JP6413281B2 - ボロメータ方式の赤外線センサおよびその製造方法 - Google Patents

ボロメータ方式の赤外線センサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、赤外線の入射光を吸収して温度変化し、その温度変化によって抵抗値が変化する材料を用いて赤外線の放射強度の信号を読み出すボロメータ方式の赤外線センサおよびその製造方法に関するものである。
従来より、赤外線センサとして量子(フォトン)型センサやボロメータ方式などの熱型センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。量子型センサは、ダーク電流に起因したノイズを低下させるために液体窒素温度近くまで冷却しなければ検出感度を高められない。これに対して、ボロメータ方式の赤外線センサは素子の冷却が不要である。このため、コストの低減、機器の簡素化および小型化携帯用途において有利であることから、それらを目的としてボロメータ方式の赤外線センサが用いられている。
このボロメータ方式の赤外線センサは、入射した赤外線を受光部が吸収することにより受光部の温度を変化させ、この受光部に配置した材料の温度変化による抵抗値変化から該赤外線の放射強度を電気信号として検出するものである。したがって、抵抗変化の温度依存性(抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance))が大きいほど、検出感度が高くなる。室温付近で高いTCRを持つ抵抗体膜の材料としてVO2(酸化バナジウム)があり、TCRが70%/K程度と非常に高い。
特許第3236860号公報
しかしながら、高品質で高TCRなVO2を得るには高温成膜(>400℃)が必要なため、CMOSプロセスなどと適応する400℃以下で高いTCRを実現することが困難であった。例えば、特許文献1においては、バナジウム系を含むゾル液を用いて加熱炉内において大気熱処理を行うことで基板上に酸化バナジウム膜を成膜し、それを真空容器内でアルゴンと水素の混合ガスで約400℃、8時間加熱処理するようにしている。しかし、得られるTCRは1.8〜2.0%と低い値しか得られない。また、この場合に得られる酸化バナジウムは、VO2ではなく、酸素濃度がストイキオメトリーからずれた組成となってしまう。
また、400℃以下で成膜できる非冷却赤外線センサに用いられている材料として、VOxがあるが、TCRが3%/K程度とそれほど感度が高くない。
本発明は上記点に鑑みて、酸化バナジウムの成膜温度を400℃以下としても高いTCRが得られるようにしたボロメータ方式の赤外線センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、多結晶からなる下地絶縁膜(1)と、下地絶縁膜の表面に形成された抵抗体膜となる多結晶からなるVO膜(2)と、VO膜に電気的に接続される配線層(4)と、照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)と、を有し、下地絶縁膜がTiO膜であり、該TiO膜の結晶粒径が40nm〜50nmであり、VO 膜の結晶粒径が40nm〜50nmであり、赤外線吸収膜の温度変化に伴ってVO膜の抵抗値が変化し、該抵抗値の変化を配線層より赤外線の照射強度を表す信号として取り出すことを特徴としている。
このように構成される赤外線センサでは、多結晶からなる下地絶縁膜の上に多結晶からなるVO膜を形成している。このような構成とすれば、VO膜の成膜温度を400℃以下としても、高いTCRを得ることが可能となる。
具体的には、請求項に示したように、多結晶からなる下地絶縁膜(1)を用意する工程と、400℃以下の温度で、下地絶縁膜の表面にエピタキシャル成長によって抵抗体膜となるVO2膜(2)を成膜する工程と、下地絶縁膜およびVO膜をパターニングする工程と、パターニング後の下地絶縁膜およびVO膜を覆うパッシベーション膜(3)を成膜する工程と、パッシベーション膜にコンタクトホール(3a)を形成したのち、該コンタクトホールを通じてVO膜に電気的に接続される配線層(4)を形成する工程と、パッシベーション膜および配線層の上に、照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)を形成する工程と、を含み、下地絶縁膜を用意する工程においては、支持基板(7)の上に絶縁膜(10)を形成したものの該絶縁膜の上に、下地絶縁膜としてTiOを真空チャンバ内で成膜する工程を行う製造方法によって、請求項1にかかるボロメータ方式の赤外線センサを製造することができる。
