JP6414404B2 - 陰極部材及びこれを用いたプラズマ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、真空アーク放電用の陰極部材、及びこれを用いたプラズマ装置に関する。
従来、真空アーク放電に用いられる様々な電極部材が知られている。例えば、特許文献1には、アーク放電による合金鋼の製造に用いられる黒鉛電極について記載されている。特許文献1では、当該黒鉛電極について、シミュレーションにより性能評価を行う方法が提案されている。
特開平7−209162号公報
ところで、真空アーク放電に用いられる陰極部材として、ガラス状炭素からなるものがある。ガラス状炭素からなる陰極部材は、粒界を有しない。このため、ガラス状炭素からなる陰極部材を用いれば、パーティクルが発生しないスパークレス放電を行うことができる。
しかしながら、ガラス炭素からなる陰極部材は、放電点弧した際、例えば急激な温度上昇等により、瞬時に粉砕してしまうことがある。また、放電点弧後、アークスポットが陰極部材以外の部分に移動することがある。この場合、真空アーク放電を継続することができなくなったり、スパークレス放電を継続することができなくなったりする。
そこで、本発明は、安定したスパークレス放電を継続することが可能な陰極部材、及びこれを用いたプラズマ装置を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態は、真空アーク放電に用いられる陰極部材であって、ガラス状炭素からなり、蒸発面の算術平均粗さRaが15.4μmよりも小さい。
上記陰極部材は、蒸発面の算術平均粗さRaが15.4μmよりも小さい。このため、真空アーク放電の際、陰極部材以外の部分へのアークスポットの移動が抑制される。よって、上記陰極部材によれば、安定したスパークレス放電を継続することが可能となる。
本発明の他の実施形態に係るプラズマ装置は、真空容器と、真空容器に取り付けられる陰極部材を含むアーク式蒸発源と、を備える。陰極部材は、ガラス状炭素からなり、次の式(1)で表される熱衝撃抵抗Rが7.9よりも大きい。
ここで、上記式(1)において、σは曲げ強度[MPa]、λは熱伝導率[W/mK]、αは熱膨張率[/10K]、Eはヤング率[GPa]である。
上記プラズマ装置では、熱衝撃抵抗Rが7.9よりも大きい陰極部材が用いられている。よって、真空アーク放電の際に急激な温度上昇が生じ、大きな熱応力が発生した場合であっても、陰極部材が粉砕しにくい。このため、上記プラズマ装置によれば、スパークレス放電の安定継続を図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ装置の構成を示す概略図である。 図2は、図1に示すプラズマ装置に用いられるアーク式蒸発源の斜視図である。 図3は、図1に示すプラズマ装置に用いられるアーク式蒸発源の側面図である。 図4は、図2に示すアーク式蒸発源のIV−IV断面図である。 図5は、真空アーク放電試験後における比較例1の陰極部材を示す写真である。 図6は、真空アーク放電試験後における実施例1−1の陰極部材を示す写真である。 図7は、真空アーク放電試験後における実施例2−2に係る陰極部材を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一又は相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
[プラズマ装置の構成]
図1に示すように、本実施形態に係るプラズマ装置100は、真空容器1と、保持部材2と、アーク式蒸発源3と、永久磁石4とを備える。プラズマ装置100は、さらに、電源5,6と、トリガ電極7と、抵抗8とを備えている。なお、説明の便宜上、プラズマ装置100において、図1に示すようにx軸、y軸、及びz軸を定義する。
(真空容器)
真空容器1は、接地ノードGNDに接続される。真空容器1は、排気口11を有する。排気装置(図示略)が真空容器1内の空気を排気口11から排出させることにより、真空容器1内が減圧される。
(保持部材)
保持部材2は、真空容器1に取り付けられる。保持部材2は、真空容器1内に配置される基材21を保持する。基材21は、保持部材2に対して動かないように固定されていてもよいし、プラズマ装置100の使用者の操作等に応じて向きを変更できるように保持部材2に取り付けられていてもよい。
(アーク式蒸発源)
