以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る振れ補正装置の構成を示すブロック図であり、該振れ補正装置を備えたレンズ鏡筒がカメラボディに装着された状態を示している。なお、本実施形態は、レンズ鏡筒がデジタル一眼レフカメラのカメラボディに装着された場合を例にして説明する。
図1に示すように、デジタル一眼レフカメラ1(以下、カメラ1と略記する。)のカメラボディ3には、カメラボディ3側の全動作を制御するボディ側制御部5が設けられている。ボディ側制御部5には、レリーズボタン7の半押しによりオンする半押しスイッチ9と、レリーズボタン7の全押しによりオンする全押しスイッチ11と、オン状態で電源が投入され振れ補正関連の動作を含めたほぼ全てのカメラボディ3側の動作が許可され、オフ状態でほぼ全てのカメラボディ3側の動作を禁止するためのメインスイッチ13が接続されている。さらに、ボディ側制御部5には、オン状態でライブビューを作動させるためのライブビュースイッチ15が接続されている。
ボディ側制御部5は、半押しスイッチ9、全押しスイッチ11、メインスイッチ13、ライブビュースイッチ15のそれぞれの状態を認識することが可能である。また、レンズ間通信回路17を介して、レンズ鏡筒18が装着された状態でレンズ鏡筒18と通信している。その他、カメラボディ3は、シャッタ機構19が備えられ、公知の技術による駆動回路を用いてボディ側制御部5により制御されている。また、各回路を作動させるため、および、レンズ鏡筒18に供給するための電源21、その他電気的な回路等を備えている。また、撮影した画像を保存するための記憶手段23を備えている。
図1に示すように、レンズ鏡筒18は、カメラ1のカメラボディ3に装着されている。レンズ鏡筒18には撮影光学系27が備えられている。撮影光学系27は被写体側(図1の紙面左方)から順に光軸Lに沿ってレンズ群28、29、30を備えている。これらレンズ群28、29、30のうちのレンズ群29は、光軸Lに対して直角に交わる方向に移動することによって像振れを補正するためのレンズである(以下、補正レンズ29という。)。補正レンズ29は、光軸Lに対して直角に交わる方向に移動することができるように支持部33に支持されている。これらレンズ群28、29、30からなる撮影光学系27を通過した被写体(図示省略)からの光は、カメラボディ3に設けられた撮像素子(図示省略)に結像する。撮像素子はCCDまたはCMOSを用いている。
図1に示すように、レンズ鏡筒18には、振れ補正装置35が備えられている。補正装置35は、補正レンズ29と、振れ検出回路37と、レンズ側制御部39と、補正レンズ位置検出回路41と、補正レンズ駆動回路43と、振れ補正モードセレクタ45と、ボディ間通信回路51と、装着されるカメラボディの種類を判断する判断部61とを備えている。
振れ検出回路37は、レンズ鏡筒18に生じた振れを検出する。振れ検出回路37は、例えば2つの角速度センサ(図示省略)を備え、一方の角速度センサはヨーイング方向の角速度を検出し、他方の角速度センサはピッチング方向の角速度を検出する。検出されたこれらの角速度は振れ信号として出力され、レンズ側制御部39に入力される。
補正レンズ位置検出回路41は、補正レンズ29の位置を検出するための回路である。補正レンズ位置検出回路41は、例えば発光素子(図示省略)と受光素子(図示省略)とを備えた位置センサであり、補正レンズ位置検出回路41で検出された補正レンズ29の位置情報は、レンズ側制御部39にフィードバックされる。
補正レンズ駆動回路43は、振れ補正動作時に補正レンズ29を駆動するための回路である。レンズ側制御部39は、振れ検出回路37からの振れ信号と補正レンズ位置検出回路41からの補正レンズ29の位置情報とに基づいて補正レンズ29の移動目標位置を算出し、補正レンズ駆動回路43に対して、補正レンズ29を該移動目標位置まで移動するよう指示する。補正レンズ駆動回路43はレンズ側制御部39からの指示に基づき、ボイスコイルモータ(図示省略)を駆動し、補正レンズ29を目標位置に移動させる。また、補正レンズ駆動回路43は、後述するように、所定の条件の時に補正レンズ29を所定の位置に位置保持する際に、補正レンズ29を該所定の位置まで駆動し位置保持する。
レンズ鏡筒18には、振れ補正モードセレクタ45が備えられている。振れ補正モードセレクタ45は、撮影者が操作するスイッチであり、振れ補正を行う状態(振れ補正オン)と振れ補正を行わない状態(振れ補正オフ)とを選択できる。振れ補正モードセレクタ45は、レンズ側制御部39に設けられた振れ補正モードスイッチa47および振れ補正モードスイッチb49と連動している。
図2は、振れ補正モードセレクタ45の状態と、これに対応する振れ補正モードスイッチa47および振れ補正モードスイッチb49の状態を示すタイミングチャートである。
図2に示すように、振れ補正モードセレクタ45を「振れ補正オン」とすると、振れ補正モードスイッチa47は「オン状態」かつ振れ補正モードスイッチb49は「オフ状態」となる。また、振れ補正モードセレクタ45を「振れ補正オフ」とすると、振れ補正モードスイッチa47は「オフ状態」かつ振れ補正モードスイッチb49は「オン状態」となる。振れ補正モードセレクタ45は、公知の技術により、「振れ補正オン」から「振れ補正オフ」の状態へ、また、その逆の「振れ補正オフ」から「振れ補正オン」の状態へ変化させる場合、適当なクリック感によりその中間位置には停止しないような構成となっている。振れ補正モードセレクタ45が該中間位置にある場合、振れ補正モードスイッチa47および振れ補正モードスイッチb49は共に「オフ状態」となり、「振れ補正オン」から「振れ補正オフ」への変化、およびその逆への変化を認識できるようになっている。
レンズ側制御部39は、振れ補正モードスイッチa47および振れ補正モードスイッチb49の状態を認識すると共に、振れ補正装置35の制御を含めてレンズ鏡筒18内の全ての回路を制御している。また、レンズ鏡筒18がカメラボディ3に装着された状態で、ボディ間通信回路51を通じてカメラボディ3と通信している。また、レンズ鏡筒18内の回路の電源は、公知の技術によりカメラボディ3から供給されている。
次に、補正レンズ29の支持構造について説明する。図3は、補正レンズ29を支持する支持部33の構成を示す模式図である。図3に示すように、支持部33は、補正レンズ29を固定する枠部材53と、枠部材53を支持するベース部材55とを備えている。ベース部材55は図示しない支持構造によりレンズ鏡筒18内に固定されている。
補正レンズ29は枠部材53の中央部に固定されている。ベース部材55は枠部材53の径方向外方に配置される外周側部分57を有している。枠部材53は、枠部材53の外周側から径方向外方に延在する複数のばね部材59によってベース部材55の外周側部分に支持されている。各ばね部材59は一方端が枠部材53の外周側に固定され、他方端がベース部材55の外周側部分57に固定されている。本実施形態においては、枠部材53は周方向に等間隔に設けられた3つのばね部材59によってベース部材55に支持されている。すなわち、周方向に隣り合うばね部材59、59どうしは、互いのなす角度が光軸L方向から見て光軸Lを中心として120°となるように設けられている。このように、補正レンズ29は、枠部材53を介して複数のばね部材59によってベース部材55に支持されている。
