(実施形態1)
実施形態1の通信装置及びそれを用いた分電盤について図面に基づいて説明する。以下の実施形態1,2では、分電盤1が戸建住宅で使用される場合を例示するが、実施形態1,2の分電盤1は、集合住宅の各住戸や事務所や店舗等で使用されてもよい。また、以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態での上下左右(図1における上下左右)を上下左右とし、壁と垂直な方向(図1の紙面と垂直な方向)を前後方向として説明するが、分電盤1を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
本実施形態の分電盤1は、図1に示すように、分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー(図示せず)と、電流計測器(図示せず)と、計測ユニット6とを備えている。また、本実施形態の分電盤1は、第1通信アダプタ7(通信装置)と、第2通信アダプタ8と、第3通信アダプタ9とを備えている。なお、本実施形態の分電盤1は、その最小限の構成として、複数の分岐ブレーカ3と、第1通信アダプタ7と、分電盤用キャビネット10とを備えていればよい。したがって、本実施形態の分電盤1が、電流計測器(図示せず)や計測ユニット6や第2通信アダプタ8や第3通信アダプタ9を備えるか否かは任意である。
分電盤用キャビネット10は、キャビネット本体11を備えている。キャビネット本体11は、前面が開口した箱状に形成されている。キャビネット本体11は、住宅の壁等に取り付けて使用される。キャビネット本体11は、その内部に少なくとも主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、導電バー、電流計測器を収納する空間を有している。また、本実施形態の分電盤1では、キャビネット本体11は、計測ユニット6や、第1通信アダプタ7や、第2通信アダプタ8や、第3通信アダプタ9を収納する空間も有している。
また、キャビネット本体11の背面には、前後方向に貫通する窓孔12が設けられ、この窓孔12を通して壁裏からキャビネット本体11の内部に配線を引き込むことが可能である。
キャビネット本体11には、図2に示すように、キャビネット本体11の前面の開口部14を塞ぐ内蓋16が取り付けられる。内蓋16は、例えば合成樹脂製であって、後面の略全体が開口した矩形枠状に形成されており、キャビネット本体11の側壁の前端部に被さるようにしてキャビネット本体11に取り付けられる。内蓋16の前面には矩形の窓孔161が形成されている。内蓋16には、窓孔161を塞ぐようにして、複数枚(本実施形態では4枚)の蓋板162〜165が着脱自在に取り付けられる。4枚の蓋板162〜165は、上下方向の寸法が窓孔161の上下方向における開口寸法とほぼ同じ寸法に設定されており、左右方向に並ぶようにして内蓋16に取り付けられる。窓孔161が蓋板162〜165で塞がれた内蓋16をキャビネット本体11の前側に取り付けることによって、キャビネット本体11の開口部14が内蓋16に覆われた状態となる。すなわち、内蓋16と、この内蓋16に取り付けられた蓋板162〜165とで、キャビネット本体11の前面の開口部14を覆う蓋が構成されている。また、分電盤用キャビネット10は、キャビネット本体11と、蓋板162〜165が取り付けられた内蓋16とを含む。なお、内蓋16と蓋板162〜165の少なくとも1つ以上とは、一体的に形成されてもよい。
図2において左端に位置する蓋板162は、第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、及び第3通信アダプタ9の前面を覆うようにして内蓋16に取り付けられる。蓋板162には、第1通信アダプタ7の一部を露出させるための貫通孔1621,1622が設けられており、本実施形態では上側の貫通孔1621から表示部771が露出し、下側の貫通孔1622から操作ボタン781が露出する。
図2において左端から2番目に位置する蓋板163は、キャビネット本体11の内部で一次連系ブレーカが取り付けられる収納スペースを覆うようにして内蓋16に取り付けられる。
図2において左端から3番目に位置する蓋板164は、主幹ブレーカ2の前面を覆うようにして内蓋16に取り付けられている。蓋板164の孔1641を通して、主幹ブレーカ2のハンドルが前面側に露出する。
図2において右端に位置する蓋板165は、複数の分岐ブレーカ3及び二次連系ブレーカ100の前面を覆うようにして内蓋16に取り付けられている。複数の分岐ブレーカ3は、キャビネット本体11の右側の収納スペースに上下2列に分かれて配置されている。蓋板165には、上側に並んだ分岐ブレーカ3のハンドルを露出させる窓孔1651と、下側に並んだ分岐ブレーカ3及び二次連系ブレーカ100のハンドルを露出させる窓孔1652が設けられている。
また、キャビネット本体11には、内蓋16及び蓋板162〜165の前面を覆うように外蓋(図示せず)が取り付けられる。外蓋は、キャビネット本体11の上部に設けられたヒンジ機構を介してキャビネット本体11に開閉自在に取り付けられている。外蓋が開けられた状態では、図2に示すように内蓋16及び蓋板162〜165の前面が露出しており、表示部771の表示内容が目視可能となり、操作ボタン781が操作可能となる。また、外蓋が開けられた状態では、主幹ブレーカ2や分岐ブレーカ3や二次連系ブレーカ100のハンドルが操作可能となる。なお、キャビネット本体11には、外蓋が取り付けられておらず、内蓋16が露出している状態であってもよい。
主幹ブレーカ2は、一次側端子21と、二次側端子(図示せず)とを備えている。主幹ブレーカ2は、キャビネット本体11の中央から見て左下寄りに取り付けられている。一次側端子21には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引き込み線(図示せず)が電気的に接続される。二次側端子には、導電バーが電気的に接続される。導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されている。本実施形態の分電盤1は、配電方式として単相三線式を想定しているので、中性極(N相)用と、第1電圧極(L1相)用と、第2電圧極(L2相)用との3本の導電バーを有している。これら3本の導電バーは、主幹ブレーカ2の右側に配置され、キャビネット本体11に固定されている。
各分岐ブレーカ3は、中性極の導電バー(図示せず)の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ(図1の例では、上側が11個、下側が11個)左右方向に並ぶように配置されている。各分岐ブレーカ3は、それぞれ一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には導電バーが電気的に接続される。また、二次側端子には、複数の分岐電路(図示せず)の各々が接続される。各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続された分岐電路には、例えば照明器具や給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。
