JP6409531B2 - タンク - Google Patents

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Description

本発明は、口金が一体成形されたライナー部を有するタンクに関する。
水素や液化ガス等を加圧した状態で充填するための圧力容器(以下、「高圧タンク」あるいは単に「タンク」とも呼ぶ)としては、一般に、中空状をなす容器本体に金属製の口金を取り付け、さらに、口金にバルブを取り付けたものが用いられている。
例えば、特許文献1には、中空の樹脂製のライナー部およびライナー部の外周面を覆う高強度樹脂(FRPなど)製の補強部を有する容器本体と、容器本体に一体化され容器本体の内外を連通する口金と、口金の内周側に挿入されるバルブと、を有する高圧容器(高圧タンク)が開示されている。この高圧容器の口金は、筒状のボス部と、ボス部の外周面から外周方向に突出するフランジ部と、を有している。ライナー部は、口金に一体成形され、フランジ部の底面を覆うフランジシール部と、フランジシール部に連続しボス部の内周面のなかで軸方向の少なくとも一部を覆うボスシール部とを有している。ボスシール部は、その終端部に外周方向に突出するボス側鍔部を有している。このボス側鍔部がボス部の内周面に設けられたボス溝と嵌合することにより、口金からライナー部が外れないような構造となっている。
また、特許文献2には、内筒(上記ライナー部に相当)及び外套(上記補強部に相当)からなる容器本体と、容器本体の端部に設けられたポート部材(上記口金に相当)と、容器弁(上記バルブに相当)と、を有する耐圧容器(上記高圧容器に相当)が開示されている。この耐圧容器は、内筒がポート部材の内周面全体を覆うとともに、内筒の終端部がポート部材の外側の頭部の一部を外周方向に向かって覆うように、内筒の終端部が外周方向に突出した張出部を有する構造となっている。
特開2008−256151号公報 特開2001−50494号公報
特許文献1の高圧容器の口金一体ライナー部は、例えば、以下のように射出成形により成形される。図5は、従来の口金一体ライナー部の射出成形について示す説明図である。図5に示すように、ライナー部11のフランジシール部110、ボスシール部112、及びボス側鍔部114は、口金2のボス部20及びフランジ部(不図示)の底部側に配置される主型201と、中心軸線CXの方向(以下、「軸方向」とも呼ぶ)に沿ったボス部20の内周側に配置される入れ子型202Rと、で構成される型枠に樹脂材料を射出成形することにより成形される。
ここで、図5(A)に示すように、型201,202Rと口金2との間に不要な隙間が存在しない理想的な場合には、射出成形時において充填される樹脂材料の流れの先端部分にあたる終端部のボス側鍔部114に微小なバリは発生しない。しかしながら、図5(B)に示すように、実際には、型201,202Rと口金2との間に不要な隙間CRが生じる場合があり、ボス側鍔部114に微小なバリが発生する場合がある。また、樹脂材料の収縮や膨張により段差が発生する場合がある。
図6は、口金一体ライナー部を射出成形することによって発生するバリや段差の問題点について示す説明図である。口金2の内周側に挿入するバルブ3の外径は、通常、密閉性を高めるため、ボス部20の内径に可能な限り等しくなるように設定されている。このため、図6(A)に示すように、バルブ3を口金2に白抜き矢印方向に向けて挿入する際に、図6(B)に示すように、バルブ3によってバリが押し下げられて剥離されて、折り曲げられ、図6(C)に示すように、剥離されたバリがバルブと口金2との間に噛み込まれることになる。この結果、ボスシール部112事態に損傷が発生する可能性がある。また、バリの噛み込みや段差によってバルブ3に設けられたOリング4に損傷が発生する可能性がある。このため、ボスシール部112のシール性が損なわれる可能性があり、Oリング4のシール性が損なわれる可能性がある、という課題がある。
