JP6418650B2 - 積層型二次電池および電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、正極と負極とがセパレータを介して重なり合っている積層型二次電池と電極の製造方法に関する。
二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ラップトップコンピュータなどのポータブル機器の電源としてはもちろん、車両や家庭用の電源として広く普及してきており、なかでも、高エネルギー密度で軽量なリチウムイオン二次電池は、生活に欠かせないエネルギー蓄積デバイスになっている。
二次電池は大別して捲回型と積層型に分類できる。捲回型二次電池の電池素子は、長尺の正極シートと負極シートとがセパレータによって隔離されつつ重ね合わされた状態で複数回巻き回された構造を有する。積層型二次電池の電池素子は、正極シートと負極シートとがセパレータによって隔離されながら交互に繰り返し積層された構造を有する。正極シートおよび負極シートは、集電体に、活物質(結着剤や導電材などを含む合剤である場合も含む)が塗布された塗布部と、電極端子を接続するために活物質が塗布されていない未塗布部とを備えている。
捲回型二次電池と積層型二次電池のいずれにおいても、正極端子の一端が正極シートの未塗布部に電気的に接続されて他端が外装容器(外装ケース)の外部に引き出され、負極端子の一端が負極シートの未塗布部に電気的に接続されて他端が外装容器の外部に引き出されるように、電池素子が外装容器内に封入されている。外装容器内には電池素子とともに電解液も封入されている。二次電池は年々大容量化する傾向にあり、これに伴って、仮に短絡が発生した場合の発熱がより大きくなり危険が増すため、電池の安全対策がますます重要になっている。
安全対策の例として、正極と負極との間の短絡を防止するために、塗布部と未塗布部の境界部分に絶縁部材を形成する技術が知られている(特許文献1)。
特開2012−164470号公報
特許文献1に開示された技術では、図19に示すように、正極1と負極6とがセパレータ20を介して交互に積層されており、正極1の集電体3上に、活物質2が塗布された塗布部と活物質2が塗布されていない未塗布部との境界部分4を覆う絶縁部材40が形成されている。積層型二次電池においては、平面的に見て同じ位置で絶縁部材40が繰り返し積層される。このため、絶縁部材40の配置される位置において電池素子の厚さが部分的に大きくなり、体積あたりのエネルギー密度が低下する。
また、二次電池は、電気的な特性や信頼性を安定させるために、電池素子をテープ等で固定して電池素子を均一な圧力で押さえることが好ましい。しかし、積層型二次電池に特許文献1のような絶縁部材を用いると、絶縁部材40が存在する部分と存在しない部分との厚みの差により電池素子を均等に押さえることが出来なくなり、電気特性のばらつきやサイクル特性の低下など、電池の品質の低下を招くおそれがある。
そこで本発明の目的は、前記した問題点を解決して、絶縁部材によって正極と負極との間の短絡を防止するとともに、電池素子の体積の増大や変形を抑制して、電気特性および信頼性の高い高品質の積層型二次電池と電極の製造方法を提供することにある。
本発明の積層型二次電池は、正極と負極とがセパレータを介して交互に積層された電池素子を含み、正極と負極はそれぞれ、集電体と、集電体に塗布されている活物質とを含む。正極の集電体の一方の面に位置する活物質は、平坦部と、平坦部よりも端部側に位置して平坦部よりも厚さの薄い部分とを含む。正極の集電体の他方の面に位置する活物質の、一方の面に位置する活物質の厚さの薄い部分と集電体を介して対向する部分は、平坦部である。正極の、活物質が塗布されている塗布部と、活物質が塗布されていない未塗布部との境界部分を覆い、かつ正極の集電体の一方の面に位置する活物質の厚さの薄い部分の上に一端部が位置するように絶縁部材が配置されている。正極の集電体の他方の面に位置する活物質は、厚さの異なる傾斜部および薄層部を含まないものである。
本発明によると、絶縁部材による電池素子の体積の増加や電池素子の歪みを抑制することが可能であるため、エネルギー密度に優れた高品質の積層型二次電池を提供することができる。
本発明の積層型二次電池の基本構造を表す平面図である。 図1AのA−A線断面図である。 本発明の二次電池の一実施形態の正極を示す拡大断面図である。 本発明の二次電池の一実施形態の要部を示す拡大断面図である。 本発明の二次電池の一実施形態の正極の変形例を示す拡大断面図である。 電極塗工装置の一例を示す模式図である。 電極の製造方法の参考例を示す模式図である。 本発明の電極の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明の二次電池の製造方法の正極形成工程を示す平面図である。 本発明の二次電池の製造方法の図7に続く工程を示す平面図である。 本発明の二次電池の製造方法の図8に続く工程を示す平面図である。 図9Aに示す工程で切断されて形成された正極を示す平面図である。 本発明の二次電池の製造方法の負極形成工程を示す平面図である。 本発明の二次電池の製造方法の図10に続く工程を示す平面図である。 図11Aに示す工程で切断されて形成された負極を示す平面図である。 本発明の二次電池の他の実施形態の要部を示す拡大断面図である。 活物質の間欠塗布に用いられる装置の一例を模式的に示すブロック図である。 活物質の連続塗布に用いられる装置の一例を模式的に示す断面図である。 図14BのB−B線に沿う拡大断面図である。 本発明の二次電池の製造方法の正極形成工程の他の例を示す平面図である。 本発明の二次電池の製造方法の図15に続く工程を示す平面図である。 本発明の二次電池の製造方法の図16に続く工程を示す平面図である。 図17Aに示す工程で切断されて形成された正極を示す平面図である。 図15〜17Bに示す二次電池の製造方法にて用いられる電極ロールを示す斜視図である。 関連技術の積層型二次電池の要部を示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
