JP6408116B2 - 荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置

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本発明は、半導体基板(ウェハ)などの試料(対象物)の計測、あるいは観察、または検査などの処理を行う計測検査装置、及びそれを用いて計測、または検査などを行う計測検査方法に関し、特に、荷電粒子装置の一つとして走査型電子顕微鏡装置(以下、SEMと略す)を用いて試料を撮像し、計測、あるいは観察、または検査を行う処理装置、及びその計測・検査方法に関する。
半導体製造プロセスにおいて、半導体基板(ウェハ)上に形成される回路パターンの微細化が急速に進んでおり、それらのパターンが設計通りに形成されているか否か等を監視するプロセスモニタリングの重要性が益々増加している。例えば、半導体製造プロセスにおける異常や不良(欠陥)の発生を早期に、あるいは事前に検知するために、各製造工程の終了時にウェハ上の回路パターン等の計測及び検査が行われる。
上記計測・検査の際、走査型電子ビーム方式を用いたSEMなどの計測検査装置及び対応する計測検査方法においては、対象のウェハなどの試料に対して一次電子ビーム(電子線)を走査(スキャン)しながら照射し、これにより発生する二次電子・反射などのエネルギーを検出する。そして、その検出に基づき信号処理・画像処理などにより画像(計測画像や検査画像)を生成し、当該画像に基づいて計測、観察又は検査が行われる。
前記走査型電子ビーム方式を用いた計測装置においては、試料から発生する二次電子・反射電子(二次ビーム)を高効率的に検出するため、二次電子・反射電子を検出器の方に偏向する必要がある。一方、二次ビームを所定の方向に偏向する手段が一次ビームに影響を及ぼすと、一次ビームが試料上の照射位置ずれが発生し、装置の計測精度を劣化する。そのために、二次電子ビームと言う二次電子・反射電子を検出器の設置方向へ偏向し、且つ試料の所定位置に照射する一次ビームを偏向しない一次ビーム・二次ビームの分離手段が必要である。
上記計測・検査および一次電子ビーム・二次電子ビーム分離制御に係わる先行技術例として、特開2006−332038号公報(特許文献1)に記載された技術がある。
特許文献1では、高分解能化可能な電磁界重畳型対物レンズにおいて、試料から発生する二次電子を加速して対物レンズによる回転作用の二次電子エネルギー依存性を抑制し、電子源と対物レンズの間に設けた環状検出器で二次電子の発生箇所から見た仰角の低角成分と、高角成分を選別、さらに方位角成分も選別して検出する際、加速によって細く収束された二次電子の中心軸を低仰角信号検出系の中心軸に合わせると共に、高仰角信号検出系の穴を避けるようにExBで二次電子を調整・偏向することについて記載されている。
特開2006−332038号公報
SEMによる計測装置では、計測対象であるウェハ上に形成される回路パターンの微細化と材料の多様化に伴い、計測精度の分解能向上と深溝・穴の見え改善が要求されている。分解能の向上には、一次電子ビームの走査精度向上、つまり一次電子ビームの走査位置ずれの低減を要求される。深い溝・深い穴の見え改善には、二次電子・反射電子の高効率検出をするため、二次ビームの高角度(大角度)偏向が必要である。つまり、二次ビームを偏向する電界・磁界を大きくする高電圧・大電流の制御回路は必須である。
前掲の特許文献1には、一次電子ビーム・二次電子ビーム分離制御に関して、直交電磁界発生器による一次電子線への影響を相殺し且つ二次電子を検出器側に導くように電界と直交する方向に磁界を発生させる方法などについて記載されている。しかし、電界偏向器を制御する電圧源回路と磁界偏向器を制御電流源回路において、回路構成素子で発生した回路ノイズが一次電子ビームの走査位置ずれを発生させる問題に関する解決手段などは開示されていない。
そこで、本発明は、二次電子・反射電子の大角度偏向を実現すると共に、電磁偏向器と静電偏向器のノイズを打ち消して一次ビーム/二次ビーム分離回路の回路ノイズが起因する一次電子ビームの位置ずれを抑制する走査型電子顕微鏡を用いた処理装置及び処理方法を提供するものである。
上記した課題を解決するために、本発明の荷電粒子ビーム装置の主な特徴は、以下の通りである。
荷電粒子ビームを生成する荷電粒子銃と、該荷電粒子銃から放出された荷電粒子ビーム
をステージに載置した試料上に照射して走査する電子光学系と、試料から発生する二次電
子、または反射電子を検出する検出部と、二次電子、または反射電子の進路を検出部の方
向へ偏向させる直交電磁偏向部と、を有し、直交電磁偏向部は、磁界を発生させて荷電粒
子ビームの軌跡を変化させる磁界偏向器と、電界を発生させて荷電粒子ビームの軌跡を変
化させる電界偏向器と、磁界偏向器に電流を供給する電流源回路と、電界偏向器に電圧を
供給する電圧源回路と、電流と電圧との関係を調整するゲイン調整部とを備え、磁界偏向
器と電界偏向器は、磁界と前記電界とが互いに直交し重畳するように配置され、電流源回
路に電圧を印加する電圧発生部と、電圧源回路に電圧を印加する電圧発生部とが一つに共
通化され、ゲイン調整部により、磁界により進路が偏向される量と電界により進路が偏向
される量とが一致するように、電流と電圧との関係が調整されることを特徴とする。
上記構成によれば、本発明による荷電粒子ビーム装置は、高スループットと高分解能に対応した計測を制御する機能を有すると共に、その際に課題となる、電子ビームを偏向する電界偏向器を制御する電圧源回路と磁界偏向器を制御電流源回路において、回路構成素子で発生した回路ノイズが一次電子ビームの走査位置ずれを発生させる問題に関する解決手段を提供する。