アーク式蒸発源3は、真空容器1に取り付けられる。アーク式蒸発源3は、台座31と、陰極部材32と、バッキングプレート33とを含む。
台座31は、略円板状をなす。台座31の一方の面は、バッキングプレート33に取り付けられる。台座31の他方の面は、真空容器1内の基材21に向いている。以下、説明の便宜上、台座31の両面のうち基材21に向いている面を、台座31の上面という。
図2に示すように、台座31の直径R1は、例えば64mmとすることができる。台座31の高さH1は、例えば20mmとすることができる。台座31は、特に限定されるものではないが、例えば焼結体グラファイトからなる。
陰極部材32は、台座31及びバッキングプレート33を介して、真空容器1に取り付けられている。図2から図4に示すように、陰極部材32は、柱状をなす。より具体的には、陰極部材32は、中実の円柱状をなす。つまり、陰極部材32において、中心軸に垂直な断面(x−y平面に沿う断面)は、円形状をなす。
陰極部材32は、例えば、直径R2が3mm、高さH2が10mmの円柱状とすることができる。ただし、陰極部材32の直径R2及び高さH2は適宜変更することができる。例えば、真空アーク放電の継続時間等に応じて、陰極部材32の高さH2を調整してもよい。
本実施形態における「柱状」は、中実の柱状だけでなく、パイプ等の中空の柱状(筒状)を含む概念である。「柱状」とは、例えば、中心軸に垂直な断面が円形状、楕円形状、多角形状、角部に丸みを付けた多角形状、又は環状をなす形状をいう。「環状」には、円環状、楕円環状、多角環状、及び角部に丸み(R取り)を付けた多角環状が含まれる。よって、陰極部材32は、本実施形態のような円柱状の他、例えば、楕円柱状、多角柱状、又は角部に丸み(R取り)を付けた多角柱状とすることもできるし、円筒状、楕円筒状、多角筒状、又は角部に丸み(R取り)を付けた多角筒状とすることもできる。
陰極部材32は、軸方向に沿って径の大きさが変化してもよい。例えば、陰極部材32は、台座31側から先端に向かって径が小さくなる円錐状又は楕円錐状であってもよいし、台座31側から先端に向かって段階的に径が小さくなっていてもよい。
本実施形態では、陰極部材32全体が柱状部分であるが、陰極部材32の一部が柱状部分であってもよい。つまり、陰極部材32の一部が円柱状、楕円柱状、円筒状、又は楕円筒状等であってもよい。
陰極部材32は、ガラス状炭素からなる。ガラス状炭素は、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を焼成、炭素化することにより製造される。ガラス状炭素は、構造的にガラス状であり、粒界が存在しない。粒界が存在しないという理由から、陰極部材32は、導電性のダイヤモンドからなっていてもよい。
ガラス状炭素からなる陰極部材32は、粒界を有しないため、アーク放電中に原子状のカーボンを放出する。つまり、陰極部材32を用いることにより、パーティクルが発生しないスパークレス放電を生じさせることができる。なお、本実施形態において、パーティクルとは、サイズが5nm〜数μmであるカーボンの粒をいう。
ガラス状炭素には、グラッシーカーボン(glassy carbon)、アモルファスカーボン、非晶質カーボン、非定形炭素、無定形炭素、非黒鉛化炭素、及びvitreous carbon等が含まれる。ガラス状炭素の具体例として、日清紡ケミカル製のガラス状カーボン、又は東海カーボン製のグラッシーカーボン等を挙げることができる。
陰極部材32の熱衝撃抵抗Rは、好ましくは7.9より大きく、より好ましくは12.2以上である。熱衝撃抵抗Rは、次の式(1)で定義される。下記式(1)において、σは曲げ強度[MPa]、λは熱伝導率[W/mK]、αは熱膨張率[/10K]、Eはヤング率[GPa]である。
陰極部材32は、アーク放電の際に陰極物質の蒸発が生じる蒸発面を有する。陰極部材32の蒸発面の表面粗度(算術平均粗さRa)は、15.4μmよりも小さいことが好ましく、8.6μm以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、円柱状の陰極部材32の側面(外周面)が主な蒸発面である。つまり、陰極部材32の側面の算術平均粗さRaは、好ましくは15.4μmよりも小さく、より好ましくは8.6μm以下である。
