以下、本発明に係る樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下では、ワークとして例えば外径が10mmから30mm程度の小型の板状ワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置を用いて説明する。尚、樹脂モールド装置は一例として下型を固定型、上型を可動型として説明するものとする。また、樹脂モールド装置は、型開閉機構を備えているが図示を省略するものとしモールド金型の周囲の構成を中心に説明する。
図1において、ワーク1としては、例えば、リードフレーム、基板、半導体ウェハ、ガラスや金属性のキャリアプレート、又は、放熱やシールド機能を有する板部材など種々のものが用いられる。ワーク1は、例えば図1の紙面手前側若しくは紙面奥側に配置されたワーク供給部(図示せず)からワーク搬送装置2によって樹脂供給部3へ搬送される。 ワーク搬送装置2は、装置筐体において後述する樹脂供給部3と樹脂モールド部16の中央位置に配置され、チャックハンド2aを回転軸2bを中心に回転可能に備え、ワーク1を掴んで樹脂供給部3へ所定量回転して搬送する。ワーク搬送装置2は、装置筐体において後述する樹脂供給部3と樹脂モールド部16中央位置に配置され、装置ベース部4の下方に配置されたワーク搬送駆動機構5(モータ、ソレノイド等)によってチャックハンド2aの開閉動作及び回転動作が行われる。また、この樹脂モールド装置は、例えば図1に示すような直方体形状の筐体内に配置された装置各部に対して紙面手前側には開閉可能とし外気と遮断するメンテナンス扉(図10図番100a参照)を有する。このメンテナンス扉を開放することで、図1に示す各部のメンテナンスが可能となっている。
樹脂供給部3には、装置ベース部4上にステージ6が設けられている。このステージ6の下方から、受け取り爪7aが昇降可能に設けられている。受け取り爪7aは、装置ベース部4の下方に配置された爪昇降用シリンダ7によってワーク1をチャックハンド2aより受け渡されてステージ6の上方位置まで上昇する。ステージ6の上方には、ディスペンサ8が設けられている。ディスペンサ8は、受け取り爪7に支持されたワーク1に対して所定量の液状樹脂を供給する。なお、ディスペンサ8によってチャックハンド2aに保持されたワーク1に樹脂を直接供給してもよい。また、液状樹脂に代えて顆粒状樹脂、固形樹脂、シート樹脂等を供給してもよい。
ディスペンサ8の概略構成について説明する。背板9の長手方向(上下方向)に沿って直動レール10が設けられている。直動レール10には直動ガイド11を介して可動体12が昇降可能に設けられている。可動体12内には図示しないシリンジが設けられている。可動体12には、放熱フィン13が一体に設けられている。放熱フィン13はシリンジ内に充填された液状樹脂を冷却するために設けられている。可動体12は、装置ベース部4の下方に配置された可動体昇降用シリンダ14を作動させることによって直動ガイド13を介して直動レール10に沿って昇降する。可動体12の上方にはディスペンサ駆動部15が設けられている。ディスペンサ駆動部14が設けられている。ディスペンサ駆動部15には、吐出プッシャ15aが昇降可能に設けられており、シリンジ内に進入して液状樹脂をノズルから吐出させる。受け取り爪7aによりステージ6より上方に支持されたワーク1に、可動体昇降用シリンダ14によって可動体12を移動させて図示しないシリンジのノズルを近づける。そして、ディスペンサ駆動部15によって吐出プッシャ15aを下降させてワーク1に液状樹脂を供給する。樹脂を供給されたワーク1は、受け取り爪7aが下降することで、チャックハンド2aに受け渡される。チャックハンド2aは、ワーク1を掴んだまま180°回転して型開きしたモールド金型へ搬入する。
[第1実施例]
次に、樹脂モールド部16の構成について説明する。モールド金型17は圧縮成形用の金型が用いられる。モールド金型17は、ワークを支持する下型18(第1金型)とキャビティ凹部19a(図2(A)参照)を形成する上型19(第2金型)とを有している。モールド金型17は、ワーク1及びモールド樹脂R(図2(B)参照)をクランプして圧縮成形により樹脂モールドする。上型19は、図1に示すように、紙面後方に配置された駆動機構によりタイバーにより案内すること無く片持ち構造で昇降させている。この上型19の駆動機構は、一例として駆動源としてのサーボモータや直動案内機構としてのリニアガイドなどを併用して実現することもできるし、油圧機構のような流体圧機構によって駆動させてもよい。
上型19には、ロール状に巻き取られて保持された長尺のフィルムFの一部がキャビティ凹部19aを含む上型クランプ面を覆って吸着保持される。フィルムFは、耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するもの、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEPフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリジン等を主成分とした単層膜又は複層膜が好適に用いられる。
