JP6414476B2 - 自動変速機用シフト装置 - Google Patents
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Description
特許文献1記載の自動変速機用シフト装置は、シフトフォークの一つを選択して回転部材に係合する選択操作も、回転部材に係合されたシフトフォークを移動させる移動操作も、同じ減速比で減速された駆動軸の駆動回転により実行する。
逆に、シフトフォーク選択用の動作速度が速くなるように減速比を小さく設定して回転部材の回転速度を上げると、シフトフォークを移動させるための回転部材の移動操作力が不足して、シフトフォークを確実に移動させることができない。
また、駆動軸と第2ギア機構とを連動させて、選択したシフトフォークが係合された回転部材を移動させるときは、第2ギア機構において設定したギア比で減速された回転速度に対応する速度で回転部材を移動させることができる。
したがって、クランク機構を利用する簡易な構造で回転部材をシフトフォークと共に第2軸芯方向に移動させることができる。
本構成の自動変速用シフト装置は、このような第1ギア機構を第2ギア機構と電動モータとの間に配置してあるので、シフト装置の小型化を図り易い。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態の自動変速機用シフト装置が装備される自動車の自動変速機AMT(Automatic Manual Transmission)を例示する。
自動変速機AMTは、エンジンEの出力軸E1にクラッチCを介して接続される変速入力軸1と、変速入力軸1の回転数を複数の変速段のいずれかで変速して、差動装置Dに出力する変速出力軸2とを有する。
第1,第2ドライブギア1a,1bは、変速入力軸1と一体回転する固定ギアである。第3〜第5ドライブギア1c〜1eおよびリバースドライブギア1fは、変速入力軸1に対して相対回転可能な遊転ギアである。
第1,第2ドリブンギア2a,2bは、変速出力軸2に対して相対回転可能な遊転ギアである。第3〜第5ドリブンギア2c〜2eおよびリバースドリブンギア2f、出力ギア2gは、変速出力軸2と一体回転する固定ギアである。
出力ギア2gは、差動装置DのリングギアD1との噛み合いで、変速用出力軸2の回転を差動装置Dに伝達する。
第1クラッチハブ4aは、第1ドリブンギア2aと第2ドリブンギア2bとの間において変速出力軸2に固定されている。
第1スリーブ6aは、第1クラッチハブ4aの外周面に回転軸芯方向に移動自在にスプライン係合され、第1,第2のいずれの変速段も構成しないときは、第1速係合部材5a及び第2速係合部材5bのいずれにも係合しないスリーブ待機位置に保持される。
第1スリーブ6aの外周部に形成された第1係合周溝7aには、第1シフトフォーク8の第1フォーク部材8aが係合している。
第1変速段では、第1スリーブ6aが第1速係合部材5aに係合して、第1ドリブンギア2aと変速出力軸2とを相対回転不能に連結する。
第2変速段では、第1変速段と同様に、第1スリーブ6aが第2速係合部材5bに係合して、第2ドリブンギア2bと変速出力軸2とを相対回転不能に連結する。
第2クラッチハブ4bは、第3ドライブギア1cと第4ドライブギア1dとの間において変速入力軸1に固定されている。
第2スリーブ6bは、第2クラッチハブ4bの外周面に回転軸芯方向に移動自在にスプライン係合され、第3,第4のいずれの変速段も構成しないときは、第3速係合部材5c及び第4速係合部材5dのいずれにも係合しないスリーブ待機位置に保持される。
第2スリーブ6bの外周部に形成された第2係合周溝7bには、第2シフトフォーク9の第2フォーク部材9aが係合している。
第3クラッチハブ4cは、第5ドライブギア1eとリバースドライブギア1fとの間において変速入力軸1に固定されている。
第3スリーブ6cは、第3クラッチハブ4cの外周面に回転軸芯方向に移動自在にスプライン係合され、第5変速段とリバース変速段のいずれの変速段も構成しないときは、第5速係合部材5e及びリバース係合部材5fのいずれにも係合しないスリーブ待機位置に保持される。
第3スリーブ6cの外周部に形成された第3係合周溝7cには、第3シフトフォーク10の第3フォーク部材10aが係合している。
