JP6408874B2 - 変性高分子材料のシミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変性高分子材料のシミュレーション方法に関し、詳しくは、フィラーと変性高分子材料との分散性を評価するのに役立つシミュレーション方法に関する。
従来、フィラーが配合された変性高分子材料について、種々のコンピュータ解析(数値シミュレーション)が行われている。代表的なものとして、下記特許文献1乃至3が知られている。これらの技術では、散逸粒子動力学法(DPD法:Dissipative Particles Dynamics Method)を利用している。DPD法は、数個の原子を一つの粒子モデルで粗視化するもので、全原子分子動力学法に比べると、大きな時空間を扱うことができる利点がある。
特許文献1乃至3では、変性高分子鎖モデルとフィラーモデルとがコンピュータに入力される。変性高分子鎖モデルは、解析対象の変性高分子材料に基づいて、その変性基をモデル化した変性基粒子モデルと、未変性基をモデル化した未変性基粒子モデルとを含んだ鎖状に定義されている。フィラーモデルは、解析対象のフィラーに基づいて、少なくとも一つのフィラー粒子モデルを含んで定義されている。
上記モデルを用いて分子動力学計算を行うに先立ち、変性高分子鎖モデルとフィラーモデルとの間の相互作用が、定義される必要がある。しかしながら、従来のシミュレーションにおいて、変性高分子鎖モデルとフィラーモデルとの間の相互作用は、これまでの経験に基づいて直感的に決定されていた。このため、解析対象の変性高分子材料の構造に対して、そのような相互作用が適切かどうかまでは十分に判断することができなかった。
例えば、上述の相互作用の強度が適切ではない場合、変性高分子鎖モデルとフィラーモデルとを用いて分子動力学計算を行っても、フィラーモデルが分散しないという現実と異なる結果を示すことがあった。
特開2013−108951号公報 特開2013−186746号公報 特開2013−254453号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、変性高分子鎖モデルとフィラーモデルとの間の妥当な相互作用を決定することができ、ひいては変性高分子材料の開発に役立つシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、変性高分子材料とフィラーとの分散性を評価するためのシミュレーション方法であって、前記変性高分子材料に基づいて、その変性基をモデル化した変性基粒子モデルと、前記変性高分子材料の未変性基をモデル化した未変性基粒子モデルとを含む鎖状の変性高分子鎖モデルをコンピュータに定義する工程、前記フィラーに基づいて、少なくとも一つのフィラー粒子モデルを含むフィラーモデルを前記コンピュータに定義する工程、前記変性高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとの間の相互作用を定義する工程、及び前記コンピュータが、前記相互作用の下で、前記変性高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとを用いて分子動力学計算をする工程を含み、前記相互作用を定義する工程は、前記変性高分子鎖モデルと同じ構造を持ち、かつ、単一の基で構成された高分子鎖モデルを前記コンピュータに定義する工程、前記コンピュータが、前記高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとの間の相互作用の強度を変化させて複数の分子動力学計算をする工程、前記分子動力学計算の結果に基づいて、前記フィラーモデルが前記高分子鎖モデルに対して分散配置をとる前記相互作用の強さを表す第1強度と、前記フィラーモデルが前記高分子鎖モデルに対して凝集配置をとる前記相互作用の強さを表す第2強度とを決定する工程、前記第1強度を、前記変性基粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間の相互作用に定義する工程、及び前記第2強度を、前記未変性基粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間の相互作用に定義する工程を含むことを特徴とする。
