ここで、本発明のある実施形態について詳細に言及することとする。本発明を実施形態に関連して記載することとするが、本発明は、本発明をそれらの実施形態に限定するものではないことが理解されるであろう。それどころか、本発明は、代替物、変形、および等価物をすべて包含するように意図され、これらは、請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれてもよい。
当業者は、本発明の実施において使用することができる、本明細書において記載されるものに類似するまたは等価である多くの方法および材料を認識するであろう。本発明は、記載される方法および材料に全く限定されない。
本明細書において開示され、定義される本発明は、述べられるまたは本文もしくは図面から明らかである、個々の特徴のうちの2つ以上のすべての代替の組み合わせまで及ぶことが理解されるであろう。これらの様々な組み合わせはすべて、本発明の様々な代替の態様を構成する。
本明細書において使用されるように、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、用語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、および「含まれる(comprised)」などのような用語の変化形は、さらなる付加物、成分、整数、または工程を除外するようには意図されない。
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が、適用されるであろう、また適切であれば、単数形で使用される用語はまた、複数形をも含み、その逆も成立するであろう。記載されるいかなる定義も、参照によって本明細書において組み込まれるいかなる文献とであれ、矛盾する場合、下記に記載される定義が優先されるものとする。
「プリン受容体」は、一般に、リガンドとしてプリン(ATPなど)を使用する受容体を指す。
「P2X7受容体」は、一般に、3つのタンパク質サブユニットまたは単量体から形成されるプリン受容体を指し、単量体の少なくとも1つは、配列番号1において示されるアミノ酸配列を実質的に有する。「P2X7受容体」は、下記に記載されるように、機能的または非機能的受容体であってもよい。「P2X7受容体」は、P2X7受容体の天然に存在する変異体を包含する、たとえば、P2X7単量体は、P2X7受容体を形成する単量体の天然に存在する切断型または分泌型形態(たとえば、それの細胞外ドメイン配列または切断型形態から成る形態)、天然に存在する変異形態(たとえば選択的スプライス形態(alternatively spliced form))、および天然に存在する対立遺伝子変異体を含む、スプライス変異体、対立遺伝子変異体、およびアイソフォームである。本発明のある実施形態では、本明細書において開示される天然配列P2X7単量体ポリペプチドは、配列番号1において示される完全長アミノ酸配列を含む、成熟したまたは完全長の天然配列ポリペプチドである。ある実施形態では、P2X7受容体は、修飾されたアミノ酸配列を有していてもよく、たとえば、配列番号1において示される配列におけるいくつかのアミノ酸は、置換されてもよく、欠失させてもよく、または残基が挿入されてもよい。
「機能的P2X7受容体」は、一般に、ATPに結合するための結合部位またはくぼみを有するP2X7受容体の形態を指す。ATPに結合した場合、受容体は、サイトゾルの中へのカルシウムイオンの進入を可能にする、細孔状の構造を形成し、これらのうちのある結果は、プログラム細胞死となり得る。通常のホメオスタシスでは、機能的P2X7受容体の発現は、一般に、胸腺細胞、樹状細胞、リンパ球、マクロファージ、および単球などのような、プログラム細胞死を受ける細胞に限られる。赤血球上の機能的P2X7受容体のいくらかの発現もあり得る。
「非機能的P2X7受容体」は、一般に、1つまたは複数の単量体が、Pro210(配列番号1による)にシス異性化を有するP2X7受容体の形態を指す。異性化は、たとえば、単量体一次配列の突然変異または異常な翻訳後プロセシングを含む、単量体のミスフォールディングに至るあらゆる分子的事象から生じてもよい。異性化のある結果は、受容体がATPに結合することができないまたは他の場合には、ATPおよびPro210に異性化を含有していない受容体の間で観察されるものよりも低い親和性によりATPに結合するというものである。このような状況下では、受容体は、細孔を形成することができず、これは、カルシウムイオンがサイトゾルに入り得る程度を制限する。非機能的P2X7受容体は、広範囲の上皮癌および造血性癌上で発現する。
本明細書において使用される「細胞外ドメイン」(ECD)は、P2X7受容体(47-306)(配列番号2)(ECD2)およびP2X7受容体(47-332)(配列番号3)(ECD1)である。P2X7受容体(47-306)(配列番号2)は、配列番号1のアミノ酸47〜306である。P2X7受容体(47-332)(配列番号3)は配列番号1のアミノ酸47〜332である。
「抗体」または「免疫グロブリン」または「Ig」は、抗原に結合するように免疫系において機能し、したがって異物を同定し、かつ中和する、血液または脊椎動物の他の体液中に見つけられるガンマグロブリンタンパク質である。
抗体は、一般に、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。それぞれのL鎖は、1つの共有結合性のジスルフィド結合によってH鎖に連結される。2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに依存して、1つまたは複数のジスルフィド結合によって互いに連結される。それぞれのH鎖およびL鎖はまた、規則的に間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋をも有する。
H鎖およびL鎖は、特異的なIgドメインを特徴づける。特に、それぞれのH鎖は、N末端に、可変ドメイン(VH)を有し、α鎖およびγ鎖のそれぞれについては3つの定常ドメイン(CH)ならびにμアイソタイプおよびεアイソタイプについては4つのCHドメインが後続する。それぞれのL鎖は、N末端に、可変ドメイン(VL)を有し、その他方の末端に定常ドメイン(CL)が後続する。VLは、VHと整列し、CLは、重鎖(CH1)の第1の定常ドメインと整列する。
抗体は、様々なクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つのクラスの免疫グロブリンがある:それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。γクラスおよびαクラスは、CHの配列および機能における比較的小さな差異に基づいて、サブクラスにさらに分けられ、たとえば、ヒトは、以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2。あらゆる脊椎動物種由来のL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパおよびラムダと呼ばれる2つの明らかに異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。
定常ドメインは、ジスルフィドによって相互に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含むFc部分を含む。ADCCなどのような抗体のエフェクター機能は、Fc領域における配列によって決定され、この領域はまた、ある種のタイプの細胞上に見つけられるFc受容体(FcR)によって認識される部分である。
VHおよびVLの対形成は、相互に、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを含む「可変領域」または「可変ドメイン」を形成する。重鎖の可変ドメインは、「VH」と呼ばれてもよい。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と呼ばれてもよい。Vドメインは、抗原結合に影響し、かつその特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を特徴づける抗原結合部位を含有する。V領域は、約110のアミノ酸残基にわたり、それぞれ9〜12アミノ酸長である「超可変領域」(一般に約3つ)と呼ばれる非常に可変性のより短い領域によって分離される15〜30のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)(一般に約4つ)と呼ばれる比較的不変のストレッチから成る。FRは、主として、β-シート立体配置をとり、超可変領域は、β-シート構造をつなぐ、いくつかの場合ではβ-シート構造の一部を形成するループを形成する。
「超可変領域」、「HVR」、または「HV」は、配列において超可変性であるおよび/または構造上特徴づけられるループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つの超可変領域を含む;VH中の3つ(H1、H2、H3)およびVL中の3つ(L1、L2、L3)。多くの超可変領域区画が使用されており、本明細書において包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づき、最も共通して使用されている(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版 Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991年))。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書において定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「抗原結合部位を形成するためのペプチド」は、一般に、抗原に対する抗体の特異性を付与するコンホメーションを形成し得るペプチドを指す。例として、完全な抗体もしくは完全な抗体関連構造、可変ドメインを含む完全な抗体の断片、軽鎖および重鎖を含む可変ドメインおよびその断片、またはすべてではないが、いくつかの超可変領域もしくは定常領域を含む軽鎖および重鎖の断片を含む。
「未変化の」または「完全な」抗体は、抗原結合部位ならびにCLならびに少なくとも重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(たとえばヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であってもよい。
「完全な抗体関連構造」は、完全な抗体の多量体化形態を含む。
「可変ドメインを含む完全な抗体の断片」は、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片;二重特異性抗体;直鎖状抗体、単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多特異性抗体を含む。
Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)および一方の重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と共に、全L鎖から成る。それぞれのFab断片は、抗原結合に関して一価である、つまり、それは、単一の抗原結合部位を有する。
Fab'断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端のさらなる少数の残基を有することによってFab断片と異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を運ぶFab'についての本明細書における名称である。
F(ab')2断片は、大ざっぱに言って、二価抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合されたFab断片に相当し、依然として、抗原に架橋結合することができる。
「Fv」は、全部の抗原認識部位および抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は、しっかりと非共有結合した、1つの重鎖可変領域ドメインおよび1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体から成る。
単鎖Fv(scFv)化学種では、二本鎖Fv化学種におけるものと類似した「二量体」構造で軽鎖および重鎖が結合できるように、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインが可動性ペプチドリンカーによって共有結合できる。アミノ酸残基の抗原結合に寄与し、抗原結合特異性を抗体に付与する6つの超可変性ループ(それぞれH鎖およびL鎖由来の3つのループ)がこれらの2つのドメインのフォールディングから生ずる。
「sFv」または「scFv」としても略される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖を形成するようにつながれたVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にする、VHおよびVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。
「単一可変ドメイン」は、全結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、かつ結合するための能力を有する、Fvを半分にしたものである(抗原に特異的なわずか3つのCDRしか含まない)。
「二重特異性抗体」は、断片が、同じポリペプチド鎖(VH-VL)中で軽鎖可変ドメイン(VL)につながれた重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指す。小さな抗体断片は、Vドメインの鎖内ではなく鎖間対形成が達成され、二価の断片、つまり、2つの抗原結合部位を有する断片をもたらすように、VHおよびVLドメインの間に短いリンカー(約5〜10の残基)を有するsFv断片(前節を参照されたい)を構築することによって調製される。
二重特異性抗体は、二価または二特異性であってもよい。二特異性の二重特異性抗体は、2つの抗体のVHおよびVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する、2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。三重特異性抗体および四重特異性抗体(tetrabody)もまた、一般に、当技術分野において知られている。
「単離抗体」は、その既存の環境の成分から同定され、かつ分離されたおよび/または回収されたものである。混入成分は、抗体についての治療上の使用に干渉するであろう、また、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性のまたは非タンパク質性の溶質を含んでいてもよい物質である。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生成される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有する、および/または本明細書において開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体を指す。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む技術において知られている様々な技術を使用して生成することができる。ヒト抗体は、抗原投与に応じてそのような抗体を生成するように修飾されているが、内因性の座が無能にされたトランスジェニック動物に抗原を投与することによって調製することができる。