第2、第3選択機構3b,3cは、第1選択機構3aと同様に、第3〜第5変速段又はリバース変速段のいずれかを構成するので、その説明は省略する。
第1〜第3フォーク部材8a〜10aが、対応する第1〜第3スリーブ6a〜6cに形成された第1〜第3係合周溝7a〜7cに係合している。
自動変速機用シフト装置Aは、電動モータMと駆動軸11(図5参照)と回転部材12と第1ギア機構G1と第2ギア機構G2とクラッチ機構13(図5参照)と制御部14とを有する。
回転部材12は、フォーク選択用の矩形の係合板12aを一端側に備えた中実丸軸であり、第1軸芯X1と平行な第2軸芯X2の周りで回転自在、かつ、第2軸芯X2の方向に沿って往復移動自在に支持されている。
第1〜第3シフトフォーク8〜10は、自動変速機AMTにおける移動対象となる第1〜第3スリーブ6a〜6cをスリーブ待機位置に保持しているときに、係合板12aの回転経路aが係合用凹部8c〜10cに入り込むフォーク待機位置に停止している。
つまり、回転部材12を回転させて選択すべき例えば第1シフトフォーク8の係合用凹部8cに係合板12aが入り込む位置で停止する。
第2ギア機構G2は、駆動軸11との連動により、選択されたシフトフォーク、例えば第1シフトフォーク8が係合された回転部材12を第2軸芯X2の方向に沿って移動させて、移動方向に応じて対応する第1変速段又は第2変速段を構成する。
第1ギア機構G1は、第1軸芯X1の方向で第2ギア機構G2と電動モータMとの間に配置されている。
第1軸芯X1および第2軸芯X2は、変速入力軸1および変速出力軸2の回転軸芯Y1,Y2と平行な軸芯である。
第3ギア16cは回転部材12に一体固定してあり、第3ギア16cの回転により回転部材12が回転する。
第2ギア機構G2の減速比は第1ギア機構G1の減速比よりも大きい。
被係合部19は、回転部材12の外周側に二つの円環状の鍔19aを間隔を隔てて第2軸芯X2と同軸芯で固定して構成してあり、二つの鍔19aの間に係合部18を挟み込んで係合してある。
これにより、回転部材12を係合板12aと共に第2軸芯X2の方向に沿う一定範囲内を往復移動させることができる。
駆動軸11および第1連動ギア15aと第2連動ギア15bの筒軸部15cは、電動モータMに固定した円筒状のクラッチケース21の内側に収容してある。
駆動軸11はモータ出力軸M1との係合により第1軸芯X1の周りで回転する。
第1連動ギア15aは、クラッチケース21の周壁に形成した開口21aを通して第1ギア16aに噛み合っている。
第2連動ギア15bは、筒軸部15cが第2軸受22bを介してクラッチケース21の内側に第1軸芯X1と同じ軸芯で回転自在に支持されている。
第1一方向クラッチ13aは、第1連動ギア15aの内周側と駆動軸11の外周側との間に同芯状に装着してある。
第2一方向クラッチ13bは、第2連動ギア15bの筒軸部15cの内周側と駆動軸11の外周側との間に同芯状に装着してある。
第2連動ギア15bは、駆動軸11の逆転時に第2一方向クラッチ13bを介して駆動軸11に連動され、駆動軸11の正転時に駆動軸11との連動が解除される。
制御部14は、走行制御装置(図示せず)から変速段の切り替え要求が入力されると、回転位置センサや移動位置センサなどの検出情報に基づいて電動モータMの回転方向や回転数を制御し、要求された変速段に切り替わるように第1〜第3シフトフォーク8〜10を択一的に作動させる。
すなわち、変速段を構成しない待機状態では、回転部材12は、係合板12aが第2軸芯X2に沿う移動範囲の中央に位置している回転部材待機位置に停止している。
一方、第1〜第3シフトフォーク8〜10の全部が、係合用凹部8c〜10cに係合板12aの回転経路aが入り込むフォーク待機位置に停止している。
これにより、第1〜第3選択機構3a〜3cのスリーブ6a〜6cがスリーブ待機位置に保持される。
したがって、回転部材待機位置は、係合部18が図6に示す第1回動位置P1に回動したとき、および、係合部18が図8に示す第3回動位置P3に回動したときに回転部材12が停止する位置である。
第1回動位置P1と第3回動位置P3は、第2軸芯X2に直交する方向で互いに対向する位置である。
この切り替え動作では、回転部材12が図6に示す待機位置に待機していないときは、電動モータMを逆転させて第2ギア機構G2により回転部材12を図6に示す待機位置に移動させる。
