JP6416421B1 - 磁気メモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】 動作の信頼性を向上する。
【解決手段】実施形態の磁気メモリは、導電層20上に配列された複数の磁気抵抗効果素子10と、複数の磁気抵抗効果素子10に第1の値及び第2の値を含むデータWDTを書き込むために、書き込み電流を導電層20に流し、且つ、複数の磁気抵抗効果素子10に制御電圧を印加する回路140,190と、含む。回路140,190は、データDT内における第1及び第2の値の配列に基づいて、第1及び第2の値の書き込み順序、書き込み電流の電流値、及び、書き込み電流のパルス幅のうち少なくとも1つを調整する。
【選択図】 図14

Description

本発明の実施形態は、磁気メモリに関する。
磁気抵抗効果素子をメモリ素子に用いた磁気メモリが、開発及び研究されている。
特開2017−112351号公報
動作の信頼性を向上する。
本実施形態の磁気メモリは、導電層上に配列された複数の磁気抵抗効果素子と、前記複数の磁気抵抗効果素子に第1の値及び第2の値を含むデータを書き込むために、書き込み電流を前記導電層に流し、且つ、前記複数の磁気抵抗効果素子に制御電圧を印加する第1の回路と、を含み、前記第1の回路は、前記データ内の前記第1の値及び前記第2の値の配列に基づいて、前記第1の値及び前記第2の値の書き込み順序、前記書き込み電流の電流値、及び、前記書き込み電流のパルス幅のうち少なくとも1つを調整する。
第1の実施形態の磁気メモリの構成例を示すブロック図。 第1の実施形態の磁気メモリの構成例を示すブロック図。 第1の実施形態の磁気メモリの構成例を示す鳥瞰図。 第1の実施形態の磁気メモリの構成例を示す等価回路図。 第1の実施形態の磁気メモリの原理を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの原理を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの原理を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの原理を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの動作例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの動作例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの動作例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの動作例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの動作例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの具体例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの具体例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの具体例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの具体例を説明するための図。 第1の実施形態の磁気メモリの具体例を説明するための図。 第2の実施形態の磁気メモリを説明するための図。 第2の実施形態の磁気メモリを説明するための図。 第2の実施形態の磁気メモリを説明するための図。
[実施形態]
図1乃至図21を参照して、実施形態の磁気メモリについて説明する。
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。
また、以下の各実施形態において、末尾に区別化のための数字/英字を伴った参照符号(例えば、ワード線WLやビット線BL、各種の電圧及び信号など)を付された構成要素が、相互に区別されなくとも良い場合、末尾の数字/英字が省略された記載(参照符号)が用いられる。
(I) 第1の実施形態
図1乃至図18を参照して、第1の実施形態の磁気メモリについて、説明する。
(1) 構成
図1乃至図4を参照して、本実施形態の磁気メモリの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態の磁気メモリを含むメモリシステムの一例を示すブロック図である。
図1に示されるように、メモリシステムは、例えば、本実施形態の磁気メモリ1、メモリコントローラ5及びホストデバイス900を含む。
ホストデバイス900は、メモリコントローラ5を介して、データの書き込み(記憶)、データの読み出し、及びデータの消去などの各種の動作を、磁気メモリ1に要求できる。
本実施形態の磁気メモリ(メモリデバイス)1は、メモリ素子としての磁気抵抗効果素子を含む。
磁気メモリ1は、メモリコントローラ5に直接的又は間接的に接続されている。例えば、磁気メモリ1は、ストレージクラスメモリやメインメモリである。
メモリコントローラ5は、接続端子、コネクタ又はケーブルを介して、ホストデバイス900に直接的又は間接的に結合されている。
メモリコントローラ5は、磁気メモリ1の動作を制御できる。メモリコントローラ5は、処理回路50、内蔵メモリ51及びECC回路などを含む。
メモリコントローラ5は、ホストデバイス900からの要求に基づいて、コマンドを生成する。メモリコントローラ5は、生成したコマンドを、磁気メモリ1に送信する。
磁気メモリ1は、メモリコントローラ5からのコマンドに対応する動作を実行する。
例えば、メモリコントローラ5は、ホストデバイス900からの要求がデータの書き込みである場合において、書き込みコマンドを磁気メモリに送信する。メモリコントローラ5は、書き込みコマンドと共に、選択すべきメモリセルのアドレス、メモリセルに書き込むべきデータ、及び、制御信号を送信する。磁気メモリ1は、書き込みコマンド及び制御信号に基づいて、書き込むべきデータを、選択されたアドレスに書き込む。
例えば、メモリコントローラ5は、ホストデバイス900からの要求がデータの読み出しである場合において、読み出しコマンドを磁気メモリに送信する。メモリコントローラ5は、読み出しコマンドと共に、選択すべきメモリセルのアドレス及び制御信号を送信する。磁気メモリ1は、読み出しコマンド及び制御信号に基づいて、選択されたアドレスから、データを読み出す。磁気メモリ1は、読み出されたデータを、メモリコントローラ5に送信する。メモリコントローラ5は、磁気メモリ1からのデータを受信する。メモリコントローラ5は、磁気メモリ1からのデータを、ホストデバイス900に送信する。
例えば、メモリコントローラ5は、内蔵メモリ51内の管理情報(例えば、ルックアップテーブル)LUTによって、磁気メモリ1の動作のための制御情報を、磁気メモリ1に提供できる。
このように、磁気メモリ1は、メモリシステム内において、他のデバイス900,5からの制御によって、所定の動作を実行する。
例えば、磁気メモリ1及びメモリコントローラ5は、プロセッサ500内に設けられている。ホストデバイス900は、プロセッサ500に電気的に結合されている。ホストデバイス900は、携帯端末、スマートフォン、ゲーム機器、プロセッサ、サーバ、及び、パーソナルコンピュータなどから選択される少なくとも1つのデバイスである。
以下において、メモリコントローラ5及びホストデバイス900の少なくとも一方は、外部デバイスとよばれる。
尚、本実施形態の磁気メモリ1は、メモリコントローラ5内又はホストデバイス900内のメモリでもよい。この場合において、磁気メモリ1は、メモリコントローラ5内のCPU、又は、ホストデバイス900内のCPU(又はコントローラ)によって、制御される。また、本実施形態において、メモリコントローラ5は、ホストデバイス900内に設けられていてもよい。プロセッサ500は、ホストデバイス900内に設けられてもよい。
図2は、本実施形態の磁気メモリの内部構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、本実施形態の磁気メモリ1は、メモリセルアレイ100、ロウ制御回路110、カラム制御回路120、デコード回路130、書き込み回路140、読み出し回路150、I/O回路160、電圧生成回路170、及び、制御回路190などを含む。
メモリセルアレイ100は、複数のメモリセルストリング(複数の制御単位)MSを含む。
各メモリセルストリングMSは、複数のメモリ素子(メモリセルともよばれる)10を含む。メモリセルストリングMSにおいて、複数のメモリ素子10は、共通の電極(配線)20に接続されている。メモリセルストリングMSにおいて、複数のメモリ素子10は、例えば、互いに異なるビット線BLに接続されている。本実施形態において、メモリ素子10は、磁気抵抗効果素子である。
メモリセルストリングMSの詳細な構成は、後述される。
ロウ制御回路110は、メモリセルアレイ100の複数のロウを制御する。ロウ制御回路110に、デコード回路130からのアドレスのデコード結果(ロウアドレス)が供給される。ロウ制御回路110は、アドレスのデコード結果に基づいたロウ(例えば、少なくとも1つの電極20)を、選択状態に設定する。以下において、選択状態に設定されたロウは、選択ロウとよばれる。選択ロウ以外のロウは、非選択ロウとよばれる。
カラム制御回路120は、メモリセルアレイ100の複数のカラムを制御する。カラム制御回路120に、デコード回路130からのアドレスのデコード結果(カラムアドレス)が供給される。カラム制御回路120は、アドレスのデコード結果に基づいたカラム(例えば、少なくとも1つのビット線BL)を、選択状態に設定する。以下において、選択状態に設定されたカラムは、選択カラムとよばれる。選択カラム以外のカラムは、非選択カラムとよばれる。
デコード回路130は、I/O回路160からのアドレスADRをデコードする。デコード回路130は、アドレスADRのデコード結果を、ロウ制御回路110及びカラム制御回路120に供給する。アドレス(例えば、物理アドレス)ADRは、選択されるカラムアドレス及び選択されるロウアドレスを、含む。
書き込み回路(書き込み制御回路又は書き込みドライバともばれる)140は、書き込み動作(データの書き込み)のための各種の制御を行う。書き込み回路140は、書き込み動作時において、書き込み電流を、メモリセルストリングMSに供給することによって、メモリ素子にデータを書き込む。
例えば、書き込み回路140は、電圧源(又は電流源)、ラッチ回路などを有する。
読み出し回路(読み出し制御回路又は読み出しドライバともよばれる)150は、読み出し動作(データの読み出し)のための各種の制御を行う。読み出し回路150は、読み出し動作時において、ビット線BLの電位又は電流値を制御することによって、メモリ素子内のデータを読み出す。
例えば、読み出し回路150は、電圧源(又は電流源)、ラッチ回路、センスアンプ回路などを有する。
尚、書き込み回路140及び読み出し回路150は、互いに独立な回路に限定されない。例えば、書き込み回路と読み出し回路とは、相互に利用可能な共通な構成要素を有し、1つの統合的な回路として提供されてもよい。
I/O回路(入出力回路)160は、磁気メモリ1内における各種の信号の送受信のためのインターフェイス回路である。
I/O回路160は、書き込み動作時において、外部デバイス(例えば、メモリコントローラ5)からのデータDTを、書き込みデータとして、書き込み回路140に転送する。I/O回路160は、読み出し動作時において、メモリセルアレイ100から読み出し回路150へ出力されたデータDTを、読み出しデータとして、外部デバイスへ転送する。
I/O回路160は、外部デバイスからのアドレスADRを、デコード回路130に転送する。I/O回路160は、外部デバイスからのコマンドCMDを、制御回路190に転送する。I/O回路160は、様々な制御信号CNTを、制御回路190と外部デバイスとの間で送受信する。
電圧生成回路170は、外部デバイスから提供された電源電圧を用いて、メモリセルアレイ100の各種の動作のための電圧を生成する。