非ヒト(たとえばげっ歯動物)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小限の配列を含有するキメラ抗体である。大部分については、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の抗体特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長動物などのような非ヒト化学種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基と交換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、相当する非ヒト残基と交換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中に見つけられない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体性能を改良するためにさらに成される。一般に、ヒト化抗体は、すべてのまたは実質的にすべての超可変性ループが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、かつすべてまたは実質的にすべてのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである、実質的にすべての少なくとも1つの、典型的に2つの可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも1つの部分を含むであろう。
「モノクローナル抗体」は、実質的に均質の抗体の集団から得られる抗体を指す、つまり、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、可能性として考えられる天然に存在する突然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、抗原上の単一の抗原部位または抗原決定基に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が混入せずにそれらが合成され得るという点で有利である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法によって調製されてもよいまたは細菌、真核生物の動物、もしくは植物細胞において組換えDNA法を使用して作製されてもよい。「モノクローナル抗体」はまた、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
本明細書におけるモノクローナル抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の相当する配列に同一であるまたは相同性であり、鎖の残りが、他の種に由来するまたは他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の相当する配列に同一であるまたは相同性である「キメラ」抗体ならびにそれらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片を含む。本明細書において興味のあるキメラ抗体は、非ヒト霊長動物(たとえば旧世界ザル、類人猿など)に由来する可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含む「霊長動物化(primatized)」抗体を含む。
用語「抗P2X7受容体抗体」または「P2X7受容体に結合する抗体」は、抗体が、P2X7受容体、典型的には非機能的P2X7受容体を標的とする際に、診断用および/または治療用作用物質として有用となるように、十分な親和性によりP2X7受容体に結合することができる抗体を指す。好ましくは、関連しない受容体タンパク質へのP2X7受容体抗体の結合の程度は、たとえばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるように、P2X7受容体の抗体の結合の約10%未満である。ある実施形態では、P2X7受容体に結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、または<0.1nMの解離定数(Kd)を有する。抗非機能的P2X7受容体抗体は、一般に、これらの血清学的特徴のいくつかまたはすべてを有し、かつ機能的P2X7受容体ではなく非機能的P2X7受容体に結合する抗体である。
「親和性成熟」抗体は、それらの改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性における改善をもたらす、その1つまたは複数のHVR中に1つまたは複数の改変を有する抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはピコモルの親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当技術分野において知られている手順によって生成される。
「ブロッキング」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害するまたは低下させる抗体である。好ましいブロッキング抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。
本明細書において使用される「アゴニスト抗体」は、興味のあるポリペプチドの少なくとも1つの機能的な活性を模倣する抗体である。
「結合親和性」は、一般に、分子(たとえば抗体)の単一の結合部位およびその結合パートナー(たとえば抗原)の間の非共有結合性の相互作用の合計の強度を指す。一般に、「結合親和性」は、結合するペアのメンバー(たとえば抗体および抗原)の間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書において記載されるものを含む、当技術分野において知られている一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に、ゆっくりと抗原に結合し、容易に解離する傾向があるのに対して、高親和性抗体は、一般に、より速く抗原に結合し、より長く、結合したままである傾向がある。結合親和性を測定するための様々な方法は、当技術分野において知られており、これらのいずれも、本発明の目的に使用することができる。
本発明者らは、ECD標的に結合することが分かった多くの可変ドメインクローンのCDR配列を決定した。これらのCDR配列を、下記のTable 1(表1)中に示す。
一実施形態では、Table 1(表1)中に示される配列を有するペプチドが提供される。これらのペプチドは、抗原結合部位、可変ドメイン、抗体、および関連する断片を構築するのに特に有用である。
本発明者らは、ECD標的に結合することが分かった多くの可変ドメインクローンのFR配列を決定した。これらのFR配列を、下記のTable 2(表2、表3、表4、表5)中に示す。他の知られているFR配列は、非機能的P2X7受容体に結合するための抗原結合部位を形成するために、上記に記載されるCDRと共に使用することができる。
ある実施形態では、下記のTable 3(表6)中に示される配列を有する抗原結合部位が提供される。
一実施形態では、P2X7受容体に結合するための抗原結合部位が提供され、抗原結合部位は、一般式11:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4によって定義され、
FR1、FR2、FR3、およびFR4は、それぞれ、フレームワーク領域であり、
CDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれ、相補性決定領域であり、
CDR1は、(R/P/D)(N/M)(H/K/V)(D/E)M(G/S)から成る群から選択される配列を有する。
一実施形態では、P2X7受容体に結合するための抗原結合部位が提供され、抗原結合部位は、一般式12:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4によって定義され、
FR1、FR2、FR3、およびFR4は、それぞれ、フレームワーク領域であり、
CDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれ、相補性決定領域であり、
CDR2は、(A/S)I(S/G)(G/S/T)(S/K)G(G/E)(S/G/D/Y)TYYA(D/N)SVKGから成る群から選択される配列を有する。
一実施形態では、P2X7受容体に結合するための抗原結合部位が提供され、抗原結合部位は、一般式13:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4によって定義され、
FR1、FR2、FR3、およびFR4は、それぞれ、フレームワーク領域であり、
CDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれ、相補性決定領域であり、
CDR3は、(E/Q)(P/T)(K/S/V)(P/H/N)(M/F/V)(D/P)(T/R/E)(E/P)(A1)F(A/D)Yから成る群から選択される配列を有し、
A1は、(E/P)およびFの間にアミノ酸がないことまたはアラニンを指す。
一実施形態では、P2X7受容体に結合するための抗原結合部位が提供され、抗原結合部位は、一般式14:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4によって定義され、
FR1、FR2、FR3、およびFR4は、それぞれ、フレームワーク領域であり、
CDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれ、相補性決定領域であり、
CDR3は、配列:(E/Q)(P/T)(K/S/V)(P/H/N)(M/F/V)(D/P)(T/R/E)(E/P)(A1)F(A/D)Yを有し、
FR4は、配列:(W/R/P/G/C)(G/S/F)(Q/C/P)GT(L/Q)VTV(S/L)(S/E)を有する。
一実施形態では、P2X7受容体に結合するための抗原結合部位が提供され、抗原結合部位は、一般式15:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4によって定義され、
FR1、FR2、FR3、およびFR4は、それぞれ、フレームワーク領域であり、
CDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれ、相補性決定領域であり、
CDR1は、配列:(R/P/D)(N/M)(H/K/V)(D/E)M(G/S)を有し、
CDR2は、配列:(A/S)I(S/G)(G/S/T)(S/K)G(G/E)(S/G/D/Y)TYYA(D/N)SVKGを有し、
CDR3は、配列:(E/Q)(P/T)(K/S/V)(P/H/N)(M/F/V)(D/P)(T/R/E)(E/P)(A1)F(A/D)Yを有し、
A1は、(E/P)およびFの間にアミノ酸がないことまたはアラニンを指し、
FR4は、配列:(W/R/P/G/C)(G/S/F)(Q/C/P)GT(L/Q)VTV(S/L)(S/E)を有する。
一実施形態では、P2X7受容体に結合するための抗原結合部位が提供され、抗原結合部位は、一般式16:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4によって定義され、
FR1、FR2、FR3、およびFR4は、それぞれ、フレームワーク領域であり、
CDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれ、相補性決定領域であり、
CDR1は、配列:(R/P/D)(N/M)(H/K/V)(D/E)M(G/S)を有し、
CDR2は、配列:(A/S)I(S/G)(G/S/T)(S/K)G(G/E)(S/G/D/Y)TYYA(D/N)SVKGを有し、
CDR3は、配列:(E/Q)(P/T)(K/S/V)(P/H/N)(M/F/V)(D/P)(T/R/E)(E/P)(A1)F(A/D)Yを有し、
A1は、(E/P)およびFの間にアミノ酸がないことまたはアラニンを指し、
FR1は、配列:EVQLLE(S/P)GGGLVQPGGSLRLSCAASG(Y/F/V)(R/T/N)(I/F/V)を有し、
FR2は、配列:WVRQAPGKGLEWVSを有し、
FR3は、配列:RFTISRDNSKNTLYLQMNS(L/M)RAEDTAVYYCAを有し、
FR4は、配列:(W/R/P/G/C)(G/S/F)(Q/C/P)GT(L/Q)VTV(S/L)(S/E)を有する。
ある実施形態では、抗原結合部位は、Table 3(表6)中に示される抗原結合部位に対して少なくとも75%、好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは98%、または99%の同一性を有するものである。
ある実施形態では、CDRは、Table 1(表1)中に示されるCDRに対して少なくとも75%、好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは98%、または99%の同一性を有するものである。
配列同一性パーセントは、その全体が参照によってこれによって組み込まれるNeedleman, S. B.およびWunsch, C.D.(1970年)、Journal of Molecular Biology, 48、443〜453頁において開示されるように、GCGプログラムパッケージにおいて提供されるGAP(Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8、1994年8月、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wisconsin、USA 53711)などのような当技術分野において知られているコンピュータープログラムの手段によって、従来の方法によって決定される。GAPは、ポリペプチド配列比較のために以下の設定を用いて使用される:3.0のGAPクリエーションペナルティーおよび0.1のGAPエクステンションペナルティー。
ポリヌクレオチド分子の配列同一性は、DNA配列比較のために以下の設定を有するGAPを使用して類似する方法によって決定される:5.0のGAPクリエーションペナルティーおよび0.3のGAPエクステンションペナルティー。
他の実施形態では、上記に記載される配列を有し、抗P2X7受容体に結合するための当該部位の親和性を増加させるために1つまたは複数の突然変異を含む抗原結合部位またはCDRおよび/もしくはFRが提供される。突然変異は、1つもしくは複数のCDR1、CDR2、もしくはCDR3または1つもしくは複数のFR1、FR2、FR3、もしくはFR4における残基の置換、挿入、または欠失をもたらしてもよい。
VHおよびVLドメインのシャフリングによる親和性成熟を記載するMarksら(1992年) BioTechnology 10:779頁;Barbasら(1994年) Proc Nat. Acad. Sci. USA 9 1:3809頁;Schierら(1995年) Gene 169:147〜155頁;Yeltonら(1995年) J. Immunol. 155:1994頁;Jacksonら(1995年)、J. Immunol. 154(7):3310頁;ならびに超可変領域および/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発を記載するHawkinsら(1992年) J. Mol. Biol. 226:889頁は、抗原結合部位の親和性成熟のための、当技術分野において知られている手順の例である。ある実施形態では、配列の多様なライブラリーを作製するためにTable 1(表1)またはTable 3(表6)中に示される1つまたは複数の配列をコードする核酸を突然変異誘発させる。その後、ライブラリーは、非機能的P2X7受容体のエピトープを含む標的に対してスクリーニングされる。例示的な方法は、本明細書における実施例において示される。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位が提供され、1つまたは複数のFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を形成するアミノ酸配列は、ヒト配列に由来するまたはヒト配列の形態をしている。
