JP2018045952A - 電極及び電気化学デバイスの製造方法と電極ロール - Google Patents

電極及び電気化学デバイスの製造方法と電極ロール Download PDF

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政則 平井
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Abstract

【課題】電気的短絡を防ぐための絶縁樹脂層を構成する材料の無駄を少なくすることができる電極及び電気化学デバイスの製造方法と電極ロールを提供する。【解決手段】集電体2上に活物質層3が形成されている塗布部と、活物質層3が形成されていない未塗布部とを有する電極の製造方法が、長尺の集電体2に、集電体2の長手方向に沿って複数の活物質層3が間隔をおいて並んで位置するように、間欠的に活物質層3を形成するステップと、塗布部の各々の、長手方向の少なくとも一方の端部上に、塗布部と未塗布部とにまたがるように絶縁樹脂層4を形成するステップと、を含む。絶縁樹脂層4を形成するステップでは、長手方向に交差する幅方向において部分的にのみ絶縁樹脂層4を形成する。【選択図】図4

Description

本発明は電極及び電気化学デバイスの製造方法と電極ロールに関する。
携帯電話、デジタルカメラ、ラップトップコンピュータなどの携帯型電子機器の電源や、車両用や家庭用の電源として広く普及している二次電池等の電気化学デバイスの1種として、積層型の電気化学デバイスがある。積層型の電気化学デバイスは、複数対のシート状電極、すなわち複数のシート状の正極と複数のシート状の負極がセパレータを介して交互に繰り返し積層された電極積層体を有している。
電気化学デバイス用のシート状の電極は、集電体に活物質(結着剤や導電材などを含む合剤である場合も含む)が塗布された塗布部と、電極端子と接続するために活物質が塗布されていない未塗布部とを備えている。積層型の電気化学デバイスでは、正極端子の一端が正極の未塗布部に電気的に接続されて他端が外装容器の外部に延び、負極端子の一端が負極の未塗布部に電気的に接続されて他端が外装容器の外部に延びるように、電極積層体が外装容器内に封入されている。外装容器内には電極積層体とともに電解液も封入されている。二次電池は年々大容量化する傾向にあり、これに伴って、仮に電気的短絡が発生した場合の発熱がより大きくなり危険が増すため、電池の安全対策がますます重要になっている。安全対策の例として、正極と負極との間の短絡を防止するために、正極の塗布部と未塗布部の境界部分にテープ状の絶縁部材が貼り付けられた構成がある。また、特許文献1には、正極の塗布部と未塗布部の境界部分にテープ状の絶縁部材ではなくアルミナペーストが塗布されて絶縁層(アルミナ含有層)が形成された構成の電極が開示されている。
特開2012−74359号公報
集電体における正極や負極の未塗布部は、電極端子と接続するための接続用のタブとして用いられる。電極端子との接続という目的を達成するためにはタブは塗布部に比べて幅が狭くても構わないので、未塗布部全体をタブとして用いるのではなく、未塗布部の一部を切り落として、幅が狭いタブを形成することがある。このタブの付け根にあたる位置に、絶縁部材が塗布部と未塗布部との全幅にまたがって設けられていると、幅が狭いタブを形成するために集電体の一部を切り落とす際に、集電体の切り落とされる部分に形成されている絶縁部材は、電極の一部として用いられることはなく無駄になる。
特に、積層型の二次電池の電極を製造する場合において、塗布部に比べて幅が狭いタブを取り出す場合には、積層数に応じて切り落とされて無駄になる絶縁部材や絶縁層の量が多く、材料の無駄に伴う製造コストの増大の問題が大きい。
正極の塗布部と未塗布部の境界部分にテープ状の絶縁部材が貼り付けられると、電極積層体が厚くなり、体積あたりのエネルギー密度が低下する。電極積層体の一部のみ、すなわちテープ状の絶縁部材が貼り付けられた部分のみが厚くなると、電極積層体を均等に押さえることができず、電気特性のばらつきやサイクル特性の低下を引き起こす。このように、テープ状の絶縁部材を貼り付けることにより、電気化学デバイスの性能の低下が生じる場合がある。
