JP6407204B2 - 生分解性吸水剤およびその製法 - Google Patents
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Description
SAPとして現在多用されているのは、ポリアクリル酸塩系などの合成ポリマー系SAPであるが、近年、ポリグルタミン酸塩系などの天然由来系SAPが生分解性の観点から注目されている。
たとえば、特許文献1には、膨潤度および保湿性に優れ、生分解性を有するポリグルタミン酸ゲルを高い収率で得るために、ポリグルタミン酸をポリアミンで架橋する際に、水溶性カルボジイミドおよびN−ヒドロキシコハク酸イミドを縮合剤および縮合補助剤として用いる方法が開示されている。
また、特許文献2には、天然物由来の乾燥ゲル粉末を簡単に得るために、湿式粉砕工程で水混和性有機溶媒を加える製造方法が開示されている。
特許文献2に開示された方法は、ヒドロゲル粒子を水混和性溶媒で脱水した後、送風乾燥させ乾燥ゲル粉末を得ている。しかし、乾燥ゲル粉末中の架橋された吸水網目は脱水・乾燥によって縮み、密着し易い状態にあることから、吸水・再膨潤の初期レスポンスが低くなってしまう。
本発明は、吸収性物品の吸収体の構成要素として用いられる生分解性を有する吸水剤において、吸水・再膨潤の初期レスポンスを改善すること、すなわち吸水速度および瞬間吸水倍率を改善することを課題とする。
好ましくは、吸水剤の瞬間吸水倍率が2.5以上である。
好ましくは、吸水剤中のトレハロースの含有量が0.5〜30.0質量%である。
好ましくは、天然由来高分子が縮合性の官能基を有する。
好ましくは、天然由来高分子がポリグルタミン酸またはカルボキシメチルセルロースである。
本発明の方法は、好ましくは、天然由来高分子を架橋する工程において得られた架橋した天然由来高分子を含むヒドロゲルを湿式粉砕する工程をさらに含む。
本発明の方法は、好ましくは、湿式粉砕したヒドロゲルに水混和性有機溶媒を加え、ヒドロゲルを脱水する工程をさらに含む。
本発明の方法は、好ましくは、脱水したヒドロゲルを乾燥する工程をさらに含む。
好ましくは、架橋剤がポリアミンまたは2個以上のエポキシ基を有する化合物である。
好ましくは、水混和性有機溶媒がメタノールである。
好ましくは、原料水溶液中のトレハロースの量が天然由来高分子100質量部を基準として10〜100質量部である。
好ましくは、架橋剤の量が天然由来高分子100質量部を基準として0.5〜25質量部である。
本発明は、また、架橋した天然由来高分子およびトレハロースからなる粒状の吸水剤であって、ボルテックス法により測定した吸水速度が25秒以下である吸水剤である。
(1)生理用食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)25gを50mLビーカーにとる。
(2)50mLビーカーをマグネチックスターラー(アズワン社製RS−1DN)の上に置き、550rpmで攪拌させる。
(3)試料(あらかじめ篩で分級し、粒子径500〜850μmの範囲のものを用いる。)を1.00g精秤し、(2)のビーカーの中に投入する。試料投入と同時にストップウォッチをスタートさせ、ビーカー内の液表面がフラットになったときストップウォッチを止め、時間(秒)を読み取り、それを吸水速度の値とする。
(1)吸引濾過装置をセットし、ブフナー漏斗上に濾紙(ADVANTEC社製定性濾紙N0.1−55mm)を置く。
(2)試料(あらかじめ篩で分級し、粒子径500〜850μmの範囲のものを用いる。)0.100±0.005gを取り、濾紙上に載せる。試料の質量をA(g)とする。
(3)生理用食塩水(50mL)を注入する。注入と同時にストップウォッチをスタートさせる。
(4)生理用食塩水吸引後、20秒間そのまま吸引を続ける。
(5)濾紙上の試料の質量を測定し、B(g)とする。
(6)次式により、瞬間吸水倍率を算出する。
瞬間吸水倍率(g/g)=(B−A)/A
JIS標準ふるい(JIS Z8801−1)で分級をおこない、以下の計算式で算出する。
各ふるいと次の段のふるいとを一組にし、各組の下の段(小さい開口寸法の方)に残留した試験試料の平均粒子径を以下の式によって算出する。
Dr=(D1+D2)/2
ただし、