長尺のフィルムFは、フィルム搬送機構20によってモールド金型17を通過して搬送される。具体的には、予め未使用フィルムFが巻き回された送り出しロール20aより送り出され、モールド金型17(上型19)を経て、巻き取りロール20bに使用済フィルムFが巻き取られるように搬送される。送り出しロール20aには、第1駆動モータ20c(例えばトルクモータ;第1駆動源)が巻き芯部に接続されており、送り出しロール20aを正逆回転駆動することが可能になっている。また、巻き取りロール20bには、第2駆動モータ20d(例えばパルスモータ;第2駆動源)が巻き芯部に接続されており、巻き取りロール20bを正逆回転駆動することが可能になっている。このような構成により、長尺のフィルムFの一端側に接続されるトルクモータと他端側に接続されるパルスモータとによって、任意のフィルムの張力に調整しながら任意の巻き取り量に調整することを簡易な装置及び制御で安価に実現でき、更にフィルム搬送機構20の小型化も可能である。もちろん、これらのモータ20c,20dは、成形の仕様などによって上述のモータに替えてサーボモータなど他のモータを用いることもできる。
上型19の側方には、一対の上型ガイドローラ20e,20fが設けられている。一対の上型ガイドローラ20e,20fは、フィルム搬送機構20により搬送されるフィルムFを上型19のフィルム搬送方向上流側及び下流側でクランプ面に対して平行に案内する。このため、送り出しロール20a側の上型ガイドローラ20eはその下側位置でフィルムFを保持し、巻き取りロール20b側の上型ガイドローラ20fはその上側位置でフィルムFを保持する構成となっている。換言すれば、上型ガイドローラ20eの下端位置は、上型ガイドローラ20fの上端位置とはほぼ同等の位置に保持される。このような構成とすることにより、一対の上型ガイドローラ20e,20fだけでクランプ面に対してフィルムFを平行に案内することができる。
一対の上型ガイドローラ20e,20fは、例えば上型18と一体に保持されたローラ軸が昇降するようになっている。なお、一対の上型ガイドローラ20e,20fは、上型18と別体に保持し、金型の動作に同期して昇降させてもよい。また、送り出しロール20aと上型ガイドローラ20eとの間には中継ローラ20gが任意の位置に固定的に設けられている。尚、中継ローラ20gは、型閉じする際に上昇し、型開きする際に下降するように移動させてもよい。この中継ローラ20gは、フィルムFを上型クランプ面に沿って平坦な状態で供給するために設けられている。
具体的には、この樹脂モールド装置では、設置面積を極力小さくするために装置各部が近接して配置されており、これらを避けて上型18から上方に離間して配置された送り出しロール20aからフィルムFが送り出される。このとき、フィルムFは任意の張力が付与された状態で長い距離を送り出されるため、フィルムFは断面形状で弧状に歪んだ状態となってしまうことがある。このため、フィルムFが歪んだ状態のままで上型クランプ面に供給されてしまい、上型クランプ面にフィルムFを平坦な状態で供給することが困難になる場合がある。これに対して、中継ローラ20gによってフィルムFの歪みを矯正したうえで上型ガイドローラ20eを介して上型クランプ面に供給すれば、フィルムFを平坦な状態で上型クランプ面に供給することができる。このように、中継ローラ20gは、配置することが好ましいが、フィルムFの搬送状態によっては必ずしも設ける必要はない。
ロール状に巻き取られた長尺のフィルムFは、モールド金型17の型開閉方向一方側(上型19側)に設けられた送り出しロール20aから送り出され、中継ローラ20gを経て上型ガイドローラ20eによって上型クランプ面に沿って案内され、モールド金型17の型開閉方向他方側(下型18側)の下方に設けられた巻き取りロール20bに巻き取られるように搬送される。これにより、モールド金型17と巻き取りロール20bとを重複して配置することができ、設置面積を低減した樹脂モールド装置とすることができる。また、使用済みのフィルムFを下型18の下方に巻き取らせる構成とすることで、使用後のフィルムに付着した樹脂分が落下してワーク1や下型18の上が汚されてしまうことはない。
また、長尺のフィルムFが例えば図1の紙面手前側に配置されたメンテナンス扉(図示せず)に対してその端面が向けられた状態でモールド金型17に搬送するフィルム搬送機構20の送り出しロール20aと巻き取りロール20bに巻き取り可能に配置されているため、フィルムFに対し容易にアクセス可能としてフィルムFのセットや交換などのメンテナンスを簡易化することができる。また、フィルムアシストモールドを行うことで、成形品質が向上するうえに金型メンテナンスも簡略化することができる。
第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dは、モールド金型17の型開閉動作に伴って所定量所定方向に正逆回転駆動され、一対の上型ガイドローラ20e,20f間に架設されるフィルムFの弛み分を除去する。なお、以下の説明においては、送り出しロール20aからのフィルムFの送り出し方向への回転を正回転とし、この回転の逆方向への回転を逆回転とする。