そこで、本発明の目的は、電気的短絡を防ぐための絶縁樹脂層を構成する材料の無駄を少なくすることができる電極及び電気化学デバイスの製造方法と電極ロールを提供することにある。
本発明の、集電体上に活物質層が形成されている塗布部と、活物質層が形成されていない未塗布部とを有する電極の製造方法は、長尺の集電体に、集電体の長手方向に沿って複数の活物質層が間隔をおいて並んで位置するように、間欠的に活物質層を形成するステップと、塗布部の各々の、長手方向の少なくとも一方の端部上に、塗布部と未塗布部とにまたがるように絶縁樹脂層を形成するステップと、を含む。絶縁樹脂層を形成するステップでは、長手方向に交差する幅方向において部分的にのみ絶縁樹脂層を形成する。
本発明によると、電極の電気的短絡を防ぐための絶縁樹脂層を構成する材料の無駄を少なくすることができる。また、絶縁樹脂層の一端を、正極の塗布部と未塗布部の境界における正極の塗布部の傾斜面上に位置させれば、電極を積層したときの厚みの不均一を防ぎ、体積効率の低下や電気特性の低下を防ぐ効果が得られる。
本発明の製造方法によって製造された電極の側面図である。 図1Aに示す電極の平面図である。 本発明の電極の製造方法の一実施形態の活物質層形成工程を示す平面図である。 図2Aに示す活物質層形成工程を示す側面図である。 図2A,2Bに示す活物質層形成工程に続く絶縁樹脂層形成工程を示す平面図である。 図3Aに示す絶縁樹脂層形成工程を示す側面図である。 図3A,3Bに示す絶縁樹脂層形成工程に続く切断工程を示す平面図である。 比較例の切断工程を示す平面図である。 図5Aに示す切断工程によって形成された比較例の電極を示す平面図である。 図1Bの要部の拡大図である。 本発明の電極の製造方法を模式的に示す側面図である。 図7に示す電極の製造方法に用いられるダイヘッドのシムを示す平面図である。 本発明の電極の製造方法の他の例を模式的に示す側面図である。 本発明の電極ロールを示す斜視図である。 本発明の製造方法によって製造された電気化学デバイスの一例である積層型二次電池の側面断面図である。 図11AのA−A線断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[電極の基本構成]
まず、本発明によって製造される電極の基本構造について説明する。図1A,1Bに示す電極1は、集電体2と、集電体2に塗布された活物質層3とを含む。集電体2の表面と裏面には、活物質層3が形成された塗布部と、活物質層3が形成されていない未塗布部とをそれぞれ有する。活物質層3(塗布部)の長手方向の一方の端部上に、塗布部(活物質層3)と未塗布部(集電体2の活物質層が形成されていない部分)とに跨るように、絶縁樹脂層4が形成されている。一例としては、絶縁樹脂層4は、アルミナ粉などの絶縁材料をポリマー(樹脂)とともに溶剤に分散させた塗布剤が、集電体2及び活物質層3の上に塗布された後に固化したものである。活物質層3(塗布部)の長手方向の他方の端部は集電体2と同じ位置で終端しており、未塗布部が設けられておらず、絶縁樹脂層4も設けられていない。
[電極の製造方法]
図1A,1Bに示す電極1の製造方法について説明する。電極1を効率良く製造するために、図2A,2Bに示すように、1枚の長尺のシート状の集電体2の複数個所に活物質層3をそれぞれ形成し、図3A,3Bに示すように、絶縁樹脂層4を形成する。この活物質層3の形成と絶縁樹脂層4の形成を、集電体2の表裏両面に対して行ったら、図4に仮想的に示す切断線19に沿って切断することによって、複数の電極1(図1A,1B参照)を得る。