Dr:小さい開口寸法のふるいが保持する試験試料の平均粒子径(μm)
D1:大きい開口寸法の網をもつふるいの網の公称目開き(μm)
D2:小さい開口寸法の網をもつふるいの網の公称目開き(μm)
試験試料の平均粒子径(D)は、以下の式によって算出する。
D={(D1×R1)+(D2×R2)+・・・・(Dn×Rn)}/100
ただし、
Dn:ふるいの各ペアでの平均粒子径
Rn:各ペアで小さい開口の方のふるいの試験試料残率(%)
本発明の架橋した天然由来高分子およびトレハロースを含む吸水剤を製造する方法は、天然由来高分子およびトレハロースを水に溶かして原料水溶液を調製する工程(以下「原料水溶液調製工程」ともいう。)、および原料水溶液に架橋剤を添加または放射線を照射して天然由来高分子を架橋する工程(以下「架橋工程」ともいう。)を含む。
本発明の製造方法は、さらに、天然由来高分子を架橋する工程において得られた架橋した天然由来高分子を含むヒドロゲルを湿式粉砕する工程(以下「粉砕工程」ともいう。)、湿式粉砕したヒドロゲルに水混和性有機溶媒を加え、ヒドロゲルを脱水する工程(以下「脱水工程」ともいう。)、脱水したヒドロゲルを乾燥する工程(以下「乾燥工程」ともいう。)の1つ以上の工程を含んでもよい。
原料水溶液中の天然由来高分子の濃度は、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは3〜20質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。天然由来高分子の濃度が薄すぎると吸水剤の回収量が低く生産性が悪くなる。天然由来高分子の濃度が濃すぎると粘度が高くなり、トレハロースや架橋剤の分散性が悪くなる。天然由来高分子の質量は、乾燥状態における質量で表すものとする。天然由来高分子の乾燥状態における質量とは、70℃、90分の条件で乾燥した後の質量をいうものとする。
原料水溶液中のトレハロースの濃度(C12H22O11基準)は、特に限定されないが、たとえば1〜10質量%である。
原料水溶液中のトレハロースの量は、特に限定されないが、たとえば、天然由来高分子100質量部を基準として、10〜100質量部である。
なお、原料水溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、天然由来高分子、トレハロース、水以外の物質(たとえば、分散剤、乳化剤、有機溶媒など)を含んでもよい。
以下、原料水溶液に架橋剤を添加し、天然由来高分子を架橋する工程について詳しく説明する。
架橋剤としては、天然由来高分子を架橋することができるものであれば、特に限定されない。
たとえば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの2つ以上のエポキシ基を有する化合物を架橋剤として使用することができる。
また、天然由来高分子がカルボキシル基を有する場合は、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ヘプタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンなどのアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミンなどのアミノ基を2個以上有する化合物(以下「ポリアミン」ともいう。)、ポリリジン、キトサンなどのアミノ基含有ポリマーなどを架橋剤として使用することができる。
天然由来高分子がアミノ基を有する場合は、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、トリメリット酸などのカルボキシル基を2個以上有する化合物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリグルタミン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸などのカルボキシル基含有ポリマーなどを架橋剤として使用することができる。