各分岐ブレーカ3は、キャビネット本体11に取り付けられた状態において、一次側端子が導電バーと電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、分岐ブレーカ3は、導電バーの上側に取り付けられたときに中性極及び第1電圧極に電気的に接続され、下側に取り付けられたときに中性極及び第2電圧極に電気的に接続される。
電流計測器(図示せず)は、各分岐ブレーカ3に接続された分岐電路を流れる電流(以下、「負荷電流」と称する)を個別に計測するように構成されている。
計測ユニット6は、図1に示すように、主幹ブレーカ2の下側に取り付けられていて、電流計測器と電気的に接続されている。計測ユニット6は、3本の導電バーからなる単相三線式の配電路の線間電圧(L1−N相間、L2−N相間、L1−L2相間)をそれぞれ計測し、線間電圧のデータを電圧信号として電流計測器へ出力する機能を有している。
なお、本実施形態の電流計測器は、各分岐ブレーカ3に接続された分岐電路での瞬時電力を個別に演算する機能を有しているが、瞬時電力を演算する機能を有する必要はなく、少なくとも複数の分岐電路の各々に流れる電流を計測する機能を備えていればよい。本実施形態の電流計測器が電流を計測する機能のみを有している場合、計測ユニット6が、電流計測器によって計測された電流値と、配電路の線間電圧とを用いて、各々の分岐電路での瞬時電力を演算すればよい。
本実施形態の分電盤1では、計測ユニット6は、何れかの分岐ブレーカ3の二次側端子に接続され、この分岐ブレーカ3を介して電力が供給されている。また、計測ユニット6は、第1通信アダプタ7とも電気的に接続されている。そして、計測ユニット6は、各分岐電路での瞬時電力の計測データを第1通信アダプタ7に出力し、且つ電源用の電力を第1通信アダプタ7に供給する。なお、計測ユニット6は、導電バーから直接、電源用の電力の供給を受ける構成でもよい。
ところで、本実施形態の分電盤1では、複数の分岐ブレーカ3の他に、二次連系ブレーカ100が導電バーに電気的に接続されている。二次連系ブレーカ100は、電力系統への逆潮流が許容されていない第1分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第1分散電源としては、例えば燃料電池(図示せず)やガス発電装置(図示せず)、蓄電装置などがある。なお、本実施形態の分電盤1が、二次連系ブレーカ100を備えるか否かは任意である。
また、本実施形態の分電盤1は、キャビネット本体11における主幹ブレーカ2の左側に、一次連系ブレーカ(図示せず)が取り付けられるスペースを有している。図1に示すように、キャビネット本体11には、このスペースに、一次連系ブレーカを取り付けるための支持台13が取り付けられている。分電盤1が一次連系ブレーカを備える場合、一次連系ブレーカは支持台13に取り付けられる。一次連系ブレーカは、電力系統への逆潮流が許容されている第2分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第2分散電源としては、例えば太陽光発電装置などがある。
第1通信アダプタ7は、分電盤1の外部に設置されるコントローラ300との間で通信する機能を有している。また、第1通信アダプタ7は、ネットワーク200経由で、ウェブブラウザを搭載したクライアント端末400やサーバ装置800との間で通信する機能を有している。
図3は第1通信アダプタ7の概略構成を示すブロック図である。第1通信アダプタ7は、演算処理部700(機能部)と、第1通信部710と、第2通信部711と、操作入力部720と、表示制御部730と、記憶部740と、表示部771と、発光表示部772と、操作ボタン781〜788を備える。
また、第1通信アダプタ7は、演算処理部700や第1通信部710や第2通信部711や操作入力部720や表示制御部730や記憶部740を収納するケース70を備えている。図1及び図4に示すように、ケース70の前面には、動作状態や設定内容などを表示するための表示部771と、複数個の発光表示部772と、複数個の操作ボタン781〜788とが配置されている。
表示部771は、例えば2桁の7セグメント表示器からなり、動作状態や設定内容などの情報を、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて表示する。
複数個(本実施形態では例えば4個)の発光表示部772は、例えば発光ダイオードを光源とし、点灯、消灯、点滅などの各状態で動作表示を行う。
操作ボタン781〜788は各種の操作を行うために用いられ、操作ボタン781〜788が操作されると、操作に応じた信号が操作入力部720から演算処理部700に入力される。
本実施形態の第1通信アダプタ7は第1操作部として操作ボタン781を備える。操作ボタン781は、第1通信アダプタ7の動作モードや設定内容を設定するために操作される操作ボタンである。
また、本実施形態の第1通信アダプタ7は第2操作部として7個の操作ボタン782〜788を備えている。操作ボタン782〜788のうち上側にある4個の操作ボタン782〜785は、項目(表示部771に表示されている項目や設定対象の項目など)をスクロールするための操作ボタンである。最上列にある2個の操作ボタン782,783のうち、左側の操作ボタン782は早戻し操作の操作ボタン、右側の操作ボタン783は早送り操作の操作ボタンである。上から2列目の操作ボタン784,785のうち、左側の操作ボタン784は戻し操作のための操作ボタンであり、右側の操作ボタン785は送り操作のための操作ボタンである。また、上から3列目の操作ボタン786,787は設定内容を変更するために操作される操作ボタンである。設定内容が数値の場合、左側の操作ボタン786は設定値を増加させるために操作される操作ボタンであり、右側の操作ボタン787は設定値を減少させるために操作される操作ボタンである。そして、左下にある操作ボタン788は、設定内容を確認するために操作される操作ボタンである。
ここにおいて、発光表示部772と、第2操作部としての操作ボタン782〜788とは、ケース70の前面において内蓋16及び蓋板162で覆われる部位に設けられている。したがって、内蓋16及び蓋板162〜165からなる蓋がキャビネット本体11に取り付けられた状態では、発光表示部772及び操作ボタン782〜788は内蓋16及び蓋板162〜165からなる蓋で覆われている。
一方、表示部771は、ケース70の前面において蓋板162の貫通孔1621に対応する部位に設けられ、第1操作部としての操作ボタン781は、ケース70の前面において蓋板162の貫通孔1622に対応する部位に設けられている。したがって、内蓋16及び蓋板162〜165でキャビネット本体11の前面の開口が覆われた状態でも、表示部771は貫通孔1621から露出し、操作ボタン781は貫通孔1622から露出している。
よって、キャビネット本体11の前面の開口部14が、内蓋16及び蓋板162〜165からなる蓋で覆われた状態では、操作ボタン781は外側から操作可能であるが、操作ボタン782〜788は外側から操作できないように構成されている。また、開口部14が蓋で覆われた状態では、表示部771は外側から目視可能であるが、発光表示部772は外側から目視できない状態となっている。
