以下、本発明の実施の形態に係る電力制御装置について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る電力制御装置は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)等のシステムにおいて、蓄電池を充放電制御し、機器を電力制御する、いわゆるHEMSコントローラであり、電力制御システムを構成する各機器を制御する。
図1に示すように、電力制御システム1は、住宅H内に設置される。電力制御システム1は、上述した電力制御装置100と、自然エネルギー等を利用して発電する発電設備300と、系統電源設備CPまたは発電設備300から供給される電力を利用して蓄電する蓄電設備400と、電力を消費し機能を発揮する機器500と、システム内の各機器を中継し電力を分配する分電盤600と、宅内ネットワークN2と広域ネットワークN3との通信を中継するルータ700と、から構成される。発電設備300と蓄電設備400とは、例えば住宅に設置されるものである。また、広域ネットワークN3には、日々の気象予報情報や過去の気象条件を示す気象実績情報を記憶するサーバ800が接続されている。発電設備300、蓄電設備400及び機器500は、系統電源設備CPに接続された共通の線路PLに接続されている。
分電盤600と機器500とは、電力制御装置100と宅内ネットワークN1を介して接続されている。発電設備300と蓄電設備400は、電力制御装置100と宅内ネットワークN2を介して接続されている。ルータ700とサーバ800は、広域ネットワークN3を介して接続されている。
ここで、宅内ネットワークN1は、ECONET Lite等を通信プロトコルとしたネットワークである。宅内ネットワークN2は、有線または無線のLAN(Local Area Network)等からなるネットワークである。広域ネットワークN3はインターネット等からなる。
発電設備300は、PV(PhotoVoltaics)パネル310とPVPCS(Power Conditioning System)320とを備える。PVパネル310は、太陽光を直流電力に変換して出力する。PVPCS320は、例えばDC/DCコンバータ(図示せず)とDC/DCコンバータから入力される直流を交流に変換して出力するインバータ回路(図示せず)とを備え、PVパネル310から供給される直流電力を交流電力に変換して線路PLへ出力する。PVPCS320は、例えばMPPT(最大電力点追従)制御を行なうことにより、PVパネル310の出力電力の最大化を図る。
蓄電設備400は、蓄電池410と蓄電PCS420とを備える。蓄電池410は、例えば鉛電池、リチウムイオン電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、レドックスフロー電池、NAS電池、電気二重層キャパシタまたはLiイオンキャパシタ等から構成される。
蓄電PCS420は、双方向DC/DCコンバータ(図示せず)とインバータ回路(図示せず)とを備え、放電動作において、蓄電池410からの直流電力を交流電力に変換して線路PLへ出力し、充電動作において、線路PLからの交流電力を直流電力に変換して蓄電池410へ出力する。蓄電PCS420は、電力制御装置100に宅内ネットワークN2を介して接続され、電力制御装置100から充電指令を受信すると充電動作を行い、電力制御装置100から放電指令を受信すると放電動作を行う。
機器500は、線路PLから交流電力の供給を受けて動作する機器である。機器500は、例えば空調機器や給湯機、洗濯機、冷蔵庫から構成される。各機器500は、電力制御装置100が備える後述の稼働スケジュール記憶部123が記憶する稼働スケジュールを定期的に参照して、この稼働スケジュールに従って稼働する。機器500は、例えば1日間隔で稼働スケジュールを参照する。
分電盤600は、複数(図1では5つ)の電力計601、602、603、604、605と電力データ収集装置606とを備える。電力計601は、系統電源設備CPから供給されるまたは系統電源設備CPへ供給する電力を計測する。電力計602は、発電設備300から供給される電力を計測する。電力計603は、蓄電設備400から供給されるまたは蓄電設備400へ供給される電力を計測する。電力計604、605は、機器500へ供給される電力を計測する。電力データ収集装置606は、各電力計601、602、603、604、605から取得した電力データに電力計601、602、603、604、605の識別情報を付与してから宅内ネットワークN1を介して電力制御装置100へ送信する。
電力制御装置100は、図2に示すように、制御部10と主記憶部20と補助記憶部30と通信部40と出力部50と操作部60と各部を接続するシステムバス70とを備える。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、補助記憶部30に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、電力制御装置100を統括的に制御する。
主記憶部20は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを有している。主記憶部20は、制御部10の作業領域として用いられる。補助記憶部30は、磁気ディスク、半導体メモリなどの不揮発性メモリを有している。補助記憶部30は、制御部10が後述の制御モード選択処理、制御決定処理及びシフト可否判別処理を実行するためのプログラムや他のプログラム、各種パラメータを記憶している。また、制御部10による処理結果などを順次記憶する。
通信部40は、LANインタフェース、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、アナログインタフェースなどを備えている。通信部40は、宅内ネットワークN1、N2に接続されている。出力部50は、制御部10から入力される情報を表示する出力デバイスを有する。出力デバイスは、表示装置や他の外部機器へ情報を出力する装置等から構成される。操作部60は、需要家による操作を受け付けると、受け付けた操作内容に応じた指令情報を制御部10へ入力する入力デバイスを有する。入力デバイスは、タッチパネル、キーボード等から構成される。
次に、電力制御装置100の機能構成について図3を参照しながら説明する。料金記憶部121は、1日の各時間帯における電気料金(買電単価)と電気の買い取り価格(売電単価)とを示す料金情報を記憶する。料金記憶部121は、例えば各季節に応じた複数種類の料金情報を記憶する。
消費電力履歴記憶部122は、機器500それぞれの過去の消費電力の履歴と全機器500の総消費電力の履歴とを記憶している。稼働スケジュール記憶部123は、住宅で使用される機器500の稼働スケジュールを機器500毎に区別して記憶している。機器電力記憶部124は、機器500の稼働中の消費電力を示す機器電力情報を記憶している。発電量履歴記憶部125は、発電設備300の発電量の履歴を記憶している。気象情報記憶部126は、将来の各時間帯における気象予報を示す気象予報情報と、現在及び過去の気象条件を示す気象実績情報と、を区別して記憶している。的中率記憶部127は、気象情報記憶部126に記憶される気象予報情報の的中率を記憶している。以上説明した各種記憶部は、補助記憶部30に設けられる。
制御部10は、料金判別部111、選択部112、消費電力算出部113、発電量算出部114、余剰電力算出部115、シフト判別部116、電力制御部117として機能する。料金判別部111は、料金記憶部121から選出した料金情報を参照して、各時間帯における売電単価と買電単価との大小関係を判別する。
選択部112は、料金判別部111が判別した売電単価と買電単価との大小関係に応じて、電力制御装置100の制御モードを選択する。制御モードには、発電設備300での発電電力を自家で優先的に消費する消費優先モードと、売電を優先的に行う売電優先モードと、がある。