縮合剤としては、水溶性カルボジイミドが挙げられる。水溶性カルボジイミドとは、分子内にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する化合物であって、水溶性を有する化合物をいう。水溶性カルボジイミドの具体例としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはその塩、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエン硫酸またはその塩、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが挙げられ、好ましくは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエン硫酸塩である。
縮合剤の使用量は、使用される架橋剤1モルに対し、0〜50モル、好ましくは1〜40モル、より好ましくは2〜30モルである。
R1−C(=O)−N(−OH)−C(=O)−R2
ここで、R1およびR2が結合することにより、環構造が形成されてもよい。R1およびR2が結合してR1およびR2中の2つの炭素とN−ヒドロキシイミド基とで5員環を形成した化合物が好ましい。また、N−ヒドロキシイミドは、水溶性であることが好ましい。使用可能なN−ヒドロキシイミドの具体例としては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシへキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドが挙げられる。N−ヒドロキシイミドの中でも、N−ヒドロキシコハク酸イミドが最も好ましい。
縮合助剤の使用量は、使用される架橋剤1モルに対し、0〜50モル、好ましくは1〜40モル、さらに好ましくは2〜30モルである。なお、縮合助剤の使用量は、使用される縮合剤の使用量と等モルとすることが好ましい。
ヒドロゲル粒子を水混和性有機溶媒に浸漬させる時間は、溶媒の種類、量などに応じて異なるが、1回あたりの浸漬につき、作業性を考慮すると、好ましくは1分〜2時間であり、より好ましくは2分〜1時間であり、さらに好ましくは3分〜30分である。
必要に応じて、水混和性有機溶媒に浸漬後のヒドロゲル粒子を、適切な液体でリンスしてもよい。
架橋した天然由来高分子は、前述した吸収剤の製造方法において、原料水溶液にトレハロースを添加せずに原料水溶液調製工程を実施し、次いで架橋工程、粉砕工程、脱水工程、乾燥工程を実施することにより、製造することができる。
架橋した天然由来高分子にトレハロース水溶液を吸収させる工程(以下「吸収工程」ともいう。)は、トレハロース水溶液が架橋した天然由来高分子に吸収されるならば、いかなる方法を用いてもよい。たとえば、トレハロース水溶液に架橋した天然由来高分子を浸してもよいし、架橋した天然由来高分子にトレハロース水溶液を散布や滴下等により添加してもよい。この工程に供する架橋した天然由来高分子は乾燥したものであることが好ましい。この工程に供するトレハロース水溶液の濃度は、限定されないが、好ましくは0.03〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。トレハロース水溶液は、加温してもよいが、室温のままでもよい。
本発明の方法によれば、吸水速度および瞬間吸水倍率に優れる吸水剤が得られる。
天然由来高分子を架橋して得た含水架橋体(ヒドロゲル)を脱水し乾燥すると、脱水時に架橋構造の網目が縮む。しかし、天然由来高分子を架橋する際にトレハロースを共存させるまたは架橋した天然由来高分子にトレハロース水溶液を吸収させると、トレハロース分子が架橋構造の網目の中に取り込まれ、脱水・乾燥工程で水が抜けても、トレハロース分子は架橋構造の網目から抜けない。すなわち、脱水時に、トレハロースが水と置き換わることで網目が広いまま維持される。その結果、得られた吸水剤は吸水・再膨潤の初期レスポンスに優れると推定される。
本発明の方法により製造した吸水剤について、液体クロマトグラフィーおよび元素分析を行ったところ、吸水剤にトレハロースが取り込まれていることが確認された。
ただし、本発明は、上記の理論によって限定されない。
