JP3708017B2 - 地盤構造およびその造成方法並びに雨水利用システム - Google Patents

地盤構造およびその造成方法並びに雨水利用システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透水性に優れ、地盤表層における雨水の表面流出を防止することが可能な地盤構造およびその造成方法並びに該地盤構造を用いた雨水利用システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、都市部などにおいては地表がアスファルトやコンクリートで覆われ、降雨時に雨が地表を流れ(以下表面流出とも記す)、U字溝などを経由して下水道や河川に流れ込み、雨量が多い場合、低地帯において下水道や河川から水が氾濫し都市型水害が発生する。
【0003】
また、透水性に劣る地盤の場合、地下水の枯渇による地盤沈下の問題が生じる。
一方、学校のグラウンドなどの屋外の体育施設や公園などは、その敷地面積が広いことから、特に、前記した表面流出の防止が必要であると共に、降雨後速やかに排水されることが要求され、透水性に優れ、地盤表層における雨水の表面流出を防止することが可能な地盤構造が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、透水性に優れ、地盤表層における雨水の表面流出を防止することが可能な地盤構造およびその造成方法並びに該地盤構造を用いた雨水利用システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、自然土壌からなる地盤と、該地盤の上に敷き込んだガラス破砕品からなる保水層と、該保水層の上に敷き込んだ自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる透水層によって構成されたことを特徴とする地盤構造である。
第2の発明は、前記した第1の発明の地盤構造を用い、該地盤構造の保水層中に取水口を配置した貯水槽を自然土壌からなる地盤中に埋設し、貯水槽に貯溜した雨水を用いることを特徴とする雨水利用システムである。
【0006】
第3の発明は、自然土壌からなる地盤の上に、ガラス破砕品を敷き込むことによって保水層を形成し、該保水層の上に、自然土壌およびガラス破砕品の混合物を敷き込むことによって透水層を形成することを特徴とする地盤構造の造成方法である。
前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記透水層の自然土壌、透水層のガラス破砕品および保水層のガラス破砕品それぞれの平均粒径が下記式(1) を満足することが好ましい。
【0007】
透水層の自然土壌の平均粒径<透水層のガラス破砕品の平均粒径<保水層のガラス破砕品の平均粒径……(1)
また、前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記透水層における自然土壌とガラス破砕品との混合比率が、自然土壌/ガラス破砕品(質量比)=50/50〜80/20であることが好ましい。
【0008】
また、前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記透水層の層厚(深さ):d1が300 〜600mm であることが好ましい。
また、前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記透水層のガラス破砕品の平均粒径が50μm 以上、最大粒径が 500μm 以下であることが好ましい。
また、前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記保水層におけるガラス破砕品の含有量が、80〜100mass %であることが好ましい。
【0009】
また、前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記保水層の層厚(深さ):d2が 100〜200mm であることが好ましい。
さらに、前記した第1の発明〜第3の発明においては、前記保水層におけるガラス破砕品の平均粒径が1〜5mmであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは前記した課題を解決するために鋭意検討した結果、下記知見(1) 〜(4) を見出し本発明に至った。
(1) ガラスの特性の利用:
(1)-1 ガラスの破砕、粉砕特性の活用:
ガラスは、破砕、粉砕、篩分けが容易であり、所定粒径の破砕品、粉砕品(以下、破砕品、粉砕品を総称して破砕品と記す)を容易に得ることができる。
【0011】