このように、多結晶からなる下地絶縁膜の上に400℃以下の成膜温度によるエピタキシャル成長によって多結晶からなるVO膜を形成している。これにより、VO膜の成膜温度を400℃以下としても、高いTCRを得ることが可能となる。
結晶の場合のTCRは粒径サイズに依存するため、粒径が大きくなることで、TCRの向上が可能となっているため、必ずしもルチル構造でなかったとしても、高いTCRを得ることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかるボロメータ方式の赤外線センサの断面構成を示す図である。 図1に示す赤外線センサの製造工程を示した断面図である。 VO2膜2の成膜時における下地基板となるTiO2層1の温度(成膜温度)に対するVO2膜2のTCRの関係を調べた結果を示す図である。 成膜温度を変えてTiO2層1の表面にVO2膜2を成膜し、成膜温度に対するVO2膜2の抵抗値(Ω)との関係を調べた結果を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかるボロメータ方式の赤外線センサの断面構成を示す図である。 図5に示す赤外線センサの製造工程を示した断面図である。 VO2膜2の成膜時における下地基板となるTiO2層1の温度(成膜温度)に対するVO2膜2のTCRの関係を調べた結果を示す図である。 成膜温度を変えてTiO2層1の表面にVO2膜2を成膜し、成膜温度に対するVO2膜2の抵抗値(Ω)との関係を調べた結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる赤外線センサについて説明する。まず、図1を参照して、本実施形態のボロメータ方式の赤外線センサの構造について説明する。
図1に示すように、下地絶縁膜となるチタン酸化層(以下、TiO2膜という)1の上に抵抗体膜となるVO2膜2が形成されている。TiO2層1は、TiO2(001)基板をパターニングすることによって構成されたものであり、この上にVO2膜2がエピタキシャル成長によって形成されている。TiO2層1は結晶構造としてルチル構造を有しており、その上に同じルチル構造をとるVO2膜2が形成されている。
これらTiO2層1およびVO2膜2の周囲、具体的にはTiO2層1のうちVO2膜2と反対側となる裏面側以外はVO2膜2およびパッシベーション膜3によって覆われている。そして、VO2膜2については、その両端がパッシベーション膜3に形成された配線層4と電気的に接続されている。なお、TiO2層1およびVO2膜2については、上面形状が単純な四角形状などであっても良いが、得たい抵抗特性に応じて適宜パターニングされた形状とされていても良い。
パッシベーション膜3はシリコン酸化膜(SiO2膜)などの絶縁膜によって構成されており、TiO2層1およびVO2膜2の側面および上面を覆っている。このパッシベーション膜3にコンタクトホール3aが形成されており、パッシベーション膜3の表面に形成された配線層4がコンタクトホール3aを通じてVO2膜2と電気的に接続されている。
配線層4は、例えばアルミニウム(Al)配線などによって構成され、VO2膜2の両端に接続され、VO2膜2の抵抗値変化を外部に出力するために用いられる。
また、配線層4を覆うように例えばシリコン窒化膜(SiN膜)にて構成される保護膜5が成膜されている。保護膜5には配線層4の一部を露出させる開口部5aが形成されており、この開口部5aから露出させられた配線層4がパッド部4aとして用いられ、図示しないボンディングワイヤなどと電気的に接続される。