本発明の他の態様では、前記相互作用は、下記式(1)で定義されており、前記相互作用の強度として、下記式(1)の係数aijの値を決定することができる。
U=0.5aij{1−(rij/rc)}2 …(1)
本発明の他の態様では、前記フィラーモデルは、少なくとも4つのフィラー粒子モデルを含むことができる。
本発明の他の態様では、前記分散配置又は前記凝集配置は、前記フィラーモデルの動径分布関数に基づいて、決定されても良い。
本発明は、変性高分子材料とフィラーとの分散性を評価するためのシミュレーション方法であって、前記変性高分子材料に基づいて、その変性基をモデル化した変性基粒子モデルと、前記高分子材料の未変性基をモデル化した未変性基粒子モデルとを含む鎖状の変性高分子鎖モデルをコンピュータに定義する工程、前記フィラーに基づいて、少なくとも一つのフィラー粒子モデルを含むフィラーモデルを前記コンピュータに定義する工程、前記変性高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとの間の相互作用を定義する工程、及び、前記コンピュータが、前記相互作用の下で、前記変性高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとを用いて分子動力学計算をする工程を含んでいる。
本発明では、前記相互作用を定義する工程として、
a)前記変性高分子鎖モデルと同じ構造を持ち、かつ、単一の基で構成された高分子鎖モデルを前記コンピュータに定義する工程、
b)前記コンピュータが、前記高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとの間の相互作用の強度を変化させて複数の分子動力学計算をする工程、
c)前記分子動力学計算の結果に基づいて、前記フィラーモデルが前記高分子鎖モデルに対して分散配置をとる前記相互作用の強さを表す第1強度と、前記フィラーモデルが前記高分子鎖モデルに対して凝集配置をとる前記相互作用の強さを表す第2強度とを決定する工程、
d)前記第1強度を、前記変性基粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間の相互作用に定義する工程、及び
e)前記第2強度を、前記未変性基粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間の相互作用に定義する工程
を含んでいる。
従って、本発明のシミュレーション方法によれば、分子動力学の計算において、変性基粒子モデルとフィラー粒子モデルとの間の相互作用により、フィラーモデルの分散作用が得られる一方、未変性基粒子モデルとフィラー粒子モデルとの間の相互作用により、フィラーモデルの凝集作用が得られる。従って、本発明によれば、任意の構造を持つ変性高分子材料のフィラーの分散性を計算するために、変性基粒子モデルとフィラー粒子モデルとの間の相互作用を妥当な範囲で決定することができる。
本発明の実施形態で使用されるコンピュータの斜視図である。 本実施形態の処理手順を示すフローチャートである。 変性高分子鎖モデルを視覚化した正面図である。 フィラーモデルを視覚化した斜視図である。 相互作用を決定する処理手順を示すフローチャートである。 高分子鎖モデルを視覚化した正面図である。 分子動力学計算結果を示すセル内のフィラーモデルの配置図である。 他の子動力学計算結果を示すセル内のフィラーモデルの配置図である。 実施例の分子動力学計算結果を示すセル内のフィラーモデルの配置図である。 比較例の分子動力学計算結果を示すセル内のフィラーモデルの配置図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の変性高分子材料のシミュレーション方法は、コンピュータを用いて変性高分子材料のフィラーの分散性を評価するためのものである。
変性高分子材料は、代表的には、変性ゴムである。変性ゴムとしては、例えば、エポキシ化天然ゴム(ENR)、主鎖及び/又は末端を変性したブタジエンゴム(変性BR)、主鎖及び/又は末端を変性した溶液重合のスチレンブタジエンゴム(変性S−SBR)等が挙げられる。本実施形態では、ブタジエンゴム(一般に、フィラーの分散性が低いとされている)を変性した変性ブタジエンゴムを想定してシミュレーションが行われた。変性高分子材料には、変性ゴム以外にも、例えば、変性樹脂又は変性エラストマーが採用され得る。