電圧生成回路170は、書き込み動作時において、書き込み動作のために生成された様々な電圧を、書き込み回路140に出力する。電圧生成回路170は、読み出し動作時において、読み出し動作のために生成された様々な電圧を、読み出し回路150に出力する。
制御回路(ステートマシーン、シーケンサまたは内部コントローラともよばれる)190は、制御信号CNT及びコマンドCMDに基づいて、磁気メモリ1内の各回路の動作を制御する。
例えば、コマンドCMDは、磁気メモリ1が実行すべき動作を示す信号である。例えば、制御信号CNTは、外部デバイス5,900と磁気メモリ1との間の動作タイミング及び磁気メモリ1の内部の動作タイミングを制御するための信号である。
制御回路190は、メモリセルアレイ100に対する書き込み動作を制御するための制御情報LUTを保持する。例えば、制御回路190は、制御情報LUTを保持するための情報保持回路191を含む。情報保持回路191は、例えば、レジスタ回路である。
尚、情報保持回路191は、制御回路190の外部に設けられてもよい。
本実施形態の磁気メモリは、例えば、MRAMである。
<メモリセルストリングの構成例>
図3及び図4を参照して、本実施形態のMRAMのメモリセルストリングの内部構成について説明する。
図3は、本実施形態のMRAMのメモリセルストリングの基本的な構成を説明するための鳥瞰図である。
図3に示されるように、メモリセルストリングMSは、電極(配線、導電層)20上に配列された複数の磁気抵抗効果素子10を含む。複数の磁気抵抗効果素子10は、共通の電極20に電気的に接続されている。以下では、電極20は、共通電極20ともよばれる。
磁気抵抗効果素子10は、2つの磁性層101,102と、非磁性層103とを少なくとも含む。
2つの磁性層101,102のそれぞれは、磁化を有する。磁性層101の磁化の向きは、可変である。磁性層102の磁化の向きは、不変(固定状態)である。
本実施形態において、磁化の向きが可変な磁性層101は、記憶層101とよばれ、磁化の向きが不変な磁性層102は、参照層102とよばれる。
尚、本実施形態において、“参照層の磁化の向きが不変である”又は“参照層の磁化の向きが固定状態である(例えば、固定されている)”とは、記憶層の磁化の向きを変えるための電流又は電圧がメモリセルストリングに供給された場合において、参照層の磁化の向きは、供給された電流又は電圧によって変化しないことを、意味する。
例えば、磁性層101,102は、面内磁気異方性(平行磁気異方性)を有している。
磁性層101,102の磁化容易軸方向は、層面に対して平行である。磁性層101,102の磁化容易軸方向は、磁性層101,102の積層方向に対して垂直である。例えば、磁性層101,102の磁化容易軸方向は、複数の磁気抵抗効果素子10の配列方向(電極20の長手方向)と交差する方向に設定されている。
非磁性層103は、2つの磁性層101,102間に設けられている。非磁性層103は、トンネルバリア層103として機能する。例えば、トンネルバリア層103は、酸化マグネシウムを含む絶縁層である。トンネルバリア層103は、トンネル電流が流れる非常に薄い絶縁膜である。
記憶層101が、電極20上に設けられている。参照層102は、トンネルバリア層103を介して、記憶層101上に積層されている。本実施形態において、参照層102の磁化の向きは、図3の紙面の手前側から紙面の奥行き側へ向かう向きに設定されている。
例えば、2つの磁性層101,102及びトンネルバリア層103によって、磁気トンネル接合が、形成される。本実施形態において、磁気トンネル接合を有する磁気抵抗効果素子10は、MTJ素子10とよばれる。
MTJ素子10の抵抗値(抵抗状態)は、記憶層101の磁化の向きと参照層102の磁化の向きとの相対的な関係(磁化配列)に応じて、変わる。例えば、MTJ素子10は、第1の抵抗状態又は第2の抵抗状態を取り得る。
例えば、MTJ素子10は、直方体の構造を有し、長方形状の平面形状を有する。尚、MTJ素子10は、楕円形状の平面形状を有していてもよい。
メモリセルストリングMSに対する動作の制御のために、複数のトランジスタTA,TB,TCが、メモリセルストリングMSに接続されている。
例えば、トランジスタTAの電流経路(ソース/ドレイン)は、電極20の長手方向(延在方向、MTJ素子の配列方向)において、電極20の一端に接続されている。トランジスタTBの電流経路は、電極20の長手方向において、電極20の他端に接続されている。
複数のトランジスタTCは、複数のMTJ素子10に1対1で対応するように、設けられている。トランジスタTCの電流経路は、対応するMTJ素子10の参照層102に接続されている。
図4は、本実施形態のMRAMのメモリセルストリングを含むメモリセルアレイの一例を示す等価回路図である。
図4に示されるように、複数のメモリセルストリングMSが、メモリセルアレイ100内に設けられている。複数のメモリセルストリングMSは、Y方向に配列されている。
メモリセルアレイ100は、複数の共通電極(配線、導電層)20(20−1,・・・,20−m)を含む。複数の共通電極20は、メモリセルストリングMSごとに分離されている。1つのメモリセルストリングMSは、1つの共通電極20を含む。
メモリセルアレイ100は、複数の配線25(25−1,25−2,・・・,25−n),29(29−1,29−2,・・・,29−n)を含む。配線25,29は、Y方向に配列された複数のメモリセルストリングMSに共有に接続されている。
メモリセルストリングMSにおいて、複数のMTJ素子10(10−1,10−2,・・・,10−n)が、共通電極20(20−1,・・・,20−m)に接続されている。m及びnは、1以上の整数である。複数のMTJ素子10は、X方向に配列されている。
MTJ素子10の一端は、共通電極20に接続されている。MTJ素子10の他端は、トランジスタTCの電流経路(ソース/ドレイン)を介して、複数の配線25のうち対応する1つに接続されている。トランジスタTCのゲートは、複数の配線29のうち対応する1つに接続されている。
メモリセルアレイ100は、複数の配線23,24を含む。メモリセルアレイ100は、複数のメモリセルストリングMSに対応するように、複数のトランジスタTA(TA−1,・・・,TA−m)を含む。メモリセルアレイ100は、複数のメモリセルストリングMSに対応するように、複数のトランジスタTB(TB−1,・・・,TB−m)を含む。
複数の配線23,24は、複数のメモリセルストリングMSに共通に接続されている。配線23は、トランジスタTAの電流経路を介して、共通電極20の一端に接続されている。配線24は、トランジスタTBの電流経路を介して、共通電極20の他端に接続されている。
メモリセルアレイ100は、複数の配線21(21−1,・・・,21−m)を含む。配線21は、メモリセルストリングMSごとに設けられている。配線21は、対応するメモリセルストリングMSのトランジスタTA,TBのゲートに接続されている。
トランジスタTA,TB,TCは、メモリセルストリングMS及びMTJ素子(メモリセル)10を活性化(選択)するための素子として機能する。
配線21の電位が制御されることによって、トランジスタTA,TBがオン又はオフされる。これによって、複数のメモリセルストリングMSのうち1つ(例えば、1以上のロウ)が、選択される。
配線29の電位が制御されることによって、トランジスタTCがオン又はオフされる。これによって、メモリセルアレイ100のカラム(1又は複数のカラム)が、選択される。
配線23,24の電位(電流のソース/シンク)が制御されることによって、共通電極20に対する電流(又は電圧)の供給が、制御される。例えば、共通電極20に流す電流の向きに応じて、2つの配線23,24のうち一方の配線が、高電位側(例えば、正の電位、電流ソース側)に設定され、他方の配線が低電位側(例えば、グランド電圧、電流シンク側)に設定される。
配線25の電位が制御されることによって、所定の極性及び電圧値を有する電圧が、MTJ素子10の参照層102に印加される。
各配線の制御は、実行すべき動作に応じて、ロウ制御回路110、カラム制御回路120、書き込み回路140、及び、読み出し回路150によって、行われる。
尚、メモリセルストリングMSを用いたメモリセルアレイ100の構成は、図4に示される例に限定されない。
(2) 原理
図5乃至図10を参照して、本実施形態のMRAMにおけるメモリデバイスとして機能を実現するための様々な原理について、説明する。
<磁気抵抗効果>
図5は、本実施形態のMRAMにおける、メモリ素子としての磁気抵抗効果素子を説明するための図である。
図5の(a)は、磁気抵抗効果素子が第1の抵抗状態を有する場合における磁気抵抗効果素子の磁化配列状態を模式的に示す図である。図5の(b)は、磁気抵抗効果素子が第2の抵抗状態を有する場合における磁気抵抗効果素子の磁化配列状態を模式的に示す図である。
上述のように、磁性層101,102は、面内磁気異方性(平行磁気異方性)を有している。磁性層101,102の磁化方向(磁化容易軸方向)は、磁性層の層面に対して、実質的に平行である。磁性層101,102の磁化方向は、複数の層101,102,103の積層方向に対して、実質的に垂直である。例えば、磁性層101,102の面内磁気異方性は、磁性層の形状磁気異方性などによって生じる。以下において、磁性層の面内磁気異方性を利用したMTJ素子は、面内磁化型MTJ素子(又は平行磁化型MTJ素子)とよばれる。
MTJ素子(磁気抵抗効果素子)10の抵抗状態は、記憶層101の磁化の向きと参照層102の磁化の向きとの相対的な関係(磁化配列)に応じて、変わる。
図5の(a)に示されるように、記憶層101の磁化の向きが、参照層102の磁化の向きと同じである場合、MTJ素子10は、第1の抵抗状態(第1の磁化配列状態)を有する。第1の抵抗状態を有するMTJ素子10は、抵抗値Rpを有する。
図5の(b)に示されるように、記憶層101の磁化の向きが、参照層102の磁化の向きと反対である場合、MTJ素子10は、第2の抵抗状態(第2の磁化配列状態)を有する。第2の抵抗状態を有するMTJ素子10は、抵抗値Rapを有する。抵抗値Rapは、抵抗値Rpより高い。
このように、MTJ素子10は、2つの磁性層101,102の磁化配列に応じて、低抵抗状態及び高抵抗状態のうちいずれか1つの状態を取り得る。
磁気抵抗効果は、このような2つの磁性層101,102の磁化の向きの相対的な関係によって抵抗値が変化する現象である。
例えば、MTJ素子10は、1ビットのデータ(“0”データ及び“1”データ)を保持する。この場合において、MTJ素子10の抵抗状態が、第1の抵抗状態に設定されることによって、メモリセルMCは、第1のデータ保持状態(例えば、“0”データ保持状態)に設定される。MTJ素子10の抵抗状態が第2の抵抗状態に設定されることによって、メモリセルMCは、第2のデータ保持状態(例えば、“1”データ保持状態)に設定される。
本実施形態において、MTJ素子10における記憶層101の磁化の向きと参照層102の磁化の向きとが同じである磁化配列状態は、平行状態(又はP状態)とよばれる。MTJ素子10における記憶層101の磁化の向きと参照層102の磁化の向きとが反対である磁化配列状態は、反平行状態(又はAP状態)ともよばれる。
以下のように、本実施形態のMRAMにおいて、MTJ素子10の磁化配列(P/AP状態)を制御するために、スピンホール効果及び電圧効果が、用いられる。
<スピンホール効果>
図6を用いて、本実施形態のMRAMに用いられるスピンホール効果について、説明する。
図6の(a)及び(b)は、スピンホール効果を説明するための模式図である。
本実施形態のMRAMにおいて、スピンホール効果(又はSOT:Spin Orbit Torqueともよばれる)が、MTJ素子10の記憶層の磁化反転に用いられる。
例えば、スピンホール効果の発現のために、スピン軌道相互作用を有する材料が、用いられる。
図6の(a)及び(b)において、共通電極(導電層、配線)20は、大きいスピン軌道相互作用を有する材料から形成される。例えば、共通電極20は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、及び白金(Pt)などの中から選択される少なくとも1つの材料から形成された層である。以下において、共通電極20は、スピン軌道相互作用層ともよばれる。