本実施形態では、操作ボタン781は、図5に示すように、ケース70の前面からの突出量t1が、ケース70の前面から貫通孔1622の後側の開口部分までの距離よりも小さくなるように構成されている。ケース70の前面において、貫通孔1622の周りには、円錐状の傾斜面1623が形成されており、操作ボタン781は、貫通孔1622の後側(図5における下側)の開口部分よりも更に後方に位置している。よって、操作ボタン781に手が当たるなどして、操作ボタン781が意図せずに操作される可能性が低くなる。なお、図6に示すように、操作ボタン781は、ケース70の前面からの突出量t2が、ケース70の前面から貫通孔1622の前側(図6における上側)の開口部分までの距離よりも大きくなるように構成されてもよい。この場合、操作ボタン781が貫通孔1622の前側の開口部分よりも前方に突出しているので、ドライバーなどの工具を用いなくても、操作ボタン781を手で容易に操作することができる。また、本実施形態では、操作ボタン781が蓋板162の貫通孔1622から露出しているが、操作ボタン781を前面側に露出させず、蓋板162に設けられた押釦(図示せず)を押すと、この押釦の後部で操作ボタン781が押されるように構成されてもよい。
第1通信部710は、インターネットのようなネットワーク200を介してクライアント端末400(例えばパーソナルコンピュータやスマートフォンやタブレット端末など)やサーバ装置800と通信する。
第1通信部710の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)や、IEEE802.15.1の規格に準拠した通信方式や、IEEE802.15.4の規格に準拠した通信方式でもよい。また、第1通信部710の通信プロトコルは、例えばEthernet(登録商標)などを用いてよい。なお、本実施形態の第1通信アダプタ7は、電波を媒体とした無線通信を行うように構成されているが、無線通信及び有線通信(例えば有線LAN(Local Area Network)等)の両方の通信を行うことができるように構成されてもよい。
第2通信部711は、需要家(facility)内に設置されて、需要家でのエネルギー需給を管理するコントローラ300との間で通信する機能を有する。コントローラ300は、例えばHEMS(Home Energy Management System)用のコントローラであり、HEMSに対応する機器(図示せず)の監視又は制御を行うように構成されている。HEMSに対応する機器は、エネルギーの需給を把握するために必要な管理対象であればよい。このような機器には、例えば、照明器具、空調装置などの電気機器や電気自動車などのエネルギーを使用する機器、太陽光発電装置、燃料電池などのエネルギーを創出する機器、蓄電装置、および電気自動車のようなエネルギーを蓄える機器などを含む。なお、HEMSに対応する機器は上記の機器に限定されるものではない。また、コントローラ300の機能を第1通信アダプタ7が備えていてもよい。この場合は、コントローラ機能を有する第1通信アダプタ7が、需要家でのエネルギーの需給を管理し、HEMSに対応する機器の監視又は制御を行う。
第2通信部711の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)や、IEEE802.15.1の規格に準拠した通信方式や、IEEE802.15.4の規格に準拠した通信方式でもよい。なお、第2通信部711の通信方式は無線通信方式に限定されず、有線LAN(Local Area Network)などの有線通信方式でもよいし、無線通信方式と有線通信方式の両方を併用してもよい。
操作入力部720は、操作ボタン781〜788の操作に応じた信号を演算処理部700に入力する。
表示制御部730は、演算処理部700からの制御信号に応じて表示部771及び発光表示部772の動作を制御する。
記憶部740は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)のような電気的に書き換え可能なメモリやROM(Read Only Memory)からなる。記憶部740は、例えば、演算処理部700が実行するソフトウェアや、使用電力量の計測対象である分岐回路の回路情報や、クライアント端末400を用いて設定された設定内容などを記憶する。
演算処理部700(機能部)は、記憶部740に記憶されたソフトウェアを実行するマイクロコンピュータからなる。演算処理部700は、プログラムを実行することによって各種の機能(例えばサーバ機能部701)を実現し、操作ボタン781〜788の操作に応じた動作を行う。サーバ機能部701は、演算処理部700の演算機能によって実現され、クライアント端末400に搭載されたウェブブラウザからの要求に応じたウェブ画面をクライアント端末400に提供する。
また、第1通信アダプタ7は、計測ユニット6及び電流計測器からそれぞれ出力される計測データを演算する演算部(図示せず)を有し、演算結果(例えば瞬時電力を所定時間にわたって積算した結果等)をコントローラ300に送信する。
第1通信アダプタ7は、分電盤1において、上から順に第2通信アダプタ8、第1通信アダプタ7、第3通信アダプタ9となるようにキャビネット本体11に取り付けられている。また、第2通信アダプタ8と第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とは、キャビネット本体11の中央から見て左側に取り付けられていて、分電盤用キャビネット10の左側面に近い位置に配置されている。すなわち第1通信アダプタ7は、主幹ブレーカ2及び計測ユニット6の左側に配置されている。
第2通信アダプタ8は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第2通信アダプタ8とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。
第2通信アダプタ8は、電力メータ(図示せず)との間で通信する機能を有している。電力メータは、所謂スマートメータであって、需要家での使用電力量を計測し、配電線に接続されているコンセントレータ(図示せず)との間で通信を行うことによって、遠隔検針を可能にするように構成されている。また、電力メータは、第2通信アダプタ8との間で通信することにより、計量値(使用電力量)や要請情報等を第2通信アダプタ8に送信することができる。なお、要請情報とは、電力供給事業者等が運営するサーバから需要家に向けて送信される電力の消費を抑制するための要請である。
第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)などの無線通信である。なお、第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、有線LANや電力線搬送通信(PLC:Power Line Communications)などの有線通信でもよい。
ここで、第2通信アダプタ8は、電力メータから受信した計量値を第1通信アダプタ7へ送信するように構成されていることが望ましい。この場合、第1通信アダプタ7との間で通信するコントローラ(図示せず)は、計量値を用いて機器を制御するように構成されてもよい。この構成では、コントローラは、電力メータから送信される計量値に基づいて機器の監視又は制御を行うことができる。
第3通信アダプタ9は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。
