JP6404049B2 - 流路一体型センサ - Google Patents

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Description

本発明は生体試料などに含まれるイオンの量を測るセンサに関し、特に臨床検査用の生化学自動分析装置で好適に用いられる、イオン選択性感応膜と流路とを一体形成した流路一体型センサにかかる。
イオン選択性電極(Ion Selective Electrode:ISE)は血液などに代表される生体試料中のカリウム、ナトリウム、塩化物などのイオンの濃度を迅速簡便に測定するセンサとして広く用いられている。
ISEは大別して、いわゆるプローブ型のものと、流路一体型のものがある。プローブ型ISEは、筒形の筐体の先端表面にイオン選択性感応膜(以下、単に感応膜ともいう)を設け、感応膜の裏面に接して、すなわち筐体の内側に、銀塩化銀などからなる内部電極と、内部電解質溶液(以下、単に内部液ともいう)を備える。すなわちガラスpH電極と類似の構造である。プローブ型ISEは、参照電極とともに試料溶液中に浸して電池を形成し、参照電極との間に生じる電位差から目的イオンの活量(濃度)を求める。流路一体型ISEは、筐体の内部に流路を備え、流路に感応膜の一面を接して設け、感応膜の裏面に接してしばしばゲル状の内部液と、内部電極を備える(特許文献1、以下では従来例という)。流路一体型ISEはしばしば流路一体型の参照電極と組み合わせて、両者の流路に試料を流通させて電池を形成し、参照電極との間に生じる電位差を測定する。あるいは流路一体型参照電極の流路には試料の代わりに参照電極液を流通させ、流路一体型ISEの流路に通した試料と参照電極液とを液絡において接触させて、電池を形成して電位差を測定する方法もある。
プローブ型ISEから流路一体型ISEへの移行期において、プローブ型ISEとは別体のブロックを用意し、ブロックの内部に流路を形成し、ブロックと複数のプローブ型ISEとを組み合わせることにより、流路一体型ISEの組み合わせと類似の作用を得る試みがなされた(特許文献2)。この方式によるISEを以下では流路別体型ISEと呼ぶ。また、内部液と内部電極の代わりに半導体素子を用いる、いわゆる半導体型ISEも開示されている(特許文献3)。
実開昭62−86548号公報 実開平3−40555号公報 特開平3−293547号公報
プローブ型ISEと流路一体型ISEを比較すると、プローブ型ISEは手作業による簡易な測定には向くものの、試料溶液の必要量が多く、測定に時間がかかり、結果の再現性が低いという課題がある。また繊細な感応膜が筐体の表面に露出するため機械的損傷等を受けやすい、という課題もある。一方、流路一体型ISEは試料を流路に導入する操作が必要なものの、試料溶液の必要量が少ない、測定時間が短い、結果の再現性が高い、感応膜が筐体内部に匿われているため機械的に安定である、適切な自動測定機構と組み合わせることにより、最小限のメンテナンスで多種類の検体の連続自動測定が可能、という特長がある。歴史的には、古典的なプローブ型ISEを改良する努力の結果として、流路一体型ISEが開発された経緯がある。
ISEはしばしば複数種類組み合わせて使用される。例えば、臨床検査用にはNa+,K+,Cl-の3項目の電解質の同時測定のために、Na+用,K+用,Cl-用の感応膜を備えたNa−ISE,K−ISE,Cl−ISEの3種のISEが組み合わせて用いられる。流路一体型ISEは個々のISEの流路の出入口に互いに嵌合する凹凸構造を備え、この凹凸構造にOリングなどの適切なシール部材を組み合わせることにより、ISEを互いに押し当てるだけで液漏れなしに流路を接続可能なコネクタとして機能させることができる(特許文献1)。すなわち流路一体型ISEの好ましい形態によれば、複数のISEを互いに押し当ててコネクタを嵌合させるだけで複数項目の同時測定が可能な組み合わせが完成する。1つのISEあたりの流路の長さは10mmのオーダーであるため、3項目の測定には約30mmの幅があれば十分である。したがって、互いに嵌合するコネクタを有する流路一体型ISEを組み合わせて使うと、流路の長さが短く、試料溶液の必要量が少ない、サイズが小さい、個々の筐体の形状は単純であり、射出成形により一体形成でき、製造コストが低い、ISEを簡単に交換可能、部品点数が少ない、つまり小型、簡便、低コストというメリットがある。
流路別体型ISEは、プローブ型ISEと比較すると、試料溶液の必要量がやや少なく、測定時間がやや短く、また結果の再現性がやや高いという利点はある。しかし流路別体型ISEは流路一体型ISEと比較すると、感応膜と流路が別体であり、両者を組み合わせる工程がユーザに委ねられているという構造上の決定的な相違がある。感応膜を表面に有するプローブ型ISEをブロックに接合する操作をユーザに委ねる流路別体型ISEにおいては、ISEが、特にデリケートな感応膜が保管中や輸送中、ユーザの操作中に損傷したり変形したり、ごみが付着したりするおそれがある。すると、ISEの感応膜と流路やブロックとの間にデッドスペースが生じて液残りの原因となり、あるいはISEとブロックとの間に隙間が生じて液漏れや電気的なリークの原因となり、測定結果の再現性を低下させるばかりでなく、最悪の場合は測定不能に陥るおそれがある。つまりデリケートな感応膜をブロックと組み合わせる作業をユーザに委ねる流路別体型ISEの構造はさまざまな不良事象を引き起こすおそれがあるという課題がある。流路別体型ISEは、前記不良事象を極力回避するためにプローブ型ISEの感応膜を筐体表面から引き下がった位置に配置する。これにより液溜まりが形成され液残りが生じる。また、装置機構上も繊細な対策をとるために構造が複雑になる。また、ISE以外にブロックが必要なため部品点数が多く寸法が大きい、デッドスペースが大きく液残りが多い、流路が長く必要な試料液量が多い、試料溶液の交換に時間がかかり測定時間が長い、構造が複雑で部品点数が多いためコストが高い、ブロックの流路構造が複雑になるため射出成形などの簡便な製造方法が採用できず、量産困難かつ高価である、などの課題がある。保護体と、破損しやすいガラス管等と、複数の感応膜の3種類の要素から流路を構成し、高価かつ水分による影響を受けやすい半導体素子で検出を行う半導体型ISE(特許文献3)も同様の課題を抱えている。