[二次電池の基本構成]
図1は、本発明を採用した積層型のリチウムイオン二次電池の構成の一例を模式的に示している。図1Aは二次電池の主面(扁平な面)に対して垂直上方から見た平面図であり、図1Bは図1AのA−A線断面図である。
本発明のリチウムイオン二次電池100は、正極(正極シート)1と負極(負極シート)6とが、セパレータ20を介して交互に複数層積層された電極積層体(電池素子)を備えている。この電極積層体は電解液と共に、可撓性フィルム30からなる外装容器に収納されている。電極積層体の正極1には正極端子11の一端が、負極6には負極端子16の一端がそれぞれ接続されており、正極端子11の他端側および負極端子16の他端側は、それぞれ可撓性フィルム30の外部に引き出されている。図1Bでは、電極積層体を構成する各層の一部(厚さ方向の中間部に位置する層)を図示省略して、電解液を示している。
正極1は、正極集電体3とその正極集電体3に塗布された正極活物質2とを含み、正極集電体3の表面と裏面には、正極活物質2が塗布された塗布部と正極活物質2が塗布されていない未塗布部とが、長手方向に沿って並んで位置する。同様に、負極6は、負極集電体8とその負極集電体8に塗布された負極活物質7とを含み、負極集電体8の表面と裏面には塗布部と未塗布部とが、長手方向に沿って並んで位置する。正極1および負極6の塗布部と未塗布部の境界部分4の平面的な位置は、集電体の表面と裏面とで一致していても異なっていても(平面的にずれていても)よい。
正極1と負極6のそれぞれの未塗布部は、電極端子(正極端子11または負極端子16)と接続するためのタブとして用いられる。正極1に接続される正極タブ同士は正極端子11上にまとめられ、正極端子11とともに超音波溶接等で互いに接続される。負極6に接続される負極タブ同士は負極端子16上にまとめられ、負極端子16とともに超音波溶接等で互いに接続される。そのうえで、正極端子11の他端部および負極端子16の他端部は外装容器の外部にそれぞれ引き出されている。
図2に示すように、正極1の塗布部と未塗布部の間の境界部分4を覆うように、負極端子16との短絡を防止するための絶縁部材40が形成されている。この絶縁部材40は境界部分4を覆うように、正極タブと正極活物質2の双方にまたがって形成されることが好ましい。絶縁部材40の形成については後述する。
負極6の塗布部(負極活物質7)の外形寸法は正極1の塗布部(正極活物質2)の外形寸法よりも大きく、セパレータ20の外形寸法よりも小さいか等しい。
図1A,1Bに示す電池において、正極活物質2としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiNi(1-x)CoO2、LiNix(CoAl)(1-x)2、Li2MO3−LiMO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などの層状酸化物系材料や、LiMn24、LiMn1.5Ni0.54、LiMn(2-x)x4などのスピネル系材料、LiMPO4などのオリビン系材料、Li2MPO4F、Li2MSiO4Fなどのフッ化オリビン系材料、V25などの酸化バナジウム系材料などが挙げられ、これらのうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。
負極活物質7としては、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの炭素材料や、リチウム金属材料、シリコンやスズなどの合金系材料、Nb25やTiO2などの酸化物系材料、あるいはこれらの複合物を用いることができる。
正極活物質2および負極活物質7には結着剤や導電助剤等を適宜加えることができ、導電助剤としては、カーボンブラック、炭素繊維、または黒鉛などのうちの1種、または2種以上の組み合せを用いることができる。また、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、変性アクリロニトリルゴム粒子などを用いることができる。
正極集電体3としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等を用いることができ、特にアルミニウムが好ましい。負極集電体8としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用いることができる。