第3通信アダプタ9は、太陽光発電装置(図示せず)、蓄電装置(図示せず)、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置(図示せず)の少なくとも1つとの間で通信する機能を有している。なお、電力変換装置は、分電盤1側から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。また、第3通信アダプタ9は、ガスメータ(図示せず)と水道メータ(図示せず)との少なくとも一方との通信機能を有している。ガスメータや水道メータは使用量に応じたパルス信号を出力する。第3通信アダプタ9は、ガスメータや水道メータからパルス信号を受信し、予め決められている1パルス当たりの使用量の換算値(換算レート)を用いて、使用量に換算する。
第3通信アダプタ9と太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置との間の通信方式は、例えばRS−485等の有線通信とする。なお、第3通信アダプタ9は、例えばヒートポンプ方式の加熱源を有する貯湯型の給湯装置等と通信可能であってもよい。また、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信とする。但し、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。
なお、本実施形態の分電盤1では、第3通信アダプタ9は、上記の2つの通信機能を有しているが、各々の通信機能を個別に有する2つのアダプタで構成されてもよい。
次に、第1通信アダプタ7の動作について説明する。
演算処理部700は、正常に動作している状態や操作ボタン781〜788による操作が行われていない状態では、表示制御部730を制御して、表示部771の表示を消灯させている。
また、演算処理部700は、何らかのエラー(例えば計測ユニット6との間の通信エラー)が発生すると、表示制御部730を制御して、エラーの内容を示すエラーコードを表示部771に表示させる。エラーコードは例えば「F」という文字と2桁の数字で表される。表示部771は2桁の7セグメント表示器で構成されているので、表示制御部730は、エラーコードを表示する場合、「F」という文字と2桁の数字を所定の時間間隔で交互に表示させる。表示部771の表示内容は蓋板162の貫通孔1621を通して目視可能となっているので、需要家である住宅の住人は外蓋を開けることによって、表示部771の表示内容を確認することができる。
なお、複数種類のエラーが発生した場合、演算処理部700は、表示制御部730を制御し、表示部771に複数のエラーコードを所定の周期(例えば1秒間隔)で順番に表示させており、表示部771の表示内容から複数種類のエラーが発生したことを確認できる。また、複数種類のエラーが発生した場合、表示部771には複数種類のエラーコードが所定の順番(例えば発生したエラーの重要度に応じた順番)で表示されるが、エラーコードの表示を切り替えたい場合は操作ボタン781を操作すればよい。操作ボタン781が操作されると、演算処理部700は、操作ボタン781の操作に応じて操作入力部720から入力される信号に基づいて、表示制御部730を制御し、表示部771に表示されているエラーコードを切り替える。これにより、操作ボタン781を操作するたびに、表示部771に表示されるエラーコードを切り替えることができる。
次に、電気工事を行う施工業者が、分電盤1で発生したエラーの状況を確認する場合の操作について説明する。
内蓋16と蓋板162〜165とを含む蓋が閉じている状態では、操作ボタン782〜788は蓋の裏側に隠れており、一般の需要家(住宅の住人)には操作できないようになっている。施工業者は、先ずキャビネット本体11から外蓋を取り外した後、内蓋16および蓋板162〜165を取り外して、キャビネット本体11に収納されている内器を露出させる。このとき、第1通信アダプタ7の前面に設けられた操作ボタン782〜788及び発光表示部772も露出し、操作ボタン781〜788は操作可能な状態となる。
表示部771にエラーコードが表示されている状態で、施工業者が操作ボタン782〜788の何れかを操作すると、演算処理部700は、操作入力部720から入力された信号に応じて、参照モードに切り替わる。参照モードにおいてスクロール操作のための操作ボタン782〜785が操作されると、演算処理部700は、操作入力部720から入力された信号にしたがって表示する項目を切り替え、表示制御部730を制御して、選択された項目を表示部771に表示させる。そして、表示部771に所望の項目が表示された状態で、確認操作のための操作ボタン788が操作されると、演算処理部700は、例えば、表示制御部730を制御して、この項目についての設定内容を表示部771に表示させる。これにより、施工業者は、分電盤1の各種の項目について現在の設定状態を確認することができる。
次に、第1通信アダプタ7が、操作ボタン781を用いた所定の操作に応じて、サーバ装置800と連携して、ソフトウェアのアップデートなどを行う場合の動作について図7を参照して説明する。なお、図7は、サーバ装置800と連携させる一連の処理において表示部771に表示される表示例の説明図である。表示部771は2桁の7セグメント表示器からなる。図7において、輪郭線が点線で図示されたセグメントは消灯中のセグメントを示し、輪郭線が実線で図示されて、内側にハッチングが加えられたセグメントは点灯中のセグメントを示している。
第1通信アダプタ7の演算処理部700は、正常動作中は表示制御部730を制御して、表示部771の表示を消灯させている(図7の状態S1)。また、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、何らかの異常が発生している場合、表示制御部730を制御して表示部771にエラーコードを表示させる。表示制御部730は、表示部771に「F」という文字を表示させる状態(図7の状態S2)と、表示部771に2桁の数字を表示させる状態とを、所定の時間間隔で交互に切り替えることによって、エラーコードの表示を行っている。
外蓋を開いて内蓋16及び蓋板162〜165の前面を露出させた状態で、需要家(住宅の住人)が操作ボタン781を用いて所定の操作を行うと、演算処理部700は、操作入力部720から入力される信号に基づいて、サーバ装置800との連携動作を開始する。ここで、操作ボタン781を用いた所定の操作とは、例えば操作ボタン781を所定の操作時間(例えば2秒間)以上連続的に押す操作(以下、長押し操作と言う。)であるが、所定時間内に操作ボタン781を複数回押し操作するような操作でもよい。
演算処理部700は、サーバ装置800との連携動作を開始すると、第1通信部710を制御し、ネットワーク200を介してサーバ装置800にアクセスさせる。第1通信アダプタ7は、通常は一定のポーリング周期(例えば8時間)でサーバ装置800にアクセスするが、操作ボタン78lの長押し操作に応じた信号が操作入力部720から入力されると、ポーリング周期を通常よりも短い周期(例えば十秒程度)に短縮する。なお、操作ボタン78lが長押し操作された場合に、演算処理部700は、必ずしもポーリング周期を短くする必要は無く、操作ボタン781が長押し操作されると、即座にサーバ装置800にアクセスするように構成されてもよい。これにより、演算処理部700は、操作ボタン781を用いて長押し操作が行われると、即座にサーバ装置800にアクセスし、サーバ装置800に対してアップデート可能なソフトウェア(例えばファームウェアなど)が存在するか否かを確認する。