陰極部材32の先端面の表面粗度は、特に限定されるものではない。つまり、陰極部材32において、先端面の表面粗度は、側面の表面粗度よりも大きくすることもできるし、小さくすることもできる。陰極部材32において、先端面の表面粗度は、側面の表面粗度と同等であってもよい。
図1に示すように、バッキングプレート33は、真空容器1の壁部に固定される。上述したように、バッキングプレート33には台座31が固定される。
なお、真空容器1には、アーク式蒸発源3とは別にEB蒸発源やスパッタ源等が取り付けられていてもよい。
(永久磁石)
図1に示すように、永久磁石4は、真空容器1の外部において、アーク式蒸発源3に近接して配置される。より具体的には、永久磁石4は、アーク式蒸発源3の背面(バッキングプレート33の表面)近傍に設けられている。
永久磁石4は、略環状をなす。永久磁石4は、アーク式蒸発源3と同心となるよう配置される。永久磁石4は、例えば、アーク式蒸発源3に近い方の面がN極であり、アーク式蒸発源3から遠い方の面がS極である。ただし、永久磁石4の磁極の配置は特に限定されるものではない。例えば、永久磁石4において、アーク式蒸発源3に近い方の面をS極、アーク式蒸発源3から遠い方の面をN極としてもよい。
本実施形態では、永久磁石4が「磁界発生手段」に相当する。ただし、永久磁石4以外のものを「磁界発生手段」として使用してもよい。例えば、「磁界発生手段」は、コイルに通電することで磁界を発生させる電磁石であってもよい。
(電源)
電源5は、保持部材2と接地ノードGNDとの間に配置される。電源5は、保持部材2及び接地ノードGNDに接続される。電源5は、保持部材2を介して基材21に負の電圧を印加する。
電源6は、アーク式蒸発源3と接地ノードGNDとの間に配置される。電源6は、アーク式蒸発源3及び接地ノードGNDに接続される。電源6は、フィードスルー9を介してアーク式蒸発源3に負の電圧を印加する。
(トリガ電極)
トリガ電極7は、例えばモリブデン(Mo)からなる。トリガ電極7は、その一部が真空容器1内に配置され、他の部分が真空容器1の外部に配置される。トリガ電極7は、抵抗8を介して接地ノードGNDに接続される。トリガ電極7は、往復駆動装置(図示略)によって陰極部材32に接触させられる。トリガ電極7は、往復駆動装置(図示略)によって陰極部材32から離反する。
(抵抗)
抵抗8は、トリガ電極7と接地ノードGNDとの間に配置される。抵抗8は、アーク電流がトリガ電極7に流れるのを抑制する。
(その他)
プラズマ装置100は、所定の機能を有するガスを真空容器1内に供給するガス供給手段(図示略)をさらに備えていてもよい。所定の機能を有するガスは、放電を安定化させたり、カーボン化合物薄膜を生成したり、これらの薄膜の応力を制御したりするためのガスであってもよい、このようなガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アルゴン等の希ガスや窒素ガス等を挙げることができる。
また、所定の機能を有するガスは、カーボン薄膜の例えば抵抗率といった電気的な特性を制御するためのガスであってもよい。このようなガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ジボランやフォスフィン等を挙げることができる。なお、本発明においては、微量であってもカーボン以外の元素を導入されたカーボン薄膜もカーボン化合物薄膜の範疇に入るものとする。
[プラズマ装置の動作]
次に、上述のように構成されたプラズマ装置100の動作について説明する。本実施形態では、プラズマ装置100を用いたカーボン薄膜の生成について説明する。つまり、本実施形態に係るプラズマ装置100は、真空アーク蒸着装置として機能する。ただし、プラズマ装置100は、真空アーク蒸着装置でなくてもよく、例えばカーボンナノチューブやフラーレン等、膜以外のものの生成に用いることもできる。この場合、プラズマ装置100は、基材21を保持するための保持部材2を備えていなくてもよい。
まず、台座31をバッキングプレート33に取り付けるとともに、陰極部材32を台座31に取り付ける。このようにして組み立てられたアーク式蒸発源3を真空容器1に取り付ける。また、基材21を保持部材2に保持させる。
次に、排気口11を介して真空容器1内を排気し、真空容器1内を所望の圧力まで減圧する。
さらに、電源5によって基材21に負の電圧(例えば、−10V〜−300V)を印加する。また、電源6によってアーク式蒸発源3に負の電圧(例えば、−15V〜−50V)を印加する。