即ち、本発明では、分解能とスループットの向上を図るために電流制御コイルで発生する磁界と電圧制御で発生する電界を直交する電磁重畳偏向器(以下、直交電磁偏向器と呼ぶ)による一次電子ビームの走査位置ずれ課題を解決する方策として、静電場を発生する静電偏向器へ印加する電圧源制御信号生成部と、静磁場を発生する電磁偏向器へ印加する電流源制御信号生成部と共通化することと、電圧制御信号の周波数特性および位相特性と電流源制御信号の周波数特性および位相特性と一致することを設けた。これにより回路ノイズに起因する一次電子ビームずれを低減し、高分解能と高スループットな計測を実現した。
本発明によれば、二次電子・反射電子の大角度偏向を実現すると共に、電磁偏向器と静電偏向器のノイズを打ち消して一次ビーム/二次ビーム分離回路の回路ノイズが起因する一次電子ビームの位置ずれを抑制する走査型電子顕微鏡を用いた処理装置及び処理方法を提供することができる。
本発明の実施例1に係る直交電磁偏向器と直交電磁偏向器の制御回路との組合せを示すブロック図である。 本発明の実施例2に係る2段直交電磁偏向器と直交電磁偏向器の制御回路に用いた装置の概略の構成を示すブロック図である。 本発明と従来の走査型電子ビーム方式の半導体の計測検査装置に係る直交電磁偏向器の電界電極、磁界コイル構成と一次ビーム・二次ビームの俯瞰図を示すブロック図である。 従来の走査型電子ビーム方式の半導体の計測検査装置に係るX方向直交電磁偏向器構成と二次ビームの偏向力を示すブロック図である。 従来の走査型電子ビーム方式の半導体の計測検査装置に係るX方向直交電磁偏向器構成と一次ビームの偏向力を示すブロック図である。 従来の走査型電子ビーム方式の半導体の計測検査装置に係るX方向直交電磁偏向器の制御回路ノイズを示すブロック図である。 従来の走査型電子ビーム方式の半導体の計測検査装置に係るX方向直交電磁偏向器の制御回路ノイズと一次ビームの偏向力を示すブロック図である。 従来の走査型電子ビーム方式の半導体の計測検査装置を含んで成るシステム全体の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係る2段直交電磁偏向器と直交電磁偏向器の制御回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例3に係る直交電磁偏向器の制御回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例4に係る直交電磁偏向器の制御回路の構成を示すブロック図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、計測観察検査装置及び計測観察検査方法とは、計測、観察、検査のうちの何れか一つ又はそれらを組み合わせた場合を含む。
本発明になる走査型電子ビーム方式の計測検査装置は、図8に示す従来の走査型電子ビーム方式を用いた計測検査装置(システム)を基本構成にし、当該装置構成に本発明になる直交電磁偏向器の制御回路の構成を採り込んでいる。そこで、先ず、図8のシステム構成について説明する。
従来の計測検査装置(システム)は、大きくは、走査型電子顕微鏡800とコンピュータ820とで構成されている。
走査型電子顕微鏡800は、鏡筒830と試料室840を備え、鏡筒830の内部には、照射系(電子光学系)として、電子ビームA21を射出する電子銃801、射出された電子ビームA21が通る集束レンズ(第1コンデンサレンズ)802、絞り803、集束レンズ(第2コンデンサレンズ)804、ブランキング制御電極805、アパーチャ806、偏向電極808、対物レンズ809等が備えられている。また鏡筒830には、検出系として、照射された電子ビームA21(A24)により試料810から発生した二次電子A211を検出する検出器807を備える。また一次ビームと二次ビームの分離手段として、直交電磁界発生器(ExB)816を備える。
コンピュータ820には、全体制御部824と、ブランキング(BLK)制御回路821と、直交電磁偏向器(ExB)822、偏向制御回路823、機構系制御部825と、信号検出部(二次電子信号検出回路)827、画像処理部(二次電子信号処理回路)828、ステージ位置検出部(図示せず)、電子光学系制御部(図示せず)、GUI部(ユーザインタフェース部)826、等を備える。
鏡筒830の内部(真空状態)において、電子銃801より生成・射出された電子ビームA21は、第1コンデンサレンズ(集束レンズ)802、絞り803、第2コンデンサレンズ(集束レンズ)804を通じて集束され、偏向電極808を介してビームの照射中心に移動と走査偏向制御され、対物レンズ809等を経て試料810上を走査しながら照射される。ビームA21(A24)が照射されると、試料810からは二次電子A211が発生し、直交電磁偏向器(ExB)822の偏向作用で検出器807の方に入射されて検出される。検出器807で検出された信号(アナログ信号)は、信号検出部827(二次電子信号検出回路)によってデジタル信号に変換される。そしてそのデジタル信号をもとに画像処理部828(二次電子信号処理回路)で二次元の画像が生成処理され、処理された結果がGUI部826の画面に表示される。この画像内に基づいて回路パターンが計測される(計測機能の場合)。
GUI部826は、ユーザ(測定・検査者)に対するインタフェース(GUI画面など)を提供する処理を行う。GUI部826では、検査条件などを入力(設定)するGUI画面や、検査結果(二次元の画像など)を表示するGUI画面などを提供する。