上記したガラスの特性を利用して得られたガラス微粉末は、ガラス微粉末単独であってもその上を海砂と同様に裸足で歩くことができ、所定粒径のガラス破砕品を地盤形成材として有効利用できる。
(1)-2 ガラスの中和剤としての活用:
瓶ガラス、窓ガラスなどとして用いられるソーダ石灰ガラスは、Na2O、K2O 、CaO 、MgO などのアルカリ成分を含有しており、アルカリ剤として再利用できる。
【0012】
すなわち、ソーダ石灰ガラスを含有するガラス破砕品を地盤形成材として利用することによって、酸性雨による土壌の酸性土壌化を防止でき、また酸性土壌を中和することができる。
(2) 自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる透水層の形成:
地盤表層を、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層で形成することによって、土壌の表層が固まることが防止でき、表層の透水性が確保できる。
【0013】
また、地盤表層を、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層で形成することによって、地盤表層における微生物の成育の阻害を防止し、微生物による有機物の分解などの生態系を保持し自然環境を保護できる。
(3) ガラス破砕品からなる保水層の形成:
上記した自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層の下の層としてガラス破砕品からなる層を形成することによって、空隙を有する層が形成され、降雨時に雨水が空隙に貯水されこの層が保水層の機能を発揮する。
【0014】
すなわち、元々の地盤である自然土壌の透水能力を超える降雨量の場合も、上記した保水層に雨水が貯水され地表における雨水のU字溝などへの表面流出率を低下させることができる。
(4) 透水層を浸透する雨水は透水層の濾過作用によって清浄化されるため、透水層を浸透した雨水を自然土壌中に埋設した貯水槽に貯溜することによって、貯水槽に貯留した雨水を多方面の用途に用いることができる。
【0015】
従来、ガラスのあきびんなどの廃ガラスは、ガラスびんなどのガラス原料として再利用されている。
この場合、透明ガラス、茶色のガラスなどは、びん用に再利用可能であるが、その他の色のびんは、びん用として再利用できず廃棄物として最終処分場において埋め立て処理されていた。
【0016】
しかしながら、近年、一般ゴミの最終処分場の残余年数が少なくなり、新たな処分場の確保も困難となっている。
これに対して、本発明者らは、前記したガラスの特性を利用し、所定粒径に破砕、粉砕したガラス破砕品を地盤形成材として有効活用する本発明に想到した。
図1に、本発明の地盤構造の一例を縦断面図によって示す。
【0017】
なお、図1において、1は自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層(以下、透水層とも記す)、2はガラス破砕品からなる層(以下、保水層とも記す)、3は自然土壌からなる地盤、4はU字溝、d1は透水層の層厚(深さ)、d2は保水層の層厚(深さ)を示す。
すなわち、図1に例示するように、本発明の地盤構造は、自然土壌からなる地盤3と、該地盤3の上に敷き込んだガラス破砕品からなる保水層2と、該保水層2の上に敷き込んだ自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる透水層1によって構成された地盤構造である。
【0018】
また、本発明の地盤構造の造成方法は、自然土壌からなる地盤3の上に、ガラス破砕品を敷き込むことによって保水層2を形成し、該保水層2の上に、自然土壌およびガラス破砕品の混合物を敷き込むことによって透水層1を形成する地盤構造の造成方法である。
なお、本発明においては、地盤3の自然土壌と透水層1の自然土壌とは土質が異なっていてもよい。
【0019】
本発明においては、前記透水層の自然土壌、透水層のガラス破砕品および保水層のガラス破砕品それぞれの平均粒径が下記式(1) を満足することが好ましい。
透水層の自然土壌の平均粒径<透水層のガラス破砕品の平均粒径<保水層のガラス破砕品の平均粒径……(1)
これは、ガラス破砕品の平均粒径を上記式(1) に規定することによって、透水性に優れると共に、保水層の貯水能力によって、雨水の表面流出が少ない地盤構造を得ることができるためである。
【0020】
また、本発明においては、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層(透水層)1における自然土壌とガラス破砕品との混合比率が、自然土壌/ガラス破砕品(質量比)=50/50〜80/20であることが好ましい。