抗原結合部位は、非ヒト(たとえばマウス)配列およびヒト免疫グロブリン配列を含むヒト化形態で提供されてもよい。典型的には、抗原結合部位のCDR配列以外は、マウス、ラット、またはウサギなどのような非ヒト種由来のものである。いくつかの場合では、抗原結合部位のフレームワーク残基もまた、非ヒトであってもよい。抗原結合部位が完全な抗体の形態で提供される場合、典型的には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部は、ヒトであり、それによって、様々なヒトエフェクター機能を可能にする。
非ヒト抗原結合部位をヒト化するための方法は、当技術分野においてよく知られており、適した方法の例は、Jonesら(1986年) Nature, 321 :522頁; Riechmannら(1988年) Nature, 332:323頁; Verhoeyenら(1988年) Science, 239:1534頁における方法を含む。
ヒト免疫グロブリン配列から誘導される抗体ライブラリーを使用する、本明細書において記載されるファージディスプレイ法は、ヒト抗原結合部位およびヒト抗体を生成するのに有用である。
さらに、機能的な内因性の免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現させることができるトランスジェニック哺乳動物を使用することができる。これらのマウスは、胚性幹細胞の中へのヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子のランダムまたは標的挿入によって生成されてもよい。宿主重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、挿入または他のいくつかの組換え事象によって、たとえば宿主JH領域のホモ接合型欠失によって、非機能的にされてもよい。トランスフェクトした胚性幹細胞を増やし、ヒト抗原結合部位を発現するホモ接合型の子孫を生成するようにその後飼育されるキメラマウスを生成するために胚盤胞の中にマイクロインジェクトする。P2X7エピトープを用いる免疫の後に、ヒトモノクローナル抗体を得ることができる。トランスジェニック動物系の1つの利点は、ヒト免疫グロブリン導入遺伝子が、トランスジェニックマウスにおいて、B細胞分化の間に再編成し、続いてクラススイッチおよび体細胞突然変異を受けるので、治療上有用なアイソタイプを生成することが可能であることである。
本発明のCDRおよびFRを含む可変ドメインは、抗体を免疫系に対して自己のようにするために、表面に曝露している残基を交換することによってそれほど免疫原性でないものにされてもよい。Padlan, E. A.、1991年、Mol. Immunol. 28、489頁は、例示的な方法を提供する。一般に、抗原結合部位の近くのアミノ酸残基の内部パッキングは、不変のままであり、一般に、結合特性に影響を及ぼすCDR残基または隣接する残基は、これらの方法において置換されないので、親和性は保護される。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位を含む抗P2X7受容体免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、またはscFvが提供される。ある実施形態では、抗原結合部位は、Table 3(表6)中に示される配列を有する。
完全な抗体と比較して低分子量の抗体断片は、固形腫瘍への到達が改善され、クリアランスがより迅速となり得、これは、治療用のおよびin vivoにおける診断用の用途において特に有用であってもよい。
未変化の抗体のタンパク分解性の消化および宿主細胞における組換えによる発現を含む抗体断片の生成のための様々な技術が開発されてきた。後者のものに関して、下記に記載されるように、Fab、Fv、およびscFv抗体断片は、すべて、大腸菌(E. coli)において発現させ、それから分泌させることができ、抗体断片は、抗体ファージライブラリーから単離することができ、Fab'-SH断片は、大腸菌から直接回収することができ、F(ab')2断片を形成するために化学的につなぐことができる。他のアプローチでは、F(ab')2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離される。
ある実施形態では、抗原結合部位は、単鎖Fv断片(scFv)の形態で提供される。FvおよびscFvは、それらが、定常領域を欠く未変化の結合部位を有するので、in vivoにおける使用の間の非特異的結合の低下に適している。scFvを含む融合タンパク質は、scFvのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかでエフェクタータンパク質の融合をもたらすように構築されてもよい。
他の実施形態では、二重特異性抗体または三重特異性抗体または上記に記載される抗原結合部位を含む他の多特異性抗体が提供される。多特異性抗体は、多量体化を可能にするポリペプチドドメインを使用して構築されてもよい。例として、FcのCH2およびCH3領域ならびにCH1ならびにCカッパ/ラムダ領域を含む。ロイシンジッパードメイン(bZIP)、ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフ、Src相同性ドメイン(SH2、SH3)、EFハンド、ホスホチロシン結合(PTB)ドメイン、または当技術分野において知られている他のドメインを含む他の天然に存在するタンパク質多量体化ドメインが使用されてもよい。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、または三重特異性抗体を含む融合ドメインまたは異種タンパク質が提供される。
異種ポリペプチドは、本発明の抗原結合部位または抗原結合部位を含有する分子のNまたはC末端に、組換えで融合されてもよいまたは化学的にコンジュゲートされてもよい。
抗体または抗原結合部位が融合される異種ポリペプチドは、P2X7受容体発現細胞を標的とするのに有用であってもよいまたは精製などのような他のいくつかの機能にとってもしくはポリペプチドのin vivo半減期を増加させるのにもしくは当技術分野において知られている方法を使用するイムノアッセイにおける使用に有用であってもよい。
好ましい実施形態では、ヘキサヒスチジンペプチドなどのようなマーカーアミノ酸配列は、融合タンパク質の簡便な精製に有用である。他には、これらに限定されないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに相当する「HA」タグおよび「flag」タグを含む。
さらに、本発明の抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、または三重特異性抗体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、知られている保護/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性の切断、細胞のリガンドまたは他のタンパク質への連結などによって、修飾されてもよい。
本発明の抗原結合部位は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、つまりペプチドアイソスターによって互いにつなぎ合わせられたアミノ酸から構成することができ、20種の遺伝的にコードされるアミノ酸以外のアミノ酸を含有していてもよい。本発明の抗原結合部位は、翻訳後プロセシングなどのような自然の方法または当技術分野においてよく知られている化学的修飾技術によって修飾されてもよい。そのような修飾は、基本的な教科書および研究文献において十分に記載されている。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖、およびアミノもしくはカルボキシル末端を含む抗原結合部位中のまたは炭水化物などのような成分上のどこにでも生じ得る。同じタイプの修飾が、所与の抗原結合部位中のいくつかの部位に同じ程度または異なる程度で存在してもよいことが十分に理解されるであろう。さらに、所与の抗原結合部位は、多くのタイプの修飾を含有していてもよい。抗原結合部位は、たとえば、ユビキチン化の結果として分岐していてもよく、それらは、分岐を伴ってまたは伴わないで環状をしていてもよい。環状、分岐、および分岐環状抗原結合部位は、翻訳後の自然の方法から生じてもよいまたは合成方法によって作製されてもよい。修飾は、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム成分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク分解性のプロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのような、アミノ酸の、タンパク質への転移RNA媒介性の追加、およびユビキチン化を含む。
他の実施形態では、化学療法剤、薬剤、成長阻害剤、毒素(たとえば、細菌、菌類、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素またはその断片)などのような細胞毒または放射性同位体などのような標識(つまり放射性コンジュゲート)にコンジュゲートされた、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFsv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、または融合タンパク質の形態をしたコンジュゲートが提供される。他の態様では、本発明は、イムノコンジュゲートを使用する方法をさらに提供する。一態様では、イムノコンジュゲートは、細胞毒または検出可能な作用物質に共有結合された上記の可変ドメインのいずれかを含む。
他の実施形態では、上記に記載される免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲートの抗原結合部位に結合するための抗体が提供される。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲートをコードする核酸が提供される。
上記に記載される一般式のいずれか1つによるCDRもしくはFRまたはそれから構成される抗原結合部位をコードするポリヌクレオチドは、たとえば、化学合成またはcDNAライブラリーもしくはゲノムライブラリーからの単離によって、任意の供給源由来の核酸から生成されてもよい。たとえば、cDNAライブラリーは、B細胞、形質細胞、またはハイブリドーマ細胞などのような抗体生成細胞から生成されてもよく、関連する核酸は、興味のある特定のクローンに特異的なオリゴヌクレオチドを使用して、PCR増幅によって単離される。その後、単離された核酸は、当技術分野において知られている任意の方法を使用して、ベクターの中にクローニングされてもよい。その後、関連するヌクレオチド配列は、異なるアミノ酸配列を有する抗原結合部位を生成するために、たとえば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を引き起こすために、当技術分野において知られている方法、たとえば組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(たとえばSambrookら、1990年、Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N. Y.およびAusubelら編、1998年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NYにおいて記載される技術を参照されたい)を使用して、突然変異誘発させてもよい。
他の実施形態では、上記に記載される核酸を含むベクターが提供される。ベクターは、たとえば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、またはファージの形態をしていてもよい。適切な核酸配列は、様々な手順によってベクターの中に挿入されてもよい。一般に、DNAは、当技術分野において知られている技術を使用して、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位の中に挿入される。ベクター成分は、一般に、1つまたは複数のシグナル配列、複製開始点、1つもしくは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列を含むが、これらに限定されない。1つまたは複数のこれらの成分を含有する適したベクターの構築は、当業者に知られている標準的なライゲーション技術を利用する。
抗原結合部位は、直接だけではなく、成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端のシグナル配列または特異的な切断部位を有する他のポリペプチドであってもよい異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても、組換えで生成されてもよい。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であってもよく、またはそれは、ベクターの中に挿入された、抗原結合部位をコードするDNAの一部であってもよい。シグナル配列は、たとえば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または耐熱性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される、原核生物のシグナル配列であってもよい。酵母分泌については、シグナル配列は、たとえば酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー、もしくは酸性ホスファターゼリーダーまたはC.アルビカンス(C. albicans)グルコアミラーゼリーダーであってもよい。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列は、同じまたは関連する種の分泌型ポリペプチド由来のシグナル配列およびウイルス分泌リーダーなどのように、タンパク質の分泌を指示するために使用されてもよい。
本発明の抗原結合部位のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列は、上記に記載される標準的な組換えによる技術を使用して得ることができる。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドシンセサイザーまたはPCR技術を使用して合成することができる。一旦得られたら、ポリペプチドをコードする配列は、複製することができ、原核生物宿主において異種ポリヌクレオチドを発現することができる組換えベクターの中に挿入される。入手可能であり、当技術分野において知られている多くのベクターは、本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主に、ベクターの中に挿入されることとなる核酸のサイズおよびベクターを用いて形質転換されることとなる特定の宿主細胞に依存するであろう。ベクターはそれぞれ、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現またその両方)およびそれが存在する特定の宿主細胞とのその適合性に依存して、様々な成分を含有する。
