JP3580215B2 - 赤外線検知素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線検知素子に関し、特に赤外線検知素子を複数個2次元上に並べて2次元画像センサとして利用することを目的としており、さらに詳しくは赤外線の入射光を吸収することにより温度変化し、その温度変化によって抵抗値が変化する材料を用いて赤外線の放射強度の信号を読み出す方式の非冷却赤外線検知素子の特性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤外線検出器としては、ボロメーター方式などの熱型検出器と量子(フォトン)型検出器がある。量子(フォトン)型検出器は、ダーク電流に起因したノイズを低下させるために液体窒素温度近くまで冷却しなければ、検出感度を高められない。一方、ボロメーター方式の赤外線検出器は素子の冷却が不要であり、コストの低減、機器の簡素化および小型化、携帯用途において大変有利である。
【0003】
ボロメーター方式の赤外線検出器は、入射した赤外線を受光部が吸収することにより受光部の温度を変化させ、この受光部に配置した材料の温度変化による抵抗値変化から該赤外線の放射強度を電気信号として検出するものである。したがって、抵抗変化の温度依存性(抵抗温度係数;TCR)が大きいほど、検出感度が高くなる。ボロメーター方式で非冷却赤外線検出器に用いられている、すなわち室温で赤外線を吸収して温度変化することで抵抗値が変化するボロメーター薄膜としては、従来、半導体材料であるSi,Ge,V薄膜が用いられていた。しかしながら、SiのTCRは、1.5%/deg.程度と小さく、また比較的感度の高いVO薄膜の場合にも室温におけるTCRは2.0%/deg.程度である。
【0004】
図5は、VO薄膜をボロメーター用薄膜とした赤外線検知素子の一構成例で、特許第2655101号公報に記載のものである。赤外線検知素子の受光部108には、赤外線を反射させる金属反射板102を設けたシリコン基板101の上に、SiO層の構造体104によって熱絶縁の為の空隙103が形成され、そのSiO層の構造体104上の両端部にTi電極105が設けられている。さらに、Ti電極105の一部分およびSiO層の一部分をまたがって、ボロメーター用薄膜106が設けられている。ボロメーター用薄膜106は、赤外線を吸収して温度が変わり、その温度変化により抵抗値が変わる性質を有する。Ti電極105は読み出し回路に接続されており、Ti電極105を介してボロメーター用薄膜106に電流を流し、抵抗値を読み出すようになっている。また、受光部108の最外層には、保護膜107がコーティングされている。
【0005】
非冷却赤外線検知素子を高感度化するには、ボロメーター用薄膜の性能向上が必要であり、室温でのTCRが2.5%/deg.以上、望ましくは3.0%/deg.以上に向上させる必要がある。最近、TCRの高い材料として、La1−xSrMnO(0<x<1)というペロブスカイト型Mn酸化物をボロメーター膜として用いた赤外線センサが報告されている。La1−xSrMnOのTCRは、0℃以下では3.0%/deg.を越え、室温では2.5%/deg.程度である。この技術に関しては、特開平10−163510号公報に記載されている。
また、本発明の発明者らは、室温でのTCR が高いBi1−xMnO(0≦x<1、Aは希土類もしくはアルカリ土類から選択された1種以上の金属) またはSm1−xMnO(元素AはSmを除く希土類金属、0≦x<1)またはNd1−xMnO(元素AはNdを除く希土類金属、0≦x<1)というペロブスカイト型Mn酸化物を用いた赤外線センサをすでに提案している。これらの室温でのTCRは、3.0%/deg.以上4.0%/deg.以下のものが得られている。この技術に関しては、特開平10−307324号公報に記載されている。
このようにペロブスカイト型Mn酸化物は室温でのTCRが高いため、ボロメーター用薄膜に適用することで、非冷却赤外線検知素子の高感度化をはかることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
赤外線検知素子において電極層用もしくは、ボロメーター用薄膜と電極層を介して読み出し回路とを連結する配線層用の材料として、Ti、Al、もしくはTiNなどの卑金属または化合物などが用いられているが、これらは、酸化性雰囲気で400℃を越える熱処理によって、酸化しやすい性質がある。一方、ボロメーター用薄膜を形成する工程が、配線層および電極層を形成した工程の後にある方が、配線層および電極層を形成する前にあるよりも、配線層と読み出し回路とを連結する工程が簡単になるという製造工程上のメリットがある。このため、配線層および電極層を形成した後、ボロメーター用薄膜を形成する必要がある。
【0007】
しかしながら、ペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とする薄膜を形成するには、酸化性雰囲気において基板温度が400℃以上、組成によっては500℃を越える熱処理が必要となる。Bi1−xMnOが主成分になっているボロメーター用薄膜は、基板温度が500℃以下であっても、Biが蒸発しやすく、Bi蒸気となって、電極層を腐食し、剥離させることがある。
