JP6414596B2 - 圧電センサ及び検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電センサ及び検出装置に関する。
従来のたわみを検出する圧電センサとしては、例えば下記の特許文献1に記載されている、d31モードを利用している圧電センサが知られている。
特許文献1の圧電センサは、上層の圧電薄膜と下層の圧電薄膜とを有するバイモルフ構造を有する。たわみを検出するに際しては、上層と下層との出力を測定し、例えば上層の出力を補正する。次に、補正された上層の出力と下層の出力とを加算する。それによって、圧電センサの焦電効果により生じる上層の電荷と下層の電荷とを相殺し得るとしている。
昭62−156503号公報
しかしながら、特許文献1に記載の圧電センサでは、上層と下層との出力を測定する測定器及び上層または下層の出力を補正する補正回路を設けなければならなかった。従って、検出効率が悪くなってしまっていた。
本発明の目的は、圧電体へのせん断応力に対応した電気出力に基づき検査対象の変形を検出し得る、圧電センサを提供することにある。
本発明に係る圧電センサは、検出対象に固定されて上記検出対象の変形を検出する圧電センサである。上記圧電センサは、第1,第2の主面及び長さ方向を有し、分極軸が上記長さ方向に平行な方向である圧電体と、上記圧電体の表面に形成されており、上記長さ方向に平行な方向に延びる第1,第2の検出用電極とを備える。上記圧電体へのせん断応力に対応した電気出力に基づき上記検出対象の変形を検出する。
本発明に係る圧電センサのある特定の局面では、外部と接続されない第3の電極がさらに備えられている。上記第3の電極は上記圧電体の上記第1の主面に形成されている。上記第1,第2の検出用電極は上記圧電体の上記第2の主面上においてギャップを隔てて対向するように形成されている。上記第1,第2の検出用電極と上記第3の電極とは上記圧電体の厚み方向において対向している対向部を有する。
本発明に係る圧電センサの他の特定の局面では、上記圧電体として、第1,第2の圧電体を有する。上記第1,第2の圧電体は第1,第2の主面及び長さ方向をそれぞれ有する。上記第1,第2の検出用電極は上記第1,第2の圧電体のそれぞれの上記第2の主面上においてギャップを隔てて対向するように形成されている。上記第3の電極は上記第1,第2の圧電体の上記第1の主面に形成されている。上記第1の主面同士及び上記第2の主面同士のうちいずれか一方において上記第1の圧電体と上記第2の圧電体とが接合されている。上記第1,第2の圧電体の分極軸方向は上記長さ方向であって、かつ互いに反対方向である。
本発明に係る圧電センサのさらに他の特定の局面では、上記圧電体として、第3,第4の圧電体を有する。上記第3,第4の圧電体は第1,第2の主面、長さ方向及び上記長さ方向において対向する第1,第2の端面をそれぞれ有する。上記第3の圧電体の上記第2の端面と上記第4の圧電体の上記第1の端面とは接合されている。上記第3,第4の圧電体の各上記第1の主面には上記第1の検出用電極が形成されている。上記第3,第4の圧電体の各上記第2の主面には上記第2の検出用電極が形成されている。上記第1の検出用電極と上記第2の検出用電極とは上記第3,第4の圧電体の厚み方向において対向している対向部を有する。上記第3,第4の圧電体の分極軸方向は長さ方向であって、かつ互いに反対方向である。
本発明に係る圧電センサの別の特定の局面では、上記圧電体の第1及び第2の主面のうち少なくとも一方に、板状の外装体が設けられている。
本発明に係る圧電センサのさらに別の特定の局面では、上記圧電体の第1の主面及び第2の主面のいずれか一方が接合されている実装基板がさらに備えられている。
本発明に係る圧電センサのさらに別の特定の局面では、上記外装体が接合されている実装基板がさらに備えられている。
本発明に係る検出装置は、第1,第2の入力端と出力端とを有する演算増幅器を含むセンサ回路と、本発明に従って構成された圧電センサとを備える。上記圧電センサは上記演算増幅器の上記第1の入力端に接続されている。