消費電力記録部118は、電力データ収集装置606から随時宅内ネットワークN1を介して各時間帯での各機器500の消費電力を取得し、機器500それぞれの消費電力の履歴を機器500毎に個別に消費電力履歴記憶部122に蓄積していく。また、消費電力記録部118は、全機器500の総消費電力を算出して消費電力履歴記憶部122に記憶させる。
消費電力算出部113は、消費電力履歴記憶部122から取得した過去の複数日における各時間帯の消費電力の平均値から、1日における時間帯毎の消費電力予測値を算出する。消費電力算出部113は、例えば過去の1ヶ月間における各時間帯の消費電力の平均値をそのまま時間帯毎の消費電力予測値とする。
発電量記録部119は、電力データ収集装置606から随時宅内ネットワークN1を介して各時間帯での発電設備300の発電量を取得し、発電量の履歴を発電量履歴記憶部125に蓄積していく。気象情報記録部132は、サーバ800から広域ネットワークN3、ルータ700及び宅内ネットワークN2を介して気象予報情報と気象実績情報とを取得して、気象予報情報と気象実績情報とを区別して気象情報記憶部126に記憶させる。
発電量算出部114は、発電量履歴記憶部125から取得した過去の複数日における各時間帯の各気象条件の発電量の平均値から、1日における時間帯毎の発電量予測値を算出する。発電量算出部114は、発電量履歴記憶部125から例えば過去1ヶ月の発電設備300の発電量の履歴を取得するとともに、気象情報記憶部126からから例えば過去1ヶ月の気象実績情報を取得する。そして、発電量算出部114は、取得した発電量を時間帯と気象条件とに基づいて分類した後、分類毎に発電量の平均値を算出する。また、発電量算出部114は、気象情報記憶部126から気象予報情報を取得し、気象予報情報が示す各時間帯の気象条件に対応する分類の発電量の平均値を発電量予測値とする。
余剰電力算出部115は、発電量算出部114が算出した発電量予測値と消費電力算出部113が算出した消費電力予測値との差分から余剰電力の推移を予測する。
シフト判別部116は、余剰電力の推移と判別対象となる対象機器500の当初の稼働スケジュールで設定されていた稼働時間帯(以下、「当初稼働時間帯」と称する。)における消費電力の推移に基づいて、対象機器500の当初稼働時間帯を別の稼働時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新するか否かを判別する。具体的には、シフト判別部116は、まず、稼働スケジュール記憶部123から対象機器500の稼働スケジュールを取得するとともに、機器電力記憶部124から対象機器500の機器電力情報を取得し、対象機器500の当初稼働時間帯における消費電力の推移を算出する。そして、シフト判別部116は、稼働スケジュールを更新した場合において、余剰電力が対象機器500の当初稼働時間帯全体で対象機器500の消費電力を上回っているとき、稼働スケジュールを更新すると判別する。一方、対象機器500の消費電力が当初稼働時間帯の少なくとも一部において余剰電力を超える場合、シフト判別部116は、稼働スケジュールを更新しないと判別する。
的中率算出部131は、気象情報記憶部126から過去の気象実績情報と過去の気象予報情報とを取得して、気象予報の的中率を算出して的中率記憶部127に記憶させる。
誤差算出部120は、余剰電力算出部115により算出された余剰電力の誤差を算出する。余剰電力の誤差の算出において、誤差算出部120は、まず、消費電力履歴記憶部122から取得した過去数日の各日々における時間毎の機器500全体の総消費電力の履歴から、時間帯毎に過去数日の中で最大の最大総消費電力を抽出する。次に、誤差算出部120は、気象情報記憶部126から取得した気象予報情報と的中率記憶部127から取得した的中率とから1日における各時間帯の気象条件を特定し、特定した気象条件と発電量の履歴とを用いて、可能性のある発電力予測値の中で最小の最小発電量を算出する。そして、誤差算出部120は、時間帯毎の最大消費電力と、最小発電量との差分から余剰電力の誤差を算出する。また、誤差算出部120は、最大総消費電力が発電量よりも大きい時間帯が存在する場合、当該時間帯で余剰電力の誤差を積分して余剰電力の誤差に対応する電力量を算出する。
電力制御部117は、余剰電力算出部115から取得した余剰電力の推移と誤差算出部120から取得した余剰電力の誤差の推移とに基づいて、蓄電池410の充放電動作を行う蓄電PCS420を制御する。具体的には、電力制御部117は、余剰電力の推移に基づいて機器500の稼働スケジュールを適宜更新し、余剰電力の誤差の推移から誤差に対応する電力量を算出する。そして、電力制御部117は、算出した誤差に対応する電力量に応じて、宅内ネットワークN2を介して蓄電PCS420へ充電指令または放電指令を送信することにより、蓄電PCS420を充電動作または放電動作させる。更に、電力制御部117は、シフト判別部116の判別結果に基づいて、稼働スケジュール記憶部123に記憶されている各機器500の稼働スケジュールを更新する機能も有する。
次に、本実施の形態に係る電力制御装置100の動作について説明する。電力制御装置100は、まず、制御モードを、発電設備300での発電電力を自家で優先的に消費する消費優先モードか売電を優先的に行う売電優先モードとのいずれかを選択するための制御モード選択処理を実行する。その後、電力制御装置100は、選択した制御モードで動作を開始する。初めに、電力制御装置100が実行する制御モード選択処理について図4から図7を参照しながら説明する。電力制御装置100では、電源が投入されると、料金判別部111が、現在の日付を示す日付情報に基づいて現在の季節を判別する。日付と季節との対応関係を示す季節情報は、補助記憶部30に予め記憶されている。そして、料金判別部111は、現在の季節に応じた料金情報を料金記憶部121から取得する。制御モード選択処理は、料金判別部111が料金記憶部121から季節に応じた料金情報を取得したことを契機として開始される。
まず、料金判別部111は、全ての時間帯で売電単価が買電単価よりも高いか否かを判別する(ステップS110)。具体的には、料金判別部111は、料金記憶部121から取得した料金情報が示す1日の各時間帯における買電単価と売電単価とを比較し、1日の全ての時間帯で売電単価が買電単価を上回っているか否かを判別する。
料金判別部111が全ての時間帯で売電単価が買電単価よりも高いと判別すると(ステップS110:Yes)、選択部112は売電優先モードを選択する(ステップS150)。一方、売電単価が買電単価以下の時間帯が存在すると判別されると(ステップS110:No)、料金判別部111は、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長が時間閾値以下であるか否かを判別する(ステップS120)。時間閾値の長さは、例えば蓄電設備400の蓄電池410を満充電にするまでに要する時間に設定される。
料金判別部111により、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長が時間閾値以下であると判別されると(ステップS120:Yes)、選択部112は消費優先モードを選択し(ステップS130)、制御モード選択処理が終了する。例えば、料金情報が、図5に示すような買電単価、売電単価の時間推移を示す場合、売電単価が買電単価よりも高い時間帯が存在しないことになる。この場合、料金判別部111は、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長が閾値以下であると判別し、選択部112は、消費優先モードを選択する。
また、料金情報が、図6に示すような買電単価、売電単価の時間推移を示し、時間閾値が4時間に設定されているとする。この場合、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長は、3時間であり、時間閾値よりも短い。そうすると、料金判別部111は、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長が時間閾値以下であると判別し、選択部112は、消費優先モードを選択する。