そして、往復駆動装置(図示略)を駆動し、トリガ電極7を陰極部材32に接触させる。その後、往復駆動装置(図示略)により、トリガ電極7を陰極部材32から離反させる。これにより、真空容器1と陰極部材32との間でアーク放電が開始される。なお、この時点では、基材21と陰極部材32との間に配置されているシャッター(図示略)が閉じている。
アーク放電により、まず、アークスポットが陰極部材32の先端面、あるいは先端面と側面とを接続するエッジ部分に現れる。アークスポットは、アーク放電の陰極点であり、強く発光する。アークスポットでは、陰極物質の蒸発が発生する。なお、アーク放電が発生している間、ガス供給手段(図示略)により、上述したような所定の機能を有するガスを真空容器1内に供給してもよい。
その後、基材21と陰極部材32との間のシャッター(図示略)を開けると、カーボン薄膜が基材21上に生成される。カーボン薄膜には、アモルファスカーボン薄膜、ダイヤモンドライクカーボン薄膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜、非晶質硬質炭素薄膜、及び硬質炭素薄膜が含まれるものとする。
上述した通り、プラズマ装置100には永久磁石4が設けられており、この永久磁石4が、アーク式蒸発源3の軸方向及び径方向に向かう磁界を生じさせる。つまり、陰極部材32が延びる方向の磁界と、陰極部材32側から台座31の周縁部に向かう磁界とが発生する。この磁界により、アークスポットは陰極部材32の側面を移動する。より具体的には、アークスポットは、陰極部材32の先端側から台座31側に向かって、陰極部材32の側面をスパイラル状に移動する。
所定時間が経過した後、シャッターが閉じられ、プラズマ装置100を用いたカーボン薄膜の生成が終了する。
[実施形態の効果]
以上のように、本実施形態に係るプラズマ装置100に用いられる陰極部材32は、ガラス状炭素からなるため、粒界を有しない。よって、陰極部材32を用いれば、パーティクルが発生しないスパークレス放電を生じさせることができる。一方、陰極部材32は、熱衝撃抵抗Rが7.9よりも大きいため、真空アーク放電の際に急激な温度上昇が生じ、大きな熱応力が発生した場合であっても粉砕しにくい。したがって、陰極部材32を用いることにより、安定したスパークレス放電の継続を期待することができる。
上記実施形態に係る陰極部材32の蒸発面の算術平均粗さRaは、15.4μmよりも小さい。よって、アークスポットが陰極部材32以外の部分に移動するのを抑制することができる。その結果、安定したスパークレス放電を継続することができる。
上記実施形態に係る陰極部材32は、柱状部分を有する。より詳細には、陰極部材32は、円柱状をなす。また、プラズマ装置100では、永久磁石4によって、陰極部材32の周囲には磁界が発生している。このような構成により、アークスポットは、陰極部材32の側面(蒸発面)をスパイラル状に移動することができる。よって、アークスポットが陰極部材32以外の部分に移動することが抑制され、スパークレス放電をより安定して継続することが可能となる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1に示すプラズマ装置100を使用し、複数種類の陰極部材について真空アーク放電試験を行った。当該真空アーク放電試験では、ロータリポンプ及びターボ分子ポンプ等の排気装置(図示略)によって真空容器1内を9.9×10−3Paまで真空排気し、アーク電流80Aの設定で各陰極材料に放電点弧した後、放電状況の確認を行った。詳細な試験条件を表1に示す。
表1における軸方向磁場Bz及び半径方向磁場Brは、ガウスメータ(Lake Shore社製,410-SCT型)を用いて、各陰極部材の先端位置で測定した値である。
[実施例1]
プラズマ装置100を使用し、表1に示す試験条件で、4種類の陰極部材(比較例1、実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3)それぞれについて真空アーク放電試験を行った。比較例1、実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の陰極部材は、ガラス状炭素からなり、略同一寸法の円柱状である。実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の各陰極部材は、上記実施形態に係る陰極部材32に相当する。