【0008】
さらに、基板温度が450℃を越えると電極層と配線層、または、電極層とボロメーター用薄膜層との接触抵抗が次第に高くなる傾向が見られた。
前述したような電極と配線材料との密着性が悪かったり、接触抵抗の高抵抗化は、画素ノイズの原因となり、赤外線検出器の感度を低下させることにつながっている。
【0009】
本発明は、このような問題点を解消する為になされたもので、電極層に化学的に安定であり、しかも配線層およびボロメーター用薄膜層との密着力が高い材料を適用することで、配線層および電極層を形成する工程の後に、抵抗温度係数が高いペロブスカイト型Mn酸化物薄膜を形成するようにし、簡便な製造工程によって高感度の赤外線検知素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る赤外線検知素子は、赤外線の吸収によりもたらされた温度変化を抵抗値で検知するボロメーター方式の赤外線検知素子が、Si基板上に空隙部を介して積層されているSiO2層上の一部分に積層されている配線層、配線層の一部分およびSiO2層の一部分にまたがって積層されている少なくともイリジウム層を有する複数層よりなる電極部、および電極層の一部分およびSiO2層の一部分にまたがって積層されているペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とするボロメーター用薄膜を備えるものである
ここで、ペロブスカイト型マンガン酸化物を Bi 1-x A x MnO 3 (元素 A は希土類金属もしくはアルカリ土類金属のいずれかより1種以上の元素、 0 x 1 )、または Sm 1-x A x MnO 3 (元素 A Sm を除く希土類金属、 0 x 1 )または Nd 1-x A x MnO 3 (元素 A Nd を除く希土類金属、 0 x 1 )と規程する。
【0012】
また、電極部をチタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層およびイリジウム層の複数層で構成し、チタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層を配線層の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層し、その上にイリジウム層を積層する。
【0013】
さらに、電極部をチタン層またはクロム層のうちいずれか1種以上の金属層、イリジウム層、および酸化イリジウム層もしくはPt層の複数層で構成し、チタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層を配線層の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層し、その上にイリジウム層を積層し、さらにその上に酸化イリジウム層もしくはPt層を積層する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の赤外線検知素子について具体的な実施の形態を示して詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の赤外線検知素子の構成例である。赤外線検知素子の受光部8には、シリコン基板1の上に、SiO構造体11によって熱絶縁のための空隙部3を形成し、そのSiO構造体11の上部に両端部に電極部5を設けている。さらに、電極部5の一部分およびSiO層の一部分をまたがってボロメーター薄膜6が配置している。ボロメーター用薄膜6は、赤外線を吸収して温度が変わり、その温度変化により抵抗値が変わる性質を有している。電極部5は、SiO構造体11の支持脚を伝って基板1まで配した配線層14に電気的に接続し、配線14からバイアス電圧を印加して信号を検出する。さらに、配線層14は、読み出し回路に接続されている。尚、空隙部3は、予め犠牲層としてSi層を積層し、基板よりボロメーター用薄膜まで順次積層した後、犠牲層をエッチングにより除去して空洞化することで設けている。さらに、受光部8の最外層には、酸化シリコンによる保護膜7をコーティングして、ボロメーター薄膜6を保護している。
【0016】
このように、本発明の赤外線検知素子は、Si基板上に空隙部3を介して積層されているSiO層上の一部分に積層されている配線層、配線層の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層されている少なくともイリジウム層を有する電極部、および電極部の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層されているペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とするボロメーター用薄膜を備えている。
【0017】