電流Iwr(Iwr1,Iwr2)が、共通電極20に供給される。電流(書き込み電流)Iwrは、アップスピンSP1を有する電荷(電子)とダウンスピンSP2を有する電荷とを含む。
電流Iwrが、共通電極20内を流れる場合において、電流が流れる向き(スピンの向き)に応じて、アップスピンSP1とダウンスピンSP2とが、互いに反対方向に散乱される。
スピン(“S”と表記される)、スピン流(“Is”と表記される)及び電子の流れ(“Ie”と表記される)の関係は、次の(式A)で示される。尚、電子の流れ“Ie”の向きは、電流の流れる向きと反対である。“S”は、ベクトルである。
Is∝S×Ie ・・・(式A)
(式A)で示されるように、スピン流“Is”は、スピン“S”と電子の流れ“Ie”との外積に比例する。
これによって、スピン流Isが、スピン軌道相互作用を有する共通電極20内に発生する。このようなスピン流Isを発生させる現象が、スピンホール効果である。
例えば、図6の(a)に示されるように、電流Iwr1が、図中の共通電極20の“XA”側(右側)から“XB”(左側)に向かって流れる場合において、アップスピンSP
1が、共通電極20の“ZA”側(共通電極20の表面側)に散乱し、ダウンスピンSP2が、共通電極20の“ZB”側(共通電極20の裏面側)に散乱する。
図6の(b)に示されるように、電流Iwr2が、図中の共通電極20の“XB”側から“XA”側に向かって流れる場合において、アップスピンSP1が共通電極20の“ZB”側に散乱し、ダウンスピンSP2が共通電極20の“ZA”側に散乱する。
例えば、MTJ素子10は、共通電極20の“ZA”側の面に設けられている。
図6の(a)及び(b)に示されるように、共通電極20に通電される電流Iwrの極性(電流の流れる向き)が反転されることによって、共通電極20上のMTJ素子10の記憶層101に作用するスピントルクの向きが反転する。
図3に示されるように、MTJ素子10が共通電極20上に配置されることによって、スピンホール効果で発生するスピン流に起因するスピン軌道トルク(SOT)が、MTJ素子10に印加される。
スピン軌道トルクとして記憶層101に作用するスピンの向きは、共通電極20内を流れる電流Iwrの向きに応じて、変わる。
したがって、共通電極20内を流れる電流Iwrの向きを制御することによって、記憶層101の磁化の向きを、参照層102の磁化の向きに対して平行の向き又は反平行の向きに、制御できる。
このように、本実施形態のMRAMにおいて、スピンホール効果によって、MTJ素子10の記憶層101の磁化の向きを、印加されるスピンの向きに応じて、変える(反転させる)ことができる。
スピンホール効果を用いたMRAMは、トンネルバリア層103に直接電流を流さずに、MTJ素子10に対するデータの書き込みを行うことができる。
それゆえ、スピンホール効果を用いたMRAMにおいて、トンネルバリア層103の破壊は、抑制できる。
また、スピンホール効果を用いたMRAMにおいて、書き込み動作における電流の経路は、読み出し動作時における電流の経路と異なる。それゆえ、スピンホール効果を用いたMRAMにおいて、リードディスターブは、実質的に発生しない。
図3のような複数のMTJ素子10が1つの共通電極20上に配置された構造において、スピンホール効果によって、書き込み動作が、複数のMTJ素子10に一括に実行できる。
これによって、本実施形態のMRAMにおいて、1ビット当たりの書き込みエネルギー(例えば、消費電力)とセルサイズの微細化とを、実現できる。
図3の構成に対して、電流Iwrが共通電極20に流される場合、共通電極20上の複数のMTJ素子10において、データを書き込む素子(選択素子)とデータを書き込まない素子(非選択素子)とが存在する場合がある。選択素子は、書き込み動作時において、記憶層の磁化を反転させるべきMTJ素子である。非選択素子は、書き込み動作時において、記憶層の磁化を反転させないMTJ素子である。
以下のように、本実施形態のMRAMは、電圧効果(VCMA:Voltage-Controlled Magnetic Anisotropy)によって、共通の共通電極20上の複数のMTJ素子10に対するデータの書き込み/非書き込みを、制御する。
<電圧効果>
図7を参照して、本実施形態のMRAMにおける、磁気抵抗効果素子の電圧効果について、説明する。
電圧効果は、MTJ素子10の記憶層101と参照層102との間に電圧を印加することにより、記憶層101の垂直磁気異方性が変化する現象である。
記憶層101の垂直磁気異方性を変化させることによって、MTJ素子10における平行状態(P状態)と反平行状態(AP状態)との間のエネルギー障壁が、変化する。
これによって、スピンホール効果によるMTJ素子の磁化反転電流(磁化反転しきい値)Icの増加及び低減を制御できる。
例えば、図7(及び図5)に示されるように、MTJ素子10に、面内磁化膜が用いられる。面内磁化膜において、記憶層101及び参照層102の磁化の向きは、磁性層101,102の層面(膜面)に対して平行である。
面内磁化膜を用いたMTJ素子10において、記憶層101の垂直磁気異方性エネルギーを増加させる(垂直安定状態に近づける)ように、MTJ素子10に電圧VCNTが印加されることによって、記憶層101の磁化反転しきい値Icは、低減される。
これとは反対に、電圧VCNTの印加によって、記憶層101の垂直磁気異方性エネルギーを減少させる(面内磁化をより安定化させる)と、記憶層101の磁化反転しきい値Icは増加する。
尚、垂直磁化膜がMTJ素子に用いられる場合、垂直磁化膜が用いられたMTJ素子における垂直磁気異方性エネルギーと電圧との関係は、面内磁化膜が用いられたMTJ素子における垂直磁気異方性エネルギーと電圧との関係と逆になる。
電圧の印加による磁化反転しきい値Icの増減は、MTJ素子に印加される電圧の極性に応じて、決まる。
例えば、一例としての面内磁化型のMTJ素子において、記憶層にCoFeB層が用いられ、トンネルバリア層にMgO層が用いられる。
図7の(a)に示されるように、面内磁化型のMTJ素子10において、記憶層101に正の電圧値の電圧が印加され、参照層102に負の電圧値(又は、0V)の制御電圧VCNTが印加された場合(記憶層側の電位が、参照層側の電位より高い場合)に、記憶層101の磁化反転しきい値Icが減少する。
図7の(b)に示されるように、面内磁化型のMTJ素子10において、記憶層101に負の電圧値(又は、0V)の電圧が印加され、参照層102に正の電圧値の電圧VCNTが印加された場合(参照層側の電位が、記憶層側の電位より高い場合)に、記憶層101の磁化反転しきい値Icが増加する。
このような電圧効果による記憶層101の磁化反転しきい値の変化を利用する場合において、同じ電極20上に配列された複数のMTJ素子10のうち、書き込み対象のMTJ素子(以下では、選択素子とよばれる)の磁化反転しきい値Icが、図7の(a)の電位状態によって書き込み電流の電流値よりも小さい値に設定され、非書き込み対象のMTJ素子10の磁化反転しきい値Icが、図7の(b)の電位状態によって書き込み電流の電流値よりも大きな値に設定される。
書き込み電流の電流値が、電圧効果による磁化反転しきい値の変動を考慮して設定されることによって、同じ電極20上に配列された複数のMTJ素子10に対して、選択的にデータを書き込むことができる。
本実施形態のMRAMは、メモリセルストリングMS内の複数のMTJ素子10に対するデータの書き込みを、制御できる。
<書き込み動作>
上述の図5乃至図7を用いて説明された現象/原理に基づいて、本実施形態のMRAMは、以下のように、書き込み動作を実行できる。
図8は、本実施形態のMRAMの書き込み動作の基本例を説明するための模式図である。
本実施形態のMRAMは、書き込み動作を、2段階のプログラム(プログラムステップ)によって行う。
本実施形態のMRAMにおいて、8ビットのデータの各ビット(桁)の値(“0”又は“1”で示される1ビットのデータ)をメモリセルストリングMS内のMTJ素子10に書き込む場合、書き込み動作は、1回目のプログラムと、2回目のプログラムとを含む。1回目のプログラムにおいて、“0”及び“1”のうち一方のデータの書き込みが実行され、2回目のプログラムにおいて、“0”及び“1”のうち他方のデータの書き込みが実行される。
8つ(8ビット)のMTJ素子10が1つの電極20上に配置された場合において、例えば、1回目のプログラムで、8つの全てのMTJ素子10の磁化配列状態が、AP状態に設定される。
具体的には、共通電極20上の全てのMTJ素子10の記憶層の磁化反転しきい値Icを減少させるように、所定の極性及び電圧値を有する制御電圧が、8つのMTJ素子10に印加される。
記憶層101の磁化反転しきい値Icが減少された状態で、スピンホール効果によるスピンが、共通電極20上のMTJ素子10に対して、印加される。
図8の(a)に示されるように、AP状態に対応するデータ(例えば、“1”データ)がMTJ素子10に書き込まれる場合、MTJ素子10の参照層側の電位が、記憶層側の電位より低くなるように、負の電圧値Vaの制御電圧VCNTが、MTJ素子10の参照層102に、印加される。
例えば、書き込み電流Iwr1が共通電極20のXA側からXB側に向かって流れるように、書き込み電流Iwr1が、共通電極20に供給される。
これによって、共通電極20上のMTJ素子に対して、MTJ素子10のAP状態に対応するデータが、一括に書き込まれる。
1回目のプログラム後の2回目のプログラムにおいて、書き込むべき8ビットのデータに応じて、1回目のプログラムにおいて書き込まれたデータと異なるデータが、所定のMTJ素子に書き込まれる。以下では、複数のビットを含むデータは、データセットとよばれる。
1回目のプログラムにおいてAP状態に対応するデータの書き込みが実行された場合、P状態に対応するデータが書き込まれるべきMTJ素子が、書き込み対象に設定され、AP状態に対応するデータが書き込まれるべきMTJ素子(AP状態を維持すべきMTJ素子)が、非書き込み対象として設定される。
例えば、共通電極20上の複数のMTJ素子10のうち、書き込み対象のMTJ素子(選択素子)において、記憶層101の磁化反転しきい値Icが減少するように、所定の極性及び電圧値の制御電圧(選択電圧)VCNTが、MTJ素子10に印加される。これに対して、共通電極20上のMTJ素子のうち、非書き込み対象の素子(非選択素子)10において、記憶層101の磁化反転しきい値Icが増加するように、所定の極性及び電圧値の制御電圧(非選択電圧)VCNTが、MTJ素子10に印加される。
制御電圧が選択及び非選択のMTJ素子に印加された状態で、書き込み電流Iwr2が、共通電極20内に流される。2回目のプログラムの書き込み電流Iwr2の向きは、第1のプログラムにおける書き込み電流Iwr1の向きと反対である。
図8の(b)に示されるように、P状態に対応するデータ(例えば、“0”データ)がMTJ素子10に書き込まれる場合(MTJ素子10が選択状態に設定される場合)、MTJ素子10の参照層側の電位が、記憶層側の電位より低くなるように、負の電圧値Vaの制御電圧(選択電圧)VCNTが、MTJ素子10の参照層102に、印加される。
例えば、書き込み電流Iwr2が共通電極20のXB側からXA側に向かって流れるように、書き込み電流Iwr2が、共通電極20に供給される。
図8の(c)に示されるように、MTJ素子10にデータを書き込まない場合(MTJ素子10が非選択状態に設定される場合)、MTJ素子10の参照層側の電位が、記憶層側の電位より高くなるように、正の電圧値Vdの制御電圧(非選択電圧)VCNTが、MTJ素子10の参照層102に、印加される。
これによって、書き込み電流Iwr2が共通電極20内を流れていたとしても、非選択状態のMTJ素子10において、データの書き込み(記憶層101の磁化反転)は、生じない。
このように、2回目のプログラムにおいて、スピンホール効果及び電圧効果によって、共通電極20上の複数のMTJ素子10のうち、書き込み対象のMTJ素子の磁化配列が、選択的にAP状態からP状態へ変化され、非書き込み対象のMTJ素子の磁化配列は、維持される。