そして、この保護膜5の表面上において、赤外線吸収膜6が形成されている。赤外線吸収膜は、例えばカーボンペーストやシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜の多層膜などによって構成され、赤外線の照射強度に応じて赤外線を吸収し、その吸収量に応じて温度変化する。この赤外線吸収膜6の温度がVO2膜2に伝わり、赤外線吸収膜6の温度変化がVO2膜2の抵抗値変化として現れることで、配線層4を通じて赤外線の照射強度を表す信号を外部に取り出すことが可能となっている。このように、赤外線吸収膜やその下方に位置するTiO2層1およびVO2膜2が配置された部分がセンサ部として機能する。
一方、TiO2層1の裏面側、つまりVO2膜2と反対側において、TiO2層1を露出させるように、パッシベーション膜3に支持基板7が貼り付けられている。支持基板7は、例えばシリコン基板によって構成されており、TiO2層1と対応する位置が貫通させられて開口部とされることでTiO2層1を露出させている。これにより、支持基板7の上方の構成要素のうちのセンサ部として機能する部分が薄膜のメンブレンとされている。また、支持基板7のうちのTiO2層1と反対側の表面には、シリコン窒化膜などによって構成された保護マスク8が配置されている。保護マスク8も、支持基板7と同様に、TiO2層1と対応する位置が除去されており、TiO2層1を露出させている。
なお、支持基板7が除去された部分は、空気が充填もしくは赤外線センサを図示しない真空容器内に配置することで真空状態とされ、TiO2層1から支持基板7への伝熱が抑制されるようにしてある。支持基板7とTiO2層1とは若干接触していても良いが、TiO2層1の断熱性を高めるために、支持基板7とは接触していない方が好ましい。
このような構成により、本実施形態にかかる赤外線センサが構成されている。このように構成される赤外線センサでは、センサ上部から赤外線が入射されると、それが赤外線吸収膜6に吸収され、赤外線吸収膜6の温度が上昇し、TiO2層1およびVO2膜2を含めたセンサ部の温度が上昇する。一方、配線層4を介してVO2膜2に直流電圧が与えられており、センサ部の温度上昇に伴ってTiO2層1およびVO2膜2の抵抗値が変化することから、それが電流変化として検出される。これにより、赤外線の照射強度を検出することが可能となる。なお、ここでは詳細については図示していないが、赤外線センサにおいてはVO2膜2の高いTCRを得るために、一定温度駆動(マイクロヒータ制御)を行うのが好ましい。このため、センサ部の近傍にマイクロヒータを備えることで、より高いTCRを得ることができる。
続いて、本実施形態にかかる赤外線センサの製造方法について、図2を参照しながら説明する。
〔図2(a)に示す工程〕
まず、TiO2層1を構成するTiO2(001)基板を用意する。TiO2(001)基板は、結晶構造としてルチル構造を有している。このTiO2(001)基板の表面に同じルチル構造を有するVO2膜2を形成する。例えば、VO2膜2をパルスレーザ堆積法によって成膜することができる。パルスレーザ堆積法による場合、例えば焼結によってV25ターゲットを生成しておき、TiO2(001)基板と共にV25ターゲットを真空チャンバー内に設置する。そして、レーザ照射によってターゲットを昇華させ、TiO2(001)基板上にVO2膜2を蒸着させる。このとき、基板温度を400℃以下、例えば300℃とし、真空チャンバ内を1.33Pa(=10mTorr)の酸素雰囲気として、レーザ照射によってV25ターゲットをアブレーションしてVO2膜2を成膜する。
このとき、赤外線センサが接続される回路とマッチングする抵抗値(例えば10k〜100kΩ)となるようにVO2膜2の膜厚制御を行う。例えば、VO2膜2の成膜を330℃で行う場合、VO2膜2を6〜12nmの膜厚で形成すると、所望の抵抗値(例えば10k〜100kΩ)が得られた。
このように、パルスレーザ堆積法などによって、VO2膜2を成膜することができる。パルスレーザ堆積法によってVO2膜2を成膜する場合、組成制御が容易であるし、高融点材料の成膜を容易に行うことが可能となる。このときのVO2膜2の結晶構造は、基本的には下地基板となるTiO2層1の結晶構造が引き継がれることになるため、TiO2層1と同じになる。すなわち、単結晶で構成されるTiO2(001)基板の結晶構造が引き継がれ、VO2膜2も単結晶となる。