演算処理部700は、サーバ装置800からの応答を待機する間は、表示制御部730を制御して、サーバ装置800と通信を行っていることを示す記号(図形)を表示部771に表示させる。ここで、表示制御部730は、図7における状態S3の記号と、状態S4の記号とを1秒ずつ交互に繰り返して表示部771に表示させることで、サーバ装置800と通信中であることを表示する。
サーバ装置800は、第1通信アダプタ7からのアクセスに応じて、第1通信アダプタ7に組み込まれたソフトウェアの更新プログラムが存在するか否かを判断し、更新プログラムが存在する場合は、第1通信アダプタ7にソフトウェアの更新通知を送信する。第1通信アダプタ7の第1通信部710がサーバ装置800からの更新通知を受信すると、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、表示部771に「UP」の文字を点滅表示させる(図7の状態S5)。
操作ボタン781を長押し操作した需要家は、表示部771に点滅表示された「UP」の文字から、アップデート可能なソフトウェアが存在することを確認できる。
需要家がソフトウェアのアップデートを行いたい場合、表示部771に「UP」の文字が表示されてから所定時間内(例えば1分以内)に操作ボタン781の長押し操作を行う。演算処理部700は、表示部771による「UP」の表示から所定時間内に、操作ボタン781の長押し操作に応じた信号が操作入力部720から入力されると、ソフトウェアのアップデートを受け入れる信号を第1通信部710からサーバ装置800に送信させる。サーバ装置800は、第1通信アダプタ7からソフトウェアのアップデートを受け入れる信号を受信すると、ソフトウェアの更新プログラムを第1通信アダプタ7に送信する。第1通信アダプタ7では、第1通信部710がサーバ装置800から送信された更新プログラムを受信すると、ソフトウェアの更新処理を行う。ソフトウェアの更新処理を行う間、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、図7における状態S6の記号と、状態S7の記号とを1秒ずつ交互に繰り返して表示部771に表示させており、ソフトウェアの更新中であることを表示する。ソフトウェアの更新が終了すると、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、表示部771を消灯させる。また、演算処理部700は、ポーリング周期を通常の周期に戻し、サーバ装置800との連携動作を終了する。
一方、表示部771に「UP」の文字が点滅表示された状態で、需要家がソフトウェアのアップデートを行わないと決めた場合、需要家は、操作ボタン781の操作を行わなければよい。演算処理部700は、表示部771に「UP」の文字を表示させてから所定時間内に操作入力部720から信号が入力されなければ、ソフトウェアを更新しないと判断し、表示制御部730により表示部771を消灯させる(図7の状態S8)。また、演算処理部700は、ポーリング周期を通常の周期に戻し、サーバ装置800との連携動作を終了する。
また、サーバ装置800が、第1通信アダプタ7からアクセスされた場合に、ソフトウェアの更新プログラムが存在していなければ、アクセスしてきた第1通信アダプタ7に対して、更新プログラムの不存在を通知する信号を送信する。第1通信アダプタ7の第1通信部710がサーバ装置800から更新プログラムの不存在を通知する信号を受信すると、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、表示部771を消灯させる。表示部771が消灯したことから、操作ボタン781を長押し操作した需要家は、第1通信アダプタ7に組み込まれたソフトウェアのアップデートが不要なことを確認できる。また、演算処理部700は、ポーリング周期を通常の周期に戻し、サーバ装置800との連携動作を終了する。
なお、本実施形態の第1通信アダプタ7は、所定のポーリング周期でサーバ装置800にアクセスしており、サーバ装置800は、所定のポーリング周期でのアクセス時にも更新プログラムの有無を判断し、判断結果を第1通信アダプタ7に通知する。
また、本実施形態の第1通信アダプタ7は、サーバ装置800にアクセスすることで、サーバ装置800からソフトウェアの更新プログラムをダウンロードしているが、サーバ装置800から新たなサービスの提供を受けるようにしてもよい。
需要家が操作ボタン781を用いて所定の操作(例えば長押し操作)を行うと、第1通信アダプタ7は、ネットワーク200を経由してサーバ装置800にアクセスする。サーバ装置800は、第1通信アダプタ7からアクセスされると、第1通信アダプタ7が利用可能な新規のサービスが存在するか否かを判断し、新規のサービスが存在する場合は、第1通信アダプタ7に新規サービスを利用可能なことを通知する信号を送信する。第1通信アダプタ7の第1通信部710がサーバ装置800から新規サービスを利用可能なことを通知する信号を受信すると、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、新規サービスを利用するか否かを需要家に尋ねる表示を表示部771に表示させる。操作ボタン781を長押し操作した需要家は、表示部771の表示内容から、新規に利用可能なサービスが存在することを確認する。
サーバ装置800が提供する新規サービスを需要家が利用したい場合、新規に利用可能なサービスが存在することを表示部771が表示してから所定時間内に操作ボタン781の長押し操作を行う。操作ボタン781の長押し操作に応じた信号が操作入力部720から演算処理部700に入力されると、演算処理部700は、新規サービスの受け入れを通知する信号を第1通信部710からサーバ装置800に送信させる。サーバ装置800は、第1通信アダプタ7から新規サービスの受け入れを通知する信号を受信すると、新規サービスの利用に必要なプログラムを第1通信アダプタ7に送信する。第1通信アダプタ7では、第1通信部710がサーバ装置800から送信されたプログラムを受信すると、受信したプログラムのインストールを行う。プログラムのダウンロードおよびインストールを行う間、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、図7における状態S6の記号と、状態S7の記号とを1秒ずつ交互に繰り返して表示部771に表示させ、新規サービスの導入中であることを表示する。新規サービスの導入が終了すると、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、表示部771を消灯させる。また、演算処理部700は、ポーリング周期を通常の周期に戻し、サーバ装置800との連携動作を終了する。
なお、需要家が新規サービスを利用しない場合、需要家は、操作ボタン781の操作を行わなければよい。演算処理部700は、新規サービスを利用するか否かを問い合わせる表示を表示部771に表示させてから所定時間内に操作入力部720から信号が入力されなければ、新規サービスを利用しないと判断し、表示制御部730により表示部771を消灯させる。また、演算処理部700は、ポーリング周期を通常の周期に戻し、サーバ装置800との連携動作を終了する。