一方、流路一体型ISEは感応膜と流路の結合を予め完了した形でユーザに提供される。感応膜は筐体の内部に収納され、外部から遮蔽されており、ユーザは繊細な感応膜の取り扱いに注意を払う必要が無い。互いに嵌合するコネクタを有する流路一体型ISEをユーザが使用する際は筐体のコネクタの凹凸を合わせて押し当てるだけで液漏れの無い流路接続が完成するため、膜と流路の接合の問題から開放され、不具合がおきにくく、操作性が高い。メーカは感応膜と流路の結合部の構造を規定でき、液残りを最小化する設計が可能である。具体的には感応膜を流路に直接露出するように配置し、液溜まりを排除することにより、微量の試料を用いても正確な測定結果を高スループットに得ることができる。ユーザが使用する際はその設計どおりに運用することが可能であり、良好な性能が何時でも発揮される。また流路構造が簡単で、流路は筐体と一体に形成されるため、射出成形などの簡便かつ低コストな方法で筐体を量産可能、という特長がある。
従って、微量かつ多種類の検体を高精度かつ自動的に測定する必要がある臨床検査用の生化学自動分析装置におけるNa,K,Clイオンなどの電解質測定目的においては、プローブ型ISEや流路別体型ISEは次第に廃れ、現代の臨床検査室で使用される生化学自動分析装置のほとんどにおいて、流路一体型ISEが採用されるに至っている。
上記従来例の流路一体型ISE、特に互いに嵌合するコネクタを有する流路一体型ISEは、プローブ型ISEや流路別体型ISEと比較すると液残りが少ないため、試料溶液の必要量も元来少ない、という特長がある。しかし試料溶液の必要量のさらなる低減を図る場合、1本の直線状の流路形状を採用する限りにおいては、限界があることが判明した。1本の直線状の流路を用いる場合、流路と感応膜との相対的な配置について大別して以下2種類の構成が考えられる。第1に、感応膜を流路に凸出させず、流路の内面に沿った表面形状をもつ感応膜を形成する構成が考えられる。この構成によると流路中の試料の流れに対して感応膜表面は平行である。換言すると、試料の流れの向きと、感応膜の法線のなす角度は直角である。すると、感応膜表面における試料液の速度はゼロとなるため、いわゆるstagnant layerが厚く、試料の交換が起きにくく、液残りが多く、試料の必要量が多い、という課題がある。第2に、感応膜を流路に凸出させて配置する構成が考えられる。この構成によると、感応膜の流路上流部分については、流路中の試料の流れが感応膜の当該部分の表面の法線に対して鈍角をなすため、stagnant layerが薄く、試料の交換が起きやすく、液残りが少ない、という特長がある。しかしながらこの第2の構成において、感応膜の流路下流部分については、試料の流れからみた感応膜の当該部分は、感応膜の上流部分の影になる。換言すると、試料の流れは、感応膜の当該部分の表面の法線に対して鋭角をなす。するとこの影の部分において試料の滞留が起きやすく、液残りが多い、という課題がある。つまり第2の構成においては、感応膜の上流部分における液残りの少ない効果が、同下流部分における液残りの多い効果により相殺される。即ち第2の構成を用いても試料の必要量の低減には限界があるという課題がある。
試料溶液の必要量が多いと、血液試料の場合は採血量が多く必要となり被験者の負担が大きい、試料溶液の導入に時間が長くかかる、試料溶液の温度安定化に時間がかかる、測定時間が長くスループットが低い、などの課題がある。また試料溶液を希釈して測定する場合は希釈液の使用量が多くコストが高く交換の手間がかかる、校正などに用いる標準液の使用量が多くコストが高く交換の手間がかかる、廃液量が多く廃液処理に手間とコストがかかる、希釈槽、溶液タンクをはじめとして装置のサイズが全般に大型になる、などの課題がある。
本発明では、流路一体型センサの感応膜に試料を供給する流入流路及び感応膜から試料を排出する流出流路を、それぞれ屈曲部や湾曲部、屈折部などのない1本の直線状の流路のみで構成し、流入流路と流出流路との交差部に感応膜を設けた。そして、流入流路の向き(試料が感応膜に向かう向き)と、流路に面する感応膜の法線との間の角度(X)を鈍角(90°≦X<180°)とし、流入流路からの試料の流れが、流路に面する感応膜の全ての領域に対して直接当り、他の感応膜領域の影に隠れることのない構造を採用した。換言すると、流入流路の向きと流路に面する感応膜の法線との間の角度(X)が鋭角(0°<X<90°)になる領域が無い構造を採用した。
すなわち、本発明による流路一体型センサは、直線状の流入流路、直線状の流出流路及び内部電解質溶液が封入され内部電極が挿入される空間を有する筐体と、イオン選択性感応膜とを備え、流入流路と流出流路は、一端で互いに交差すると共に他端がそれぞれ筐体の表面に開口し、流入流路と流出流路の交差部は少なくとも前記流入流路側が流路開口部によって前記空間と連通し、イオン選択性感応膜は流路開口部を塞ぐように前記空間内に配置され、流入流路中における試料液の流れの方向と、流路に面するイオン選択性感応膜の膜面法線とがなす角度が90°以上180°未満である構造を有する。