図4に戻って、料金判別部111が、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長が時間閾値よりも長いと判別したとする(ステップS120:No)。この場合、料金判別部111は、売電単価が買電単価よりも高い時間帯における売電単価と買電単価との差分の最小値が差分閾値以下であるか否かを判別する(ステップS140)。
料金判別部111により、売電単価と買電単価との差分の最小値が差分閾値よりも大きいと判別されると(ステップS140:No)、選択部112は、売電優先モードを選択し(ステップS150)、制御モード選択処理が終了する。一方、料金判別部111により、売電単価と買電単価との差分の最小値が差分閾値以下であると判別されると(ステップS140:Yes)、選択部112は、消費優先モードを選択し(ステップS130)、制御モード選択処理が終了する。
例えば、料金情報が、図7に示すような買電単価、売電単価の時間推移を示し、時間閾値が4時間、差分閾値が5[円/kWh]に設定されているとする。この場合、売電単価が買電単価よりも高い時間帯の時間長は、8時間であり、時間閾値よりも長い。但し、売電単価と買電単価との差分(差分の最小値)が1[円/kWh]であり、差分閾値よりも小さい。そうすると、選択部112は、消費優先モードを選択する。
<消費優先モード>
次に、電力制御装置100の消費優先モード時における処理について図8を参照しながら説明する。
まず、消費電力算出部113は、1日の各時間帯における消費電力予測値を算出する(ステップS210)。具体的には、消費電力算出部113は、消費電力履歴記憶部122の消費電力履歴を参照して、過去の各時間帯における消費電力の平均値を消費電力予測値として算出する。
消費電力履歴記憶部122は、例えば図9(A)および(B)に示すように、機器500の消費電力履歴と、機器500全体の総消費電力履歴とを、日付及び時間帯と対応付けて記憶している。消費電力算出部113は、例えば過去最大1ヶ月分の各時間帯について各機器500の消費電力履歴から総消費電力を算出して総消費電力履歴として消費電力履歴記憶部122に記憶させる。そして、消費電力算出部113は、過去最大1ヶ月分の各時間帯の総消費電力の平均値を消費電力予測値として算出する。
次に、発電量算出部114は、1日の各時間帯における発電設備300での発電量予測値を算出する(ステップS220)。発電量算出部114は、前述のように、発電量履歴記憶部125から取得した過去の複数日における各時間帯の各気象条件の発電量の平均値から、1日における各時間帯の発電量予測値を算出する。
発電量履歴記憶部125は、例えば図10に示すように、各時間帯における発電量を記憶している。また、気象情報記憶部126は、例えば図11(A)および(B)に示すように、各時間帯における気象予報を示す気象予報情報と、現在及び過去の気象条件を示す気象実績情報とを記憶している。ここで、気象情報記憶部126は、少なくとも電力制御装置100が消費優先モードで動作する前に予め気象予報情報と気象実績情報とを記憶している。発電量算出部114は、気象実績情報に基づいて、発電量を時間帯と気象条件とに基づいて分類した後、分類毎に発電量の平均値を算出する。そして、発電量算出部114は、気象予報情報が示す各時間帯の気象条件に対応する分類の発電量の平均値を発電量予測値とする。
続いて、余剰電力算出部115は、1日の各時間帯における余剰電力を算出する(ステップS230)。具体的には、余剰電力算出部115は、発電量算出部114が算出した各時間帯における発電量予測値と消費電力算出部113が算出した各時間帯における消費電力予測値との差分を余剰電力として算出する。
その後、制御内容を決定するための制御決定処理が実行される(ステップS240)。この制御決定処理では、算出された余剰電力の推移と各機器500の消費電力予測値の推移とに基づいて、各機器500の制御内容を決定する処理が実行される。制御決定処理が終了すると、消費優先モードでの動作を終了する。
<制御決定処理>
次に、電力制御装置100が実行する制御決定処理について、図12を参照しながら詳細に説明する。まず、シフト判別部116は、稼働スケジュールの更新可否を判別する対象となる対象機器500について、当初稼働時間帯をシフトする形での稼働スケジュールの更新が可能であるか否かを判別するシフト可否判別処理を実行する(ステップS2401)。このシフト可否判別処理において、シフト判別部116は、当初稼働時間帯が、算出された余剰電力が負で推移する時間帯に設定されている機器500を対象機器500として選出する。算出された余剰電力が負で推移する時間帯とは、発電量予測値が消費電力量予測値を下回る時間帯に相当する。そして、シフト判別部116は、当初稼働時間帯を、算出された余剰電力が正で推移する別の時間帯にシフトする形での対象機器500の稼働スケジュールの更新が可能であるか否かを判別する。ここで、算出された余剰電力が負で推移する時間帯とは、発電量予測値が消費電力量予測値を下回る時間帯に相当し、算出された余剰電力が正で推移する時間帯とは、発電量予測値が消費電力量予測値以上である時間帯に相当する。
例えば図13及び図14に示すように、発電量予測値が消費電力量予測値を下回る時間帯に存在する対象機器500の当初稼働時間帯ST1を別の時間帯ST2にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新させる場合を想定する。時間帯ST2は、発電量予測値が消費電力量予測値以上である時間帯に含まれる。図13の場合、更新後の稼働時間帯ST2において、更新前の総消費電力予測値L12と発電量予測値L11との大小関係と、更新後の総消費電力予測値L13と発電量予測値L11との大小関係とが同じである。つまり、稼働スケジュールを更新しても、更新後の稼働時間帯ST2において余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化しない。この場合、シフト判別部116は稼働スケジュールの更新が可能と判別する。一方、図14の場合、更新後の稼働時間帯ST2の一部において、更新前の総消費電力予測値L22と発電量予測値L21との大小関係と、更新後の総消費電力予測値L23と発電量予測値L22との大小関係とが逆転する。つまり、稼働スケジュールを更新すると、更新後の時間帯ST2の一部において余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化してしまう。この場合、シフト判別部116は稼働スケジュールの更新が不可能と判別する。シフト判別部116は、シフト可否判別処理を実行することにより、稼働スケジュール記憶部123の各スケジュールIDに対応するシフト可否情報を設定する。
次に、電力制御部117は、稼働スケジュールを参照して、対象機器500のシフト可否情報が「可能(シフト可能)」に設定されているか否かを判別する(ステップS2402)。即ち、電力制御部117は、対象機器500の当初稼働時間帯を別の稼働時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新することが可能か否かを判別する。電力制御部117が、対象機器500のシフト可否情報が「不可能」に設定されていると判別したとする(ステップS2402:No)。この場合、電力制御部117は、稼働スケジュールの更新を回避し、稼働スケジュール及び料金情報を参照して買電単価が買電閾値よりも高い時間帯で余剰電力が負(電力が不足した状態)で推移しているか否かを判別する(ステップS2411)。買電閾値は、需要家の所望する値に設定することができる。
