JP6406974B2 - 燃料用着臭剤 - Google Patents
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Description
これらの着臭剤としては、メルカプタン類、スルフィド類(サルファイド類)、チオフェン類等が使用されてきた。
しかしながら、それらの化合物は、臭いが弱かったり(無かったり)、不快な臭いがしなかったり(不快さが劣ったり)、従来のガス臭とはかけ離れた臭いであったりすると言った問題点があった。
従来の硫黄(S)原子を含む化合物よりなる着臭剤を使用すると、燃料電池に使用されている触媒を劣化させる問題点を有していたが、本発明の着臭剤は、硫黄(S)原子を含まないようにもできるため、硫黄(S)原子を含まないことによって、触媒劣化等の発生を防止することができる。
更に、メルカプタン化合物及び/又はスルフィド化合物を含有させた場合であっても、その含有量を一定量以下にすることができるので、すなわち添加量を極微量の添加に留めることができるので、良好な燃料電池用の燃料用着臭剤を提供することができる。
また、環境汚染の可能性のあるメルカプタン化合物及び/又はスルフィド化合物の含有量を、「従来の硫黄(S)原子を含む着臭剤」より減らすことができるため、環境汚染を引き起こす可能性を低くすることができる。
また、「液体燃料」とは、20℃において、又は、燃料として使用するときに、液体の状態である燃料を言う。
ここで、「燃料」とは、そこからエネルギーを取り出す材料を言い、燃して使用するものも、熱にしてその熱を加熱・発電等に利用するものも、燃して使用せずに燃料電池用等として電気化学反応に使用するものも、燃料電池用の水素ガス等のガスを改質によって製造するための原料として使用するものも含まれる。
本発明の燃料用着臭剤は、液体である液化天然ガスにも、該液化天然ガスを気体にしたものにも含有される。
本発明の燃料用着臭剤は、液化天然ガスを使用した都市ガスにも好適に使用される。
「液化石油ガス」には、天然ガスと共に産出される(天然ガスから分離される)石油由来のものも、それ以外のものも、石油の精製過程で分離されるものも含まれる。
本発明の燃料用着臭剤は、一般ボンベ、カセットコンロ用ガスカートリッジ等に入れた家庭用・業務用・工業用・農林水産業用の液化石油ガスに含有される他;フォークリフト、ブルドーザー、耕運機等を含む自動車用;ヒートポンプ、吸収式等による冷暖房用;燃してタービンを利用した発電、燃料電池による発電等の発電用;コジェネレーションシステム用;等の液化石油ガスに含有される。
「水素ガス」は、水素燃料エンジンを搭載した自動車用、ロケット用等の、燃して使用する燃料ガスの他、燃料電池用の負極活物質である燃料ガスにも使用される。
「ナフサ」とは、石油を分留して得られる、おおむね沸点が30℃〜80℃の範囲にあり、炭素数が5〜7の炭化水素である軽質ナフサと、おおむね沸点が80℃〜180℃の範囲にあり、炭素数が6〜12の炭化水素である重質ナフサとを含む。
本発明の燃料用着臭剤は、オイルライター用、ホワイトガソリン等に使用される重質ナフサにも用いられる。
また、本発明における特定化合物を含有する燃料用着臭剤には、前記特定化合物以外の公知の着臭剤を好適に併用させることができる。
前記特定化合物に併用させた際に優れた効果を発揮する「特定化合物以外の着臭剤」としては、1−オクテン−3−オール、1−オクテン−3−オン、t−2−ノネナール、5−エチリデン−2−ノルボルネン、エチルイソバレレート、メチルイソバレレート、3−ヒドロキシ−2−ブタノイン、2,3−ブタンジオン等が好ましく、1−オクテン−3−オール、1−オクテン−3−オン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、メチルイソバレレート等がより好ましく、1−オクテン−3−オール又は1−オクテン−3−オンが特に好ましく、1−オクテン−3−オールが最も好ましい。
本発明における特定化合物に、上記「特定化合物以外の着臭剤」を併用すると、空気(大気)で1000倍に希釈したときの「臭気強度2」を与える着臭剤の濃度を適度に低めることができる(十分低い濃度で「臭気強度2」となる);臭質を調整し易い;より不快臭になる;等の点から好ましい。
また、特定化合物の合計量の含有量を減らせる;臭気強度や不快度の向上が図れる;「ガス臭としての臭質」に設定し易くすることが可能;等の効果を奏する。
また、スルフィド化合物は、特に限定はないが、具体的には、例えば、ジメチルスルフィド(ジメチルサルファイド、ジメチルチオエーテル)、ジエチルスルフィド(ジエチルサルファイド、ジエチルチオエーテル)、メチルエチルスルフィド(メチルエチルサルファイド、メチルエチルチオエーテル)等が好ましく、これらの化合物は1種又は2種以上が用いられる。