また、電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類や、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類や、脂肪族カルボン酸エステル類や、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類や、鎖状エーテル類、環状エーテル類、などの有機溶媒のうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。さらに、これらの有機溶媒にリチウム塩を溶解させることができる。
セパレータ20は主に樹脂製の多孔膜、織布、不織布等からなり、その樹脂成分として、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、またはナイロン樹脂等を用いることができる。特にポリオレフィン系の微多孔膜は、イオン透過性と、正極と負極とを物理的に隔離する性能に優れているため好ましい。また、必要に応じて、セパレータ20には無機物粒子を含む層を形成してもよく、無機物粒子としては、絶縁性の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物などを挙げることができ、なかでもTiO2やAl23を含むことが好ましい。
外装容器には可撓性フィルム30からなるケースや缶ケース等を用いることができ、電池の軽量化の観点からは可撓性フィルム30を用いることが好ましい。可撓性フィルム30には、基材となる金属層の表裏面に樹脂層が設けられたものを用いることができる。金属層には、電解液の漏出や外部からの水分の浸入を防止する等のバリア性を有するものを選択することができ、アルミニウム、ステンレス鋼などを用いることができる。金属層の少なくとも一方の面には、変性ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂層が設けられる。可撓性フィルム30の熱融着性樹脂層同士を対向させ、電極積層体を収納する部分の周囲を熱融着することで外装容器が形成される。熱融着性の樹脂層が形成された面と反対側の面となる外装体表面にはナイロンフィルム、ポリエステルフィルムなどの樹脂層を設けることができる。
正極端子11には、アルミニウムやアルミニウム合金で構成されたもの、負極端子16には銅や銅合金あるいはそれらにニッケルメッキを施したものなどを用いることができる。それぞれの端子11,16の他端部側は外装容器の外部に引き出される。それぞれの端子11,16の、外装容器の外周部分の熱溶着される部分に対応する箇所には、熱融着性の樹脂をあらかじめ設けることができる。
正極活物質2の塗布部と未塗布部の境界部分4を覆うように形成される絶縁部材40には、ポリイミド、ガラス繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、あるいはこれらを含む材料を用いることができる。テープ状の樹脂部材に熱を加えて境界部分4に溶着させたり、ゲル状の樹脂を境界部分4に塗布してから乾燥させたりすることで絶縁部材40を形成することができる。
[電極の詳細な構成]
図2は、本発明におけるリチウムイオン二次電池100の一実施形態を説明するための概略断面図であり、電極積層体の一部分のみを拡大して模式的に記載している。ここでは、正極タブ側の正極活物質2の端部の周辺を示している。図3はこの正極1を含む電極積層体を示している。
図2,3に示すように、正極集電体3の両面に正極活物質2が形成されており、図1A,1Bでは図示を省略したが、正極活物質2が塗布されている塗布部と塗布されていない未塗布部(正極タブ)とにまたがって絶縁部材40が設けられている。そして、正極集電体3の一方の面(図2の上面)上に形成された第1の正極活物質層2Aは、平坦部2A1と、傾斜部2A2と、薄層部2A3を有している。薄層部2A3は、平坦部2A1よりも端部側(正極タブ側)に位置して平坦部2A1よりも厚さが薄い部分である。傾斜部2A2は、厚い平坦部2A1と薄い薄層部2A3とをなだらかに接続するように連続的に厚さが薄くなっている部分である。ただし、傾斜部2A2に代えて、厚さが断続的に薄くなる段部が設けられてもよい。これに対し、正極集電体3の他方の面(図2の下面)上に形成された第2の正極活物質層2Bは、平坦部のみからなる。絶縁部材40の一方の端部40aは第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3上に位置しており、他方の端部40bは未塗布部、すなわち正極活物質2が形成されていない正極集電体3(正極タブ)上に位置している。図3に示すように、負極6においても、負極集電体8の表裏両面に負極活物質7が塗布されているが、負極活物質7は平坦部のみからなり、傾斜部や薄層部を有していない。