本発明によれば、圧電体へのせん断応力に対応した電気出力に基づき検査対象の変形を検出し得る、圧電センサを提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの分解斜視図である。 図2は、図1中のA−A線に沿う部分に相当する、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの断面図である。 図3(a)及び図3(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサにより検査対象の例としての基板の変形を検出する機構を説明するための略図的正面図である。 図4は、検査対象である基板に固定されている本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第1の変形例の正面断面図である。 図5は、検査対象である基板に固定されている本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第2の変形例の正面断面図である。 図6は、検査対象である基板に固定されている本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第3の変形例の正面断面図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第4の変形例の正面断面図である。 図8は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第5の変形例の正面断面図である。 図9は、本発明の第2の実施形態としての検出装置の回路図である。 図10は、本発明の第3の実施形態としての検出装置の回路図である。 図11は、本発明の第4の実施形態に係る圧電センサの正面断面図である。 図12は、本発明の第5の実施形態に係る圧電センサの正面断面図である。 図13は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第6の変形例の正面断面図である。 図14は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第7の変形例の正面断面図である。 図15は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第8の変形例の正面断面図である。 図16は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第9の変形例の正面断面図である。 図17は、検査対象である基板に固定されている本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの第10の変形例の正面断面図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電センサの分解斜視図である。図2は、図1中のA−A線に沿う部分に相当する、第1の実施形態に係る圧電センサの断面図である。
圧電センサ1は矩形板状の圧電体2を有する。なお、圧電体2は矩形板形状でなくてもよい。
圧電体2は第1,第2の主面2a,2bを有し、長さ方向を有する。圧電体2はチタン酸ジルコン酸鉛,チタン酸鉛,チタン酸バリウム,ニオブ酸カリウム・ナトリウムなどの圧電セラミックス、または水晶,タンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム,ランガサイト,マグネシウムニオブ酸・タンタル酸鉛固溶体などの圧電単結晶、またはポリフッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン・3フッ化エチレン共重合体などの圧電高分子からなる。
圧電体2の第1の主面2aには、接着剤7を介して板状の第1の外装体3aが接合されている。圧電体2の第2の主面2bには、接着剤7を介して板状の第2の外装体3bが接合されている。第1,第2の外装体3a,3bは、アルミナなどの絶縁性セラミックスや合成樹脂などの適宜の材料からなる。接着剤7は、エポキシ樹脂などの適宜の絶縁性接着剤からなる。なお、接着剤7は絶縁性を有していなくてもよい。