この電極1の製造方法では、活物質層3(塗布部)の長手方向の一方の端部であって、塗布部と未塗布部の境界部分を覆う位置に、テープ状の絶縁部材を貼り付けるのではなく、主に樹脂(ポリマー)からなる塗布剤を塗布することによって絶縁樹脂層4を形成している。そして、図3A,4に示すように、絶縁樹脂層4は、集電体2の全幅に亘って形成するのではなく、切断線19に沿って切断した際に切り落とされずにタブ(未塗布部)として残る部分とその近傍のみに形成している。言い換えると、切断前の集電体2の幅方向(長手方向に交差する方向であって、長手方向に直交する方向)に沿って、複数の絶縁樹脂層4が互いに間隔を置いて並んで位置している。各絶縁樹脂層4は、切断後に個々の電極1のタブになる部分の付け根にあたる位置に設けられており、それ以外の部分には設けられていない。この製造方法によると、必要な部分にのみ絶縁樹脂層4を形成するため、材料の無駄が省ける。
ここで、本発明と対比するための比較例として、切断前の集電体2の全幅にわたって絶縁樹脂層15を形成した状態と、その後に切断工程を行って形成した電極を、図5A,5Bに示す。図5Aに示すように、全幅に亘って絶縁樹脂層15を形成すると、絶縁樹脂層15の、個々の電極を得るために切断線19に沿って切断する際に切り落とされて無駄になる部分15aが多い。また、切り落とされずに電極の活物質層3の上に残存している部分15bは、他の電極との間の電気的短絡の防止のためにはほとんど寄与することがなく不必要である。さらに、例えばこの電極が二次電池に採用された場合に、絶縁樹脂層15の、電極の活物質層3の上に残存している部分15bが、活物質層3におけるイオンの出入りを妨げて、電池の充電や放電の性能を低下させるおそれがある。このように、絶縁樹脂層15の切り落とされた部分15aは材料の無駄になり、活物質層3の上に残存している部分15bは、電極の機能を低下させるという問題がある。さらに、アルミナ等を含む絶縁樹脂層15は硬く、切断時に切断用刃(図示せず)を劣化させる可能性がある。集電体2の全幅にわたって絶縁樹脂層15が形成されていると、図5Aに示す切断線19から明らかなように、絶縁樹脂層15を切断する個所が大きく、特に集電体2の幅方向に沿って絶縁樹脂層15を切断する長さが長く、切断用刃の劣化が激しい。
これに対し、図1A〜4に示す本実施形態では、個々の電極のタブとなる部分とその近傍にのみ絶縁樹脂層4を形成するため、絶縁樹脂層4の、個々の電極を得るために切断線19に沿って切断する際に切り落とされて無駄になる部分は少なく、切り落とされずに電極の活物質層3の上に残存する部分もごく僅かである。すなわち、絶縁樹脂層4が無駄になる量が少なく、絶縁樹脂層4が電極1の機能を低下させることもほとんど無い。また、図4に示す切断線19から明らかなように、集電体2の幅方向に沿って絶縁樹脂層4を切断する部分はほとんどなく、絶縁樹脂層4を切断する個所が小さいため、切断用刃の劣化を小さくすることができる。
また、テープ状の絶縁部材を用いる場合には、テープ状の絶縁部材を個々の電極のタブとなる部分とその近傍にのみ貼り付けようとすると、複数の短いテープ状の絶縁部材を1つ1つ個別に貼り付ける必要があり、作業が非常に煩雑になるため好ましくない。しかし、本発明では、主に樹脂からなる塗布剤を集電体2に塗布するため、必要な部分のみに部分的に絶縁樹脂層4を形成することは、集電体の全幅に亘って絶縁樹脂層を形成する場合と比べても煩雑ではなく、容易に行うことができる。すなわち、作業をあまり繁雑にすることなく、絶縁樹脂層4の材料の無駄を省くことができる。
テープ状の絶縁部材を剥がれないようにしっかりと固定するには、平坦化された活物質層3の上面も含む広い範囲に接着することが好ましい。しかし、その結果、活物質層3とテープ状の絶縁部材とが重なる部分の厚さが、他の部分に比べて厚くなる。この電極を多数重ねて電極積層体を構成すると、各電極の絶縁部材による厚さの増大が累積して、電極積層体の部分的な厚さの差が大きくなる。そうすると、体積あたりのエネルギー密度が低下するとともに、電極積層体を均等に押さえることができないことよる電気特性のばらつきやサイクル特性の低下を引き起こす。