100×[メルカプタン化合物及び/又はスルフィド化合物]/[燃料用着臭剤]の値を、以下単に「混合比率」と略記する場合がある。
混合比率が、上記上限以下であると、硫黄(S)原子を含む化合物による大気汚染等の影響が殆ど現れない。
なお、燃料ガスが液化石油ガスである場合には、燃料用着臭剤を配合時には、燃料ガスが液体である場合があるので、その場合には、上記液体燃料のときの好ましい濃度が適用される。
なお、燃料ガスが液化石油ガスである場合には、燃料用着臭剤を配合時には、燃料ガスが液体である場合があるので、その場合には、上記液体燃料のときの好ましい濃度が適用される。
上記範囲より低いと、空気中に漏れ出した燃料ガス又は液体燃料の濃度が大きくならないと臭気を認知し難くなる場合がある。一方、上記範囲より高いと、空気中の燃料ガス又は液体燃料の濃度が十分小さい場合でも不快臭がしたり、燃料電池用ガスに用いた場合には、短時間に触媒を被毒したりする場合がある。
表1、2に示した組成で、各成分を秤量して定量的に採取して燃料用着臭剤を調製した。2種以上の化合物を混合する場合は、容器内にそれぞれの成分を入れて混合撹拌して、燃料用着臭剤を調製した。表1、2中の各成分の欄の数字は質量部である。
<「安定性」の評価方法>
オートクレーブに、上記調製例1で調製した燃料用着臭剤又は燃料用着臭剤を、試料として50mL採取し、温度35℃で2週間加熱し、加熱前後の試料の各成分の化学変化(組成変化)をガスクロマトグラフィーで測定した。
以下の判定基準で評価した。
○:全く組成変化が見られなかった。
×:組成変化が見られた。
[液体燃料又は液化石油ガスの場合]
<「臭気強度2を与える含有量」の評価方法>
液体燃料の場合、又は、燃料ガスの中でも液化石油ガスの場合は、調製例1で調製した試料を、液化石油ガスに添加して臭いを付け、「どの程度の量を添加すればその臭いが何の臭いであるかが感知できる程度(臭気強度2)」となるかを、以下のように評価した。
すなわち、添加量を変化させて試料を添加した液化石油ガスを、15m3の無臭室に、空気(大気)で1000体積倍に希釈される量だけ注入し、均一な濃度となるように撹拌した。
「臭気強度」は、悪臭防止法等で定められたものであり、人間の臭気感覚を6段階で以下のように数値化したものである。
0:無臭
1:やっと感知できる臭い(検知閾値濃度)
2:何の臭いであるか分かる弱い臭い(認知閾値濃度)
3:楽に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
[液化石油ガスを除く燃料ガスの場合]
<「臭気強度2を与える含有量」の評価方法>
調製例1で得られた試料を、液化石油ガス以外の燃料ガスである、液化天然ガス、工業用ガス、ジメチルエーテル、燃料電池用ガスに添加し、上記の液化石油ガスの場合と同様に、6段階臭気強度表示法による臭気強度が「臭気強度2」となるときの、試料の燃料ガスへの添加量を求めた。「臭気強度2」となるときの試料の燃料ガスへの添加量から、含有量[mg/Nm3]を算出し、結果を表1、2に示す。
なお、「臭気強度の判定基準」は、上記したものと同一である。
<「不快度」の評価方法>
上記評価例2、3で、「臭気強度2」となる試料濃度で調製された「燃料ガス又は液体燃料」を、前記の無臭室内に、空気(大気)で1000倍に希釈される量だけ注入し、均一な濃度となるように撹拌し、臭いを嗅いでもらい以下の基準で、不快に感じる臭いか否かを判定した。結果を表1、2に示す。
9段階快・不快度評価 表示
−4:極端に不快 ○
−3:非常に不快 ○
−2:不快 ○
−1:やや不快 △
±0:快でも不快でもない ×
+1:やや快 ×
+2:快 ×
+3:非常に快 ×
+4:極端に快 ×
<「ガス臭としての臭質」の評価方法>
上記「不快度」の評価方法と同時にパネルに嗅いでもらった。すなわち、上記評価例2、3で、「臭気強度2」となる試料濃度で調製された「燃料ガス又は液体燃料」を、前記の無臭室内に、空気(大気)で1000倍に希釈される量だけ注入し、均一な濃度となるように撹拌し、臭いを嗅いでもらい、従来のガスの臭いに似ているか否かを以下の基準で判定した。結果を表1、2に示す。
回答
○:従来のガス臭と酷似している。
△:従来のガス臭と類似している。
×:従来のガス臭とは異なる。
<総合評価>
上記した、「臭気強度2を与える含有量」、「安定性」、「臭気強度2を与える含有量」、「不快度」、「ガス臭としての臭質」を総合して以下の通り判定した。
◎:上記評価項目が全て良好「○」であって総合的に極めて良好(合格レベル)
○:「不快度」と「ガス臭としての臭質」の一方が「△」で他方が「○」(合格レベル)
△:「不快度」と「ガス臭としての臭質」の両方が「△」(不合格レベル)