なお、図示および説明は省略するが、特許文献2の耐圧容器の内筒の終端部の張出部においても同様の課題がある。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、中空のライナー部と、前記ライナー部に一体化された口金と、有するタンクが提供される。このタンクでは、前記口金は、バルブが挿入される内径部を有し;前記ライナー部は、前記口金の内径部の内周を覆う内周ライナー部を有し;前記口金の内径部は、第1の内径部と、前記第1の内径部よりも前記バルブの挿入方向の奥側に位置して、前記バルブに設けられたシール部材が前記内周ライナー部と接することにより前記ライナー部の前記中空の内部を外部からシールする第2の内径部と、を有し;前記タンクの軸方向に対して垂直な方向から前記内周ライナー部を見たときに、前記内周ライナー部は前記第1の内径部上に端部を有し、;前記第1の内径部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径が、前記第2の内径部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径よりも大きくなるように、前記第1の内径部の内周面の直径が前記第2の内径部の内周面の直径よりも大きく形成されている。
上記形態のタンクでは、第1の内径部を覆う内周ライナー部の内周面の直径が、第2の内径部を覆う内周ライナー部の内周面の直径よりも大きくなっているので、第1の内径部に有する内周ライナー部の端部がバルブに接触しないようにすることができる。これにより、例えば、端部にバリや段差が存在していても、端部および内周ライナー部が損傷することを抑制することが可能であり、バルブに設けられたシール部材が損傷することを抑制することができる。
(2)上記形態のタンクにおいて、前記内径部は、前記第1の内径部と前記第2の内径部とを繋ぐ境界部を有し、前記境界部は、前記境界部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径が前記第2の内径部から前記第1の内径部に向かって徐々に大きくなるテーパ形状を有しているとしてもよい。
この形態のタンクでは、バルブの先端をテーパ形状の境界部に沿って第2の内径部へ案内して、容易に第2の内径部へ挿入させることができるので、さらに、バルブに設けられたシール部材が損傷することを抑制することができる。
(3)上記形態のタンクにおいて、前記内周ライナー部は、前記口金の外周方向に突出した突起部を有し、前記口金は、第1の内径部に前記突起部と嵌合する受溝部が設けられていることとしてもよい。
この形態のタンクでは、突起部が受溝部に嵌合されることにより、ライナー部を口金から外れ難くすることができる。
(4)上記形態のタンクにおいて、前記突起部は、前記内周ライナー部の前記端部に有することとしてもよい。
この形態のタンクでは、より効果的にライナー部を口金から外れ難くすることができる。
(5)上記形態のタンクにおいて、前記第1の内径部は、前記受溝部から前記バルブの挿入方向の手前側に向かって延びる逃がし溝部を有することとしてもよい。
この形態のタンクでは、例えば、口金に一体成形されたライナー部を形成する際に、端部の受溝部に射出されるライナー部形成用の樹脂材料に含まれる気泡や余分な樹脂材料を逃がし溝部へ逃がすことができるので、受溝部への樹脂材料の充填を促進することが可能である。また逃がし溝部は口金の外周側に陥没した溝であるので、第1の内径部の内周面より内側に突起したバリや段差の発生を抑制することが可能である。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、タンク、タンクに用いられる口金付ライナー等の態様で実現することができる。
本発明の一実施形態としての高圧タンクを模式的に示す切り欠き分解図である。 図1に示すA部を模式的に示す要部拡大断面図である。 実施形態の高圧タンクの口金一体ライナー部の射出成形について示す説明図である。 口金にライナー部が一体成形された構造の変形例を模式的に示す要部拡大断面図である。 従来の口金一体ライナー部の射出成形について示す説明図である。 口金一体ライナー部を射出成形することによって発生するバリや段差の問題点について示す説明図である。
図1は、本発明の一実施形態としての高圧タンクを模式的に示す切り欠き分解図である。図2は、図1に示すA部を模式的に示す要部拡大断面図である。以下の説明において、上、下とは図1に示す中心軸線CXに沿った方向(以下、単に「軸方向」と呼ぶ)の上、下を指す。この高圧タンクは、容器本体1と、口金2と、バルブ3とを備える。