このように、需要家が、操作ボタン781を用いて所定の操作を行うことにより、所望のタイミングで第1通信アダプタ7をサーバ装置800にアクセスさせることができ、第1通信アダプタ7をサーバ装置800と連携させることができる。第1通信アダプタ7は、サーバ装置800と連携することによって、サーバ装置800からソフトウェアの更新プログラムをダウンロードしたり、サーバ装置800が提供する新規のサービスを導入したりすることができる。
以上説明したように、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)は、分電盤1に取り付けられる通信装置であって、ケース70と、第1操作部(操作ボタン781)と、第2操作部(操作ボタン782〜788)と、機能部(演算処理部700)とを備える。分電盤1は、前面が開口したキャビネット本体11と、キャビネット本体11の前面の開口(開口部14)を覆うようにキャビネット本体11に取り付けられる蓋(内蓋16及び蓋板162〜165からなる)とを備える。ケース70はキャビネット本体11に収納される。第1操作部は、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われた状態で外側から操作可能なようにケース70に設けられる。第2操作部は、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われた状態では外側から操作できず、蓋が開けられた状態で操作可能なようにケース70に設けられる。機能部は、ケース70に収納され、第1操作部及び第2操作部の操作に応じた動作を行う。
このように、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われている状態では、第1操作部は外側から操作できるが、第2操作部は外側から操作できないように構成されているので、操作部の一部(第2操作部)を簡単に操作できないように構成できる。
本実施形態の通信装置において、第1操作部(操作ボタン781)が、需要家側で操作可能な機能に対応するように構成され、第2操作部(操作ボタン782〜788)が、施工業者によって操作される機能に対応するように構成されることも好ましい。
施工業者によって操作される機能に対応した第2操作部は、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われている状態では、外部から操作できないから、一般の需要家によって不用意に操作されにくくなる。
また、本実施形態の通信装置において、以下のような構成をさらに備えることも好ましい。すなわち、通信装置は、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われた状態で外側から視認可能なように、ケース70に設けられた表示部771を備える。機能部(演算処理部700)は、第2操作部(操作ボタン782〜788)の操作に応じて表示部771の表示内容を切り替えるように構成される。そして、機能部は、表示部771に表示されている表示内容に応じて第1操作部(操作ボタン781)の機能を切り替えるように構成される。
これにより、第2操作部を用いて表示部771の表示内容を切り替え、それに応じて第1操作部の機能を切り替えることができるから、第1操作部に複数の機能を持たせることができる。また、1つの第1操作部に複数の機能を持たせることで、第1操作部の数を減らして、第1操作部の配置スペースを小さくできる。本実施形態では、例えば第2操作部の操作に応じて、表示部771に表示させる設定項目が切り替えられ、表示部771に表示させている設定項目に応じて、第1操作部の操作による機能が変更されるようになっている。
また、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)において、ネットワーク経由でサーバ装置800と通信する通信部(第1通信部710)を備えてもよい。第1操作部(操作ボタン781)を用いて所定の操作が行われると、機能部(演算処理部700)は、サーバ装置800と連携させるために、通信部を制御してサーバ装置800にアクセスさせるように構成される。
これにより、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われた状態でも外側から操作可能な第1操作部を用いて所定の操作を行えば、機能部は通信部を制御してサーバ装置800にアクセスさせている。したがって、外側から操作可能な第1操作部を用いて、第1通信アダプタ7をサーバ装置800と連携させることができる。
また、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)において、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われた状態で外側から視認可能なようにケース70に設けられた表示部771を備えてもよい。表示部771は、通信部(第1通信部710)がサーバ装置800にアクセスすることによって、サーバ装置800から送信された応答内容に応じて、表示内容を変更するように構成されてもよい。
これにより、表示部771の表示内容をもとに、サーバ装置800から送信された応答内容(例えばソフトウェアの更新通知など)を把握することができる。
また、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)において、以下のような構成をさらに備えることも好ましい。サーバ装置800から所定の動作の実行を指示する応答内容が送信され、表示部771が応答内容に応じた表示内容を表示している状態で、第1操作部(操作ボタン781)を用いて所定の操作が行われると、機能部(演算処理部700)が所定の動作の実行を受け入れるように構成される。
これにより、外側から操作可能な第1操作部を用いて、サーバ装置800からの応答内容で指示された所定の動作の実行を受け入れることができる。例えば本実施形態では、表示部771にソフトウェアの更新通知が表示されている状態で、第1操作部を用いて所定の操作が行われると、ソフトウェアのアップデータを受け入れて、更新処理が行われる。
また、本実施形態の分電盤1は、需要家に設けられた複数の分岐回路の各々に電力を分配する複数の分岐ブレーカ3と、外部の機器と通信する通信装置(第1通信アダプタ7)と、複数の分岐ブレーカ3と通信装置とを収納する分電盤用キャビネット10を備える。
これにより、設定作業を簡単に行える通信装置を備えた分電盤を提供することができる。
(実施形態2)
実施形態2の通信装置及びそれを用いる分電盤について図面を参照して説明する。なお、通信装置たる第1通信アダプタ7の動作以外は実施形態1と同様であるから、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
実施形態1の第1通信アダプタ7は、操作ボタン781を用いた所定の操作に応じて、サーバ装置800にアクセスし、サーバ装置800と連携する動作を行うが、操作ボタン781を用いた所定の操作に応じて別の動作を行ってもよい。本実施形態の第1通信アダプタ7は、操作ボタン781を用いた所定の操作に応じて、クライアント端末に搭載されたウェブブラウザを用いて第1通信アダプタ7に各種の設定を行えるようにしている。