シフト判別部116が、買電単価が買電閾値よりも高い時間帯に余剰電力が正で推移する時間帯が存在すると判別すると(ステップS2411:No)、そのままステップS2410の処理が実行される。一方、シフト判別部116が、買電単価が買電閾値よりも高い時間帯で余剰電力が負(電力が不足した状態)で推移していると判別したとする(ステップS2411:Yes)。この場合、電力制御部117は、料金記憶部121から取得した各時間帯の買電単価を参照して、買電価格が買電閾値以下の時間帯で蓄電池410を充電する旨の充電指令を蓄電PCS420へ送信する(ステップS2412)。即ち、電力制御部117は、買電単価が買電閾値以下の時間帯で蓄電池410を充電するよう蓄電PCS420を制御する。その後、ステップS2410の処理が実行される。
また、シフト判別部116が対象機器500のシフト可否情報が「可(シフト可能)」に設定されていると判別すると(ステップS2402:Yes)、誤差算出部120は、可能性のある発電量予測値の中で最小である最小発電量を算出する(ステップS2403)。具体的には、誤差算出部120は、気象予報情報に対応する複数の気象条件の中から、的中率が的中率閾値以上の気象条件を選出し、選出した気象条件それぞれに対応する発電量予測値の中で最小のものを最小発電量とする。誤差算出部120は、的中率記憶部127から気象予報情報に対応する複数の気象条件それぞれの的中率を取得する。
的中率記憶部127は、図15で表されるような的中率情報を記憶している。図15中に示された数字は、各気象条件が予報として与えられた場合の実際の気象条件それぞれの的中率を示している。誤差算出部120は、的中率が的中率閾値よりも大きい気象条件における発電量予測値を候補として特定する。例えば図15に示すように、気象予報が「晴れ」の場合、実際に「晴れ」である確率が80%であり、「雨」である確率が7%であり、実際に「曇り」である確率が13%であるとする。この場合、誤差算出部120は、的中率閾値が10%に設定されていると、「晴れ」と「曇り」とを選出する。次に、誤差算出部120は、発電量履歴記憶部125から発電量の履歴、気象情報記憶部126から気象実績情報を取得し、発電量を時間帯と気象条件とに基づいて分類した後、分類毎に発電量の平均値を算出する。そして、誤差算出部120は、発電量予測値の算出対象の時間帯における「晴れ」と「曇り」とのそれぞれに対応する分類の発電量の平均値を特定する。その後、誤差算出部120は、特定した「晴れ」と「曇り」とに対応する発電量の平均値のうち最小の発電量の平均値を最小発電量とする。具体的には、誤差算出部120は、「曇り」に対応する発電量の平均値が「晴れ」に対応する発電量の平均値よりも小さいので、「曇り」に対応する発電量の平均値を最小発電量とする。
図12に戻って、誤差算出部120は、過去の複数日それぞれの各時間帯に機器500全てで消費される総消費電力の中から、各時間帯における過去最大の総消費電力である最大総消費電力量を特定する(ステップS2404)。具体的には、誤差算出部120は、消費電力履歴記憶部122から取得した、過去の複数日それぞれの各時間帯に機器500全てで消費される総消費電力量の履歴から、各時間帯における過去最大の総消費電力である最大総消費電力を特定する。
次に、シフト判別部116は、対象機器500の当初稼働時間帯を、余剰電力が正の時間帯に含まれる別の時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新したと仮定した場合、更新後の稼働時間帯において最小発電量が最大総消費電力よりも大きいか否かを判別する(ステップS2405)。
シフト判別部116が、シフト先の時間帯全体において最小発電量が最大総消費電力よりも大きいと判別すると(ステップS2405:Yes)、電力制御部117は、対象機器500の当初稼働時間帯をシフトさせる形で稼働スケジュールを更新する(ステップS2409)。
続いて、シフト判別部116は、稼働スケジュールのシフトの可否の判別を実行していない対象機器500が他に存在するか否かを判別する(ステップS2410)。シフト判別部116がシフト可否の判別を実行していない対象機器500が他に存在しない場合と判別すると(ステップS2410:No)、図8の消費優先モード時の処理に戻る。
一方、シフト判別部116は、シフト可否の判別を実行していない対象機器500が他に存在する場合(ステップS2410:Yes)、シフト可否の判別を実行していない他の対象機器500を特定する(ステップS2413)。そして、再びステップS2401の処理が実行される。
また、シフト判別部116は、更新後の稼働時間帯全体において最小発電量が最大総消費電力よりも小さくなる時間帯が存在すると判別したとする(ステップS2405:No)。例えば図16に示すように、更新後の稼働時間帯ST3が、最小発電量L31が最大総消費電力L33よりも大きい時間帯を含む場合、シフト判別部116は、更新後の稼働時間帯全体において最小発電量が最大総消費電力よりも小さくなる時間帯が存在すると判別する。この場合、誤差算出部120は、最小発電量が最大総消費電力よりも小さくなる時間帯における余剰電力の誤差に対応する電力量を算出する(ステップS2406)。具体的には、誤差算出部120は、最小発電量が最大総消費電力よりも小さくなる時間帯において、最小発電量と最大総消費電力との差分である余剰電力の誤差の推移を算出し、算出した誤差の推移を積分して得られる電力量を余剰電力の誤差に対応する電力量とする。例えば図16の場合、誤差算出部120は、最小発電量L31が最大総消費電力L33よりも小さい時間帯における余剰電力の誤差に対応する電力量G1を算出する。
その後、電力制御部117は、対象機器500の稼働開始時刻までに蓄電池410を充電できるか否かを判別する(ステップS2407)。具体的には、電力制御部117は、まず、稼働スケジュール記憶部123の対象機器500の稼働スケジュールを参照して、対象機器500が稼働を開始する稼働開始時刻を取得する。そして、電力制御部117は、稼働開始時刻までの時間が、蓄電池410の残量が少なくとも余剰電力の誤差に対応する電力量G1になるまで蓄電池410を充電するのに要する時間以上であるか否かを判別する。具体的には、電力制御部117は、蓄電池410の単位時間当たりの充電量を蓄電PCS420から取得し、余剰電力の誤差に対応する電力量G1に相当する充電量を蓄電池410の単位時間当たりの充電量で除して得られる時間と、稼働開始時刻までの時間とを比較する。
電力制御部117は、対象機器500の稼働開始時刻までに蓄電池410を充電できないと判別すると(ステップS2407:No)、電力制御部117は、料金記憶部121から取得した各時間帯の買電単価を参照して、買電単価が買電閾値以下の時間帯に充電する旨の充電指令を蓄電PCS420へ送信する(ステップS2412)。
一方、電力制御部117は、対象機器500の稼働開始時刻までに蓄電池410の充電が可能と判別すると(ステップS2407:Yes)、電力制御部117は、直ちに充電指令を蓄電PCS420へ送信する(ステップS2408)。その後、電力制御部117は、対象機器500の稼働スケジュールを更新する(ステップS2409)。その後、ステップS2410の処理が実行される。
<シフト可否判別処理>
次に、前述のシフト判別部116が制御決定処理の最初に実行するシフト可否判別処理(図12に示すステップS2401)について図17を参照しながらより詳細に説明する。シフト判別部116は、主として、スケジュール更新の可否を判別する対象である対象機器500について当初稼働時間帯を別の時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新した場合、更新後の稼働時間帯で余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化するか否かにより稼働スケジュールの更新可否を判別する。
まず、シフト判別部116は、余剰電力算出部115により算出された余剰電力が正の時間帯を特定する(ステップS2451)。次に、シフト判別部116は、稼働スケジュール記憶部123及び機器電力記憶部124を参照して、対象機器500の当初稼働時間帯における消費電力の推移を算出する(ステップS2452)。