フィラーは、変性高分子材料中に配合される充填剤であって、例えば、カーボンブラック、シリカ又はアルミナ等の各種のものが含まれる。変性高分子材料中にフィラーが配合されることにより、変性高分子材料の引張強度や弾性率が向上する。
図1には、本実施形態の方法が実行されるコンピュータ1が示されている。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及び表示装置1dを含んでいる。本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。記憶装置には、本実施形態の方法を実行するための処理手順(コンピュータプログラム)が予め記憶されている。表示装置1dは、シミュレーション結果を視覚化して表示することができる。
図2には、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例が示されている。
本実施形態では、解析対象である変性高分子材料をモデル化した変性高分子鎖モデルがコンピュータ1に定義される(ステップS1)。この変性高分子鎖モデルは、変性高分子材料のポリマー部分を分子動力学で取り扱うために、コンピュータ1に入力される数値データである。
図3には、変性高分子鎖モデル2の一実施形態が視覚化されている。本実施形態の変性高分子鎖モデル2は、複数の粒子モデル3と、これらの粒子モデル3、3間を接続する結合鎖6とから構成された直鎖状の三次元構造を有する。散逸粒子動力学法に基づいて計算を行うために、変性高分子鎖モデル2は、変性高分子材料の数個の原子が一つの粒子モデル3として粗視化されている。また、結合鎖6は、各粒子モデル3、3間を拘束するもので、例えば、平衡長とバネ定数とがコンピュータ1に入力される。
変性高分子鎖モデル2の粒子モデル3は、変性基粒子モデル3aと、未変性基粒子モデル3bとを含んでいる。図3では、理解しやすいように、変性基粒子モデル3aのみが薄く着色されている。
変性基粒子モデル3aは、解析対象の変性高分子材料において、変性剤によって化学変性された変性基をモデル化したものである。変性基は、未変性基に比べて、フィラーの分散をより促進させるように改質されている。換言すれば、変性基は、未変性基よりもフィラーとの親和性が高い。未変性基粒子モデル3bは、解析対象の変性高分子材料の未変性基をモデル化したものである。また、図3の実施形態では、変性基粒子モデル3aは、変性高分子鎖モデル2の鎖長の中央部分に設けられているが、その位置や個数などは、解析対象の変性高分子材料に基づいて、任意に定めることができる。
次に、解析対象のフィラーに基づいて、フィラーモデル4がコンピュータ1に定義される(ステップS3)。フィラーモデル4は、解析対象のフィラーを分子動力学で取り扱うために、コンピュータ上に入力される数値データである。
図4には、フィラーモデル4の一実施形態が視覚化されている。本実施形態のフィラーモデル4は、複数のフィラー粒子モデル5と、これらのフィラー粒子モデル5、5間を接続する結合鎖6とから構成されている。本実施形態のフィラーモデル4の三次元構造はシリカに基づいて定義されている。このような三次元構造をモデル化するために、フィラーモデル4は、少なくとも4つのフィラー粒子モデル5を含むことが望ましい。
結合鎖6は、フィラーモデル4の各フィラー粒子モデル5、5間を拘束するものである。該結合鎖6には、例えば、平衡長とバネ定数とが定義されたバネであり、これらの情報はコンピュータ1に入力される。
変性高分子鎖モデル2の粒子モデル3及びフィラーモデル4のフィラー粒子モデル5は、それぞれ散逸粒子動力学法によるシミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。従って、コンピュータ1には、各粒子モデル3及び5の質量、体積、直径及び初期座標などが少なくとも含まれる。
次に、変性高分子鎖モデル2とフィラーモデル4との間の相互作用(相互作用ポテンシャルエネルギーで、以下、単に「ポテンシャル」ということがある。)が定義される(ステップS3)。