この結果として、本実施形態のMRAMにおいて、2つのプログラムのステップを含む書き込み方式により、複数のMTJ素子によって形成される得る全ての“1/0”の配列パターンのデータの書き込みを、実現できる。
尚、本実施形態のMRAMの書き込み動作において、1回目のプログラムにおいて、“1”データの書き込みが実行され、2回目のプログラムにおいて、“0”データの書き込みが実行されてもよい。
本実施形態において、これらの原理によって書き込み動作を実行するメモリは、Voltage Control Spintronic Memory (VoCSM)またはVoltage Control Magnetic Memoryとよばれる。
図9は、本実施形態のVoCSM型MRAMの書き込み動作時の状態を模式的に示す図である。
図9に示されるように、本実施形態のMRAMの書き込み動作のように、MTJ素子10に対する制御電圧VCNTの印加と共通電極20に対する電流Iwrの供給とが同時に実行される場合において、MTJ素子10と共通電極20との間の電位差に応じて、電流Iaが共通電極20からMTJ素子10に流れたり、電流IdがMTJ素子10から共通電極20に流れたりする、可能性がある。
このようなMTJ素子10と共通電極20との間に流れる電流Ia,Idに起因して、書き込み電流Iwrの電流値が、共通電極20内で変動する可能性がある。
MTJ素子10と共通電極20との間に流れる電流Ia,Idに起因して、MTJ素子に作用する書き込み電流の実効的な電流値が、書き込むべきデータ及び電極の位置に応じて変化する可能性がある。
ここで、MTJ素子10の抵抗値が“Rx”で表記され、MTJ素子に印加される制御電圧が“Vx”と表記される。MTJ素子10に起因する電流の電流値が、“Ix”と表記される。
MTJ素子10に起因する電流の電流値Ixは、Ix=Vx/Rxの関係を有する。1つのMTJ素子10に起因する電流によって、書き込み電流Iwrの電流値は、電流値Ixに応じて増加又は減少する。
N個のMTJ素子10が1つの共通電極20上に設けられている場合、Ix×(N−1)の変動が、最大値として、書き込み電流Iwrの電流値に生じる。Nは、2以上の自然数である。
以下において、MTJ素子と電極との間で流れる電流による電流値の変動を有する書き込み電流のことを、実効的な書き込み電流とよぶ。実効的な書き込み電流は、MTJ素子と電極との間で流れる電流の影響を受けた電流である。
尚、書き込み回路140は、ある設定値(初期値)の電流値を有する書き込み電流を、出力する。実効的な書き込み電流の電流値は、MTJ素子と電極との間で流れる電流によって、書き込み回路140から出力された書き込み電流の電流値から変動する可能性がある。
メモリの書き込みウィンドウを広げるために、書き込み電流Iwrの変動は、小さくされることが望ましい。書き込み電流の変動を小さくするための1つの手法として、MTJ素子10の抵抗値の増大によって、書き込み電流Iwrの変動は、小さくできる。
但し、MTJ素子10の抵抗値が増大された場合、MTJ素子10からのデータの読み出し時間が、増大する可能性がある。
本実施形態において、VoCSMとしての磁気メモリ1は、以下に述べる原理及び制御によって、MTJ素子10に対する電圧の印加に起因する書き込み電流の変動の影響を、抑制できる。
図10は、磁気メモリ(例えば、VoCSM型MRAM)の書き込みウィンドウを説明するための模式図である。
図10において、グラフの横軸は、電流Iに対応し、グラフの縦軸は、書き込みエラー率(WER:Write error rate)に対応する。
“1−P”に対応する曲線Z1は、書き込み時(プログラム時)の選択素子の非反転確率を示すエラー曲線である。以下において、選択素子の磁化反転が生じないエラーのことを、単に書き込みエラー(又は、プログラムフェイル)とよぶ。
選択素子において、電圧効果によって磁化反転のエネルギー障壁が小さくなるように、例えば、−1Vの制御電圧VCNTが、選択電圧として、MTJ素子10の参照層側に印加されている。これによって、記憶層の磁化反転しきい値は、低減される。この結果として、選択素子における書き込みエラー(磁化の非反転、プログラムフェイル)は、抑制される。
したがって、エラー曲線(1−P)Z1は、低電流側にシフトする。
“P”に対応する曲線Z2は、書き込み時の非選択素子の反転確率を示すエラー曲線である。以下において、非選択素子の磁化反転が生じるエラーのことを、誤書き込み(又は誤書き込みエラー)とよぶ。
非選択素子において、電圧効果によって磁化反転のエネルギー障壁が大きくなるように、例えば、+1Vの制御電圧VCNTが、非選択電圧として、MTJ素子10の参照層側に印加される。これによって、記憶層の磁化反転しきい値は、増大される。この結果として、非選択素子に対する誤書き込み(磁化の意図しない反転)は、抑制される。
したがって、エラー曲線(P)Z2は、エラー曲線Z1よりも高電流側にシフトする。
MTJ素子の電圧効果によって、この2つのエラー曲線Z1,Z2の間にウィンドウ(差)が、形成されるように、書き込み電流Iwrが、設定される。例えば、1ビットのエラー率WERが、1×10−9に設定される場合、選択素子の反転電流は、図9の“I1”の電流値、非選択素子のディスターブ電流(非反転素子が誤って反転してしまう電流)は、図9の“I2”の電流値に設定される。電圧効果によって電流値I2が電流値I1よりも十分大きくなるように、各電流値I1,I2が設定される。
図10の線Z3で示されるように、電流値I1と電流値I2との間に、書き込み電流Iwrの電流値が、設定される。
図10に示されるように、電流値I1及び電流値I2は、複数のMTJ素子の特性ばらつきに起因する分布D1,D2を含む。また、書き込み電流Iwrも、回路ばらつきに加えて、電圧効果のためのMTJ素子に対する制御電圧に起因する電流の変動に起因して、分布D3を、含む。
メモリデバイスにおいて、これらのばらつきの合計を考慮して、信頼性の評価指数として少なくとも6σ以上のウィンドウが、書き込み電流に対して確保されることが望ましい。そのため、書き込み電流Iwrのばらつきは、十分小さくされることが望ましい。
尚、非選択素子に電圧効果のための制御電圧を印加しなくても、書き込みのためのウィンドウを確保することが可能であれば、非選択素子に対する制御電圧の印加は、省略されてもよい。
また、図10において、ウィンドウの設定のための一例として、1ビットのエラー率が1×10−9に設定された場合が例示されている。しかし、要求されるエラー率は、メモリの用途によって変わる。
エラー曲線のモデル式は、以下の式(式B)によって示される。
P=1−exp(−f×t×exp(−Δ×(1−I/Ic0)) …(式B)
ここで、“f”は、緩和周波数(attempt frequency)である。例えば、1×10Hzが“f”に用いられる。“t”は、書き込み電流Iwrのパルス幅である。例えば、パルス幅は、20nsecに設定される。“Δ”は、MTJ素子のリテンションエネルギー(安定指数)を示す。例えば、“Δ”は、70に設定される。“Ic0”はスピンホール効果によるMTJ素子の磁化反転の臨界電流(磁化反転しきい値)を示す。“Ic0”の値は、MTJ素子の電圧効果(制御電圧の大きさ)によって変化する。
上述のように、MTJ素子の磁化配列状態(平行/反平行)とデータ(0/1)の組み合わせは、2通り、存在する。例えば、MTJ素子のP状態に対して、“0”データが対応付けられ、MTJ素子のAP状態に対して、“1”データが対応付けられる。
本実施形態において、VoCSM型磁気メモリ(例えば、MRAM)は、例えば、2回のデータ書き込み(プログラム)によって、同一の共通電極20上の8つのMTJ素子10に対して、データ(データセット)を書き込む。
この書き込みシーケンスにおいて、1回目のプログラムにおいて、メモリセルストリングMS内の全てのMTJ素子10に、同じ値(“0”又は“1”)のデータを書き込む。
そのため、1回目のプログラムにおいて、メモリセルストリングMS内の全てのMTJ素子10が、プログラム(書き込み)の選択素子になり、非選択素子は存在しない。それゆえ、1回目のプログラムにおいて、図10の非選択素子の誤書き込みの発生確率に関する電流値I2は、設定されなくともよい。
この結果として、本実施形態の磁気メモリにおいて、書き込み電流Iwrの値を大きく設定することによって、比較的大きな書き込みウィンドウが、確保可能になる。
2回目のプログラムにおいて、概ね、選択素子と非選択素子とを含んだプログラム(“1”データと“0”データとが混在するデータセットの書き込み)が、実行される。そのため、非選択素子のディスターブ電流の電流値Idも考慮して、メモリセルストリングMSに対する書き込み条件が、設定されることが望ましい。
以下において、本実施形態のVoCSM型MRAMの書き込み動作について、2回目のプログラムにおける書き込み条件について、説明する。
(3) 動作例
図11乃至図13を参照して、本実施形態の磁気メモリ(例えば、VoCSM型MRAM)の動作例について、説明する。
(3a) 例1
書き込み動作(プログラム)のために適した条件は、メモリセルストリングに書き込むデータセット(“1”及び“0”の配列パターン)によって、変わる。
メモリセルストリングMS内の全て(ここでは、8つ)のMTJ素子10の書き込みデータの値が全て同じである場合、例えば、書き込みデータの全ビットが“0”である(データセットが、“00000000”である)場合、1回目のプログラムで、全てのMTJ素子に対して“0”データの書き込みが、実行される。これによって、データ(データセット)の書き込みが、非選択素子の存在なしに、終了する。
この場合において、メモリセルストリングMS内に非選択素子が存在しないため、書き込みディスターブ(非選択素子の磁化反転)の問題は、発生しない。
書き込みデータの全ビットが“1”である(データセットが、“11111111”である)場合、1回目のプログラムで、全てのMTJ素子に対して“1”データの書き込みが、実行される。これによって、データの書き込みが、非選択素子の存在なしに、終了する。
このように、本実施形態のMRAMにおいて、“11111111”のデータセットの書き込みは、“00000000”のデータセットの書き込みと同様に、書き込みディスターブの発生なしに、終了できる。
それゆえ、全てのMTJ素子に同じデータが書き込まれる場合において、選択素子における書き込みエラーの発生を抑制できるように、書き込み電流の電流値が、可能な範囲で大きく設定されればよい。
この結果として、例1のデータの書き込みにおいて、本実施形態のMRAMは、データの書き込みのエラーを低減できる。
(3b) 例2
図11を参照して、本実施形態のMRAMの書き込み動作の一例について説明する。
図11において、メモリセルストリングMC内の一端のMTJ素子に対する書き込みデータが、他のMTJ素子に対する書き込みデータと異なる場合における、本実施形態のVoCSM型MRAMの書き込み動作について説明する。
図11の(a)は、書き込み動作の2回目のプログラム時における、メモリセルストリングの電流の流れの概念を模式的に示す図である。
書き込みデータセットが、“10000000”である場合、例えば、1回目のプログラムにおいて、メモリセルストリングMSの全てのMTJ素子10に対して、“0”のプログラムが実行される。1回目のプログラムにおいて、メモリセルストリングMS内の全てのMTJ素子が、選択素子となる。
“0”のプログラムにおいて、記憶層の磁化反転しきい値Icを下げるように、メモリセルストリングMS内の全てのMTJ素子10に、電圧値Vaの制御電圧が、印加された状態で、書き込み電流Iwr2が、共通電極20に供給される。
2回目のプログラムにおいて、“1”の書き込みの対象として、1番目のMTJ素子10−1(図11の(a)の左端の素子)が、選択素子に設定され、他の2番目から8番目のMTJ素子10−2〜10−8が、非選択素子に設定される。
それゆえ、選択素子(1番目のMTJ素子)10−1に、記憶層の磁化反転しきい値Icを下げるために、電圧値Vaの制御電圧が印加される。これに対して、非選択素子(2番目から8番目のMTJ素子)10−2〜10−8に、記憶層の磁化反転しきい値Icを上げるために、電圧値Vdの制御電圧が、印加される。