具体的には、型閉じする際には、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dを正回転駆動させてフィルムFの任意の位置が上型19に面するように当該フィルムFを送り出しロール20aから巻き取りロール20bへ巻き取らせて弛み分を除去する。また、型開きする際には、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dを逆回転駆動させてフィルムFを巻き取りロール20bから巻き戻し、送り出しロール20aに巻き取らせて弛み分を除去することができる。従って、型開閉動作によりフィルムFに必要以上にテンションが作用して当該フィルムFが伸びたり破損したりするのを防ぐことができる。
モールド金型17の一例について図2(A)を参照して説明する。下型18のクランプ面には環状のシール材18a(例えばOリング)が設けられている。シール材18aに囲まれた下型クランプ面には、エア吸引口が開口する下型エア吸引回路18bが設けられている。下型エア吸引回路18bは、図示しない真空吸引装置に接続されている。また、上型19には、環状の可動クランパ19bがシール材18aと対向配置されている。可動クランパ19bは、コイルばね19cにより上型19に吊り下げ支持されている。可動クランパ19bの下端面は上型19の下端面より下方に突出しており、可動クランパ19bの内周壁とこれに囲まれた上型19の内底部によりキャビティ凹部19aが形成される。また、可動クランパ19bに囲まれた上型クランプ面には、エア吸引口が開口する上型エア吸引回路19dが設けられている。上型エア吸引回路19dは、図示しない真空吸引装置に接続されている。
上型エア吸引回路19d及び下型エア吸引回路18bは、例えばモールド金型17が型閉じ動作を開始する前から吸引動作を開始する。これによりフィルムFがキャビティ凹部19aに沿って吸着保持される。また、型閉じ動作を開始して型閉じが完了する前に、シール材18aと可動クランパ19bが当接することで閉止されたキャビティ凹部19aによって形状が画定される密閉空間が形成される(図3(C)参照)。これにより、閉止された金型空間を減圧し減圧空間とすることで、モールド樹脂Rに混入する空気やキャビティ内の空気を除去してボイドの発生を防ぎ、成形品質を高めることができる。
ここで、樹脂モールド動作の一例について図2乃至図4を参照して説明する。
図2(A)はモールド金型17が型開き状態を示す。上型19は可動クランパ19bが上型19のクランプ面より下方に吊り下がった状態にある。また、フィルムFは、一対の上型ガイドローラ20e,20fによって、可動クランパ19bの端面に沿って上流側から下流側へ架設されている。
図2(B)は、モールド金型17にワーク1が搬入された状態を示す。ワーク1は、樹脂供給部3にて液状樹脂が供給された後、チャックハンド2aに把持されたまま180°回転して、モールド金型17のフィルム搬送方向上流側の空いた空間を利用して下型18に搬入される(図1参照)。このようにチャックハンド2aの回転動作により、ワーク供給、樹脂供給、モールド金型搬入搬出が行えるので、省スペースで効率良くワークの搬送が行える。すなわち、図1に示すように、フィルムFを装置側面の壁面に沿って引き下げて巻き取る構成としたことにより、その反対側(装置中央側)に配置されたワーク搬送装置2に対して正面および側面にフィルムFが配置されず、チャックハンド2aの旋回動作がフィルムFによって規制されることがない。また、本実施例における上型19が、その角部に配置されるタイバーのような案内構造を有していない片持ち構造により駆動される。このため、チャックハンド2aの回転動作だけでワーク1をモールド金型17の所定位置まで搬送することができるため、ワーク搬送装置2を簡易な構成とすることができる。
また、図2(B)に示すように、上型エア吸引回路19d及び下型エア吸引回路18bによるエア吸引動作を開始する。フィルムFは、上型エア吸引回路19dに吸引されて上型クランプ面を覆いキャビティ凹部19aに沿って吸着保持される。ワーク1は、シール材18aで囲まれた下型クランプ面に載置されているが、図示しない爪状の保持部により保持してもよいし、下型エア吸引回路18bによって下型クランプ面に吸着保持されるようにしてもよい。
