JP6406090B2 - 白濁現象の発生を防止し得る陸上土木の施工方法 - Google Patents
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Description
すなわち、陸上現場で使用する土木資材については、この土木資材からの溶出水のpH値がpH≦11.5の溶出水pH条件を満たす場合には、陸上現場の表層土の如何にかかわらず白濁現象が発生しないこと、そして、陸上現場については、この陸上現場の表層土について、「表層土の浸透能測定法」で測定される最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)がIc-min≧60mm/hrの浸透能条件を満たす場合には、土木資材の溶出水pH値がpH≦11.5の溶出水pH条件を満たすか否かにかかわらず白濁現象が発生しないことをそれぞれ突き止め、本発明を完成した。
(1) 水酸化カルシウムを溶出して白濁現象の発生原因となる土木資材を陸上の現場で利用するに際し、
前記陸上現場の表層土について下記の表層土の浸透能測定法により最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)を測定し、この表層土が最終浸透強度条件のIc-min≧60mm/hrを満たす場合には、前記土木資材からの溶出水のpH値が11.5以上の土木資材を選んで施工することを特徴とする、白濁現象の発生を防止し得る陸上土木の施工方法。
〔表層土の浸透能測定法〕
陸上現場の表層土に両端開口状の筒体(内径x:cmφ)を、その下端部を地中に埋設させて立設し、次いで、この筒体の上端開口部から所定量(y:cm3)の水を注入し、この注入された水の全てが地中に浸透するまでの浸透時間(T:sec)を測定し、この測定された浸透時間の結果から下記式(1)に従って浸透強度(Ic)を求める浸透強度測定を複数回繰り返して実施し、
Ic(mm/hr)=[y/{(x/2)2×π×T}]×10×3600…(1)
この繰り返して行う複数回の浸透強度測定において、測定され求められる値が一定になった際の浸透強度の測定値を最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)とする表層土の浸透能測定法。
(2) 前記土木資材が鉄鋼スラグであることを特徴とする前記(1)に記載の陸上土木の施工方法。
(3) 陸上現場で実施する陸上土木が簡易舗装又は嵩上げ盛土である前記(1)又は(2)に記載の陸上土木の施工方法。
本発明は、水酸化カルシウムを溶出して白濁現象の発生原因となる土木資材(以下、「アルカリ資材」ということがある。)を使用し、陸上現場で土木施工を行うに際し、施工した場合に白濁現象が発生するか否かを下記の簡単な判定試験で事前に検討する。
陸上現場で使用するアルカリ資材について、例えば地盤工学会基準JGS0211-2000「土懸濁液のpH試験法」に準じてアルカリ資材からの溶出水のpH値がpH≦11.5の溶出水pH条件を満たすか否かを調べる。
このpH値判定試験の結果、アルカリ資材が上記の溶出水pH条件(pH≦11.5)を満たす場合には、陸上現場の表層土の如何にかかわらず、このアルカリ資材を表面被覆無しにそのまま陸上土木の用途に用いても白濁現象が発生しないと判定する。また、アルカリ資材が上記の溶出水pH条件(pH≦11.5)を満たさない場合には、以下の陸上現場における表層土の浸透能判定試験又は粒度判定試験の結果をみて陸上土木に使用するか否かを決定する。
陸上現場の表層土について、下記に示す「表層土の浸透能測定法」で測定され、算出される最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)を求め、この最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)がIc-min≧60mm/hrの浸透能条件を満たす場合には、使用するアルカリ資材の溶出水pH値が上記の溶出水pH条件(pH≦11.5)を満たすか否かにかかわらず、陸上現場でアルカリ資材を用いても白濁現象が発生しないと判定する。