容器本体1は、軸方向の2端が縮径した筒状(中空状)の中空容器である。容器本体1は、補強部10とライナー部11とを有する。ライナー部11は、ガスバリア性に優れるEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)等の樹脂で構成されている。補強部10は、カーボン繊維とエポキシ樹脂とを含むFRPをライナー部11の外周に巻回することにより形成されている。すなわちライナー部11は、補強部10の内周面を覆っている。容器本体1の一方の開口(図1中下側の開口)は、不図示の栓部材によって封止されている。容器本体1の他方の開口(図1中上側の開口)には、金属製の口金2が固定されている。
口金2は、ボス部20とフランジ部21とを有する。ボス部20はバルブ3が挿入される内径部22を有する筒状の構造を有する。
ライナー部11は、図1及び図2に示すように、口金2に一体に成形されている。ライナー部11は、フランジシール部110と、フランジ副シール部111と、ボスシール部112と、一般部113と、から構成される。フランジシール部110は、フランジ部21の底面を覆う。フランジ副シール部111は、フランジ部21の上面(フランジ部21のなかで軸方向外部側の面、図1及び2中上側の面)の一部を覆う。ボスシール部112は、ボス部20の内径部22の内周面を覆う。一般部113は、その他の部分である。なお、ボスシール部112が本発明の「内周ライナー部」に相当する。
ボス部20の内径部22は、図2に示すように、容器本体1における軸方向の外部側(図1中上側、以下「軸方向外部側」と呼ぶ)の軸方向外部側内径部22aと、容器本体1における軸方向の内部側(図1中下側、以下「軸方向内部側」と呼ぶ)の軸方向内部側内径部22bに区分されている。また、軸方向内部側内径部22bは、さらに、軸方向内部側に向かって、4つの区分内径部22ba〜22bdに区分されている。第2の区分内径部22bb及び第4の区分内径部22bdは、第2の区分内径部22bbを覆ったボスシール部112の部分の内周面の直径φbが、第4の区分内径部22bdを覆ったボスシール部112の部分の内周面の直径φdよりも大きくなるように、第2の区分内径部22bdの内周面の直径が第4の区分内径部22bbの内周面の直径よりも大きくなった形状を有している。第3の区分内径部22bcは、第2の区分内径部22bbと第4の区分内径部22bdとを繋ぐように、第3の区分内径部22bcを覆ったボスシール部の部分の直径が第4の区分内径部22bdから第2の区分内径部22bbに向かって徐々に大きくなるテーパ形状を有している。なお、第1の区分内径部22baは、その直径が、設計上、第2の区分内径部22bbのボスシール部112の部分の内周面の直径φbに等しく、第4の区分内径部22bdのボスシール部112の部分の内周面の直径φdよりも大きくなる形状を有している。なお、図2では、直径φb,φdを示す矢印の幅は、図示の便宜上、中心軸線CXまでの長さ、すなわち、半径の長さで示している。なお、第2の区分内径部22bbが本発明の「第1の内径部」に相当し、第4の区分内径部22bdが本発明の「第2の内径部」に相当する。また、第3の区分内径部22bcが本発明の「境界部」に相当する。
第2の区分内径部22bbの内周面には、ボス溝部23が形成されている。ボス溝部23は、ボス部20の外周側に向けて陥没する環状をなし、ボス部20の内周面側に開口する構造を有している。
フランジ部21は、軸方向内部側内径部22bに対応するボス部20の外周面の部分から外周方向に突出している。フランジ部21は、ボス部20の外周全周に連続する環状構造を有している。フランジ部21には、軸方向に陥没する環状のフランジ溝部24が形成されている。フランジ溝部24は、フランジ部21の底面(フランジ部21のなかで軸方向内部側の面、図1及び図2中下側の面)側に開口している。
ボスシール部112の端部は、軸方向に対して垂直な方向からボスシール部112を見たときに、第2の区分内径部22b上となるように形成されている。ボスシール部112の端部には、ボス部20の外周方向に突出し、ボス溝部23の内部に入り込んで、ボス溝部23と嵌合する構造のボス側鍔部114を有している。また、ボス側鍔部114は環状構造を有している。フランジシール部110の一部であるフランジ側鍔部115は、フランジ部21の底部から上部方向に突出し、フランジ溝部24の内部に入り込んで、フランジ溝部24と嵌合する構造を有している。また、フランジ側鍔部115は環状構造を有している。なお、ボス側鍔部114が本発明の「突起部」に相当し、ボス溝部23が本発明の「受溝部」に相当する。
