるアイソレータ2の縦断面図である。このアイソレータ2は、基本的には従来例(特許文献1)のものと同様な構成を有し、ダイヤフラム形の空気ばね18のピストン12にジンバル機構と転動機構とを組み込んで、上下方向に柔らかいという空気ばね18本来の特性に加え、水平方向にも非常に柔らかな特性を得られるようにしたものである。
図5(a)は、この実施形態1の転動部品37を上側から見た外観斜視図である。図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における転動部品37の縦断面図である。転動部品37は、ロードディスク29に対しサポートロッド31を主体としてピストン12を転動させる転動機構を構成し、図5(a),(b)に示すように、サポートロッド31上端の拡径部31bに取り付けられる第2の機構部材としての転動子39と、ロードディスク29に取り付けられる第1の機構部材としての受け座43と、これら転動子39と受け座43とを保持するゴム製の保持具45と、この保持具45をロードディスク29に固定する上側固定部材59と、保持具45をサポートロッド31上端の拡径部31bに固定する下側固定部材61とで構成されている。
上記構成のアイソレータ2では、床面から上下方向の振動を受けたときに、空気ばね18の作用でピストン本体13、ピストンウエル23及びサポートロッド31等が一体に上下動することにより、搭載機器と床面との間の上下方向における変位が吸収され、上下方向の振動に対して優れた除振効果が得られる。また、床面から左右方向の振動を受けたときには、ダイヤフラム15のうねるような撓み動作を以てケース11に対してピストン12全体、つまりピストン本体13、ピストンウエル23及びサポートロッド31が揺動すると共に、転動子39の転動動作を以てサポートロッド31が受け座43の被転動面43aでロードディスク29に対して転動し、これらピストン12全体の揺動とサポートロッド31の揺動との組合せにより、搭載機器と床面との間の水平方向における変位が吸収され、水平方向の振動に対しても優れた除振効果が得られる。
図6(a),(b)は、転動部品37の取替え作業を示す工程図である。上述したアイソレータ2において、転動子39の転動動作に纏わる挙動特性、すなわちサポートロッド31の揺動し易さの程度を変えるための作業は、転動部品37を保持具45の機械的特性(硬度など)や転動子39の曲面の曲率が異なるものに取り替えるだけである。
上述のアイソレータ2において、何らかの理由で空気ばね18の気圧が低下したときには、ロードディスク29は降下位置規制板51上に載置されてその降下が止まる一方で、ピストン12は専用のストッパー機構を設けていないため自重で下方に引っ張られることになる。このとき、本実施形態のアイソレータ2では、転動子39と受け座43とを拘束している保持具45がロードディスク29とサポートロッド31とにフランジ片45a,45bを上側固定部材59及び下側固定部材61で挟み込んでそれぞれ固定されている、つまりこれらロードディスク29とサポートロッド31とは保持具45で連結されているので、ロードディスク29とサポートロッド31との上下方向における位置関係が保持具45により維持されて、転動子39の曲面41bとこれに当接する受け座43の被転動面43aとは離間しない。このことから、転動子39による受け座43の支承位置、ひいてはロードディスク29の支承位置の水平方向への位置ずれ発生が防止される。
したがって、この実施形態1によると、空気ばね18の空気圧が低下したときのピストン12の過度な降下を規制するストッパー機構をアイソレータ2に設けなくて済み、転動子39と受け座43との位置ずれが防止されるので、これに起因するロードディスク29の水平方向への位置ずれを簡単な構造で実質的に解消することができる。
この実施形態2に係る精密除振台Aは、アイソレータ2の転動部品37及びその周辺の構造が上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、アイソレータ2について上記実施形態1と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成箇所は図1〜図6に基づく上記実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
図7は、この実施形態2のアイソレータ2の図3相当図である。図10は、この実施形態2のアイソレータ2の上面図である。上記実施形態1は、ロードディスク29の下方に降下位置規制板51を備えるアイソレータ2について説明したが、この実施形態2のアイソレータ2は、図7に示すように、降下位置規制板51を備えず、空気室17内の空気圧が低下したときに降下してくるロードディスク29を受けてそれ以上の下方移動を規制する手段として締付けリング21を兼用している。
図8は、この実施形態2のアイソレータ2に用いられるピストン12の構成とケース11に対する取付け構造をと示す分解斜視図である。図9(a)は、この実施形態2のアイソレータ2に用いられる転動部品37の斜視図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における転動部品37の縦断面図である。転動部品37は、図9(a),(b)に示すように、上方に張り出す球面状(ドーム状)の曲面41bを有する上記実施形態1と同様な転動子39と、この転動子39の曲面41bを転動自在に受ける水平な被転動面43aを有する上記実施形態1と同様な受け座43と、これら転動子39及び受け座43の両外周面に亘って一体成形されたゴム製の保持具45とで構成されている。
上記構成のアイソレータ2でも、上記実施形態1と同様な作用が奏されることで、上下方向の振動と水平方向の振動に対して優れた除振効果が得られる。そして、このアイソレータ5では、水平方向の振動を除振する際、つまりは搭載機器と床面との間の水平方向における変位を吸収する際、転動子39の転動動作に伴って保持具45に生じた応力がサポートロッド31の揺動を抑制するダンパーとして作用し、当該サポートロッド31、ひいてはピストン12に生じる水平方向の振動を減衰させる減衰効果が得られる。