全体制御部824は、GUI部826での指示に従い、本システム(装置)の全体を制御する処理を行う。電子光学系制御部(図示せず)は、全体制御部824からの制御に従い、鏡筒830内の電子光学系(照射系)を制御する。機構系制御部825は、試料室840に設置された試料台812を駆動するモータ841等を含む機構系を制御する。モータ841の回転信号はステージ位置検出部(図示せず)に送られて、試料台(ステージ)812の位置情報が得られる。
図8に示したような、従来の走査型電子ビーム方式を用いた計測検査装置においては、例えば特許文献1にも記載されているように、一次ビームと二次ビームの分離手段として電流制御コイルで発生する磁界と電圧制御で発生する電界を直交する電磁偏向器(ExB)が採用されている。
ここで、直交電磁偏向器(ExB)822が一次ビーム・二次ビームに対する分離・偏向作用は、図3、図4、図5に用いて説明する。直交電磁偏向器(ExB)は一般的に図3に示すようにX、Y方向にそれぞれ配置して、二次ビームを任意の方向へ偏向できる。なお、図4と図5の説明では簡略化のため、X方向の電磁偏向器と電界偏向器およびそれぞれの制御回路のみを図示し、Y方向は省略している。図4は直交電磁偏向器と二次ビームA211の俯瞰図である。図5は直交電磁偏向器と一次ビームA21の俯瞰図である。
直交電磁偏向器の電界偏向器の電極816eと対向電極816fとの間に±Vx(V)の電位差を与えて電界Eを発生させると、加速電圧Vaccの一次電子線A21は、発生する電界Eと同一方向に偏向する力を受けて、Ve/Vaccに比例した角度θe=Ke・Ve/Vaccだけ偏向される。ここで、Veは、電界偏向器の電極間電圧であり、Keは電極816eおよび対向電極816fの形状や配置で決まる定数である。
一方、直交磁界発生コイル816a、816bに励磁電流Ix(A)を流すと電界Eと直交する磁界Bが発生し、一次電子線A21はIx/√Vaccに比例した角度θb=Kb・Ix/√Vaccだけ電界による偏向とは逆向きに偏向される。ここで、Kbは、直交磁界発生コイル816a、816bの形状や配置で決まる定数である。互いに直交する電界Eと磁界Bが同時に存在する場合には、電界Eと磁界Bによる力の合成で一次電子線の軌道が決まるため、θe=θbに選べば一次電子線は偏向作用を受けずに直進する。
一方、試料810から発生した二次電子(又は、反射電子)A211は、一次電子A21と進行方向が逆向きであるため、電界と磁界とで同一方向、即ち、電極側に偏向される。偏向する角度は、二次電子(又は、反射電子)A211のエネルギーに依存する。一次電子が偏向されない条件:θe=θb、電圧Vxと電流Ibとの関係をVx=K・Vacc、Ix=K・(Ke/Kb)・√Vaccとすればよい。ここで、Kは、二次電子や反射電子の偏向角度を決める定数である。Vaccが一定であれば、Vx=Kx・Ixの形に書き換えられる。この関係を満たす条件を、以下に「ウイン(Wien)条件」と呼ぶ。このウイン条件は、直交電磁偏向器が発生した電界と磁界が一次ビームへの影響を打ち消す条件である。Kxは直交電磁偏向器の電極形状や配置、コイルの状や配置、一次ビームの加速速度に依存する。
図3に示すように直交電磁偏向器がX、Y方向にそれぞれ配置して、二次ビームを任意の方向へ偏向できる場合は、ウイン条件は同じ方向の電界制御電圧と磁界制御電流間の関係以外、X方向の電圧とY方向の電流の間にも下記(式1)及び(式2)で示す制約条件ある。
(式1):Vx=K1・Ix+K2・Iy
(式2):Vy=K3・Ix+K4・Iy
これはX方向の電極、コイルとY方向の電極、コイルの製造・実装誤差に起因する。ここで、上記式中のK1、K2、K3、K4は以下の関係を満足する。すなわち、 ・K1>>K2、且つK1>>K3、且つK4>>K2、且つK4>>K3K1、K2、K3、K4は電極、コイルの製造・実装誤差に依存するから、装置に実装した後、最初に調整が必要である。
・電界により偏向量が加速電圧Vaccに反比例、磁界により偏向量が加速電圧Vaccのルートに反比例ので、一次ビームの加速電圧Vaccに応じてK1、K2、K3、K4の調整が必要である。
そのため、従来の装置では、電界を制御する電圧の値と磁界を制御する電流の値との関係を任意に調整できるように、発生回路が別々に独立していることが特徴である。
ところで、電界偏向器を制御する電圧源回路と磁界偏向器を制御電流源回路において、回路構成素子で発生した回路ノイズが一次電子ビームの走査位置ずれを発生させることになる。
直交電磁偏向器の制御回路のノイズと一次電子ビームの走査ずれの関係について、図6、図7を用いて説明する。図6、図7では一段直交電磁偏向器のX方向を用いて説明するが、偏向器制御回路のノイズと一次電子ビームの走査ずれの関係については、多段直交電磁偏向器やX方向を用いた構成に限られるものではない。
図6に示す直交電磁偏向器において、試料(ウェハ)上の電子ビーム偏向量Lexは、電界により一次電子ビーム偏向感度がS_exであれば、以下の簡略式(式3)で与えられる。
(式3):Lex=Vx・S_ex
磁界により一次電子ビーム偏向量Lbxは、以下の簡略式(式4)で与えられる。
(式4):Lbx=Ix・S_bxとなる。
ウイン条件を満足するVxとIxであれば、
Vx=K1・Ix、 K1・S_ex=S_bx
Lex=Lbx、偏向方向逆であり、一次電子ビームの走査ずれはない。
一方、直交電磁偏向器の制御回路の回路ブロックに回路ノイズが存在すると、回路ノイズにより発生する電界と磁界の方向・大きさは、ウイン条件に満足できず、一次電子ビームの走査ずれは発生する。