ポテンシャルは、粒子モデル間の距離の関数であって、2つの粒子モデルの間に作用する力を計算する際に用いられる。本実施形態では、次の2つの粒子モデルの組合せについて、それぞれポテンシャルU1乃至U6が定義される。
ポテンシャルU1:未変性基粒子モデル3b−フィラー粒子モデル5
ポテンシャルU2:未変性基粒子モデル3b−未変性基粒子モデル3b
ポテンシャルU3:フィラー粒子モデル5−フィラー粒子モデル5
ポテンシャルU4:未変性基粒子モデル3b−変性基粒子モデル3a
ポテンシャルU5:変性基粒子モデル3a−フィラー粒子モデル5
ポテンシャルU6:変性基粒子モデル3a−変性基粒子モデル3a
本実施形態では、ポテンシャルU(U1〜U6)が下記の式(1)で定義される。
U=0.5aij{1−(rij/rc)}2 …(1)
ここで、符号は、次の通りである。
U:2つの粒子モデル間に作用するポテンシャル
ij:ポテンシャルの強度に関係する係数
ij:粒子モデル間の距離
c:予め定められたカットオフ距離
本実施形態のポテンシャルUは、rij>rc、即ち、粒子モデル間の距離rijが予め定められたカットオフ距離rcよりも大きい場合、U=0が定義され、当該2つの粒子モデル間には相互作用が働かないように定義される。
一方、rij<rc、即ち、粒子モデル間の距離rijが予め定められたカットオフ距離rcよりも小さい場合、当該2つの粒子モデル間にはポテンシャルUに基づいた力(本実施形態では斥力)が働くように定義されている。このときのポテンシャルUの大きさ(強度)は、式(1)中の係数aijによって決定される。
これまでの知見において、DPD法(原著論文(J. Chem Phys. 107(11) 4423-4435 (1997)))では同種粒子モデル間では、ポテンシャルの係数として、aij=25が提唱された。しかし、その後、多くの研究がなされ、同種粒子間では係数aij=50が提唱されてきた(例えば、Macromolcule vol.39 6744(2006))。従って、本実施形態でも同種粒子モデル間の下記のポテンシャルU2、U3及びU6の係数aijについては、「50」の値が定義される。
ポテンシャルU2:未変性基粒子モデル3b−未変性基粒子モデル3b
ポテンシャルU3:フィラー粒子モデル5−フィラー粒子モデル5
ポテンシャルU6:変性基粒子モデル3a−変性基粒子モデル3a
また、変性高分子鎖モデル2において、変性基粒子モデル3aと未変性基粒子モデル3bとの間のポテンシャルU4については、任意に決めることができ、ポテンシャルU4のaijについては、例えば、「50」の値が定義される。
一方、フィラーモデル4の分散を再現するためには、未変性基粒子モデル3b−フィラー粒子モデル5間のポテンシャルU1と、変性基粒子モデル3a−フィラー粒子モデル5間のポテンシャルU5とをどのように決めるかはきわめて重要である。本実施形態では、これらのポテンシャルU1及びU5は、図5に示される手順に従って決定される。
図5に示されるように、ポテンシャルを決定する工程では、先ず、変性高分子鎖モデル2と同じ構造を持ち、かつ、単一の基で構成された高分子鎖モデルがコンピュータ1に定義される(ステップS31)。図6には、高分子鎖モデル7の一例が視覚化して示されている。高分子鎖モデル7は、図2に示した変性高分子鎖モデル2の粒子モデル3a、3bと同じ位置に配置された粒子モデル3を具えている。各粒子モデル3は、いずれも単一の基、即ち、変性基又は未変性基の1種類で構成されている。
次に、コンピュータ1は、高分子鎖モデル7とフィラーモデル4との間のポテンシャルの強度を変化させて複数の分子動力学計算が行われる(ステップS32)。ここで、ポテンシャルの強度は、上述の通り、式(1)の係数aijを変えることで行われる。具体的な例として、高分子鎖モデル7の粒子モデル3とフィラーモデル4のフィラー粒子モデル5との間のポテンシャルU7の係数aijを20、25、30、35…と順次変更し、それぞれについて、分子動力学計算が行われる。なお、粒子モデル3−3間、フィラー粒子モデル5−5間のポテンシャルの強度を決定する係数aijは、上述の知見に基づき、50に統一された。