バルブ3は金属製である。バルブ3は、図1及び図2に示すように、軸方向外部側の装着部3aと軸方向内部側の密閉部3bとで構成される。装着部3aには、不図示のネジ溝が形成されている。装着部3aのネジ溝は、上述したボス部20の軸方向外部側内径部22aに形成されたネジ溝と相補的な形状であり、バルブ3は、軸方向上側から下側に向けて挿入され、装着部3aがボス部20の軸方向外部側内径部22aと螺合して、口金2に取り付けられる。
バルブ3の密閉部3bの外周面には、内周側に向けて陥没する環状のOリング保持溝30が形成されている。Oリング保持溝30には、Oリング4とバックアップリング5とが保持されている。Oリング4は弾性材料で構成される。バックアップリング5は硬質樹脂材料で構成される。バックアップリング5は、Oリング保持溝30においてOリング4の軸方向外部側(図1及び図2中上側)に配置され、Oリング4の軸方向の移動を規制する。バックアップリング5の外径は、Oリング4の外径よりも小さい。
Oリング4は、ライナー部11の中空の内部を外部からシールするシール部材に相当する。バルブ3を口金2に取り付けると、Oリング4の内周面がバルブ3の外周面に圧接し、Oリング4の外周面がボスシール部112の内周面に圧接する。これにより、Oリング4はバルブ3の密閉部3bとボスシール部112との隙間をシールする。また、ボスシール部112は、Oリング4を介してバルブ3とボス部20とに挟持される。換言すると、ボスシール部112は、Oリング4とボス部20とバルブ3とで固定される。なお、ボス側鍔部114の軸方向中心と、Oリング4の軸方向中心とは、ほぼ一致している。
本実施形態の高圧タンクでは、ボスシール部112のボス側鍔部114が口金2のボス部20のボス溝部23に嵌合することにより、ライナー部11が口金2から外れ難い構造となっている。また、ボスシール部112は、Oリング4とボス部20の軸方向内部側内径部22bとバルブ3の密閉部3bとで固定されている。このため、タンク内圧が低いときにも、ボスシール部112はボス部20に対して位置ズレせず、フランジシール部110はフランジ部21に対して位置ズレしない。これにより、ライナー部11は、口金2を確実にシールすることができる。
また、ボス側鍔部114は環状をなすため、強度に優れる。このためボスシール部112は、ボス側鍔部114によって補強される。また、ボス側鍔部114の軸方向中心とOリング4の軸方向中心とがほぼ一致しているため、ボス側鍔部114は、ボスシール部112のなかでOリング4によって強く押圧される部分(大きな面圧が加わる部分)を効率よく補強できる。したがってボスシール部112は、Oリング4に押圧されても塑性変形し難い。これにより、ボスシール部112とOリング4との面圧を充分に大きくでき、Oリング4とボス部20とバルブ3とでボスシール部112を強固に固定できる。よって、ライナー部11は、口金2を確実にシールすることができる。
さらにフランジ側鍔部115は、環状をなすため強度に優れる。従って、フランジシール部110は、フランジ側鍔部115によって補強され、変形し難い。このため、タンク内圧が高くなりライナー部11が膨張したときにも、フランジシール部110が変形(拡径)し難い。従って、タンク内圧が高いときにも、フランジシール部110がフランジ部
21から剥離することや、フランジシール部110の変形に伴ってボスシール部112が
ボス部20から剥離することがない。これにより、ライナー部11は、口金2をより確実にシールすることができる。
図3は、実施形態の高圧タンクの口金一体ライナー部の射出成形について示す説明図である。課題で説明した従来の高圧タンクと同様に、口金一体ライナー部は射出成形される。例えば、図3に示すように、ライナー部11のフランジシール部110、ボスシール部112、及びボス側鍔部114は、口金2のボス部20及びフランジ部21の底部側に配置される主型201と、ボス部20の内径部22に配置される入れ子型202と、で構成される型枠にライナー部用の樹脂材料を充填することにより成形される。
ここで、課題でも説明した従来の高圧タンクと同様であるが(図5参照)、図3に示すように、型201,202と口金2との間には、射出成形時において充填される樹脂材料の流れの先端部分にあたる終端部のボス側鍔部114の先端側には、微小なバリが発生する場合がある。また、樹脂材料の収縮や膨張により段差が発生する場合がある。
バリや段差は、課題で説明したように、従来の高圧タンクの場合においては、ボスシール部112の損傷によるボスシール部112のシール性を損なわせ、Oリング4の損傷によるOリング4のシール性を損なわせる可能性があった。