例えば、図6、図7示すように、X方向電場制御電圧のノイズ823eがN_ECV_X、電界駆動電圧源回路のノイズ823fがN_EAmpV_Xであり、これらのランダム性ノイズに起因する一次電子ビームのずれ量は、
(式5):L_ENX=((N_ECV_X×GE1+N_EAmpV_X×GE2)×S_exの式で表される。
同じく、X方向磁場制御電圧のノイズ823gがN_BCV_X、磁界駆動電流源回路のノイズ823hがN_BAmpI_Xであり、これらのノイズに起因する一次電子ビームのずれ量は、
(式6):L_BNX=((N_BCV_X×GB1+N_BAmpI_X×GB2)×S_bxの式で表される。
ウイン条件に満足すれば、
GE1/GB1=GE2/GB2=K1、K1・S_ex=S_bxの関係を満たす。
直交電磁偏向器に起因する一次電子ビームのずれ量は、
(式7):L_EXBNX=((N_ECV_X − N_BCV_X)×GB1+(N_EAmpV_X − N_BCV
_X)×GB2)×S_bxの式で表される。
電界制御電圧のノイズN_ECV_Xと磁界制御電圧のノイズN_BCV_Xは同相であれば打ち消しできるが、これらのノイズがランダム性であるので、発生する一次電子ビームずれ量の大きさは、以下の(式8)の実効値で表わされる。
(式8) δL_EXBNX=((N_ECV_X +N_BCV_X )×GB1+(N_EAmpV_X +N_BAmpI_X )×GB2(0.5)×S_bxとなる。
上述したことから、直交電磁偏向器の制御回路のノイズにおいて、電界偏向器と磁界偏向器における無相関なノイズ成分が電子ビームの走査ずれの主要因である。
従って、電子ビームの走査ずれを低減するために、電界偏向器と磁界偏向器に印加する非無相関な回路ノイズを低減すること、及び電界偏向器と磁界偏向器に対して偏向制御回路の共通化を図ることが必要となる。
以下の実施例においては、直交電磁偏向器に用いた一次ビーム・二次ビーム分離手段について、電界によって二次電子を検出器側に偏向すると共に、この電界の一次電子線への影響を相殺し、且つ二次電子を検出器側に導くように電界と直交する方向に磁界を発生させる構成ことについて説明する。
本実施例においては、直交電磁偏向器に用いた一次ビーム・二次ビーム分離手段について、電界偏向器を制御する電圧源回路と磁界偏向器を制御する電流源制御回路の制御信号生成部を共通化する構成と、磁界を制御する電流信号に基準として電界を制御する電圧信号がウイン条件に満足するように調整する構成について説明する。
本実施例における走査型電子ビーム方式の計測検査装置は、図8で説明した従来の走査型電子ビーム方式の計測検査装置の構成のうち、直交電磁偏向器において、電界偏向器と磁界偏向器を制御する直交電磁偏向器の制御回路の構成を、図1に示したような構成と置き換えたものである。従って、以下では、図1、8を用いて説明する。
直交電磁偏向器においては、二次電子・反射電子を検出器への方向へ偏向するため、直交する2方向(X方向とY方向)への偏向を互いに独立の制御するために、通常最低X、Y方向それぞれの偏向電極と偏向コイルが必要である。
説明を簡略するため、図1では、X方向のみの電界偏向器と磁界偏向器およびそれらの電圧と電流制御回路のブロックをしか表示していない。Y方向の構成は本実施例と同じである。
本実施例における走査型電子ビーム方式の計測検査装置の動作を図8に示した装置構成を用いて説明すると、鏡筒830の内部(真空)において、電子銃801より生成・射出された電子ビームA21は、第1コンデンサレンズ(集束レンズ)802、絞り803、第2コンデンサレンズ(集束レンズ)804を通じて集束され、偏向電極808により形成された電界中を進んで偏向電極808に印加される偏向電圧に応じて電子ビームは走査偏向制御が行われ、対物レンズ809等を経て試料810上を走査しながら照射される。ビームA24が照射されると、試料810からは二次電子A211が発生し、直交電磁偏向器816の電界と磁界により二次電子A211は偏向されて検出器807で検出される。検出器807で検出された信号(アナログ信号)は、信号検出部827(二次電子信号検出回路)によってデジタル信号に変換される。そしてそのデジタル信号をもとに画像処理部)828(二次電子信号処理回路)で二次元の画像が生成処理され、GUI部826の画面に表示される。この画像内に基づいて回路パターンが計測される(計測機能の場合)。
次に、図1、8を用いて、本実施例の電界偏向器と磁界偏向器を制御する直交電磁偏向器の制御回路の構成を説明する。
一次電子ビームA21の照射で試料810から発生した二次電子(あるいは、反射電子)A211は、直交電磁偏向器816を構成する磁界偏向器116a、116bと電界偏向器116e、116fからの力を受けて検出器807の方向に偏向され、検出される。検出される二次ビーム(二次電子・反射電子)A211の偏向角度は、直交電磁偏向器816が発生した電界・磁界の強さと比例して、二次ビームA211のエネルギーと反比例する。試料からの二次電子や反射電子のエネルギーが異なって、実装位置が固定された検出器に入射するため、直交電磁偏向器816が発生した電界・磁界の大きさを直交電磁偏向器の制御回路302の出力電圧・出力電流を制御する。
一方、直交電磁偏向器816が発生した電界・磁界は一次電子ビームA21の走査位置を影響しないように、電界を制御する電圧源回路の出力電圧Vxと磁界を制御する電流源回路の出力電流のIxはウイン条件を満足する。