枠部材53にはヨーイング方向用、およびピッチング方向用にそれぞれコイル(図示省略)が取り付けられている。一方、ベース部材55には各コイルに対応して永久磁石(図示省略)が取り付けられ、コイルと永久磁石とで前記ボイスコイルモータ(図示省略)を構成している。ヨーイング方向用、およびピッチング方向用のコイルに電流を流すことにより電磁力を発生し、枠部材53がそれぞれの方向に移動される。これにより、枠部材53に固定された補正レンズ29が光軸Lと直交する方向に移動することとなる。以後、「補正レンズ29」というときは、「枠部材53に固定された補正レンズ29」を表す。
図3に破線で示す円Sは、補正レンズ29の駆動範囲を示している。すなわち、振れ補正の動作時に補正レンズ29が駆動可能な最大の範囲である。言い換えると、円Sは、補正レンズ29が機械的に移動できる最大範囲を示している。
本実施形態においては、補正レンズ29は、上述したように3つのばね部材59によってのみベース部材55に支持されており、補正レンズ29を所定の位置にロックするための機械的なロック機構は有していない。機械的なロック機構とは、例えば、ラッチソレノイドを用いて補正レンズを光学中心、すなわち補正レンズ29の中心が撮影光学系27の光軸近傍に位置するように電磁的にロックする電磁ロック機構である。したがって、補正レンズ29は、振れ補正するための駆動制御がされていない状態においては、その位置が固定していない。言い換えると、レンズ鏡筒18の傾き状態に応じて、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ29の自重とがつり合う位置に位置することとなる。つまり、駆動制御がされていない状態においてレンズ鏡筒18が傾くと、その傾き方向および傾き量に応じて、補正レンズ29の位置が変化する。また、レンズ鏡筒18を急に動かしたり、動きを急に止めたりした場合には、補正レンズ29は前記つり合いの位置に落ち着くまで、3つのばね部材59の弾性力によって動き続けることとなる。
次に、レンズ鏡筒18が装着されたカメラボディ3について説明する。本実施形態に係るカメラボディ3は、カメラボディ3側の操作状態に応じてボディ側制御部5が各種の信号を出力する。出力された各信号は、レンズ間通信回路17を介して、装着されたレンズ鏡筒18に通信される。カメラボディ3側からレンズ鏡筒18に出力される信号は、具体的には、例えば、(1)メインスイッチ13(電源)をオンにすると、これに対応して出力される電源オン信号(第1トリガ信号)と、(2)メインスイッチ13(電源)をオフにすると、これに対応して出力される電源オフ信号と、(3)レリーズボタン7(図示省略)が半押しされると、これに対応して出力される半押しオン信号と、(4)レリーズボタン7の半押しがオフ状態になると、これに対応して出力される半押しオフ信号と、(5)レリーズボタン7が全押しされると、これに対応して出力される全押しオン信号と、(6)レリーズボタン7の全押しがオフ状態になると、これに対応して出力される全押しオフ信号と、(7)ライブビュースイッチ15がオン状態になると、これに対応して出力されるライブビューオン信号と、(8)ライブビュースイッチ15がオフ状態になると、これに対応して出力されるライブビューオフ信号と、である。
本実施形態においては、レンズ鏡筒18は、第1種別のカメラボディ3、及び、第1種別のカメラボディ3とは異なる第2種別のカメラボディ103に着脱可能である。レンズ鏡筒18の判断部61(図1参照)は、カメラボディから受信した識別信号に応じて装着されたカメラボディが第1種別のカメラボディ3であるか、第2種別のカメラボディ103であるかを判断する。
第1種別のカメラボディ3は、例えば、第2種別のカメラボディ103の機能に加えて更に新しい機能を有するカメラボディであってもよい。また、第1種別のカメラボディ3は、例えば、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、第2種別のカメラボディ103とは異なる動作をするものであってもよい。
また、例えば、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信するカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディであってもよい。
また、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信するカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディであってもよい。
また、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、ライブビューオン信号およびライブビューオフ信号の少なくとも一方をレンズ鏡筒18に送信するカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、ライブビューオン信号およびライブビューオフ信号の少なくとも一方をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディであってもよい。
第1種別のカメラボディ3は、レンズ鏡筒が接続され電源が投入されると、第1種別のカメラボディ3であることを識別するための識別信号(第1識別信号)をレンズ鏡筒に対して出力する。本実施形態に係るレンズ鏡筒18は、該識別信号をボディ間通信回路51を介して受信すると、装着されたカメラボディ3は第1種別のカメラボディ3であると判断部61(図1参照)が判断し、レンズ側制御部39はこれを認識する。
第2種別のカメラボディ103は、レンズ鏡筒18が装着され電源が投入されると、第2種別のカメラボディ103であることを識別するための識別信号(第2識別信号)をレンズ鏡筒に対して出力する。本実施形態に係るレンズ鏡筒18は、該識別信号をボディ間通信回路51を介して受信すると、装着されたカメラボディ103は第2種別のカメラボディ103であると判断部61(図1参照)が判断し、レンズ側制御部39はこれを認識する。
また、別の実施形態としては、第2種別のカメラボディ103は、第2種別のカメラボディ103であることを識別するための識別信号は出力しないものであってもよい。この場合、第2種別のカメラボディ103に本実施形態に係るレンズ鏡筒18が装着されると、レンズ鏡筒18は識別信号を受信しない。本実施形態に係るレンズ鏡筒18は、カメラボディに装着されても識別信号を受信しない場合、装着されたカメラボディは第2種別のカメラボディ103であると判断部が判断し、レンズ側制御部39はこれを認識する。