選択素子及び非選択素子のそれぞれに、制御電圧Va,Vdが印加された状態で、“1”データの書き込みのために、書き込み電流Iwr1が、共通電極20に供給される。
図5の(a)に示されるように、選択素子10−1に関して、負の電圧がMTJ素子の参照層に印加され、非選択素子10−2〜10−8に関して、正の電圧がMTJ素子の参照層に印加される。“1”データの書き込みのための書き込み電流Iwr1が、電極20のXA側(MTJ素子10−8側)からXB側(MTJ素子10−1側)へ流れる。
この場合において、選択素子10−1において、電流Iaが共通電極20からMTJ素子10に流れるため、選択素子10−1の近傍の部分(位置)X1における書き込み電流Iwr1の電流値は減少する。
一方、非選択素子10−2〜10−8において、電流IdがMTJ素子10から共通電極20へ流れるため、非選択素子の近傍の位置(電極20の各部分)X2〜X8において、書き込み電流Iwr1の電流値は、増加する。
図11の(b)は、図11の(a)における共通電極の各位置における書き込み電流の電流値の変化を模式的に示す図である。
図11の(b)に示されるように、MTJ素子10に印加される制御電圧の電圧値Va,Vdに応じて、書き込み電流Iwrの電流値が、電極20の各位置X1〜X8で、増加又は減少する。
ここには、2番目のMTJ素子10−2から8番目のMTJ素子10−8までの7つの非選択素子が、共通電極20上に存在する。非選択素子に関して、書き込み電流Iwr1の電流値が大きい位置に存在するMTJ素子程、非選択素子における誤書込み確率(磁化反転)が増大する。
図11の(b)の7つの非選択素子のうち、2番目のMTJ素子10−2の位置X2の近傍において、書き込み電流Iwrの電流値が、最も高くなる。2番目のMTJ素子10−2に対する書き込み電流の電流値は、他の非選択のMTJ素子10−3〜10−8に対する書き込み電流の電流値より高くなる。
尚、メモリセルストリングMS内において、2番目のMTJ素子10−2は、選択素子である1番目のMTJ素子10−1に隣り合う。2番目のMTJ素子10−2は、書き込み電流Iwr1の供給源側(XA側)から最も遠い位置に配置されている。
1つのメモリセルストリングMS内における非選択素子において、2番目のMTJ素子10−2の位置において、書き込み電流Iwr1の電流値が最も高いため、2番目のMTJ素子10−2における誤書き込みの発生確率は、他の非選択のMTJ素子10−3〜10−8の誤書き込みの発生確率に比較して高くなる。
2回目のプログラムにおいて、メモリセルストリングの一端のMTJ素子(1番目のMTJ素子)10−1のみが選択素子である場合において、2番目のMTJ素子(一端の選択素子に隣り合う非選択素子)10−2の誤書き込みの発生確率が、十分小さくされることで、メモリセルストリングMS内の非選択素子の誤書き込み率を、小さくできる。
3番目から8番目のMTJ素子10−3〜10−8に作用する書き込み電流の電流値は、2番目のMTJ素子に作用する書き込み電流の電流値より小さい。
もし、2番目のMTJ素子の誤書き込み率を、書き込み電流の調整によって十分小さく抑制すること可能であれば、他の非選択素子としての3番目から8番目のMTJ素子10−3〜10−8の誤書込み率は、その誤書き込み率が2番目のMTJ素子10−2の誤書き込み率より小さくなるので、問題にならない。
例えば、図11のように、2番目のMTJ素子(非選択素子)10−2に対する誤書き込みの抑制に適した条件(例えば、最適条件)になるように、1番目のMTJ素子(選択素子)10−1に対する書き込み条件が設定されることが望ましい。
ここで、非選択素子としてのMTJ素子の誤書き込みの抑制に適した条件とは、非選択素子の電極部分を流れる実効的な書き込み電流Iwrの電流値が、図10の線Z3で示したように、電流値I1と電流値I2との平均値の近傍になるように設定された条件のことである。
以下において、非選択素子及び選択素子に関して書き込み動作時の書き込みエラー(プログラムフェイル及び誤書き込みの少なくとも一方)を抑制可能な書き込み電流の1以上のパラメータの条件のことを、エラー抑制条件とよぶ。
図11の例において、少なくとも2番目のMTJ素子(選択素子の隣りのMTJ素子)10−2における書き込み電流Iwrの電流値が、電流Iaの値(例えば、電流値I1)と電流Idの値(例えば、電流値I2)との間に収まるように、供給源XA側(ここでは、8番目のMTJ素子側)における書き込み電流Iwrの電流値が、設定される。
書き込み電流Iwrは、非選択素子の誤書き込み抑制に適した条件に設定されるように、書き込み電流Iwrの初期値及び書き込み電流のパルス幅のうち少なくとも一方が調整される。
書き込み電流Iwrのパルス幅の制御は、上述の(式B)の“t”の値の制御に対応する。例えば、書き込み電流Iwrのパルス幅の拡張は、(式B)の“t”の増加に相当する。
書き込み電流の電流値が変化されない状態で、書き込み電流のパルス幅が長くされた場合、スピンホール効果による磁化反転確率は、増大する。この結果として、電流値I1及び電流値I2は、減少する方向(図10の左側)にシフトする。
電流値が変化されない状態で、書き込み電流のパルス幅が短くされた場合、電流値I1及び電流値I2は、増加する方向(図10の右側)にシフトする。
書き込み電流Iwrのパルス幅の調整によって、実効的な書き込み電流の電流値が最も大きい非選択素子(ここでは、2番目のMTJ素子)のエラー抑制条件に適合するように、書き込み電流の条件が、設定可能になる。
本例において、メモリセルストリングMS内の選択素子は、1番目のMTJ素子10−1のみである。図11の(b)に示されるように、1番目のMTJ素子10−1に対する書き込み電流Iwrの電流値は、2番目のMTJ素子10−2に対する書き込み電流の電流値とほぼ同じ値になる。
それゆえ、隣り合う2つのMTJ素子10−1,10−2において、2番目のMTJ素子(非選択素子)10−2に対する書き込み電流の電流値が、エラー抑制条件に設定されていれば、1番目のMTJ素子(選択素子)10−1における書き込みエラー率(磁化が反転しないエラーの確率)は、十分小さくなる。
尚、8番目のMTJ素子10−8が選択素子であり、1番目から7番目のMTJ素子10−1〜10−7が非選択素子である場合においても、図11の例と実質的に同様に書き込み電流の電流値及びパルス幅の少なくとも一方が調整されることによって、書き込み動作におけるエラーを抑制できる。
このように、本実施形態のVoCSM型MRAMにおいて、書き込み電流のパラメータ(例えば、パルス幅)の制御によって、MTJ素子に対する制御電圧の印加に起因する書き込み電流の変動が、考慮される。
これによって、選択素子に対する書き込みエラーの抑制と非選択素子に対する誤書き込みの抑制を、両立できる。
この結果として、例2のデータの書き込みにおいて、本実施形態のMRAMは、データの書き込みのエラーを低減できる。
(3c)例3
図12及び図13を参照して、メモリセルストリング内の複数のMTJ素子に対する書き込みデータにおいて、“0”及び“1”の配列がランダムな一般的なデータセットの書き込み動作について説明する。
本例において、書き込みデータの一例として、“01001000”のデータセットが、用いられる。
“01001000”のデータセットが、1つの共通電極20上の8つのMTJ素子10に書き込まれる場合、2つのパターンの書き込み動作が、存在する。
一方のパターン(ここでは、第1の書き込み方式とよぶ)の書き込み動作において、1回目のプログラムにおいて、“0”データが全てのMTJ素子に書き込まれ、2回目のプログラムにおいて、“1”データが2つのMTJ素子(2番目及び5番目のMTJ素子)に対して、書き込まれる。
他方のパターン(ここでは、第2の書き込み方式とよぶ)の書き込み動作において、1回目のプログラムにおいて、“1”データが全てのMTJ素子に書き込まれ、2回目のプログラムにおいて、“0”データが6つのMTJ素子(1番目、3番目、4番目、6番目、7番目目及び8番目のMTJ素子)に対して、書き込まれる。
<第1の書き込み方式の書き込み動作>
図12を参照して、“01001000”のデータセットの書き込み動作に関して、“0”データのプログラムの後、“1”データのプログラムが実行される例について、説明する。
第1の書き込み方式における“01001000”のデータセットの書き込み動作において、上述の例と同様に、1回目のプログラムにおいて、“0”データが、全てのMTJ素子10に書き込まれる。
“0”データのプログラムのために、メモリセルストリングMSの8つのMTJ素子10に対して、電圧値Vaの制御電圧VCNTが、印加される。8つのMTJ素子10に電圧値Vaの制御電圧VCNTが印加された状態で、書き込み電流Iwr2が、共通電極20に供給される。書き込み電流Iwr2は、共通電極20のXB側(1番目のMTJ素子10−8側)から共通電極20のXA側(8番目のMTJ素子10−8側)へ流れる。
“01001000”のデータセットの書き込み動作の2回目のプログラムにおいて、“1”データがプログラムされるMTJ素子が、選択される。
図12は、本実施形態のMRAMの書き込み動作を説明するための模式図である。
図12の(a)において、書き込み動作の2回目のプログラム時におけるメモリセルストリングの電流の流れを模式的に示す図である。
図12の(b)は、図12の(a)における共通電極の各位置における書き込み電流の
電流値の変化を模式的に示す図である。
図12の(b)において、グラフの横軸は、電極20上におけるMTJ素子の相対的な位置を示し、グラフの縦軸は、実効的な書き込み電流の電流値を示している。
図12の(a)に示されるように、書き込み電流Iwr1は、共通電極20のXA側からXB側へ向かって流れる。書き込み電流Iwr1の供給源側は、8番目のMTJ素子側(共通電極20のXA側)となる。
“1”データのプログラムにおいて、2つのMTJ素子10−2,10−5が、選択される。他の6つのMTJ素子10が、非選択素子に設定される。
上述のように、選択素子10−2,10−5に起因する電流Iaによって、書き込み電流Iwr1の電流値は、低下する。非選択素子10−1,10−3,10−4,10−6,10−7,10−8に起因する電流Idによって、書き込み電流Iwrの電流値は、増加する。
図12の(b)に示されるように、実効的な書き込み電流Iwr1の電流値は、共通電極20の1番目のMTJ素子10−1及び3番目のMTJ素子10−3の位置において、高くなる。
実効的な書き込み電流Iwrの電流値の増大に伴って、非選択のMTJ素子におけるエラーの磁化反転(意図しない磁化反転)は、生じやすくなる。
それゆえ、6つの非選択素子のうち1番目のMTJ素子10−1、又は、3番目のMTJ素子10−3において、誤書込みの発生確率が、他の非選択素子に比較して、高くなる。
選択素子は、書き込み電流Iwr1の電流値の低下に伴って、選択のMTJ素子における記憶層の磁化反転が、生じにくくなる。それゆえ、選択素子において、書き込み電流の電流値の低下によって、書き込みエラーの確率(記憶層の磁化反転が生じない確率)が増加する。
本例において、図12の(b)に示されるように、2つの選択素子10−2,10−5のうち、5番目のMTJ素子10−5の位置X5における書き込み電流Iwr1の電流値は、2番目のMTJ素子10−2の位置における書き込み電流Iwr1の電流値より小さい。
それゆえ、5番目のMTJ素子10−5の書き込みエラーの確率が、2番目のMTJ素子の書き込みエラーの確率より高くなる。
ここで、MTJ素子10−1の位置X1(又は、MTJ素子10−3の位置X3)における、実効的な書き込み電流Iwr1の電流値は、“Iwn1”と表記される。MTJ素子10−5の位置X5における、実効的な書き込み電流Iwrの電流値は、“Iws1”と表記される。
非選択素子の誤書き込み及び選択素子の書き込みエラーの発生を抑制するように、共通電極20の各位置における電流値Iwn1及び電流値Iws1の両方が、エラー抑制条件の値の近傍に設定されることが望ましい。
例えば、電流値Iwn1と電流値Iws1との平均値が、選択素子の書き込みエラー及び非選択素子の誤書き込みを抑制するための書き込み電流Iwrの電流値に適した値(適した条件)として設定される。
