JP6408825B2 - 板状ワークの位置決め移動方法及び板状ワーク加工装置 - Google Patents
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Description
そこで、従来、その揺れの影響を回避して高精度の加工を可能にする種々の工夫が提案されている。
一方、板状ワークの位置決め移動時間は、加工に供されるワークが大形化かつ重量化していることから、テーブル側部材の揺れをできるだけ抑制するため長時間を要している。従って、加工工程全体の時間短縮は難しい状況にある。
そのため、市場からは、高精度の加工が可能であり、かつ加工工程全体の時間が短い加工装置が望まれている。換言するならば、板状ワークの位置決め移動に伴って生じる揺れの影響を回避しつつ、板状ワークの位置決め移動時間をできるだけ短縮する工夫が必要になっている。
1)板状のワークを、直交するX軸方向及びY軸方向の移動により所定の加工位置に位置決め移動させる板状ワークの位置決め移動方法であって、
制御部が、次の前記加工位置が前記ワークの表面において予め分割設定された複数の領域のどの領域に含まれるかを判定する領域判定ステップと、
前記制御部が、前記次の加工位置への位置決め移動の移動量を、前記X軸方向及びY軸方向それぞれについてX軸移動量及びY軸移動量として把握する移動量把握ステップと、
前記制御部が、前記次の加工位置への前記位置決め移動の前記X軸方向の移動における加速度を決めるX軸移動定数を、前記領域判定ステップで判定した前記領域及び前記移動量把握ステップで把握した前記X軸移動量に基づいて設定し、前記次の加工位置への前記位置決め移動の前記Y軸方向の移動における加速度を決めるY軸移動定数を、前記領域判定ステップで判定した前記領域及び前記移動量把握ステップで把握した前記Y軸移動量に基づいて設定する移動定数設定ステップと、
を含むことを特徴とする板状ワークの位置決め移動方法である。
2)前記移動定数設定ステップは、
前記制御部が、前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を、少なくとも前記位置決め移動における前記X軸移動量及び前記Y軸移動量それぞれと前記複数の領域とに応じて予め設定された移動定数テーブルから選択設定することを特徴とする1)に記載の板状ワークの位置決め移動方法である。
3)前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を、前記位置決め移動の前記X軸方向における加速度及び前記Y軸方向における加速度それぞれが、前記ワークに生じる揺れが大きい位置決め移動ほど小さくなるよう設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の板状ワークの位置決め移動方法である。
4)板状のワークを所定の加工位置に位置決め移動させて加工を行う板状ワーク加工装置であって、
前記ワークを次の前記加工位置に、直交するX軸方向及びY軸方向の移動により位置決め移動させるワーク移動部と、
前記ワーク移動部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記次の加工位置が前記ワークの表面において予め分割設定された複数の領域のどの領域に含まれるかを判定すると共に前記次の加工位置への位置決め移動の移動量を、前記X軸方向及びY軸方向それぞれについてX軸移動量及びY軸移動量として把握し、前記位置決め移動の、前記X軸方向の移動における加速度及び前記Y軸方向の移動における加速度をそれぞれ決めるX軸移動定数及びY軸移動定数それぞれを、把握した前記X軸移動量及びY軸移動量と判定した前記領域とに基づいて設定し、前記設定した前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を用いた移動プロファイルで前記ワークを位置決め移動させるよう前記ワーク移動部を制御することを特徴とする板状ワーク加工装置である。
5)前記制御部は、前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を、少なくとも前記位置決め移動における前記X軸移動量及び前記Y軸移動量それぞれと前記複数の領域とに応じて予め設定された移動定数テーブルから選択設定することを特徴とする4)に記載の板状ワーク加工装置である。
図1において、タレット部1A及びワーク移動部1Bは、上面図として示されており、水平直交二軸であるX軸(左右)及びY軸を矢印の方向に規定する。
上部タレット1aには複数のパンチDPが装着されている。