各陰極部材の曲げ強度σ、熱伝導率λ、熱膨張率α、ヤング率E、及び熱衝撃抵抗Rを表2に示す。表2に示す各陰極部材の曲げ強度σ、熱伝導率λ、熱膨張率α、及びヤング率Eは、いずれも20℃〜30℃程度における値である。表2に示す各熱衝撃抵抗Rは、曲げ強度σ、熱伝導率λ、熱膨張率α、及びヤング率Eの値を用いて、上述の式(1)により算出したものである。
実施例1の真空アーク放電試験の結果を表3に示す。比較例1、実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の陰極部材それぞれについて真空アーク放電試験を3回ずつ実施したところ、3回とも同一の結果となった。
比較例1の陰極部材は、放電点弧後、瞬時に粉砕して放電が停止した。真空アーク放電試験後における比較例1の陰極部材を図5に示す。比較例1の陰極部材は、熱衝撃抵抗Rが7.9と低く、放電点弧した際の急激な温度上昇に耐えることができなかったため、放電点弧後、瞬時に粉砕する結果となった。
一方、熱衝撃抵抗Rが7.9よりも大きい実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の陰極部材では、安定したスパークレス放電が発生した。したがって、陰極部材の熱衝撃抵抗Rが7.9よりも大きい場合、スパークレス放電が安定して継続することがわかる。
実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3については、安定したスパークレス放電が40秒に亘って継続したことを確認した後、強制消弧した。強制消弧後、真空容器1を大気開放して各陰極部材の確認を行った。
実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の陰極部材は、いずれも側面にスパイラル状の放電痕跡が残っていた。この点から、真空アーク放電中、実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の陰極部材の側面をアークスポットがスパイラル状に移動したことがわかる。つまり、実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3の陰極部材は、陰極部材以外の部分へのアークスポットの移動を抑制していると評価することができる。図6は、真空アーク放電試験後における実施例1−1の陰極部材の写真である。
[実施例2]
プラズマ装置100を使用し、表1に示す試験条件で、4種類の陰極部材(実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、及び比較例2)それぞれについて真空アーク放電試験を行った。実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、及び比較例2の陰極部材は、ガラス状炭素からなり、略同一寸法の円柱状である。実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、及び実施例2−4の各陰極部材は、上記実施形態に係る陰極部材32に相当する。
各陰極部材の側面の表面粗度を表4に示す。表4には、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、及び比較例2の陰極部材それぞれについて、側面の算術平均粗さRa及び最大高さRmaxが示されている。
表4における算術平均粗さRa及び最大高さRmaxは、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製,Surftest211型)により、各陰極部材の側面を測定した値である。
実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、及び比較例2の陰極部材それぞれについて、真空アーク放電試験を3回ずつ実施した。実施例2の真空アーク放電試験の結果を表5に示す。
比較例2の陰極部材は、3回の真空アーク放電試験の全てにおいて、放電点弧後、アークスポットが瞬時に台座31へと移動した。比較例2の陰極部材は、側面の表面粗度が(算術平均粗さRa)が15.4μmと大きく、側面において放電の起点となる凸部が多く又は大きいことを示している。このため、比較例2の陰極部材を用いた真空アーク放電では、アークスポットが陰極部材の側面の凸部を次々と飛ぶように移動し、放電点弧後、アークスポットが瞬時に台座31へと移動したと考えられる。