分子動力学計算では、予め定められた体積を持ったセルの中に高分子鎖モデル7及びフィラーモデル4が初期配置される。セルは、解析対象の変性高分子材料の微小構造部分に相当するもので、微小な立方体として定義される。本実施形態の分子動力学計算では、一つのセルの中に、高分子鎖モデル7が360本及びフィラーモデル4が1000個ランダムに初期配置された。
分子動力学計算では、例えば、設定されたセルについて所定の時間、配置した全てのモデル7及び4が古典力学に従うものとしてニュートンの運動方程式が適用される。そして、各時刻における全ての粒子モデル3及び5の動きが追跡される。本実施形態の分子動力学計算は、一定のステップ数(例えば20万ステップ)を終えた時点で計算終了とされる。また、分子動力学計算を行うに際して、系内の粒子、体積及び温度は一定で行われる。
次に、上記分子動力学計算の結果に基づいて、フィラーモデル4が高分子鎖モデル7に対して分散配置をとるポテンシャルの強さを表す第1強度と、フィラーモデル4が高分子鎖モデル7に対して凝集配置をとるポテンシャルの強さを表す第2強度とが決定される(ステップS33)。
する工程、
図7には、ポテンシャルU7の係数aijを25に設定したときの分子動力学計算結果として、フィラーモデル4の配置が視覚化されている。図7から明らかなように、フィラーモデル4は、セルSの空間内で十分に広い範囲に分散していることが確認できる。また、図示していないが、ポテンシャルU7の係数aijを20に設定したときにも、同様の結果が得られた。以上より、25以下の係数aijは、フィラーモデル4を分散配置させるポテンシャルU7の強度、即ち、第1強度と考えられる。
一方、図8には、ポテンシャルU7の係数aijを30に設定したときの分子動力学計算結果として、フィラーモデル4の配置が視覚化されている。図8から明らかなように、フィラーモデル4は、セルSの空間内で一箇所に凝集し、全く分散していないことが確認できる。また、図示していないが、ポテンシャルU7の係数aijを35に設定したときにも、同様の結果が得られた。以上より、30以上の係数aijは、フィラーモデル4を凝集配置させるポテンシャルU7の強度、即ち、第2強度と考えられる。
上記分散配置又は凝集配置を判断する工程は、コンピュータのモニタを通して、視覚化された計算結果を作業者が肉眼で判断しても良い。また、上記工程は、フィラーモデル4の分散状態を定量的に把握して行われても良い。例えば、コンピュータ1は、フィラーモデル4の動径分布関数を計算し、これを予め定めた閾値と比較することで、分散配置又は凝集配置を区別することができる。後者の方法によれば、フィラーモデル4が分散しているのか、又は凝集しているのかを、定量的に評価することができ、より客観性の高い結果が得られる。
次に、コンピュータ1は、上記工程で求められた第1強度を、変性基粒子モデル3aとフィラー粒子モデル5との間のポテンシャルU5に定義する(ステップS34)。より具体的には、ポテンシャルU5を計算するための式(1)の係数aijには、25以下の値が設定される。
一方、コンピュータ1は、上記工程で求められた第2強度を、未変性基粒子モデル3bとフィラー粒子モデル5との間のポテンシャルU1に定義する(ステップS35)。より具体的には、ポテンシャルU5を計算するための式(1)の係数aijには、30以上の値が設定される。
以上の工程により、全てのポテンシャルU1〜U6について、式(1)の係数aijが、例えば、下記のように決定される。
ポテンシャルU1:aij=40[未変性基粒子モデル3b−フィラー粒子モデル5]
ポテンシャルU2:aij=50[未変性基粒子モデル3b−未変性基粒子モデル3b]
ポテンシャルU3:aij=50[フィラー粒子モデル5−フィラー粒子モデル5]
ポテンシャルU4:aij=50[未変性基粒子モデル3b−変性基粒子モデル3a]
ポテンシャルU5:aij=5[変性基粒子モデル3a−フィラー粒子モデル5]
ポテンシャルU6:aij=50[変性基粒子モデル3a−変性基粒子モデル3a]
図9には、上記ポテンシャルU1〜U6を設定したときの分子動力学計算結果として、フィラーモデル4の配置が視覚化されている。図9から明らかなように、フィラーモデル4は、セルSの空間内で十分に広い範囲に分散していることが確認できる。従って、この実施形態によれば、変性基の作用を適切に再現するポテンシャルの強度が得られていることがわかる。そうすると、例えば、変性高分子鎖モデル2内の変性基粒子モデル3aの位置や数を変える等の改質を行い、フィラーモデル4の分散性がどのように変化するのかを評価することができる(ステップS5)。これは、変性高分子材料の開発にきわめて有効である。