直交電磁偏向器の制御回路302は、電界・磁界共通電圧発生部302aから二次ビームA211のエネルギーに応じた二次ビームの偏向角度を決定する電圧値302a1を生成する。生成した電圧値を磁界駆動電流源回路302cで磁界を制御する電流へ変換・増幅して、磁界偏向器116a、116bへ印加する。一方、電圧値302a1をゲイン調整手段302bで電界を制御する電圧源回路の出力電圧Vxと磁界を制御する電流源回路の出力電流のIxはウイン条件を満足するように調整して、電界駆動電圧源回路302cで電界を制御する電圧へ増幅して、電界偏向器116e、116fへ印加する。
このような構成で、従来の装置構成で一次電子ビームA21の位置ずれを生じる直交電磁偏向器の制御回路ノイズの主要部分が、電界制御回路と磁界制御回路に対して共通化した同相成分になって、この部分のノイズに起因する電界と磁界の揺れ方向が逆方向で、大きさはウイン条件に満足する。さらに、電圧源制御信号の周波数特性および位相特性と電流源制御信号の周波数特性および位相特性と一致する。
よって、電磁偏向器制御回路の共通化回路ノイズに起因する一次電子ビームへの偏向力について、電界偏向器と磁界偏向器のノイズ部分は打ち消すことができ、一次電子ビームの位置ずれを低減できる。
以上、本実施例によれば、走査型電子ビーム方式の半導体(試料)の計測検査装置及び方法において、一次・二次電子を分離する手段の高電圧・大電流実現すると共に、一次ビームへの揺れ影響を最小限に抑制でき、分解能とスループットの向上を図ることができる。
図2を用いて、本発明の実施例2の走査型電子ビーム方式の計測検査装置、及びそれを用いた計測検査方法について、従来例と比較しながら説明する。
本実施例では、一次・二次電子を分離して二次ビームを偏向する直交電磁偏向器が2段以上構成された手段を提供する。なお、図2では2段構成の場合を図示している。この2段構成二次ビーム偏向手段の特徴は、1段構成の二次ビーム偏向手段により一次電子ビームの色収差問題を解決できる点にある。
以下に、実施例2における構成と色収差の補正作用について説明する。
[計測検査装置(システム)]
本実施例2における計測検査装置を含んで成るシステム全体の構成を図2に示す。実施例2における計測検査装置1は、対象の半導体ウェハ(試料110)の自動計測および自動検査を可能とする適用例である。本計測検査装置1は、半導体ウェハ(試料110)の回路パターンにおける寸法値を計測する計測機能、及び同パターンにおける欠陥(異常や不良)を検出する検査機能を備える。
本計測検査装置(システム)1は、大きくは、走査型電子顕微鏡100と、信号処理・制御用のコンピュータ200で構成されている。
走査型電子顕微鏡100は、カラム150と試料室130とを備え、試料室130の内部には、測定・検査の対象物である試料110を載置する試料台(ステージ)112、及びこの試料台を駆動するモータ131が設置されている。
走査型電子顕微鏡100のカラム150内(真空)には、照射系(電子光学系)として、電子ビームA1を射出する電子銃101、射出された電子ビームA1が通る集束レンズ(第1コンデンサレンズ)102、絞り103、集束レンズ(第2コンデンサレンズ)104、ブランキング(BLK)制御電極105、アパーチャ106、偏向器(電極)120、対物レンズ109等を有する。
また、カラム150は検出系として、照射された電子ビームA1(A4)により試料110から発生した二次電子・反射電子A11を検出する検出器107、およびA11を検出器107の方向へ偏向する二次電子・反射電子直交電磁偏向器160を備える。偏向器170は偏向器160により発生した一次電子ビームA1(A4)の色収差を補正する直交電磁偏向器である。ここで、電子ビームA1、A4(図示せず)はそれぞれ図8で示したA21、A24に相当する。
コンピュータ200は、例えば制御ラックにPCや制御ボードなどの形態で格納される構成である。コンピュータ200の各部は、例えばプロセッサ及びメモリ等によるソフトウェアプログラム処理、あるいは専用回路の処理などで実現される。
コンピュータ200には、全体制御部210と、ブランキング(BLK)制御回路201と、電子ビームの位置シフトと偏向走査とを制御するイメージシフト・偏向制御回路206と、機構系制御部230と、信号検出部(二次電子信号検出回路)207と、画像処理部(二次電子信号処理回路)208と、GUI部(ユーザインタフェース部)250、等を備える。
走査型電子顕微鏡100のカラム150内(真空)において、電子銃101より生成・射出された電子ビームA1は、第1コンデンサレンズ(集束レンズ)102、絞り103、第2コンデンサレンズ(集束レンズ)104を通じて集束され、イメージシフトと走査一体化された偏向器120を介してビームの照射中心に移動と走査偏向制御され、対物レンズ109等を経て試料110上を走査しながら照射される。ビームA1(A4)が照射されると、試料110からは二次電子A11が発生し、検出器107で検出される。検出器107で検出された信号(アナログ信号)は、信号検出部207(二次電子信号検出回路)によってデジタル信号に変換される。そしてそのデジタル信号をもとに画像処理部208(二次電子信号処理回路)で二次元の画像が生成処理され、GUI画面で表示される。この画像内に基づいて回路パターンが計測される(計測機能の場合)。
GUI部250は、ユーザ(測定・検査者)に対するインタフェース(GUI画面など)を提供する処理を行う。GUI部250では、検査条件などを入力(設定)するGUI画面や、検査結果(二次元の画像など)を表示するGUI画面などを提供する。GUI部250は、キーボードやディスプレイ等の入出力装置や通信インタフェース部などを含む。ユーザは、GUI画面で計測機能や検査機能を選択実行可能である。