この複数のパンチDPの中から選択されて加工位置Kに割り出されたパンチDPaは、パンチDPaに対応する金型であって下部タレット1bに装着されたダイDDに向かって下降するよう、図示しないストライカにより打撃される。この打撃でのパンチDPaとダイDDとの協働により、両金型間に挿入された板状のワークWにパンチング加工が行われる。
これにより、キャリッジベース7とそれに連結した移動テーブル2b、2cとは、ボールねじ軸5の回転によりY軸方向に移動し、かつ位置決め自在とされている。
モータMX及びモータMYの動作は、制御部1Cにより制御される。
キャリッジベース7のY軸方向の位置は、エンコーダEyにより検出される。エンコーダEyは、検出したキャリッジベース7のY軸方向の位置を示す位置情報J2を、制御部1Cに向け出力する。
プレス制御部25は、タレット部1Aの動作を制御する。また、タレット部1Aからは、パンチDPaの位置などを示すシリンダ動作情報などがフィードバックされる。
軸制御部27は、モータMX及びモータMYの動作を制御する。また、エンコーダEx及びエンコーダEyからの位置情報J1及び位置情報J2を受信する。
作業者による操作の指示や、加工プログラムやワーク加工情報などのデータは、外部(又は内部)の入力部31を介してNC部21に送られる。
NC部21は、送られてきた動作プログラムやデータを、記憶部23に記憶させる。また、NC部21は、タレットパンチプレス1の動作状況や動作結果を、必要に応じて外部(又は内部)の出力部33に出力させる。
データテーブルTBには、キャリッジベース7を移動テーブル2b,2cと共にY軸方向に移動させる際の移動プロファイルP7と、キャリッジ11をX軸方向に移動させる際の移動プロファイルP11とが格納されている。以下、移動プロファイルP7,P11を総称して移動プロファイルPと称する。
この速度0(ゼロ)から一定速度vaになるまでの時間tu(=ta−t0)の逆数、及び、一定速度vaから速度0(ゼロ)になるまでの時間td(=tc−tb)の逆数である、(1/tu)及び(1/td)を、以下の説明において、移動定数Tと定義する。時間tuは加速時間であり、時間tdは減速時間である。従って、移動定数Tが大きくなる程、時間tu,tdは小さく(短く)なり、移動の加速度は大きくなる。すなわち、時間tuが小さくなるほど増加速度が大きくなり、時間tdが小さくなるほど減加速度が大きくなる。
NC部21は、軸制御部27を介し、ワークWがこの移動プロファイルPに基づく移動をするようモータMX,MYを制御する。
詳しくは、ワークWの位置決め移動方向(X軸方向かY軸方向か),ワークWの位置決め移動量Q,及びワークWの位置決め移動後の加工位置に応じて分類された領域、の三つのパラメータに応じて移動定数Tを定め、この移動定数Tを反映させて移動プロファイルP7及びP11を決定するようにしている。
その結果、ボールねじ軸5を通る仮想上下線まわりの揺れ(ヨーイング)が顕著に測定された。
そこで、タレットパンチプレス1では、移動定数Tを、移動量Qに応じて異なるN段(個)に設定するようにした。この移動定数Tは、後述する最も揺れの小さい領域AR3(図3参照)に適用している。
移動量Qが小さいほど揺れの程度が大きくなることから、移動定数Tは、移動量Qが小さいほど、小さくなるように設定されている。
すなわち、XA<XB<・・・<XF<XG、YA<YB<・・・<YF<YGである。
そこで、タレットパンチプレス1では、X軸方向の移動,Y軸方向の移動,及びその組み合わせの移動の揺れ状態を考慮し、揺れの程度をM段階に分割してそれぞれに対応する加工位置を含むM個の領域を設定するようにした。
詳しくは、領域AR1は、ワークWにおけるボールねじ軸9からY軸方向に遠い左右角部領域であり、領域AR2は、ワークWにおけるボールねじ軸9にY軸方向に近い左右角部領域であり、領域AR3は、ワークWにおけるX軸方向のY軸方向全域に亘る中央領域である。
具体例としては、各領域を格子状に分割設定した場合、領域AR1及び領域AR2のX軸方向範囲は、ワークWの左右幅を100%としたときに、両端から20%〜40%程度の範囲となる。また、領域AR2のY軸方向の範囲は、ワークWのY軸方向幅を100%としたときに、クランパ13で把持されている側から40%〜70%程度の範囲となる。
移動先が、揺れの大きい領域AR1に含まれる位置決め移動においては、揺れを抑制するために、上述の移動定数(T=XA〜XG,T=YA〜YG)に補正係数k1(0<k1<1)を乗じた値を移動定数とした。
補正係数k1は、領域AR3における揺れの程度に対する領域AR1における揺れの程度に応じて設定し、例えばk1=0.7とする。
その結果、移動量Qが比較的大きい場合には、各領域AR1〜AR3は軸方向にもよらず同様の傾向を示した。