また、本実施形態に係るレンズ鏡筒18は、カメラボディに装着され電源が投入されると、装着されたカメラボディに対して所定の識別信号を出力する。第1種別のカメラボディ3は該所定の識別信号をレンズ間通信回路17を介して受信すると、ボディ側制御部5は、装着されたレンズ鏡筒は本実施形態に係るレンズ鏡筒18であること、すなわち補正レンズ29をロックするための電磁ロック機構を有さないレンズ鏡筒であることを認識する。一方、第2種別のカメラボディ103は、レンズ鏡筒18からの識別信号を受信しても、ボディ側制御部5は装着されたレンズ鏡筒が本実施形態に係るレンズ鏡筒18であることを認識することはできない。
また、別の実施形態としては、第2種別のカメラボディ103は、レンズ鏡筒18からの識別信号を受信すると、装着されたレンズ鏡筒は本実施形態に係るレンズ鏡筒18であること、すなわち補正レンズ29をロックするための電磁ロック機構を有さないレンズ鏡筒であることを認識するものであってもよい。
次に、本実施形態に係る振れ補正装置35を備えたレンズ鏡筒18の補正レンズ29の制御について、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合と第2種別のカメラボディ103に装着された場合とを比較しつつ説明する。
図4は、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態、すなわち振れ補正を行う状態における補正レンズ29の制御を示すタイムチャートであり、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合を示している。また、図5は、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態における補正レンズ29の制御を示すタイムチャートであり、レンズ鏡筒18が第2種別のカメラボディ3に装着された場合を示している。
振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態においては、補正レンズ29の制御は、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合と第2種別のカメラボディ103に装着された場合とは、ほぼ同一の制御となる。以下には、図4を参照して第1種別のカメラボディ3に装着された場合を説明するが、第2種別のカメラボ103に装着された場合は、レンズ鏡筒18がカメラボディ103を識別する工程と、レリーズボタン7が全押しされたことを判断する工程以外は、第1種別のカメラボディ3に装着された場合と同様である。
電源投入前は、補正レンズ29は駆動制御されていないので、定位置には保持されず、レンズ鏡筒18の傾きに応じてその位置は変化している。すなわち、上述したように、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ29の自重との釣り合いの位置に位置している。カメラボディ3側のメインスイッチ13がオンになり電源が投入されると、レンズ鏡筒とカメラボディとの初期通信が行われる。初期通信において、レンズ鏡筒18に第1種別のカメラボディ3が装着されているとき、第1種別のカメラボディ3は識別信号(第1識別信号)をレンズ鏡筒18に出力し、レンズ鏡筒18はレンズ鏡筒18の識別信号を第1種別のカメラボディ3に出力する。レンズ鏡筒18の判断部61は第1識別信号により、装着されたカメラボディが第1種別のカメラボディ3であると判断し、レンズ側制御部39はこれを認識する。なお、ボディ間通信回路51が第1識別信号を受信しなかった場合(第1識別信号とは異なる第2識別信号を受信した場合、又は、識別信号を受信しなかった場合)は、判断部61は装着されたカメラボディが第2種別のカメラボディ103であると判断し、レンズ側制御部39はこれを認識する。カメラボディ(第1種別のカメラボディ3または第2種別のカメラボディ103)は、レンズ鏡筒18から受信した受信信号に応じてレンズ鏡筒18を識別する。また、レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態であることを認識する。
図4において、第1種別のカメラボディ3のボディ側制御部5からは、メインスイッチ13がオンになると、これに対応して第1トリガ信号である電源オン信号が出力される。第1トリガ信号は、ボディ間通信回路51を介してレンズ側制御部39に入力される。なお、第1トリガ信号は、メインスイッチ13がオンになった後に1回だけ出力しても良いし、所定の間隔で定期的に出力されるようにしても良い。また、ここではまだレリーズボタン7は操作されておらず、半押しスイッチ9も全押しスイッチ11もオフである。
レンズ側制御部39は、第1トリガ信号が入力されても補正レンズ29の制御は行わない。したがって、補正レンズ29は定位置には保持されていない。そして、レリーズボタン7が半押しされ、半押しスイッチ9がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から半押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、半押しオン信号が入力されると、これを半押し補正開始信号として認識し、半押し振れ補正をするための補正レンズ29の駆動制御を開始する。半押し振れ補正は、例えば、後述する露光時振れ補正よりも補正量が小さい振れ補正である。具体的には、半押し補正開始信号を受信したときの補正レンズ29の位置からレンズ鏡筒18の振れに応じた振れ補正を開始する。この状態において、補正レンズ29は、図4に示すように、レンズ鏡筒18の振れに対応して補正レンズ19の駆動範囲内を移動する。
その後、レリーズボタン7が全押しされ、全押しスイッチ11がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から全押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されると、これを露光時振れ補正開始信号として認識し、露光時の振れ補正をするための補正レンズ29の駆動制御を開始する。具体的には、レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されると、補正レンズ29を駆動範囲の中心に位置させるように補正レンズ駆動回路43に指示する(センタリング指示)。補正レンズ駆動回路43によって補正レンズ29が駆動範囲の中心に位置すると、レンズ側制御部39はレンズ鏡筒18の振れに応じた振れ補正を開始する。そして露光が開始され、所定のシャッタ秒時が経過すると露光が終了する。
ここで、図5においても同様に、第2種別のカメラボディ103のボディ側制御部5からもレリーズボタン7が全押しされたことに対応する全押しオン信号は出力され(図5参照)レンズ側制御部39はレリーズボタン7が全押しされたと判断する。
再び図4を用いて説明する。ボディ側制御部5は、全押しスイッチ11がオフになると、これに対応して全押しオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、全押しオフ信号、又は、露光終了信号(図12参照)が入力されると露光時振れ補正を停止する。露光時振れ補正が停止すると、レンズ側制御部39は、引き続き半押し振れ補正を行うが、図4においては、全押しスイッチ11がオフになった直後に半押しスイッチ9もオフになっている。ボディ側制御部5は、半押しスイッチ9がオフになると、これに対応して半押しオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態においては、半押しオフ信号が入力されると、これを撮影終了に対応する第2トリガ信号として認識し、半押し振れ補正を停止する。