図2は、図1中A部、すなわち電極部5の部分を拡大したものである。図2に示したように、電極部5は、配線層14に密着している電極層17およびボロメーター用薄膜と電極層17に挟まれている電極層16による2層構造となっている。各層の膜厚は、それぞれ500Åとした。電極層16/電極層17は、それぞれ実施例1および実施例2では、Ir/TiおよびIr/Cr、比較例1および比較例2では、Pt/TiおよびPt/Crとして、室温におけるアルゴンスパッタにて形成した。
【0018】
ボロメーター用薄膜であるBi0.5Sr0.3La0.2MnOの成膜は、後述するスパッタ法にて行った。初めに、複合酸化物ターゲットを用い、高純度酸素ガスの圧力を0.5Pa、基板温度を450℃に保持して、スパッタリングを行って、金属成分の比がBi:Sr:La:Mn=0.5:0.3:0.2である酸化物薄膜を形成した後、ガス圧を5Paとし、室温まで徐冷した。ボロメーター用薄膜に、図1に示した形状になるように、パターニングを施した。
【0019】
ボロメーター用薄膜をパターニングした段階で、読み出し回路につなぐ配線層の両端部に設けたパッド間がボロメーター用薄膜を介して、電気的に連結されているかどうかを調べるために、パッド間に3.5Vの電圧を印加して通電した。この結果、実施例1および実施例2のサンプルでは、正常な通電が確認された。比較例1および比較例2では、いずれもパッド間が高抵抗となっており、通電することができなかった。
【0020】
実施例1および実施例2のサンプルについては、引き続き、犠牲層を除去して空隙部3を設け、保護膜を形成し特性評価用サンプルとした。基板をホットプレートに張り付け、温度変化による抵抗値変化を測定し、TCRを求めた。この結果、実施例1および実施例2のサンプルのTCRは、室温(25℃)において、共に3.3%/Kと良好な値が得られた。
【0021】
一方、比較例のサンプルについては、電極部の部分についてオージェ電子分光分析装置を用いて深さ方向の元素分布を調べた。この結果、Ti層、Cr層に酸素が多く含まれ、酸化していることがわかった。材料としてIrおよびPtは、化学的に安定な貴金属であり、融点も高いため耐熱性を有していることが知られているが、薄膜デバイスの製造においては、上述したような両者の違いが顕著に現れることがわかり、このような違いを生じた原因は、Pt薄膜層が酸素を透過していることによると推定される。また、光学顕微鏡観察で、電極層17がTiよりもCrの方が酸化が著しいと見られ、剥離もしくは、膨れている部分が見られた。
【0022】
さらに、本発明者らは、電極層16がIrであって、電極層17が、Ta、Wo、Niである場合についても、実施例1および実施例2と同様な実験を行い、正常な通電を確認し、良好なTCR値が得られることを確認している。尚、本発明の電極層17は、実施例に記載した材料に限定されない。また、電極層17の材料を変えたものについて、ボロメーター用薄膜をパターニングしたものについて引っ掻き試験を行ったところ、電極層17がTiおよびCrでは、配線層と電極層との界面から剥離することがなく、密着性が良いことがわかった。
【0023】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2の赤外線検知素子の構成例である。図3より明らかなように、実施の形態1と同様にSi基板上に空隙部3を介して積層されているSiO層上の一部分に積層されている配線層、配線層の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層されている少なくともイリジウム層を有する複数層よりなる電極部、および電極部の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層されているペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とするボロメーター用薄膜を備えている。
【0024】
実施の形態2における電極層は、実施の形態1の図2に示したと同様な2層構造となっており、電極層16/電極層17は、Ir/Tiとした。また、実施の形態2における実施例3および実施例4のボロメーター用薄膜はSm0.6La0.4MnO およびNd0.8La0.2MnOを主成分とし、高純度酸素ガスを用い、520℃の基板温度でスパッタリングにより形成した。さらにボロメーター用薄膜層は、パターニングを行い図3に示す形状とした。
【0025】
次に、読み出し回路につなぐ配線層の両端部に設けたパッド間に3.5Vの電圧を印加して通電試験を行った。この結果、実施例3および実施例4のサンプルにおいて、正常な通電が確認されたため、引き続き、犠牲層を除去して空隙部3を設け、保護膜を形成した。抵抗−温度特性を測定した結果、実施例3および実施例4のサンプルのTCRは、室温(25℃)において、共に3.0%/Kと良好な値が得られた。
【0026】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3の赤外線検知素子の構成は、実施の形態1の図1に示したものと同様である。実施の形態3における電極部は、図4に示したような3層構造となっている。実施の形態3の実施例5および実施例6では、電極層18/電極層19/電極層20をそれぞれ、IrO/Ir/TiおよびPt/Ir/Tiとした。また、実施の形態3のボロメーター用薄膜は実施の形態1と同じBi0.5Sr0.3La0.2MnOを主成分とし、実施の形態1と同様に形成し、パターニングを行った。