これに対し、本発明では、主に溶融状態の樹脂からなる塗布剤を集電体2に塗布してから固化させることにより絶縁樹脂層4を形成するため、絶縁樹脂層4は、平坦な活物質層3の上面に重なっていなくても強固に固定される。従って、図1Aに示すように、絶縁樹脂層4の部分が他の部分よりも厚くならないようにすることができ、前述した様々な問題を回避することができる。特に、図1B等に示すように、活物質層の長手方向の端部に生じた斜面上で、絶縁樹脂層4の厚さを徐々に低減しながら終端させることによって、活物質層3の上方に突出することなく絶縁樹脂層4を形成することができる。これは、テープ状の絶縁部材を用いる場合には不可能であり、主に樹脂からなる塗布剤を塗布して絶縁樹脂層4が形成される構成においてのみ可能である。また、主に溶融状態の樹脂からなる塗布剤を集電体2に塗布して形成した絶縁樹脂層4は、端縁が完全な直線ではなく、図6に拡大して示すように微細な凹凸部4aを多数含む形状になる。絶縁樹脂層4に対して外部から力が加わった場合に、仮に絶縁樹脂層4の端縁が完全な直線であると、その絶縁樹脂層を剥がす方向に力が加わると剥離してしまう可能性がある。しかし、図6に示すように絶縁樹脂層の端縁が凹凸部4aを含んでいると、一方向からの力に対して剥がれやすい部分もあるが剥がれにくい部分も存在する。従って、いかなる方向から力が加わった場合でも、絶縁樹脂層4の端縁の凹凸部4aには、剥離に対する抵抗になる部分が存在する。従って、塗布によって絶縁樹脂層4を形成することに起因して生じる凹凸部4aが、外力による絶縁樹脂層4の剥離を抑制する。これにより、前述したように活物質層3の上面も含む広い範囲に絶縁樹脂層4を形成する必要がなく、電極積層体の厚さの増大を招くことなく強固に接合でき、体積あたりのエネルギー密度や電気特性やサイクル特性を良好に維持することができる。
電極の製造方法のさらに具体的な例について説明する。まず、長尺のシート状の集電体2をその長手方向に移動させながら、集電体2の表面に活物質を塗布して活物質層3を形成する。この時、活物質を集電体2の表面上に切れ目なく連続的に塗布するのではなく、間隔を置いて間欠的に塗布する、いわゆる間欠塗工を行う。その結果、集電体2の表面に、長手方向に沿って互いに間隔を置いて複数の活物質層3が形成される。この活物質層3をプレスして平坦化した後に、絶縁樹脂層4を形成する。絶縁樹脂層4の形成は、図7の矢印20に沿って、集電体2をその長手方向に移動させながら、ダイヘッド16から樹脂を主成分とする塗布剤を吐出して行う。ダイヘッド16は、図8に示すシム17を内蔵しており、集電体2の搬送経路に対して近づいたり遠ざかったりすることができる。図7には、便宜上、集電体2が移動せずにダイヘッド16が移動しているか、または複数のダイヘッド16が存在するように図示しているが、実際には1個のダイヘッド16が、移動する集電体2の搬送経路に対向する位置に配置されている。図7の左側に示すように、集電体2の、活物質層3が形成された端部よりも所定距離だけ手前の部分が、ダイヘッド16に対向する位置に到達すると、ダイヘッド16が塗布剤の吐出を開始する。この時、シム17の3つの吐出口部17aから塗布剤を吐出し、図3Aに示すように、集電体2の幅方向に沿って間隔をおいて並んで位置する3つの絶縁樹脂層4を形成する。活物質層3の端部の傾斜面の途中まで絶縁樹脂層4を形成したら、ダイヘッド16が塗布剤の吐出を停止し、活物質層3の上面とぶつからないように、集電体2の搬送経路から離れるように移動する。そして、集電体2が移動して活物質層3がダイヘッド16と対向する位置を通過し終わったら、ダイヘッド16が再び集電体2の搬送経路に接近して、次の活物質層3の端部よりも所定距離だけ手前の部分に塗布剤を吐出するように準備態勢になる。このように、ダイヘッド16が集電体2の搬送経路に対して移動しながら塗布剤の吐出を行うことにより、容易に精度良く良好な絶縁樹脂層4の形成を行うことができる。