例えば、書き込み動作時の2回目のプログラムにおいて、書き込み回路140は、電流値Iws2と電流値Iwn2との平均値(又は、電流値Iws2と電流値Iwn2との間の電流値)に基づいて、書き込み電流の電流値を設定する。書き込み回路140は、設定された電流値を有する書き込み電流を、出力する。
これによって、選択素子に対する実効的な書き込み電流の電流値と非選択素子に対する実効的な書き込み電流の電流値との両方が、エラー抑制条件に近似する値に設定できる。
選択されたメモリセルストリングに対する書き込み動作におけるエラー抑制条件に関して、書き込み電流Iwr1の電流値が、非選択素子に対する最大電流値Iwn1と選択素子に対する最小電流値Iws1との間の値に、少なくとも設定されることが、望ましい。
以上のように、本実施形態のVoCSM型MRAMにおいて、1つの共通電極20上に配置された複数のMTJ素子10において、選択素子の中で最も電流値の小さくなる素子に対する実効的な書き込み電流の電流値Iws1と非選択素子の中で最も電流値の大きくなる素子に対する実効的な書き込み電流Iwrの電流値Iwn1との間の範囲内に、書き込み電流Iwrの電流値(初期値、設定値)が、設定される。
これによって、本実施形態のVoCSM型MRAMは、MTJ素子10に対する制御電圧VCNT(電圧値Va,Vd)の印加に起因する書き込み電流の変動の影響を、実効的に小さくできる。
尚、ここでは、選択素子及び非選択素子のエラー抑制条件を設定するために、書き込み電流の電流値を調整する例を示している。但し、書き込み電流のパルス幅の調整、及び、パルス幅及び電流値の両方の調整によって、エラー抑制条件が設定されてもよい。
<第2の書き込み方式の書き込み動作>
図13を参照して、“01001000”のデータセットに関して、“1”データのプログラムの後、“0”データのプログラムが実行される例について、説明する。
“01001000”のデータセットの書き込み動作の1回目のプログラムにおいて、“1”データのプログラムのために、メモリセルストリングMSの8つのMTJ素子10に対して、電圧値Vaの制御電圧VCNTが、印加される。8つのMTJ素子10に電圧値Vaの制御電圧VCNTが印加された状態で、書き込み電流Iwrが、共通電極20に供給される。書き込み電流Iwr1は、共通電極20のXA側(8番目のMTJ素子10−8側)から共通電極20のXB側(1番目のMTJ素子10−1側)へ流れる。
1回目のプログラムにおいて、非選択素子が存在しない。そのため、書き込み電流Iwr1の電流値が、MTJ素子の破壊が発生しない範囲で、磁化反転しきい値に対して十分大きな値に設定できる。これによって、1回目のプログラムにおける書き込みエラーの発生は、抑制される。
“01001000”のデータセットの書き込み動作の2回目にプログラムにおいて、“0”データがプログラムされるMTJ素子が、選択される。“0”データが、選択素子に対して、書き込まれる。この例において、選択素子は、6つのMTJ素子10−1,10−3,10−4,10−6,10−7,10−8である。非選択素子は、2つのMTJ素子10−2,10−5である。
図13は、本実施形態のMRAMの書き込み動作を説明するための模式図である。
図13の(a)において、書き込み動作の2回目のプログラム時におけるメモリセルストリングの電流の流れを模式的に示す図である。
図13の(b)は、図13の(a)における共通電極の各位置における書き込み電流の電流値の変化を模式的に示す図である。
図13の(b)において、グラフの横軸は、電極20上におけるMTJ素子の相対的な位置を示し、グラフの縦軸は、実効的な書き込み電流の電流値を示している。
図13の(a)に示されるように、6つの選択素子10−1,10−3,10−4,10−6,10−7,10−8に対して、電圧値Vaの制御電圧VCNTが、印加される。2つの非選択素子10−2,10−5に対して、電圧値Vdの制御電圧VCNTが、印加される。
各MTJ素子10に制御電圧VCNTが印加された状態で、書き込み電流Iwr2が、共通電極20に供給される。書き込み電流Iwr2は、共通電極20のXB側(1番目のMTJ素子10−1側)から共通電極20のXA側(8番目のMTJ素子10−8側)へ流れる。
MTJ素子10に対する制御電圧VCNTの印加時において、選択素子に起因する電流Iaによって、書き込み電流Iwr2の電流値が減少する。制御電圧VCNTの印加時において、非選択素子に起因する電流Idによって、書き込み電流Iwr2の電流値が、増加する。
図13の(b)に示されるように、6つの選択素子のうち、8番目のMTJ素子10−8の位置X8における書き込み電流Iwr2の電流値が、他の選択のMTJ素子の位置における書き込み電流Iwr2の電流値より小さい。
2つの非選択素子のうち、2番目のMTJ素子10−2の位置X2における書き込み電流Iwr2の電流値は、5番目のMTJ素子10−5の位置における書き込み電流Iwr2の電流値より、大きい。
ここで、MTJ素子10−8の位置X8における、実効的な書き込み電流Iwr2の電流値は、“Iws2”と表記される。MTJ素子10−2の位置X2における、実効的な書き込み電流Iwr2の電流値は、“Iwn2”と表記される。
実効的な書き込み電流Iwr2の電流値に関するエラー抑制条件において、上述の例と同様に、書き込み電流Iwr2の電流値が、電流値Iws2と電流値Iwn2との平均値、又は、少なくとも電流値Iws2と電流値Iwn2との間の値に、設定される。
例えば、書き込み動作時の2回目のプログラムにおいて、書き込み回路140は、電流値Iws2と電流値Iwn2との平均値(又は、電流値Iws2と電流値Iwn2との間の電流値)に基づいて、書き込み電流の電流値を設定する。書き込み回路140は、設定された電流値を有する書き込み電流を、出力する。
これによって、本例のように、第2のパターンの書き込み動作が実行された場合であっても、本実施形態のVoCSM型MRAMにおいて、書き込みエラー及び誤書き込みの発生に対する書き込み電流Iwr2の電流値の変動の影響は、小さくできる。
以上のように、図12及び図13の例において、同じデータセットに関して、互いに異なるプログラム順序で、“1”及び“0”データが書き込まれている。
図12の実効的な書き込み電流における電流値Iws1と電流値Iwn1との差(Iws1−Iwn1)は、図13の実効的な書き込み電流における電流値Iws2と電流値Iwn2との差(Iws2−Iwn2)より小さい。
この結果は、“01001000”のデータセットの書き込み動作に関して、図12の第1のパターンの書き込み動作におけるエラー(書き込みエラー及び/又は誤書き込み)の発生確率を、図13の第2のパターンの書き込み動作におけるエラーの発生確率よりも小さくできる、ことを示す。
なぜなら、書き込み電流の電流値の条件が、選択素子における最小電流値Iwsと非選択素子に対する最大電流値Iwnの間に設定された場合、図12のパターンの書き込み動作が、図13のパターンの書き込み動作に比較して、理想的な条件により近いからである。
このように、“1”データ及び“0”データの書き込み順序を書き込みデータセットに応じて制御することによって、書き込み動作における書き込み電流を、適正化できる。
本実施形態において、メモリセルストリング内のMTJ素子におけるエラーの発生を抑制するために、以下のアイテム[A]及び[B]に基づいて、書き込み動作の条件が設定されることが、望ましい。
第1の書き込み方式(プログラムパターン)は、1回目のプログラムに“0”データのプログラムが実行され、2回目のプログラムに“1”データのプログラムが実行される書き込み動作を示す。また、第2の書き込み方式は、1回目のプログラムに“1”データのプログラムが実行され、2回目のプログラムに“0”データのプログラムが実行される書き込み動作を示す。
[A]第1の書き込み方式及び第2の書き込み方式において、2回目のプログラムにおける1以上の選択素子に対する書き込み電流の電流値のうち最も小さい値Iwsと1以上の非選択素子に対する書き込み電流の電流値のうち最も大きい値Iwnとの差が小さくなる書き込み方式が、選択される。
[B]選択された書き込み方式において、書き込み電流の電流値の条件に関して、電流値Iwsと電流値Iwnとの平均値、又は、電流値Iwsと電流値Iwnとの間の任意の値に設定される。
メモリセルストリングに対する書き込み動作は、アイテム[A]及び[B]の両方に基づいて制御及び実行されることが、より望ましい。但し、メモリセルストリングに対する書き込み動作が、アイテム[A]及び[B]のうちいずれか一方のみによって実行された場合であっても、MTJ素子に対する書き込み電流の変動の影響は、緩和可能である。
以上のように、例3のデータの書き込みにおいて、本実施形態のMRAMは、データの書き込みのエラーを低減できる。
(4) 具体例
図14を参照して、上述の書き込み動作の制御が適用された、本実施形態のVoCSM型MRAMの具体例について、説明する。
図14は、本実施形態のMRAMの具体例を示す模式図である。図14において、本実施形態のMRAMの構成を示すとともに、書き込み動作の各種の制御のフローを示している。
図14に示されるように、書き込み動作の制御のためのルックアップテーブルLUTが、作成され、MRAMの情報保持回路191内(又はメモリコントローラ5の内蔵メモリ51)内に格納されている。
ルックアップテーブルLUTは、メモリセルストリングMSが記憶可能なデータセットについて、データセットと書き込み条件との対応関係を示す書き込み動作に関する制御情報である。ルックアップテーブルLUTは、所定のビット数のデータセットと対応する書き込み条件とを含んでいる。
上述の例のように、メモリセルストリングが8つのMTJ素子を含む場合、データセットは、8ビットのデータである。8ビットのデータは、“1”及び“0”に関して256通りの組み合わせを有する。
図15は、本実施形態のMRAMにおける、データセット及び書き込み条件のルックアップテーブルの一例を示す図である。
図15に示されるように、データセット(8ビットのデータ)のそれぞれに対して、“0”及び“1”の書き込み順序、書き込み電流の電流値X1,X2,X3、及び書き込み電流のパルス幅W1,W2,W3などの情報が、ルックアップアップテーブルLUT内に、格納される。
例えば、ルックアップテーブルLUTは、メモリコントローラ5内、又は、MRAM1内に、書き込み動作の実行前に、格納される。ルックアップテーブルLUTは、メモリシステム又はMRAMの出荷時、又は、メモリシステム又はMRAMに対する電源の投入時に、所定の記憶領域内に格納される。
ルックアップテーブルLUTは、MRAMの動作のシミュレーション結果、MRAMの動作の実験結果、MRAMの出荷時のテスト工程の結果に基づいて、作成されてもよい。また、ルックアップテーブルLUTは、MRAMの書き込み動作の結果に基づいて、作成及び更新されてもよい。
メモリシステムの動作に関して、ホストデバイス900が、データセットの書き込みを要求する。ホストデバイス900は、書き込み要求及びデータセット(書き込みデータ)を、メモリコントローラ5に送信する。
メモリコントローラ5は、書き込み要求及びデータセットを受信する。メモリコントローラ5は、書き込み要求に応答して、書き込みコマンド、データセット及び選択アドレスを、MRAM1に送信する。
MRAM1は、書き込みコマンド、データセット及び選択アドレスを受信する(ステップST0)。
MRAM1において、制御回路190は、メモリコントローラ5からのデータセット(書き込みデータ)WDTに基づいて、情報保持回路191内のルックアップテーブルLUTを参照する(ステップST1)。
制御回路190は、ルックアップテーブルLUTの参照によって、データセットWDTに対応する書き込み条件を取得する(ステップST2)。
制御回路190は、取得した書き込み条件を、データセット及びアドレスと共に、書き込み回路140に送信する(ステップST3)。
尚、メモリコントローラ5がルックアップテーブルLUTを保持している場合、メモリコントローラ5がデータセットをホストデバイス900から受け取った後、メモリコントローラ5は、内蔵メモリ51内のルックアップテーブルLUTを参照する。
ルックアップテーブルLUTの参照結果に基づいて、メモリコントローラ5は、データセットに対応する書き込み条件を、取得する。メモリコントローラ5は、取得した書き込み条件を、コマンド及び書き込みデータとともに、MRAM1に送信する。