これは、上記した混合比率が50/50より小さい場合、すなわち自然土壌の配合率が小さい場合は、自然土壌において成育する微生物による自然環境の保持が阻害され、逆に、混合比率が80/20より大きい場合、すなわち自然土壌の配合率が大きい場合は、自然土壌のしまりによって地層表層の透水性が低下するためである。
【0021】
また、本発明においては、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層(透水層)1の層厚(深さ):d1が300 〜600mm であることが好ましい。
これは、上記した層厚(深さ):d1が300mm 未満の場合、自然土壌において成育する微生物による自然環境の保持が阻害され、逆に、層厚(深さ):d1が600mm を超える場合、上記した効果が実用上飽和し、施工費用およびガラス破砕品使用量の面から経済的でないためである。
【0022】
また、本発明においては、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層(透水層)1のガラス破砕品の平均粒径が50μm 以上、最大粒径が 500μm 以下であることが好ましい。
これは、上記した平均粒径を50μm 以上と規定することによって、透水性の改善効果が大きくなり、最大粒径を 500μm 以下と規制することによって、ガラス破砕品単独の場合であっても地面を海砂と同様に裸足で歩くことができるためである。
【0023】
なお、前記したガラス破砕品の最大粒径が 500μm 以下とは、JIS Z 8801-1987 で規定された呼び寸法 500μm の網ふるいで篩分けを行った時に全量が該網ふるいを通過することを示し、また、ガラス破砕品の平均粒径とはJIS Z 8801-1987 で規定された網ふるいで篩分けを行った時の50mass%累積粒径:D50を示す。また、前記した式(1) における透水層の自然土壌の平均粒径は、JIS A 1204-1990 で規定されたふるい分析法(75μm 以上の土粒子)、沈降分析法(75μm 未満の土粒子)で測定される粒径から求めた50mass%累積粒径:D50を示す。
【0024】
本発明においては、ガラス破砕品からなる層(保水層)2におけるガラス破砕品の含有量は、80〜100mass %であることが好ましい。
これは、上記したガラス破砕品の含有量が80mass%未満の場合、ガラス破砕品によって形成される空隙が確保困難となり、保水層の貯水能力が低下し、降雨時の雨水の表面流出を防止することが困難となるためである。
【0025】
なお、保水層2のガラス破砕品の含有量が100mass %でない場合は、残余として自然土壌などを用いることができる。
また、本発明においては、ガラス破砕品からなる層(保水層)2の層厚(深さ):d2が 100〜200mm であることが好ましい。
これは、上記した層厚(深さ):d2が 100mm未満の場合、ガラス破砕品によって形成される空隙が確保困難となり、前記したと同様に降雨時の雨水の表面流出を防止することが困難となり、層厚(深さ):d2が 200mmを超える場合、保水層としての効果が実用上飽和し、施工費用およびガラス破砕品使用量の面から経済的でないためである。
【0026】
また、本発明においては、ガラス破砕品からなる層(保水層)2におけるガラス破砕品の平均粒径が1〜5mmであることが好ましい。
これは、上記した平均粒径が1mm未満の場合は、保水層2の空隙が少なくなり、保水層の貯水能力が低下し、逆に、平均粒径が5mmを超える場合、降雨時に保水層2中に透水層1中の微細な自然土壌およびガラス破砕品が混入し、保水層2の空隙が埋まり、保水層の貯水能力が低下するためである。
【0027】
なお、上記した平均粒径とは、前記したと同様に、JIS Z 8801-1987 で規定された網ふるいで篩分けを行った時の50mass%累積粒径:D50を示す。
次に、図2に、本発明のさらに好適な地盤構造の一例を縦断面図によって示す。
なお、図2において、5A、5Bは透水性のシートを示し、その他の符号は前記した図1と同一の内容を示す。
【0028】
すなわち、図2(a) に例示する本発明の地盤構造は、前記した図1に示す地盤構造において、保水層2と自然土壌からなる地盤3との間に透水性のシート5Aを敷き詰めた地盤構造である。
また、図2(b) に例示する本発明の地盤構造は、前記した図1に示す地盤構造において、保水層2と自然土壌からなる地盤3との間との間に透水性のシート5Aを敷き詰め、さらに透水層1と保水層2との間に透水性のシート5Bを敷き詰めた地盤構造である。