【0027】
次に、実施例5および実施例6のサンプルについて、実施の形態1および実施の形態2と同様にパッド間に3.5Vの電圧を印加して通電試験を行ない、正常な通電が確認されたため、引き続き、犠牲層を除去して空隙部3を設け、保護膜を形成した。抵抗−温度特性を測定した結果、実施例5および実施例6のサンプルのTCRは、室温(25℃)において、共に3.3%/Kと良好な値が得られた。
【0028】
さらに、本発明者らは、実施例5および実施例6の電極層20をCrに変えた実験を行ったが、実施例5および実施例6と同様に、正常な通電が確認され、室温(25℃)おけるTCRが3%/Kを越える良好な結果が得られた。電極層18が、IrOの場合、電極層18を設けていない実施の形態1と比較して、スパッタ時の酸素分圧が低い条件でも安定して、ペロブスカイト型マンガン酸化物が得られるという効果が見いだされた。また、ボロメーター用薄膜をパターニングしたものについて引っ掻き試験を行ったところ、電極層18がPtの場合、電極層18を設けていない実施の形態1と比較して、ボロメーター用薄膜層と電極層との界面の密着性が向上しているという効果が見いだされた。さらに、電極層18がPtの場合、電極層18を設けていない実施の形態1と比較して、ペロブスカイト型マンガン酸化物の結晶の配向性が高まっていることがX線回折により確認され、そのことが、上述したような界面での密着性が向上したことに関与していると考えられる。電極層18の膜厚は、100Åから200Å以下で上述したような効果が見いだされた。
【0029】
尚、本発明の電極層17は、実施例に記載した材料に限定されない。また、電極層17の材料を変えたものについて、ボロメーター用薄膜をパターニングしたものについて引っ掻き試験を行ったところ、電極層17がTiおよびCrでは、配線層と電極層との界面から剥離することがなく、密着性が良いことがわかった。
【0030】
さらに、本発明者らは、実施例6の電極層18をAuに変えた実験を行ったが、実施例6と同様に、正常な通電が確認され、室温(25℃)おけるTCRが3%/Kに近いという良好な結果を得た。また、ボロメーター用薄膜をパターニングしたものの引っ掻き試験を行ったところ、ボロメーター用薄膜層自体の強度が向上していること、ペロブスカイト型マンガン酸化物の結晶の配向性が高まっていることなどを確認した。電極層の部分についてオージェ電子分光分析装置を用いて深さ方向の元素分布を調べたところ、Auはボロメーター用薄膜層に拡散し、電極層は、実施の形態1もしくは2と同じ2層構造になっていることがわかった。
このように、本発明においては、ボロメーター用薄膜層はペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分としているが、少量の添加物もしくは不純物が含まれていても、相乗的に本発明の効果を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、赤外線の吸収によりもたらされた温度変化を抵抗値で検知するボロメーター方式の本発明における赤外線検知素子は、Si基板上に空隙部を介して積層されているSiO2層上の一部分に積層されている配線層、配線層の一部分およびSiO2層の一部分にまたがって積層されている電極部、電極層の一部分およびSiO2層の一部分にまたがって積層されているボロメーター用薄膜とにより構成されており、さらに電極部が複数層よりなり且つ少なくともイリジウム層を有しているため、ペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とする薄膜を形成する際の酸化性雰囲気中の熱処理時において電極部およびその接触部分が腐食、変質、または剥離することがないため、TCRの高いペロブスカイト型マンガン酸化物によるボロメーター用薄膜を備えた高感度の赤外線検知素子を得ることができる
特に、電極部が複数層よりなり且つイリジウム層を有しているため、ボロメーター用薄膜であるペロブスカイト型マンガン酸化物として Bi 1-x A x MnO 3 (元素 A は希土類金属もしくはアルカリ土類金属のいずれかより1種以上の元素、 0 x 1 )、または Sm 1-x A x MnO 3 (元素 A Sm を除く希土類金属、 0 x 1 )または Nd 1-x A x MnO 3 (元素 A Nd を除く希土類金属、 0 x 1 )を採用することができ、室温以下での TCR 3%/K を越えるボロメーター用薄膜を備えた赤外線検知素子を得ることができる。
【0033】