稼働スケジュール記憶部123は、例えば図18に示すように、スケジュールIDと機器情報と動作情報と稼働時間帯のシフト可否と稼働開始時刻と稼働終了時刻とを対応付けて記憶している。図18の稼働終了時刻における「機器依存」とは、対象とする機器500の設定に応じて変化することを意味する。また、機器電力記憶部124は、例えば図19に示すように、機器IDと機器情報と動作情報と消費電力と所要時間とを対応付けて記憶している。図19の所要時間における「N/A」とは、所要時間が定まっていないことを意味する。ここにおいて、シフト判別部116は、図18のスケジュールID「01」に対応する稼働開始時刻及び稼働終了時刻の間の時間帯を稼働時間帯と特定する。また、シフト判別部116は、図18のスケジュールID「01」に対応する機器情報、動作情報から、対象機器500が空調機器であり稼働時間帯において冷房動作を実行すると特定する。そして、シフト判別部116は、図19の空調機器に対応する機器ID510の動作情報「冷房」に対応する消費電力250[W]を対象機器500の稼働時間帯における消費電力予測値とする。このようにして、シフト判別部116は、各スケジュールIDについて、0時から24時までの各時間帯における対象機器500の消費電力予測値を求める。
図17に戻って、シフト判別部116は、ステップS2452の処理が実行された後、対象機器500の稼働スケジュールにおいて当初稼働時間帯の別の時間帯へのシフトが可能か否かを判別する(ステップS2453)。具体的には、シフト判別部116は、まず、余剰電力が正の時間帯の時間長が当初稼働時間帯の時間長よりも短いか否かを判別し、短いと判別した場合シフト不可能と判別する。また、シフト判別部116は、余剰電力が正の時間帯の時間長が当初稼働時間帯の時間長以上であると判別した場合、余剰電力が正の時間帯の中から当初稼働時間帯のシフト先の時間帯を選定する。そして、シフト判別部116は、図13に示すように当初稼働時間帯ST1を、選定した別の時間帯ST2にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新しても、更新後の稼働時間帯ST2において余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化しない場合、稼働スケジュールの更新が可能と判別する。一方、シフト判別部116は、図14に示すように当初稼働時間帯ST1を、選定した別の時間帯ST2にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新すると、更新後の稼働時間帯ST2において余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化する場合、稼働スケジュールの更新が不可能と判別する。ここにおいて、シフト判別部116は、選定するシフト先の時間帯を、余剰電力が正の時間帯の最初の時間帯から最後の時間帯に向かってずらしながら、シフト後の稼働時間帯ST2において余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化するか否かを繰り返し判別する。そして、シフト判別部116は、シフト後の稼働時間帯ST2において余剰電力が負に変化しないと判別された時点で稼働スケジュールの更新が可能と判別する。
図17に戻って、シフト判別部116が、稼働スケジュールの更新が不可能と判別したとする(ステップS2453:No)。この場合、電力制御部117は稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「不可(シフト不可)」に設定する(ステップS2456)。その後、図12に示す制御決定処理に戻る。
一方、シフト判別部116が、稼働スケジュールの更新が可能と判別したとする(ステップS2453:Yes)。この場合、シフト判別部116は、スケジュール更新後において同一の対象機器500について、稼働時間帯が他のスケジュールIDに対応する稼働時間帯と重複するか否かを判別する(ステップS2454)。シフト判別部116が同一の対象機器500について稼働時間帯が重複すると判別した場合(ステップS2454:Yes)、電力制御部117は、稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「不可(シフト不可)」に設定する(ステップS2456)。一方、シフト判別部116がスケジュール更新後において同一の対象機器500について稼働時間帯が他のスケジュールIDに対応する稼働時間帯と重複しないと判別したとする(ステップS2454:No)。この場合、電力制御部117は稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「可(シフト可)」に設定する(ステップS2455)。その後、図12に示す制御決定処理に戻る。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力制御装置100は、予測された余剰電力の推移と、余剰電力の誤差の推移とに基づいて、蓄電池410の充放電を制御することにより、実際の余剰電力が算出された余剰電力を下回った場合における買電を抑制することができる。従って、需要家の経済性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る電力制御装置100では、発電量算出部114が、発電量履歴記憶部125から取得した過去の発電量の履歴から発電量予測値を算出する。また、消費電力算出部113が、消費電力履歴記憶部122から取得した過去の消費電力の履歴から消費電力予測値を算出する。そして、余剰電力算出部115が、算出した発電量予測値と消費電力予測値との差分から余剰電力の推移を予測する。これにより、電力制御部117は、余剰電力の推移に応じて稼働スケジュールを更新することができるので、例えば余剰電力が比較的多い時間帯に各機器500の稼働時間帯を集めることによる買電割合の低減を図ることができる。
更に、誤差算出部120は、過去の消費電力の履歴から、1日における各時間帯での最大消費電力を抽出し、各時間帯における最大消費電力と過去の発電量の履歴を用いて算出した発電量予測値との差分から余剰電力の誤差を算出する。これにより、例えば蓄電池410が余剰電力の誤差に対応する電力量を補償できる程度の電気を蓄えておくことで、発電設備300の発電量に余剰電力の誤差程度のばらつきが発生しても蓄電池410の放電により線路PLへの供給電力を安定させることができる。
本実施の形態に係る電力制御装置100では、シフト判別部116が、機器500の当初稼働時間帯をシフトさせる形で稼働スケジュールを更新した場合において、余剰電力が機器500の当初稼働時間帯全体で機器500の消費電力を上回っているとき、稼働スケジュールを更新すると判別する。これにより、稼働スケジュールを更新しても機器500の消費電力を余剰電力により確実に賄うことができるので、確実に買電量を低減することができる。
また、本実施の形態に係る電力制御装置100では、最大消費電力が発電量予測値よりも大きい時間帯が存在する場合、誤差算出部120が、その時間帯における余剰電力の誤差を積分して余剰電力の誤差に対応する電力量を算出する。そして、電力制御部117は、機器500の稼働開始時刻までの時間が、蓄電池410の残量が少なくとも余剰電力の誤差に対応する電力量になるまで蓄電池410を充電するのに要する時間以上である場合、蓄電池410を充電するよう制御する。これにより、蓄電池410に余剰電力の誤差に対応する電力量を補償できる程度の電気を確実に蓄えておくことができる。