一般に、宿主細胞と適合性の種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターは、これらの宿主に関して使用される。発現ベクターおよびクローニングベクターの両方は、ベクターが1つまたは複数の選択される宿主細胞において複製することを可能にする核酸配列および形質転換細胞における表現型選択を提供することができるマーク配列を含有する。そのような配列は、様々な細菌、酵母、およびウイルスについてよく知られている。アンピシリン(Amp)およびテトラサイクリン(Tet)抵抗性をコードする遺伝子を含有し、したがって、形質転換細胞を同定するための容易な手段を提供するプラスミドpBR322由来の複製開始点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適しており、2μmプラスミド開始点は、酵母に適しており、様々なウイルスの開始点(SV40、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、VSV、またはBPV)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。pBR322、その誘導体、または他の微生物のプラスミドもしくはバクテリオファージはまた、内因性のタンパク質の発現のために微生物が使用することができるプロモーターを含有していてもよいまたは含有するように修飾されてもよい。
さらに、宿主微生物と適合性のレプリコンおよび制御配列を含有するファージベクターは、これらの宿主に関して形質転換ベクターとして使用することができる。たとえば、λGEM.TM.11などのようなバクテリオファージは、大腸菌LE392などのような感受性の宿主細胞を形質転換するために使用することができる組換えベクターを作製する際に活用されてもよい。
本発明の発現ベクターは、2つ以上のプロモーター-シストロン(シストロンは、単一のポリペプチドの生成のための情報をすべて含有するDNAのセグメントである)ペアを含んでいてもよい。プロモーターは、その発現を調整するシストロンに対して上流に(5')位置する非翻訳調節配列である。原核生物のプロモーターは、典型的には、2つのクラス、誘発性プロモーターおよび恒常的プロモーターに分類される。誘発性プロモーターは、培養条件における変化、たとえば栄養素の存在もしくは不在または温度における変化に応じて、その制御下で、レベルが増加したシストロンの転写を開始するプロモーターである。
様々な考えられる宿主細胞によって認識される多くのプロモーターがよく知られている。選択されるプロモーターは、制限酵素消化によって元のDNAからプロモーターを除去し、本発明のベクターの中に単離されたプロモーター配列を挿入することによって、軽鎖または重鎖をコードするシストロンDNAに作動可能に連結することができる。天然プロモーター配列および多くの異種プロモーターの両方は、標的遺伝子の増幅および/または発現を指示するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、異種プロモーターは、それらが、一般に、天然標的ポリペプチドプロモーターと比較して、発現される標的遺伝子のより高い転写およびより高い収量を可能にするので、活用される。
様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが、よく知られている。原核生物宿主との使用に適したプロモーターは、PhoAプロモーター、β-ガラクタマーゼ(β-galactamase)およびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacまたはtrcプロモーターなどのようなハイブリッドプロモーターを含む。細菌系における使用のためのプロモーターはまた、本発明の抗原結合部位をコードするDNAに作動可能に連結されたShine-Dalgarno(S. D.)配列をも含有するであろう。しかしながら、細菌において機能的な他のプロモーター(他の知られている細菌またはファージプロモーターなど)は、同様に適している。それらのヌクレオチド配列は、公開されており、それによって、当業者が、任意の必要とされる制限部位を供給するためにリンカーまたはアダプターを使用して、標的軽鎖および重鎖をコードするシストロンにそれらを作動可能にライゲーションするのを可能にする。
本発明の一態様では、組換えベクター内のシストロンはそれぞれ、膜を横切る、発現ポリペプチドの移動を指示する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であってもよいまたはそれは、ベクターの中に挿入された、標的ポリペプチドDNAの一部であってもよい。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識され、処理される(つまり、シグナルペプチターゼによって切断される)ものであるべきである。異種ポリペプチドに固有のシグナル配列を認識せず、処理しない原核生物宿主細胞については、シグナル配列は、たとえばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または耐熱性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PeIB、OmpA、およびMBPから成る群から選択される、原核生物のシグナル配列によって置換される。本発明の一実施形態では、発現系の両方のシストロンにおいて使用されるシグナル配列は、STIIシグナル配列またはその変異体である。
他の態様では、本発明による免疫グロブリンの生成は、宿主細胞の細胞質において生じることができ、そのため、それぞれのシストロン内に分泌シグナル配列の存在を必要としない。その点に関して、免疫グロブリン軽鎖および重鎖は、細胞質内で発現され、フォールドされ、機能的な免疫グロブリンを形成するように構築される。ある種の宿主株(たとえば大腸菌trxB'株)は、ジスルフィド結合形成に好都合な細胞質条件を提供し、それによって、発現されたタンパク質サブユニットの適切なフォールディングおよび構築を可能にする。
本発明は、分泌され、適切に構築された本発明の抗原結合部位の収量を最大にするために発現ポリペプチド成分の量比を調整することができる発現系を提供する。そのような調整は、少なくとも部分的に、ポリペプチド成分についての翻訳の強度を同時に調整することによって達成される。
真核生物の宿主細胞における発現に関して、ベクター成分は、一般に、1つまたは複数の以下のシグナル配列、複製開始点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列を含むが、これらに限定されない。
真核生物の宿主細胞における使用のためのベクターはまた、興味のある成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端にシグナル配列または特異的な切断部位を有する他のポリペプチドを含有していてもよい。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識され、処理される(つまり、シグナルペプチターゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列およびウイルス分泌リーダー、たとえば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
そのような前駆体領域についてのDNAは、抗体をコードするDNAに対してリーディングフレーム中にライゲーションされる。
一般に、複製開始点の成分は、哺乳動物発現ベクターに必要とされない。たとえば、SV40開始点は、典型的には、それが初期プロモーターを含有するという理由だけで、使用されてもよい。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、典型的には、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含有するであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、たとえばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレザト、もしくはテトラサイクリンに対する抵抗性を付与する、(b)栄養要求性の欠損を補完する、または(c)複合培地から入手可能でない重大な栄養素を供給するタンパク質をコードし、たとえば、バチルスについては、D-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子となる。
選択機構の1つの例として、宿主細胞の成長を阻止するために薬剤を活用する。異種遺伝子を用いて形質転換するのに成功したそれらの細胞は、薬剤抵抗性を付与するタンパク質を生成し、したがって選択的な状況に耐える。そのような優性選択の例として、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸、およびヒグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞に適した選択マーカーの例は、DHFRまたはチミジンキナーゼ、メタロチオネイン-Iおよび-II、好ましくは霊長動物メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどのような、抗原結合部位をコードする核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にするものである。野生型DHFRが利用される場合の適切な宿主細胞は、調製され、増殖させた、DHFR活性が欠損したCHO細胞株(たとえばATCC CRL-9096)である。たとえば、DHFR選択遺伝子を用いて形質転換された細胞は、最初に、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培地において形質転換体すべてを培養することによって同定される。その代わりに、抗体、野生型DHFRタンパク質、およびアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)などのような他の選択マーカーをコードするDNA配列を用いて形質転換されたまたは同時形質転換された宿主細胞(特に内因性のDHFRを含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド(aminoglycosidic)抗生物質、たとえばカナマイシン、ネオマイシン、またはG418などのような、選択マーカーに対する選択作用物質を含有する培地における細胞増殖によって選択することができる。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、mRNAの合成を指示するために、抗原結合部位をコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターを普通含有する。様々な考えられる宿主細胞によって認識されるプロモーターは、よく知られている。
真核生物の遺伝子は、一般に、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70〜80塩基上流に見つけられた他の配列は、CNCAAT領域であり、ここでNは任意のヌクレオチドであってもよい。ほとんどの真核生物の遺伝子の3'末端に、コード配列の3'末端に対するポリAテイルの追加のシグナルであるかもしれないAATAAA配列がある。これらの配列はすべて、真核生物の発現ベクターの中に適切に挿入される。
酵母宿主との使用に適した促進配列の例は、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたはエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフクルトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、およびグルコキナーゼを含む他の糖分解酵素についてのプロモーターを含む。
増殖条件によって制御される、転写についてさらなる有利性を有する誘発性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC(isocytochrome C)、酸性ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素についてのプロモーター領域である。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗原結合部位の転写は、たとえば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびシミアンウイルス40(SV40)などのようなウイルスのゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、たとえばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、当該プロモーターが宿主細胞系と適合性であることを条件として熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって制御される。
高等真核生物による、抗原結合部位をコードするDNAの転写は、ベクターの中にエンハンサー配列を挿入することによって増加させてもよい。エンハンサー配列は、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)から知られているエンハンサー配列を含む。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用されるであろう。例として、複製起点の後側(bp100〜270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマウイルスエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含む。
真核生物の宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用される発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含有するであろう。そのような配列は、真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAの5'およびときとして3'非翻訳領域から共通して入手可能である。これらの領域は、抗原結合部位をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。
他の実施形態では、上記に記載されるベクターまたは核酸を含む細胞が提供される。核酸分子またはベクターは、ゲノムの外側の独立した分子として、好ましくは複製ができる分子として遺伝的に修飾された宿主細胞もしくは宿主中に存在してもよいまたはそれは、宿主細胞もしくは宿主のゲノムの中に安定して統合されてもよい。
本発明の宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であってもよい。
原核細胞の例は、大腸菌またはバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)のようにクローニングに一般に使用されるものである。さらに、真核細胞は、たとえば菌類または動物細胞を含む。
適した菌類細胞についての例は、酵母細胞、好ましくは酵母菌属の細胞、最も好ましくは出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)種の細胞である。
動物細胞の例は、たとえば昆虫細胞、脊椎動物細胞、好ましくは、たとえばHEK293、NSO、CHO、MDCK、U2-OS、Hela、NIH3T3、MOLT-4、Jurkat、PC-12、PC-3、IMR、NT2N、Sk-n-sh、CaSki、C33Aなどのような哺乳動物細胞である。これらの宿主細胞、たとえばCHO細胞は、リーダーペプチド除去、H(重)鎖およびL(軽)鎖のフォールディングおよび構築、正確な側での分子のグリコシル化、ならびに機能分子の分泌を含む、本発明の抗体分子に対する翻訳後修飾を提供してもよい。