本発明の流路一体型センサは、流路入口と感応膜、感応膜と流路出口との間をそれぞれ直線状の流路すなわち最短距離で結び、流路の長さと内容積を最小限に抑制した。また流路の途中に屈曲部などが無いようにすることにより、屈曲部などにおける試料の滞留や液残りを防止した。また、流入流路からの試料の流れが流路に面する感応膜の全ての領域に対して直接当る構造を採用することにより、感応膜にいわゆる影となる領域ができることを防止し、その影における淀みや液残り、汚れの残留を防止し、感応膜表面における試料の置換を促進して応答を迅速化した。以上の液残り抑制の効果の結果、液の置換に必要な試料溶液の液量を最小限に抑制した。試料溶液を送液し、温度を安定化するために必要な時間を最小化し、スループットを向上した。また射出成形による流路の作製を可能とした。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1による流路一体型センサの主要部を示す断面模式図。 実施例1による流路一体型センサの正面模式図。 複数の流路一体型センサを組み合わせてセンサセットを構成した例を示す断面模式図。 流路一体型センサを搭載する分析装置の模式図。 流路一体型センサの液残りを評価した結果を示す図。 実施例2による流路一体型センサの主要部を示す正面模式図。 実施例2による流路一体型センサの例を示す正面模式図。 実施例3による流路一体型センサの筐体の一例を示す断面模式図。 実施例3による流路一体型センサを複数組み合わせたセンサセットの例を示す断面模式図。 実施例4による流路一体型センサの筐体を示す断面模式図。 実施例5による流路一体型センサの筐体を示す断面模式図。 図11中のB部分の拡大図。 筐体の断面を様々な角度から俯瞰した模式図。 流入流路や流出流路と流路開口部の関係を様々な角度から俯瞰した模式図。 フラットシールの模式図。 Cリングの模式図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施例1]
図1は実施例1による流路一体型センサの主要部の示す断面模式図、図2はその正面模式図である。図2のA−A’断面の上面図が、図1に相当する。図において、2は筐体、3は流入流路、4は流出流路、5は図示しない内部電解質溶液(内部液)が封入され内部電極10が挿入される空間、6は入口コネクタ、7は出口コネクタ、8はイオン選択性感応膜(以下感応膜、あるいは単に膜)、11は空間5を塞ぐためのフタである。簡明のため図2では、空間5に封入される内部液や、流路やコネクタ等については、図示を省略した。
図1、図2に示すとおり、本実施例によるセンサ1は、概ね5角柱状の外形をした筐体2と、平板状のフタ11、内部電極10などからなる。筐体2の幅は例えば約12mm、奥行きは約17mm、高さは約24mmである。筐体2は、図1に示す水平断面の位置に、内径約0.8mm、長さ約3.5mmの直線状の流入流路3と流出流路4を有する。流入流路3と流出流路4は一端で互いに交差しその交差部は流路開口部9によって空間5と連通している。本実施例では、交差部の個所に設けられた流路開口部9によって流入流路3と流出流路4は空間5と連通している。換言すると、空間5は流入流路3と流出流路4の交差部において両流路3,4に対して開口し、この流路開口部9において空間5、流入流路3、流出流路4は互いに連通する。感応膜8は、流路開口部9を塞ぐように空間5内に配置されている。流入流路3中の試料が流れる方向と、流路3,4に面する感応膜8の膜面法線とがなす角度(以下流入角度)は90°以上180°未満、即ち鈍角であり、本実施例では120°である。また、流出流路4中における試料液の流れの方向と、流路3,4に面する感応膜8の膜面法線とがなす角度(以下流出角度)は鋭角であり、本実施例では60°である。
本実施例における流路開口部9、流入流路3、流出流路4との間の位置関係を以下詳述する。空間5において流路開口部9が設けられている面(図1の上方、感応膜8が接着される面)を、以下開口面と称する。本実施例では、流路開口部9の形状を、流入流路3を延長させたときにそれが開口面と交わる際に形成される断面形状(以下、投射形状)と同一とした。流路開口部9の形状はまた、流出流路4の開口面に対する投射形状とも同一とした。即ち、流路開口部9、換言すると流路に面する感応膜の全ての領域に対して、流入流路からの試料の流れが、直接(他の構造物の陰になることなしに)当る構造を採用した。また同様に、流路開口部9、換言すると流路に面する感応膜の全ての領域から、流出流路へ直接(他の構造物の陰になることなしに)試料が流れる構造を採用した。一連の流れの経路中に陰を生じる構造物が存在しないため、本実施例は試料の感応膜への導入と感応膜からの排出を効率よく行え、液残りが少ない、という特長がある。変形例として、流路開口部9の形状を、流入流路3や流出流路4の開口面に対する投射形状よりやや小さくする方法もある。この変形例は、本実施例と比較して流路開口部9に露出する感応膜へ送液される試料液の比率がやや低い点を除けば、本実施例と同様の効果がある。
本実施例における流入角度や流出角度について以下詳述する。本発明においては一般に流入角度として、90°以上180°未満を採用可能である。流入角度が大きいと、試料液の流れベクトルのうち、感応膜の垂線方向成分が大きくなるため、試料が感応膜表面をえぐるように押し当てる効果が増大し、いわゆるstagnant layerの厚みを減らす作用が高く、液を効率よく置換できる効果がある。しかし流入角度を大きくしすぎると以下の弊害が生じる。第1に、流入角度が大きすぎると、試料流れベクトルのうち感応膜と平行な方向、即ち流出流路4に向かう方向の成分が小さくなる。すると感応膜から離脱して出口に向かう液の流れが抑制され、結果として試料液が交換されにくくなる。第2に、流入流路の内径が一定、かつ流入流路3の開口面に対する投射形状が流路開口部9の形状と同等の条件下においては、流入角度が大きすぎると流路開口部9の面積が減少し、例えば流入角度が180°に近づくと、流路開口部9の面積は流入流路3の断面積近くまで減少する。すると流路開口部9から試料に露出する感応膜の有効面積が減少し、インピーダンスが上昇して計測ノイズが増え、測定精度が低下するとともに、感応膜の寿命も短くなる。第3に、流入流路3、ならびに流出流路4の開口面に対する投射形状と流路開口部9の形状が同等、かつ、流入流路と流出流路の内径が同等の条件下においては、流入流路と流出流路の中心線は図1のごとく感応膜法線に対して左右対称となる。換言すると、流出角度と流入角度との和は180°である。この場合、流入角度を図1の120°より大きくする場合、流出角度は図1の60°から減少し、例えば流入角度を180°に近づけると、流出角度は0°に近づく。この場合、流入流路3と流出流路4との間の角度も小さくなるため、両者の交点付近の交差面の面積が増大する。すると流入流路3から流路開口部9付近に到達することなく、直接流出流路4へ逃れてしまう試料液の割合が増え、結果的に試料液の交換が不十分となる。以上の理由により、流入角度をむやみに大きくすることは必ずしも好ましくない。流入角度の好ましい上限は約150°、特に好ましい上限は135°であり、同様に流出角度の好ましい下限は約30°、特に好ましい下限は45°である。