全体制御部210は、GUI部250での指示に従い、本システム(装置)の全体(電子光学制御部220、機構系制御部230、イメージシフト・偏向制御回路206、信号検出部207、画像処理部208、ステージ位置検出部等)を制御する処理を行う。例えば全体制御部210は、GUI部250の画面でユーザにより入力された計測・検査条件や指示などに応じて、電子光学制御部220、イメージシフト・偏向制御回路206、機構系制御部230などを制御することで、計測の処理を行う。例えば全体制御部210は、計測の実行時、信号処理部207及び画像処理部208を通じて生成された二次元の画像などのデータ情報を受信し、GUI部250の画面で表示させる。
電子光学制御部220は、全体制御部210からの制御に従い、カラム100内の電子銃101、第1コンデンサレンズ(集束レンズ)102、絞り103、第2コンデンサレンズ(集束レンズ)104、ブランキング制御電極105、対物レンズ109等の電子光学系(照射系)を制御する。ブランキング制御回路201は、信号ラインを介してブランキング制御電極105を制御して、電子ビームA1の試料110への照射を停止するときには、電子ビームA1の軌道を曲げて電子ビームA1をアパーチャ106に照射させる。
イメージシフト・偏向制御回路206は、全体制御部210からの制御に従い、偏向器120に対して信号ライン(c1、c2)を通じて偏向制御信号を印加することにより、電子ビームの位置をシフトさせると共にこのシフトした位置における偏向による走査を制御する。
2段直交電磁偏向器303の制御部は、全体制御部210からの制御に従い、一次ビーム・二次ビーム分離する直交電磁偏向器160に対して信号ライン(b1)を通じて二次ビーム偏向制御信号を印加することにより、二次電子・反射電子を検出器107の方向へ偏向させると共に、一次電子ビームの走査方向に影響を与えないような制御をする。
しかしながら、このような直交電磁界発生器は、ウィンフィルターエネルギー分光器と同等の作用により、一次電子線をエネルギー分散させることになるため、大きな偏向力の発生により、色収差の問題が大きくなる。そのため、2段直交電磁偏向器制御部303は、全体制御部210からの制御に従い、直交電磁偏向器170に対して信号ライン(b2)を通じて一次電子ビーム色収差補正制御信号を印加することにより、直交電磁偏向器160が二次ビームを大きく偏向すると同時に生じた一次電子ビームの色収差を、逆電界と磁界の生成により補正を制御する。
図9は、本発明の実施例2に係る2段直交電磁偏向器303とその制御回路の構成を示すブロック図である。図9に示すように、2段直交電磁偏向器の上段偏向器170を制御する部分と下段偏向器160を制御する部分で構成する。一次電子ビームへの位置ずれ影響を最小限するために、各段制御回路の構成は実施例1で説明した構成と同じであり、電圧源回路と電流源回路の信号発生部を共通化する。
さらに、電圧源制御信号およびと電流源制御信号のそれぞれの周波数特性および位相特性を一致させる。よって、各段電磁偏向器制御回路の共通化回路ノイズに起因する一次電子ビームへの偏向力について、電界偏向器と磁界偏向器の部分は打ち消しができ、一次電子ビームの位置ずれを低減できる。
なお、周波数特性および位相特性を一致させる手段の一例としては、電圧源回路と電流源回路の周波数帯域や減衰特性が同じようになるように、それぞれの出力段にフィルタを設けることで、共通制御信号部で発生するノイズの位相・周波数特性を一致させることができる。
図2において、機構系制御部230は、試料室130に設置された試料台112を駆動するモータ131等を含む機構系を制御する。例えば、電子ビームの走査制御に対応させてモータ131を駆動して、試料台112を移動制御することが可能である。このとき、モータ131の回転信号はステージ位置検出部(図示せず)に送られて、試料台112の位置情報が得られる。
なお、図2のコンピュータ200(全体制御部210等)において、計測機能と検査機能の両方を備えるが、一方のみ備える形態としてもよい。画像処理部208は、計測時(計測機能)の場合は、計測画像を生成し、当該画像内のパターン寸法値の計算などを行い、また、検査時(検査機能)の場合は、検査画像を生成し、当該画像内の欠陥を検出・判定する処理などを行う。
本実施例によれば、走査型電子ビーム方式の半導体(試料)の計測検査装置及び方法などに関して、スループットと計測精度の向上を実現するため、一次ビーム・二次ビーム分離手段として、2段構成の直交電磁偏向器で構成する。一次・二次電子を分離する手段の高電圧・大電流実現すると共に、一次ビームへの揺れ影響と収差を最小限に抑制でき、分解能とスループットの向上を図ることができる。
実施例1で説明した構成では、直交電磁偏向器のX方向(或いはY方向)しか示していないが、本実施例における走査型電子ビーム方式の計測検査装置の構成は、直交電磁偏向器と制御回路をX、Y両方向に設ける。
図10は、本発明の実施例3に係る直交電磁偏向器の制御回路の構成を示すブロック図である。本図に示すように、実施例1で説明した直交電磁偏向器の制御回路は、X、Y両方向の直交電磁偏向きの電界・磁界を制御する電圧源回路と電流源回路から構成される。各方向において、一次電子ビームへの位置ずれ影響を最小限にするために、電圧源回路と電流源回路の信号発生部を共通化する。さらに、電圧源制御信号の周波数特性および位相特性と、電流源制御信号の周波数特性および位相特性とが一致する。よって、各方向に対する直交電磁偏向器制御回路の共通化回路ノイズに起因する一次電子ビームへの偏向力について、電界偏向器と磁界偏向器の部分は打ち消しができ、一次電子ビームの位置ずれを低減できる。