当技術分野において知られているさらに適した細胞株は、American Type Culture Collection (ATCC)のような細胞株保管所から入手可能である。
他の実施形態では、上記に記載される細胞を含む動物が提供される。ある実施形態では、導入遺伝子を含有する動物およびその組織は、本発明の抗原結合部位を生成するのに有用である。非ヒト宿主の中への導入遺伝子としての核酸分子の導入およびそれらの続く発現は、抗原結合部位の生成に使用されてもよく、たとえば、トランスジェニック動物のミルクにおけるそのような導入遺伝子の発現は、定量的な量で抗原結合部位を得るための手段を提供する。この点で有用な導入遺伝子は、本発明の核酸分子、たとえば、カゼインまたはβ-ラクトグロブリンのような乳腺特異的遺伝子由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー構造に動作可能に連結された、本明細書において記載される抗原結合部位に対するコード配列を含む。動物は、非ヒト哺乳動物、最も好ましくはマウス、ラット、ヒツジ、子ウシ、イヌ、サル、または類人猿であってもよい。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲートと、薬学的に許容されるキャリヤー、希釈剤、または賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
その抗原結合部位を調製し、その必要性のある対象に投与するための方法は、よく知られており、当業者らによって容易に決定される。抗原結合部位の投与のルートは、経口、非経口、吸入によるもの、または局所的であってもよい。
本明細書において使用される非経口という用語は、たとえば静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、または膣投与を含む。
投与のこれらの形態がすべて、明らかに、本発明の範囲内であると企図されるが、投与のための形態は、注射用の、特に静脈内もしくは動脈内注射または点滴注入用の水剤となるであろう。普通、注射に適した医薬組成物は、緩衝剤(たとえば酢酸、リン酸、またはクエン酸緩衝剤)、界面活性剤(たとえばポリソルベート)、任意選択で安定剤(たとえばヒトアルブミン)などを含んでいてもよい。
非経口投与用の調製物は、滅菌水性または非水性水剤、懸濁剤、および乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどのような植物油、およびオレイン酸エチルなどのような注射用有機酸エステルである。水性のキャリヤーは、生理食塩水および緩衝培地を含む、水、アルコール性/水性水剤、乳剤、または懸濁剤を含む。本発明において、薬学的に許容されるキャリヤーは、0.01〜0.1M、好ましくは0.05Mリン酸緩衝剤または0.8%生理食塩水を含むが、これらに限定されない。他の一般的な非経口ビヒクルは、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または不揮発性油を含む。静脈内ビヒクルは、体液および栄養素の補充物、リンゲルデキストロースをベースとするものなどのような電解質補充物、ならびにその他同種のものを含む。たとえば抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、および不活性ガスならびにその他同種のものなどのような保存剤ならびに他の添加剤も存在してもよい。
特に、注射用の使用に適した医薬組成物は、滅菌注射用溶液または分散液の即時の調製のために、滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌粉末剤を含み、そのような場合、組成物は、滅菌されていなければならず、容易な注射性能(syringability)が存在する程度まで流動性であるべきである。それは、製造および保管の条件下で安定しているべきであり、好ましくは、細菌および菌類などのような微生物の混入作用に対して保護されるであろう。キャリヤーは、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールならびにその他同種のもの)、ならびにその適した混合物を含有する溶媒または分散媒とすることができる。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのようなコーティングの使用によって、分散液の場合に必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。本明細書において開示される治療用の方法における使用のための適した製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、第16版(1980年)において記載される。
微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、ならびにその他同種のものによって達成することができる。多くの場合では、組成物中に、等張剤、たとえば糖、マンニトール、ソルビトールなどのような多価アルコールまたは塩化ナトリウムを含むことは好ましいであろう。注射用組成物の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅らせる作用物質、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによって、もたらすことができる。
滅菌注射用溶液は、必要に応じて、本明細書において列挙される成分の1つまたはその組み合わせを有する適切な溶媒中に、必要とされる量の活性化合物(たとえば抗原結合部位)を組み込み、その後にろ過滅菌を続けることによって、調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒および上記に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルの中に活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末剤の場合には、調製のための好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、先に滅菌ろ過された溶液から活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末剤がもたらされる。注射用の調製物は、処理され、アンプル、バッグ、ボトル、注射器、またはバイアルなどのような容器の中に充填され、当技術分野において知られている方法によって無菌条件下で密閉される。さらに、調製物は、キットの形態でパッケージされ、売られてもよい。そのような製品は、好ましくは、関連する組成物が、障害に罹患しているまたはそれにかかかりやすい対象を治療するのに有用であることを示す標識または添付文書を有するであろう。
本明細書において記載される障害の治療のための、本発明の組成物の有効な用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理的な状態、患者がヒトであるか動物であるかどうか、投与される他の医薬品、および治療が予防的なものか治療用のものかどうかを含む様々な因子に依存して異なる。普通、患者は、ヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物もまた、治療することができる。治療投薬量は、安全性および効能を最適化するために、当業者らに知られているルーチン的な方法を使用して用量設定されてもよい。
抗原結合部位を用いるある種の障害の治療のために、投薬量は、たとえば、宿主体重の約0.0001〜100mg/kg、より普通では、0.01〜5mg/kg(たとえば0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)の範囲とすることができる。たとえば、投薬量は、1mg/kg体重または10mg/kg体重または1〜10mg/kgの範囲内、好ましくは少なくとも1mg/kgとすることができる。上記の範囲における中間の用量もまた、本発明の範囲内であることが意図される。対象は、そのような用量を、毎日、二日に1回、毎週、または実験による分析によって決定される任意の他のスケジュールに従って投与することができる。例示的な治療は、長期間にわたる、たとえば少なくとも6か月の複数回の投薬量の投与を要する。さらなる例示的な治療プログラムは、2週間ごとに一度または月に一度または3〜6か月ごとに一度、投与を要する。例示的な投薬スケジュールは、連日で1〜10mg/kgもしくは15mg/kg、隔日で30mg/kg、または毎週60mg/kgを含む。いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2つ以上の抗原結合部位が、同時に投与され、この場合には、投与されるそれぞれの抗原結合部位の投薬量は、示される範囲内にある。
本明細書において開示される抗原結合部位は、複数回投与することができる。1回の投薬量の間の間隔は、毎週、毎月、または毎年とすることができる。間隔はまた、患者における標的ポリペプチドまたは標的分子の血液レベルの測定によって示されるように、不規則とすることができる。いくつかの方法では、投薬量は、1〜1000μg/ml、いくつかの方法では25〜300μg/mlの血漿ポリペプチド濃度を達成するために調節される。その代わりに、抗原結合部位は、徐放性製剤として投与することができ、この場合には、それほど頻繁ではない投与が必要とされる。投薬量および頻度は、患者における抗原結合部位の半減期に依存して異なる。抗原結合部位の半減期はまた、安定したポリペプチドまたは成分、たとえばアルブミンまたはPEGへの融合を介して延長することができる。一般に、ヒト化抗体は、最長の半減期を示し、キメラ抗体および非ヒト抗体が後に続く。一実施形態では、本発明の抗原結合部位は、非コンジュゲート形態で投与することができる。他の実施形態では、本明細書において開示される方法における使用のための抗原結合部位は、コンジュゲート形態で複数回投与することができる。他の実施形態では、本発明の抗原結合部位は、非コンジュゲート形態、その後コンジュゲート形態で投与することができるまたはその逆も成立する。
投与の投薬量および頻度は、治療が予防的なものまたは治療用のものであるかどうかに依存して異なり得る。予防的な用途では、抗体またはそのカクテルを含む組成物は、患者の抵抗性を増強するために、疾患状態に既にないまたは疾患前状態にある患者に投与される。そのような量は、「予防的有効用量」であると定義される。この使用において、正確な量はまた、患者の健康の状態および一般的な免疫にも依存するが、一般に、用量当たり0.1〜25mg、とりわけ用量当たり0.5〜2.5mgの範囲である。比較的低い用量が、長い期間にわたって比較的希な間隔で投与される。何人かの患者は、残りの人生の間、治療を受け続ける。
治療用の用途において、比較的短い間隔での比較的高い用量(たとえば、用量当たりの約1〜400mg/kgの結合分子、たとえば抗原結合部位、5〜25mgの投薬量は、放射性イムノコンジュゲートについて、より共通して使用され、細胞毒素コンジュゲート分子については、より高用量となる)は、疾患の進行が低下するまたは終結するまで、好ましくは、患者が疾患の症状の部分的なまたは完全な改善を示すまで、時に必要とされる。その後、患者に予防プログラムを投与することができる。
一実施形態では、対象は、抗原結合部位をコードする核酸分子(たとえばベクターにおいて)を用いて治療することができる。ポリペプチドをコードする核酸についての用量は、患者当たり約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、または30〜300μg DNAの範囲にある。感染ウイルスベクターについての用量は、用量当たり10〜100以上のビリオンで変動する。
治療剤は、予防的なおよび/または治療用の治療のために、非経口、局所的、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、または筋肉内の手段によって投与することができ、いくつかの方法では、作用物質は、非機能的P2X7受容体細胞が蓄積している特定の組織の中に直接注射される、たとえば頭蓋内注射される。筋肉内注射または静脈内注入は、抗体の投与に好ましく、いくつかの方法では、特定の治療用の抗体は、頭蓋の中に直接注射され、いくつかの方法では、抗体は、徐放性組成物またはデバイスとして投与される。
本発明の抗原結合部位は、任意選択で、治療(たとえば予防的なまたは治療用の)を必要性とする障害または状態を治療するのに有効な他の作用物質と組み合わせて投与することができる。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート、希釈剤、および任意選択で標識を含む医薬組成物が提供される。
ある実施形態では、抗原結合部位またはそれを含む分子は、検出可能に標識される。酵素、放射性同位元素、コロイド金属、蛍光化合物、化学発光化合物、および生物発光化合物を含む様々な標識を使用することができる。蛍光色素(フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッドなど)、酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、放射性同位体(32Pまたは125I)、ビオチン、ジゴキシゲニン、コロイド金属、化学または生物発光化合物(ジオキセタン、ルミノール、またはアクリジニウム)が共通して使用される。
検出方法は、使用される標識のタイプに依存し、オートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡、直接的なおよび間接的な酵素反応を含む。例として、ウェスタンブロット、オーバーレイアッセイ、RIA(ラジオイムノアッセイ)およびIRMA(免疫放射性免疫測定アッセイ(Immune Radioimmunometric Assay))、EIA(酵素イムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、FIA(蛍光イムノアッセイ)、ならびにCLIA(化学発光イムノアッセイ)を含む。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または医薬組成物を含むキットまたは製品が提供される。
他の実施形態では、上記に言及される治療用の用途における使用のためのキットが提供され、キットは、
-1つまたは複数の抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または医薬組成物の形態で治療用組成物を保持する容器、
-使用のための指示を有する標識または添付文書を含む。
ある実施形態では、キットは、癌の治療のためのまたは上記に記載される癌関連の合併症または非機能的P2X7受容体発現と関連する状態もしくは疾患を予防するための1つまたは複数のさらなる有効成分または成分を含有していてもよい。
キットまたは「製品」は、容器および容器上のまたはそれと関連する標識または添付文書を含んでいてもよい。適した容器は、たとえばボトル、バイアル、注射器、ブリスターパックなどを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどのような様々な物質から形成されてもよい。容器は、状態の治療に有効である治療用組成物を保持し、滅菌到達ポートを有していてもよい(たとえば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈内水剤バッグまたはバイアルであってもよい)。標識または添付文書は、治療用組成物が、一般的に好まれる状態を治療するために使用されることを示す。一実施形態では、標識または添付文書は、使用のための指示を含み、癌を治療するまたは癌から生じる合併症を予防するために治療用組成物を使用することができることを示す。