図2に示すように、圧電体2の第2の主面2bには、第1,第2の検出用電極4a,4bが形成されている。第1,第2の検出用電極4a,4bは、圧電体2の長さ方向に延びている。第1の検出用電極4aと第2の検出用電極4bとは、圧電体2の長さ方向中央においてギャップを隔てて対向している。圧電体2の第1の主面2aには、第3の電極4cが形成されている。第3の電極4cは浮き電極であり、外部と接続されない。第1,第2の検出用電極4a,4bは、第3の電極4cと圧電体2の厚み方向において対向している対向部4A,4Bを有する。
圧電体2において、上記長さ方向と直交する方向を幅方向とする。圧電体2は、幅方向において対向している第1,第2の側面2e,2fを有する。第1,第2の検出用電極4a,4b及び第3の電極4cは、第1,第2の側面2e,2fには至っておらず、第1,第2の側面2e,2fに露出していない。それによって、第1,第2の検出用電極4a,4b及び第3の電極4cに不純物が付着し難い。よって、圧電センサ1の絶縁抵抗の低下を抑制することができる。なお、第1,第2の検出用電極4a,4b及び第3の電極4cは、圧電体2の第1,第2の側面2e,2fに露出していてもよい。
圧電体2は長さ方向において対向している第1,第2の端面2c,2dを有する。第1,第2の端面2c,2dには、第1,第2の外部電極5a,5bが形成されている。第1の検出用電極4aは第1の外部電極5aに電気的に接続されている。第2の検出用電極4bは第2の外部電極5bに電気的に接続されている。
圧電体2の分極軸は長さ方向に平行な方向である。より具体的には、圧電体2は、長さ方向に平行であり、圧電体2の第2の端面2dから第1の端面2cに向かう方向X1が分極方向である。分極方向は第1の端面2cから第2の端面2dに向かう方向であってもよい。
図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る圧電センサにより検査対象の例としての基板の変形を検出する機構を説明するための略図的正面図である。なお、外部電極は省略している。
圧電センサ1は、第1,第2の部分1A,1Bを有する。第1,第2の部分1A,1Bは、圧電センサ1の長さ方向の中心線B−Bにおいて連なっており、かつ対向している。図3(a)中の矢印C,Cで示すように、基板6が平面方向において伸張すると、矢印D,Dで示す引っ張り応力が圧電センサ1の第2の主面1bに付与される。これに対して、第1の主面1aには応力は付与されない。そのため、圧電センサ1の第1の部分1Aにおける圧電体には、矢印E1,E2で示すせん断応力が付与され、第2の部分1Bにおける圧電体には、矢印E3,E4で示すせん断応力が付与される。この応力に基づいて、圧電効果により圧電体の両主面から電気信号が出力される。なお、第1の部分1Aにおける圧電体と第2の部分1Bにおける圧電体とは、分極方向が同一でせん断応力の向きは逆であるため、両主面間に出力される電気信号の向きは互いに逆になる。図2に示す圧電体2の第1の検出用電極4aを基準として第3の電極4cに生じる電気出力と、第3の電極4cを基準として第2の検出用電極4bに生じる電気出力とが同極性となり、第3の電極4cを中継電極として、第1の検出用電極4aと第2の検出用電極4bとの間に電気信号が出力される。電気信号の電圧は、図3(a)に示す第1の部分1Aと第2の部分1Bとの足し合わせで2倍となる。このようにして、基板6の変形を高感度で検出することができる。
図3(b)中の矢印F,Fで示すように、基板6が平面方向において収縮する場合も、矢印G,Gで示す圧縮応力が圧電センサ1の第2の主面1bに付与され、圧電センサ1の圧電体にせん断応力H1〜H4が付与される。その場合も、図3(a)で示した場合と同様に、基板6の変形を検出することができる。なお、本実施形態では、検出対象は基板6であるが、検出対象は基板には限られない。
ところで、圧電体の分極軸が圧電体の厚み方向である従来の圧電センサでは、分極軸の方向において対向するように第1,第2の検出用電極が形成されていた。そのため、焦電効果によるノイズも検出される。従って、検出対象の変形の検出精度を充分に高めることができなかった。そのため、上記ノイズを補正するための補正回路を必要とすることもあった。