第1の正極活物質2Aの平坦部2A1と薄層部2A3の厚さの差は、絶縁部材40の厚さよりも大きいことが好ましい。また、第2の正極活物質層2B上に位置する絶縁部材40の端部40aは、第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3に対向するように位置することが好ましい。このように配置することで、正極集電体3の両面に位置する絶縁部材40による厚さの増加を抑えることができる。すなわち、第1の正極活物質層2A(塗布部)の外縁部における厚みの調整(低減)により、絶縁部材40が位置する箇所における電極積層体の部分的な厚みの増大を抑え、電池の特性に影響が及ばないようにすることができる。特に、第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3と平坦部2A1の厚さの差が、1つの絶縁部材40の厚さの2倍以上であると、2つの絶縁部材40による厚さの増加分を第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3による厚さの低減によって吸収できるため、効果的である。なお、正極集電体3の両面の正極活物質層2A,2Bが同じ厚さである必要はないので、仮に一方の正極活物質層(第2の正極活物質層2B)の厚さが絶縁部材40の厚さの2倍よりも小さいとしても、図4に示すように、もう1つの正極活物質層(第1の正極活物質層2A)の平坦部2A1のみを厚くして平坦部2A1と薄層部2A3の厚さの差が絶縁部材40の厚さの2倍以上になるようにすれば、2つの絶縁部材40による厚さの増加分を薄層部2A3による厚さの低減によって吸収でき、十分な効果が得られる。
前記したように第1の正極活物質層2Aの傾斜部2A2および薄膜部2A3が設けられている端部と同じ側の端部において、負極6では、負極集電体8とその両面に形成された平坦な負極活物質7とが切断されて終端している。すなわち、第1の正極活物質層2Aの傾斜部2A2および薄膜部2A3と同じ側の端部において、負極活物質7は傾斜部も段部も薄膜部も有していない。この端部は、セパレータ20を介して絶縁部材40と対向する位置にある。
図3では、見やすくするために、正極1と負極6とセパレータ20とがそれぞれ互いに接触していないように図示しているが、実際にはこれらは密着して積層されている。図3に示されている構成では、前記した通り第1の正極活物質層2Aの傾斜部2A1および薄膜部2A3の厚さの差が絶縁部材40の厚さの2倍よりも大きいため、正極1と負極6とセパレータ20を互いに密着させると、薄層部2A3の位置で正極1が湾曲することにより、電極積層体の絶縁部材40による部分的な厚さの増大を防ぐことができる。このように図3には正極1が湾曲した構成を例示しているが、負極6だけが湾曲する構成や、正極1と負極6の両方が湾曲する構成にすることも可能である。
なお、平坦部2A1や薄膜部2A3は必ずしも正極集電体3上に互いに平行に配置されている必要はなく、正極1の塗布部と未塗布部との境界部分4や、負極6の端部も、それらの端縁が集電体3,8の延びる方向に直交する直線状でなく丸みを帯びた曲線状であってもよい。正極活物質2と負極活物質7のいずれにおいても、例えば製造上のばらつきや層形成能力に起因する不可避な各層の傾斜や凹凸や丸み等が生じていても構わないことは言うまでもない。
第1の正極活物質層2Aが、図3に示すようななだらかな傾斜部2A2に代えて、段階的に厚さが薄くなる段部を有していてもよく、傾斜部2A2と段部がともに設けられていてもよい。また、薄膜部2A3が傾斜部2A2や段部と独立して設けられておらず、厚さが薄くなっている傾斜部2A2や段部の一部が、絶縁部材40と対向して絶縁部材40による厚さの増加分を吸収する構成であってもよい。その場合、傾斜部2A2や段部の絶縁部材40と対向する部分が、薄層部2A3として作用すると言える。図2〜4に示されている傾斜部2A2および薄層部2A3や、図示されていない段部は、平坦部2A1に比べて低密度である。
図3に示す構成において、両方の正極活物質層2A,2Bに傾斜部、段部、薄層部を設けるのではなく、第1の正極活物質層2Aのみに傾斜部2A2および薄層部2A3が形成されているのは、薄層部2A3の形状を精度良く形成できることと、電極容量のロスが小さいことに依るところが大きい。
例えば、第1の正極活物質層2Aと第2の正極活物質2Bの両方に傾斜部や段部や薄層部を設ける場合、傾斜部や段部や薄層部に対向するように絶縁部材40を配置すれば、絶縁部材による部分的な厚さの増大を抑えることができる。しかし、厚さを薄くすることで活物質の量が減るため、電池容量が小さくなってしまう。また、発明者らが鋭意検討を重ねた結果、両方の正極活物質層2A,2Bの両方に薄層部2A3を設ける場合に、厚さを十分に薄くすることができない場合があることが判明した。その場合、その電極は不良品として製品には使用できず廃棄されるため、生産性の低下を招く。また、セパレータ20を介して正極1と対向する負極6の負極活物質8に薄層部や傾斜部や段部を設けると、絶縁部材40による部分的な厚さの増大を防ぐ効果が得られるが、その場合には負極活物質8の量も減るため、やはり電池容量が低下するため好ましくない。
より詳細に評価すると、正極活物質2の薄層部や傾斜部や段部が精度良く形成できず不安定になるのは、第1の正極活物質2Aと第2の正極活物質2Bのいずれかに偏って形成される傾向があることが一因であると判明した。これについて、図5A,5Bに示す参考例を用いて説明する。
図5Aは、電極塗工装置の1種であるダイコータの塗工部分を表す模式図である。このダイコータは、ダイヘッド500とバックロール400との間で集電体にスラリー200を塗布する。活物質を含むスラリー200は、ダイヘッド500の吐出口501から、バックロール400の外周面上を搬送される集電体に向けて吐出される。集電体上のスラリー200の厚さは、スラリー200の粘度等に応じて、集電体と吐出口501との間隔や、吐出量や、塗布速度などを調整することによって制御される。図5A,5Bに示す例では、正極活物質2を含むスラリー200を正極集電体3に間欠的に塗布している。もちろん、正極集電体3にスラリー200を連続的に塗布することもできる。