以下に、クライアント端末400に搭載されたウェブブラウザを用いて第1通信アダプタ7に各種の設定を行う設定手順について図8〜図11を参照して説明する。なお、図9は、設定中の各状態における表示部771の表示例を示した図である。図9において、輪郭線が点線で図示されたセグメントは消灯中のセグメントを示し、輪郭線が実線で図示されて、内側にハッチングが加えられたセグメントは点灯中のセグメントを示している。
第1通信アダプタ7の演算処理部700は、正常動作中は表示制御部730により表示部771の表示を消灯させている。また、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、何らかの異常が発生している場合、表示制御部730を制御して表示部771にエラーコードを表示させる。表示制御部730は、エラーコードを表示させる場合、表示部771に「F」という文字と2桁の数字と所定の時間間隔で交互に表示させることで、エラーコードの表示を行っている。
クライアント端末400に搭載されたウェブブラウザを操作して、第1通信アダプタ7にアクセスすると、第1通信アダプタ7のサーバ機能部701は、クライアント端末400にログイン用のウェブ画面を提供する。クライアント端末400は、第1通信アダプタ7からログイン用のウェブ画面のデータを受信すると、ディスプレイ装置に図8に示すようなログイン用のウェブ画面600を表示させる。
このウェブ画面600には、ログイン操作を行うためのアイコン601が表示されており、クライアント端末400でアイコン601を操作すると、クライアント端末400から第1通信アダプタ7にログイン要求が送信される。第1通信アダプタ7では、第1通信部710がクライアント端末400からのログイン要求を受信すると、演算処理部700が、表示制御部730を制御して表示部771に例えば「PC」の文字を一定の時間間隔で点滅表示させる(図9の状態S11)。
設定作業を行う者は、表示部771に「PC」の文字が点滅表示されるのを見て、クライアント端末400からのログイン要求を第1通信アダプタ7が受け付けたことを把握する。図8のログイン画面から設定用のウェブ画面に移行させたい場合、設定作業を行う者は、内蓋16の貫通孔1622から露出する操作ボタン781を用いて所定の操作(例えば長押し操作)を行う。
演算処理部700は、表示部771に「PC」の文字を点滅表示させた状態で、操作ボタン782の長押し操作に応じた信号が操作入力部720から入力されると、ログイン画面から設定用のウェブ画面に移行させる。すなわち、演算処理部700のサーバ機能部701は、設定用のウェブ画面をクライアント端末400に提供し、クライアント端末400のディスプレイ装置に図10に示すような設定用のウェブ画面610が表示される。また、演算処理部700は、表示制御部730を制御して表示部771に「PC」の文字を点灯表示させる(図9の状態S12)。演算処理部700は、表示部771による「PC」の文字の表示を点滅状態から点灯状態に切り替えることで、ログイン操作が行われたことを表示し、さらにサーバ機能部701によって設定用のウェブ画面が提供され、設定が可能な状態であることを表示する。設定用のウェブ画面610には、設定対象を選択するためのアイコン611,612,613が表示される。クライアント端末400で例えばアイコン611が操作されると、設定対象をネットワークの情報とする信号がクライアント端末400から第1通信アダプタ7に送信される。なお、設定用のウェブ画面610においてクライアント端末400でアイコン612が操作されると、設定対象を計測回路の情報とする信号が第1通信アダプタ7に送信される。また、クライアント端末400でアイコン613が操作されると、設定対象をスマートメータの情報とする信号が第1通信アダプタ7に送信される。
また、クライアント端末400からのログイン要求に応じて表示部771が「PC」の文字を点滅表示させてから所定時間内に操作ボタン781を用いて所定の操作が行われなかった場合、サーバ機能部701は強制的にログアウトの処理を行う。また、演算処理部700は、表示制御部730を制御して、表示部771を消灯させる(図9の状態S15)。
クライアント端末400のディスプレイ装置に図10のウェブ画面が表示されている状態で、ウェブブラウザを用いてアイコン611が操作されると、クライアント端末400から設定対象をネットワークの情報とする要求信号が第1通信アダプタ7に送信される。第1通信アダプタ7のサーバ機能部701は、クライアント端末400から設定対象をネットワークの情報とする要求信号を受信すると、ネットワークの情報を設定するためのウェブ画面をクライアント端末400に提供する。このとき、クライアント端末400のディスプレイ装置には図11に示すような設定用のウェブ画面620が表示される。このウェブ画面620には、ネットワークの情報として複数の入力項目について値を入力するための入力ボックス621と、設定操作用のアイコン622と、1つ前のウェブ画面に戻る操作を行うためのアイコン623とが表示される。なお、複数の入力項目としては、例えばDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の設定、IPアドレス、サブネットマスク、ディフォルトゲートウェイのアドレス、DNSサーバアドレスなどがある。
クライアント端末400のウェブブラウザを操作して、設定用のウェブ画面で設定内容を入力すると、入力した設定内容のデータが第1通信アダプタ7に送信される。第1通信アダプタ7の演算処理部700は、ウェブ画面で入力された設定内容のデータがクライアント端末400から入力されると、表示制御部730を制御して表示部771に「St」の文字を点滅表示させ(図9の状態S13)、設定中であることを表示する。また、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、クライアント端末400から入力された設定内容のデータを記憶部740に一時的に記憶させる。
クライアント端末400のウェブブラウザを操作して、所望の設定内容を入力した後、入力した設定内容を確定させる場合は、操作ボタン781を用いて所定の操作(例えば長押し操作)を行う。第1通信アダプタ7の演算処理部700は、設定中に操作入力部720から操作ボタン781による所定の操作に応じた信号が入力されると、クライアント端末400から入力された設定内容のデータを確定して記憶部740に記憶させる。また、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、表示制御部730を制御して表示部771に「PC」の文字を表示させる(図9の状態S12)。その後、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、ウェブブラウザによる操作が無ければ、表示制御部730を制御して表示部771に「PC」の文字を表示させ続け、一定時間(例えば30分間)の経過後に表示部771を消灯させる(図9の状態S14)。
また、クライアント端末400のディスプレイ装置に設定用のウェブ画面620が表示されている状態で、ウェブブラウザによる操作が一定時間なければ、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、それまでに入力された設定内容を破棄する。また、演算処理部700は表示制御部730を制御して表示部771の表示を消灯させる(図9の状態S14)。また、演算処理部700のサーバ機能部701は、クライアント端末400に提供した設定用のウェブ画面を閉じて、強制的にログアウトの処理を行う。