これに対して、図2に示すように、第1の実施形態の圧電センサ1では、第1,第2の検出用電極4a,4bは第2の主面2b上において対向するように形成されている。圧電体2の分極軸の方向は長さ方向に平行であるため、第1,第2の検出用電極4a,4bは分極軸の方向において対向していない。そのため、焦電効果により圧電体2の表面に電荷が発生しても、第1の検出用電極4aと第2の検出用電極4bとの間には電位差をほとんど与えない。よって、焦電効果により発生するノイズをほとんど生じさせないことができる。従って、補正回路を必要とすることなく、検出対象の変形の検出精度をより一層高めることができる。
図3(a)及び図3(b)では、基板6の平面方向の伸張及び収縮の検出について示したが、基板6のたわみや歪みも圧電センサ1により検出することができる。例えば基板がたわむと、基板表面の伸長または収縮による引張りまたは圧縮応力が圧電センサ1に付加される。圧電体の第1の主面側と第2の主面側とでは圧電体の長さ方向に付加される応力が異なることになる。よって、せん断応力に対応した電気出力を取り出すことができる。
ここで、長さ方向に垂直な方向を幅方向とする。圧電センサ1は圧電体の長さ方向と平行な方向における検出対象の変形を検出し、かつ圧電体の厚み方向または幅方向に平行な検出対象の変形は検出しない。すなわち、圧電センサ1は検出軸に異方性を有する。従って、圧電センサ1を用いた場合には、検出対象の検出したい方向のみの変形を検出することができる。
図4は、検査対象である基板に固定されている第1の実施形態の第1の変形例を示す。圧電センサ70のように、圧電体2の第1の主面2aにのみ第1の外装体3aを接合してもよい。図5に示す第2の変形例である圧電センサ71のように、圧電体2の第2の主面2bにのみ第2の外装体3bを接合してもよい。
図6に示す第3の変形例のように、圧電センサ72は、第1及び第2の外装体のいずれをも有していなくてもよい。それによって、部品数を削減することができる。もっとも、図2に示す第1の実施形態のように第1,第2の外装体3a,3bを有することが好ましい。それによって、圧電センサ1の強度を高めることができる。
図7に示す第4の変形例のように、圧電センサ80が実装基板86を有していてもよい。より具体的には、圧電体2及び第1,第2の外装体3a,3bからなる積層体が実装基板86に実装されていてもよい。なお、第1,第2の外装体3a,3bが接合されていない圧電体2が実装基板86に接合されていてもよい。あるいは、第1の外装体3a及び圧電体2からなる積層体が、第1の外装体3a側及び圧電体2側のうちいずれか一方から実装基板86に接合されていてもよい。実装基板86の材料は特に限定されないが、ガラスエポキシ基板が好適に用いられる。
第4の変形例では、圧電体2及び第1,第2の外装体3a,3bからなる積層体が実装基板86を介して検査対象に固定される。それによって、圧電センサ80の強度を高めることができる。もっとも、実装基板86を介さずに検査対象に固定されている、図2に示す構造のほうが圧電体2は変位しやすい。よって、図2に示した実施形態のほうが検出感度を高めることができる。
図8に示す第5の変形例である圧電センサ90のように、実装基板86上に樹脂モールド層98が設けられていてもよい。樹脂モールド層98が設けられていることにより、圧電センサ90の強度をより一層高めることができる。もっとも、図2に示す実施形態のほうが検出感度を高めることができる。
図9は、第2の実施形態としての検出装置の回路図である。
検出装置50はセンサ回路を有する。該センサ回路は、演算増幅器59を有する。演算増幅器59は、第1,第2の入力端59a,59b及び出力端59cを有する。第1の入力端59aとアース電位との間には、圧電センサ51が接続されている。圧電センサ51に並列に抵抗Rが接続されている。第2の入力端59bは出力端59cに接続されている。検出装置50では、圧電センサ51の出力が演算増幅器59により増幅されて、出力端59cから取り出される。
検出装置50のセンサ回路では、圧電センサ51の静電容量が大きいほど、検出装置50のカットオフ周波数が低くなる。よって、静電容量が大きい圧電センサ51を用いることにより、より一層低い周波数域の信号を検出することができる。従って、速度が遅い変形を検出することができる。