流入角度については、それが小さいと、試料流れベクトルのうち感応膜と平行な、流出流路4に向かう方向の成分が大きくなり、感応膜から離脱して出口に向かう液の流れは促進され、その結果、試料液が交換されやすくなる。一方、試料液の流れベクトルのうち、感応膜の垂線方向成分が小さくなり、stagnant layerの厚みを減らす作用が低下し、液を効率よく置換しにくくなる。また、流入流路の内径が一定、かつ流入流路3の開口面への投射形状と流路開口部9の形状が同等の条件下においては、流入角度が小さすぎると流路開口部9の面積が増大する。すると感応膜が流路に露出する面積が増大し、液残りの生じうる箇所が増え、液残りを回避するためにより多くの試料液が必要になる。また感応膜面積そのものも増大し、コストが高い。関連して空間5の開口面の面積も増大し、筐体のサイズが増大する。以上の理由により、流入角度をむやみに小さくすることも必ずしも好ましくない。流入角度の好ましい下限は約105°、特に好ましい下限は110°であり、同様に流出角度の好ましい上限は約75°、特に好ましい上限は70°である。
以上の観点を総合的に勘案して、本実施例では流入角度として120°、流出角度として60°を採用した。
流入流路3と流出流路4の交差部と反対側の端部は筐体2の表面(それぞれ流入面、流出面と呼ぶ)に開口している。流入流路3と流出流路4は、流入面、流出面において、それぞれ入口コネクタ6、出口コネクタ7を有する。入口コネクタ6と、出口コネクタ7は互いに嵌合する構造をもつ。流入流路3の中心軸は入口コネクタ6が形成された筐体表面に対して垂直であり、流出流路4の中心軸は出口コネクタ7が形成された筐体表面に対して垂直である。
次に、本実施例による流路一体型センサ1の作製法の概要を説明する。筐体2、流入流路3、流出流路4、空間5、入口コネクタ6、出口コネクタ7は、射出成形により一体に形成する。射出成形の素材としてはポリ塩化ビニル等の高分子樹脂材料が好適に用いられる。空間5の流路開口部9の面に、流路開口部9を塞ぐように、感応膜8を接着する。従って、流入流路3の試料の流れの向きと、感応膜8の流路側表面の法線とのなす角は約120°であり、流出流路4の流れの向きと、感応膜8の流路側表面の法線とのなす角は約60°である。筐体2にフタ11を接着して空間5を密封し、筐体2に設けられた空間5に連通する穴に銀ハロゲン化銀を含む内部電極10を挿入して接着し、空間5に筐体2に設けた図示しない穴から内部液を充填し、内部液の充填後、穴に図示しない止栓12を接着して穴を塞ぐ。止栓12は、内部液を導入するための図示しない穴を塞ぐための部材である。
中央部に流路として機能する内径0.8mmの貫通孔を備えたフラットシール31(図15)を入口コネクタ6に収納し、その上から弾性体からなるCリング32(図16)をはめ込むことにより、流路一体型センサ1が完成する。Cリングの外径は約6.1mmであり、入口コネクタ6の外側の内径6mmよりやや大きいため、Cリングを入口コネクタ6にはめ込むと、Cリング外周が入口コネクタ外側の内周を押す力が生じ、Cリング自体が入口コネクタ6に保持されるとともに、フラットシール31の脱落を防止する。またCリング32の中央部の開口径は約3.1mmであり、出口コネクタ7の外径3mmよりわずかに大きい。従って、フラットシールやCリングを備えた入口コネクタ6に出口コネクタ7を圧接すると、出口コネクタ先端部はフラットシールの表面に密着して、液漏れや液残りの生じない流路の接続が実現する。
ここで射出成形による筐体2の作製について説明する。射出成形の工程において、流入流路3に対応する金型のピンは、流出流路4に対応する金型のピンと、両流路が交差する場所、即ち感応膜接着面と接する部分で互いに向かい合って接合させ、さらに空間5に対応する凸出部を設けた型と接合させた後、樹脂を型内に射出する。流入流路3と流入面、流出流路4と流出面は、それぞれ直交するため、流入流路3や流出流路4に対応する型は、流入面や流出面に対応する型とそれぞれ一体に成形でき、その型を用いて射出成形する場合にもアンダーカット処理を必要としない。また入口コネクタ6、出口コネクタ7の構造も図1に示す通りアンダーカット処理不要な構造を採用することにより、前記の型とそれぞれ一体に成形できる。すなわち、流入流路3、入口コネクタ6、流出流路4、出口コネクタ7は、アンダーカット処理なしに流入面、流出面と一体に射出成形で作製できる。換言すると、直線状の流路を流入面、流出面に垂直にそれぞれ1本ずつ設け、両流路の交差部に感応膜8の接着面との開口部である流路開口部を設け、アンダーカット処理不要な形状のコネクタを、筐体表面に両流路と同軸に設けることにより、筐体2は射出成形により簡単に作製可能である。
図3は、実施例1による流路一体型センサを複数組み合わせてセンサセットを構成した例を示す断面模式図である。図において、1,1’,1”は流路一体型センサ、21,22はアダプタである。