本実施例によれば、走査型電子ビーム方式の半導体(試料)の計測検査装置及び方法などに関して、スループットと計測精度の向上を実現するため、一次ビーム・二次ビーム分離手段として、X、Y方向のそれぞれを直交電磁偏向器で構成する。一次・二次電子を分離する手段の高電圧・大電流実現すると共に、一次ビームへの揺れ影響と収差を最小限に抑制でき、分解能とスループットの向上を図ることができる。
実施例3で説明した構成では、直交電磁偏向器と制御回路をX、Y両方向に設けるが、各方向の制御電圧と制御電流の制御は独立して行うことが特徴である。
本実施例における走査型電子ビーム方式の計測検査装置の構成では、直交電磁偏向器と制御回路をX、Y両方向に設けている。且つ、X、Y両方向の制御電圧と制御電流の制御は、独立ではないことが特徴である。これはX方向の電極、コイルとY方向の電極、コイルの製造・実装誤差によって、X、Y方向で独立に発生した電磁界は直交することはないので、回転効果を補正することが必要である。
図11は、本発明の実施例4に係る直交電磁偏向器の制御回路の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、直交電磁偏向器の制御回路は、X、Y両方向の直交電磁偏向器の電界・磁界を制御する電圧源回路と電流源回路から構成される。
直交電磁偏向器制御回路305は、X方向用直交電磁偏向器制御部とY方向用電界・磁界直交電磁偏向器制御部から構成される。X方向用の直交電磁偏向器制御部は、X方向電界・磁界共通電圧発生部305aから二次ビームのエネルギーに応じた二次ビームのX方向偏向角度を決定する電圧値305a1を生成する。Y方向用の直交電磁偏向器制御部は、Y方向電界・磁界共通電圧発生部305dから二次ビームのエネルギーに応じた二次ビームのY方向偏向角度を決定する電圧値305d1を生成する。生成したX方向共通電圧値305a1をX方向磁界駆動電流源回路305bでX方向磁界を制御する電流へ変換・増幅して、X方向磁界偏向器へ印加する。生成したY方向共通電圧値305d1をY方向磁界駆動電流源回路305eでY方向磁界を制御する電流へ変換・増幅して、Y方向磁界偏向器へ印加する。
一方、X方向偏向器とY方向偏向器の回転効果を補正するため、X方向電界を制御する電圧源回路の出力電圧Vxは、X方向共通電圧値305a1とY方向共通電圧値305d1を、それぞれゲイン調整手段305gと305hでの調整結果を加算し、その値を電界駆動電圧源回路305cへ入力し、電界駆動電圧源回路305cで電界を制御する電圧へ増幅してX方向電界偏向器へ印加する。
同様に、X方向偏向器とY方向偏向器の回転効果を補正するため、Y方向電界を制御する電圧源回路の出力電圧VyはX方向共通電圧値305a1とY方向共通電圧値305d1を、それぞれゲイン調整手段305iと305jでの調整結果を加算し、その値を電界駆動電圧源回路305fへ入力し、電界駆動電圧源回路305fで電界を制御する電圧へ増幅して、Y方向電界偏向器へ印加する。
このような構成で、X、Y方向電磁偏向器の回転効果がある場合にも、一次電子ビームの位置ずれを生じる電磁偏向器制御回路ノイズの主要部分が、電界制御回路と磁界制御回路に対して共通化した同相成分になって、この部分のノイズに起因する電界と磁界の揺れ方向が逆方向で、大きさはウイン条件に満足する。さらに、電圧源制御信号の周波数特性および位相特性と電流源制御信号の周波数特性および位相特性とを一致させる。
本実施例によれば、走査型電子ビーム方式の半導体(試料)の計測検査装置及び方法などに関して、スループットと計測精度の向上を実現するため、一次ビーム・二次ビーム分離手段として、X、Y方向電磁偏向器の回転効果を補正できる直交電磁偏向器で構成する。一次・二次電子を分離する手段の高電圧・大電流実現すると共に、一次ビームへの揺れ影響と収差を最小限に抑制でき、分解能とスループットの向上を図ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
上記構成による、本発明の荷電粒子ビーム装置の主な特徴は以下の通りである。
(1) 荷電粒子ビームを生成する荷電粒子銃と、
該荷電粒子銃から放出された荷電粒子ビームをステージに載置した試料上に照射して走査する電子光学系と、
前記試料から発生する二次電子、または反射電子を検出する検出部と、
前記二次電子、または反射電子の進路を前記検出部の方向へ偏向させる直交電磁偏向部と、を有し、
前記直交電磁偏向部は、磁界を発生させて前記荷電粒子ビームの軌跡を変化させる磁界偏向器と、電界を発生させて前記荷電粒子ビームの軌跡を変化させる電界偏向器と、前記磁界偏向器に電流を供給する電流源回路と、前記電界偏向器に電圧を供給する電圧源回路と、前記電流と前記電圧との関係を調整するゲイン調整部と、を備え、
前記磁界偏向器と前記電界偏向器は、前記磁界と前記電界とが互いに直交し重畳するように配置され、
前記電流源回路に電圧を印加する電圧発生部と、前記電圧源回路に電圧を印加する電圧発生部とが一つに共通化され、
前記ゲイン調整部により、前記磁界により進路が偏向される量と前記電界により進路が偏向される量とが一致するように、前記電流と前記電圧との関係が調整される、ことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
(2) 荷電粒子ビームを生成する荷電粒子銃と、
該荷電粒子銃から放出された荷電粒子ビームをステージに載置した試料上に照射して走査する電子光学系と、
前記試料から発生する二次電子、または反射電子を検出する検出部と、
前記二次電子、または反射電子の進路を前記検出部の方向へ偏向させる直交電磁偏向部と、を有し、