図5Bは、第1の正極活物質層2Aを正極集電体3の一方の面に塗布して乾燥した後に、他方の面に第2の正極活物質2Bを塗布している状態を示している。第1の正極活物質層2Aおよび第2の正極活物質層2Bはいずれも間欠的に形成されており、塗布部の両端(塗布開始端と塗布終了端)のいずれにも傾斜部と薄層部を形成している。正極集電体3の、既に第1の正極活物質層2Aが形成された面と反対側の面に第2の正極活物質層2Bを形成するためにダイヘッド500の吐出口501からスラリー200を吐出するとき、第1の正極活物質2Aの傾斜部および薄層部とバックロール400との間に隙間hが生じてしまう。ダイヘッド500においてスラリー200は加圧されており、スラリー200が吐出されると正極集電体3は隙間hがなくなる方向、すなわちバックロール400側に押されて、吐出口501と正極集電体3との間の間隔が増大する。このように、一方の面に傾斜部や薄層部を含む活物質を形成した後に、他方の面に活物質を形成しようとすると、吐出口501と集電体の間の間隔が安定せず、後から形成する活物質の厚さや傾斜が不安定になりやすいことが分かった。
そこで本発明では、図6に示すように、正極集電体3に、薄層部や傾斜部や段部を持たない平坦な第2の正極活物質層2Bを形成した後に、その反対側の面に、薄層部2A3や傾斜部2A2を持つ第1の正極活物質層2Aを形成する。そうすると、正極集電体3の、後から第1の正極活物質層2Aを塗布する部分は、平坦な第2の正極活物質層2Bがバックロール400に隙間なく密着した部分の反対側の部分である。第2の正極活物質2Bとバックロール400との間に隙間が生じないため、正極集電体3に第1の正極活物質2Aを形成する際に吐出口501と正極集電体3との間の間隔が極めて安定し、非常に精度良く傾斜部2A2や薄層部2A3を形成できる。したがって、第1の正極活物質層2Aの平坦部2A1と薄層部2A3の厚さの差を、絶縁部材40の厚さの2倍以上に精度良く形成できる。仮に、正極活物質2の厚さが薄く、絶縁部材の厚さの2倍以上薄い薄層部を形成できず、第1の正極活物質層2Aだけでは絶縁部材40による厚さの増加分を完全には吸収できない場合であっても、第1の正極活物質2Aの厚さを精度よく制御できるため、いずれか一方または両方の負極活物質を、絶縁部材と対向する位置において必要最小限だけ薄くして、電極積層体の部分的な厚さの増大を抑えることができる。
このように、集電体の一方の面に設けられる活物質に薄層部や傾斜部や段部を設けることにより、絶縁部材が設けられる位置における部分的な厚さの増大を効果的に抑制することができ、しかも、集電体の他方の面に設けられる活物質に薄層部や傾斜部や段部を設けないことにより生産性を高めることができる。
[電極の製造方法]
まず、前記したように、図6に示す工程において、複数の正極(正極シート)1を製造するための長尺の帯状の正極集電体3の両面に正極活物質2を間欠的に塗布する。図7には、両面に正極活物質2が塗布された正極集電体3の、第1の正極活物質層2A側の面が示されている。図7では明確ではないが、第1の正極活物質層2Aは、正極タブとなる境界部分4の近傍に傾斜部2A2と薄層部2A3を有している。そして、図8に示すように、境界部分4を覆うように絶縁部材40を形成する。図2,3に示すように、絶縁部材40の一方の端部40aは薄層部2A3の上に位置しており、他方の端部40bは未塗布部上に位置している。絶縁部材40の厚さが小さいと、絶縁性を十分に確保できないおそれがあるので、厚さは10μm以上であることが好ましい。また、絶縁部材40の厚さが大き過ぎると、本発明による電極積層体の厚さの増大を抑制する効果が十分に発揮されないため、絶縁部材40は正極活物質2の平坦部の厚さよりも小さい方が良い。好ましくは、絶縁部材40の厚さは正極活物質2の平坦部の厚さの90%以下、より好ましくは平坦部2bの厚さの60%以下である。未塗布部との境界部分4における塗布部(正極活物質2)の端部は、図2〜4に示すように正極集電体3に対して実質的に垂直に切り立っていてもよいが、図19に示すように僅かに傾斜していてもよい。負極6においても同様に、塗布部(負極活物質7)の端部は、僅かに傾斜していても、負極集電体8に対して実質的に垂直に切り立っていてもよい。
その後、個々の積層型電池に使用する正極1を得るために、図9Aに破線で示す切断線90に沿って正極集電体3を裁断して分割し、図9Bに示す所望の大きさの正極1を得る。切断線90は仮想的な線であって実際には形成されない。
一方、図6に示す工程と同様な方法で、複数の負極(負極シート)6を製造するための大面積の負極集電体8の両面に負極活物質7を間欠的に塗布する。図10には、両面に負極活物質7が塗布された負極集電体8が示されている。図2,3に示すように第1の正極活物質層2Aの平坦部2A1と薄層部2A3の厚さの差が絶縁部材40の厚さの2倍以上である場合には、負極活物質7は傾斜部や薄層部や段部を有しておらず平坦部のみからなる構成であってよい。