〔図2(b)に示す工程〕
表面側にVO2膜2を成膜したTiO2層1を必要に応じてスマートカット法などによって所定厚さに加工したのち、シリコン基板などによって構成される支持基板7に貼り合せる。そして、図示しないマスクを用いてTiO2層1およびVO2膜2をパターニングし、所望位置にのみ残す。
〔図2(c)に示す工程〕
パターニング後のTiO2層1およびVO2膜2を覆うように、支持基板7の上面にシリコン酸化膜などの絶縁膜で構成されるパッシベーション膜3を成膜する。
〔図2(d)に示す工程〕
図示しないマスクを用いて、パッシベーション膜3の所望位置、具体的にはVO2膜2の両端と対応する位置をエッチングし、VO2膜2の両端位置を露出させる。そして、アルミニウムなどの配線材料を成膜したのち、これをパターニングすることで配線層4を形成する。
この後の工程については図示しないが、次のような各種工程を行っている。すなわち、配線層4の表面を覆うようにシリコン窒化膜などからなる保護膜5を形成した後、これをパターニングして開口部5aを形成する。また、支持基板7を裏面研削・研磨して薄肉化した後、支持基板7の裏面にシリコン窒化膜などによって構成される保護マスク8を成膜する。さらに、保護マスク8をパターニングしてTiO2層1およびVO2膜2の形成位置と対応する部分を開口させたのち、保護マスク8をマスクとしたウェットエッチングを行うことで支持基板7のうちTiO2層1およびVO2膜2の形成位置と対応する部分を除去する。そして、保護膜5の表面にカーボンペーストなどによる赤外線吸収膜6を形成した後、これをパターニングして所望位置に残す。このようにして、図1に示す赤外線センサが完成する。
このようにして製造した赤外線センサのVO2膜2について、TCRを測定したところ、TCR>100%という大きなTCRを得ることができた。これは、ルチル構造となるVO2膜2を同じルチル構造を有するTiO2層1の表面に形成していることから、VO2膜2の結晶性を向上させられたためと考えられる。
具体的に、VO2膜2の成膜時における下地基板となるTiO2層1の温度(成膜温度)に対するVO2膜2のTCRの関係について調べたところ、図3に示す結果が得られた。この図に示されるように、成膜温度が400℃以下において、100%以上となる高いTCRが得られており、特に、成膜温度が330℃のときにTCRが662%という最大値を得ることができることが確認された。成膜温度が330℃を超えるとTCRが徐々に低下し、400℃を超えるとTCRが100%以下となって特性が悪化するが、少なくとも400℃以下の温度においてはTCRが100%以上となっていた。成膜温度が高くなるに連れてTCRが低下しているのは、下地基板となるTiO2層1からTi元素がVO2膜2に拡散するためであり、この影響が比較的小さくなる400℃以下の成膜温度とすることで、高いTCRを確保することができる。
参考として、図3中に破線にて、従来のように下地基板として本実施形態のようなTiO2層1を用いていない場合には、成膜温度が高くなるほどVO2膜のTCRが大きくなる。しかしながら、400℃よりも高い成膜温度でないと高いTCRを得ることができない。したがって、本実施形態にかかる赤外線センサのように、VO2膜2の下地としてTiO2層1を用いることで、低い温度でVO2膜2を成膜しつつ高いTCRを得ることが可能となる。
また、成膜温度を変えてTiO2層1の表面にVO2膜2を7nm成膜し、成膜温度に対するVO2膜2の抵抗値(Ω)との関係について調べたところ、図4に示す結果が得られた。この図に示すように、300℃〜400℃においては、抵抗値が急峻に変化していて高いTCRが得られていることが分かり、500℃、600℃においては、抵抗値が緩やかに変化していて高いTCRが得られていないことが分かる。この結果からも、本実施形態にかかる赤外線センサのように、VO2膜2の下地としてTiO2層1を用いることで、低い温度でVO2膜2を成膜しつつ高いTCRを得ることが可能となることが分かる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してVO2膜2の下地基板の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上記第1実施形態では、VO2膜2の下地基板としてTiO2層1を構成するTiO2(001)基板を用いていたが、本実施形態では、一般的に半導体材料として用いられているシリコン基板を利用して、VO2膜2を成膜する。