検出装置50は補正回路を必要としない。さらに、検出装置50の上記センサ回路は圧電センサ51、抵抗R及び演算増幅器59により構成されている。従って、検出装置50の部品数を削減することができる。
図10は、第3の実施形態としての検出装置の回路図である。
検出装置60のセンサ回路においては、演算増幅器59の第1の入力端59aとアース電位との間には、圧電センサ61が接続されている。第2の入力端59bと出力端59cとの間には、コンデンサC及び抵抗Rが互いに並列に接続されている。
検出装置60のセンサ回路においては、低域側のカットオフ周波数が圧電センサ61の静電容量及び絶縁抵抗の影響を受けない。よって、より一層低い周波数域の信号を検出することができる。従って、より一層速度が遅い変形を検出することができる。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る圧電センサの正面断面図である。
圧電センサ31は、第1,第2の圧電体2A,2Bを有する。第1の圧電体2Aは、図2に示した実施形態の圧電体2と同様の構造を有する。図11に示す第2の圧電体2Bは、第1の圧電体2Aとは反対側の方向である方向X2に分極されており、それ以外は第1の圧電体2Aと同様の構造を有する。
第1の圧電体2Aの第1の主面2aと第2の圧電体2Bの第1の主面2aとは接着剤7により接合されている。第1の圧電体2Aは圧電センサ31の第1の主面1a側に位置し、第2の圧電体2Bは圧電センサ31の第2の主面1b側に位置する。なお、第1の圧電体2Aと第2の圧電体2Bがそれぞれ表裏逆に設置され、第1の圧電体2Aの第2の主面2bと第2の圧電体2Bの第2の主面2bとが接着剤7により接合されていてもよい。
上述したように、第1,第2の圧電体2A,2Bの分極軸は、長さ方向において反対方向である。そのため、第1の圧電体2Aと第2の圧電体2Bとでは、焦電効果により発生する電荷の正負は反対となる。よって、焦電効果により発生する電荷のほとんどを相殺することができる。従って、検出対象の変形の検出精度をより一層高めることができる。
圧電センサ31は、例えば図9に示した検出装置50の圧電センサ51として用いてもよい。図11に示すように、圧電センサ31の第1,第2の検出用電極4a,4bは、第3の電極4cと第1の圧電体2Aの厚み方向において対向している対向部34Aa,34Abを有する。第1,第2の検出用電極4a,4bは、第3の電極4cと第2の圧電体2Bの厚み方向において対向している対向部34Ba,34Bbを有する。
対向部34Aa及び対向部34Ba並びに対向部34Ab及び対向部34Bbはそれぞれ静電容量を有し、かつ積層されている。よって、圧電センサ31の静電容量をより一層大きくすることができる。よって、より一層低い周波数域の信号を検出することができる。従って、より一層速度が遅い変形を検出することができる。
なお、圧電センサ31においては、第1,第2の圧電体2A,2Bが複数組積層されていてもよい。その際は、第1の圧電体2Aと第2の圧電体2Bとの第1の主面2a同士または第2の主面2b同士が接合されていればよい。それによって、焦電効果により発生する電荷のほとんどを相殺できるだけでなく、静電容量をより一層効果的に大きくすることができる。従って、より一層速度が遅い変形を検出することができる。
図12は、本発明の第5の実施形態に係る圧電センサの正面断面図である。
圧電センサ41は、長さ方向を有する第1,第2の圧電体42A,42Bを有する。第1の圧電体42Aは、第1,第2の主面42Aa,42Ab及び長さ方向において対向している第1,第2の端面42Ac,42Adを有する。第2の圧電体42Bは、第1,第2の主面42Ba,42Bb及び長さ方向において対向している第1,第2の端面42Bc,42Bdを有する。第1の圧電体42Aの第2の端面42Adと第2の圧電体42Bの第1の端面42Bcとは接着剤7により接合されている。
第1の圧電体42Aと第2の圧電体42Bとは長さ方向において反対方向に分極されている。より具体的には、第1の圧電体42Aは、長さ方向に平行な方向であり、第1の圧電体42Aの第1の端面42Acから第2の端面42Adに向かう方向X2に分極されている。第2の圧電体42Bは方向X2と反対の方向である方向X1に分極されている。