半押し振れ補正が停止すると、補正レンズ29は駆動制御されていない状態となる。すなわち、補正レンズ29は定位置には保持されていない状態となる。その後メインスイッチ13がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して電源オフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、電源オフ信号が入力されると、レンズ鏡筒18の状態を電気的にスリープ状態にする。以上が、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態における補正レンズ29の制御である。
次に、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態、すなわち振れ補正を行わない状態における補正レンズ29の制御について説明する。図6は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態における補正レンズ29の制御を示すタイムチャートであり、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合を示し、図7はレンズ鏡筒18が第2種別のカメラボディ103に装着された場合を示している。
振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態においては、補正レンズ29の制御は、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合と第2種別のカメラボディ103に装着された場合とでは、異なる制御となる。まず、図6を参照して、第1種別のカメラボディ3に装着された場合について説明する。なお、レンズ鏡筒18が装着されたカメラボディの種別を判断する工程の説明は上述した振れ補正オンの場合と同様なので、説明は省略する。
図6において、電源投入前は、補正レンズ29は駆動制御されていないので、定位置には保持されず、レンズ鏡筒18の傾きに応じてその位置は変化している。すなわち、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ29の自重との釣り合いの位置に位置している。カメラボディ3側のメインスイッチ13がオンになり電源が投入されると、レンズ鏡筒18のレンズ側制御部39は、初期通信により第1種別のカメラボディ3が装着されているか、第2種別のカメラボディ103が装着されているかを認識する。また、レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態であることを認識する。
第1種別のカメラボディ3のボディ側制御部5からは、メインスイッチ13がオンになると、これに対応して第1トリガ信号である電源オン信号が出力される。第1トリガ信号は、ボディ間通信回路51を介してレンズ側制御部39に入力される。ここではまだレリーズボタン7は操作されておらず、半押しスイッチ9も全押しスイッチ11もオフである。
レンズ側制御部39は、第1トリガ信号が入力されても補正レンズ29の制御は行わない。したがって、補正レンズ29は定位置には保持されていない。そして、その後レリーズボタン7が半押しされ、半押しスイッチ9がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から半押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、半押し信号が入力されても補正レンズ29の制御は行わない。したがって、補正レンズ29は定位置には保持されていない。
その後、レリーズボタン7が全押しされ、全押しスイッチ11がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から全押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されると、これを位置保持指示信号として認識し、補正レンズ29を所定位置に保持するための駆動制御を開始する。具体的には、レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されると、補正レンズ29を駆動範囲の中心に位置させるように補正レンズ駆動回路43に指示する。補正レンズ駆動回路43によって補正レンズ29が駆動範囲の中心に位置すると、レンズ側制御部39は、補正レンズ29をその位置に定位置保持するように補正レンズ駆動回路43に指示する。この状態において、補正レンズ29は、レンズ鏡筒18の傾き状態にかかわらず、駆動範囲の中心(図6中にAで示す位置)に位置保持される。そして露光が開始され、所定のシャッタ秒時が経過すると露光が終了する。
ボディ側制御部5は、全押しスイッチ11がオフになると、これに対応して全押しオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態においては、全押しオフ信号、又は、露光終了信号(図12参照)が入力されると、これを撮影終了に対応する第2トリガ信号として認識し、補正レンズ29の定位置保持を停止する。
補正レンズ29の定位置保持が停止すると、補正レンズ29は駆動制御されていない状態となる。すなわち、補正レンズ29は定位置には保持されていない状態となる。その後メインスイッチ13がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して電源オフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、電源オフ信号が入力されると、レンズ鏡筒18の状態を電気的にスリープ状態にする。以上が、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合の補正レンズ29の制御である。
なお、上記の説明では、補正レンズ29を補正レンズ29の駆動範囲の中心(図6中のAで示す位置)に位置保持したが、全押しオン信号が入力される直前の補正レンズ29の位置によっては、補正レンズ29を補正レンズ29の駆動範囲の中心まで移動させるとファインダ内の像が大きく動いてしまう場合がある。このようなことを防ぐために、例えば全押しオン信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置(図6中のBで示す位置)に位置保持するようにしても良いし、また、補正レンズ29の駆動範囲の中心と全押しオン信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置との中間位置(図6中のCで示す位置)に位置保持しても良い。この中間位置は、図6中のBの位置に位置保持するよりも光学性能が得られる位置である。また、図示はしないが、補正レンズ29の制御中心に位置保持しても良い。