これに対して、本実施形態の高圧タンクでは、ボスシール部112のボス側鍔部114が設けられている軸方向内部側内径部22bのうちの第2の区分内径部(第1の内径部)22bbの直径φbが、図2に示すように、バルブ3の密閉部3bが嵌合される第4の区分内径部(第2の内径部)22bdの直径φdより大きい。このため、バルブ3をボス部20の内径部22に挿入する際に、バルブ3の密閉部3bと第2の区分内径部22bbの内周面との間に隙間を持たせることができる。これにより、ボス側鍔部114の先端側に発生したボスシール部112のバリや段差を密閉部3bが噛みこんで、ボスシール部112に損傷が発生することを抑制し、ボスシール部112のシール性が損なわれることを抑制することができる。また、密閉部3bのOリング4がバリや段差に接触することによってOリング4に損傷が発生することを抑制し、Oリング4のシール性が損なわれることを抑制することができる。
また、第2の区分内径部22bbと第4の区分内径部22bdとの間の第3の区分境界部22bcが第2の区分内径部(第1の内径部)22bbから第4の区分内径部(第2の内径部)22bdへ向かって直径が徐々に小さくなる滑らかなテーパ形状となっている。これにより、バルブ3の密閉部3bを第4の区分内径部22bdまで滑らかに案内することが可能であり、バルブ3の密閉部3bのOリング4がボスシール部112に接触する際の衝撃力を抑制することができる。この結果、Oリング4に損傷が発生することを抑制し、Oリング4のシール性が損なわれることを抑制することができ、また、Oリング4が接触するボスシール部112に損傷が発生することを抑制し、ボスシール部112のシール性が損なわれることを抑制することができる。
なお、第2の区分内径部22bbのボス溝部23に嵌合するボス側鍔部114は、ボスシール部112の端部に設けられているものとして説明したが、端部でなくてもよい。但し、端部である方が、ライナー部11を口金2から外れ難くする点で効果的である。
図4は、口金2にライナー部11が一体成形された構造の変形例を模式的に示す要部拡大断面図である。図4に示すように、口金2のボス溝部23よりも軸方向外部側(図4中上側)でボス溝部23に連通する逃がし溝部25が形成されている。逃がし溝部25は、ボス溝部23と同様にボス部20の外周側に向けて、ボス溝部23よりも浅く陥没する環状をなし、ボス部20の内周面側に開口している。また、逃がし溝部25の内周面の直径は、ボス溝部23を除く第2の内径部22bbの内周面の直径よりも小さい。
ライナー部11の射出成形時において、ボス側鍔部114が成形されるボス溝部23が端部(終端部)にある場合、樹脂材料が充填され難く、未充填や気泡(ボイド)が発生しやすい。特に、ライナー部11の肉厚がうすい場合にはその傾向が強くなる。一般に、射出成形では、空気を逃がすためのエアベント(隙間)を型に設けて、未充填や気泡の発生を抑制することが行われるが、バリが発生しやすくなる、という背反する課題がある。
これに対して、変形例の構造では、ボス溝部23の先端に逃がし溝部25が設けられているので、ボス溝部23への樹脂の流れを促進するとともに、ボス溝部23に溜まる気泡を逃がし溝部25へ逃がすことができ、ボス溝部23に対応するボス側鍔部114の成形が不十分となることを抑制することが可能である。また、逃がし溝部25で成形される逃がし部分116は逃がし溝部25内にあるので、バリや段差の発生を抑制することが可能である。
なお、上記実施形態の高圧タンクにおけるライナー部11はEVOHで構成するものとして説明したが、本発明のタンクにおけるライナー部の材料は、充填すべき加圧物質に応じて適宜選択すればよい。例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリエチレン、ナイロン等がライナー部の材料として好ましく用いられる。
また、補強部10は、カーボン繊維とエポキシ樹脂とを含むFRPを用いて構成するものとして説明したが、カーボン繊維にかえてガラス繊維やアラミド繊維等を用いても良い。
また、ボスシール部112は、ボス部20の軸方向内部側内径部22bのうち第4の区分内径部22bdから第2の区分内径部22bbまでの内周面を覆い、第1の区分内径部22baの内周面を覆わないようにしているが、第1の区分内径部22baを省略しても良い。すなわち、軸方向内部側内径部22bの内周面全体を覆い、軸方向内部側内径部22bと軸方向外部側内径部22aの境界にボス側鍔部114が設けられるようにしてもよい。