図5に示すように、シリコン基板にて構成される支持基板7の表面に絶縁膜としてシリコン酸化膜10が形成されている。そして、このシリコン酸化膜10の上に、TiO2層1が形成され、さらにその上にVO2膜2、パッシベーション膜3、配線層4、保護膜5および赤外線吸収膜6が形成されている。つまり、VO2膜2を形成するための下地基板を支持基板7、シリコン酸化膜10およびTiO2層1にて構成し、これらの上に第1実施形態と同様の構造を形成している。
このような構成の赤外線センサの製造には、図6(a)に示すように、シリコン基板(例えばSi(100)基板)にて構成される支持基板7に対してシリコン酸化膜10をデポジションもしくは熱酸化等によって形成したSOI基板を用いる。そして、SOI基板におけるシリコン酸化膜10の上に、TiO2層1およびVO2膜2を順に成膜する。例えば、パルスレーザ堆積法によってTiO2層1およびVO2膜2を順に成膜することができる。
パルスレーザ堆積法による場合、例えば、焼結によってTiO2ターゲットを生成しておき、シリコン酸化膜10を形成しておいた支持基板7と共にTiO2ターゲットを真空チャンバ内に設置する。そして、レーザ照射によってターゲットを昇華させ、シリコン酸化膜10上にTiO2層1を蒸着させる。このとき、シリコン酸化膜10を形成しておいた支持基板7を300℃以上、特に400℃程度で加熱し、真空チャンバ内を1.33Pa(=10mTorr)の酸素雰囲気として、レーザ照射によってTiO2ターゲットをアブレーションしてTiO2層1を成膜する。
その後、基板温度を400℃以下、例えば300℃とし、第1実施形態と同様の手法によって、TiO2層1の上にVO2膜2を成膜する。
このようにして、TiO2層1およびVO2膜2を順に成膜することができる。このように形成されるTiO2層1およびVO2膜2は、シリコン酸化膜10の上に形成されることから、支持基板7としてシリコン基板を用いたとしても、その結晶の面方位の影響を受けることはない。また、シリコン酸化膜10の上に形成されるTiO2層1は多結晶膜となり、VO2膜2もその結晶性を引き継いで多結晶膜となるが、TiO2は低温(<400度)でも結晶粒径が40〜50nmをもつため、VO2もその結晶粒径を引き継いで結晶成長することでVO2膜2の結晶性を向上させることが可能となる。多結晶の場合のTCRは粒径サイズに依存するため、粒径が大きくなることで、TCRの向上が可能となっているため、必ずしもルチル構造でなかったとしても、高いTCRを得ることができる。
この後は、図6(b)〜(d)に示す工程などにおいて、第1実施形態における図2(b)に示したTiO2層1およびVO2膜2のパターニング工程以降の各工程を行うことで、図5に示した本実施形態にかかる赤外線センサを製造することができる。
以上説明したように、TiO2(001)基板ではなく、SOI基板を用いてTiO2層1を成膜することもできる。これにより、半導体プロセスとして一般的に用いられているSOI基板を用いて本実施形態にかかる赤外線センサを製造できるため、より汎用性を持たせることが可能となる。
また、本実施形態にかかる赤外線センサについても、図3と同様に、VO2膜2の成膜時における下地基板となる支持基板7やTiO2層1などの温度(成膜温度)に対するVO2膜2のTCRの関係について調べたところ、図7に示す結果が得られた。この図に示されるように、成膜温度が400℃以下において、40%以上となる高いTCRが得られた。例えば、実験により、400℃でTiO2層1を80nm成膜したものの上に、330℃でVO2膜2を40nm成膜したときには、VO2膜2のTCRが60%以上という高い値となることが確認された。成膜温度が400℃を超えるとTCRが徐々に低下し特性が悪化するが、少なくとも400℃以下の温度においてはTCRが40%以上となっていた。成膜温度が高くなるに連れてTCRが低下しているのは、下地基板となるTiO2層1からTi元素がVO2膜2に拡散するためであり、この影響が比較的小さくなる400℃以下の成膜温度とすることで、高いTCRを確保することができる。