次に、図3(C)に示すようにモールド金型17の型閉じした状態まで型閉じ動作を行う。この場合、フィルムFを吸着した上型19が一対のガイドローラ20e,20fとともに下動すると、送り出しロール20aから離間してフィルムFが下方に引き伸ばされるようにテンションが強まることが想定される。このため、第1駆動モータ20cを起動して任意のトルク以上となったときは送り出し可とすることで、送り出しロール20aを正回転させフィルムFの必要分を送り出す。また、第2駆動モータ20dを起動して巻き取りロール20bを回転させて上型19の移動に伴うフィルムFの余剰分の搬送動作を行ってもよい。このとき、モールド金型17に送り込まれるフィルムFに皺が発生しないように、中継ローラ20gが上昇してフィルムFの弛みや皺の発生を防ぐようにしてもよい。フィルムFは、送り出しロール20aより鉛直下方に送り出され、中継ローラ20g、上型ガイドローラ20e、上型クランプ面、上型ガイドローラ20fを経て下型18近傍に設けられた巻き取りロール20bに鉛直下方に向かって巻き取られる。尚、上型19の移動に伴うフィルムFの送り出しや伸びにより、フィルムFに支障がなければ、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dによるフィルム搬送動作は省略してもよい。
上型19の型閉じ動作が進んで可動クランパ19bがフィルムFを介してシール材18aと当接しクランプされると、図3(D)に示すように、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dの駆動を停止させてフィルム搬送動作を停止する。また、キャビティ凹部19aは閉止され密閉空間となるため、下型エア吸引回路18bによるエア吸引動作によってワーク1とフィルムFとの隙間からエア吸引が継続されて減圧空間が形成される。
ここで、図3(D)に示すように可動クランパ19bがフィルムFを介してワーク1と当接しクランプが完了した後、上型19を更に下動させることでキャビティの高さが低くなりモールド樹脂Rがキャビティ内で押し広げられることで充填されていく。図4(E)は、上型19の下動が完了し、上型19と下型18との型閉じが完了した状態を示す。キャビティ19a内は溶融したモールド樹脂Rで満たされたまま、金型内のヒータ(図示せず)により加熱硬化させる(キュア)。このとき、上型エア吸引回路19d及び下型エア吸引回路18bによるエア吸引動作は継続して行われる。
樹脂モールドが完了すると、図4(F)に示すようにモールド金型17を型開きする。可動型である上型19が一対の上型ガイドローラ20e,20fとともに上動すると、送り出しロール20aと近づくためフィルムFの余剰分が弛緩してしまうことで、円滑なフィルム供給が阻害されることが想定される。このため、第1駆動モータ20cを任意のトルクとするように動作させて送り出しロール20aを逆回転駆動させ、フィルムFの余剰分を巻き取る。また、第2駆動モータ20dを起動して巻き取りロール20bを逆回転駆動させて上型19の移動に伴ってフィルムFを送り出す。この際に、フィルムFを上型19に吸着させた状態で上型19を上動させることにより、モールド樹脂Rで封止されたワーク1からフィルムFを剥離させることができる。
そして、モールド金型17の型開き動作が完了すると、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dの逆回転駆動を停止する。モールド金型17のフィルム搬送方向上流側の空間部を利用して、チャックハンド2a(図1参照)が進入して成形品であるワーク1を掴んで、モールド金型17より取り出す(図4(F)の矢印参照)。次いで、上型エア吸引回路19dによるフィルムFの吸着を解除した後、送り出しロール20aと巻き取りロール20bとを正回転させ、使用済みの部分のフィルムFを巻き取りロール20b側へ巻き取らせて初期状態への復帰が完了する。
以上説明したように、ワーク1の多品種少量生産に対応すべく設置面積を極力減らしてかつ成形品質を低下させずに設備コストを抑えて樹脂モールド可能な樹脂モールド装置を提供することができる。
[第2実施例]
次に、第1実施例の樹脂モールド装置の変形例について図5及び図6を参照して説明する。第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。モールド金型17は、上型が可動型で下型が固定型の圧縮成形用の金型である点は同様であるが、モールド金型17に形成されるキャビティとワーク支持部の位置が反転している点が異なる。
図5(A)において、上型21のクランプ面には環状のシール材21a(例えばOリング)が設けられている。シール材21aに囲まれた上型クランプ面には、エア吸引口が開口する上型エア吸引回路21bが設けられている。上型エア吸引回路21bは、図示しない真空吸引装置に接続されている。また、下型22には、環状の可動クランパ22bがシール材21aと対向配置されている。可動クランパ22bは、コイルばね22cにより下型22にフローティング支持されている。可動クランパ22bの上端面は下型22の上端面より上方に突出しており、可動クランパ22bの内周壁とこれに囲まれた下型22の内底部によりキャビティ凹部22aが形成される。また、可動クランパ22bに囲まれた下型クランプ面には、エア吸引口が開口する下型エア吸引回路22dが設けられている。下型エア吸引回路22dは、図示しない真空吸引装置に接続されている。
長尺のフィルムFは、モールド金型17の型開閉方向一方側(上型21側)に設けられた送り出しロール20aから送り出され、中継ローラ20gを経て上型ガイドローラ20e,20fによって下型クランプ面(可動クランパ22b)に沿って案内され、モールド金型17の型開閉方向他方側(下型22側)に設けられた巻き取りロール20bに巻き取られるように搬送される。