次に、図7を参照しつつ、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態であって、レンズ鏡筒18が第2種別のカメラボディ103に装着された場合について説明する。なお、レンズ鏡筒18が装着されたカメラボディの種別を判断する工程の説明は上述した振れ補正オンの場合と同様なので、説明は省略する。
電源投入前は、補正レンズ29は駆動制御されていないので、定位置には保持されず、レンズ鏡筒18の傾きに応じてその位置は変化している。すなわち、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ19の自重との釣り合いの位置に位置している。カメラボディ103側のメインスイッチ13がオンになり電源が投入されると、レンズ鏡筒18のレンズ側制御部39は、初期通信により第1種別のカメラボディ3が装着されているか、第2種別のカメラボディ103が装着されているかを認識する。また、レンズ側制御部5は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態であることを認識する。
第2種別のカメラボディ103のボディ側制御部5からは、メインスイッチ13がオンになると、これに対応して第1トリガ信号である電源オン信号が出力される。第1トリガ信号は、ボディ間通信回路51を介してレンズ側制御部39に入力される。ここではまだレリーズボタン7は操作されておらず、半押しスイッチ9も全押しスイッチ11もオフである。
レンズ側制御部39は、第1トリガ信号が入力されると、これを位置保持指示信号として認識し、補正レンズ29を所定位置に保持するための駆動制御を開始する。具体的には、レンズ側制御部39は、第1トリガ信号が入力されると、補正レンズ29を駆動範囲の中心に位置させるように補正レンズ駆動回路43に指示する。補正レンズ駆動回路43によって補正レンズ29が駆動範囲の中心に位置すると、レンズ側制御部39は、補正レンズ29をその位置に定位置保持するように補正レンズ駆動回路43に指示する。この状態において、補正レンズ29は、レンズ鏡筒18の振れ状態にかかわらず、駆動範囲の中心(図7中にAで示す位置)に位置保持される。
その後、レリーズボタン7が半押しされ、半押しスイッチ9がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から半押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、半押し信号が入力されても補正レンズ29の定位置保持制御を維持する。
その後、レリーズボタン7が全押しされ、全押しスイッチ11がオンになっても、ボディ側制御部5からは、これに対応する信号は出力されない。レンズ側制御部5は、引き続き補正レンズ29の定位置保持制御を維持する。そして露光が開始され、所定のシャッタ秒時が経過すると露光が終了する。全押しスイッチ11がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して全押しオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、全押しオフ信号が入力されても補正レンズ29の定位置保持制御を維持する。
その後メインスイッチ13がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して電源オフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態においては、電源オフ信号が入力されると、補正レンズ29の定位置保持を停止する。
補正レンズ29の定位置保持が停止すると、補正レンズ29は駆動制御されていない状態となる。すなわち、補正レンズ29は定位置には保持されていない状態となる。レンズ側制御部39は、電源オフ信号が入力されると、レンズ鏡筒18の状態を電気的にスリープ状態にする。以上が、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタが振れ補正オフの状態において、レンズ鏡筒18が第2種別のカメラボディ103に装着された場合の補正レンズ29の制御である。
なお、上記の説明では、補正レンズ29を補正レンズ29の駆動範囲の中心(図7中のAで示す位置)に位置保持したが、第1種別のカメラボディ3に装着された場合と同様に、第1トリガ信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置(図7中のBで示す位置)に位置保持するようにしても良いし、また、補正レンズ29の駆動範囲の中心と第1トリガ信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置との中間位置(図7中のCで示す位置)に位置保持しても良い。また、図示はしないが、補正レンズ29の制御中心に位置保持しても良い。
このように、本実施形態によれば、振れ補正制御のオン、オフにかかわらず、良好な光学性能を有する振れ補正装置35を提供することができる。また、ラッチソレノイドを用いた電磁ロック機構を備えていないため、レンズ鏡筒18の小型化、および軽量化を図ることができる。
また、上述した実施形態では、第1種別のカメラボディ3及び第2種別のカメラボディ103が全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信する実施例を用いて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信するカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディであってもよい。このようにすることにより、レンズ鏡筒18は、第1種別のカメラボディ3が装着されているときには全押しオンの情報に応じて位置保持を開始することができ、第2種別のカメラボディ103が装着されているときには不要な全押しオンの情報を受信しない分だけ通信負荷を低減できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る振れ補正装置について説明する。第2実施形態に係る振れ補正装置135の構成は第1実施形態に係る振れ補正装置35と同様であるが、補正レンズ29の駆動制御が第1実施形態とは異なっている。したがって、本実施形態に係る振れ補正装置135の構成の説明は省略し、補正レンズ29の制御を中心に説明する。なお、第2実施形態に係る振れ補正装置135を備えたレンズ鏡筒118が装着されるカメラボディは、第1実施形態と同様に、第1種別のカメラボディ3と第2種別のカメラボディ103である。また、以下の説明においては第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一の符号を用いる。
図8は、レンズ鏡筒118の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態、すなわち振れ補正を行う状態における補正レンズ29の制御を示すタイムチャートであり、レンズ鏡筒118が第1種別のカメラボディ3に装着された場合を示し、図9はレンズ鏡筒118が第2種別のカメラボディ103に装着された場合を示している。