図3に示したセンサ1’は、前述のセンサ1と外形が同じであるが感応膜が異なる。具体的にはセンサ1は塩化物イオン(Cl-)、センサ1’はナトリウムイオン(Na+)に選択的に応答する感応膜を備え、それぞれClセンサ,Naセンサとして機能する。中央に配置されたセンサ1”はカリウムイオン(K+)選択性感応膜を備えるKセンサであること以外に、外形が他のセンサと以下の様に異なる。すなわち、センサ1”の外形は、センサ1やセンサ1’と鏡像関係にある。つまり図1の様に置いた場合は、流入流路3と流出流路4、入口コネクタ6と出口コネクタ7の位置がそれぞれセンサ1と逆(上から見て入口が右、出口が左)であり、図3の様に上から見て180°回転させて置いた場合に、入口が左、出口が右となって、センサ1,1’とコネクタの向きが揃う。アダプタ21は出口コネクタ、アダプタ22は入口コネクタを備え、全体として図3の様に互いに嵌合する。またアダプタ21,22は流路を備え、出口、入口コネクタの流路を介して、センサ1,1”,1’の流路と連接する。このセンサ1,1”,1’と、アダプタ21,22とを組み合わせたものは、従来型の流路一体型ISEを3個組み合わせたものと同等の外形であるため、従来型の流路一体型ISE3個と置き換えて、生化学自動分析装置の電解質測定ユニットに装着可能である。
図4は、本実施例による流路一体型センサを搭載する分析装置1000の模式図である。図において、1001は試料溶液、1002は試料液流路、1011は参照電極液、1012は参照電極液流路、1013は参照電極液の送液機構、1014は流路一体型参照電極、1015は液絡、1021は廃液流路、1022は廃液送液機構、1031は計測制御装置である。
図4を用いて、本実施例による分析装置の動作の概要を説明する。流路一体型センサ1,1”,1’と、アダプタ21,22を図3の様に組み合わせた上で、分析装置1000の恒温槽内のホルダに設置する。図4では簡単のため、恒温槽やホルダやアダプタは図示を省略し、センサ1,1”,1’のみ示した。アダプタ21はホルダを経て試料液流路1002に接続され、アダプタ22はホルダを経て流路によって液絡1015に接続される。
分析装置1000は、まず参照電極液の送液機構1013と廃液送液機構1022とを連動させることにより、参照電極液1011を、参照電極液流路1012から流路一体型参照電極1014の流路へ、さらに液絡1015まで送液する。この間、液絡などの流路中にあった溶液は廃液流路1021を通して廃液溜めへ排出される。またセンサの流路中の試料は動かさない。次に、検体液を希釈槽1003に分注し、必要に応じて希釈することにより、試料溶液1001を希釈槽1003に得る。次に、参照電極液の送液機構1013を停止したまま、廃液送液機構1022を動作させることにより、試料溶液1001を、試料液流路1002から図示しないアダプタやホルダを経由して流路一体型センサ1,1”,1’の流路へ、さらに液絡1015まで送液する。液絡1015において試料液流路1002と参照電極液1011とが接触し、フリーフロー型の液絡が形成され、電池が完成する。即ち参照電極1014の電位を基準とし、試料溶液1001中のCl-、K+、Na+のイオンの濃度(活量)に応じた起電力が、流路一体型センサ1,1”,1’の内部電極から出力される。この起電力を、計測制御装置1031が備える電圧アンプ、ADコンバータ、マイクロコンピュータなどを用いて計測、記録する。濃度既知の試料の測定結果から検量線を作成し、検量線と照合することにより、未知試料中の目的イオンの濃度を算出する。それをそのまま、あるいは必要に応じて希釈倍率を勘案して検体液中のイオン濃度に換算して、出力部に出力し、ユーザに報告する。以上の動作は計測制御装置1031が備えるプログラムにより自動的に実行される。
なお、上記実施例においてアダプタ21,22にはそれぞれ従来形の流路一体型ISEと同様の凹凸構造を有するコネクタを採用することにより、従来形の流路一体型ISEと置換して従来形の生化学自動分析装置の電解質測定ユニットのホルダに装着できる様、互換性を維持した。一方、変形例として、アダプタ21に試料液流路1002を直結するコネクタ、アダプタ22に液絡1015への流路を直結するコネクタを設け、換言すると従来のホルダを用いずに、本流路一体型センサ専用の電解質ユニットをもつ生化学自動分析装置に装着することもできる。この変形例は、ホルダの流路や接続部を省略できるため、液残りが少ない特長をもつ。
次に、本実施例による流路一体型センサの効果を説明する。図5は、図4に示した分析装置に本実施例のセンサを搭載し、試料を測定した際の液残りを評価した結果の一例である。センサとして従来例並びに本実施例によるKセンサを用い、試料液として以下の二種類の試料溶液を使用した。H液:500mM KClと500mM NaClを含む水溶液、L液:5mM KClと500mM NaClを含む水溶液。液残りは以下の通り評価した。まずH液を複数回測定する動作を行い、流路の内部を完全にH液に置き換えた。最後の3回の測定値をH液電位として記録した。次にL液を30回測定する動作を行った。L液の1回目の測定値を、液残りを含むL液電位、30回目の測定値を真のL液電位として記録した。H液、真のL液の電位と、それぞれの試料中のKイオン濃度(500mM、5mM)とから検量線(スロープ感度とE0)を求め、液残りを含むL液電位と検量線から、液残りを含むL液の濃度を求めた。液残りを含むL液の濃度を、H液濃度(500mM)が100、L液濃度(5mM)が1となるように規格化して、液残りを含むL液の規格化濃度と定義した。液残りを含むL液の規格化濃度と、L液の規格化濃度(1)との差を、H液とL液の規格化した濃度差(99)で除した値を、キャリーオーバ値と定義し、液残りの大きさの指標とした。つまり液残りが大きいほどキャリーオーバ値も大きい。第1の濃度の溶液の次に第2の濃度の溶液を測定すると、第2の溶液に対する測定値は、見かけ上、第2の濃度に対し、キャリーオーバ値と第1の濃度の積とを加えた値となる。