更に、本実施の形態に係る電力制御装置100において、機器500の稼働開始時刻までの時間が、蓄電池410の残量が少なくとも余剰電力の誤差に対応する電力量になるまで蓄電池410を充電するのに要する時間未満であるとする。この場合、電力制御部117は、料金記憶部121の各時間帯の買電単価を参照して、買電単価が買電閾値以下の時間帯で蓄電池410を充電するよう制御する。これにより、蓄電池410が十分に充電されていない状態で機器500が動作開始してしまうことを防止できるので、機器500の動作を安定させることができる。
本実施の形態に係る電力制御装置100では、電力制御部117が、シフト判別部116により買電単価が買電閾値より高い時間帯において余剰電力が負(電力が不足した状態)で推移していると判別されると、買電単価が買電閾値以下の時間帯で蓄電池410を充電するよう制御する。これにより、買電単価の低い時間帯に蓄電池410の充電を行うことができるので、蓄電池410の充電コストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態に係る電力制御装置100では、誤差算出部120が、気象情報記憶部126から取得した気象予報情報と的中率記憶部127から取得した的中率とから1日における各時間帯の気象条件を特定する。そして、誤差算出部120は、特定した気象条件と過去の発電量の履歴とを用いて発電量予測値を算出し、最大消費電力と最小発電量との差分から余剰電力の誤差を算出する。これにより、発電量予測値の精度が向上するので、買電量を抑制することができる。
更に、本実施の形態に係る電力制御装置100では、誤差算出部120が、気象予報情報に対応する複数の気象条件の中から、的中率が的中率閾値以上の気象条件を選出し、選出した気象条件それぞれに対応する発電量のうち最小の発電量を発電量予測値に設定する。これにより、余剰電力の誤差を大きく見積もることができ、その分、蓄電池410の充電量を多めに推移させることができるので、線路PLへの供給電力を安定させることができる。
また、本実施の形態に係る電力制御装置100では、発電量算出部114が、過去の複数日における各時間帯の各気象条件の発電量の平均値から、1日における各時間帯の発電量予測値を算出する。また、消費電力算出部113は、過去の複数日における各時間帯の消費電力の平均値から、1日における各時間帯の消費電力予測値を算出する。これにより、過去の発電量や消費電力量に突発的な異常値が含まれていても、発電量予測値または消費電力量予測値の誤差を比較的低いレベルに抑えることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る電力制御装置は、実施の形態1で説明した機能に加えて、発電設備の発電量と機器の総消費電力との大小関係をリアルタイムで監視し、その大小関係に応じて各機器を適宜停止させることにより買電をできるだけ回避する機能を有する。
図20に示すように、本実施の形態に係る電力制御装置2100は、機器500を停止させるか否かを判別する停止判別部2113と、停止判別部2113の判別結果に基づいて機器500へ停止指令を送信する機器制御部2114と、を備える。なお、電力制御装置2100は、図3に示す構成は全て備えており、図20では実施の形態1と相違する構成のみを示し、実施の形態1と重複する構成は一部省略している。また、実施の形態1と同様の構成については、図1または図3に示した符号と同じ符号を使用して説明する。ここにおいて、各機器500は、機器制御部2114から停止指令を受信すると動作を停止する機能を有する。また、補助記憶部30は、各機器500に関する設定情報を記憶する機器設定情報記憶部2119を有する。機器設定情報記憶部2119は、例えば洗濯機の注水洗濯時間及び脱水時間の設定情報等を記憶する。
停止判別部2113は、消費電力履歴記憶部122から総消費電力の履歴を取得し、発電量履歴記憶部125から発電量の履歴を取得して、現在の総消費電力と発電量との大小関係を判別する。そして、停止判別部2113は、現在の総消費電力と発電量との大小関係を判別結果に応じて、稼働スケジュールを参照して現在稼働中の機器500を選出し、選出した機器500の中から停止候補機器500を特定する。停止判別部2113は、稼働スケジュールを参照して、特定した停止候補機器500の機器情報及び動作情報から停止候補機器500の機器種別と現在の動作状況とを取得し、停止候補機器500を停止させるか否かを判別する。
機器制御部2114は、停止判別部2113の判別結果に応じて、停止候補機器500へ停止指令を、宅内ネットワークN1を介して各機器500へ送信する。また、機器制御部2114は、料金記憶部121から取得した料金情報に基づいて、停止させた停止候補機器500の運転再開時期を特定して停止候補機器500の稼働スケジュールを更新する。そして、機器制御部2114は、稼働スケジュールを更新すると、その旨を通知する更新通知を、停止させた停止候補機器500へ送信する。
次に、本実施の形態に係る電力制御装置2100の動作について説明する。電力制御装置2100は、図21に示すように、消費優先モード時において、ステップS210からステップS240までの処理を実行した後、適宜機器500を停止させることにより買電をできるだけ回避する買電回避処理(ステップS250)を実行する。なお、図21において実施の形態1と同様の処理については図8と同一の符号を付している。
ここで、電力制御装置100が実行する買電回避処理について図22を参照しながら詳細に説明する。まず、停止判別部2113は、機器500の総消費電力が発電設備300の発電量を上回っているか否かを判別する(ステップS2501)。停止判別部2113は、総消費電力が発電量以下である限り(ステップS2501:No)、待機状態を維持する。
一方、停止判別部2113は、総消費電力が発電量を上回ると(ステップS2501:Yes)、料金記憶部121から取得した料金情報を参照して、買電単価が現在より低い時間帯が存在するか否かを判別する(ステップS2502)。停止判別部2113が、買電単価が現在より低い時間帯が存在しないと判別すると(ステップS2502:No)、そのままステップS2514の処理が実行される。一方、停止判別部2113は、買電単価が現在より低い時間帯が存在すると判別すると(ステップS2502:Yes)、1つの停止候補機器500を特定する(ステップS2503)。
次に、停止判別部2113は、特定した停止候補機器500が給湯器であるか否かを判別する(ステップS2504)。具体的には、停止判別部2113は、稼働スケジュール記憶部123から取得した停止候補機器500の稼働スケジュールに含まれる機器情報に基づいて、特定した停止候補機器500が給湯器であるか否かを判別する。停止判別部2113は、特定した停止候補機器500が給湯器であると判別すると(ステップS2504:Yes)、要求湯量に対する停止候補機器500が現在までに沸かした湯量の比率が湯量閾値以上であるか否かを判別する(ステップS2510)。湯量閾値は、需要家の所望する値に設定することができ、例えば0.9(90%)に設定される。また、停止判別部2113は、停止対象機器500の稼働スケジュールを参照して、現在時刻の稼働開始時刻からの経過時間と、稼働開始時刻から稼働終了時刻までの時間との比率を算出し、算出した比率から現在までに沸かした湯量を見積もる。
停止判別部2113が、要求湯量に対する停止候補機器500が現在までに沸かした湯量の比率が湯量閾値以上であると判別したとする(ステップS2510:Yes)。この場合、機器制御部2114は、停止指令を停止候補機器500へ送信する(ステップS2506)。停止候補機器500は、機器制御部2114から停止指令を受信すると、動作を停止する。従って、需要家は、必要量に対して湯量閾値で規定される割合以上、例えば必要量の90%以上の湯量を得られることになる。
一方、停止判別部2113は、要求湯量に対する停止候補機器500が現在までに沸かした湯量の比率が湯量閾値未満であると判別すると(ステップS2510:No)、稼働スケジュールを参照して、他に停止候補機器500が存在するか否かを判別する(ステップS2512)。停止判別部2113は、他に停止候補機器500が存在すると判別すると(ステップS2512:Yes)、他の停止候補機器500を特定する(ステップS2513)。その後、ステップS2504の処理が実行される。一方、停止判別部2113が、他に停止候補機器500が存在しないと判別すると(ステップS2512:No)、ステップS2514の処理が実行される。