第1,第2の圧電体42A,42Bの第1の主面42Aa,42Baには、第1の検出用電極44aが形成されている。第1の検出用電極44aは、第1の圧電体42Aの第1の主面42Aaから第2の圧電体42Bの第1の主面42Baに至るように形成されている。第1,第2の圧電体42A,42Bの第2の主面42Ab,42Bbには、第2の検出用電極44bが形成されている。第2の検出用電極44bは、第2の圧電体42Bの第2の主面42Bbから第1の圧電体42Aの第2の主面42Abに至るように形成されている。
第1の圧電体42Aの第1の端面42Acには、第1の外部電極5aが形成されている。第2の圧電体42Bの第2の端面42Bdには、第2の外部電極5bが形成されている。第1の検出用電極44aは第1の外部電極5aに電気的に接続されている。第2の検出用電極44bは第2の外部電極5bに電気的に接続されている。
第1の検出用電極44aと第2の検出用電極44bとは分極軸の方向に対向していない。よって、第1の検出用電極44aと第2の検出用電極44bとの間の焦電効果により発生するノイズを効果的に小さくすることができる。また、第1,第2の圧電体42A,42Bは分極方向が逆である上に接着剤7を介しているため、第1の端面42Acと第2の端面42Bdとにおいて対抗する外部電極5a,5b間の焦電ノイズは効果的に小さくできる。
第1の検出用電極44aと第2の検出用電極44bとは第1圧電体42Aの厚み方向において対向している対向部44A1及び第2の圧電体42Bの厚み方向において対向している対向部44B1を有する。対向部44A1と対向部44B1とは互いに並列に接続されている。よって、より一層静電容量を大きくすることができる。よって、第3の実施形態としての検出装置に圧電センサ41を用いれば、より一層低い周波数域の信号を検出することができる。従って、より一層速度が遅い変形を検出することができる。
なお、圧電センサ41においては、第1の圧電体42Aと第2の圧電体42Bとが厚み方向に複数組積層されていてもよい。それによって、静電容量をより一層効果的に大きくすることができる。従って、より一層速度が遅い変形を検出することができる。
図13は、第1の実施形態に係る圧電センサの第6の変形例の正面断面図である。
圧電センサ20は、第5の実施形態と同様に、端面同士が接着剤7で接合されている第1,第2の圧電体22A,22Bを有していてもよい。ここで、第1,第2の圧電体22A,22Bは、分極方向が同じ方向である点で、図12に示した第5の実施形態の第1,第2の圧電体42A,42Bと異なる。第1の圧電体22Aの第2の主面22Abには、第1の検出用電極4aが形成されている。第2の圧電体22Bの第2の主面22Bbには、第2の検出用電極4bが形成されている。第1の圧電体22Aの第1の主面22Aaから第2の圧電体22Bの第1の主面22Baに至るように第3の電極4cが形成されている。それによって、第1の検出用電極4aと第2の検出用電極4bとの間、あるいは第1の外部電極5aと第2の外部電極5bとの間の分極方向の電荷の発生が抑制され、焦電ノイズをより小さくすることができる。
図14に示す第7の変形例のように、圧電センサ10の第1,第2の外部電極15a,15bは、第2の外装体3bの第1,第2の端面3bc,3bdから圧電体2の第1,第2の端面2c,2dに至るように形成されていてもよい。第1,第2の外部電極15a,15bは、圧電体2の第1,第2の端面2c,2dにおいては、第2の主面2b側の端部付近にのみ形成されていることが望ましい。それによって、分極方向の両端の電極対向面積を減らして、焦電ノイズを効果的に減らすことができる。
図15に示す第8の変形例のように、圧電センサ11は、絶縁層18を有していてもよい。第1の外装体3aの第1,第2の端面3ac,3adから圧電体2の第1,第2の端面2c,2dに至り、かつ第1,第2の検出用電極4a,4bに至らないように、絶縁層18が設けられている。このとき、第2の外装体3bの端面3bc,3bd、圧電体2の第1,第2の端面2c,2dにおいて絶縁層18が設けられていない部分及び絶縁層18上に第1,第2の外部電極5a,5bが形成されている。第8の変形例においても、分極方向の両端の電極対向面積を減らすことにより、焦電ノイズを効果的に低減することができる。