図9には、絶縁樹脂層4の形成工程の他の例を示している。この例では、ダイヘッド16を集電体2の搬送経路に対し近づけたり遠ざけたりすることなく、その代わりにダイヘッド16からの塗布剤の吐出量を変えて、塗布位置や塗布厚さを制御して、高精度で良好な絶縁樹脂層4の形成を行うことができる。図9には、ダイヘッド16の吐出量の変更に伴う減圧領域21を模式的に示している。
以上説明した実施形態では、本発明の電極の製造方法において、活物質層3を形成した後に、プレス工程を行ってから絶縁樹脂層4の形成を行う。ただし、活物質層3を形成した後に、プレス工程を行わずに絶縁樹脂層4の形成を行うこともできる。また、本発明の電極1は、前述したように集電体2の両面に活物質層3および絶縁樹脂層4が形成されている構成に限られず、集電体2の片面のみに活物質層3および絶縁樹脂層4が形成されている構成であってもよい。
このようにして活物質層3と絶縁樹脂層4とが形成された長尺の集電体2を、切断することなくロール状に巻いて、図10に示す電極ロール22を形成することができる。この電極ロール22を保管しておくことにより、多数の電気化学デバイスを非常に効率良く製造できる。この電極ロール22を用いることによって、前述した様々な効果が得られる。すなわち、絶縁樹脂層4が無駄になる量が少なく、また、切断用刃の劣化を小さくすることができる。さらに、複数の絶縁樹脂層4を形成することは煩雑ではなく容易に行うことができ、剥離を抑制する効果もある。そして、絶縁樹脂層4による電極積層体の厚さの増大を防ぐことができ、電極1の機能を低下させることはほとんど無い。
以上説明した電極1(図10に示す電極ロールから切り出された電極1)を用いて製造した電気化学デバイスについて以下に説明する。以下に記載する例では、前述した電極1を、電気化学デバイスの1種である積層型の二次電池の正極として用いるため、電極1を「正極1」、集電体2を「正極集電体2」、活物質層3を「正極活物質3」とも称する。
[積層型の二次電池の構成]
前述した電極1を正極として含む電気化学デバイスの一例である積層型の二次電池23について、図11A,11Bを参照して説明する。図11A,11Bは、本発明によって製造された正極1を含む積層型の二次電池23を模式的に示している。図11Aは二次電池23の主面(平坦な面)に対して垂直上方から見た平面図であり、図11Bは図11AのA−A線断面図である。便宜上、図11A,11Bでは絶縁樹脂層4を省略し、活物質層3の形状を簡略化しているが、実際には、図1A,1Bに示す絶縁樹脂層4を含む正極1が用いられている。もう1種類の電極である負極5は、負極用の集電体(負極集電体)6とその負極集電体6に塗布された負極用の活物質層(負極活物質層)7とを含み、負極集電体6の表面と裏面には塗布部と未塗布部を有する。図11A,11Bに示されている負極5には絶縁樹脂層4は設けられていないが、必要に応じて絶縁樹脂層4を形成してもよい。その場合、前述した本発明の製造方法によって負極5を形成することも可能である。
本実施形態の二次電池23は、2種類の電極、すなわち正極(正極シート)1と負極(負極シート)5とがセパレータ8を介して交互に重なり合う電極積層体(蓄電素子)9を備えている。この電極積層体9は電解液10とともに、可撓性フィルム(ラミネートフィルム)11からなる外装容器12内に収納されている。電極積層体9の正極1には正極端子13の一端部が接続され、負極5には負極端子14の一端部が接続されている。正極端子13の他端部および負極端子14の他端部は、それぞれ可撓性フィルム11からなる外装容器12の外部に引き出されている。図11Aでは、電極積層体9を構成する各層の一部(厚さ方向の中間部に位置する層)を図示省略して、電解液10を示している。図11Bでは、見やすくするために、正極1と負極5とセパレータ8と可撓性フィルム11がそれぞれ互いに接触していないように図示しているが、実際にはこれらは密着して積層されている。負極5の塗布部(負極活物質層7)の外形寸法は正極1の塗布部(正極活物質層3)の外形寸法よりも大きく、セパレータ8の外形寸法よりも小さいか等しい。