【0029】
上記した図2(a) に例示する本発明の地盤構造によれば、透水性に優れ、降雨時の雨水の表面流出を防止することが可能な地盤構造が得られると共に、透水性のシート5Aによって、保水層2のガラス破砕品と地盤3の自然土壌との混合およびガラス破砕品の地盤3中への沈降が防止でき、長期間、地表における雨水のU字溝などへの表面流出を防止することが可能となる。
【0030】
また、図2(b) に例示する本発明の地盤構造によれば、透水性のシート5Bによって、降雨時に保水層2中に透水層1中の微細な自然土壌およびガラス破砕品が混入し保水層の貯水能力が低下することを防止でき、さらに長期間、地表における雨水のU字溝などへの表面流出を防止することが可能となる。
なお、前記した透水性のシートの種類としては、特に制限を受けるものではなく、合成繊維の織布などを用いることができる。
【0031】
次に、図3に、本発明の地盤構造の他の一例を縦断面図(a) およびA−A方向矢視図(b) によって示す。
なお、図3において2i 、2j は保水層、6は自然土壌、7は雨水連通層を示し、その他の符号は、前記した図1、図2と同一の内容を示す。
すなわち、図3に示す地盤構造は、前記した図1の地盤構造において、ガラス破砕品からなる保水層2の周囲(:側方周囲)を自然土壌6で囲んだ地盤構造である。
【0032】
図3に示す地盤構造によれば、ガラス破砕品からなる保水層2(2i 、2j )の周囲(:側方周囲)を自然土壌6で囲むことによって、保水層に貯水された雨水の隣地境界外への流出を防止でき、隣地への干渉を防止できる。
なお、図3に示す地盤構造は、保水層2i 、2j 同士を、該保水層を形成するガラス破砕品の層である雨水連通層7で接続し、各保水層2i 、2j の貯水量が均等となるように構成されている。
【0033】
これは、上記した構成とすることによって、保水層の貯水能力を最大限活用できるためである。
図3に示す地盤構造は、自然土壌からなる地盤3の表層を保水層またはさらに雨水連通層7を形成する領域のみを掘削、整地し、ガラス破砕品を敷き込むことによって造成できるため簡易な方法で施工できる。
【0034】
次に、図4に、本発明の地盤構造を利用した雨水利用システムの一例を、縦断面図によって示す。
なお、図4において、10は貯水槽(取水桝)、11は貯留雨水、12は取水口、13は通水ダクト、14は逆流防止弁、15はオーバーフロー管、16はマンホール、17はポンプ、18はガラス破砕品支持用のステンレス製金網、19は雨水利用箇所を示す。
【0035】
すなわち、図4に示す雨水利用システムは、本発明の地盤構造の保水層2中に取水口12を配置した貯水槽(取水桝)10を、自然土壌からなる地盤3中に埋設し、貯水槽に貯留した雨水を、渇水期などにおける地表への散水用水、トイレの洗浄水、火災時の初期消火用水などに利用するシステムである。
なお、雨水は透水層1を浸透して貯水槽10に取水されるため、透水層1の濾過作用によって清浄化された雨水が貯水槽10に貯留される。
【0036】
この結果、本発明の地盤構造を利用した雨水利用システムによれば、貯水槽に貯留した雨水を多方面の用途に用いることができる。
なお、図4に例示した雨水利用システムは、前記した図3に示す地盤構造にも好適に適用できる。
次に、本発明に基づく酸性雨による土壌の酸性土壌化の防止、酸性土壌の中和について説明する。
【0037】
すなわち、前記したように、瓶ガラス、窓ガラスなどとして用いられるソーダ石灰ガラスは、Na2O、K2O 、CaO 、MgO などのアルカリ成分を含有しており、アルカリ剤として再利用できる。
すなわち、ソーダ石灰ガラスを含有するガラス破砕品を地盤形成材として利用することによって、酸性雨による土壌の酸性土壌化を防止し、また酸性土壌を中和することができ、地表における植物の成育を助けることができる。
【0038】
図5に、ガラス破砕品を用いた連続流通式酸性雨処理実験結果を示す。
本実験においては、廃ガラス破砕品として、下記性状の廃ガラス破砕品を用い、廃ガラス破砕品の酸性雨に対するpH調整能力について調べた。
なお、模擬酸性雨として、日本全国120 数地点の冬季降水中主要化学成分分析結果(「日本化学会誌、8、726 〜733 、1996、福崎et al 」)を参考にして調製した下記組成の水溶液を用いた。
【0039】
〔廃ガラス破砕品の性状:〕
ソーダ石灰ガラスを含有するガラス破砕品
平均粒径:5mm
廃ガラス破砕品の溶出試験における溶出水のpH:9.5 (水温:25.2℃、JIS K 0102 12.1 )
〔模擬酸性雨の組成:〕
pH:4.73
硫酸イオン : 77.4 μeq/l
塩化物イオン:202.2 μeq/l