例えば、選択アドレスは、デコード回路130に供給される。選択アドレスが、デコード回路130によってデコードされる。これによって、選択アドレスに対応するメモリセルストリングが選択され、活性化される。
データセット及び書き込み条件は、書き込み回路140に供給される。
書き込み回路140は、データセット及び書き込み条件に基づいて、メモリセルアレイ100内の選択メモリセルストリングに対して、データセットWDTを書き込む(ステップST4)。
書き込み回路140は、書き込みデータWDTに基づいて、MTJ素子10に対する制御電圧VCNTを設定する(ST40a)。
これによって、MTJ素子10の選択及び非選択に応じて、電圧値Va,Vdの電圧VCNTが、トランジスタTCを介して、MTJ素子10の参照層に印加される。
書き込み条件WRCに基づいて、“0”データのプログラム及び“1”データのプログラムの順序(第1及び第2の書き込み方式)が、設定される(ステップST40b)。
書き込み条件WRCに基づいて、書き込み電流の電流値及びパルス幅の少なくとも一方が、設定される(ステップST40c)。書き込み回路140は、図11乃至図13を用いて説明したように、電流値Iwnと電流値Iwsとの間の値に基づいて書き込み電流の電流値を設定したり、書き込み電流のパルス幅の増大(又は縮小)を制御したりする。
これによって、書き込み回路140は、トランジスタTA及びトランジスタTBを介して、エラー抑制条件に対応した書き込み電流を、供給する。
尚、書き込み回路140が出力する書き込み電流の電流値は、共通電極20内でエラー抑制条件を満たす電流値であれば、書き込み回路140からの出力直後の書き込み電流の電流値が、エラー抑制条件からずれていてもよい。
このように、本実施形態のVoCSM型MRAMにおいて、書き込み動作が実行される。
エラーの発生が抑制された条件の書き込み動作によって、データセットが、メモリセルストリングMSに書き込まれる。
この結果として、本実施形態のVoCSM型MRAMにおいて、メモリセルストリング内のエラー数は、低減される。
以上のように、本実施形態のVoCSM型MRAMにおいて、書き込み動作が完了する。
<検証>
図16及び図17は、本実施形態のMRAMにおける書き込み電流の電流値を検証するための図である。
図16及び図17は、256通りのパターンを有するデータセット(8ビットのデータ)に対して、書き込み電流の電流値Iws及び電流値Iwnの計算結果の一例を示している。
図16において、2回目のプログラムにおいて、“0”データが選択素子にプログラムされる例を示している。この場合において、1回目のプログラムにおいて、“1”データがプログラムされる。
図17において、2回目のプログラムにおいて、“1”データが、選択素子にプログラムされる例を示している。この場合において、1回目のプログラムにおいて、“0”データがプログラムされる。
図16及び図17において、グラフの横軸は、データセットの値に対応する。グラフの横軸において、データセットの値は、10進数で示されている。例えば、上述の“01001000”のデータセットが10進数で示された場合、その値は、72となる。それゆえ、図16及び図17において、“01001000”のデータセットは、72の値で示される。
図16及び図17において、グラフの縦軸は、“δIwr”に対応する。“δIwr”は、MTJ素子に印加された制御電圧に起因する書き込み電流Iwrの電流値の変動量を示す。
図16及び図17において、グラフの縦軸の原点は、制御電圧による電流値が変動しない場合の書き込み電流の電流値(初期値、設定値)を示す。図16及び図17のグラフは、各データセットにおける変動の無い電流値からのずれ量を示す。
ここで、計算の仮定として、メモリセルストリング内の選択素子及び非選択素子に印加される制御電圧において、電圧値Vaの絶対値は、電圧値Vdの絶対値と同じ大きさに設定されている。電圧値Vaの極性は、電圧値Vdの極性に対して反対である。それゆえ、電圧値Vaと電圧値Vdとは、“Va=−Vd”の関係を有する。
グラフの縦軸は、|Va|/Rを1目盛とした値である。“R”は、MTJ素子の抵抗値を示す。上述のように、MTJ素子の抵抗値は、低抵抗状態の抵抗値Rminと高抵抗状態の抵抗値Rmaxとが存在する。ここでは、MTJ素子の抵抗値Rは、固定値に設定される。例えば、抵抗値Rに、近似値として、抵抗値Rminと抵抗値Rmaxとの平均値を用いられる。
電流値Iwsは、メモリセルストリングMS内の1以上の選択素子における実効的な書き込み電流の電流値の最小値を示している。
電流値Iwnは、メモリセルストリング内の1以上の非選択素子における実効的な書き込み電流の電流値の最大値を示している。
また、値AVEは、電流値Iwsと電流値Iwnとの平均値である。平均値AVEが、書き込み電流Iwrの電流値として、書き込み電流のエラー抑制条件(例えば、最適条件)になるように、書き込み回路140が出力する書き込み電流の電流値が調整される。
上述のように、δIwrは、書き込み電流Iwrの変動量を示す。それゆえ、あるデータセットにおけるδIwrが正の値になる場合において、電流値が低減するように、書き込み電流の条件が設定される。あるデータセットにおけるδIwrが負の値になる場合において、電流値が増加するように、書き込み電流の条件が設定される。
δIwrの値(電流値Iwsと電流値Iwnの平均値)がグルーピングされることによって、ルックアップテーブルLUTに格納される書き込み電流の条件の数を抑制することができる。
例えば、δIwrが“−2|Va|/R<δIwr≦2|Va|/R”の関係を有する場合、δIwr=0に設定される(グループ1)。値δIwrが“δIwr≦−2|Va|/R”の関係を有する場合、δIwr=−4|Va|/Rに設定される(グループ2)。値δIwrが、δIwr>2|Va|/Rの関係を有する場合、δIwr=4|Va|/Rに設定される(グループ3)。
3つのグループのδIwrのそれぞれに基づいて、書き込み電流(例えば、書き込み回路の出力する書き込み電流)の電流値が、設定される。
このように、256通りのデータセットに対して、3つのグループの書き込み条件が、設定される。
尚、δIwrが、−4|Va|/R、−2|Va|/R、|Va|/R、+2|Va|/R、+4|Va|/Rの5通りにグルーピングされてもよい。この場合、5つの書き込み条件が、設定される。このように、グループの細分化によって、比較的高い精度で、実効的な書き込み電流を補正できる。
上述のように、あるデータセットの書き込み動作における“0”プログラム及び“1”プログラムの実行順序に関して、“Iwn−Iws”の値が小さくなる実行順序が、選択されることが望ましい。これによって、書き込み電流Iwrの変動の影響が、抑制される。
図18は、図16及び図17における、データセットの書き込み動作における2つの書き込み方式から得られる“Iwn−Iws”のうちより小さい値をピックアップしたグラフである。
図18において、“Iwn(2nd:0)”は、1回目のプログラムで“1”データのプログラムが実行され、2回目のプログラムで“0”データのプログラムが実行される動作(第2の書き込み方式)のIwn−Iwsの値が、1回目のプログラムで“0”データのプログラムが実行され、2回目のプログラムで“1”データのプログラムが実行される動作(第1の書き込み方式)Iwn−Iwsの値よりも、小さくできる場合の2回目のプログラム(“0”のプログラム)における電流値Iwnの値を示している。
“Iws(2nd:0)”は、第2の書き込み方式の動作のIwn−Iwsの値が、第1の書き込み方式の動作のIwn−Iwsの値よりも小さくできる場合の2回目のプログラム(“0”のプログラム)における電流値Iwsの値を示している。
“Iwn(2nd:1)”は、第1の書き込み方式の動作のIwn−Iwsの値が、第2の書き込み方式の動作のIwn−Iwsの値よりも小さくできる場合の2回目のプログラム(“1”のプログラム)における電流値Iwnの値を示している。
“Iws(2nd:1)”は、第1の書き込み方式の動作のIwn−Iwsの値が、第2の書き込み方式の動作のIwn−Iwsの値よりも小さくできる場合の2回目のプログラム(“1”のプログラム)における電流値Iwsの値を示している。
“AVE(2nd:0)”は、各データセットにおけるIwn(2nd:0)とIws(2
nd:0)との平均値を示している。“AVE(2nd:1)”は、各データセットにおけるIwn(2nd:1)とIws(2nd:1)との平均値を示している。
尚、プログラム順序で“Iwn−Iws”の値が変化しない場合は、2つの書き込み方式のうちどちらが選択されても良い。ここでは、“Iwn−Iws”の値が変化しない場合の値は、2回目のプログラムが“0”データのプログラムである場合に振り分けられている。
図18に示されるように、2回目のプログラムが“0”のプログラムであるか“1”のプログラムであるかによって、データセットに対応するδIwrの値が変わる。
それゆえ、データセットに応じて“0”及び“1”プログラム順序が選択されることで、図16及び図17よりもさらに、選択素子及び非選択素子に対する書き込み電流の電流値の変動の影響を、抑制できる。
尚、図16及び図17において、0(“00000000”)及び255(“11111111”)のデータセットに関する値が、形式的にプロットされている。但し、これらのデータセットの書き込みにおいて、非選択素子は存在しないため、選択素子の書き込み電流を実効的に十分大きくして書き込みをすることで、書き込みエラーを抑制することができる。それゆえ、(“00000000”)及び255(“11111111”)のデータセットに対しては、別途の書き込み条件が設定されてもよい。
(5) まとめ
以上のように、本実施形態の磁気メモリは、書き込み動作時におけるプログラムの順序、書き込み電流の電流値及びパルス幅の制御によって、書き込み動作時のエラーを抑制できる。
したがって、本実施形態の磁気メモリは、動作の信頼性を向上できる。
(II)第2の実施形態
図19乃至図21を参照して、第2の実施形態の磁気メモリについて、説明する。
本実施形態において、複数のMTJ素子における磁化反転しきい値(磁化反転電流の電流値)IcのばらつきσIcが、磁化反転しきい値Icの平均値が大きくなる条件、及び、磁化反転しきい値Icの平均値が小さくなる条件で、どのように変化するかを、考察する。
仮に、MTJ素子に対する電圧の印加による磁化反転しきい値Icの変化率が一定とみなせる場合、電圧の印加によって磁化反転しきい値Icの平均値が、k倍になった場合、ばらつきσIcも、k倍になる。
大きい磁化反転しきい値を有するMTJ素子(非選択素子)の磁化反転しきい値IjのばらつきσIjが、小さい磁化反転しきい値を有するMTJ素子の磁化反転しきい値IkのばらつきσIkよりも大きな値になる可能性がある。
ここで、磁化反転しきい値Ijは、複数の非選択素子の磁化反転しきい値の分布における磁化反転しきい値の平均値(最頻値)に相当する。また、磁化反転しきい値Ikは、複数の選択素子の磁化反転しきい値の分布における磁化反転しきい値の平均値に相当する。
尚、以下において、説明の簡略化のため、書き込み電流Iwrの電流値を、“Iwr”と表記する場合もある。
図19は、本実施形態のMRAMにおける磁化反転しきい値のばらつきの傾向を説明するための図である。
図19において、グラフの横軸は、磁化反転しきい値(単位:a.u.)に対応し、グラフの縦軸は、磁化反転しきい値IcのばらつきσIc(単位:A)に対応する。
図19において、負の電圧が印加されたMTJ素子、正の電圧が印加されたMTJ素子、及び、0Vの電圧が印加されたMTJ素子における、磁化反転しきい値と、磁化反転しきい値のばらつきとが、測定されている。複数のMTJ素子に対する電圧の印加によって、磁化反転しきい値の大きさを変えた条件で、磁化反転しきい値が測定されている。この測定結果に基づいて、磁化反転しきい値のばらつきが、見積もられている。