また、停止判別部2113は、特定した停止候補機器500が給湯器でないと判別すると(ステップS2504:No)、特定した停止候補機器500が洗濯機であるか否かを判別する(ステップS2505)。停止判別部2113は、停止候補機器500の稼働スケジュールに含まれる機器情報に基づいて、特定した停止候補機器500が洗濯機であるか否かを判別する。停止判別部2113は、特定した停止候補機器500が洗濯機であると判別すると(ステップS2505:Yes)、洗濯機の動作段階が脱水段階であるか否かを判別する(ステップS2511)。具体的には、停止判別部2113は、停止候補機器500の稼働スケジュールを参照して、現在時刻の稼働開始時刻からの経過時間と、稼働開始時刻から稼働終了時刻までの時間との比率を算出し、算出した比率から洗濯機の動作段階が脱水段階であるか否かを判別する。例えば、洗濯機の稼働時間全体の長さが30分であり、初めの20分が注水洗濯時間、残りの10分が脱水時間に設定されているとする。ここで、停止判別部2113は、注水洗濯時間及び脱水時間の設定を機器設定情報記憶部2119から取得する。この場合、停止判定部2113は、算出した比率が0.2である場合、洗濯機の動作段階が脱水段階でないと判別する。
停止判別部2113が特定した停止候補機器(洗濯機)500が脱水段階でないと判別すると(ステップS2511:No)、機器制御部2114は、停止指令を停止候補機器500へ送信する(ステップS2506)。停止候補機器500は、機器制御部2114から停止指令を受信すると、動作を停止する。これにより、洗濯機は、脱水段階以外の動作段階、例えば洗濯機の槽内に注水された状態で停止するので、洗濯中の衣類にしわがよったりにおいが付着したりすることを抑制できる。一方、停止判別部2113が、特定した停止候補機器(洗濯機)500が脱水段階であると判別すると(ステップS2511:Yes)、ステップS2512の処理が実行される。
機器制御部2114は、ステップS2506の処理を実行した後、停止候補機器500の運転再開時期を特定する(ステップS2507)。具体的には、機器制御部2114は、料金記憶部121から取得した料金情報を参照して、直近で現在よりも買電単価が低い時間帯の開始時刻を停止候補機器500の運転再開時期と特定する。例えば料金情報が図5に示す買電単価の時間推移を示し、発電量及び総消費電力が、図23に示すような時間推移を示すとする。この場合、買電単価が35[円/kWh]である時刻T1に総消費電力が発電量を上回ると、電力制御部117は、直近で買電単価が28[円/kWh]に低下する時刻T2を停止候補機器500の運転再開時期と特定する。
続いて、機器制御部2114は、特定した運転再開時期に基づいて、停止させた停止候補機器500の稼働スケジュールを更新する(ステップS2508)。具体的には、機器制御部2114は、まず停止候補機器500に停止指令を送信した時点における停止候補機器500の残りの稼働期間の時間長を算出する。そして、機器制御部2114は、特定した運転再開時期から算出した時間長だけ稼働するように稼働スケジュールを更新する。
その後、機器制御部2114は、停止させた停止候補機器500の稼働スケジュールを更新した旨を通知する更新通知を、停止させた停止候補機器500へ送信する(ステップS2509)。停止候補機器500は、更新通知を受信すると、宅内ネットワークN1を介して、稼働スケジュール記憶部123から更新後の稼働スケジュールを取得する。
次に、停止判別部2113は、操作部60を介して買電回避処理を終了する旨の終了指令が有ったか否かを判別する(ステップS2514)。停止判別部2113により終了指令が無いと判別される限り(ステップS2514:No)、ステップS2501からステップS2513までの一連の処理が繰り返し実行される。一方、停止判別部2113により終了指令が有ったと判別されると(ステップS2514:Yes)、図21に示す消費優先モード処理に戻る。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力制御装置2100は、発電設備300の発電量と機器500の総消費電力との大小関係に応じて適宜機器500を停止させる。これにより、買電を抑制することができるので、需要家の経済性を向上させることができる。
[変形例]
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記各実施の形態によって限定されるものではない。例えば、消費電力算出部113が、過去の稼働スケジュールを記憶する過去稼働スケジュール記憶部3123と、機器電力記憶部124とを参照して、各時間帯における消費電力予測値を算出してもよい。
過去稼働スケジュール記憶部3123は、例えば図25に示すように、スケジュールIDと機器情報と動作情報と稼働開始時刻と稼働終了時刻とが対応付けられて記録されている。消費電力算出部113は、図25のスケジュールID「101」に対応する開始時刻、終了時刻と、図19の機器ID510の動作情報「冷房」に対応する消費電力とから6時から8時の時間帯の空調機器の消費電力予測値250[Wh]を算出する。このようにして、消費電力算出部113は、各スケジュールIDについて、0時から24時までの各時間帯での各対象機器500の消費電力を算出する。そして、消費電力算出部113は、各時間帯で各対象機器500の消費電力の総和を総消費電力として算出する。更に、消費電力算出部113は、例えば過去1ヶ月分の稼働スケジュールそれぞれについて各時間帯での総消費電力を算出する。その後、消費電力算出部113は、過去1ヶ月分の各時間帯における総消費電力の平均値を各時間帯における総消費電力予測値とする。
本構成によれば、消費電力算出部113は、過去稼働スケジュール記憶部3123に記憶されていない機器の総消費電力への影響を除去した形で総消費電力予測値を算出する。これにより、機器500それぞれの過去の消費電力の実績を反映した形で、消費電力予測値を算出することができる。
各実施の形態では、シフト判別部116が、対象機器500の当初稼働時間帯を別の時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新すると、更新後の稼働時間帯で余剰電力が負(電力が不足した状態)に変化するか否かで稼働スケジュールの更新可否を判別する構成について説明した。但し、シフト判別116の稼働スケジュール更新の判別基準はこれに限定されない。例えば、シフト判別部116は、気象情報記憶部126から取得した気象予報情報が示す余剰電力が正の時間帯における気象条件に応じて、稼働スケジュールの更新可否を判別するようにしてもよい。気象予報が「曇り」や「雨」の場合、発電設備300での発電量は予測しにくい。そこで、シフト判別部116は、余剰電力が正の時間帯における気象予報が「曇り」や「雨」の場合、無条件に稼働スケジュールの更新が不可能と判別するようにしてもよい。
また、シフト判別部116は、気象情報記憶部126から取得した気象予報情報とともに的中率記憶部127から取得した的中率に基づいて、稼働スケジュールの更新可否を判別するようにしてもよい。例えば、余剰電力が正の時間帯における「曇り」や「雨」の的中率が的中率閾値以上である場合、シフト判別部116は、無条件に稼働スケジュールの更新が不可能と判別するようにしてもよい。
本構成によれば、対象機器500の当初稼働時間帯を、発電設備300での発電量が予測しにくい別の時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新することを回避する。これにより、発電設備300の発電量のばらつきに起因した買電の増加を抑制することができる。