樹脂モールド動作の概略について説明すると、図5(A)はモールド金型17が型開き状態を示す。下型22は可動クランパ22bが下型22のクランプ面より上方に突出した状態にある。また、長尺のフィルムFは、一対の上型ガイドローラ20e,20fによって、可動クランパ22bの端面に沿って上流側から下流側へ架設されている。下型エア吸引回路22d及び上型エア吸引回路21bによるエア吸引動作を開始する。フィルムFは、下型エア吸引回路22dに吸引されて下型クランプ面を覆いキャビティ凹部22aに沿って吸着保持される。
図5(B)は、モールド金型17にワーク1及びモールド樹脂Rが搬入された状態を示す。モールド樹脂Rは、例えばキャビティ凹部22a内にフィルムFを介して液状樹脂が供給される。液状樹脂は、例えば図示しないシリンジに連結するノズル23が、モールド金型17のフィルム搬送方向下流側の空いた空間部を利用して金型内に進入して供給される。また、ワーク1は、チャックハンド2aに把持されたまま上型クランプ面に吸着保持される。ワーク1は吸着保持に代えてチャック爪等により保持してもよい。
次に、図6(C)に示すようにモールド金型17の型閉じ動作を開始する。上型21のクランプ動作が進んで可動クランパ22bがフィルムFを介してシール材21aと当接しクランプ完了に近づくと、キャビティ凹部19a内は閉止されるため、上型エア吸引回路19d及び下型エア吸引回路18bによるエア吸引動作によってワーク1とフィルムFとの隙間からエア吸引が継続されて減圧空間が形成される。
上型21と下型22との型閉じ動作が完了すると、キャビティ凹部22a内は溶融したモールド樹脂Rで満たされたまま、金型内のヒータ(図示せず)により加熱硬化させる(キュア)。このとき、下型エア吸引回路22d及び上型エア吸引回路21bによるエア吸引動作は継続して行われる。
樹脂モールドが完了すると、モールド金型17を型開きしてチャックハンド2a(図1参照)により成形品であるワーク1がモールド金型17より取り出される。
尚、以上説明したフィルム搬送機構20においても、フィルムFはワーク搬送装置2と反対側の位置を通過してキャビティ凹部22aに供給される構成となっており、前述の実施例と同様に、ワーク搬送装置2の回動によりワーク1の搬入出が可能である。
なお、本実施例によれば、例えばワイヤボンドされたワーク1のように型内で加熱され粘度が低下したモールド樹脂Rによって樹脂封止した方がよい場合にも高品位なモールド成形が可能である。また、フィルムFが吸着される下型22が昇降しないため、ガイドローラも昇降不要となり簡易な構成とすることができる。
[第3実施例]
次に、樹脂モールド装置の他例について図7を参照して説明する。第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。モールド金型17の構成は第1実施例と同様であるが、フィルム搬送機構20の構成が異なっている。第1実施例では、モールド金型17のうちキャビティ凹部19aが形成された上型クランプ面のみをフィルムFで覆っていたが、下型クランプ面もフィルムFによって覆うようにしてもよい。
図7(A)において、フィルム搬送機構20には、フィルムFを上型19のフィルム搬送方向両側で上型クランプ面に平行に案内する一対の上型ガイドローラ対20e,20fの他に、下型18のフィルム搬送方向両側で下型クランプ面に平行に案内する一対の下型ガイドローラ20h,20iが設けられている。また、上型ガイドローラ20fと下型ガイドローラ20hの間には、一対のテンション調整ローラ20j,20kが上下に設けられている。テンション調整ローラ20kは、フィルムFに作用するテンションに応じて昇降可能に設けられている。また、下型ガイドローラ20iと巻き取りロール20bとの間にはテンションローラ20mが設けられている。テンションローラ20mは、必ずしも昇降可能に設置する必要はない。
長尺のフィルムFは送り出しローラ20aより送り出され、中継ローラ20gを経て上型ガイドローラ対20e,20fに案内されて上型クランプ面に吸着保持され、一対のテンション調整ローラ20j,20kに案内されて搬送方向を反転させて、一対の下型ガイドローラ20h,20iに案内されて下型クランプ面に吸着保持される。フィルムFは一対の下型ガイドローラ20h,20iを経てテンションローラ20mを介して巻き取りロール20bに巻き取られる。このように同一の長尺のフィルムFを用いて、キャビティ凹部19aを含む上型19のクランプ面のみならずワーク1を載置する下型18のクランプ面を覆って吸着保持される。
これにより、モールド金型17の対向するクランプ面がフィルムFによって覆われるため、上型19と下型18がモールド樹脂Rに接することなく樹脂モールドが行われるので金型メンテナンスが軽減され、しかもワーク1がフィルムFに包まれて樹脂モールドされるので、ワーク1の保護につながる。尚、下型18のクランプ面がフィルムFで覆われるためシール材18aは省略されている。