図19の例に示されるように、ある電圧の印加状態の複数のMTJ素子の磁化反転しきい値に関して、MTJ素子に対する正の電圧Vd(例えば、+0.8V)の印加により磁化反転しきい値が大きくされる条件におけるMTJ素子(非選択状態のMTJ素子)の磁化反転しきい値のばらつきは、MTJ素子に対する負の電圧Va(例えば、−0.8V)の印加により磁化反転しきい値が小さくされる条件のMTJ素子(選択状態のMTJ素子)の磁化反転しきい値のばらつきより、大きい。
それゆえ、VoCSM型MRAMにおいて、非選択状態におけるMTJ素子の磁化反転しきい値のばらつきが、選択状態におけるMTJ素子の磁化反転しきい値のばらつきよりも大きくなる可能性がある。
この結果として、より望ましい条件(例えば、最適条件)となる書き込み電流の設定値は、上述の図10の選択素子に関するエラー曲線Z1と非選択素子に関するエラー曲線Z2との間の線(中心線)Z3に基づく値よりも小さい値(例えば、線Z3と線Z1との間の値)となり得る。
ここで、選択素子の磁化反転しきい値のばらつきσIkが考慮された選択素子の書き込みウィンドウWkは、以下のように示される。
Wk=(Iwr−Ik)/σIk
但し、ここでは、書き込み電流のばらつきσIwrは、十分小さい。
非選択素子の磁化反転しきい値のばらつきσIjが考慮された非選択素子の書き込みウィンドウWdは、以下のように示される。
Wj=(Ij−Iwr)/σIj
選択素子の磁化反転しきい値Ikと非選択素子の磁化反転しきい値Ijとの平均値が、書き込み電流Iwrの値として設定された場合、磁化反転しきい値IjのばらつきσIjが磁化反転しきい値IkのばらつきσIkよりも大きければ、磁化反転しきい値Ik(図10の線Z1)と書き込み電流Iwr(図10の線Z3)との間に、大きい間隔(書き込みウィンドウWa)が確保できる。
これに対して、書き込み電流Iwr(線Z3)と磁化反転しきい値Ij(図10の線Z2)との間の間隔は、小さくなり、書き込み電流Iwrと磁化反転しきい値Ijとの間の書き込みウィンドウWdの広さは、制限される。
複数の選択されたMTJ素子における磁化反転しきい値と磁化反転しきい値のばらつきとの比が、複数の非選択のMTJ素子における磁化反転しきい値と磁化反転しきい値のばらつきとの比と同じである場合(σIk/Ik=σIj/Ijである場合)、書き込み電流Iwrの電流値が、Iwr=(Ik+Ij)/2に基づく値に設定されると、書き込みウィンドウWjの幅は、小さくなる。
図20は、本実施形態の磁気メモリ(例えば、VoCSM型MRAM)における書き込み電流の設定を説明するための模式図である。
図20において、グラフの横軸は、電流I(単位:a.u.)に対応し、グラフの縦軸は、書き込みエラー率(WER)に対応する。
図20において、選択素子の磁化反転しきい値のばらつきは、分布D1に対応し、非選択素子の磁化反転しきい値のばらつきは、分布D2xに対応する。尚、複数の非選択のMTJ素子に関する磁化反転しきい値の平均値Ijは、分布D2xの最頻値に対応し、複数の選択のMTJ素子に関する磁化反転しきい値の平均値Ikは、分布D1の最頻値に対応する。
図20に示されるように、非選択素子の磁化反転しきい値のばらつき(分布D2x)が選択素子の磁化反転しきい値のばらつき(分布D1)より大きい場合、書き込み電流のより適した電流値Z4は、線Z3で示される(Ij+Ik)/2に基づく値より小さい値になる。
ここで、書き込み電流の電流値Iwrが、(2×Ij×Ik)/(Ij+Ik)の関係を有する場合、書き込みウィンドウWjの広さは、書き込みウィンドウWkの広さと実質的に同じになる。
メモリのパフォーマンスが、書き込みウィンドウWkと書き込みウィンドウWjとのうち小さいウィンドウによって制限される場合において、Iwr=(2×Ij×Ik)/(Ij+Ik)に基づいて書き込み電流の条件が満たされることによって、書き込みウィンドウWj,Wkが、より適した値(例えば、最適値)に設定される。
図21は、本実施形態のMRAMの書き込み電流の設定を説明するための図である。
図21において、複数のMTJ素子における磁化反転しきい値のばらつきに対する書き込みウィンドウWj,Wkの値の傾向が、示されている。
図21において、グラフの横軸は、磁化反転しきい値のばらつき(σIj/Ij又はσIk/Ik,単位:%)に対応し、グラフの縦軸は、書き込みウィンドウの値(単位:a.u.)に対応する。
図21において、書き込み電流Iwrの電流値が磁化反転しきい値Ijと磁化反転しきい値Ikとの平均値((Ij+Ik)/2)に設定された場合(線Q1,Q2)、及び、書き込み電流Iwrが(2×Ij×Ik)/(Ij+Ik)に設定された場合(線Q3)について、各書き込みウィンドウWa,Wdの値が、示されている。
書き込み電流Iwrの電流値が、選択素子の磁化反転しきい値Ikと非選択素子の磁化反転しきい値Ijとの平均値に設定された場合、線Q1に示されるように、選択素子に対する書き込みウィンドウWkは十分大きな値を確保することができる。しかし、線Q2に示されるように、非選択素子に対する書き込みウィンドウWjは、小さくなる。
これに対して、書き込み電流Iwrの電流値が、(2×Ij×Ik)/(Ij+Ik)に対応する値に設定された場合、書き込みウィンドウWjの大きさが、書き込みウィンドウWkの大きさとほぼ等しくできる。そのため、書き込みウィンドウWj,Wkは、磁化反転しきい値のばらつきに対して、線Q3のように変化する。
この結果として、本実施形態のVoCSM型MRAMは、2つの書き込みウィンドウWj,Wkのうち一方のウィンドウが縮小するのを、抑制できる。
例えば、書き込みウィンドウWjが、書き込みウィンドウWkよりも大きく設定される場合(非選択素子のディスターブ確率が、選択素子の書き込みエラー確率よりも小さいことが好ましい場合)、書き込み電流Iwrの電流値は、(2×Ij×Ik)/(Ij+Ik)から得られる値よりも小さい値に設定される。
以上のように、本実施形態のMRAMは、書き込み電流の設定値を、書き込み動作時におけるエラーの発生をさらに小さくすることが可能な値に、設定できる。
したがって、第2の実施形態の磁気メモリは、動作の信頼性を改善できる。
(III) その他
本実施形態において、メモリ素子としての磁気抵抗効果素子に、面内磁化型のMTJ素子が用いられている。しかし、本実施形態の磁気メモリのメモリ素子に、垂直磁化型のMTJ素子が用いられてもよい。
本実施形態の磁気メモリにおいて、磁気抵抗効果素子は、正方形状又は円形状の平面形状を有していてもよい。
本実施形態の磁気メモリにおいて、複数の磁気抵抗効果素子が共通に配置される電極(導電層、配線、スピン軌道相互作用層)は、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、ビスマス(Bi)など金属、これらの金属の1以上を含む酸化物、及び、これらの金属の1以上を含む窒化物の中から選択される少なくとも1つの材料から形成された層でもよい。但し、電極は、大きいスピン相互作用を有する材料であれば、これらの材料に限定されない。
本実施形態において、磁気メモリとして、MRAMが例示されている。しかし、磁気メモリは、磁気抵抗効果素子を用いたVoCSMであれば、MRAM以外の磁気メモリでもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1:磁気メモリ、MS:メモリセルストリング、10:MTJ素子、20:電極。

Claims (12)

  1. 導電層上に配列された複数の磁気抵抗効果素子と、
    前記複数の磁気抵抗効果素子に第1の値及び第2の値を含むデータを書き込むために、書き込み電流を前記導電層に流し、且つ、前記複数の磁気抵抗効果素子に制御電圧を印加する第1の回路と、
    を具備し、
    前記第1の回路は、前記データ内の前記第1の値及び前記第2の値の配列に基づいて、前記第1の値及び前記第2の値の書き込み順序、前記書き込み電流の電流値、及び、前記書き込み電流のパルス幅のうち少なくとも1つを調整する、
    磁気メモリ。
  2. 前記第1の回路は、前記データ内の前記第1の値及び前記第2の値の配列に応じた前記導電層内における前記書き込み電流の電流値の変動に関する第1の情報に基づいて、前記書き込み電流の電流値を設定する、
    請求項1に記載の磁気メモリ。
  3. 前記データの書き込み時において、前記複数の磁気抵抗効果素子は、少なくとも1つの選択素子と少なくとも1つの非選択素子とを含み、
    前記書き込み電流の電流値は、前記導電層に第1の電流が供給された場合における前記選択素子に対する前記導電層内での前記第1の電流の電流値及び前記非選択素子に対する前記導電層内での前記第1の電流の電流値に基づいて、設定される、
    請求項2に記載の磁気メモリ。
  4. 前記書き込み電流の電流値は、複数の前記選択素子に対する前記導電層内における前記第1の電流の前記電流値の最小値と複数の前記非選択素子に対する前記導電層内における前記第1の電流の前記電流値の最大値との間の値に、設定される、
    請求項3に記載の磁気メモリ。
  5. 前記データの書き込み時において、前記複数の磁気抵抗効果素子は、少なくとも1つの選択素子と少なくとも1つの非選択素子とを含み、
    前記書き込み電流の電流値は、前記選択素子の磁化反転しきい値と前記非選択素子の磁化反転しきい値との平均値に、設定される、
    請求項1又は2に記載の磁気メモリ。
  6. 前記データの書き込み時において、前記複数の磁気抵抗効果素子は、少なくとも1つの選択素子と少なくとも1つの非選択素子とを含み、
    前記書き込み電流の電流値は、前記選択素子の磁化反転しきい値と前記非選択素子の磁化反転しきい値との平均値より小さい値に、設定される、
    請求項1又は2に記載の磁気メモリ。
  7. 前記書き込み電流の電流値は、
    Iwr≦(2×Ij×Ik)/(Ij+Ik)
    の関係を有する、
    ここで、Iwrは、前記書き込み電流の電流値であり、Ijは、前記非選択素子の磁化反転しきい値であり、Ikは、前記選択素子の磁化反転しきい値である、
    請求項6に記載の磁気メモリ。
  8. 前記第1の回路は、前記データ内の前記第1の値及び前記第2の値の配列に応じて、前記書き込み順序を決定する、
    請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の磁気メモリ。
  9. 前記書き込み順序は、
    前記複数の磁気抵抗効果素子に対する前記第1の値の書き込みの後、前記複数の磁気抵抗効果素子のうち1以上の選択素子に、前記第2の値を書き込む第1の順序と、
    前記複数の磁気抵抗効果素子に対する前記第2の値の書き込みの後、前記複数の磁気抵抗効果素子のうち1以上の選択素子に、前記第1の値を書き込む第2の順序と、
    を含み、
    前記第1の回路は、前記データ内の前記第1の値及び前記第2の値の配列に応じて、前記第1の順序及び第2の順序のうち一方を選択する、
    請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の磁気メモリ。
  10. 前記データ内の前記第1の値及び前記第2の値の配列と、前記書き込み順序、前記書き込み電流の電流値、及び、前記書き込み電流のパルス幅のうち少なくとも1つとの関係を示す第2の情報を保持する第2の回路をさらに具備し、
    前記第1の回路は、書き込み動作時に、前記データに基づいて前記第2の情報を参照し、前記データを書き込むための条件を設定する、
    請求項1に記載の磁気メモリ。
  11. 前記第1の回路は、前記データと、前記データを書き込むための条件に関する第3の情報を受信し、
    前記第3の情報は、前記書き込み順序、前記書き込み電流の電流値、及び前記書き込み電流のパルス幅のうち少なくとも1つを含む、
    請求項1に記載の磁気メモリ。
  12. 前記データの書き込み時において、前記複数の磁気抵抗効果素子は、少なくとも1つの選択素子と少なくとも1つの非選択素子とを含み、
    前記第1の回路は、前記選択素子に、第1の極性の前記制御電圧を印加し、前記非選択素子に、第2の極性の前記制御電圧を印加する、
    請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載の磁気メモリ。
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