キットは、(a)治療用組成物および(b)その中に含有される第2の有効成分または成分を有する第2の容器を含んでいてもよい。本発明のこの実施形態におけるキットは、障害を治療するまたは癌から生じる合併症を予防するために他の有効成分を使用することができることを示す添付文書をさらに含む。その代わりにまたはさらに、キットは、静菌性の注射用水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、およびデキストロース溶液などのような薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の(または第3の)容器をさらに含んでいてもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、および注射器を含む商業上のおよび利用者の観点から望ましい他の物質をさらに含んでいてもよい。
ある実施形態では、治療用組成物は、治療用組成物を保持するための入れ物を含めて、使い捨てのまたは再利用可能であるデバイスの形態で提供されてもよい。一実施形態では、デバイスは、注射器である。デバイスは、1〜2mLの治療用組成物を保持してもよい。治療用組成物は、使用のための準備ができている状態でまたはさらなる成分の混合もしくは追加を必要とする状態でデバイスにおいて提供されてもよい。
他の実施形態では、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または診断用組成物を含むキットまたは製品が提供される。
他の実施形態では、上記に言及される診断用の用途における使用のためのキットが提供され、キットは、
-1つまたは複数の抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲートの形態で診断用組成物を保持する容器、
-使用のための指示を有する標識または添付文書を含む。
キットまたは「製品」は、容器および容器上のまたはそれと関連する標識または添付文書を含んでいてもよい。適した容器は、たとえばボトル、バイアル、注射器、ブリスターパックなどを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどのような様々な物質から形成されてもよい。容器は、癌の検出に有効である診断用組成物を保持し、滅菌到達ポートを有していてもよい(たとえば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈内水剤バッグまたはバイアルであってもよい)。標識または添付文書は、診断用組成物が、一般的に好まれる状態を検出するために使用されることを示す。一実施形態では、標識または添付文書は、使用のための指示を含み、癌または非機能的P2X7受容体発現によって特徴づけられる疾患もしくは状態を検出するために診断用組成物を使用することができることを示す。
キットは、(a)診断用組成物および(b)その中に含有される第2の診断剤または第2の標識を有する第2の容器を含む。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルターなどを含む商業上のおよび利用者の観点から望ましい他の物質をさらに含んでいてもよい。
他の実施形態では、上記に記載される抗P2X7抗原結合部位を生成するための方法であって、上記に記載される細胞または非ヒト動物において上記に記載される核酸を発現させることを含む方法が提供される。
本発明の抗原結合部位の生成は、一般に、本発明の抗原結合部位をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを必要とする。本発明の抗原結合部位をコードするポリヌクレオチドは、得られ、本明細書において記載される技術を含む、当技術分野においてよく知られている技術を使用する組換えDNA技術によって抗原結合部位の生成のためのベクターの中にサブクローニングされてもよい。抗原結合部位の生成および分泌のためのヒト細胞を含む哺乳動物細胞の使用を含む多くの様々な発現系が企図される。細胞の例は、293F、CHO、およびNSO細胞株を含む。
タンパク質コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターは、当技術分野において知られている方法を使用して構築することができる。これらは、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えを含む。ある実施形態では、プロモーターに作動可能に連結された抗原結合部位をコードする核酸を有する複製可能なベクターが提供される。
発現ベクターを用いてトランスフェクトされた細胞は、抗原結合部位を生成するために従来の技術によって培養されてもよい。したがって、ある実施形態では、プロモーターに作動可能に連結された本発明の抗原結合部位をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞または細胞トランスフェクタントが提供される。プロモーターは、異種であってもよい。様々な宿主発現ベクター系が、活用されてもよく、ある系では、ベクター系の転写機構は、特に、宿主細胞に一致する。たとえば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などのような哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な前初期遺伝子プロモーターエレメント(intermediate early gene promoter element)を含むベクターを用いてトランスフェクトされてもよい。さらにまたはその代わりに、挿入された配列の発現を調整するまたは翻訳後修飾の様々な形態を含めて、必要に応じて遺伝子産物を修飾し、処理する宿主細胞が使用されてもよい。特定の翻訳後修飾方法を有する哺乳動物宿主細胞の例は、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NSO、CRL7O3O、ならびにHsS78Bst細胞を含む。
タンパク質分子のための意図される使用に依存して、多くの細菌発現ベクターが好都合に選択されてもよい。一実施例では、大腸菌発現ベクターpUR278などのような、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を引き起こすベクターは、大量の抗原結合部位を生成することになっている場合、使用されてもよい。発現産物は、lacZとの融合タンパク質の形態で生成されてもよい。他の細菌ベクターは、plNベクターおよびその他同種のものを含む。pGEXベクターもまた、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来性ポリペプチドを発現するために使用されてもよい。これらの融合タンパク質は、一般に、可溶性であり、グルタチオン-アガロース親和性マトリックスへの吸着および結合、後に続く遊離グルタチオンの存在下における溶出によって、溶解された細胞から容易に精製することができる。トロンビンおよび/または第Xa因子プロテアーゼ切断部位は、クローニングされた標的遺伝子産物をGST成分から放出することができるように、発現ポリペプチド中に提供されてもよい。
オートグラファカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)は、ヨトウガ細胞を含む昆虫系において外来性遺伝子を発現するために、ベクターとして使用されてもよい。使用される特定のプロモーターは、タンパク質コードが配列の中に挿入される場所に依存してもよい。たとえば、配列は、ポリヘドリン遺伝子の中に個々にクローニングされ、ポリヘドリンプロモーターの制御下に配置される。
ウイルスベースの発現系は、アデノウイルスなどのように哺乳動物細胞と共に活用されてもよく、それによって、興味のあるコード配列は、アデノウイルスの後期プロモーターおよび三連リーダー配列(tripartite leader sequence)にライゲーションされてもよい。その後、in vitroまたはin vivo組換えは、アデノウイルスのゲノムの中にこのキメラ遺伝子を挿入するために使用されてもよい。領域E1またはE3の中への挿入は、感染宿主細胞において抗原結合部位を発現することができる生存可能な組換えウイルスをもたらすであろう。ATG開始コドンおよび隣接する配列を含む特異的な開始シグナルは、挿入された抗原結合部位コード配列の効率的な翻訳のために必要とされてもよい。開始および翻訳制御シグナルおよびコドンは、自然および合成の両方の様々な起源から得ることができる。転写エンハンサーエレメントおよび転写ターミネーターは、ウイルスベースの系の発現の効率を増強するために使用されてもよい。
組換えタンパク質の長期的で高収量の生成が必要とされる場合、安定した発現が好ましい。一般に、選択マーカー遺伝子が使用され、それによって、トランスフェクション後に、細胞は、1〜2日間、濃縮培地中で成長させ、その後、対応する選択マーカー、たとえば抗生物質抵抗性を含有する細胞をスクリーニングすることができる選択培地を含有する培地に移される。結果は、それらの染色体の中にプラスミドを安定して統合した細胞が成長し、引き続いてクローニングし、増して細胞株になることができるフォーカス(focus)を形成するというものである。単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子は、tk"、hgprf、またはaprT細胞において利用することができる遺伝子の例であり、それぞれ、それによって、適切な選択系を提供する。以下の遺伝子:メトトレキサートに対する抵抗性を付与するdhfr;ミコフェノール酸に対する抵抗性を付与するgpt;アミノグリコシドG-418に対する抵抗性を付与するneo;およびヒグロマイシンに対する抵抗性を付与するhygroは、抗代謝産物選択系において使用することができる遺伝子の例である。
本発明の抗原結合部位は、組換え発現系によって、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー(とりわけ特異的抗原プロテインAもしくはプロテインGに対する親和性)およびゲルろ過カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異(differential solubility)を含む知られている方法によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製されてもよい。精製は、融合タンパク質の形態をした抗原結合部位を提供することによって容易にされてもよい。
本発明の大量の抗原結合部位は、分析規模のバイオリアクター(典型的に5L〜約50Lのバイオリアクター)または生産規模のバイオリアクター(たとえば、これらに限定されないが75L、100L、150L、300L、もしくな500L)まで拡張される研究室における試験的発現系から始める、拡張可能な方法によって生成されてもよい。望ましい拡張可能な方法は、典型的にタンパク質の重量でわずか5%の凝集〜タンパク質の凝集の重量でわずか0.5%の、HPSECまたはrCGEによって測定される、低〜検出不可能なレベルの凝集があるものを含む。さらにまたはその代わりに、少なくとも80%および99.5%以上もの全ピーク面積が未変化の抗原結合部位を表すように、未変化の抗原結合部位を表す全ピーク面積の点から測定される検出不可能なレベルの断片化は、拡張可能な方法において所望されてもよい。他の実施形態では、本発明の拡張可能な方法は、約10mg/L〜約300mg/L以上の生産効率で抗原結合部位を生成する。
他の実施形態では、個人における非機能的P2X7受容体発現によって特徴づけられる疾患または状態の治療のための方法であって、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または医薬組成物を、当該状態のための治療を必要とする個人に提供する工程を含む方法が提供される。典型的には、状態は、癌、とりわけ本明細書において記載される上皮癌である。
新生物発生前および新生物疾患は、本発明の方法が適用されてもよい特定の例である。広範囲の例として、乳房腫瘍、直腸結腸腫瘍、腺癌、中皮腫、膀胱腫瘍、前立腺腫瘍、胚細胞腫瘍、肝癌/胆管、癌腫、神経内分泌腫瘍、下垂体新生物、小円形細胞腫瘍、扁平上皮癌、黒色腫、非定型的線維黄色腫、セミノーマ、非セミノーマ、間質ライディッヒ細胞腫(stromal leydig cell tumor)、セルトリ細胞腫、皮膚腫瘍、腎腫瘍、精巣腫瘍、脳腫瘍、卵巣腫瘍、胃腫瘍、口腔腫瘍、膀胱腫瘍、骨腫瘍、頸部腫瘍、食道腫瘍、喉頭の腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、腟腫瘍、およびウィルムス腫瘍を含む。
特定の癌の例は、腺癌、腺腫、腺線維腫、腺リンパ腫、歯牙腫、AIDS関連癌、聴神経腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺嚢癌腫、副腎皮質癌、特発性骨髄化生、脱毛、胞状軟部肉種、アダマンチノーム、被角血管腫、好酸球増多随伴性血管類リンパ組織増殖症、硬化性血管腫(angioma sclerosing)、血管腫症、アプドーマ、肛門癌、血管肉腫、再生不良性貧血、星細胞腫、毛細血管拡張性運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNSの腫瘍、乳癌、鰓腫、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌、小児脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛膜癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、悪性皮膚T細胞リンパ腫、癌腫(たとえばウォーカー、基底細胞、基底扁平細胞、ブラウン-ピアース、腺管、エールリッヒ腫瘍、クレブス2、メルケル細胞、粘液性、非小細胞肺、燕麦細胞、乳頭、硬性、細気管支、気管支原性、扁平上皮細胞、および移行細胞)、癌肉腫、子宮頚部形成異常、葉状嚢肉腫、セメント質腫、脊索腫、分離腫、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、胆管腫、真珠腫、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢腺腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、腺管癌、未分化胚細胞腫、内分泌がん、子宮内膜癌、脳室上衣細胞腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼癌、眼:黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管癌、ファンコニー貧血、線維腫、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、胃腸癌、消化管カルチノイド腫瘍、尿生殖器癌、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科医学の癌、巨細胞腫、神経節腫、神経膠腫、グロームス血管腫、顆粒膜細胞腫、男女性胚細胞腫、血液学的悪性疾患、ヘアリーセル白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒトパピローマウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭癌、過誤腫、血管内皮細胞腫、血管腫、血管周囲細胞腫、血管肉腫、血管肉腫、組織球の障害、組織球症の悪性腫瘍、組織球腫、肝癌、汗腺腫、軟骨肉腫、免疫増殖性小、オポマ(opoma)、眼球内黒色腫、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、平滑筋肉腫、白血病(たとえばb-細胞、混合細胞、ヌル細胞、t-細胞、t-細胞慢性、htlv-ii関連、リンパ管肉腫、リンパ球急性、リンパ球慢性、肥満細胞、および骨髄性)、白血肉腫、ライディッヒ細胞腫、脂肪肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、リンパ管腫、リンパ管細胞腫(lymphangiocytoma)、リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、男性乳房癌、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽細胞腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔癌、多発性内分泌新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、骨髄増殖性障害、悪性カルチノイド症候群カルチノイド心疾患、髄芽細胞腫、髄膜腫、黒色腫、間葉細胞腫、中腎腫、中皮腫、横紋筋芽細胞腫、筋腫、筋肉腫、粘液腫、粘液肉腫、鼻腔癌、上咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽腫、神経線維腫症、ナイミーヘン染色体不安定症候群、非黒色腫皮膚癌、肺非小細胞癌-(nsclc)、神経鞘腫、神経芽腫、神経上皮腫、神経線維腫症、神経線維腫、神経腫、新生物(たとえば骨、乳房、消化器系、結腸直腸、肝臓)、眼癌、食道癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、オストミー卵巣癌(ostomy