ところで、第1通信アダプタ7が、パーソナルコンピュータなどの設定装置500を直接接続するための接続ポート750を備えている場合(図3参照)、設定装置500を用いて第1通信アダプタに各種の情報を設定してもよい。第1通信アダプタ7には初期状態において固定のIPアドレスが割り当てられている。設定作業を行う者は、第1通信アダプタ7の接続ポートに設定装置500を接続する。その後、設定作業を行う者が操作ボタン781を用いて所定の操作(例えば長押しする操作)を行うと、演算処理部700は、操作入力部720から入力される操作信号に応じて、固定のIPアドレスで設定画面にアクセス可能な状態となる。このとき、演算処理部700は、表示制御部730を制御して表示部771に「IP」の文字を表示させ、固定のIPアドレスでアクセス可能な状態であることを表示する(図9の状態S21)。
設定作業を行う者は、表示部771の表示から第1通信アダプタ7が固定のIPアドレスでアクセス可能な状態にあると判断し、設定装置500に搭載されたウェブブラウザを操作し、固定のIPアドレスを指定して、設定用のウェブ画面にアクセスする。第1通信アダプタ7のサーバ機能部701は、固定のIPアドレスを指定してアクセスされると、設定用のウェブ画面を設定装置500に提供し、設定装置500のディスプレイ装置には設定用のウェブ画面(例えば図10、図11参照)が表示される。設定用のウェブ画面においてウェブブラウザを操作して所望の設定内容が入力されると、入力された設定内容のデータが第1通信アダプタ7の演算処理部700に入力される。演算処理部700は、ウェブ画面で入力された設定内容のデータが設定装置500から入力されると、表示制御部730を制御して表示部771に「St」の文字を点滅表示させ(図9の状態S22)、設定作業中であることを表示する。また、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、設定装置500から入力された設定内容のデータを記憶部740に一時的に記憶させる。
設定装置500のウェブブラウザを操作して、所望の設定内容を入力した後、入力した設定内容を確定させる場合は、操作ボタン781を用いて所定の操作(例えば長押し操作)を行う。サーバ機能部701は、ウェブ画面での設定操作が終了した終了時点から所定時間内に、操作ボタン781による所定の操作に応じた信号が操作入力部720から入力されると、設定装置500から入力された設定内容のデータを確定して記憶部740に記憶させる。また、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、表示制御部730を制御して表示部771に「IP」の文字を表示させる(図9の状態S21)。その後、第1通信アダプタ7の演算処理部700は、ウェブブラウザによる操作が無ければ、表示制御部730を制御して表示部771に「IP」の文字を表示させ続け、一定時間(例えば30分間)の経過後に表示部771を消灯させる(図9の状態S23)。
また、設定用のウェブ画面での設定操作が終了した終了時点から所定時間内に操作ボタン781を用いて設定内容を確定させる所定の操作が行われなかった場合、サーバ機能部701は、設定用のウェブ画面で設定された設定内容を破棄する。また、演算処理部700は表示制御部730を制御して表示部771の表示を消灯させる(図9の状態S23)。また、演算処理部700のサーバ機能部701は、設定装置500に提供した設定用のウェブ画面を閉じて、強制的にログアウトの処理を行う。
上述したような設定手順により、クライアント端末400からウェブ経由で第1通信アダプタ7に各種の情報を設定したり、第1通信アダプタ7に直接接続された設定装置500から第1通信アダプタ7に各種の情報を設定したりできる。
以上説明したように、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)において、ウェブブラウザからの要求に応じたウェブ画面を提供するサーバ機能部701を備えてもよい。サーバ機能部701は、ウェブブラウザからの要求に応じてログイン用のウェブ画面600を提供するように構成される。ログイン用のウェブ画面600に表示されたログイン操作用のアイコン601がウェブブラウザによって操作された状態で、第1操作部(操作ボタン781)を用いて所定の操作が行われた場合、サーバ機能部701は、分電盤1の構成に関する設定用のウェブ画面をウェブブラウザに提供するように構成される。
これにより、ログイン用のウェブ画面に表示されたログイン操作用のアイコンがウェブブラウザによって操作された状態で、第1操作部を用いて所定の操作を行うことで、設定用のウェブ画面が提供されるので、ウェブブラウザを用いて設定作業が行える。したがって、通信装置に設けられた少数の操作部を用いて設定作業を行う場合に比べて、設定作業が容易になる。また、ウェブブラウザでログイン操作用のアイコンを操作した後に、ケース70に設けられた第1操作部を用いて所定の操作を行うことで、設定用のウェブ画面が提供されるから、ウェブブラウザからの操作だけでは設定用のウェブ画面に移行しない。よって、外部からウェブ経由で通信装置にアクセスされて、設定内容が勝手に変更される可能性が減少し、セキュリティ性能が向上する。
また、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)において、キャビネット本体11の前面の開口が蓋で覆われた状態で外側から視認可能なようにケース70に設けられた表示部771を備えてもよい。ウェブブラウザによって、ログイン操作用のアイコンが操作された場合に、表示部771はログイン操作が行われたことを示す表示を行うように構成されることも好ましい。
これにより、表示部771の表示から、ログイン操作が行われたことを認識できる。
また、本実施形態の通信装置(第1通信アダプタ7)において、サーバ機能部701が設定用のウェブ画面をウェブブラウザに提供した場合に、表示部771は、サーバ機能部701によって設定用のウェブ画面が提供され、設定が可能な状態であることを表示するように構成されてもよい。
これにより、表示部771の表示から、設定が可能な状態になったことを認識できる。
また、本実施形態の通信装置において、以下の構成をさらに備えてもよい。設定用のウェブ画面での設定操作が終了した終了時点から所定時間内に第1操作部(操作ボタン781)を用いて設定内容を確定させる操作が行われた場合、サーバ機能部701は、設定用のウェブ画面で設定された設定内容を確定させるように構成される。さらに、終了時点から所定時間内に第1操作部を用いて設定内容を確定させる操作が行われなかった場合、サーバ機能部701は、設定用のウェブ画面で設定された設定内容を破棄するように構成される。
これにより、ウェブ画面での設定操作が終了した時点から所定時間内に操作部を用いて設定内容を確定させる操作を行えば、設定用のウェブ画面で入力された設定内容を確定させることができる。また、ウェブ画面での設定操作が終了した時点から所定時間内に操作部を用いて設定内容を確定させる操作を行わなければ、設定用のウェブ画面で入力された設定内容を破棄させることができる。