その後、個々の積層型電池に使用する負極6を得るために、図11Aに破線で示す切断線91に沿って負極集電体8を裁断して分割し、図11Bに示す所望の大きさの負極6を得る。切断線91は仮想的な線であって実際には形成されない。
このようにして形成された、図9Bに示す正極1と図11Bに示す負極6とを、セパレータ20を介して交互に積層し、正極端子11および負極端子16を接続することにより、図3に示す電極積層体が形成される。この電極積層体を電解液とともに、可撓性フィルム30からなる外装容器に収容し、封止することによって、図1A,1Bに示す二次電池100が形成される。このようにして形成された本発明の二次電池100では、絶縁部材40の一方の端部40aが第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3の上に位置する。
この二次電池100によると、正極1の塗布部と未塗布部の境界部分4を覆うように形成された絶縁部材40による厚さの増加分が、第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3や傾斜部2A2による厚さの低減によって吸収(相殺)され、電極積層体を部分的に厚くすることがないため、電極積層体を均等に押さえて保持することができ、電気特性のばらつきやサイクル特性の低下などの品質低下を抑えることができる。
なお、図11Bに示す例では、正極1の未塗布部(正極タブ)に対向する位置において、負極6の両面塗布部が切断されて終端しており、図3に示すように正極1の未塗布部に対向する位置では、負極集電体8の表裏に負極活物質7が存在し未塗布部が存在しない構成になっている。ただし、負極6の、正極1の未塗布部に対向する位置に、未塗布部が存在する構成にすることもできる。なお、図11Bに示すように、負極6の、正極1の未塗布部に対向しない端部には負極タブとなる未塗布部が設けられている。この負極6の塗布部と未塗布部との境界部分に絶縁部材(図示せず)を設ける場合には、正極1の絶縁部材40による厚さの増加分を吸収するのと同様に、負極活物質または正極活物質に厚さの薄い薄層部や傾斜部や段部を設け、それらの上またはそれらと対向する位置に絶縁部材を配置すればよい。
図12に示すように、負極6の少なくとも一方の負極活物質7に傾斜部7aを設けて、正極1に設けられた絶縁部材40に起因する電池の歪みが生じる可能性をより低減することもできる。一方の端部40aが第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3上に位置する絶縁部材40は、2つの絶縁部材40の厚さが、第1の正極活物質層2Aの平坦部2A1と薄層部2A3の厚さの差よりも大きくならないように形成するのが好ましいが、製造のばらつきにより第1の正極活物質層2Aの平坦部2A1と薄層部2A3の厚さの差が所望の大きさにならない可能性もある。そのように製造のばらつきが生じたとしても、負極活物質7の傾斜部7aが存在すると、正極1の製造のばらつきによる厚さの増加分を吸収(相殺)できる。なお、図12には、負極活物質7の傾斜部7aが、傾斜部2A1や薄層部2A3を有する第1の正極活物質層2A上の絶縁部材40とセパレータ20を介して対向する位置にある構成を例示しているが、傾斜部や薄層部を持たない第2の正極活物質層2B上の絶縁部材40とセパレータ20を介して対向するように配置してもよい。
本発明での各部材の厚さや距離などは、特に断りが無い限りは、任意の場所で測定した場合の3点以上の平均値を意味する。
(実施例1)
図6〜12を参照して説明した製造方法に従って、リチウムイオン二次電池を製造した。
<正極>
まず、正極活物質としてLiMn24とLiNi0.8Co0.1Al0.12との混合活物質を用い、導電剤としてカーボンブラック、バインダーとしてPVdFを用い、これらの合剤を有機溶媒中に分散したスラリー200を準備した。このスラリー200を、厚さ20μmのアルミニウムを主成分とする正極集電体3に間欠的に塗布して乾燥し、厚さ80μmの第2の正極活物質層2Bを形成した。正極活物質2を間欠的に塗布することで、正極活物質2の塗布部と未塗布部が、正極集電体2の長手方向に沿って交互に存在する状態にした。次いで、図6,7に示すように、正極集電体3の、第2の正極活物質層2Bを形成したのと反対側の面に正極活物質2を間欠的に塗布して乾燥し、第1の正極活物質層2Aを形成した。第1の正極活物質層2Aは、厚さ80μmの平坦部2A1と、厚さ20μmの薄層部2A3と、平坦部2A1と薄層部2A3との間で厚さが連続的に減少する傾斜部2A2とを有する構成にした。
集電体上への活物質の塗布方法について説明する。活物質を塗布する装置としては、ドクターブレードや、ダイコータや、グラビアコータや、転写方式や蒸着方式などの様々な塗布方法を実施する装置を用いることが可能である。本発明において活物質の塗布端部の位置を制御するためには、図6に示すようなダイコータを用いることが特に好ましい。ダイコータによる活物質の塗布方式としては、大別して、長尺の集電体の長手方向に沿って連続的に活物質を形成する連続塗布方式と、集電体の長手方向に沿って活物質の塗布部と未塗布部が交互に繰り返して形成される間欠塗布方式の2種類がある。