硝酸イオン : 24.7 μeq/l
ナトリウムイオン:15μeq/l
すなわち、内径:1.2cm のガラスカラムに、廃ガラス破砕品を充填層高:5cm(:5.7ml )で充填し、模擬酸性雨(以下、被処理水とも記す)600ml を流下せしめ、ガラスカラム出側に流出する処理水のpHを連続的に測定し、廃ガラス破砕品の酸性雨に対するpH調整能力を調査した。
【0040】
図5に、得られた実験結果を示す。
図5に示されるように、被処理水流通開始当初のガラスカラム出側の処理水のpH:9.6 に対して、被処理水200ml 流通後の出側処理水のpHは6.6 と低下したが、それ以降は、pHの変化はほとんど見られずpH:6.0 程度に維持され、廃ガラス破砕品の酸性雨に対するpH調整能力が長時間維持されることが分かった。
【0041】
本実験における模擬酸性雨の流通量:600ml は降雨量に換算すると5300mmに相当し、日本の年平均降雨量の3.1 倍に相当し、ほぼ3年間に渡って酸性雨に対してpH調整能力を発揮する。
すなわち、ソーダ石灰ガラスを含有するガラス破砕品を地盤形成材として利用することによって、酸性雨による土壌の酸性土壌化を防止し、また酸性土壌を中和でき、地表における植物の成育を助けることができる。
【0042】
以上、本発明の地盤構造およびその造成方法並びに本発明の地盤構造を用いた雨水利用システムについて述べたが、本発明によれば、下記(1) 〜(6) の優れた効果が得られる。
(1) 地盤表層の透水性の確保および自然環境の保持:
地盤表層を、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層で形成することによって、地盤表層が固まることが防止でき、地盤表層の透水性が確保できる。
【0043】
また、地盤表層を、自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層で形成することによって、地盤表層における微生物の成育の阻害を防止し、微生物による有機物の分解などの生態系を保持し自然環境を保護できる。
(2) 地盤表層における雨水の表面流出の防止:
上記した自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層の下の層としてガラス破砕品からなる層を形成することによって、空隙を有する層が形成され、降雨時に雨水が空隙に貯水されこの層が保水層の機能を発揮する。
【0044】
すなわち、元々の地盤である自然土壌の透水能力を超える降雨量の場合も、上記した保水層に雨水が貯水され地表における雨水のU字溝などへの表面流出率を低下させることができる。
本発明の地盤構造によれば、降雨量が75mm/h前後迄、上記した表面流出を防止することが可能である。
【0045】
(3) 施工の簡易性:
ガラスは、破砕、粉砕、篩分けが容易であり、所定粒径の破砕品、粉砕品を容易に得ることができる。
また、本発明の地盤構造の造成方法においては、基本的に、ガラス破砕品および自然土壌とガラス破砕品の混合物を敷き込むのみでよい。
【0046】
この結果、全体の施工を極めて簡易な方法で行うことができる。
(4) 廃ガラスの最終処分場の不要化:
従来埋め立て処理されていた産業廃棄物としての廃ガラスを有効活用することが可能となり、廃ガラスの最終処分場確保の問題が解決できる。
(5) 透水層を浸透した雨水を、地盤中に埋設した貯水槽に貯溜することによって、貯水槽に貯留した雨水を多方面の用途に用いることができる。
【0047】
(6) 酸性雨による土壌の酸性土壌化を防止し、また酸性土壌を中和でき、地表における植物の成育を助けることができる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
学校の屋外のグラウンドに前記した図1に示す地盤構造を造成した。
すなわち、自然土壌からなる地盤3の上に、ガラス破砕品を敷き込んだ後、タイヤローラで転圧し保水層2を形成した。
【0049】
次に、保水層2の上に自然土壌およびガラス破砕品の混合物を敷き込んだ後、タイヤローラで転圧し透水層1を形成した。
なお、自然土壌および用いたガラス破砕品の種類、透水層、保水層のガラス破砕品の混合割合、透水層および保水層それぞれの層厚は下記の通りである。
〔自然土壌、ガラス破砕品の種類:〕
地盤の自然土壌 :シルト質粘土、平均粒径(D50)=30μm
透水層の自然土壌:シルト質粘土、平均粒径(D50)=30μm
透水層に用いたガラス破砕品:廃ガラス破砕品(ガラスカレット)、平均粒径(D50)=0.2mm 、最大粒径: 500μm
保水層に用いたガラス破砕品:廃ガラス破砕品(ガラスカレット)、平均粒径(D50)=4mm