トレハロース(和光純薬工業株式会社製,α,α−トレハロースの二水化物,C12H22O11・2H2O)6.04gをイオン交換水722gに分散し、ホモジナイザー(アズワン株式会社製AHG−160D,シャフトジェネレーターHT1018)を用いて1000rpmで3分間分散した。ポリグルタミン酸(Na型,分子量200万,バイオリーダーズ社製)(以下「PGA」ともいう。)54.4g(PGAユニット分子量を151として360ミリモル)(PGA:トレハロース=90:10(質量比))を加えて溶解させた。PGA濃度は7%とした。ジエチレントリアミン(以下「DETA」ともいう。)(和光純薬工業株式会社製)1.11g(10.8ミリモル)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(以下「NHS」ともいう。)(和光純薬工業株式会社製)3.73g(32.4ミリモル)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下「EDC・HCl」ともいう。)(和光純薬工業株式会社製)6.21g(32.4ミリモル)を順次加えて攪拌し、約1分40秒でヒドロゲルを得た。添加終了30分後、得られた白濁ヒドロゲルをスパーテルで粗粉砕した。次いで、粗粉砕したヒドロゲルに20gのメタノール(和光純薬工業株式会社製)を加え、ホモジナイザー(アズワン株式会社製AHG−160D,シャフトジェネレーターHT1018)を用いて750rpmの条件で湿式粉砕した。湿式粉砕後、分散液を静置すると、半透明なヒドロゲル粒子が沈降したので、デカンテーションにより溶媒を除去し、新たに2倍量のメタノールを加え攪拌した。一連の操作を繰り返し、ヒドロゲル粒子が収縮して白色粒子になるまで脱水を行なった。脱水した粒子を70℃、90分の条件で送風乾燥し、乾燥ゲル粉末の吸水剤を得た。
トレハロース12.1g、イオン交換水642g、PGA48.3g(PGA:トレハロース=80:20(質量比))、DETA0.99g、NHS3.31g、EDC・HCl5.52gとし、他は実施例1と同じ手順で、吸水剤を調製した。
トレハロース18.1g、イオン交換水562g、PGA42.3g(PGA:トレハロース=70:30(質量比))、DETA0.87g、NHS2.90g、EDC・HCl4.83gとし、他は実施例1と同じ手順で、吸水剤を調製した。
トレハロース24.2g、イオン交換水481.5g、PGA36.2g(PGA:トレハロース=60:40(質量比))、DETA0.75g、NHS2.49g、EDC・HCl4.14gとし、他は実施例1と同じ手順で、吸水剤を調製した。
トレハロース30.20g、イオン交換水334.17g、PGA30.20g(PGA:トレハロース=50:50(質量比))、DETA0.63g、NHS2.08g、EDC・HCl3.45gとし、他は実施例1と同じ手順で、吸水剤を調製した。
トレハロースを加えなかった以外は実施例1と同じ手順で調製した吸水剤35.0gに、トレハロース水溶液(トレハロース3.5g、イオン交換水422.7g)(PGA:トレハロース=90:10(質量比))を吸水させた。次いで、20gのエタノール(和光純薬工業株式会社製)を加え、ホモジナイザー(アズワン株式会社製AHG−160D,シャフトジェネレーターHT1018)を用いて750rpmの条件で湿式粉砕した。湿式粉砕後、分散液を静置すると、半透明なヒドロゲル粒子が沈降したので、デカンテーションにより溶媒を除去し、新たに2倍量のエタノールを加え攪拌した。一連の操作を繰り返し、ヒドロゲル粒子が収縮して白色粒子になるまで脱水を行なった。脱水した粒子を70℃、90分の条件で送風乾燥し、乾燥ゲル粉末の吸水剤を得た。
トレハロースを7.0gにした以外は実施例6と同じ手順で、吸収剤を調製した。
トレハロースを加えなかった以外は、実施例1と同じ手順で、吸水剤を調製した。
イオン交換水190.7gにNaOH7.62gを溶解して調製した水酸化ナトリウム水溶液に、カルボキシメチルセルロース(Na型,F800FC,日本製紙株式会社製)(以下「CMC−Na」ともいう。)35.0gを加え、ホモジナイザー(AHG−160D,シャフトジェネレーターHT1018,アズワン株式会社製)を用いて1000rpmの条件で3分間混ぜることで、溶解させた。CMC−Na濃度は15質量%とした。エチレングリコールジグリシジルエーテル(以下「EGDE」ともいう。)(ナガセケムテック株式会社製)1.47mLを加え、再びホモジナイザー(同上)で混ぜた後、70℃、15時間で架橋反応させた。得られたヒドロゲルはスパーテルで粗粉砕し、次いで粗粉砕したヒドロゲルに2倍量のエタノール(和光純薬工業株式会社製)を加え、ホモジナイザー(同上)を用いて750rpmの条件で湿式粉砕をおこなった。湿式粉砕後、分散液を静置すると、半透明なヒドロゲル粒子が沈降したので、デカンテーションにより溶媒を除去し、新たにエタノールを加え攪拌した。一連の操作を繰り返し、ヒドロゲル粒子が収縮して白色粒子になるまで脱水を行なった。脱水した粒子を70℃、90分の条件で送風乾燥し、乾燥ゲル粉末の吸水剤を得た。