この二次電池23の製造の際には、正極1と負極5とを、セパレータ8を介して交互に積層し、正極端子13および負極端子14を接続する。具体的には、複数の正極1の正極タブ(正極集電体2の未塗布部)を正極端子13の一端部の上に密接に重ね合わせ、これらを一括して超音波溶着等により接合する。負極5においても、正極1と同様に、複数の負極タブ(負極集電体の未塗布部)6を負極端子14の一端部の上に重ね合わせて超音波溶接等により接合する。
このようにして正極1の未塗布部(正極集電体2)に正極端子13が接続され、かつ負極5の未塗布部(負極集電体6)に負極端子14が接続されて完成した電極積層体9を、その主面(平坦な面)の上下から可撓性フィルム11によって覆う。そして、平面的に見て電極積層体9の外周縁部の外側において、可撓性フィルム11同士が重なり合う部分に、一部を除いて圧力と熱を加えて、可撓性フィルム11の内側の樹脂層を構成する熱融着性樹脂を互いに熱融着させて接合する。この時、正極端子13と負極端子14は、予め設けられた封止材(シーラント)18を介して可撓性フィルム11の外周部に固着させる。一方、可撓性フィルム11同士が重なり合う部分のうち、圧力と熱を加えていない部分は、非接合のままの開口部分(注入口部分)として残る。一般的には、外装容器12のうち、正極端子13及び負極端子14が配置される辺を除く辺のうち、いずれか1辺の一部に注入口部分を形成する。そして、注入口部分から外装容器12の内部に電解液10を注入する。注入口部分以外の辺はすべて既に封止されているので、注入した電解液10が漏れることはない。また、既に封止されている辺において、可撓性フィルム11同士が重なり合う部分に電解液10が浸入することはない。その後、注入口部分に圧力と熱を加えて、可撓性フィルム11の内側の樹脂層を構成する熱融着性樹脂を互いに熱融着させて接合する。こうして電気化学デバイスの一例である二次電池23が完成する。
本実施形態の二次電池23において、正極活物質層3を構成する活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn22、Li2MO3−LiMO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などの層状酸化物系材料や、LiMn24などのスピネル系材料、LiMPO4などのオリビン系材料、Li2MPO4F、Li2MSiO4Fなどのフッ化オリビン系材料、V25などの酸化バナジウム系材料などが挙げられる。各正極活物質において、これらの活物質を構成する元素の一部が他の元素で置換されていてもよく、また、Liが過剰組成となっていてもよい。そして、これらの活物質のうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。
負極活物質層7を構成する活物質としては、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの炭素材料や、リチウム金属材料、シリコンやスズなどの合金系材料、Nb25やTiO2などの酸化物系材料、あるいはこれらの複合物を用いることができる。
正極活物質層3および負極活物質層7を構成する活物質合剤は、前述したそれぞれの活物質に、結着剤や導電助剤等が適宜加えられたものである。導電助剤としては、カーボンブラック、炭素繊維、または黒鉛などのうちの1種、または2種以上の組み合せを用いることができる。また、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、変性アクリロニトリルゴム粒子などを用いることができる。
正極活物質層3と負極活物質層7のいずれにおいても、例えば製造上のばらつきや層形成能力に起因する不可避な各層の傾斜や凹凸や丸み等が生じていても構わない。
正極集電体2としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等を用いることができ、特にアルミニウムが好ましい。負極集電体6としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用いることができる。