図11(a),(b)は、この実施形態2の転動部品37の取替え作業を示す工程図である。上述したアイソレータ2において、転動子39の転動動作に纏わる挙動特性と、水平方向の振動に対する減衰特性を精密除振台Aの用途や設置場所に応じて求められる特性に変える作業は、転動部品37を保持具45の機械的特性(硬度など)が異なるものに取り替えるだけである。この転動部品37の取替え作業は、基本的には上記実施形態1で説明した手順と同じである。
上述のアイソレータ2において、何らかの理由で空気ばね18の気圧が低下したときには、ロードディスク29は降下位置規制板51上に載置されてその降下が止まる一方で、ピストン12は専用のストッパー機構を設けていないため自重で下方に引っ張られることになる。このとき、本実施形態のアイソレータ2では、転動子39と受け座43とを拘束している保持具45がこれら両部材39,43に加硫接着されることで固定されている、つまり転動子39と受け座43とが保持具45で一体化されているので、転動子39の曲面41bとこれに当接する受け座43の被転動面43aとは離間しない。このことから、転動子39による受け座43の支承位置、ひいてはロードディスク29の支承位置の水平方向への位置ずれ発生が防止される。
したがって、この実施形態2によっても、上記実施形態1と同様に、ロードディスク29の水平方向への位置ずれを簡単な構造で実質的に解消することができる。
なお、上記実施形態1及び2では、サポートロッド31の下端部に鋼球33を収容し、その鋼球33の下側部分をウエルスラグ26によって転動自在に支持するようにしたが、これに限らず、ピストンウエル23の底部に上方に張り出す球面状(ドーム状)の曲面をなす突出部を設けて、その突出部をサポートロッド31の水平な下端面と当接させるようにしてもよい。
3 搭載板(被支持体)
11 ケース
11a 開口部
12 ピストン
15 ダイヤフラム(可撓性部材)
18 空気ばね
29 ロードディスク(荷重受け部材)
29c 貫通孔
36 凹陥部
39 転動子(第2の構成部材)
40a フランジ部(締結片)
41b 曲面
42 ボルト
43 受け座(第1の構成部材)
43a 被転動面
45 保持具
45a フランジ片(突出片)
45b フランジ片(突出片)
59 上側固定部材
61 下側固定部材
Claims (6)
- 被支持体の荷重を受ける荷重受け部材を上面に開口部を有するケースの上方に配置し、該荷重受け部材を支持するピストンを前記開口部からケース内に挿入して、該ピストンの下面を前記ケースの内部に臨ませると共に、該ピストンの外周から前記ケースの開口部の周縁までを環状の可撓性部材により閉塞して、前記被支持体の荷重を弾性的に支持する気体ばねを構成した気体ばね式除振装置であって、
前記荷重受け部材に対して前記ピストンを転動させる転動機構を備え、
前記転動機構は、前記荷重受け部材に取り付けられた第1の機構部材と、前記ピストンに取り付けられた第2の機構部材とを有し、
前記第1の機構部材及び第2の機構部材のうち、一方の機構部材は、凸状に張り出した曲面を有する転動子であり、他方の機構部材は、前記転動子の曲面を転動自在に受ける被転動面を有する受け座であり、
前記転動子と前記受け座とは、前記転動子の転動動作を弾性変形を以て許容するゴム製の保持具でこれら両部材の側方周囲を囲い込むことにより、前記曲面と前記被転動面とを上下方向に当接させた状態で拘束され、
前記保持具は、前記荷重受け部材及び第1の機構部材のうち少なくとも一方の部材と、前記ピストン及び第2の機構部材のうち少なくとも一方の部材とに固定されており、前記荷重受け部材と前記ピストンとが前記転動機構によって連結されている
ことを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1に記載された気体ばね式除振装置において、
前記保持具は、前記転動子及び受け座が内部に嵌入される筒状に形成され、上下方向における両端部に外側方へ突出した突出片を有し、
前記荷重受け部材には、前記保持具の上側の突出片を当該荷重受け部材側に押さえ付けて固定する上側固定部材が取り付けられ、
前記ピストンには、前記保持具の下側の突出片を当該ピストン側に押さえ付けて固定する下側固定部材が取り付けられている
ことを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項2に記載された気体ばね式除振装置において、
前記突出片は、前記保持具の周方向全体に延びる環状のフランジ片であり、
前記上側固定部材及び下側固定部材は、前記フランジ片を全周に亘って押さえ付けている
ことを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1に記載された気体ばね式除振装置において、
前記保持具は、前記転動子及び受け座に加硫接着されることで固定されている
ことを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載された気体ばね式除振装置において、
前記荷重受け部材の下側面には、上方へ凹陥した凹陥部が形成され、
前記凹陥部は、当該凹陥部の内部空間を取り囲む内周面を有し、
前記保持具は、前記凹陥部に対し、前記凹陥部の内周面に外周面を接触させて嵌入されている
ことを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載された気体ばね式除振装置において、
前記転動子は、外側方に突出した締結片を下端部に有し、前記ピストンに前記締結片をボルトで締結することで取り付けられ、
前記荷重受け部材のうち前記ボルトの上方に対応する部分には、当該ボルトを取り外すための貫通孔が形成されている
ことを特徴とする気体ばね式除振装置。
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