このとき、回転部材12は係合板12aがいずれのシフトフォーク8〜10にも係合しない位置に回転させておく。
つぎに、電動モータMを逆転させて第2ギア機構G2によりシフト用ギア17cを矢印Sの方向に90度回転させ、係合部18を図7に示す第2回動位置P2に回動させる。
これにより、回転部材12が第2軸芯X2に沿って移動範囲の一端側に移動し、第1変速段、第3変速段又は第5変速段が構成される。
このときも、電動モータMの正転により、回転部材12を係合板12aがいずれのシフトフォーク8〜10にも係合しない位置に回転しておく。
つぎに、電動モータMを逆転させて第2ギア機構G2によりシフト用ギア17cを矢印Sの方向に90度回転させ、係合部18を図9に示す第4回動位置P4に回動させる。
これにより、回転部材12が第2軸芯X2に沿って移動範囲の他端側に移動し、第2変速段、第4変速段又はリバース変速段が構成される。
このような切り替え動作は、電動モータMを逆転させて第2ギア機構G2によりシフト用ギア17cを矢印Sの方向に180度回転させ、係合部18を図7に示す第2回動位置P2と図9に示す第4回動位置P4との間で回動させることにより行う。
このような切り替え動作では、電動モータMを逆転させて第2ギア機構G2によりシフト用ギア17cを矢印Sの方向に90度回転させ、係合部18を図6に示す第1回動位置P1又は図8に示す第3回動位置P3に回動させて現在選択しているシフトフォークをフォーク待機位置に移動させる。
この後、次に選択したい変速段に応じて回転部材12を図7に示す変速位置と図9に示す変速位置とのいずれに位置させたいかを考慮し、電動モータMを逆転させて回転部材12を図6に示す待機位置或いは図8に示す待機位置に移動させる。
このように、本構成であれば、一つの電動モータMを用いるだけで所望の変速段を選択できる自動変速機用シフト装置を得ることができる。
本発明による自動変速機用シフト装置は、回転部材12が複数のシフトフォーク8〜10毎に各別に対応する複数の係合板12aを備えていてもよい。
この場合は、回転部材12を小さな回転角度で回転させて、係合板12aを対応するシフトフォーク8〜10の係合用凹部9cに係合させることができるので、シフトフォーク8〜10の選択動作を迅速に行うことができる。
11 駆動軸
12 回転部材
13 クラッチ機構
13a 第1一方向クラッチ
13b 第2一方向クラッチ
15a,16a〜16c 第1軸芯周り又は第1軸芯と平行な軸芯周りで回転するギア
17c シフト用ギア
18 係合部
19 被係合部
20 クランク機構
G1 第1ギア機構
G2 第2ギア機構
M 電動モータ
X1 第1軸芯
X2 第2軸芯
Claims (4)
- 電動モータにより第1軸芯の周りで駆動回転される駆動軸と、
複数のシフトフォークの一つを、前記第1軸芯と平行な第2軸芯の周りでの回転により選択して係合する回転部材と、
前記駆動軸との連動により、前記回転部材を前記第2軸芯の周りで回転させる第1ギア機構と、
前記駆動軸との連動により、前記シフトフォークが係合された前記回転部材を前記第2軸芯の方向に沿って移動させる第2ギア機構と、
前記第1ギア機構と前記第2ギア機構とを前記駆動軸に択一的に連動させるクラッチ機構と、
を有する自動変速機用シフト装置。 - 前記第2ギア機構が、
前記駆動軸との連動により回転するシフト用ギアと、
前記シフト用ギアに設けた係合部および当該係合部と係合するよう前記回転部材に設けた被係合部を備えたクランク機構と、
を有している請求項1に記載の自動変速機用シフト装置。 - 前記第1ギア機構が、前記第1軸芯の周り又は前記第1軸芯と平行な軸芯周りで回転するギアどうしの噛み合いにより構成され、
前記第1ギア機構が、前記第2ギア機構と前記電動モータとの間に配置されている請求項1または2に記載の自動変速機用シフト装置。 - 前記クラッチ機構が、第1一方向クラッチおよび前記第1一方向クラッチとは逆方向の回転を伝達する第2一方向クラッチを備え、
前記第1ギア機構が前記第1一方向クラッチを介して前記駆動軸に連動され、
前記第2ギア機構が前記第2一方向クラッチを介して前記駆動軸に連動されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動変速機用シフト装置。
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