樹脂モールド動作の概略について説明する。図7(A)に示すように、モールド金型17を型開きした状態で、上型エア吸引回路19dを作動させて、上型19のキャビティ凹部19aを含むクランプ面に吸着保持させ、下型18のクランプ面をフィルムFで覆う。尚、下型エア吸引回路18b(図示せず)によって下型18のクランプ面にフィルムFを吸着保持してもよい。この状態で、チャックハンド2aにより、モールド樹脂Rが供給されたワーク1を下型18のクランプ面に載置してモールド金型17を型閉じする。ワーク1の搬入は、上型ガイドローラ20eと下型ガイドローラ20iとの間の空間部を通じて行われる。
可動型である上型19が一対の上型ガイドローラ20e,20fとともに下動すると、第1駆動モータ20cを起動して送り出しロール20aを回転させ、第2駆動モータ20dを起動して巻き取りロール20bを回転させて上型19の移動に伴うフィルムFの余剰分の搬送動作を行う。このとき、モールド金型17に送り込まれるフィルムFに弛みや皺が発生しないように、中継ローラ20gが上昇し、テンション調整ローラ20kが下降してフィルムFの弛みや皺の発生を防ぐようになっている。
尚、テンション調整ローラ20kは、成形性に影響しないため、必ずしも昇降させる必要はなく、フィルムFが弛んだ状態のままでもよい。
図7(B)に示すように、上型19のクランプ動作が進んで可動クランパ19bがフィルムFを介してワーク1と当接しクランプ完了に近づくと、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dの駆動を停止させてフィルム搬送動作を停止する。キャビティ凹部19a内は閉止されるため、上型エア吸引回路19dによるエア吸引動作によってワーク1とフィルムFとの隙間からエア吸引が継続されて減圧空間が形成される。モールド金型17の型閉じが完了すると、キャビティ18a内は溶融したモールド樹脂Rで満たされたまま、金型内のヒータ(図示せず)により加熱硬化させる(キュア)。
樹脂モールドが完了すると、モールド金型17を型開きして、チャックハンド2aにより成形品であるワーク1が取り出される。モールド金型17を型開きする際に、可動型である上型19が一対の上型ガイドローラ20e,20fとともに上動すると、第1駆動モータ20cを起動して送り出しロール20aを逆回転駆動させ、第2駆動モータ20dを起動して巻き取りロール20bを逆回転駆動させて上型19の移動に伴うフィルムFの余剰分の搬送動作を行う。このとき、モールド金型17から巻き戻されるフィルムFが弛まないように、中継ローラ20gが下降し、テンション調整ローラ20kが上昇するようになっている(図7(A)参照)。尚、テンション調整ローラ20kは、成形性に影響しないため、必ずしも昇降させる必要はない。
本実施例によれば、第1実施例と同様の効果の他にも、ワーク1の裏面もフィルムFで覆って保護しながら樹脂モールドすることができる。この場合、例えば接続端子が構成されて裏面に凹凸を有する基板のように金型の平滑面でクランプするとストレスがかかってしまうようなワーク1であっても、ストレスなくクランプすることができる。また、ワーク1の裏面への樹脂漏れ防止もより確実に行えるため高品質な成形が可能となる。
[第4実施例]
次に、樹脂モールド装置の他例について図8及び図9を参照して説明する。第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。第1実施例乃至第3実施例は、モールド金型17として圧縮成形用の金型を用いたが、本実施例はモールド金型17にトランスファ成形用の金型を用いている点が異なる。尚、フィルム搬送機構20の構成は、テンション調整ローラ20kが省略された簡易な構成となっているほかは、第3実施例と同様に金型クランプ面(両面)が同一の長尺のフィルムFにより覆われる。
以下、図8(A)を参照してモールド金型17の構成を中心に説明する。下型24にはモールド樹脂Rが投入されるポット25及び溶融したモールド樹脂Rを圧送りするプランジャ26を含むトランスファ機構が設けられている。また、下型24のクランプ面には、ワーク1を載置するワーク載置部24a(下型凹部)が形成されている。本実施例のワーク1は、例えば基板上に半導体チップがフリップチップ実装されている製品をアンダーフィルモールドする樹脂モールド装置を想定している。これに限らずワーク1は半導体ウェハであってもよく、樹脂基板等であってもよい。
例えば、微細なバンプによりフリップチップ実装された半導体パッケージでは、アンダーフィルモールドによるバンプ間への樹脂の均一な充填が非常に困難であるため、樹脂組成や注入条件等の成形条件について適切な条件の決定のために多大な試作工程が必要となる。このような用途においても、本発明における少量生産向けの樹脂モールド装置によれば、モールド樹脂Rの使用量を削減できてランニングコストを削減できるほか、パーツが安価に用意でき交換等のメンテナンスも簡易であり、試作を簡易に行うことができるため、好適に用いることができる。