また、ボス側鍔部114は、環状をなす構造としたが、環状以外の形状(C字状など)であっても良い。すなわち、ボス側鍔部114は、ボス部20の内径部22の内周部全周にわたって形成されているが、ボス部20の内径部22の内周部の一部にのみ形成されていても良い。環状のボス側鍔部114は強度に特に優れるが、シール部材の押圧力によっては環状以外の形状のボス側鍔部114で、口金2に対してライナー部11を十分に固定することができ、また、ボスシール部112を充分に補強することができる。
また、フランジシール部110はフランジ側鍔部115を有しているが、フランジ側鍔部115を省略すること可能である。フランジ側鍔部115は、ボス側鍔部114と同様に、環状以外の形状(C字状など)にしても良い。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
1…容器本体
2…口金
3…バルブ
3a…装着部
3b…密閉部
4…Oリング(シール部材)
5…バックアップリング
10…補強部
11…ライナー部
20…ボス部
21…フランジ部
22…内径部
22a…軸方向外部側内径部
22b…軸方向内部側内径部
22ba…第1の区分内径部
22bb…第2の区分内径部(第1の内径部)
22bc…第3の区分内径部(境界部)
22bd…第4の区分内径部
23…ボス溝部(受溝部)
24…フランジ溝部
25…逃がし溝部
110…フランジシール部
111…フランジ副シール部
112…ボスシール部(内周ライナー部)
113…一般部
114…ボス側鍔部(突起部)
115…フランジ側鍔部
116…逃がし部分
201…主型
202,202R…入れ子型

Claims (5)

  1. 中空のライナー部と、前記ライナー部に一体化された口金と、有するタンクであって、
    前記口金は、バルブが挿入される内径部を有し、
    前記ライナー部は、前記口金の内径部の内周を覆う内周ライナー部を有し、
    前記口金の内径部は、第1の内径部と、前記第1の内径部よりも前記バルブの挿入方向の奥側に位置して、前記バルブに設けられたシール部材が前記内周ライナー部と接することにより前記ライナー部の前記中空の内部を外部からシールする第2の内径部と、を有し、
    前記タンクの軸方向に対して垂直な方向から前記内周ライナー部を見たときに、前記内周ライナー部は前記第1の内径部上に端部を有し、
    前記第1の内径部に続く前記バルブの挿入方向の手前側の前記口金の部分の内径部の内周面の直径、および、前記第1の内径部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径が、前記第2の内径部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径よりも大きくなるように、前記手前側の口金の部分の内径部の内周面の直径が、前記第1の内径部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径と一致するように形成され、前記第1の内径部の内周面の直径が前記第2の内径部の内周面の直径よりも大きく形成されている
    ことを特徴とするタンク。
  2. 請求項1に記載のタンクであって、
    前記内径部は、前記第1の内径部と前記第2の内径部とを繋ぐ境界部を有し、
    前記境界部は、前記境界部を覆う前記内周ライナー部の内周面の直径が前記第2の内径部から前記第1の内径部に向かって徐々に大きくなるテーパ形状を有していることを特徴とするタンク。
  3. 請求項1または請求項2に記載のタンクであって、
    前記内周ライナー部は、前記口金の外周方向に突出した突起部を有し、
    前記口金は、前記第1の内径部に前記突起部と嵌合する受溝部が設けられていることを特徴とするタンク。
  4. 請求項3に記載のタンクであって、
    前記突起部は、前記内周ライナー部の前記端部に有することを特徴とするタンク。
  5. 請求項4に記載のタンクであって、
    前記第1の内径部は、前記受溝部から前記バルブの挿入方向の手前側に向かって延びる逃がし溝部を有することを特徴とするタンク。
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