図5から明らかな通り、本実施例による流路一体型Kセンサの液残りは試料液量が120μL以上の場合は0.08%以下であり、従来例と比較して1/3ないし1/5程度と極めて小さい。なお試料液量が90μLの場合は0.25%と大幅に液残りが悪化するが、これはセンサを通して液絡に至るまでの流路の内容積(約120μL)を試料の液量が下回り、測定の際にセンサと参照電極との間に以前の試料が介在するためと考えられる。このような不具合を生じない試料液量の範囲においては、本実施例によるセンサの液残りは極めて少なく、換言すると微量の試料でも正確に測定できる、という効果がある。
こうして本実施例の流路一体型センサは、試料溶液の置換を促進し、試料の滞留や汚れの残留を防止できる。つまり複数の試料を測定するために例えば第1の試料から第2の試料へ交換する際、第2の試料を大量に導入しなくても、第1の試料の残留を最小化し、第2の試料を汚染や希釈などの不具合なしに正確に感応膜表面に送り届けることが可能である。換言すると、複数試料の連続測定を正確に行うために必要な試料液量を格段に低減でき、従って試料交換時間を短縮できる効果がある。
以下、上記の結果の理由について考察する。本実施例と従来例との主な相違点は、流路の形状と、感応膜との相対的な配置にある。即ち、流路については、本実施例は直線状の流路が2本あり、それらは約120°の角度をなしている。一方、従来例は直線状の流路が1本のみである。流路と感応膜との相対的な配置については、本実施例の流入流路における試料液の流れの向きは、感応膜の試料に接する面の法線に対して約120°の鈍角をなす。また、本実施例は感応膜が平面状であり、感応膜の試料に接する面の全ての領域において、上記関係を満足する。つまり、感応膜に導入される試料は感応膜表面をえぐるように押し当てられるため、いわゆるstagnant layerの厚みを減らすことができ、液を効率よく置換でき、液残りが少ない、と考えられる。
一方、従来例は流路中央で感応膜が湾曲する形で凸状に突出する。感応膜の法線を、流路に露出した膜部分の平均値、あるいは各微小領域の法線ベクトルの総和として定義すると、従来例の感応膜の凸状突出部分は膜の中心線について左右対称であるため、感応膜の法線はこの中心線に一致し、流路に直交する、換言すると従来例の試料液の流れ方向と感応膜の法線のなす角度は、平均値としては90°である。つまり平均としてみると液の流れは感応膜表面と平行であり、膜表面で層流を形成し、stagnant layerの厚みを減らすことは困難で、液の置換を効率よく行うことができず、液残りが大きい。実際には従来例の感応膜は流入流路側の半分の表面と反対側の表面とが逆方向に傾いている。流入流路側の半分(以下前半)の表面だけについて考えると、試料液の流れと、感応膜の法線のなす角度は、90°より大きい。従って、この前半領域については本実施例と同様、液残りは少ないと考えられる。しかし、他の半分(後半)の表面については、試料液の流れ方向と感応膜の法線のなす角度は、90°より小さい鋭角である。換言すると感応膜の後半の表面は、前半の表面の陰にかくれる形となっている。この陰の領域において、淀みが生じ、液置換が効率よく行えないため、結果として液残りが多い、と考えられる。
つまり、本実施例が従来例と比較して液残りが格段に少なかったのは、特に流入流路と感応膜のなす角度が鈍角であり、感応膜の流路側表面の全域にわたってこの関係が満足されているためと考えられる。
[実施例2]
図6は、実施例2による流路一体型Clセンサ101の主要部を示す正面模式図である。図において、2’は筐体、5は空間、10’は内部電極、11’はフタ、12は止栓である。簡明のため図6では、空間5に封入される内部液や、流路やコネクタ等については、図示を省略した。図6のA−A’断面は、図1と同等である。
図7は、実施例2による流路一体型センサ101,101’,101”の一例を示す正面模式図である。101はClセンサ、101’はNaセンサ、101”はKセンサである。
図6に示す通り、実施例2による流路一体型センサ101の筐体2’は、実施例1の筐体2と類似しているが、流入流路と流出流路が形成されている面すなわちA−A’断面に対して面対称である点が主に実施例1と異なる。即ち、筐体2’の上面に設けられた内部電極10’と嵌合する穴は、筐体2’の下面に設けられた止栓12と嵌合する穴と同一の形状であり、内部電極10’と止栓12は、いずれの穴にも同様に装着、固定できる。
次に、実施例2による流路一体型センサ101,101’,101”の作製法について説明する。流路一体型Clセンサ101の製法は実施例1と同様である。即ち、流入流路3、流出流路4、空間5、入口コネクタ6、出口コネクタ7、上記の2つの穴などを備える筐体2’を射出成形により一体に形成する。空間5の流路開口部9が開口した面に、流路開口部9を塞ぐように、Cl-選択性感応膜8を接着する。筐体2’にフタ11’を接着して空間5を密閉し、銀ハロゲン化銀を含む内部電極10’を筐体上面の穴から空間5に挿入して接着し、空間5に筐体2’の下方の穴から内部液を充填し、充填後下方の穴に止栓12を嵌合して接着することにより、センサ101が完成する。センサ101’は感応膜としてNa+選択性感応膜を備えること以外は、Clセンサ101と同様である。
一方、センサ101”は感応膜としてK+選択性感応膜を用いること以外に、製法が下記の通り異なる。即ち、図7に示す通り、内部電極10’を筐体2’の下面の穴から空間5に挿入し、止栓12を筐体2’の上面の穴に嵌合して接着する。このセンサ101”を図7の紙面における横方向即ち水平線を中心に180度回転させて考えると、内部電極10’を紙面上方に向けて並べることができ、かつ、センサ101や101’と鏡像関係にある外観形状になっていることが理解できるであろう。換言すると、流路一体型センサ101,101”,101’は、図3のセンサ1,1”,1’と同様に、アダプタ21,22と組み合わせて、生化学自動分析装置の電解質測定ユニットに装着可能である。