一方、表面粗度(算術平均粗さRa)が15.4μmよりも小さい実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、及び実施例2−4の陰極部材では、安定したスパークレス放電を発生させることができた。実施例2−2及び実施例2−3の陰極部材では、3回の真空アーク放電試験全てで安定したスパークレス放電が発生した。実施例2−1及び実施例2−4の陰極部材では、3回の真空アーク放電試験のうち2回で安定したスパークレス放電が発生した。
このような結果から、陰極部材の側面(蒸発面)の算術平均粗さRaが15.4μmよりも小さい場合、スパークレス放電を安定して継続させ得ることがわかる。同様に、陰極部材の側面(蒸発面)の最大高さRmaxが78.7μmよりも小さい場合、安定したスパークレス放電を継続可能と評価することができる。
実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、及び実施例2−4の陰極部材を使用した真空アーク放電試験において、アークスポットが瞬時に台座31に移動しなかった場合は、スパークレス放電が40秒に亘って継続したことを確認した後、強制消弧した。強制消弧後、真空容器1を大気開放して各陰極部材の確認を行った。
実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、及び実施例2−4の陰極部材のうち、スパークレス放電が40秒に亘って継続したものについては、いずれも側面にスパイラル状の放電痕跡が残っていた。この点から、各陰極部材の側面をアークスポットがスパイラル状に移動し、陰極部材以外の部分へのアークスポットの移動が抑制されていることがわかる。図7は、真空アーク放電試験後における実施例2−2の陰極部材の写真である。
100 プラズマ装置
1 真空容器
2 保持部材
21 基材
3 アーク式蒸発源
32 陰極部材
4 永久磁石(磁界発生手段)

Claims (10)

  1. 真空アーク放電に用いられる陰極部材であって、
    粒界が存在しないガラス状炭素からなり、蒸発面の算術平均粗さRaが8.6μm以下である、陰極部材。
  2. 請求項1に記載の陰極部材であって、
    次の式(1)で表される熱衝撃抵抗Rが12.2以上である、陰極部材。
    ここで、前記式(1)において、σは曲げ強度[MPa]、λは熱伝導率[W/mK]、αは熱膨張率[/10K]、Eはヤング率[GPa]である。
  3. 請求項1又は2に記載の陰極部材であって、
    柱状部分を有する、陰極部材。
  4. 請求項3に記載の陰極部材であって、
    前記柱状部分は、中心軸に垂直な断面が円形状、楕円形状、多角形状、角部に丸みを付けた多角形状、又は環状をなす、陰極部材。
  5. 真空容器と、
    前記真空容器に取り付けられる陰極部材を含むアーク式蒸発源と、
    を備え、
    前記陰極部材は、ガラス状炭素からなり、次の式(1)で表される熱衝撃抵抗Rが12.2以上である、プラズマ装置。
    ここで、前記式(1)において、σは曲げ強度[MPa]、λは熱伝導率[W/mK]、αは熱膨張率[/10K]、Eはヤング率[GPa]である。
  6. 請求項5に記載のプラズマ装置であって、
    前記陰極部材は、粒界が存在しないガラス状炭素からなり、蒸発面の算術平均粗さRaが8.6μm以下である、プラズマ装置。
  7. 請求項5又は6に記載のプラズマ装置であって、
    前記陰極部材は、柱状部分を有する、プラズマ装置。
  8. 請求項7に記載のプラズマ装置であって、
    前記柱状部分は、中心軸に垂直な断面が円形状、楕円形状、多角形状、角部に丸みを付けた多角形状、又は環状をなす、プラズマ装置。
  9. 請求項7又は8に記載のプラズマ装置であって、さらに、
    アークスポットが前記柱状部分の側面をスパイラル状に移動するように磁界を発生させる磁界発生手段、
    を備える、プラズマ装置。
  10. 請求項5から9のいずれか1項に記載のプラズマ装置であって、さらに、
    前記真空容器内に配置される基材を保持するための保持部材、
    を備えており、
    当該プラズマ装置は、真空アーク蒸着装置である、プラズマ装置。
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