〔試験例1:溶出水のpH値判定試験について〕
製鋼スラグを純水に浸漬してpH12.49の溶出水(pH12.49原液)を作製した。
次に、このpH12.49原液の一部を5倍に希釈してpH11.83の希釈溶出水(pH11.83希釈液)を作製すると共に、10倍に希釈してpH11.55の希釈溶出水(pH11.55希釈液)を作製した。
このようにして作製した3種の溶出水(pH12.49原液、pH11.83希釈液、及びpH11.55希釈液)について、図1に示すように、それぞれシャーレに3cm3づつ採取し、室内で乾燥させて各溶出水の作成直後のpH値と白濁現象との関係を調べた。
この結果、溶出水pHが11.5程度迄であれば、陸上現場の表層土の如何にかかわらず、白濁現象が発生しないことが判明した。これは、pHが高いほど溶出水中に溶解しているカルシウム濃度が高く、大気中の炭酸ガスとの反応により析出する炭酸カルシウムの量が多いことによる。実際の現場では、pHが高いほど溶出水中に溶解しているカルシウム濃度が高く大気中の炭酸ガスとの反応速度が速いため、舗装部の法尻から側方の地表面に流下する過程で溶解度の低い炭酸カルシウムが素早く析出し、法尻近傍で白濁析出物が高い濃度で析出する。
山砂と腐植土とを用い、表1に示す割合で混合し、表1に示す浸透強度を有する試験No.1〜試験No.6の人工表層土を作製した。
また、図2に示すような、内径75mmφの両端開口状の筒体(2)の下端に水透過性のフィルター(3)を設けられた浸透能判定用の試験具(1)を準備した。
結果を図3に示す。
浸透強度が約60mm/hrの浸透性地盤及びこの表層土上に浸透強度0mm/hrの不透水性表層地盤を模擬するため、遮水シートを敷設した人工表層地盤上に、アルカリ資材として、何らの処理も行っていない製鋼スラグ(未処理スラグ)、又は、炭酸化によりpHを11.5程度に調整した製鋼スラグ(炭酸化スラグ)を用い、平面寸法約2m×2m及び厚さ約0.3mの試験盛土を築造し、4年間の白濁発生状況を調査した。
表2に示す用途の陸上現場(暫定的な地名)において、上記の「表層土の浸透能測定法」による浸透能判定試験を実施し、各地名の陸上現場において表2に示す最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)の結果を得た。
また、これらの地名の陸上現場において、溶出水pH値が12.3〜12.5である鉄鋼スラグを用いて厚さ30〜50cm程度の現場舗装にて白濁現象が発生するか否かを調べた。
結果を表2に示す。
Claims (3)
- 水酸化カルシウムを溶出して白濁現象の発生原因となる土木資材を陸上の現場で利用するに際し、
前記陸上現場の表層土について下記の表層土の浸透能測定法により最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)を測定し、この表層土が最終浸透強度条件のIc-min≧60mm/hrを満たす場合には、前記土木資材からの溶出水のpH値が11.5以上の土木資材を選んで施工することを特徴とする、白濁現象の発生を防止し得る陸上土木の施工方法。
〔表層土の浸透能測定法〕
陸上現場の表層土に両端開口状の筒体(内径x:cmφ)を、その下端部を地中に埋設させて立設し、次いで、この筒体の上端開口部から所定量(y:cm3)の水を注入し、この注入された水の全てが地中に浸透するまでの浸透時間(T:sec)を測定し、この測定された浸透時間の結果から下記式(1)に従って浸透強度(Ic)を求める浸透強度測定を複数回繰り返して実施し、
Ic(mm/hr)=[y/{(x/2)2×π×T}]×10×3600…(1)
この繰り返して行う複数回の浸透強度測定において、測定され求められる値が一定になった際の浸透強度の測定値を最終浸透強度(Ic-min:mm/hr)とする表層土の浸透能測定法。 - 前記土木資材が鉄鋼スラグであることを特徴とする請求項1に記載の陸上土木の施工方法。
- 陸上現場で実施する陸上土木が簡易舗装又は嵩上げ盛土である請求項1又は2に記載の陸上土木の施工方法。
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