〔透水層、保水層のガラス破砕品の混合割合:〕
透水層:自然土壌/ガラス破砕品(質量比)=65/35
保水層:ガラス破砕品の含有量=100mass %
〔透水層、保水層の層厚:〕
透水層の層厚d1:400mm
保水層の層厚d2:100mm
上記で得られた地盤構造について、2時間の平均降雨量が55mm/hの日に地盤表面の状態を観察した結果、グラウンドの周囲のU字溝への雨水の表面流出量はU字溝の深さの1/2 以下に保たれ、本発明の地盤構造によれば、透水性に優れ雨水の表面流出を効果的に防止できる地盤構造を得ることが可能であることが分かった。
【0050】
(実施例2)
保水層2と自然土壌からなる地盤3との間との間に透水性のシート(合成繊維の織布)5Aを敷き詰め、さらに透水層1と保水層2との間に透水性のシート(合成繊維の織布)5Bを敷き詰めた以外は前記した実施例1と同様の造成方法で、前記した図2(b) に示す地盤構造を造成した。
【0051】
上記で得られた地盤構造について、1年6カ月間、降雨時のグラウンドの周囲のU字溝への雨水の表面流出状況を観察した結果、全試験期間を通して降雨時のグラウンドの周囲のU字溝への雨水の表面流出が抑制され、本発明の地盤構造によれば、長期間、地表における雨水のU字溝などへの表面流出を防止することが可能であることが分かった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、透水性に優れ、地表における雨水のU字溝などへの表面流出を防止する地盤構造を得ることが可能となった。
また、本発明によれば、長期間上記した表面流出を防止することが可能となった。
【0053】
さらに、本発明によれば、従来埋め立て処理されていた産業廃棄物としての廃ガラスを、簡易な方法で有効活用することが可能となり、廃ガラスの最終処分場確保の問題を解決できる。
また、本発明によれば、雨水を多方面に有効利用でき、地表における植物の成育を促進する効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地盤構造の一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の地盤構造の一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の地盤構造の一例を示す縦断面図(a) およびA−A方向矢視図(b) である。
【図4】本発明の地盤構造を利用した雨水利用システムの一例を示す縦断面図である。
【図5】ガラス破砕品を用いた連続流通式酸性雨処理実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる層(透水層)
2、2i 、2j ガラス破砕品からなる層(保水層)
3 自然土壌からなる地盤
4 U字溝
5A、5B 透水性のシート
6 自然土壌
7 雨水連通層
10 貯水槽(取水桝)
11 貯留雨水
12 取水口
13 通水ダクト
14 逆流防止弁
15 オーバーフロー管
16 マンホール
17 ポンプ
18 ステンレス製金網
19 雨水利用箇所
d1 透水層の層厚(深さ)
d2 保水層の層厚(深さ)

Claims (5)

  1. 自然土壌からなる地盤と、該地盤の上に敷き込んだガラス破砕品からなる保水層と、該保水層の上に敷き込んだ自然土壌およびガラス破砕品の混合物からなる透水層によって構成されたことを特徴とする地盤構造。
  2. 前記透水層の自然土壌、透水層のガラス破砕品および保水層のガラス破砕品それぞれの平均粒径が下記式(1) を満足することを特徴とする請求項1記載の地盤構造。

    透水層の自然土壌の平均粒径<透水層のガラス破砕品の平均粒径<保水層のガラス破砕品の平均粒径……(1)
  3. 請求項1または2記載の地盤構造を用い、該地盤構造の保水層中に取水口を配置した貯水槽を自然土壌からなる地盤中に埋設し、貯水槽に貯溜した雨水を用いることを特徴とする雨水利用システム。
  4. 自然土壌からなる地盤の上に、ガラス破砕品を敷き込むことによって保水層を形成し、該保水層の上に、自然土壌およびガラス破砕品の混合物を敷き込むことによって透水層を形成することを特徴とする地盤構造の造成方法。
  5. 前記透水層の自然土壌、透水層のガラス破砕品および保水層のガラス破砕品それぞれの平均粒径が下記式(1) を満足することを特徴とする請求項4記載の地盤構造の造成方法。

    透水層の自然土壌の平均粒径<透水層のガラス破砕品の平均粒径<保水層のガラス破砕品の平均粒径……(1)
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