更に、シフト判別部116が、単に算出された余剰電力が、設定された余剰電力閾値よりも高い時間帯間が存在する場合、対象機器500の当初稼働時間帯を、算出された余剰電力が閾値よりも高い時間帯にシフトする形で稼働スケジュールを更新する構成でもよい。
この変形例に係る電力制御装置4100のシフト可否判別処理について図26を参照しながら詳細に説明する。まず、シフト判別部116は、余剰電力算出部115から入力される余剰電力の推移において余剰電力閾値以上の大きさで推移する時間帯が存在するか否かを判別する(ステップS5451)。余剰電力閾値は、例えば900kWに設定される。
シフト判別部116が、余剰電力が余剰電力閾値以上の大きさで推移する時間帯が存在しないと判別したとする(ステップS5451:No)。この場合、電力制御部117は、稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「不可(シフト不可)」に設定する(ステップS5455)。その後、図12に示す制御決定処理に戻る。
一方、シフト判別部116が、余剰電力が余剰電力閾値以上の時間帯が存在すると判別したとする(ステップS5451:Yes)。この場合、シフト判別部116は、余剰電力が余剰電力閾値以上の時間帯の時間長が、当初稼働時間帯の時間長よりも短いか否かを判別する(ステップS5452)。
シフト判別部116により余剰電力が余剰電力閾値以上の時間帯の時間長が、当初稼働時間帯の時間長よりも短いと判別されると(ステップS5452:Yes)、電力制御部117は、稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「不可(シフト不可)」に設定する(ステップS5455)。一方、シフト判別部116が、余剰電力が余剰電力閾値以上の時間帯の時間長が、当初稼働時間帯の時間長以上であると判別したとする(ステップS5452:No)。この場合、シフト判別部116は、スケジュール更新後において同一の対象機器500について、稼働時間帯が他のスケジュールIDに対応する稼働時間帯と重複するか否かを判別する(ステップS5453)。
シフト判別部116が同一の対象機器500について稼働時間帯が重複すると判別した場合(ステップS5453:Yes)、電力制御部117は、稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「不可(シフト不可)」に設定する(ステップS5455)。一方、シフト判別部116がスケジュール更新後において同一の対象機器500について稼働時間帯が他のスケジュールIDに対応する稼働時間帯と重複しないと判別したとする(ステップS5453:No)。この場合、電力制御部117は稼働スケジュールにおける対象とするスケジュールIDのシフト可否情報を「可(シフト可)」に設定する(ステップS5454)。その後、図12に示す制御決定処理に戻る。
本構成によれば、電力制御装置4100が実行するシフト可否判別処理が簡素化されるので、電力制御装置4100の処理負担を軽減することができる。
各実施の形態では、消費電力算出部113が過去の複数日における各時間帯の消費電力の平均値を将来の各時間帯における消費電力予測値とする例について説明した。これに限らず、例えば消費電力算出部113が、過去の複数日における各時間帯の消費電力のメジアン、最大値または最小値を将来の各時間帯における消費電力予測値とする構成であってもよい。また、各実施の形態では、発電量算出部114が過去の複数日における各時間帯の各気象条件の発電量の平均値から、1日における各時間帯の発電量予測値を算出する例について説明した。具体的には、発電量算出部114は、過去の複数日における発電量を時間帯と気象条件とに基づいて分類した後、分類毎に発電量の平均値を算出する。これに限らず、例えば、発電量算出部114は、過去の複数日における発電量を時間帯と気象条件とに基づいて分類した後、分類毎にメジアン、最大値または最小値を算出する構成であってもよい。
各実施形態では、電力制御装置が住宅Hに配置された場合について説明したが、電力制御装置を住宅H外に配置するようにしてもよい。例えば、広域ネットワークN3に接続された電力制御用のサーバを電力制御装置として機能させてもよい。
例えば、図27に示すように、電力制御システム5001では、電力制御装置5100が住宅H外に配置されている。なお、図27において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。電力制御装置5100は、住宅H内に設置されたルータ700を介して蓄電設備400の制御等を実行する。
各実施の形態では、シフト判別部116が、算出された余剰電力と余剰電力の誤差とに基づいて、蓄電設備400の蓄電池410の充放電を制御する例について説明した。これに限らず、例えばシフト判別部116が、単に算出された余剰電力が、設定された余剰電力閾値よりも高い時間帯間が存在する場合、対象機器500の稼働時間帯を、算出された余剰電力が閾値よりも高い時間帯にシフトする形で稼働スケジュールを更新する構成でもよい。
図28に示すように、この変形例に係る電力制御装置4100は、余剰電力算出部115から入力される余剰電力の推移に基づいて、稼働スケジュールの停止候補機器を特定するシフト判別部4116を備える。
この変形例に係る電力制御装置4100の制御決定処理について図29を参照しながら詳細に説明する。まず、シフト判別部4116は、余剰電力算出部115から入力される余剰電力の推移において余剰電力閾値以上の大きさで推移する時間帯が存在するか否かを判別する(ステップS4241)。余剰電力閾値は、例えば900kWに設定される。
シフト判別部4116により余剰電力が余剰電力閾値以上の大きさで推移する時間帯が存在しないと判別されると(ステップS4241:No)、電力制御部117は、買電単価が買電閾値以下の時間帯で充電する旨の指令を、蓄電PCS420へ送信する(ステップS4243)。
一方、シフト判別部4116により余剰電力が余剰電力閾値以上の大きさで推移する時間帯が存在すると判別されると(ステップS4241:Yes)、電力制御部117は、対象機器500の稼働スケジュールをシフトさせる(ステップS4242)。具体的には、シフト判別部4116は、まず、稼働スケジュール記憶部123及び機器電力記憶部124を参照して、各機器500の稼働時間帯における消費電力を算出する。そして、シフト判別部4116は、消費電力を算出した対象機器500の中から、消費電力が余剰電力閾値未満であり且つ稼働時間が余剰電力閾値以上の大きさで余剰電力が推移する時間帯の時間長よりも短い対象機器500を特定する。そして、電力制御部117は、シフト判別部4116が特定した対象機器500の当初稼働時間帯を別の時間帯にシフトさせる形で稼働スケジュールを更新する。
本構成によれば、電力制御装置4100が実行する処理の内容が簡素化されるので、電力制御装置4100の処理負担を軽減できる。
各実施の形態では、電力制御システム1が住宅に設置される例について説明したが、設置場所は住宅に限られず、例えば公共施設等の機器500が使用される住宅以外の場所に設置されてもよい。また、蓄電設備400は、いわゆる定置型の蓄電設備に限定されるものではなく、例えば電気自動車であってもよい。
また、本発明に係る電力制御装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD−ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する電力制御装置を構成してもよい。
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS)にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する電力制御装置として機能する。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。