図13は、間欠塗布を行うダイコータの構成の一例を示す図である。図13に示すように、間欠塗布を行うダイコータのスラリー流路には、ダイヘッド500と、ダイヘッド500に連結された塗布弁502と、ポンプ503と、スラリー200を溜めるタンク504を有している。また、タンク504と塗布弁502との間にはリターン弁505を有している。この構成において、少なくとも塗布弁502にはモーター弁を使用するのが好ましい。モーター弁は、スラリー200の塗布中でも弁の開閉状態を精度良く変化させることができる。従って、モーター弁からなる塗布弁502をリターン弁505の動作と組み合わせてスラリー200の流路等を制御することで、活物質の塗布部(平坦部2A1と傾斜部2A2または段部と薄層部2A3)と未塗布部とそれらの境界部分を所望の形状に形成することが可能である。
また、図14A,14Bに模式的に示すダイコータを用いて、連続塗布を行って活物質を形成することもできる。このダイコータのダイヘッド500の吐出口501の両端部には、吐出口501の中央部に向かって厚さが減少するテーパー部または段差部501aを有するシム501bが設けられている。このシム501bにより、塗布部の端部に段部または傾斜部と薄層部が生じるように活物質を形成することができる。
このようにして正極集電体3上に正極活物質2を塗布した後に、図8に示すように正極1の塗布部と未塗布部の境界部分4を覆うように厚さ30μmのポリプロピレン製の絶縁テープ(絶縁部材)40を貼り付けた。このとき、正極活物質2の一方の面の境界部分4を覆うように設けられた絶縁テープ40は、端部40aが第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3上に位置するように形成した。正極活物質2の他方の面の境界部分4を覆うように設けられた絶縁テープ40は、一端部40aが、正極集電体3を介して第1の正極活物質層2Aの薄層部2A3と対向するように配置した。そして、図9aA,9Bに示すように、切断線90に沿って裁断して個々の正極1を得た。
<負極>
負極活物質7として表面を非晶質で被覆した黒鉛を用い、バインダーとしてPVdFを用い、これらの合剤を有機溶媒中に分散したスラリーを準備した。図10に示すように、スラリーを、負極集電体8である厚さ15μmの銅箔に間欠的に塗布して乾燥し、正極1と同様に負極活物質7の塗布部と、塗布しない未塗布部とを備えた負極ロールを作製した。負極活物質7は厚さ平坦部55μmのみからなる。負極活物質7の具体的な塗布方法は、前記した正極活物質2の塗布方法と同様であり、図13に示すダイコータを用いる間欠塗布であっても、図14A,14Bに示すダイコータを用いる連続塗布であってもよい。それから、図11A,11Bに示すように、切断線91に沿って裁断して個々の負極6を得た。負極6は、正極タブに対向しない位置に、負極活物質7の未塗布部である負極タブを有し、かつ、正極タブに対向する位置であって両面に負極活物質7が存在する部分において負極集電体8が裁断されている。負極6の塗布部と未塗布部の境界部分には絶縁部材は設けられていない。
<積層型電池の作製>
得られた正極1と負極6とを、厚さ25μmのポリプロピレンからなるセパレータ20を介して交互に積層し、これに負極端子16と正極端子11を取り付け、可撓性フィルム30からなる外装容器に収容することで、厚さ8mmの積層型二次電池を得た。
(実施例2)
活物質2であるLiMn24と、導電剤であるカーボンブラックと、バインダーであるPVdFとを含む合剤を用いて、正極集電体3の両面に正極活物質2を形成した。本実施例の第1の正極活物質層2Aは、厚さ35μmの平坦部2A1と、厚さ5μmの薄層部2A3と、平坦部2A1と薄層部2A3との間で厚さが連続的に減少する傾斜部2A2とを有する構成である。第2の正極活物質層2Bは厚さ35μmの平坦部のみからなる。次いで、実施例1と同様に厚さ30μmのポリプロピレン製の絶縁テープ(絶縁部材)40を貼り付けてから、正極集電体3を裁断して個々の正極1を得た。
また、負極活物質7として難黒鉛化炭素を用い、負極集電体8の両面に負極活物質7を形成した。本実施例の負極活物質7は、第1の正極活物質2Aと同様に、厚さ35μmの平坦部と、厚さ5μmの薄層部と、平坦部と薄層部との間で厚さが連続的に減少する傾斜部とを有する構成にした。そして、負極6の傾斜部および薄層部が、セパレータを介して、第1の正極活物質層2Aの傾斜部2A2および薄層部2A3と対向するように配置した。その他の条件は実施例1と同様にし、厚さ3mmの積層型二次電池を得た。
(比較例)
正極集電体3の両面の正極活物質をいずれも薄層部や傾斜部や段部を持たない厚さが均一な層として形成し、平坦部のみで傾斜部のない構成にした。それ以外は実施例1と同様にして積層型二次電池を得た。この積層型電池の厚さは中央部では約8mmであったが、端部付近では約9mmであった。
<評価>
このようにして得た積層型電池の放電容量やサイクル特性を、各水準ともに10pずつ評価したところ、実施例1,2の積層型電池は非常に安定した放電容量とサイクル特性を得られることが確認され、比較例の電池は実施例1,2の電池に比べて放電容量やサイクル特性が不安定であった。これは、積層型電池において、絶縁部材40が位置する部分の厚さがそれ以外の部分に比べて大きくなることを抑制したことで、積層型電池を均等に加圧しながら保持することが可能になり、電池特性が安定したと考えられる。