さらに、本実施形態にかかる赤外線センサについても、図4と同様に、成膜温度を変えてTiO2層1の表面にVO2膜2を7nmし、成膜温度に対するVO2膜2の抵抗値(Ω)との関係について調べたところ、図8に示す結果が得られた。この図に示すように、シリコン酸化膜(SiO2膜)10の上にVO2膜2を直接形成したとすると、330℃程度の成膜温度では抵抗値が急峻に変化するような高いTCRを得ることができなかった。この場合には、500℃程度まで成膜温度を上げると高いTCRが得られた。これに対して、シリコン酸化膜10の上にTiO2膜1を形成してからVO2膜2を形成すると、330℃の成膜温度でも高いTCRが得られた。この結果からも、本実施形態にかかる赤外線センサのように、VO2膜2の下地としてTiO2層1を用いることで、低い温度でVO2膜2を成膜しつつ高いTCRを得ることが可能となることが分かる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、抵抗温度係数を有する抵抗体膜としてVO2膜2を用いているが、必ずしもVO2のみによって構成されている必要はない。すなわち、VO2を主成分としていれば良く、例えばクロム(Cr)やニオブ(Nb)などの他の元素がドーピングされた膜であっても良い。
また、上記実施形態では、VO2膜2の結晶性を良好にするためのルチル構造を有する下地膜が望ましく、一例としてTiO2層1を例に挙げたが、それ以外のルチル構造を有する膜、例えばMnO2、PbO2、SnO2、MgF2を用いても良い。また、低温で結晶サイズが大きくなるような材料でもVO2の粒径サイズを大きくする効果があることから、ZnO等を下地材料に用いても良い。
1 TiO2
2 VO2
3 パッシベーション膜
4 配線層
5 保護膜
6 赤外線吸収膜
7 支持基板
8 保護マスク
10 シリコン酸化膜

Claims (3)

  1. 多結晶からなる下地絶縁膜(1)と、
    前記下地絶縁膜の表面に形成された抵抗体膜となる多結晶からなるVO膜(2)と、
    前記VO膜に電気的に接続される配線層(4)と、
    照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)と、を有し、
    前記下地絶縁膜がTiO膜であり、
    前記TiO膜の結晶粒径が40nm〜50nmであり、
    前記VO 膜の結晶粒径が40nm〜50nmであり、
    前記赤外線吸収膜の温度変化に伴って前記VO膜の抵抗値が変化し、該抵抗値の変化を前記配線層より赤外線の照射強度を表す信号として取り出すことを特徴とするボロメータ方式の赤外線センサ。
  2. 多結晶からなる下地絶縁膜(1)を用意する工程と、
    400℃以下の温度で、前記下地絶縁膜の表面にエピタキシャル成長によって抵抗体膜となるVO膜(2)を成膜する工程と、
    前記下地絶縁膜および前記VO膜をパターニングする工程と、
    前記パターニング後の前記下地絶縁膜および前記VO膜を覆うパッシベーション膜(3)を成膜する工程と、
    前記パッシベーション膜にコンタクトホール(3a)を形成したのち、該コンタクトホールを通じて前記VO膜に電気的に接続される配線層(4)を形成する工程と、
    前記パッシベーション膜および前記配線層の上に、照射される赤外線を吸収して温度変化を生じる赤外線吸収膜(6)を形成する工程と、を含み、
    前記下地絶縁膜を用意する工程においては、支持基板(7)の上に絶縁膜(10)を形成したものの該絶縁膜の上に、前記下地絶縁膜としてTiOを真空チャンバ内で成膜する工程を行うことを特徴とするボロメータ方式の赤外線センサの製造方法。
  3. 前記TiOを成膜することにおいては、前記支持基板の温度を400℃以下とし、ルチル構造とされたものを含んだ多結晶、かつ結晶粒径が40nm〜50nmである前記TiOを成膜する請求項に記載のボロメータ方式の赤外線センサの製造方法。
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