本実施例は、外観形状が互いに鏡像関係にある2種類の流路一体型センサ101(や101’)と、センサ101”とを、1種類の筐体2’を用いて作製可能であるため、射出成形における金型の数を半減でき、金型のコストを半減でき、金型を交換する工数と手間を省略できる、という効果がある。
[実施例3]
図8は、実施例3による流路一体型センサ201の筐体202の断面模式図である。5’は空間である。内部液や、内部電極、流路やコネクタ、フタ等については、簡明のため図8では図示を省略した。図9は、実施例3による流路一体型センサ201を複数組み合わせたセンサセットの例を示す断面模式図である。23はアダプタである。
実施例3による流路一体型センサ201の構造は、実施例1や実施例2による流路一体型センサの構造と類似であるが、以下の点が異なる。即ち、筐体202の断面形状がやや異なり、概ね三角形であり、また空間5’の大きさが実施例1,2に比較して小さい。
本実施例による流路一体型センサ201は、既存の電解質測定ユニットに装着するための互換性を考慮しない代わりに、サイズが小さい特徴がある。図9に例示するように、本実施例によるセンサはコンパクトに組み合わせてセンサセットを構成することが可能である。従って装置のサイズを小型化可能である、という特有の効果がある。
[実施例4]
図10は、実施例4による流路一体型センサ301の筐体302を示す断面模式図である。303は流入流路、304は流出流路である。本実施例による流路一体型センサ301の構造は、実施例1と類似であるが、以下の点が異なる。即ち、流出流路304の内径が0.5mmと細い。また入口コネクタ6に収納するフラットシールとして、内径0.65mmの貫通孔(流路)を備えたものを採用した。
実施例4による流路一体型センサ301の筐体302を射出成形により作製する方法について説明する。筐体302を射出成形により作製する方法は実施例1の筐体2の作成方法と類似であるが、流路に対応する金型のピンの形が異なる。即ち、流入流路303に対応する金型のピンは感応膜接着面に届いているとともに、流出流路304に対応する金型のピンに嵌合する凹部を備える。一方、流出流路304に対応する金型のピンは直径が0.5mmと細いこと以外に、流入流路303に対応する金型のピンの凹部に嵌合する凸部を備え、その長さはやや短く、感応膜接着面まで届かない長さである。これらのピンを互いに嵌合し、さらに空間5に対応する凸部を設けた型と接合させた後、樹脂を型内に射出する。これにより、図10に示す筐体302が形成される。この流入流路303と流出流路304の形成方法に起因して、流入流路303と流出流路304の交差部は流入流路303側が流路開口部によって空間5と連通する構造となっている。
実施例4による筐体302は、実施例1による筐体2などと類似であるが、以下の点が異なる。即ち、実施例1の筐体2は2つの流路に対応する金型の2つのピンを感応膜接着面と接する部分で接合するため、その位置においてバリが生じる場合がある。一方、本実施例の筐体302は金型の2つのピンが流出流路側に寄った位置において接合するため、図10に示すとおり、バリ310が生じたとしても、その位置は、感応膜8の位置よりも流出流路側、即ち下流にずれる。
本実施例は、金型の2つのピンを互いに嵌合させることにより、ピンの位置決めの再現性が向上し、射出成形によって作製した筐体の構造の寸法精度が向上し、また金型同士の位置ずれに起因するバリなどの不具合を抑制できる、という特有の効果がある。また、バリの生じうる位置を感応膜の下流にずらすことができるため、バリによって生じるおそれのある液残りなどの影響を感応膜が受けることがない、換言すると、液残りの少ない測定を行うことができる、という特有の効果がある。
本実施例の変形例として、流出流路304の形状をテーパー状として、その感応膜付近部分の内径を0.5mmに維持したまま出口における内径を0.8mmとする方法も採用可能である。この場合は、フラットシールとして、実施例1と同様、内径0.8mmの貫通孔を流路として備えたものを採用可能である。この変形例は、筐体接続部の流路内径が統一されているため、流路内面の段差が小さく、従って液残りが少ない特長がある。
[実施例5]
図11は、実施例5による流路一体型センサ401の筐体402を示す断面模式図である。410は、図示しない位置決めピンを通すための開口部である。図12は、図11中のB部分の拡大図である。図12において、403は流入流路、404は流出流路、405は空間、6は入口コネクタ、7は出口コネクタ、408は感応膜、409は空間405内の感応膜接着領域である。
図13は、筐体402の断面を様々な角度から俯瞰した模式図である。図14は、流入流路403や流出流路404と流路開口部9の関係を様々な角度から俯瞰した模式図である。
本実施例では、入口コネクタ6に収納する図示しないフラットシールとして、内径0.75mmの貫通孔(流路)を備えたものを採用した。
実施例5による流路一体型センサ401の構造は、従来例と類似であるが、以下の点が異なる。即ち、流入流路403の入口部分(前半部分)は内径1.0mmの円柱形であるが、途中以降(後半部分)は円錐台形状(以下、ロフト状という)であり、出口における内径は0.5mmである。流入流路403はその出口において、内径0.5mmの円柱形の流出流路404と接続する。換言すると、流入流路403と流出流路404は概ね同じ方向に形成され、流入流路403の入口付近の内径は流出流路404の内径よりも大きく、流入流路403の流出流路404との交差部側の部分は内径0.5mmの流出流路404に接続する偏心円錐台状である。流路開口部は流入流路403の偏心円錐台状の部分に設けられ、流路開口部が開口する空間405の感応膜接着領域409の表面は円筒面である。