本発明によれば、電極部をチタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層およびイリジウム層の複数層で構成し、チタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層を配線層の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層し、その上にイリジウム層を積層するため、電極部と配線層との密着性が高く、ペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とする薄膜を形成する際の酸化性雰囲気中の熱処理時において電極層およびその接触部分が腐食、変質、または剥離することがないため、TCRの高いペロブスカイト型マンガン酸化物によるボロメーター用薄膜を備えた高感度の赤外線検知素子を得ることができる。
【0034】
また本発明によれば、電極部をチタン層またはクロム層のうちいずれか1種以上の金属層、イリジウム層、および酸化イリジウム層もしくはPt層の複数層で構成し、チタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層を配線層の一部分およびSiO層の一部分にまたがって積層し、その上にイリジウム層を積層し、さらにその上に酸化イリジウム層もしくはPt層を積層するため、電極部と配線層との密着性が高く、さらに電極部とボロメーター薄膜層との密着性が高く、ペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とする薄膜を形成する際の酸化性雰囲気中の熱処理時において電極部およびその接触部分が腐食、変質、または剥離することがないため、TCRの高いペロブスカイト型マンガン酸化物によるボロメーター用薄膜を備えた高感度の赤外線検知素子を得ることができる。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、電極部に、化学的に安定で、しかも配線層およびボロメーター用薄膜層との密着力が高い材料を適用しているため、赤外線検知素子の製造上配線層および電極部を形成する工程の後に、抵抗温度係数が高いペロブスカイト型Mn酸化物薄膜を形成することが可能であるため、簡便な製造工程によって高感度の赤外線検知素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態1の赤外線検知素子における受光部の構造を示す断面説明図である。
【図2】本発明による実施の形態1の赤外線検知素子における電極層部の構造を示す断面説明図である。
【図3】本発明による実施の形態2の赤外線検知素子における受光部の構造を示す断面説明図である。
【図4】本発明による実施の形態3の赤外線検知素子における電極層部の構造を示す断面説明図である。
【図5】従来のVO薄膜をボロメーター用薄膜とした赤外線検知素子における受光部の構造を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 Si基板、 3 空隙部、 5 電極部、
6 ボロメーター用薄膜、 7 保護膜、 8 受光部、
11 SiO層、 14 配線、
16 電極層(イリジウム層)、17 電極層(チタン層もしくはクロム層)、
18 電極層(IrO層もしくはPt層)、 19 電極層(イリジウム層)、
20 電極層(チタン層もしくはクロム層)。

Claims (3)

  1. 赤外線の吸収による温度変化を抵抗値で検知するボロメーター方式の赤外線検知素子において、Si基板上に空隙部を介して積層されているSiO2層、該SiO2層上の一部分に積層されている配線層、該配線層の一部分および前記SiO2層の一部分にまたがって積層されている少なくともイリジウム層を有する複数層よりなる電極部、および該電極部の一部分および前記SiO2層の一部分にまたがって積層されている Bi 1-x A x MnO 3 (元素 A は希土類金属もしくはアルカリ土類金属のいずれかより1種以上の元素、 0 x 1 )、または Sm 1-x A x MnO 3 (元素 A Sm を除く希土類金属、 0 x 1 )または Nd 1-x A x MnO 3 (元素 A Nd を除く希土類金属、 0 x 1 )であるペロブスカイト型マンガン酸化物を主成分とするボロメーター用薄膜を備え、該ボロメーター用薄膜に前記電極部からバイアス電流を流して信号を読み出すことを特徴とする赤外線検知素子。
  2. 電極部がチタンまたはクロムのうちいずれか1種以上の金属層およびイリジウム層よりなり、前記金属層が配線層の一部分およびSiO2層の一部分にまたがって積層されており、その上に前記イリジウム層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の赤外線検知素子。
  3. 電極部がチタン層またはクロム層のうちいずれか1種以上の金属層、イリジウム層、および酸化イリジウム層もしくはPt層よりなり、前記金属層が配線層の一部分およびSiO2層の一部分にまたがって積層され、その上に前記イリジウム層が積層され、さらにその上に前記酸化イリジウム層もしくはPt層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の赤外線検知素子
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