電解液10としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類や、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類や、脂肪族カルボン酸エステル類や、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類や、鎖状エーテル類、環状エーテル類、などの有機溶媒のうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。さらに、これらの有機溶媒にリチウム塩を溶解させることができる。
セパレータ8は主に樹脂製の多孔膜、織布、不織布等からなり、その樹脂成分として、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、アラミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂)、またはポリイミド樹脂等を用いることができる。特にポリオレフィン系の微多孔膜は、イオン透過性と、正極と負極とを物理的に隔離する性能に優れているため好ましい。また、必要に応じて、セパレータ4にも無機物粒子を含む層を形成してもよい。無機物粒子としては、絶縁性の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物などを挙げることができ、なかでもTiO2やAl23を含むことが好ましい。
外装容器12は、可撓性フィルム11からなる軽量の外装ケースであり、可撓性フィルム11は、基材となる金属箔の両面にそれぞれ樹脂層が設けられたラミネートフィルムである。金属箔には、電解液10の漏出や外部からの水分の浸入を防止するためのバリア性を有するものを選択することができ、アルミニウムやステンレス鋼などを用いることができる。金属箔の少なくとも一方の面には、変性ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂層が設けられる。可撓性フィルム11の熱融着性樹脂層同士を対向させ、電極積層体9を収納する部分の周囲を熱融着することで外装容器12が形成される。金属箔の、熱融着性樹脂層が形成された面と反対側の面には、外装容器12の表面として、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルムなどの樹脂層を設けることができる。
正極端子13としては、アルミニウムやアルミニウム合金で構成されたものを用いることができる。負極端子14としては、銅や銅合金、あるいはそれらにニッケルメッキを施したものや、ニッケルなどを用いることができる。それぞれの端子13,14の他端部側は外装容器12の外部に引き出される。それぞれの端子13,14の、外装容器12の外周部分の熱溶着される部分に対応する箇所には、熱融着性の樹脂(封止材18)を予め設けておく。
本発明はリチウムイオン二次電池に特に有用であるが、リチウムイオン電池以外の二次電池や、キャパシタ(コンデンサ)等の電池以外の電気化学デバイスに適用しても有効である。
1 電極(正極)
2 集電体(正極集電体)
3 活物質層(正極活物質層)
4 絶縁樹脂層
5 負極
6 負極用の集電体(負極集電体)
7 負極用の活物質層(負極活物質層)
8 セパレータ
9 電極積層体(蓄電素子)
10 電解液
11 可撓性フィルム(ラミネートフィルム)
12 外装容器
13 正極端子
14 負極端子
16 ダイヘッド
17 シム
17a 吐出口部
18 封止材(シーラント)
19 切断線
22 電極ロール
23 積層型の二次電池(電気化学デバイス)

Claims (10)

  1. 集電体上に活物質層が形成されている塗布部と、前記活物質層が形成されていない未塗布部とを有する電極の製造方法であって、
    長尺の集電体に、該集電体の長手方向に沿って複数の前記活物質層が間隔をおいて並んで位置するように、間欠的に前記活物質層を形成するステップと、