即ち、従来例は流路が1本であるのに対し、実施例5の流路は大別して流入流路403と流出流路404の2つの流路に区分され、さらに流入流路403は前半の円柱状部分と、後半のロフト状部分とに分かれる。流入流路403のロフト状部分の側面には、図13に模式的に示すように、曲面状の、より具体的には円筒表面の一部に設けられた流路開口部9が開口している。感応膜408は、この流路開口部9を覆うのみならず、図12に示す空間405の流路側の壁面である円筒状の表面を覆うように、筐体402に接着される。流出流路404の円柱の中心軸は、流入流路403の前半部分の円柱の中心軸から、感応膜接着面と反対方向に0.25mmずれている、換言するとロフト状部分の形状はより具体的には偏心した円錐台形である。図12に示す空間405の円筒表面409の湾曲頂点より下流側即ち流出流路404側については、流出流路404の内径が小さいため、感応膜408は流出流路404に露出しない。従って、感応膜408が流路に露出する領域は、空間405の円筒表面409の湾曲面の頂点並びにその上流、即ち流入流路403側だけに限定される。
実施例5における感応膜の流路に露出する領域の平均の法線は、図12において左斜め上方に向かう。試料液の流れの方向は図12において左から右へ向かう方向であるため、それが感応膜の法線となす角度は、平均値としては90°より大きい。つまり平均としてみると本実施例の流入角度は本発明の他の実施例と同様に鈍角であり、従来例(90°)とは異なる。また、本実施例の感応膜408が試料に接する面について考えると、(湾曲面の中心を除く)全ての領域において上記関係を満足し、流入流路から見て感応膜の影に隠れる領域は存在しない。流入流路から見て感応膜の影に隠れる領域は流路に露出しない。換言すると、感応膜408の領域のうち、流入流路の向きと、流路に面する感応膜の法線との間の角度(X)が鋭角(0°<X<90°)になるような部分は、流路に露出しない構造である。つまり、感応膜408に導入される試料は常に感応膜表面をえぐるように押し当てられるため、いわゆるstagnant layerの厚みを減らすことができ、液を効率よく置換でき、液残りが少ない、という特長がある。
また実施例5の筐体402を射出成形で作製する場合、流路に対応する金型のピンとして、図14に示すごときピンを1本だけ用いればよい、という特徴がある。したがって、射出成形工程において流路に対応する複数のピンを互いに接合する必要がないため射出成形が容易であり、またピンの接合部においてバリが生じるおそれもないため製品の形状精度が高く、液残りなどの問題も生じにくい、という特有の効果がある。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
2,202,302,402:筐体
3,303,403:流入流路
4,304,404:流出流路
5,405:空間
6:入口コネクタ
7:出口コネクタ
8,408:感応膜
9:流路開口部
10:内部電極
12:止栓
21,22,23:アダプタ
1001:試料溶液
1011:参照電極液
1014:参照電極
1015:液絡
1031:計測制御装置

Claims (5)

  1. 直線状の流入流路、直線状の流出流路及び内部電解質溶液が封入され内部電極が挿入される空間を有する筐体と、
    イオン選択性感応膜とを備え、
    前記流入流路と前記流出流路は、一端で互いに交差すると共に他端がそれぞれ前記筐体の表面の流入面と流出面に開口し、
    前記流入流路と前記流出流路の交差部は少なくとも前記流入流路側が流路開口部によって前記空間と連通し、前記イオン選択性感応膜は前記流路開口部を塞ぐように前記空間内に配置され、前記流路開口部の形状は、前記流入流路を延長させたときに前記空間と交わる際に形成される断面形状と同一であり、かつ、前記流出流路を延長させたときに前記空間と交わる際に形成される断面形状と同一であり、
    前記流入流路中における試料液の流れの方向と、流路に面する前記イオン選択性感応膜の膜面法線とがなす角度が90°以上180°未満であり、
    前記流出流路中における試料液の流れの方向と、流路に面する前記イオン選択性感応膜の膜面法線とがなす角度が鋭角であり、
    前記筐体は射出成形により一体として形成された射出成形品であり、
    前記流入面及び前記流出面にはそれぞれ入口コネクタと出口コネクタが形成されており、前記入口コネクタと前記出口コネクタは互いに嵌合する形状を有し、
    前記流入流路の中心軸は前記流入面に対して垂直であり、前記流出流路の中心軸は前記流出面に対して垂直であり、
    前記流入面と前記イオン選択性感応膜とがなす角度が鋭角であり、
    前記流出面と前記イオン選択性感応膜とがなす角度が鋭角である
    ことを特徴とする流路一体型センサ。
  2. 請求項1に記載の流路一体型センサにおいて、
    前記流入流路の内径よりも前記流出流路の内径が小さいことを特徴とする流路一体型センサ。
  3. 請求項1に記載の流路一体型センサにおいて、
    前記筐体は前記内部電極及び止栓が挿入される同一形状の2つの穴を有し、
    前記流入流路と前記流出流路は同一面内に配置されており、
    前記筐体は前記流入流路と前記流出流路が配置された面に対して面対称であることを特徴とする流路一体型センサ。
  4. 請求項1に記載の流路一体型センサを複数備え、各流路一体型センサの前記入口コネクタと前記出口コネクタを互いに嵌合させて前記複数の流路一体型センサを連接したことを特徴とするセンサセット。
  5. 請求項1に記載の流路一体型センサと、
    参照電極と、
    液絡と、
    参照電極液を前記参照電極を介して前記液絡に送液する送液機構と
    試料溶液を前記流路一体型センサの流路を介して前記液絡に送液する送液機構と、
    前記参照電極の電位を基準として前記流路一体型センサの前記内部電極の起電力を計測する計測部と、
    を有することを特徴とする分析装置。
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