×:上記評価項目の何れか1種が不良「×」(不合格レベル)
表1、2に評価結果を示すように、燃料ガスであっても液体燃料であっても、臭気強度が「2」となるときの、着臭剤(試料)の添加量は、試料番号101〜103、110〜115、401〜408では、200mg/Nm3、200質量ppmであり、試料番号104〜109では、1000mg/Nm3、1000質量ppmであり、試料番号201〜214では、100mg/Nm3、100質量ppmであり、何れも問題はなかった。
また、試料番号101〜115、201〜212では、「不快度」及び「ガス臭としての臭質」が何れも「○」であり総合評価が「◎」になるか、又は、一方が「○」で、他方が「△」であり総合評価が「○」(合格レベル)であった。
また、燃料用複合着臭剤(試料)の含有量を、50mg/Nm3、50質量ppmに低減しても、臭気強度2を与えることが分かった。
また、メルカプタン化合物及び/又はスルフィド化合物は、極微量加えるだけでその効果を発揮するので、それらに含まれる硫黄(S)原子は極僅かであって無視できる程度に抑えることができ、前記の硫黄(S)原子を含まない燃料用複合着臭剤と同様に、燃焼させても硫黄酸化物は殆ど発生せず、環境の汚染を確実に防止することができ、燃料電池用の燃料ガス等に使用しても触媒を殆ど被毒せず悪影響を及ぼさないため、触媒の寿命を減らすことがないことが分かった。
また、評価例3の含有量[mg/Nm3]の結果は、燃料ガス一般に関して適用できることは技術常識から明らかである。
また、空気1Nm3は約1×103gであり、1mgは10−3gなので、評価例2と評価例3の表1、2における数値は一致した。
一方、試料番号401〜408では、総合評価が「×」又は「△」であった。
Claims (7)
- 燃料ガス又は液体燃料に臭いを付ける燃料用着臭剤であって、2−オクテン−4−オン、ピルビンアルデヒドジメチルアセタール、2−シクロヘキシルプロパナール、3−メチル−3−ペンテン−2−オン、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、及び、アセトアルデヒドエチル−シス−3−ヘキセニルアセテートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の特定化合物又は2種以上の該特定化合物を含有してなるものであることを特徴とする燃料用着臭剤。
- 燃料ガス又は液体燃料に臭いを付ける燃料用着臭剤であって、2−オクテン−4−オン、1−オクテン−3−イルアセテート、ピルビンアルデヒドジメチルアセタール、アセトアルデヒドジメチルアセタール、2−シクロヘキシルプロパナール、ホルムアルデヒドジエチルアセタール、3−メチル−3−ペンテン−2−オン、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、及び、アセトアルデヒドエチル−シス−3−ヘキセニルアセテートよりなる群から選ばれた1種以上の化合物を含有し、更に、メルカプタン化合物及び/又はスルフィド化合物を含有することを特徴とする燃料用着臭剤。
- 燃料ガス又は液体燃料に臭いを付ける燃料用着臭剤であって、2−オクテン−4−オン、1−オクテン−3−イルアセテート、ピルビンアルデヒドジメチルアセタール、アセトアルデヒドジメチルアセタール、2−シクロヘキシルプロパナール、ホルムアルデヒドジエチルアセタール、3−メチル−3−ペンテン−2−オン、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、及び、アセトアルデヒドエチル−シス−3−ヘキセニルアセテートよりなる群から選ばれた2種以上の化合物を含有してなるものであることを特徴とする燃料用着臭剤。
- 上記燃料用着臭剤が、更に、メルカプタン化合物及び/又はスルフィド化合物を含有するものである請求項3に記載の燃料用着臭剤。
- 上記燃料ガスが、都市ガス、液化天然ガス、工業用ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、水素ガス、又は、燃料電池用ガスである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の燃料用着臭剤。
- 上記液体燃料が、ガソリン、ナフサ、バイオ燃料、軽油、又は、灯油である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の燃料用着臭剤。
- 請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の燃料用着臭剤を含有するものであることを特徴とする燃料ガス又は液体燃料。
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