上型27のポット25の対向面には、上型カル27a及びこれに連続する上型ランナゲート27bが彫り込まれて形成されている。また、上型27のワーク載置部24aに対向する位置には、上型キャビティ凹部27cが彫り込まれて形成されている。上型キャビティ凹部27cには上型ランナゲート27bが接続している。
長尺のフィルムFは送り出しローラ20aより送り出され、中継ローラ20gを経て上型ガイドローラ対20e,20fに案内されて上型カル27a、上型ランナゲート27b、上型キャビティ凹部27cを含む上型クランプ面に吸着保持され、一対のテンション調整ローラ20jに案内されて搬送方向を反転させて、一対の下型ガイドローラ20h,20iに案内されてワーク載置部24a、ポット25を含む下型クランプ面に吸着保持される。フィルムFは一対の下型ガイドローラ20h,20iを経てテンションローラ20mを介して巻き取りロール20bに巻き取られる。このように同一の長尺のフィルムFを用いて、樹脂路となる上型カル27a、上型ランナゲート27b、上型キャビティ凹部27cを含む上型27の上型クランプ面のみならずワーク1を載置する下型24のワーク載置部24a、ポット25を含む下型クランプ面を覆って吸着保持される。フィルムFは、上型27及び下型24に形成された図示しないエア吸引回路を通じて吸着保持される。
樹脂モールド動作の概略について説明する。図8(A)に示すように、モールド金型17を型開きした状態で、上型エア吸引回路を作動させて、上型27の上型カル27a、上型ランナゲート27b、上型キャビティ凹部27cを含むクランプ面に吸着保持させ、下型24のワーク載置部24a、ポット25を含むクランプ面をフィルムFで覆う。この状態で、チャックハンド2aにより、ワーク1を下型24のワーク載置部24aに載置し、ポット25内にシリンジに接続するノズル23により液状のモールド樹脂Rを供給する。ワーク1の搬入は、上型ガイドローラ20eと下型ガイドローラ20iとの間の空間部を通じて行われる。
モールド金型17の型閉じを開始し、可動型である上型19が一対の上型ガイドローラ20e,20fとともに下動すると、第1駆動モータ20cを起動して送り出しロール20aを回転させ、第2駆動モータ20dを起動して巻き取りロール20bを回転させて上型19の移動に伴うフィルムFの余剰分の搬送動作を行う。このとき、図8(B)に示すようにモールド金型17に送り込まれるフィルムFに皺が発生しないように、テンション調整ローラ20jが下降してフィルムFの弛みや皺の発生を防ぐこともできる。
図8(B)に示すように、上型27と下型24のクランプ面がフィルムFを介して当接してクランプ動作が完了すると、第1駆動モータ20c及び第2駆動モータ20dの駆動を停止させてフィルム搬送動作を停止する。上型キャビティ凹部27c内は閉止される。 この場合、上型キャビティ凹部27cから紙面手前側又は奥側のいずれかに掘り込まれて延在するエアベントを介し、フィルムFが通過する幅の外側に配置されたエア吸引孔からエア吸引回路によるエア吸引動作によってワーク1とフィルムFとの隙間からエア吸引が継続されて減圧空間を形成することもできる。
次いで、図9(C)に示すようにトランスファ機構を作動させてプランジャ26を上昇させて溶融したモールド樹脂Rを、上型カル27a、上型ランナゲート27b、上型キャビティ凹部27cへ圧送りして充填する。本実施例では基板にフリップチップ接続された半導体素子と基板との間にアンダーフィルモールドが行われる。そして、上型キャビティ凹部27c内に樹脂充填が行われると、金型内のヒータ(図示せず)により加熱され加熱硬化される(キュア)。
このように、ワーク1の多品種少量生産若しくは変種変量生産ニーズに応じて最適な樹脂モールド方法で成形することができる。
本実施例によれば、他の実施例と同様の構成によって奏される同様の効果の他にも、トランスファ成形を行うことができるため、例えばワーク1の実装部品をクランプした状態でモールド樹脂Rを充填することができ、実装部品が露出した樹脂封止も可能となる。また、通常必要となるポット25のクリーニングをフィルムFによって不要とすることができる。これにより、メンテナンス工程が不要となり、メンテナンス用のスペースや構成を不要として装置の大型化を防止することもできる。
上述した実施例では、フィルム搬送機構20は、上型キャビティ凹部27cが形成された上型クランプ面のみならずワーク載置部24aが形成された下型クランプ面もフィルムFにより覆っていたが、第1実施例と同様に上型クランプ面のみをフィルムFで覆うようにしてもよい。この場合には、上型キャビティ凹部27c内を簡易に減圧することができる。
[参考例]
次に、樹脂モールド装置の参考例について図10を参照して説明する。第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。前述の実施例では、樹脂モールド部16とフィルムFの構成について主に説明したが、本参考例では樹脂モールド装置全体の構成について説明する。同図に示すように、本実施例に係る樹脂モールド装置100は、樹脂モールド前のワーク1のワーク供給部40と、樹脂モールド後のワーク1のワーク収納部50とをさらに含む点が大きく異なる。また、これらの装置各部とのワーク1の受け渡しのために、ワーク搬送装置2を含め他の装置各部の配置も異なる。