図16に示す第9の変形例のように、圧電センサ21の第1,第2の外装体23a,23bが接着性を有する樹脂からなる場合などでは、接着剤7を省略することができる。
図17に示す第10の変形例のように、圧電センサ73は、はんだなどからなるろう材78a,78bを介して実装基板86に実装されていてもよい。より具体的には、圧電センサ73は、ろう材78a,78bにより、第1,第2の外部電極5a,5bの2箇所において実装基板86に接合されている。図示されていないが、平面視において、実装基板86は圧電センサ73よりも長さ方向及び幅方向の寸法が大きい。よって、実装基板86がたわみ易いので、圧電体2を容易にたわませることができる。よって、検査対象の変形の検出感度を効果的に高めることができる。
さらに、圧電センサ73においては、実装基板86と第2の外装体3bとの間に空隙Iが形成されている。それによって、外部からの衝撃や振動などのノイズを検出し難い。従って、検査対象の変形の検出感度をより一層効果的に高めることができる。
1…圧電センサ
1A,1B…第1,第2の部分
1a,1b…第1,第2の主面
2…圧電体
2A,2B…第1,第2の圧電体
2a,2b…第1,第2の主面
2c,2d…第1,第2の端面
2e,2f…第1,第2の側面
3a,3b…第1,第2の外装体
3ac,3ad…第1,第2の端面
3bc,3bd…第1,第2の端面
4a,4b…第1,第2の検出用電極
4c…第3の電極
4A,4B…対向部
5a,5b…第1,第2の外部電極
6…基板
7…接着剤
10,11…圧電センサ
12A,12B…第1,第2の圧電体
18…絶縁層
20,21…圧電センサ
22A,22B…第1,第2の圧電体
22Aa,22Ab…第1,第2の主面
22Ba,22Bb…第1,第2の主面
23a,23b…第1,第2の外装体
31…圧電センサ
34Aa,34Ab,34Ba,34Bb…対向部
41…圧電センサ
42A,42B…第1,第2の圧電体
42Aa,42Ab…第1,第2の主面
42Ba,42Bb…第1,第2の主面
42Ac,42Ad…第1,第2の端面
42Bc,42Bd…第1,第2の端面
44A1,44B1…対向部
44a,44b…第1,第2の検出用電極
50…検出装置
51…圧電センサ
59…演算増幅器
59a,59b…第1,第2の入力端
59c…出力端
60…検出装置
61…圧電センサ
70,71,72,73…圧電センサ
78a,78b…ろう材
80…圧電センサ
86…実装基板
90…圧電センサ
98…樹脂モールド層

Claims (3)

  1. 第1,第2の主面及び長さ方向を有し、分極軸が前記長さ方向に平行な方向である圧電体と、
    前記圧電体の表面に形成されており、前記長さ方向に平行な方向に延びる第1,第2の検出用電極と、
    前記圧電体の前記第1の主面または前記第2の主面に接合された基板とを備え、
    外部と接続されない第3の電極をさらに備え、
    前記第3の電極が前記圧電体の前記第1の主面に形成されており、前記第1,第2の検出用電極が前記圧電体の前記第2の主面上においてギャップを隔てて対向するように形成されており、前記第1,第2の検出用電極と前記第3の電極とが前記圧電体の厚み方向において対向している対向部を有し、
    前記第1の検出用電極と前記第3の電極とが対向している対向部における前記圧電体の分極軸の方向と、前記第2の検出用電極と前記第3の電極とが対向している対向部における前記圧電体の分極軸の方向が、長さ方向に平行でありかつ同一方向であり、
    前記圧電体の前記第1の主面または前記第2の主面の平面方向における、前記基板の伸長または収縮により前記圧電体に加わったせん断応力に対応した電気出力に基づき前記基板の変形を検出する、圧電センサ。
  2. 前記圧電体の第1及び第2の主面のうち少なくとも一方に、板状の外装体が設けられている、請求項1に記載の圧電センサ。
  3. 第1,第2の入力端と出力端とを有する演算増幅器を含むセンサ回路と、
    請求項1または2に記載の圧電センサとを備え、
    前記圧電センサが前記演算増幅器の前記第1の入力端に接続されている、検出装置。
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