これに対し、移動量Qが比較的小さい場合には、領域AR2においてのみ、Y軸方向の移動において他の領域に比べて顕著に揺れが大きくなることが見出された。
この揺れが大きくなる移動量Qは、段数で示すならば、例えば1〜4段の範囲であった。
具体的には、領域AR2の1〜4段の移動定数Tを、領域AR3に適用するY軸方向の移動での移動定数(YA〜XD)に補正係数k2(0<k2<1)を乗じた値とした(図5参照)。
補正係数k2は、揺れの程度に応じて補正係数k1に対し独立に設定される。
図5に示された例では、領域AR2の1〜4段に対応する範囲で顕著に揺れが拡大するものの、領域AR1の揺れの拡大程度よりも小さいことから、補正係数k1よりも大きい値0.8で設定している。
表Bは、段(移動量Q),移動軸(X軸,Y軸),及び領域(AR1〜AR3)に応じて予め設定した移動定数Tを示す移動定数テーブルであり、記憶部23のデータテーブルTBに格納させておく。
この状態でワークWの任意位置をパンチング加工位置とするようクランパ13をX軸方向、及びY軸方向に移動させた際の、テーブル2側部材(キャリッジ11)の揺れを、移動量Qを変えて測定し、その揺れ程度に応じ、上述のように3段階の領域として区分けしたものが示されている。
領域AR1は、X軸方向の移動及びY軸方向の移動のいずれにおいても、他の領域よりも揺れが大きい領域である。この傾向は、移動量Qを変えても同様である。そこで、移動プロファイルPにおける移動定数Tを、補正係数k1を乗じて小さくした値で設定し、移動の加速度を小さくしてテーブル2側部材の揺れを抑制している。
領域AR2は、X軸方向の移動及びY軸方向の移動のいずれにおいても、領域AR3と同等の揺れであるが、Y軸方向の移動において、移動量Qが比較的小さい場合(例えば1段〜4段)において、揺れが大きくなることが把握された領域である。
そこで、1段〜4段の移動定数Tを、補正係数k2を乗じた領域AR3よりも小さい値に設定し、特定の移動量Qにおいて、移動の加速度を小さくしてテーブル2側部材の揺れを抑制している。
図6は、加工プログラムで設定された、原点の位置S0を起点とし所定の加工位置S1から加工位置S7まで順次位置決め移動する際の移動経路Saを説明するための図である。
図7は、各加工位置S1〜S7への移動と、対応する領域,段,及びそれらから設定した移動定数Tを示す表Cである。各移動は最短距離を繋ぐ直動とされる。
図8は、制御部1Cが、移動先の加工位置を含む領域、段、から移動定数を設定する手順の一例を示すフロー図である。
この場合、図5から、X方向の移動定数Tとして領域AR2の2段に該当する「XB」を採用し、Y方向の移動定数として領域AR2の2段に該当する「YB×k2」を採用する。
この場合、図5から、X方向の移動定数Tとして領域AR3の2段に該当する「XB」を採用し、Y方向の移動定数Tとして領域AR3の3段に該当する「YC」を採用する。
加工位置S3〜S7への移動も同様にして移動定数Tを設定する。
まず、制御部1Cは、記憶部23に記憶された加工プログラムを先読みして、一連の位置決め動作における移動経路Saの各加工位置S1〜S7を、座標等により把握する(Step1)。
次に、把握した各加工位置S1〜S7から、その位置がどの領域に含まれるかを把握する(Step2)。
また、把握した各加工位置S1〜S7の座標等から、その加工位置へ移動する際のX軸方向の移動量QとY軸方向の移動量Qとを算出する(Step3)。
算出した移動量Qが、X軸方向及びY軸方向においてそれぞれどの段数に対応するかを、記憶部23に記憶された表A(図4参照)から把握する(Step4)。
(Step2)で把握した領域,(Step3)で算出した移動量Q,及び(Step4)で把握した段数に基づき、記憶部23に記憶された表B(図5参照)から、各移動におけるX軸方向及びY軸方向それぞれの移動定数Tを選択して設定する(Step5)。
そのため、ワークWの移動に伴い生じるテーブル2側部材の揺れ(揺れ)を抑制しつつ移動時間を短縮することができる。また、その揺れが抑制されるので、高精度の加工が可能になっている。
上記説明では、実施の形態に係る板状ワーク加工装置の実施例としてタレットパンチプレス1を説明したが、これに限定されるものではない。
移動プロファイルPの各値や、補正係数k1、k2は、適用する板状ワーク加工装置のテーブルの揺れ特性に応じて適宜設定してよい。
位置決め移動の方向を、直交する二軸であるX軸、Y軸との直交座標系に基づいて判定する例を説明したが、これに限定されず、例えば極座標系で判定してもよい。
領域AR1〜AR3を、格子状に分割設定した例を説明したが、格子状に限定されるものではない。揺れ特性に応じた任意の形状で分割してもよい。