以上の各実施例では、正極活物質2および負極活物質7は間欠的な塗布(間欠塗布)により形成しているが、図15〜17Bに示すように、複数の電極形成部分に亘って隙間のない活物質層を形成するような連続的な塗布(連続塗布)によって形成してもよい。活物質を連続塗布で形成する場合には、図17Aの切断線90に沿って裁断する前に図18に示すように電極ロールとして保管でき、その場合には、絶縁部材40が配置された部分で極端に歪むことを抑制できるため、電極としての品質を向上させることができる。
本発明はリチウムイオン二次電池の電極の製造および当該電極を用いたリチウムイオン二次電池の製造に有用であるが、リチウムイオン電池以外の二次電池に適用しても有効である。
本出願は、2013年8月9日に出願された日本特許出願2013−166462号を基礎とする優先権を主張し、日本特許出願2013−166462号の開示の全てをここに取り込む。
1 正極
2 正極活物質
2A 第1の正極活物質層
2A1 平坦部
2A2 傾斜部
2A3 薄層部(厚さの薄い部分)
2B 第2の正極活物質層
3 正極集電体
4 境界部分
6 負極
7 負極活物質
8 負極集電体
20 セパレータ
40 絶縁部材
100 二次電池

Claims (8)

  1. 正極と負極とがセパレータを介して交互に積層された電池素子を含み、
    前記正極と前記負極はそれぞれ、集電体と、該集電体に塗布されている活物質とを含み、
    前記正極の前記集電体の一方の面に位置する前記活物質は、平坦部と、前記平坦部よりも端部側に位置して前記平坦部よりも厚さの薄い部分とを含み、
    前記正極の前記集電体の他方の面に位置する前記活物質の、前記一方の面に位置する前記活物質の前記厚さの薄い部分と前記集電体を介して対向する部分は、平坦部であり、
    前記正極の、前記活物質が塗布されている塗布部と、前記活物質が塗布されていない未塗布部との境界部分を覆い、かつ前記正極の前記集電体の前記一方の面に位置する前記活物質の前記厚さの薄い部分の上に一端部が位置するように絶縁部材が配置されており、
    前記正極の前記集電体の前記他方の面に位置する前記活物質は、厚さの異なる傾斜部および薄層部を含まないものである、積層型二次電池。
  2. 前記正極の前記集電体の前記一方の面に位置する前記活物質の、前記平坦部と前記厚さの薄い部分との厚さの差が、前記絶縁部材の厚さ以上である、請求項1に記載の積層型二次電池。
  3. 前記絶縁部材は前記正極の前記集電体の両面に設けられており、前記正極の前記集電体の前記一方の面に位置する前記活物質の、前記平坦部と前記厚さの薄い部分との厚さの差が、前記絶縁部材の厚さの2倍以上である、請求項2に記載の積層型二次電池。
  4. 前記絶縁部材の厚さと、前記絶縁部材が配置された部分における前記正極の前記集電体の前記一方の面上の前記活物質の厚さと、前記絶縁部材と前記セパレータを介して対向する部分における前記負極の前記活物質の厚さとの合計が、前記正極の前記活物質の前記平坦部の厚さと、前記平坦部と前記セパレータを介して対向する部分における前記負極の前記活物質の厚さとの合計以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層型二次電池。
  5. 前記正極の前記集電体の前記一方の面に位置する前記活物質の、前記厚さの薄い部分は、薄層部と、厚さが連続的に減少する傾斜部と、厚さが断続的に減少する段部のうちの、少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の積層型二次電池。
  6. 前記正極の前記集電体の前記他方の面に位置する前記活物質は前記平坦部のみからなる、請求項1から5のいずれか1項に記載の積層型二次電池。
  7. 前記負極の前記集電体の一方の面に位置する前記活物質は、平坦部と、前記平坦部よりも厚さの薄い部分とを含み、
    前記負極の前記集電体の他方の面に位置する前記活物質の、前記一方の面に位置する前記活物質の前記厚さの薄い部分と前記集電体を介して対向する部分は、平坦部であり、
    前記負極の前記集電体の前記一方の面に位置する前記活物質の前記厚さの薄い部分は、前記セパレータを介して、前記正極の前記活物質上に位置する絶縁部材と対向する、請求項1から6のいずれか1項に記載の積層型二次電池。
  8. 正極集電体の両面に正極活物質を間欠的に塗布する電極の製造方法であって、
    (A)前記正極集電体の一方の面に、平坦部と、前記平坦部よりも端部側に位置し、前記平坦部よりも厚さの薄い薄層部と、前記平坦部と前記薄層部の境界に位置し、前記平坦部と前記薄層部を接続する傾斜部と、を備えるように前記正極活物質を塗布する工程と、
    (B)前記工程(A)に先立ち、前記正極集電体の一方の面に形成する、前記平坦部と、前記薄層部と、前記傾斜部と、に前記正極集電体を介して対向する他方の面には、厚さの異なる傾斜部および薄層部を含まないように前記正極活物質を塗布する工程と、
    (C)前記工程(A)の後に、前記正極集電体の一方の面の前記薄層部の上に一端が位置し、他端が前記正極集電体の一方の面の活物質層の形成されていない未塗布部に位置するように絶縁部材を配置する工程と、
    を少なくとも含む、電極の製造方法。
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