一方、図10には、比較例として、下記のポテンシャルU1〜U5が設定された分子動力学基計算結果として、フィラーモデル4のみその配置が視覚化されている。この例では、係数aijが小さい方がフィラーに対する親和性が良いという知見のみに基づき、作業者がaijを任意に決定したものである。
ポテンシャルU1:aij=50[未変性基粒子モデル3b−フィラー粒子モデル5]
ポテンシャルU2:aij=50[未変性基粒子モデル3b−未変性基粒子モデル3b]
ポテンシャルU3:aij=50[フィラー粒子モデル5−フィラー粒子モデル5]
ポテンシャルU4:aij=50[未変性基粒子モデル3b−変性基粒子モデル3a]
ポテンシャルU5:aij=45[変性基粒子モデル3a−フィラー粒子モデル5]
ポテンシャルU6:aij=50[変性基粒子モデル3a−変性基粒子モデル3a]
図10から明らかなように、フィラーモデル4は、セルSの空間内で一つに凝集しており、変性基の作用を再現できていないという矛盾する結果が得られた。
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施されても良い。
1 コンピュータ
2 変性高分子鎖モデル
3a 変性基粒子モデル
3b 未変性基粒子モデル
4 フィラーモデル
5 フィラー粒子モデル
6 結合鎖
7 高分子鎖モデル

Claims (4)

  1. 変性高分子材料とフィラーとの分散性を評価するためのシミュレーション方法であって、
    前記変性高分子材料に基づいて、その変性基をモデル化した変性基粒子モデルと、前記変性高分子材料の未変性基をモデル化した未変性基粒子モデルとを含む鎖状の変性高分子鎖モデルをコンピュータに定義する工程、
    前記フィラーに基づいて、少なくとも一つのフィラー粒子モデルを含むフィラーモデルを前記コンピュータに定義する工程、
    前記変性高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとの間の相互作用を定義する工程、及び
    前記コンピュータが、前記相互作用の下で、前記変性高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとを用いて分子動力学計算をする工程を含み、
    前記相互作用を定義する工程は、
    前記変性高分子鎖モデルと同じ構造を持ち、かつ、単一の基で構成された高分子鎖モデルを前記コンピュータに定義する工程、
    前記コンピュータが、前記高分子鎖モデルと前記フィラーモデルとの間の相互作用の強度を変化させて複数の分子動力学計算をする工程、
    前記分子動力学計算の結果に基づいて、前記フィラーモデルが前記高分子鎖モデルに対して分散配置をとる前記相互作用の強さを表す第1強度と、前記フィラーモデルが前記高分子鎖モデルに対して凝集配置をとる前記相互作用の強さを表す第2強度とを決定する工程、
    前記第1強度を、前記変性基粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間の相互作用に定義する工程、及び
    前記第2強度を、前記未変性基粒子モデルと前記フィラー粒子モデルとの間の相互作用に定義する工程を含むことを特徴とする変性高分子材料のシミュレーション方法。
  2. 前記相互作用は、下記式(1)で定義されており、
    前記相互作用の強度として、下記式(1)の係数aijの値を決定する請求項1記載の変性高分子材料のシミュレーション方法。
    U=0.5aij{1−(rij/rc)}2 …(1)
  3. 前記フィラーモデルは、少なくとも4つのフィラー粒子モデルを含む請求項1又は2記載の変性高分子材料のシミュレーション方法。
  4. 前記分散配置又は前記凝集配置は、前記フィラーモデルの動径分布関数に基づいて、決定される請求項1乃至3のいずれかに記載の変性高分子材料のシミュレーション方法。
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