前記直交電磁偏向部は、前記荷電粒子銃から放出される荷電粒子ビームの進路方向に交わる第1の方向に電界および磁界のそれぞれを印加する第1の電界偏向器及び第1の磁界偏向器と、前記第1の方向に直交する第2の方向に電界および磁界のそれぞれを印加する第2の電界偏向器及び第2の磁界偏向器と、前記第1及び第2の磁界偏向器のそれぞれに電流を供給する第1及び第2の電流源回路と、前記第1及び第2の電界偏向器のそれぞれに電圧を供給する第1及び第2の電圧源回路と、前記電流と前記電圧との関係を調整する第1及び第2のゲイン調整部と、をそれぞれ備え、
前記第1及び第2の磁界偏向器は、磁界を発生させて前記荷電粒子ビームの軌跡を変化させ、前記第1及び第2の電界偏向器は、電界を発生させて前記荷電粒子ビームの軌跡を変化させ、
前記第1及び第2の磁界偏向器と前記第1及び第2の電界偏向器は、それぞれの磁界と電界とが互いに直交し重畳するように配置され、
前記第1の電流源回路に電圧を印加する電圧発生部と、前記第1の電圧源回路に電圧を印加する電圧発生部とが一つに共通化された第1の電圧発生部と、
前記第2の電圧源回路に電圧を印加する電圧発生部と、前記第2の電圧源回路に電圧を印加する電圧発生部とが一つに共通化された第2の電圧発生部と、を有し、
前記第1の電圧発生部と前記第2の電圧発生部とは互いに独立して電圧を制御し、
前記第1のゲイン調整部により、前記第1の磁界偏向器により磁界の進路が偏向される量と前記第1の電界偏向器の電界により進路が偏向される量とが一致するように、前記電流と前記電圧との関係が調整され、
前記第2のゲイン調整部により、前記第2の磁界偏向器により磁界の進路が偏向される量と前記第2の電界偏向器の電界により進路が偏向される量とが一致するように、前記電流と前記電圧との関係が調整される、ことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
1…計測検査装置(システム)、
100…走査型電子顕微鏡(カラム)、
101…電子銃、
102…第1コンデンサレンズ(集束レンズ)、
103…絞り、
104…第2コンデンサレンズ(集束レンズ)、
105…ブランキング(BLK)制御電極、
106…アパーチャ、
107…検出器(二次電子・反射電子検出器)、
109…対物レンズ、
110…試料、
112…試料台(ステージ)、
120…偏向器、
160…直交電磁偏向器、
200…コンピュータ(信号処理系)、
201…ブランキング(BLK)制御回路、
206…イメージシフト・偏向制御回路、
207…信号検出部(二次電子信号検出回路)、
208…画像処理部(二次電子信号処理回路)、
210…全体制御部、
220…電子光学制御部、
230…機構系制御部、
250…GUI部、
303…直交電磁偏向器、
302…直交電磁偏向器の制御回路。

Claims (3)

  1. 荷電粒子ビームを生成する荷電粒子銃と、
    該荷電粒子銃から放出された荷電粒子ビームをステージに載置した試料上に照射して走査する電子光学系と、
    前記試料から発生する二次電子、または反射電子を含む検出対象電子を検出する検出部と、
    前記検出対象電子の進路を第1の方向に偏向させる第1の磁界偏向器及び第1の電界偏向器と、
    前記検出対象電子の進路を第2の方向に偏向させる第2の磁界偏向器及び第2の電界偏向器と、
    制御回路と、を有する荷電粒子ビーム装置であって、
    前記制御回路は、
    第1の電圧発生部と、
    第2の電圧発生部と、
    前記第1の電圧発生部から第1の電圧を供給され、前記第1の磁界偏向器に電流を供給する第1の磁界駆動電流源回路と、
    前記第2の電圧発生部から第2の電圧を供給され、前記第2の磁界偏向器に電流を供給する第2の磁界駆動電流源回路と、
    前記第1の電界偏向器に電流を供給する第1の電界駆動電圧源回路と、
    前記第2の電界偏向器に電流を供給する第2の電界駆動電圧源回路と、
    前記第1の電圧を供給される、第1のゲイン調整部と、
    前記第2の電圧を供給される、第2のゲイン調整部と、
    前記第2の電圧を供給される、第3のゲイン調整部と、
    前記第1の電圧を供給される、第4のゲイン調整部と、
    を有し、
    前記第1の電界駆動電圧源回路は、前記第1のゲイン調整部が供給する電圧と、前記第2のゲイン調整部が供給する電圧と、を加算した電圧を供給され、
    前記第2の電界駆動電圧源回路は、前記第3のゲイン調整部が供給する電圧と、前記第4のゲイン調整部が供給する電圧と、を加算した電圧を供給されることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記第2のゲイン調整部及び前記第4のゲイン調整部は、前記第1の磁界偏向器、前記第1の電界偏向器、前記第2の磁界偏向器、及び第2の電界偏向器、各々の製造又は実装誤差に基づいて各々のゲインが定められることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  3. 請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記第2のゲイン調整部及び前記第4のゲイン調整部の各々のゲインは、前記第1の磁界偏向器、前記第1の電界偏向器、前記第2の磁界偏向器、及び第2の電界偏向器、に発生し得る回転効果に基づいて定められることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
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