振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態において、レンズ鏡筒118が第1種別のカメラボディ3に装着された場合と第2種別のカメラボディ103に装着された場合について説明する。なお、レンズ鏡筒118が装着されたカメラボディの種別を判断する工程の説明は上述した第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
図8において、電源投入前は、補正レンズ29は駆動制御されていないので、定位置には保持されず、レンズ鏡筒118の傾きに応じてその位置は変化している。すなわち、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ29の自重との釣り合いの位置に位置している。カメラボディ3側のメインスイッチ13がオンになり電源が投入されると、レンズ鏡筒118のレンズ側制御部39は、初期通信により第1種別のカメラボディ3が装着されているか、第2種別のカメラボディ103が装着されているかを認識する。また、レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態であることを認識する。
第1種別のカメラボディ3のボディ側制御部5からは、メインスイッチ13がオンになると、これに対応して第1トリガ信号である電源オン信号が出力される。第1トリガ信号は、ボディ間通信回路51を介してレンズ側制御部39に入力される。なお、第1トリガ信号は、メインスイッチ13がオンになった後に1回だけ出力しても良いし、所定の間隔で定期的に出力されるようにしても良い。また、ここではまだレリーズボタン7は操作されておらず、半押しスイッチ9も全押しスイッチ11もオフである。
レンズ側制御部39は、第1トリガ信号が入力されても補正レンズ29の制御は行わない。したがって、補正レンズ29は定位置には保持されていない。その後ライブビュースイッチ15が操作されオン状態になると、これに対応して、ボディ側制御部5からライブビューオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、ライブビューオン信号が入力されると、これを半押し補正開始信号として認識し、半押し振れ補正をするための補正レンズ29の駆動制御を開始する。具体的には、半押し補正開始信号を受信したときの補正レンズ29の位置からレンズ鏡筒118の傾きに応じた振れ補正を開始する。この状態において、補正レンズ29は、図8に示すように、レンズ鏡筒118の傾きに対応して補正レンズ29の駆動範囲内を移動する。
そして、レリーズボタン7が半押しされ、半押しスイッチ9がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から半押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、半押しオン信号が入力されても、既に半押し振れ補正を行っているため、引き続き半押し振れ補正を行う。
その後、レリーズボタン7が全押しされ、全押しスイッチ11がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から全押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されると、これを露光時振れ補正開始信号として認識し、露光時の振れ補正をするための補正レンズ29の駆動制御を開始する。具体的には、レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されると、補正レンズ29を駆動範囲の中心に位置させるように補正レンズ駆動回路43に指示する(センタリング指示)。補正レンズ駆動回路43によって補正レンズ29が駆動範囲の中心に位置すると、レンズ側制御部39はレンズ鏡筒118の傾きに応じた振れ補正を開始する。そして露光が開始され、所定のシャッタ秒時が経過すると露光が終了する。
ボディ側制御部5は、全押しスイッチ11がオフになると、これに対応して全押しオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、全押しオフ信号が入力されると露光時振れ補正を停止する。露光時振れ補正が停止すると、レンズ側制御部39は、引き続き半押し振れ補正を行う。その後ライブビュースイッチ15がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応してライブビューオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態においては、ライブビューオフ信号が入力されると、これを撮影終了に対応する第2トリガ信号として認識し、半押し振れ補正を停止する。
半押し振れ補正が停止すると、補正レンズ29は駆動制御されていない状態となる。すなわち、補正レンズ29は定位置には保持されていない状態となる。その後メインスイッチ13がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して電源オフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、電源オフ信号が入力されると、レンズ鏡筒118の状態を電気的にスリープ状態にする。以上が、第2実施形態に係るレンズ鏡筒118の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態において、レンズ鏡筒118が第1種別のカメラボディ3に装着された状態の補正レンズ29の制御である。
図9は、レンズ鏡筒118の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オンの状態であって、第2実施形態に係るレンズ鏡筒118が第2種別のカメラボディ103に装着された場合を示す図であるが、図8と同様なので詳細な説明は省略する。
次に、第2実施形態に係るレンズ鏡筒118の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態、すなわち振れ補正を行わない状態における補正レンズ29の制御について説明する。図10は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態における補正レンズ29の制御を示すタイムチャートであり、レンズ鏡筒118が第1種別のカメラボディ3に装着された場合を示し、図11はレンズ鏡筒118が第2種別のカメラボディ103に装着された場合を示している。
振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態においては、補正レンズ29の制御は、レンズ鏡筒118が第1種別のカメラボディ3に装着された場合と第2種別のカメラボディ103に装着された場合とでは、異なる制御となる。まず、図10を参照して、第1種別のカメラボディ3に装着された場合について説明する。なお、レンズ鏡筒118が装着されたカメラボディの種別を判断する工程の説明は上述した第1実施形態の場合と同様なので、説明は省略する。