ovarian cancer)、膵癌、副鼻腔癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢性神経外胚葉性腫瘍、下垂体癌、真性赤血球増加症、前立腺癌、骨腫、骨肉腫、卵巣癌、乳頭腫、パラガングリオーマ、非クロム親和性パラガングリオーマ、松果体腫、形質細胞腫、プロト癌遺伝子、まれな癌および関連する障害、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、ロートムンド-トムソン症候群、網内症、横紋筋腫、唾液腺癌、肉腫、シュワン細胞腫、セザリー症候群、皮膚癌、肺小細胞癌(sclc)、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌-(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、肉腫(たとえばユーイング実験肉腫、カポジ、および肥満細胞肉腫)、セルトリ細胞腫、滑液膜腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌-(膀胱)、移行細胞癌(腎盤-/-尿管)、栄養膜癌、奇形腫、卵胞膜細胞腫、胸腺腫、栄養膜腫瘍、尿道癌、尿路系癌、ウロプラキン、子宮肉腫、子宮癌、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、およびヴィルムス腫瘍を含むが、これらに限定されない。
他の疾患および状態は、様々な炎症性の状態を含む。例として、増殖成分を含んでいてもよい。特定の例として、ざ瘡、アンギナ、関節炎、吸引性肺炎、疾患、蓄膿、胃腸炎、炎症、腸管流感、nee、壊死性小腸大腸炎、骨盤炎症性疾患、咽頭炎、pid、胸膜炎、ひりひり痛むのど、発赤、発赤、咽頭炎、胃インフルエンザおよび尿路感染、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、慢性炎症性脱髄性多発性根神経障害、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、または慢性炎症性脱髄性多発性根神経障害を含む。
他の実施形態では、癌の治療のための医薬品の製造における、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFsv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または医薬組成物の使用が提供される。
投薬量、投薬量頻度、投与のルートなどは、上記に詳細に記載される。
他の実施形態では、癌の診断のための方法であって、癌の存在または不在が決定されることとなる組織または細胞を、上記に記載される抗原結合部位、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または診断用組成物の形態をした試薬と接触させる工程および組織または細胞との試薬の結合について検出する工程を含む方法が提供される。方法は、in vivoにおいてまたはin vitroにおいて操作されてもよい。
in situ診断については、抗原結合部位は、非機能的P2X7受容体上のエピトープ領域との本発明による抗原結合部位の間に特異的な結合が生じるように、静脈内、鼻腔内、腹腔内、大脳内、動脈内注射、または他のルートによって、診断されることとなる生物に投与されてもよい。抗体/抗原複合体は、抗原結合部位またはその機能的断片に結合された標識または検出の任意の他の当技術分野で知られている方法を通して好都合に検出されてもよい。
本発明による診断用の用途において使用され、本明細書において典型的に記載されるイムノアッセイは、検出のための標識抗原、抗体、または二次試薬に依存する。これらのタンパク質または試薬は、コロイド金およびラテックスビーズなどのような有色粒子を含むが、これらに限定されない、酵素、放射性同位元素、ならびに蛍光、発光、および発色性物質を含む当業者に一般に知られている化合物を用いて標識することができる。これらのうち、放射性標識は、ほとんどすべてのタイプのアッセイのために、最も豊富に使用することができる。放射活性を回避しなければならない場合または迅速な結果が必要な場合、酵素コンジュゲート標識は、特に有用である。蛍光色素は、それらの使用のために高価な設備を必要とするが、非常に感度の良い、検出の方法を提供する。これらのアッセイにおいて有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および親和性精製ポリクローナル抗体を含む。
その代わりに、抗原結合部位は、プロテインAもしくはGまたは二次抗体などのような免疫グロブリンに対して親和性を有する標識物質との反応によって間接的に標識されてもよい。抗原結合部位は、第2の物質とコンジュゲートされ、抗原結合部位にコンジュゲートされた第2の物質に対して親和性を有する、標識された第3の物質を用いて検出されてもよい。たとえば、抗原結合部位は、ビオチンにコンジュゲートされてもよく、抗原結合部位-ビオチンコンジュゲートは、標識されたアビジンまたはストレプトアビジンを使用して検出されてもよい。同様に、抗原結合部位は、ハプテンにコンジュゲートされてもよく、抗原結合部位-ハプテンコンジュゲートは、標識された抗ハプテン抗体を使用して検出されてもよい。
ある実施形態では、イムノアッセイは、分析物の存在を検出するために二重抗体法を活用し、抗原結合部位は、検出可能な標識を用いて標識された二次抗体との反応性によって間接的に標識される。二次抗体は、好ましくは、抗原結合部位が由来する動物の抗体に結合するものである。言いかえれば、抗原結合部位がマウス抗体である場合、標識された第2の抗体は、抗マウス抗体である。本明細書において記載されるアッセイにおいて使用されることとなる抗原結合部位については、この標識は、好ましくは、抗体コートビーズ、特に磁気ビーズである。本明細書において記載されるイムノアッセイにおいて利用されることとなる抗原結合部位については、標識は、好ましくは、放射性、蛍光、または電気化学発光物質などのような検出可能な分子である。
それらが分析物の存在の迅速な測定に適しているので、多くの場合高速フォーマット系(fast format system)と呼ばれる代替の二重抗体系もまた、本発明の範囲内で利用されてもよい。系は、抗原結合部位および分析物の間の高い親和性を必要とする。本発明の一実施形態によれば、非機能的P2X7受容体の存在は、それぞれP2X7受容体タンパク質に特異的なペアの抗原結合部位を使用して決定される。当該ペアの抗原結合部位の一方は、本明細書において「ディテクター抗原結合部位」と呼ばれ、当該ペアの抗原結合部位の他方は、本明細書において「キャプチャー抗原結合部位」と呼ばれる。本発明の抗原結合部位は、キャプチャー抗原結合部位またはディテクター抗原結合部位のいずれかとして使用することができる。本発明の抗原結合部位はまた、単一アッセイにおいて共に、キャプチャーおよびディテクター抗原結合部位の両方として使用することができる。本発明の一実施形態は、したがって、生体液の試料において非機能的P2X7受容体を検出するための二重抗原結合部位サンドイッチ法を使用する。この方法では、分析物(非機能的P2X7受容体タンパク質)は、ディテクター抗原結合部位およびキャプチャー抗原結合部位の間にサンドイッチされ、キャプチャー抗原結合部位は、固体支持体上に不可逆的に固定される。ディテクター抗原結合部位は、抗原結合部位-分析物サンドイッチの存在、したがって分析物の存在を同定するために検出可能な標識を含有するであろう。
例示的な固相物質は、マイクロタイタープレート、ポリスチレンの試験管、磁気、プラスチック、またはガラスビーズ、ならびにラジオイムノアッセイおよび酵素イムノアッセイの分野においてよく知られているスライドを含むが、これらに限定されない。固相に抗原結合部位をつなぐための方法もまた、当業者らによく知られている。より最近では、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、および他の多孔質ポリマーなどのような多くの多孔質物質が、固体支持体として利用されてきた。
続く実施例は、本発明を示すが、本発明を全く限定するものではないことが意図される。
(実施例)
(実施例1)
生細胞上の非機能的受容体への結合についてのdABリードの同定
目的:ここで記載する実験は、E200ペプチドに結合する抗原結合部位を見つけることであった。
背景:P2X7に結合する抗血清は、生癌細胞上のエピトープ標的のコンホメーションが異なるので、生癌細胞上に発現されるP2X7に対して低い親和性を有する。高親和性結合剤についてdAbリードを同定するために、発明者らは、結合剤の適した配列多様性が、適したリード化合物を包含するようにコンホメーション空間のスクリーニングを広げるために必要とされることを知って、最初に、適した標的を同定する必要があった。発明者らは、dAbリードを同定するために適した標的としてE200ペプチドを選択した。
材料および方法:E200ペプチドは、Chiron Mimotopesで固相合成によって作製した。一連のコンジュゲートは、スクリーニングの目的に最も有用でありそうなコンジュゲートを同定するために合成した。これらは、MCSを介して、E200ペプチド上に存在するC末端Cysに連結されたタンパク質コンジュゲートBSA、DT、およびオバルブミンを含んだ。第4の変種は、C末端でのE200ペプチドのビオチン化を伴った。
適したリードクローンは、固相および液相スクリーニングの両方においてELISA陽性として最初に同定した。これらは、非コンジュゲートペプチドおよびコンジュゲートペプチドの両方に対して作製した。様々なリードクローンの結合領域をより完全に区別するためにさらなるペプチドを合成した(200〜208および207〜215)。リードクローンのSEC-MALLSを使用する溶液特性は、それらがさらなる開発に適していることを確実にするために試験した。
結果:
最初に、Biacoreによって測定されるようにuM KDの範囲の結合親和性でE200ペプチドに結合し、その後、それらの表面上に非機能的P2X7受容体標的を発現する生癌細胞にフローサイトメトリーによって検出可能に結合した多くの第1世代のリードを同定し、単離した。ペプチド抗原E200に対してスクリーニングしたDomantisファージディスプレイライブラリーから生成された単一ドメイン抗体は、Biacore結合分析を使用して、約1uMのKDを示した。前に得られたリードクローンは、それらの結合特性において多様性を示した。フローサイトメトリーによって生PC3ヒト前立腺癌細胞上で試験した場合、3つのリードdAb、PEP2-2、PEP2-4、およびPEP2-5が、最も高い親和性を示した。さらなるスクリーニングは、HRPを有する標識抗Myc抗体を追加するMycタグを用いて標識した、選んだdAbと共に、正常ヒト組織およびヒト癌組織をインキュベートする標準的な免疫組織化学的検査の使用を伴った。ジアミノベンゾアート(DAB)を追加し、十分な洗浄工程を終えた後に残るあらゆるHRPと反応させた。PEP2-4およびPEP2-5は、ヒト前立腺および皮膚などのような正常組織ではなく腫瘍組織に中程度に結合したが、PEP2-2は、最初のスクリーニングにおいて組織に対してわずかに有効な結合しか示さなかったdAbリードの例となった。
受動的選択(passive selection)は、E200、E200-BSAコンジュゲート、E200、オバルブミンコンジュゲート、およびE200-DTコンジュゲートペプチドを使用して実行したが、溶液スクリーニングは、ビオチン化ペプチドを使用し、その後、ストレプトアビジンを使用して分析した。多数のリードdabの受動的選択物および溶液選択物の両方が、特異的な結合剤と十分に作用し、単一VHドメインの形態をした適した配列多様性を実証した。E200ペプチドならびにより小さな部分(200〜208および207〜215)に対するスクリーニングにより、リードdabが異なる領域に結合することを明らかにした。最良の溶液特性、すなわち最も高い単量体溶解度を有するものは、進展させた。二相性のBiacore結合特性を示すものは、進展させなかった。すべて、E200ペプチドに対してuMの結合を示した。最終的に、実施例5において示されるように、合計5回のスクリーニングラウンドを試みた。ラウンド2における結果の例を図1中に示す。
ヒト子宮頸癌組織をc-Myc標識dAb PEP2-4を用いて染色し、その後、Biocare Medical Mach4二次ポリマー検出法が後に続くマウス抗Myc抗体(1:600)およびDABを使用して現像する癌組織へのdAb結合の例が続く。結合を阻害するために、ペプチド基質を、0(図2)、25nM(結合の損失はない)、0.25uM(結合の損失はない)、10uM(結合の損失はない)、0.1mM(図3)、および1mM(図4)の濃度で一次抗体に追加した。
結合の阻害は、0.01mM未満の濃度で観察されず、50%の阻害のための理想は、約40〜50uMであることを示した。
異なる組織切片由来の連続切片の第2のセットを図5〜7中に示し、倍率はまた、10×とする。
0および10uMの追加競合ペプチドの間の差異は、対照的に、図8(ペプチドなし)および9(10uMペプチド)中に示されるように最小限とした。
100uMで明らかな阻害があり、10uMで阻害はなく、50%の阻害での結合は、この系において約40〜50uMであるように見えることを示す。
20nM PEP2-4 dAbを用いて同様に染色したヒト黒色腫組織の切片を下記の図10中に示す。
結論:dAbリードの形態をした抗原結合部位を、PC3細胞に対する高親和性P2X7結合について同定した。これらの抗原結合部位が直鎖状またはコンホメーションエピトープと相互作用するかどうかは知られておらず、続いて、調査した。リードの改善には、癌細胞上に発現されるような、E200標的抗原結合部位の形状を表すコンホメーションエピトープに対するスクリーニングの追加を必要とした。
(実施例2)
dAb-FcフォーマットにおけるdAbリードの活性の決定
目的:ここで記載する実験は、dAb-Fcとしてリードdabをフォーマットすることを通してE200ペプチドに結合する抗原結合部位の親和性を改善することであった。
背景:リードdabの協調的な結合は、ヒトタイプIgG1 Fcサブタイプを有する標準的なフォーマットdAb-Fcの生成によって達成した。dAb-Fcとしてのフォーマットが溶解度の問題のためにわずかな利点しか提供しなかった高親和性リードdabの排除を可能にすることによって、これらのフォーマットは、リードdAbクローンのよりよく考え抜かれたスクリーニングを可能にした。その後、好都合なコンホメーション溶液を、スクリーニングのさらなるラウンドのために選択することとした。