    前記塗布部の各々の、前記長手方向の少なくとも一方の端部上に、前記塗布部と前記未塗布部とにまたがるように絶縁樹脂層を形成するステップと、を含み、
    前記絶縁樹脂層を形成するステップでは、前記長手方向に交差する幅方向において部分的にのみ前記絶縁樹脂層を形成する、電極の製造方法。
  2. 前記絶縁樹脂層を形成するステップでは、前記塗布部の各々の、前記長手方向の少なくとも一方の端部上に、前記幅方向に沿って複数の前記絶縁樹脂層が間隔をおいて並んで位置するように、非連続的に複数の前記絶縁樹脂層を形成する、請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 前記活物質層と前記絶縁樹脂層が形成された前記集電体を前記幅方向及び前記長手方向に切断することにより、前記塗布部と前記未塗布部と前記絶縁樹脂層とをそれぞれ有する電極を複数個切り出すステップをさらに含む、請求項2に記載の電極の製造方法。
  4. 前記絶縁樹脂層は、複数の電極を切り出すステップにおいて、前記長手方向に沿って前記集電体とともに前記活物質層を前記幅方向に切断する切断線と実質的に重ならない位置に形成する、請求項3に記載の電極の製造方法。
  5. 前記絶縁樹脂層を形成するステップでは、前記集電体と対向する位置に設けられているダイヘッドが、前記集電体との間の間隔を変動させながら、前記絶縁樹脂層の材料となる塗布剤を前記集電体に向けて間欠的に吐出する、請求項1から4のいずれか1項に記載の電極の製造方法。
  6. 前記活物質層の前記長手方向の少なくとも一方の端部が傾斜面状に形成されており、前記絶縁樹脂層の一方の端部は、前記活物質層の前記傾斜面状の前記端部の上に位置しており、前記絶縁樹脂層の他方の端部は、前記未塗布部の上に位置している、請求項1から5のいずれか1項に記載の電極の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の電極の製造方法によって正極と負極のいずれか一方または両方を製造することと、
    前記正極と前記負極とをセパレータを介して交互に積層して電極積層体を形成することと、
    前記電極積層体と電解液を外装容器内に収容することと、
    を含む電気化学デバイスの製造方法。
  8. 集電体と、前記集電体に塗布されている活物質からなる活物質層とを有する電極ロールであって、
    長尺の集電体の長手方向に沿って、複数の前記活物質層が互いに間隔をおいて並んで位置し、
    前記集電体に形成された前記活物質層の各々の、前記長手方向の少なくとも一方の端部上で、前記長手方向に交差する幅方向に沿って、複数の前記絶縁樹脂層が互いに間隔をおいて並んで位置している、電極ロール。
  9. 集電体と、前記集電体に塗布されている活物質からなる活物質層とを含む電極ロールであって、長尺の集電体の長手方向に沿って、複数の前記活物質層が互いに間隔をおいて並んで位置し、前記集電体に形成された前記活物質層の各々の、前記長手方向の少なくとも一方の端部上で、前記長手方向に交差する幅方向に沿って、複数の前記絶縁樹脂層が互いに間隔をおいて並んで位置している電極ロールを、前記長手方向及び前記幅方向に切断して分割することによって、前記活物質層と前記絶縁樹脂層とをそれぞれ含む電極を複数個製造する、電極の製造方法。
  10. 集電体上に活物質層が形成されている塗布部と、前記活物質層が形成されていない未塗布部とが、長尺の集電体に、該集電体の長手方向に沿って間隔をおいて交互に形成された電極ロールであって、
    前記塗布部の各々の、前記集電体の長手方向の少なくとも一方の端部上に、前記塗布部と前記未塗布部とにまたがるように絶縁樹脂層が形成されるとともに、
    前記長手方向に交差する幅方向において部分的にのみ前記絶縁樹脂層が形成された
    電極ロール。
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