上記方法で合成した吸水剤35.0gに、トレハロース水溶液(トレハロース3.5g、イオン交換水422.7g)(CMC−Na:トレハロース=90:10(質量比))を吸水させた。次いで、2倍量のエタノール(和光純薬工業株式会社製)を加え、ホモジナイザー(アズワン株式会社製AHG−160D,シャフトジェネレーターHT1018)を用いて750rpmの条件で湿式粉砕した。湿式粉砕後、分散液を静置すると、半透明なヒドロゲル粒子が沈降したので、デカンテーションにより溶媒を除去し、新たにエタノールを加え攪拌した。一連の操作を繰り返し、ヒドロゲル粒子が収縮して白色粒子になるまで脱水を行なった。脱水した粒子を70℃、90分の条件で送風乾燥し、乾燥ゲル粉末の吸水剤を得た。
トレハロースを加えなかった以外は、実施例8と同じ手順で、吸水剤を調製した。
[液体クロマトグラフィーによるトレハロース含有量の測定法]
(1)標準溶液→検量線
トレハロース約50mgを精密に量り、水で溶かして正確に100mLとした。この液を希釈し、0.5〜5μg/mLの標準溶液を4点調製した。
(2)試料溶液
試料約0.1gを採取し、水100mLを加えて還流抽出した。抽出液を濾過し、得られた濾液を凍結乾燥した。乾固物全量を水に溶解させ、正確に10mLとした。この液を水で400倍に希釈しメンブランフィルター(孔径0.45μm)で濾過したものを試料溶液とした。
(3)測定条件
装置:イオンクロマトグラフ
検出器:電気化学検出器
カラム:CarboPac PA1
移動相:10mmol/L 水酸化ナトリウム溶液
流量:1.0mL/min
分析時間:15分
注入量:15μL
元素分析により、試料中の炭素と窒素のモル比(C/N)を求める。
架橋剤のジエチレントリアミンは、完全に架橋に寄与しており、仕込み量と調製された吸水剤中の含有量とは等しいと仮定し、仕込み量から吸水剤中のPGAに対するジエチレントリアミンのモル%(q)を計算する。
吸水剤中のPGAに対するトレハロースのモル%をpとすると、次式が成立する。
C/N=(5+4×0.06+12×p/100)/(1+3×q/100)
この式に、元素分析により求めたC/Nの値と仕込み量から計算したqの値を代入し、pを算出する。
Claims (15)
- 架橋した天然由来高分子およびトレハロースからなる粒状の吸水剤を吸収体の構成要素として含む吸収性物品であって、天然由来高分子がポリアミノ酸またはカルボキシメチルセルロースであり、吸水剤中のトレハロースの含有量が0.5〜30.0質量%であり、吸水剤のボルテックス法により測定した吸水速度が25秒以下である、吸収性物品(ただし、ボルテックス法により測定した吸収速度とは、次のようにして測定したものである。
(1)生理用食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)25gを50mLビーカーにとる。
(2)50mLビーカーをマグネチックスターラー(アズワン社製RS−1DN)の上に置き、550rpmで攪拌させる。
(3)試料(あらかじめ篩で分級し、粒子径500〜850μmの範囲のものを用いる。)を1.00g精秤し、(2)のビーカーの中に投入する。試料投入と同時にストップウォッチをスタートさせ、ビーカー内の液表面がフラットになったときストップウォッチを止め、時間(秒)を読み取り、それを吸水速度の値とする。)。 - 架橋した天然由来高分子およびトレハロースからなる粒状の吸水剤であって、天然由来高分子がポリアミノ酸またはカルボキシメチルセルロースであり、吸水剤中のトレハロースの含有量が0.5〜30.0質量%であり、ボルテックス法により測定した吸水速度が25秒以下である吸水剤(ただし、ボルテックス法により測定した吸収速度とは、次のようにして測定したものである。