結果:実施例1から高親和性リードとして選んだ第1のフォーマットdab PEP2-4およびPEP2-5は、E200ペプチドに対してさらなる結合をほとんど示さなかったのに対して、PEP2-2および他(2-47、2-42)は、100〜1000倍のKDにおける特徴的な改善を伴って利益を得た。様々なリードのフォーマットは、図11におけるSDS-PAGEゲルにおいて明らかにされるように、適した発現をもたらした。
結合における改善は、Biacoreチップを100RUのE200でコートし、それぞれのdAb-Fcを100nMで実行した図12中に示すPEP2-2、PEP2-42、PEP2-47を含むリードにより明らかである。
(実施例3)
dAbリードをスクリーニングするためのコンホメーションエピトープの決定
目的:ここで記載する実験は、E200ペプチドに結合し、またコンホメーションエピトープにも結合するdAbを見つけるために、適切なコンホメーションエピトープを決定することであった。
背景:高親和性結合剤は、非機能的P2X7受容体細胞外ドメインに結合する。P2X7の配列を配列番号1において示す。開発することができる多くの可能性として考えられる構築物があるが、発明者らは、これらのうちのどれが生癌細胞上に観察されるコンホメーションエピトープをモデル化するであろうかということを決定しなければならなかった。発明者らは、特に、後の親和性成熟実験のために、固相に結合することができる標的を必要とした。
発明者らは、ECD1が、325〜332のセグメントのC末端に推定上の膜内セグメントを含む膜貫通ドメインTM1およびTM2の間の細胞外ドメインを形成するアミノ酸をすべて構成するので、構造47〜332を有するECD1から始めた。残基をすべて含むことによって、おそらく、標的E200のあたりの構造が保存されるであろうということが考えられた。
材料および方法:ECD1は、標準的な分子生物学の手順を使用して組換えで構築し、大腸菌細胞において可溶性タンパク質として発現させ、免疫蛍光法、ウェスタンブロッティング、およびフローサイトメトリーのために、ECD-Fcとして、pDisplayでフォーマットした。pDisplay構造は、図13における図において示される形態を有した。
結果:野生型(WT)の形態をしたならびに2つの非機能的完全長突然変異体形態(R307QおよびE496A)をしたP2X7の細胞表面発現をHEK293E細胞においてECD1と比較し、ウェスタンブロットを用いて測定した。細胞溶解物および細胞表面発現は、3つの形態すべてにおいて比較し、ECD1に対する標識を追加した。抗カドヘリンは、標準化の対照として使用した。細胞は、スルホ-NHS-SS-ビオチンを用いてビオチン化し、反応を止め、溶解は、中性洗剤を用いて実行した。この段階で、一定分量を、全細胞タンパク質の指標のために保持した。ビオチン化タンパク質は、洗浄したニュートラアビジン樹脂を用いて捕捉し、50mM DTTを用いて溶出した。上清は、特異的タンパク質の細胞内プールの指標のために保持した。その後、試料を、標準的な還元SDS PAGE/ウェスタン上に流した(図14)。
細胞表面発現は、細胞表面上での、WTと比較した、非機能的突然変異体のレベルの低下を示す。発現pDisplayからのECD1発現は、有効に高い。タンパク質のこの形態は、受容体の非機能的形態、腫瘍特異的形態に対する抗体によって標識され、そのため、可能性として考えられる腫瘍を表す形態と考えることができる。対照的に、WT形態を発現する単球は、dAbに結合することができなかった。pDisplayECD1にdabが結合する効率が、示された発現のレベルよりも低かったのは、この場合であるはずであった。これは、生細胞上で、標的エピトープが結合するのを立体的に妨害され、ECD1の構造が最適以下であることを示す。
結論:ECD1構築物にdAbリードが結合し、コンホメーションエピトープへの結合を示したが、結合は、最適以下であり、これは、この構築物が親和性成熟研究のために有用であるかどうかに関して問題を提起した。
(実施例4)
リードdAbの親和性成熟のためのさらなる構築物の決定
目的:親和性成熟研究において使用することができる構築物の生成。
背景:実施例3は、ある種のECDアイソフォームが生腫瘍上に観察されるP2X7のコンホメーションエピトープを再現しないかもしれないことを明らかにした。発明者らは、構造47〜306(ECD2)の形態をしたさらなる構築物を追求することに決めた。
材料および方法:ECD2は、免疫蛍光法、ウェスタンブロッティング、およびフローサイトメトリーのために、可溶性形態、Fcフォーマットで、pDisplayとして、実施例3におけるように、組換えで構築した。
結果:Fc構築物としてのECD2発現を図15中に示す。2つの形態で示されるプロテインA画分を用いる還元SDS PAGE:WT(機能的)およびK193A(非機能的)突然変異体形態。ECD2構築物に結合するdAbを同定した。NBは、プロテインAが結合しないタンパク質を表す、一定分量の上清である。
dAb-Fc種PEP2-4およびPEP2-5は、対照dAb HEL4と共に、非還元および還元ゲル上に流し、相当するウェスタンを、抗P2X7抗体を用いて明らかにした画分について実行した(図16)。dAb-Fc発現およびECD2-Fc発現の両方が明らかである。還元ゲルは、31kDaでのより低い分子量のタンパク分解性断片(単鎖)と共に、62kDaでの抗P2X7抗体のECD2Fc上の特異的な標識を示す。対応するウェスタンは、両方のECD2バンドとの反応性を示したが、HEL4Fc、PEP2-4Fc、またはPEP2-5Fcとは示さなかった。
pDisplay-ECD2を発現する生HEK293E細胞へのフローサイトメトリーによる結合は、明らかに改善された(図17)。対照ネガティブ結合剤としてHEL4を用いる生細胞結合のゲート制御は、リードdAbを用いて検出されたより高い百分率の陽性細胞を伴って、明らかな改善を示し、標的エピトープが、それほど立体的に妨害されず、結合に利用可能であったことを示した(図18)。
結論:生細胞上の非機能的P2X7受容体およびECD2に結合する抗原結合部位を同定した。E200エピトープ部位から概算3nmのところから始まる残基307〜332の除去は、部分的な立体障害の除去を伴って結合を改善した。たとえ、セグメント307〜332がN末端セグメントと密接に相互作用するように、それがタンパク質のフォールドを安定することが期待されても、E200コンホメーションの損失は生じない。
(実施例5)
様々な高親和性結合剤の生成
目的:非機能的P2X7受容体に対して高い親和性を有する抗原結合部位の生成。
背景:以下の配列を有する実施例1からの抗原結合部位:
は、Fcフォーマットにおける結合、溶解度、およびBiacore上での単相性の(uniphasic)解離トレースの所有の問題に依存して、ランダム化およびスクリーニングの反復ラウンドのために出発点として使用した。PEP2-2およびPEP2-47は、必要な特徴を有し、たとえ、それらが、驚いたことに、コンホメーションECD2およびE200ペプチド標的に対して、PEP2-4およびPEP2-5などのような他のリードdabよりも低い単一ドメイン親和性を有していたとしても、親和性成熟のために選択した。
材料および方法:2-2、2-47、および娘を含む、選択したVHドメインは、それぞれの位置に20のアミノ酸をすべて試すNNS多様化を通して、すべてのCDRおよびすべてのフレームワーク領域を含む配列多様化の6回のラウンドを通して親和性成熟させた。HEL4対照非結合剤および多様な陽性結合剤の元となるヒトVHから生じさせたVHライブラリーのスキャフォールドは、配列:
VHD EVQLLEPGGGLVQPGGSLRLSCAASGVNVSHDSMTWVRQAPGKGLEWVSAIRGPNGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASGARHADTERPPSQQTMPFWGQGTLVTVSS
を有する。
エラープローンライブラリーを、2.7アミノ酸エラー率で生成した。クローンのプールは、結合親和性の増加のために、ファージELISAによって、最初にE200、その後、ECD2に対してスクリーニングした。8つのエラープローンライブラリーを、タグを有していない可溶性dAb発現ベクターpDOM38の中にサブクローニングした。受動的選択をラウンド3まで実行した。合計1000のクローンを、ラウンド5ライブラリーPEP2-42、PEP2プールおよびラウンド4ライブラリーPEP2プールからBiacoreによってスクリーニングした。クローンのプールは、PEP2クローン2-1、2-2、2-11、2-13、2-30、2-34、2-42、および2-47である。Biacoreによるoff速度の改善が観察された。1nMビオチン化E200に対するELISAスクリーニングは、対照dAbを超えて、107からラウンド3において106ug/mL、ラウンド5において104ug/mLまでの範囲でEC50の改善を示した。
E200ペプチドに対して選択したPEP2-42クローンのBiacoreトレーシングを、図19中に示す。親クローンおよびHEL4対照dabは、図の下方にある。選択したクローンの配列変異を、以下の図中に示す。示す32のクローンはすべて、改善されたoff速度を有した。off速度曲線は、2つのファミリーに分かれ、クローンは、したがって、古典的なoff速度曲線を表すE/F(左に青)およびG/H(左に赤)、不規則な二相性のタイプにより選んだ(図20)。KD値は、クローン6については76nMおよびクローン7については200nMである。
抗原結合部位の生化学的および/または生物物理的特徴の決定は、SEC-MALLSによって得た。単量体溶液の特徴を有するものは、凝集する傾向を有するものに対して選択した。クローンは、一般に、PBS中の溶解度>10mg/mLを有することが分かった。
特に、可変CDR3領域であるが、残基103〜105などのようなF4における重大な残基に及ぶ部分のNNSスクリーニングは、抗原結合を改良するために使用した。
結果:
抗体の親和性成熟の系図を図21中に示す。Biacoreによって改善された結合の例を、図22中にクローンPEP2-2-3Fcの形態で示す。チャネルを10RU E200ペプチドを用いてコートし、その後、図に関して昇順で100pm、250pm、500pm、および1nM PEP2-2-3をロードした。曲線のあてはめにより、130pMのKDを明らかにする。E200に対する非フォーマットdAb PEP2-2-3についての対応する値は、7nMであり、1uMから300pMまで増加したPEP2-2などのような親dabからの増加と比較して、dAb-Fcとしてフォーマットされた場合に高親和性dabについての結合のより中程度の増加を示す。
溶液形態をしたまたはECD-Fc構築物としてのECD2に対して測定した場合のKDについての対応する値は、コンホメーションエピトープに対する著しくより低い結合を示し、例として、PEP2-2-3 Fcは、1.5nM、PEP2-2-1は、560pM、およびPEP2-472-1は、584pMの値をもたらした。
E200を使用してBiacoreから導き出したPEP2-Fc KDの例を以下の表中に示す。
PEP2-2-1における位置103に対するNNSスクリーニングの効果を図23中に示す。トレース1は、緩衝剤のみであり、トレース5は、アルギニン残基とtrpを交換することによって得られた、改善された結合の典型例である。
偽対照(結合なし)、pDisplay-ECD1(中程度の結合)、pDisplay-ECD2(より高い結合)、およびpDisplay対照(結合なし)を発現するHEK293細胞への、選択したリードクローンの結合は、図24中に見られる。
リードクローンは、特異的にかつ競合的に標的抗原に結合し、可溶性ECD2の追加により競合し得る。例として、図25は、50nMのPEP2-2-1 Fcが、1uMの可溶性ECD2と競合することを示す。SA BiacoreチップをE200-ビオチンペプチドを用いてコートする。示すデータは、HBS-EP緩衝剤における20uL/分の流速での20RUコートチャネルからのものである。HEL4 Fcは、結合せず、ECD2の追加によって影響もされない。類似する結果は、PEP2-2-1 Fcを5uMのE200または1uMのECD2 Fc構築物と競合させる際に達成される。
生癌細胞へのいくつかのリードdAb-Fc抗原結合剤の結合のフローサイトメトリーを、以下の実施例において示す。これらは、前立腺PC3(図26)、乳房MDA-MB 231(図27)、卵巣SKOV-3(図28)、腎臓786-O(図29)、黒色腫G361(図30)、および肺NCI-H596(図31)細胞株を含む。
リンパ球および単球上の機能的P2X7受容体との非交差反応性を、フローサイトメトリーを用いて検査した。2つのdAb FcクローンPEP2-2-1およびPEP2-2-3 FcがHEL4 Fc対照バックグラウンドを超える結合を示さなかった例を、図32中に示す。対照的に、前立腺LNCapなどのような生癌細胞への結合は、明らかである(図33中の緑、HEL4対照は赤で、二次を超える結合を示さず、HLA陽性対照は青で示す)。
Cell Titer Blue Assayを使用して測定する直接的な細胞死滅または増殖阻害は、様々な細胞株を使用し、リードクローンPEP2-2-1およびPEP2-2-3を用いてモニターした。3日または5日の増殖周期にわたって、対照細胞は成長したが、2-2-1 Fcまたは2-2-3のFcの存在下における正味の成長は、HEL4 Fc対照の存在下における成長の割合として測定した。図34は、2-2-1または2-2-3を5日間にわたって40ug/mLまで用量設定するにつれて次第に阻害されるPC3細胞増殖を示すのに対して、対照細胞は、HEL4 Fcに影響されない。結腸直腸癌細胞株COLO205は、2-2-1および2-2-3 Fcとより高い感受性を示し、3日間で有意な増殖阻害を引き起こすが、5日目で、細胞は2.5ug/mLでさえ残っていない(図35)。同様に、黒色腫細胞株A375は、3日目で有意な細胞死滅を示し、5日目に、細胞は残っていない(図36)。
結論:生細胞上の非機能的P2X7受容体に対して高い親和性を有する抗原結合部位を同定し、配列決定し、生物物理的に特徴づけた。細胞機能に対するそれらの効果を検査した。
(実施例6)
今後の実験
目的:抗原への直接的な結合に関与する残基およびCDRがより有効にパッキングされるのを可能にする残基のさらなる標的NNSスクリーニングを通してリードdabの親和性をさらに増強すること。Fcを修飾することによって抗原結合部位の安定性および溶解度を改善すること。細胞死滅の効率を改善すること。
材料および方法:NNSスクリーニングのさらなるラウンドなどのような結合親和性を増強するための標準的な技術が実行されるであろう。生成されたクローンは、改善されたoff速度を有するものを見つけるためにBiacoreおよびECD2(47-306)に対するファージELISAによってスクリーニングされるであろう。CTBアッセイを使用するさらなるスクリーニングは、結合親和性および死滅能力の最も効率的な組み合わせを有するクローンを同定するために実行されるであろう。
期待される結果:また既存のリードよりも有効に癌細胞を死滅させる、少なくとも1log低い結合定数を有するクローンが単離されることが期待される。例として、図36中のPEP2-2-12などのような新しい高親和性リードdAbドメイン(Fcフォーマットなし)は、945pMのECD2ドメインに対するKDを示すのに対して、親PEP2-2-1は、関連する協調的な結合を有するFc構築物として560pMのKDを示す。異なるFcドメインを有するリードの構築によって、溶解度特性および細胞死滅に対するFcの影響を検査することができるであろう。例として、ヒトIgGタイプ1 Fcの代わりのマウスタイプIgG2a Fcの追加がある。
高親和性単一ドメイン種の標識によって、それらを系統スクリーニング目的のために使用することができるであろう。Alexa488標識をdAbドメインPEP2-2-12に結合した例を、図38中に示し、類似するBiacore親和性の決定は、174pMのKDを示す。PEP2-472-12Alexa488ドメインが156pMのKDで測定される、異なる親を有する高親和性リードを図39中に示す。