図10において、電源投入前は、補正レンズ29は駆動制御されていないので、定位置には保持されず、レンズ鏡筒118の傾きに応じてその位置は変化している。すなわち、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ29の自重との釣り合いの位置に位置している。カメラボディ3側のメインスイッチ13がオンになり電源が投入されると、レンズ鏡筒118のレンズ側制御部39は、初期通信により第1種別のカメラボディ3が装着されているか、第2種別のカメラボディ103が装着されているかを認識する。また、レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態であることを認識する。
また、第1種別のカメラボディ3のボディ側制御部5からは、メインスイッチ13がオンになると、これに対応して第1トリガ信号である電源オン信号が出力される。第1トリガ信号は、ボディ間通信回路51を介してレンズ側制御部39に入力される。ここではまだレリーズボタン7は操作されておらず、半押しスイッチ9も全押しスイッチ11もオフである。
レンズ側制御部39は、第1トリガ信号が入力されても補正レンズ29の制御は行わない。したがって、補正レンズ29は定位置には保持されていない。そして、レリーズボタン7が半押しされ、半押しスイッチ9がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から半押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、半押し信号が入力されても補正レンズ29の制御は行わない。したがって、補正レンズ29は定位置には保持されていない。
その後、ライブビュースイッチ15が操作されオン状態になると、これに対応して、ボディ側制御部5からライブビューオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、ライブビューオン信号が入力されると、これを位置保持指示信号として認識し、補正レンズ29を所定位置に保持するための駆動制御を開始する。具体的には、レンズ側制御部39は、ライブビューオン信号が入力されると、補正レンズ29を駆動範囲の中心に位置させるように補正レンズ駆動回路43に指示する。補正レンズ駆動回路43によって補正レンズ29が駆動範囲の中心に位置すると、レンズ側制御部39は、補正レンズ29をその位置に定位置保持するように補正レンズ駆動回路43に指示する。この状態において、補正レンズ29は、レンズ鏡筒118の傾き状態にかかわらず、駆動範囲の中心(図10中にAで示す位置)に位置保持される。
その後、レリーズボタン7が全押しされ、全押しスイッチ11がオンになると、これに対応して、ボディ側制御部5から全押しオン信号が出力される。レンズ側制御部39は、全押しオン信号が入力されても、補正レンズ29の定位置保持を維持する。そして露光が開始され、所定のシャッタ秒時が経過すると露光が終了する。ボディ側制御部5は、全押しスイッチ11がオフになると、これに対応して全押しオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、全押しオフ信号が入力されても、補正レンズ29の定位置保持を維持する。
その後、ライブビュースイッチ15がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応してライブビューオフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態においては、ライブビューオフ信号が入力されると、これを撮影終了に対応する第2トリガ信号として認識し、補正レンズ29の定位置保持を停止する。
補正レンズ29の定位置保持が停止すると、補正レンズ29は駆動制御されていない状態となる。すなわち、補正レンズ29は定位置には保持されていない状態となる。その後メインスイッチ13がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して電源オフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、電源オフ信号が入力されると、レンズ鏡筒118の状態を電気的にスリープ状態にする。以上が、第2実施形態に係るレンズ鏡筒118の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、レンズ鏡筒118が第1種別のカメラボディ3に装着された状態の補正レンズ29の制御である。
なお、上記の説明では、補正レンズ29を補正レンズ29の駆動範囲の中心(図10中のAで示す位置)に位置保持したが、第1実施形態と同様に、ライブビューオン信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置(図10中のBで示す位置)に位置保持するようにしても良いし、また、補正レンズ29の駆動範囲の中心とライブビューオン信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置との中間位置(図10中のCで示す位置)に位置保持しても良い。また、図示はしないが、補正レンズ29の制御中心に位置保持しても良い。
次に、図11を参照しつつ、レンズ鏡筒118の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態であって、第2実施形態に係るレンズ鏡筒118が第2種別のカメラボディ103に装着された場合について説明する。
第2種別のカメラボディ103のボディ側制御部5からは、ライブビューオン信号およびライブビューオフ信号は出力されない。したがって、第2実施形態に係るレンズ鏡筒118が第2種別のカメラボディ103に装着された場合の補正レンズ9の制御は、ライブビュースイッチ15とは独立してなされ、第1実施形態に係るレンズ鏡筒18が第2種別のカメラボディ103に装着された場合(図7参照)と同様の制御となる。すなわち、第1トリガ信号で補正レンズ29の定位置保持制御を開始し、電源オフ信号で定位置保持制御を停止する。
なお、補正レンズ29の保持位置は、補正レンズ29の駆動範囲の中心(図11中のAで示す位置)でも良いし、第1トリガ信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置(図11中のBで示す位置)に位置保持するようにして良いし、また、補正レンズ29の駆動範囲の中心と第1トリガ信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置との中間位置(図11中のCで示す位置)に位置保持しても良い。また、図示はしないが、補正レンズ29の制御中心に位置保持しても良い。
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、振れ補正制御のオン、オフにかかわらず、良好な光学性能を有する振れ補正装置135を提供することができる。また、電磁ロック機構を備えていないため、レンズ鏡筒118の小型化、および軽量化を図ることができる。