(1)生理用食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)25gを50mLビーカーにとる。
(2)50mLビーカーをマグネチックスターラー(アズワン社製RS−1DN)の上に置き、550rpmで攪拌させる。
(3)試料(あらかじめ篩で分級し、粒子径500〜850μmの範囲のものを用いる。)を1.00g精秤し、(2)のビーカーの中に投入する。試料投入と同時にストップウォッチをスタートさせ、ビーカー内の液表面がフラットになったときストップウォッチを止め、時間(秒)を読み取り、それを吸水速度の値とする。)。 - 瞬間吸水倍率が2.5以上である請求項2に記載の吸水剤(ただし、瞬間吸水倍率とは、次のようにして測定したものである。
(1)吸引濾過装置をセットし、ブフナー漏斗上に濾紙(ADVANTEC社製定性濾紙N0.1−55mm)を置く。
(2)試料(あらかじめ篩で分級し、粒子径500〜850μmの範囲のものを用いる。)0.100±0.005gを取り、濾紙上に載せる。試料の質量をA(g)とする。
(3)生理用食塩水(50mL)を注入する。注入と同時にストップウォッチをスタートさせる。
(4)生理用食塩水吸引後、20秒間そのまま吸引を続ける。
(5)濾紙上の試料の質量を測定し、B(g)とする。
(6)次式により、瞬間吸水倍率を算出する。
瞬間吸水倍率(g/g)=(B−A)/A)。 - 吸水剤中のトレハロースの含有量が1.0〜20.0質量%である、請求項2または3に記載の吸水剤。
- 天然由来高分子が縮合性の官能基を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 天然由来高分子がポリグルタミン酸またはカルボキシメチルセルロースである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 架橋した天然由来高分子およびトレハロースを含む吸水剤を製造する方法であって、天然由来高分子がポリアミノ酸またはカルボキシメチルセルロースであり、吸水剤中のトレハロースの含有量が0.5〜30.0質量%であり、天然由来高分子およびトレハロースを水に溶かして原料水溶液を調製する工程、および原料水溶液に架橋剤を添加または放射線を照射して天然由来高分子を架橋する工程を含む方法。
- 天然由来高分子を架橋する工程において得られた架橋した天然由来高分子を含むヒドロゲルを湿式粉砕する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
- 湿式粉砕したヒドロゲルに水混和性有機溶媒を加え、ヒドロゲルを脱水する工程をさらに含む請求項8に記載の方法。
- 脱水したヒドロゲルを乾燥する工程をさらに含む請求項9に記載の方法。
- 架橋剤がポリアミンまたは2個以上のエポキシ基を有する化合物である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 水混和性有機溶媒がメタノールである、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 原料水溶液中のトレハロースの量が天然由来高分子100質量部を基準として10〜100質量部である、請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 架橋剤の量が天然由来高分子100質量部を基準として0.5〜25質量部である、請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 架橋した天然由来高分子およびトレハロースを含む吸水剤を製造する方法であって、天然由来高分子がポリアミノ酸またはカルボキシメチルセルロースであり、吸水剤中のトレハロースの含有量が0.5〜30.0質量%であり、架橋した天然由来高分子にトレハロース水溶液を吸収させる工程、トレハロース水溶液を吸収した架橋した天然由来高分子を水混和性有機溶媒中で湿式粉砕するとともに脱水する工程、および脱水した架橋した天然由来高分子を乾燥する工程を含む方法。
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