移動プロファイルPの設定では、移動定数Tを、増加速度及び減加速度の両方に適用する例を説明したが、これに限定されない。テーブル2側部材の移動に伴う揺れは、増加速度よりも減加速度の影響が大きく反映されるので、少なくとも減加速度に適用することで、効果的に揺れを抑制して位置決め移動時間を短縮することができる。
1A タレット部、 1B ワーク移動部、 1C 制御部
1a 上部タレット、 1b 下部タレット
2 テーブル、 2a 固定テーブル、 2b,2c 移動テーブル
5 ボールねじ軸
7 キャリッジベース
9 ボールねじ軸
11 キャリッジ
13 クランパ
21 NC部
23 記憶部
25 プレス制御部
27 軸制御部
31 入力部
33 出力部
AR1〜AR3 領域
DD ダイ、 DP,DPa パンチ
Ex,Ey エンコーダ
J1,J2 位置情報
k1,k2 補正係数
MX,MY モータ
P,P7,P11 移動プロファイル
Q 移動量
Sa 移動経路、 S0 (原点の)位置
K,S1〜S7 加工位置
T 移動定数
TB データテーブル
W ワーク
Claims (5)
- 板状のワークを、直交するX軸方向及びY軸方向の移動により所定の加工位置に位置決め移動させる板状ワークの位置決め移動方法であって、
制御部が、次の前記加工位置が前記ワークの表面において予め分割設定された複数の領域のどの領域に含まれるかを判定する領域判定ステップと、
前記制御部が、前記次の加工位置への位置決め移動の移動量を、前記X軸方向及びY軸方向それぞれについてX軸移動量及びY軸移動量として把握する移動量把握ステップと、
前記制御部が、前記次の加工位置への前記位置決め移動の前記X軸方向の移動における加速度を決めるX軸移動定数を、前記領域判定ステップで判定した前記領域及び前記移動量把握ステップで把握した前記X軸移動量に基づいて設定し、前記次の加工位置への前記位置決め移動の前記Y軸方向の移動における加速度を決めるY軸移動定数を、前記領域判定ステップで判定した前記領域及び前記移動量把握ステップで把握した前記Y軸移動量に基づいて設定する移動定数設定ステップと、
を含むことを特徴とする板状ワークの位置決め移動方法。 - 前記移動定数設定ステップは、
前記制御部が、前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を、少なくとも前記位置決め移動における前記X軸移動量及び前記Y軸移動量それぞれと前記複数の領域とに応じて予め設定された移動定数テーブルから選択設定することを特徴とする請求項1記載の板状ワークの位置決め移動方法。 - 前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を、前記位置決め移動の前記X軸方向における加速度及び前記Y軸方向における加速度それぞれが、前記ワークに生じる揺れが大きい位置決め移動ほど小さくなるよう設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の板状ワークの位置決め移動方法。
- 板状のワークを所定の加工位置に位置決め移動させて加工を行う板状ワーク加工装置であって、
前記ワークを次の前記加工位置に、直交するX軸方向及びY軸方向の移動により位置決め移動させるワーク移動部と、
前記ワーク移動部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記次の加工位置が前記ワークの表面において予め分割設定された複数の領域のどの領域に含まれるかを判定すると共に前記次の加工位置への位置決め移動の移動量を、前記X軸方向及びY軸方向それぞれについてX軸移動量及びY軸移動量として把握し、前記位置決め移動の、前記X軸方向の移動における加速度及び前記Y軸方向の移動における加速度をそれぞれ決めるX軸移動定数及びY軸移動定数それぞれを、把握した前記X軸移動量及びY軸移動量と判定した前記領域とに基づいて設定し、前記設定した前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を用いた移動プロファイルで前記ワークを位置決め移動させるよう前記ワーク移動部を制御することを特徴とする板状ワーク加工装置。 - 前記制御部は、前記X軸移動定数及び前記Y軸移動定数を、少なくとも前記位置決め移動における前記X軸移動量及び前記Y軸移動量それぞれと前記複数の領域とに応じて予め設定された移動定数テーブルから選択設定することを特徴とする請求項4記載の板状ワーク加工装置。
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