また、上述した実施形態では、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、ライブビューオン信号およびライブビューオフ信号をレンズ鏡筒18に送信するカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、ライブビューオン信号およびライブビューオフ信号をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディの実施例を用いて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、第1種別のカメラボディ3および第2種別のカメラボディ103が振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、ライブビューオン信号およびライブビューオフ信号をレンズ鏡筒18に送信するものであり、レンズ鏡筒18は、第2種別のカメラボディ103が装着されていると判断したときライブビューオン信号およびライブビューオフ信号を無視して第1トリガ信号を位置保持指示信号として認識し補正レンズ29を所定位置に保持するための駆動制御を開始し、電源オフ信号が入力されると補正レンズ29の定位置保持を停止するように制御し、第1種別のカメラボディ3が装着されていると判断したときライブビューオン信号およびライブビューオフ信号を用いてライブビューオン信号を位置保持指示信号として認識し補正レンズ29を所定位置に保持するための駆動制御を開始し、ライブビューオフ信号が入力されると補正レンズ29の定位置保持を停止するように制御してもよい。
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。本変形例は、図6を参照して説明した制御、すなわち、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態でレンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着され、全押しオン信号によって補正レンズ29の位置保持制御を開始する場合と略同様である。図12は、本変形例に係る補正レンズ29の制御を示すタイムチャートである。なお、レンズ鏡筒18が装着されたカメラボディの種別を判断する工程の説明は上述した第1実施形態の場合と同様なので省略する。
図12において、電源投入前は、補正レンズ29は駆動制御されていないので、定位置には保持されず、レンズ鏡筒18の傾きに応じてその位置は変化している。すなわち、3つのばね部材59の弾性力と補正レンズ29の自重との釣り合いの位置に位置している。カメラボディ3側のメインスイッチ13がオンになり電源が投入されると、レンズ鏡筒18のレンズ側制御部39は、初期通信により第1種別のカメラボディ3が装着されているか、第2種別のカメラボディ103が装着されているかを認識する。また、レンズ側制御部39は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態であることを認識する。本変形例においては、メインスイッチ13がオンになってからレリーズボタン7が全押しされて露光が開始され、補正レンズ29が駆動範囲の中心に保持されるまでは、図6を参照して説明した制御と同様である。したがって、ここでの説明は省略する。
図12に示すように、補正レンズ29が定位置に保持された状態で、所定のシャッタ秒時が経過すると露光が終了する。本変形例においては、ボディ側制御部5は、所定のシャッタ秒時が経過するとこれに対応して露光終了信号を出力する。そしてレンズ側制御部39は、露光終了信号が入力されると、これを撮影終了に対応する第2トリガ信号として認識し、補正レンズ29の定位置保持を停止する。
補正レンズ29の定位置保持が停止すると、補正レンズ29は駆動制御されていない状態となる。すなわち、補正レンズ29は定位置には保持されていない状態となる。その後メインスイッチ13がオフになると、ボディ側制御部5は、これに対応して電源オフ信号を出力する。レンズ側制御部39は、電源オフ信号が入力されると、レンズ鏡筒18の状態を電気的にスリープ状態にする。以上が、レンズ鏡筒18の振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、レンズ鏡筒18が第1種別のカメラボディ3に装着された場合の補正レンズ29の制御の変形例である。
なお、本変形例においても、補正レンズ29の保持位置は、補正レンズ29の駆動範囲の中心(図12中のAで示す位置)でも良いし、第1トリガ信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置(図12中のBで示す位置)に位置保持するようにして良いし、また、補正レンズ29の駆動範囲の中心と第1トリガ信号が入力される直前に補正レンズ29が位置していた位置との中間位置(図12中のCで示す位置)に位置保持しても良い。また、図示はしないが、補正レンズ29の制御中心に位置保持しても良い。
このように、第1実施形態の変形例においても、振れ補正制御のオン、オフにかかわらず、良好な光学性能を有する振れ補正装置35を提供することができる。また、電磁ロック機構を備えていないため、レンズ鏡筒18の小型化、および軽量化を図ることができる。
以上で本発明の各実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、補正レンズ29は3つのばね部材59によってベース部材55に支持されているが、4つ以上のばね部材59で支持するようにしても良い。
また、上述した実施例では、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信する第1種別のカメラボディ3と、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信しない第2種別のカメラボディ103とを用いて説明したがこれに限定されるものではない。
例えば、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報の少なくとも一方をレンズ鏡筒18に送信するカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディであってもよい。
また、例えば、第1種別のカメラボディ3は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、電源オン信号をレンズ鏡筒18に送信してから電源オフ信号をレンズ鏡筒18に送信するまでの間、レンズ鏡筒18に信号を送信しないカメラボディであり、第2種別のカメラボディ103は、振れ補正モードセレクタ45が振れ補正オフの状態において、半押しオン、及び、全押しオンの情報の少なくとも一方をレンズ鏡筒18に送信しないカメラボディであってもよい。
また、上記実施形態は、本発明に係る振れ補正装置を備えたレンズ鏡筒をデジタル一眼レフカメラのカメラボディに装着する場合ついて説明したが、ミラーレスカメラに装着しても良い。