樹脂モールド装置100において、ワーク1は、矢印A1〜A5で示された動作によって装置内へ供給位置P1から収納位置P6まで搬送されて、樹脂モールドされる。ワーク供給部40は、例えば多段に設けられたスリットにワーク1を収容可能なスリット式のマガジンを含んで構成される。このマガジンを昇降させることで任意のスリット(供給位置P1)に配置されたワーク1をチャックハンド2aの引渡し位置P2と同一の高さに位置させることができる。これにより、図示しない押し出し機能や把持機能を有するローダ41によって、ワーク1をチャックハンド2aに引き渡すことが可能となる。
ワーク収納部50は、例えば樹脂モールド後のワーク1を収容可能なマガジンを含んで構成される。このワーク収納部50では、このマガジンを任意の高さに昇降させて受取り位置P5に配置された樹脂モールド後のワーク1を、引き込み機能や把持機能を有するオフローダ51によって任意のスリット(収納位置P6)に収納する。
また、樹脂モールド装置100においては、上述の引渡し位置P2及び受取り位置P5と、樹脂供給部3でシリンジ101によって樹脂が供給される樹脂供給位置P3と、モールド金型17においてワーク1が配置される封止位置P4とにチャックハンド2aを位置させることができるように、ワーク搬送装置2が装置中央位置に配置される。また、ワーク搬送装置2は、そのチャックハンド2aの先端の旋回径(図10において二点鎖線)が各部(メンテナンス扉100aや筐体壁面を含む)と干渉しない位置に配置される。このため、そのチャックハンド2aが通過する平面においては、例えば樹脂モールド部16の上型19を保持して駆動する駆動機構102でチャックハンド2aの旋回が止められないように、駆動機構102がチャックハンド2aの先端の旋回径外に配置される。なお、フィルムFや金型の交換等のメンテナンス性を考慮して、樹脂モールド部16は、図1に示す構成例と比較して樹脂供給部3から90度回転した向きにして配置される。
以上のような構成により、この樹脂モールド装置100では、図10に示す矢印A1のように、ワーク供給部40の任意のスリット(供給位置P1)に配置されたワーク1をローダ41によって引渡し位置P2でチャックハンド2aに受け渡す。次いで、同図に示す矢印A2のようにチャックハンド2aを樹脂供給位置P3まで旋回させ、樹脂供給部3のシリンジ101によって所定量の樹脂をワーク1上に供給させる。続いて、同図に示す矢印A3のようにチャックハンド2aを樹脂供給位置P4まで旋回させ、ワーク1をモールド金型17に引き渡した後に、モールド金型17を避けた平面位置にチャックハンド2aを待機される。次いで、モールド金型17においてワーク1の樹脂モールドが行われモールド金型17が開放された後に、チャックハンド2aを樹脂供給位置P4まで旋回させ、樹脂モールドされたワーク1をチャックハンド2aで受け取る。
続いて、同図に示す矢印A4のようにチャックハンド2aを受取り位置P5まで旋回させ、オフローダ51によってワーク1を受け取り、ワーク収納部50の収納位置P6(任意のスリット)にワーク1を収納して、1個のワーク1における樹脂モールド工程が完了する。なお、矢印A6のようにチャックハンド2aを引渡し位置P2まで移動させるだけで次のワーク1の搬送が可能となっており、簡易な動作により樹脂モールド装置100内におけるワーク1の搬送を完結することができる。
このように、この樹脂モールド装置100では、ワーク供給部40とワーク収納部50とを備えることで、樹脂モールド前後のワーク1の手動による供給や収納作業を行うことなく連続的な成形が可能となる。また、ワーク搬送装置2を中央に配置したことにより、チャックハンド2aを旋回させるだけの簡易な搬送構造でありながら、ワーク1の供給及び収納を含めた全ての工程を極めて小さな面積で実現することができる。この際に、モールド金型17が片持ち構造で駆動させられることにより、チャックハンド2aの先端の旋回径内にモールド金型17を重複させて配置することができ、樹脂モールド装置をさらに小型化することができる。
なお、樹脂モールド装置100と同様の技術思想に基づき、複数の樹脂モールド部16や、複数の樹脂供給部3を設けてもよい。また、複数のチャックハンド2aを同一の回転軸2bを中心に回転可能に設けてもよい。さらに、樹脂モールド装置100には、樹脂モールド前のワーク1の状態やワーク1に付された二次元コードのような情報を読み取る読取り部、樹脂モールドされたワーク1のモールド樹脂Rの硬化を進行させるためのキュア炉、樹脂モールドされることで高温に加熱されたワーク1を収納前に冷却するための冷却部、及び樹脂モールドされたワーク1の外観状態を検査する検査部のうち必要な機能部を付加してもよい。この場合、チャックハンド2aの先端の旋回径を大きくすれば機能部の増減が容易である。なお、ワーク供給部40とワーク収納部50とは一体として(兼用して)もよい。この場合、1個のマガジンでは樹脂モールド前後のワーク1が順次入れ替えられることになる。